説明

消臭洋式便器装置

【課題】男子が立って小用を足すとき、尿の飛沫や、しずく、たれ等が洋式便器の周囲やトイレの壁面、床面に付着し、トイレ内の狭い範囲で発生する悪臭を低減できる消臭洋式便器装置を提供する。
【解決手段】消臭薬液を床面を含む外方に噴霧する薬液噴霧手段を、便器本体の外側面に設けたことを特徴とする消臭洋式便器装置であり、詳しくは、人体検知手段と、便座の開閉を検知する便座開閉検知手段と、放尿の有無を検知する放尿検知手段と、消臭薬液を噴霧する薬液噴霧手段と、制御手段5とを備え、上記制御手段5は放尿検知手段からの信号に基づき薬液噴霧手段を作動させるとともに、上記薬液噴霧手段からの消臭薬液は便器本体1の噴霧口7に臨む噴射ノズル71から、便器本体1の外方に噴射角度自在に噴霧される消臭洋式便器装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿臭を低減できる装置を設けた洋式便器に関する。さらに詳しくは、洋式便器本体から消臭用薬液を外方に向けて噴出し、消臭する装置を設けた消臭洋式便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の高気密化と生活者の清潔意識に伴い、空間の臭気に対する生活者の意識が高まっている。とくに、トイレ空間の臭気は日常生活の中で最も身近なものであり、いわゆる尿臭は不快な臭気の代表的な存在となっている。上記尿臭は、洋式便器で男子が立って小用を足すとき、尿の飛沫や、しずくが洋式便器の周囲やトイレの壁面、床面に付着し、尿が乾燥する過程で発生する臭気や、尿の分解生成物であるアンモニアの臭い等を主成分とする臭気である。
【0003】
この臭気を低減させるため、あるいは、消失させるため、従来、種々の提案がなされている。例えば、トイレ空間へ消臭成分を放散する消臭装置と、消臭装置を操作するスイッチとからなり、便器操作盤に設けられた上記スイッチを操作することにより、消臭成分をトイレ空間へ自動的に放散し、消臭するトイレの消臭設備が提案されている。
【特許文献1】実開平5−77372号公報(第1〜3頁、第1図、第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の消臭設備は、その第1図、あるいは第7図から明らかなようにトイレ空間全体を消臭するための消臭設備であり、洋式便器の周囲やトイレの壁面、床面に付着した尿から発生する強い小便臭を消失させるには十分ではないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題を解決して、洋式便器で、とくに、男子が立って小用を足すとき、尿の飛沫や、しずく、たれ等が洋式便器の周囲やトイレの壁面、床面に付着し、分解して比較的、狭い範囲で発生する悪臭を抑え、あるいは、消失させることのできる消臭装置を備えた消臭洋式便器装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、床面を含む外方に、消臭薬液を噴霧する薬液噴霧手段を、便器本体の外側面に設けたことを特徴とする消臭洋式便器装置が提供される。
【0007】
請求項2に記載の消臭洋式便器装置は、請求項1に記載の発明に加えて、人体検知手段と、便座の開閉を検知する便座開閉検知手段と、放尿の有無を検知する放尿検知手段と、消臭薬液を噴霧する薬液噴霧手段と、制御手段とを備え、上記制御手段は放尿検知手段からの信号に基づき薬液噴霧手段を作動させるとともに、上記薬液噴霧手段からの消臭薬液は便器本体の噴霧口に臨む噴射ノズルから、便器本体の外方に噴射角度自在に噴霧されるものである。
【0008】
上記制御手段としては、通常、パソコンに内蔵されたCPUによって制御する制御手段が用いられ、また、消臭薬液としては、公知の尿臭抑制用組成物、あるいは、これに除菌剤を加えたもの、さらに芳香剤を加えたもの等が用いられる。
【0009】
請求項3に記載の消臭洋式便器装置は、請求項1に記載の発明に加えて、上記放尿検知手段として、音により放尿を検知する音検知センサを用いたものである。
【0010】
請求項4に記載の消臭洋式便器装置は、請求項1に記載の発明に加えて、上記噴霧口は便器本体の正面および側面に設けられるとともに、噴射ノズルから便器本体の側方ないしは下方に向けて噴霧されるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明にかかる消臭洋式便器装置は上記のとおりであり、床面を含む外方に、消臭薬液を噴霧する薬液噴霧手段が、便器本体の外側面に設けられているから、便器本体の外側面や周囲の床面に誤って付着した小用尿に薬液が短い距離から噴霧されることになり、それらから発生する悪臭を効率よく消臭することができる。また、薬液噴霧手段を必要に応じてその都度操作釦等を介して操作することによりトイレ空間全体をいつでも消臭できる。
【0012】
請求項2に記載の消臭洋式便器装置は上記のとおりであり、請求項1の消臭洋式便器装置の有する効果に加え、上記消臭洋式便器装置を構成する制御手段は放尿検知手段からの信号に基づき薬液噴霧手段を作動させ、上記薬液噴霧手段からの消臭薬液は便器本体の噴霧口に臨む噴射ノズルから、便器本体から外方へ噴射角度自在噴射されるため、洋式便器で男子が立って小用を足すとき、洋式便器の周囲やトイレの壁面、床面に付着し、尿の飛沫や、しずくが乾燥する過程で発生する臭気や、尿の分解生成物であるアンモニアの臭い等を抑え、また、消失させることができる。
【0013】
請求項3に記載の消臭洋式便器装置は上記のとおりであり、請求項1の消臭洋式便器装置の有する効果に加え、上記放尿検知手段は音により放尿を検知するため、ボウル部内に小便をしたとき、溜め水に小便が注がれて発生する音を確実に検知して放尿を確実に知ることができる。
【0014】
