説明

消臭性編地

【課題】人体から発生する汗臭や加齢臭等を消臭して体臭による不快感をなくし、かつ洗濯による消臭機能の低下のない消臭性編地を提供する。
【解決手段】島部がセルロースアセテートで、海部がアクリロニトリル系重合体でそれぞれ形成されたセルロースアセテート10〜40質量%、アクリロニトリル系重合体90〜60質量%からなる海島型アクリル系複合繊維(A)と、カルボン酸を含有するビスコースレーヨン(B)を含んでなる編地であって、(A)を20〜80質量%、(B)を80〜20質量%含有し、洗濯前及び洗濯10回後の編地での酢酸に対する消臭率が80%以上、イソ吉草酸に対する消臭率が85%、ノネナールに対する消臭率が75%以上、アンモニアに対する消臭率が70%以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体から発生する汗臭や加齢臭等の体臭による不快感を抑え、かつ洗濯による消臭性能の低下のない消臭性編地に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より汗等の体臭を防止する繊維製品が多数市販されている。汗は、それ自体では強い臭気にはならないが、汗の成分が皮膚上に存在する種々の菌の作用により低級脂肪酸や揮発性物質に変えられることによって種々の不快な臭気成分となる。臭気成分として代表的なものに酢酸、イソ吉草酸、アンモニアがある。また、近年は中高年齢者特有の加齢臭対策の製品も提案されている。加齢臭は、年齢を重ねるごとに強くなる臭気で、皮膚から分泌される脂肪酸が酸化することや皮膚上の菌により分解されることにより生成するノネナールと酢酸、イソ吉草酸、アンモニア等とが混じり合うことで発生する。
【0003】
これらの不快な臭気成分への対策製品として、制汗剤、デオドラント剤、マスキング剤等を配合したスプレーやクリーム等があるが、これらの製品は消臭効果の持続性がない。また、消臭機能を付与した繊維製品も多数市販されている。例えば、消臭物質を後加工により繊維表面に付着固定させたもの、繊維の製造段階で消臭物質を練り込んだもの、或いは繊維の改質により消臭機能を付与したもの等がある。しかしながら、これらの繊維製品は、洗濯により性能が低下したり、特定の臭気成分のみに効果があるだけで、満足できるものではなかった。
【0004】
また、例えば、光触媒活性を有する複合金属酸化物の微粒子を含有する消臭繊維が提案されており(特許文献1)、この消臭繊維によると、悪臭成分は光触媒により分解されるため洗濯による性能低下の問題はないものの、光の届かない環境下では消臭機能が発揮されず、さらには光触媒が母体の繊維自体も分解するため、繊維の変色や強度低下といった問題を有している。
【0005】
さらに、光触媒活性を有する金属微粒子を含有する繊維と、化学的或いは物理的吸着による消臭機能を有する繊維とを含有させた繊維製品が提案されている(特許文献2)。この繊維製品は、化学的或いは物理的に悪臭成分を吸着し、かつ光触媒作用により悪臭成分を分解することができるため、非常に消臭性能が高いものであるが、依然として前記問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−162245号公報
【特許文献2】特開2006−291391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、人体から発生
する汗臭や加齢臭等を消臭して体臭による不快感をなくし、かつ洗濯による消臭機能の低下のない肌着、インナー用途に適した消臭性編地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、島部がセルロースアセテートで形成され、海部がアクリロニトリル系重合体で形成された、セルロースアセテート10〜40質量%及びアクリロニトリル系重合体90〜60質量%からなる海島型アクリル系複合繊維(A)と、カルボン酸またはその塩を含有するビスコースレーヨン(B)を含んでなる編地であって、海島型アクリル系複合繊維(A)を20〜80質量%、ビスコースレーヨン(B)を80〜20質量%含有し、洗濯前及び洗濯10回後の編地での酢酸に対する消臭率が80%以上、イソ吉草酸に対する消臭率が85%、ノネナールに対する消臭率が75%以上、アンモニアに対する消臭率が70%以上である消臭性編地、にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本発明の消臭性編地は、島部がセルロースアセテート、海部がアクリロニトリル系重合体で形成された海島型アクリル系複合繊維(A)と、カルボン酸またはその塩含有のビスコースレーヨン(B)を含んでなる編地であり、編地を構成する繊維(A)、(B)が汗臭や加齢臭といった不快な臭気を消臭し、繰り返し洗濯を行っても消臭機能の低下がなく、肌着、インナー等に好適な素材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の消臭性編地は、複数の島部と海部からなる海島型複合構造における島部がセルロースアセテートで形成され、海部がアクリロニトリル系重合体で形成された、セルロースアセテート10〜40質量%及びアクリロニトリル系重合体90〜60質量%からなる海島型アクリル系複合繊維(A)と、カルボン酸またはその塩を含有するビスコースレーヨン(B)とを含んで構成される。
【0011】
本発明において、編地を構成する海島型アクリル系複合繊維(A)は、島成分がセルロースアセテート、海成分がアクリロニトリル系重合体であり、海島型アクリル系複合繊維全体として、セルロースアセテート10〜40質量%及びアクリロニトリル系重合体90〜60質量%から構成されることが必要である。海島型アクリル系複合繊維は、セルロースアセテートが10〜40質量%、アクリロニトリル系重合体90〜60質量%で構成されることにより、臭気成分に対して十分な消臭機能を発揮させることが可能となり、好ましくはセルロースアセテートが20〜40質量%、アクリロニトリル系重合体80〜60質量%で構成されるときには、繊維物性が低下せず、高い消臭性能を発揮する。
【0012】
本発明における海島型アクリル系複合繊維(A)の島部を形成するセルロースアセテートとしては、平均酢化度が48.8%以上56.2%未満のセルロースジアセテート、平均酢化度が56.2%以上62.5%未満のセルローストリアセテートが挙げられる。
【0013】
また、海島型アクリル系複合繊維(A)の海部を形成するアクリロニトリル系重合体としては、好ましくはアクリロニトリルを80質量%以上含む、アクリロニトリルと、アクリロニトリルと共重合可能な不飽和単量体との共重合体である。アクリロニトリルと共重合可能な不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、メタクリルスルホン酸ナトリウム、アクリルアミドメチルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0014】
海島型アクリル系複合繊維(A)は、繊維の長手方向に対し垂直な方向の断面(繊維断面)において、島部がセルロースアセテートで形成され、海部がアクリロニトリル系重合体で形成されていることが必要である。繊維がかかる海島型複合構造をとることにより、繊維物性の脆弱なセルロースアセテートの周囲をアクリロニトリル系重合体が被覆することにより、繊維が補強され、結果として通常のアクリル繊維と同島の繊維物性を有する繊維となる。
【0015】
繊維断面における海島型複合構造は、繊維の長手方向に島成分のセルロースアセテートが全長にわって連続して連なり或いは部分的に連なっていることが好ましい。繊維内部に空孔のある構造であってもよく、繊維内部に空孔のある構造であることは、消臭性能を発現させるうえで好ましく、本発明における海島型アクリル系複合繊維においては、島部のセルロースアセテートと海部のアクリロニトリル系重合体との界面で空孔が形成される傾向にある。海島型アクリル系複合繊維(A)は、消臭性能を発揮させるうえで、またインナー用途に必要な風合い、紡績等の工程通過性から、その単繊維繊度が0.8〜3.3dtexであることが好ましい。
【0016】