請求項4に記載の消臭洋式便器装置は上記のとおりであり、請求項1の消臭洋式便器装置の有する効果に加え、上記噴霧口は便器本体外側の正面および側面に設けられ、噴射ノズルから便器本体の側方ないしは下方に向けて噴霧されるため、洋式便器の周囲やトイレの床面に付着した尿の飛沫やしずく等、低い位置にある悪臭の発生源に直接噴射することにより、少ない薬剤量で、効率よく消臭することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明にかかる消臭洋式便器装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は上記消臭洋式便器装置Aを示す斜視図である。図1に示す消臭洋式便器装置Aにおいて、便器本体1は、ボウル部11とボウル部11の上端に周設されたリム部12と、リム部12の端縁から下方に形設されたスカート部13とからなり、さらに、便器本体1は便座2、便蓋3を回動自在に支持する便座・便蓋支持部14を備えている。この便座支持部14の略中央正面には、人体検知センサ8が設けられている。
【0016】
また、便器本体1の後方には、ボウル部11への水洗用水を供給する給水システムや吐出口を内包するサイドカバー4を備え、サイドカバー4の上方には制御手段5としてのCPUや、図示しない消臭薬液(以下、単に薬液という)貯蔵タンク、便座開閉センサ、放尿音を検知する音検知センサ、薬液を噴霧する噴霧手段、薬液を噴射ノズル71に供給する供給配管等を収納した消臭制御部6が設けられている。
【0017】
上記便器本体1の正面および側面を構成するスカート部13には上記薬液を噴霧する噴霧口7が設けられ、上記制御部6に収納された噴霧手段から供給配管を経て供給された薬液は、噴霧口7に臨んで設けられた噴射ノズル71から噴霧される。この場合、図1に示すように、床面に向かって斜め下方へ噴霧されることが好ましい。
【0018】
図2は上記スカート部13に設けられた噴射ノズル71から噴霧される薬液を模式的に示す部分断面説明図である。上記薬液は消臭制御部6の噴霧手段から薬液供給配管72を経由して供給され、噴霧角度を調整自在に設けられた噴射ノズル71から噴霧され、ミスト状となる。このように噴霧角度の調整ができるため、トイレの壁や床等、比較的狭い範囲にミスト状薬液Yを噴霧して、上記トイレの壁や床等に付着した尿の乾燥や分解の過程で発生する強い尿臭を抑えることができる。
【0019】
つぎに、上記のように構成された消臭洋式便器装置Aの制御手段5による制御の基本動作を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、人体検知センサ8が人体の存在を検知し(ステップ100)、便座開閉センサが作動(ステップ101)して便座「開」を検知すると放尿検知手段を作動させる(ステップ102)。上記放尿検知手段としての音検知センサが放尿音を検知すると同時に、制御手段5は消臭制御部6の噴霧手段を作動させ、薬液を供給して噴射ノズル71から噴出させ、ミスト状薬液Yを噴霧口7から噴霧する(ステップ103)。
【0020】
一方、人体検知センサ8が人体の存在を検知せず、使用者がいないと判断したとき、あるいは、便座開閉センサが便座「閉」を検知したとき(ステップ104)、制御手段5は、もはや便器の使用は終わったものと判断して薬液の供給を停止する。このようにして、噴霧口7からのミスト状薬液Yの噴霧を終了する(ステップ105)と、この状態で再び人体検知センサ8が人体の存在を検知するまで、待機をする(ステップ100)。
【0021】
上記のように構成することにより、本発明の消臭洋式便器装置を用いれば、洋式便器で男子が立って小用を足すとき、尿の飛沫や、しずくが洋式便器の周囲やトイレの壁面、床面に付着し、発生する臭い等、狭い範囲で生じる小便臭を効率よく抑え、あるいは消失させることができる。なお、本実施形態においては、放尿検知手段として音検知センサを用いたが、小便の流入による溜め水の温度上昇を検知する温度検知センサを用いてもよく、このように本発明は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、いずれも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる消臭洋式便器装置を示す斜視図である。
【図2】噴射ノズルから噴霧されるミスト状薬液を模式的に示す部分断面説明図である。
【図3】本発明にかかる消臭洋式便器装置の制御の基本動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
A 本発明にかかる消臭洋式便器装置
Y ミスト状薬液
1 便器本体
11 ボウル部
12 リム部
13 スカート部
14 便座・弁蓋支持部
2 便座
3 便蓋
4 サイドカバー
5 制御手段
6 消臭制御部
7 噴霧口
71 噴射ノズル
72 薬液供給配管
8 人体検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面を含む外方に、消臭薬液を噴霧する薬液噴霧手段を、便器本体の外側面に設けたことを特徴とする消臭洋式便器装置。
【請求項2】
人体検知手段と、便座の開閉を検知する便座開閉検知手段と、放尿の有無を検知する放尿検知手段と、消臭薬液を噴霧する薬液噴霧手段と、制御手段とを備え、上記制御手段は放尿検知手段からの信号に基づき薬液噴霧手段を作動させるとともに、上記薬液噴霧手段からの消臭薬液は便器本体の噴霧口に臨む噴射ノズルから、便器本体の外方に噴射角度自在に噴霧される請求項1に記載の消臭洋式便器装置。
【請求項3】
上記放尿検知手段は音により放尿を検知する請求項1に記載の消臭洋式便器装置。
【請求項4】
上記噴霧口は便器本体の正面および側面に設けられるとともに、噴射ノズルから便器本体の側方ないしは下方に向けて噴霧される請求項1に記載の消臭洋式便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−63897(P2008−63897A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245271(P2006−245271)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】