本発明における海島型アクリル系複合繊維(A)は、例えば次のようにして製造することができる。まず、セルロースアセテート、アクリロニトリル系重合体及び溶媒からなる紡糸原液を調製する。溶媒は、セルロースアセテートとアクリロニトリル系重合体とを同時に溶解する溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、硝酸水溶液、塩化亜鉛水溶液、ロダン塩水溶液、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトン等が挙げられる。紡糸は、紡糸原液を、通常の紡糸口金を用いて前記溶媒の水溶液からなる凝固浴中に吐出する湿式紡糸により繊維形態に賦形して未延伸糸とし、この未延伸糸を延伸倍率3〜7倍に延伸して延伸糸とし、脱溶媒、油剤付与、乾燥緩和等の処理を施し、単繊維繊度が0.8〜3.3dtexの糸条を、所定の繊維長にカットして短繊維として得る。
【0017】
また、本発明において、編地を構成するビスコースレーヨン(B)は、カルボン酸またその塩が含有されたビスコースレーヨンである。含有されるカルボン酸またその塩としては、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和カルボン酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和カルボン酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸、乳酸、酒石酸等のヒドロキシ酸等またはこれらのナトリウム、カリウム等の金属塩が挙げられる。
【0018】
ビスコースレーヨンへのカルボン酸またその塩の含有量は、0.2〜10質量%の範囲であることが好ましく、含有は所謂ビスコースへの練り込みによって行う。カルボン酸またその塩の含有量が0.2〜10質量%の範囲であれば、海島型アクリル系複合繊維(A)と共に構成された編地において、十分な消臭性能が発揮され、また、ビスコースレーヨンの紡糸工程や編地とした後の染色等の後工程での脱落、溶出を生じない。本発明におけるカルボン酸またはその塩を含有するビスコースレーヨン(B)は、消臭性能を発揮するさせるうえで、またインナー用途に必要な風合い、紡績等の工程通過性から、その単繊維繊度が0.5〜3.3dtexであることが好ましい。
【0019】
また、本発明におけるカルボン酸またはその塩を含有するビスコースレーヨン(B)は、商品として上市されたものを使用することができるが、例えば次のようにして製造することができる。まず、セルロースを含むビスコース原液に、カルボン酸またその塩を含む溶液と、苛性ソーダ水溶液を添加してビスコース液を調製する。このカルボン酸またその塩を添加したビスコース液を紡糸口金を用いて硫酸及び硫酸亜鉛水溶液からなる凝固再生浴に紡糸して、単繊維繊度が0.5〜3.3dtexの繊維束とし、さらに所定の繊維長にカットして短繊維として得る。
【0020】
本発明の編地は、海島型アクリル系複合繊維(A)とビスコースレーヨン(B)を含むかぎり編地の編組織には特に限定はないが、肌着、インナー等に用いることを考慮すれば、例えばスムース、フライス、天竺等のフラットな編組織とすることが好ましい。
【0021】
本発明の編地における海島型アクリル系複合繊維(A)とビスコースレーヨン(B)は、編地に海島型アクリル系複合繊維(A)20〜80質量%、好ましくは30〜80質量%、ビスコースレーヨン(B)80〜20質量%、好ましく70〜20質量%含有される。海島型アクリル系複合繊維(A)とビスコースレーヨン(B)とがかかる範囲で含有されるのであれば、編地に他の繊維素材、例えば、綿(=木綿)、ウール等の天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ウレタン繊維等の合成繊維等が含有されていてもよく、特に、綿は、酢酸、イソ吉草酸等の酸の消臭機能があり、好ましく併用される。
【0022】
編地の編成に際しては、海島型アクリル系複合繊維(A)とビスコースレーヨン(B)は、混紡して紡績糸として使用することが、編成時の供給糸の種類が少なくなり、他の繊維素材の交編が容易になり、編地の編成上好ましい。また、編地の編成に際し、海島型アクリル系複合繊維(A)の紡績糸、ビスコースレーヨン(B)の紡績糸とし、これら紡績糸を交編して編地としてもよく、かかる交編編地とすることによって、染色での染め分けによってボーダー柄等を表現することが可能である。
【0023】
本発明の編地は、海島型アクリル系複合繊維(A)とビスコースレーヨン(B)を必須な編地の構成繊維素材したことにより、洗濯前及びJIS L0217 103法による洗濯10回後の編地での酢酸に対する消臭率が80%以上、イソ吉草酸に対する消臭率が85%、ノネナールに対する消臭率が75%以上、アンモニアに対する消臭率が70%以上なる消臭性能を備えたものであり、かかる消臭性能を備えることが本発明の編地の特徴である。
【0024】
本発明においては、元来ビスコースレーヨンは、吸湿性が高く、酸臭気や塩基性臭気の消臭能力が比較的高いことは知られていたが、アンモニアに対する消臭能力が酸臭気対する消臭能力に比べ低いことから、ビスコースにカルボン酸またはその塩を練り込んでカルボン酸またはその塩を0.2〜10質量%含有するビスコースレーヨンとし、アンモニアに対する消臭能力を消臭率で70%以上に向上させた、カルボン酸またはその塩を含有するビスコースレーヨン(B)を編地の必須の構成糸としたものである。
【0025】
また、本発明においては、アクリル繊維は、その繊維構造に複数の空孔を含むときは、従来より臭気成分である酢酸、イソ吉草酸、ノネナールに対する消臭能力のあることが知られていたが、アクリル繊維を海島型の複合繊維とし、島部をセルロースアセテートで形成したことにより、酢酸に対する消臭率が80%以上、イソ吉草酸に対する消臭率が85%、ノネナールに対する消臭率が75%以上という高い消臭能力に向上させ、かかる海島型の複合繊維を海島型アクリル系複合繊維(A)として編地の必須の構成糸として用いたものである。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の消臭性能の評価は以下の方法に拠った。
【0027】
(消臭性能の評価)
洗濯前の試料、及びJIS L0217 103法による洗濯を10回行い、吊り干しで乾燥した後の試料で、それぞれ次の消臭性能の評価を行った。
〔酢酸及びアンモニアの消臭性能の評価(検知管法)〕
テドラーパックに、試料(わたは2.4g、編地はたて10cm×よこ10cmの片)を入れ、酢酸の初発濃度が50ppm、アンモニアの初発濃度が100ppmとなるように臭気ガス3リットルを入れ、2時間後の各臭気成分濃度を検知管により測定し、次式により各臭気成分濃度の減少率を算出し、この減少率をそれぞれの消臭率とした。
減少率(%)=[(2時間後の空試験濃度−2時間後の試料試験濃度)/2時間後の空試験濃度]×100
【0028】
〔イソ吉草酸及びノナネールの消臭性能の評価(ガスクロマトグラフィー法)〕
500ミリリットルの三角フラスコに、試料(わたは1.2g、編地はたて6cm×よこ8cmの片)を入れ、イソ吉草酸の初発濃度が38ppm、ノナネールの初発濃度が14ppmとなるように臭気成分の溶液を滴下し、封をして2時間後、シリンジによりフラスコ内のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフでピーク面積を測定し、次式により臭気成分濃度の減少率を算出し、この減少率をそれぞれの消臭率とした。
減少率(%)=[(2時間後の空試験ピーク面積−2時間後の試料試験ピーク面積)/2時間後の空試験ピーク面積]×100
【0029】
(実施例1)
島部がセルロースジアセテート、海部がアクリロニトリル主体のアクリロニトリル系重合体でそれぞれ形成された、セルロースジアセテート30質量%、アクリロニトリル系重合体70質量%からなる海島型アクリル系複合繊維(三菱レイヨン社製A.H.F、単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm)(A)と、カルボン酸含有ビスコースレーヨン(ダイワボウレーヨン社製PARAMOS、単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)(B)を、(A)60質量%、(B)40質量%の混率で混紡して毛番手1/68の紡績糸を得た。得られた紡績糸を用い22ゲージ丸編み機でフライス組織の編地に編成した。得られた編地の消臭性能の評価結果を表1に示した。なお、表1中の繊維含有率の%は質量%の意味である。
また、アクリル系複合繊維(A)単体の洗濯前の消臭率は、酢酸94.0%、イソ吉草酸93.0%、ノネナール91.2%、アンモニア9.8%であり、ビスコースレーヨン(B)単体の洗濯前の消臭率は、酢酸95.2%、イソ吉草酸56.8%、ノネナール14.5%、アンモニア98.5%であった。
【0030】
(実施例2、比較例1〜3)
実施例1で用いたと同じ海島型アクリル系複合繊維短繊維(A)とビスコースレーヨン短繊維(B)と綿とを用い、混紡率を変更して紡績糸を得た。得られた紡績糸を用いた以外は、実施例1と同様に編成し、得られた編地の消臭性能の評価結果を表1に示した。なお、実施例2は、(A)50質量%、(B)30質量%、綿20質量%の混紡率、比較例1は、(A)55質量%、綿45質量%の混紡率、比較例2は、(B)50質量%、綿50質量%の混紡率、実施例3は、(A)20質量%、(B)13質量%、綿67質量%の混紡率とした。
【0031】
(実施例3)
実施例1で用いたと同じ海島型アクリル系複合繊維短繊維(A)とビスコースレーヨン短繊維(B)との混紡の毛番手1/68の紡績糸と、綿100%からなる綿番手40/1の紡績糸とを用い、22ゲージ丸編み機で混紡紡績糸1/綿紡績糸1の交編フライス組織の編地に編成した。得られた編地の消臭性能の評価結果を表1に示した。
【0032】
(比較例4)
実施例3において、混紡紡績糸1/綿紡績糸2とし表1に示す編地混率に変更して交編フライス組織の編地に編成した。得られた編地の消臭性能の評価結果を表1に示した。
【0033】
(実施例4)
実施例1で用いたと同じ海島型アクリル系複合繊維短繊維(A)100%からなる毛番手1/68の紡績糸と、実施例1で用いたと同じビスコースレーヨン短繊維(B)50質量%と綿50質量%との混紡の綿番手40/1の紡績糸とを用い、22ゲージ丸編み機で紡績糸1/綿混紡績糸1の交編フライス組織の編地に編成した。得られた編地の消臭性能の評価結果を表1に示した。
【0034】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明による消臭性編地は、編地を構成する海島型アクリル系複合繊維とカルボン酸またはその塩含有のビスコースレーヨン繊維とが汗臭や加齢臭といった不快な臭気を消臭し、繰り返し洗濯を行っても消臭機能の低下がなく、肌着、インナー等に好適な素材として有用なるもので、その他、消臭性能が要求される衣料分野の素材としても極めて有用なるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
島部がセルロースアセテートで形成され、海部がアクリロニトリル系重合体で形成された、セルロースアセテート10〜40質量%及びアクリロニトリル系重合体90〜60質量%からなる海島型アクリル系複合繊維(A)と、カルボン酸またはその塩を含有するビスコースレーヨン(B)を含んでなる編地であって、海島型アクリル系複合繊維(A)を20〜80質量%、ビスコースレーヨン(B)を80〜20質量%含有し、洗濯前及び洗濯10回後の編地での酢酸に対する消臭率が80%以上、イソ吉草酸に対する消臭率が85%、ノネナールに対する消臭率が75%以上、アンモニアに対する消臭率が70%以上である消臭性編地。
【請求項2】
編地が、島部がセルロースアセテートで形成され、海部がアクリロニトリル系重合体で形成された、セルロースアセテート10〜40質量%、アクリロニトリル系重合体90〜60質量%からなる海島型アクリル系複合繊維(A)と、カルボン酸またはその塩を含有するビスコースレーヨン(B)とが混紡された紡績糸からなる編地である請求項1に記載の消臭性編地。
【請求項3】
編地が、島部がセルロースアセテートで形成され、海部がアクリロニトリル系重合体で形成された、セルロースアセテート10〜40質量%、アクリロニトリル系重合体90〜60質量%からなる海島型アクリル系複合繊維(A)の紡績糸と、カルボン酸またはその塩を含有するビスコースレーヨン(B)の紡績糸からなる編地である請求項1に記載の消臭性編地。

【公開番号】特開2012−167388(P2012−167388A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26922(P2011−26922)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】