説明

消臭消煙フィルター材

【課題】 オイルミストの付着除去と臭気及び焦煙の吸着除去が可能で、且付着量度合で逐次使い捨てのできる消臭消煙フィルター材の提供。
【解決手段】
細繊度無機繊維、細繊度合成繊維若しくは細繊度天然繊維を用いて、所要の幅と厚さ及び空隙率の不織布を形成してフィルター基布となしたるうえ該フィルター基布の全面に、その平均粒径が10乃至30μmで比表面積が80m/g以上及び陽イオン置換容量(meq/100g)が150mg以上の人工ゼオライト粉体が、少なくとも50g/m以上の塗着重量割合で、且その吸着孔隙が閉塞されぬよう塗着された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消臭消煙フィルター材に係り、更に詳しくは業務用調理の如く多量のオイルミストと臭気ガス及び焦煙の発生するフィルター材としては極めて好適な消臭消煙フィルター材に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭でも業務においても食材の調理においては煮炊き、焼き、炒め、揚げ或いは蒸し等がなされるが、業務用においては長時に亘って多量の食材が調理され、とりわけ魚介類や畜肉等油脂分の多い食材が焼きや炒めの調理がなされ、更には食用油を用いて揚げ調理もなされることから、多量のオイルミストの発生に加え臭気ガスや焦煙も発生する。
そしてオイルミストは拡散すると、建物内の随所に付着し店舗内を著しく汚損させ且不快な環境となすことから、調理具や調理機器より発生したオイルミストは直ちに吸引ファンで吸引させつつ、フィルター材に接触付着して除去を図っている。
【0003】
ところでオイルミストは調理具や調理機器で発生後、直ちに吸引し接触付着させるため極めて高温度であり、場合によっては調理時の火炎も接触するものであるから、該オイルミスト接触付着フィルター材としては耐火不燃性素材が要請される。
これがため現状のオイルミスト接触付着フィルター材は、金属線条からなるネットを多層に接層させ、若しくは金属板材をラス加工させたもの、或いはセラミックス素材で付着孔隙を形成させた物等が使用されてなるものの、該オイルミスト接触付着フィルターでは多くのオイルミストを接触付着除去させると短時に目詰まりが発生し、且コスト的にも高価なものであることから、頻繁に取除し付着油脂分を高温洗浄して再利用をせねばならず、とりわけ焼き肉ロースターの如き調理機器では、膨大な維持コストが強いられている。
そして残余のオイルミストは当然にダクトを介して屋外に排出させており、而も臭気や焦煙については何等の除去手段もなく、同様に屋外排出されている実情にある。
【0004】
他方近年では都市化とともに、食生活の中食化や外食化が拡大化し、ファーストフード店を初め焼肉店や焼鳥店、炉端焼き店、中華料理店等の専門飲食店や多種多様の料理飲食店が林立し、且これら店舗では長時に亘り多量の調理がなされ、これにより発生する膨大量のオイルミストや臭気或いは焦煙も、そのオイルミストの一部が接触付着除去されるものの、その大半が屋外排出されることから近隣に建設された高層住宅や高層事務所、店舗等には二次汚損被害が発生しており、これの立法化措置も検討されるに至っている。
【0005】
発明者はかかる状況に鑑み鋭意研究を重ねた結果、既に耐火不燃性繊維として、アルミ繊維やセラミックス繊維、岩石繊維、スラッグ繊維若しくはガラス繊維等の無機繊維が生産されており、更にはポリエステルやポリアミド若しくはポリオレフィン系合成繊維、及び麻繊維や綿繊維等の天然繊維も生産販売されており、且これらの細繊度繊維を機械的絡合や紡系絡合或いは接着剤接合の手段により、所要の幅と厚さ及び空隙率を有する極めて安価な不織布を形成しえ、かかる空隙率によりオイルミストの付着除去度合を調整できること、及びかかる不織布全面にその平均粒径が10乃至30μmで、比表面積が少なくとも80m/g以上及び陽イオン置換容量(meq/100g)が150mg以上の人工ゼオライト粉体を、50g/m以上の塗着割合で塗着させることにより、オイルミストに加え臭気並びに焦煙の吸着除去も可能なることを究明し、本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は調理具や調理機器より発生するオイルミストの付着除去と臭気及び焦煙の吸着除去が可能で、且オイルミストの付着量度合いに応じて逐次使い捨てのなしえる消臭消煙フィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、フィルター材としての使用が、調理具や調理機器の直近で高温度のオイルミストが接触し若しくは調理の火炎が接触する部位でなされる場合には、アルミナ繊維やセラミックス繊維、岩石繊維、スラッグ繊維若しくはガラス繊維等からなる細繊度無機繊維が用いられ、更に比較的低温度な部位では、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン系繊維等の細繊度合成繊維、若しくは綿や麻等の細繊度天然繊維の使用がなされるもので、かかる細繊度の繊度としては単糸繊度において1乃至10d(デニール)が用いられる。
【0008】
そしてこれら細繊度繊維を接着剤接合手段や機械絡合手段若しくは紡糸接合手段により、多数本の細繊度繊維相互を所要の幅と厚さ及び空隙率に接合若しくは絡合せしめて不織布からなるフィルター基布を形成のうえ、このフィルター基布の全面に大きな表面積率と且膨大な吸着容量を保持し而も物理的吸着並びに電気化学的吸着、及び大きな陽イオン置換容量(meq/100g)と触媒作用とにより吸着された臭気分子の分解と吸着飽和の防止とを図るうえから、その平均粒径が10乃至30μmで比表面積が少なくとも80m/g以上で且陽イオン置換容量(meq/100g)が150mg以上の人工ゼオライト粉体を、50g/m以上の塗着重量割合で、而もその吸着孔隙を閉塞させぬよう塗着させた消臭消煙フィルター材の構成に存し、更には細繊度無機繊維からなるフィルター基布への人工ゼオライト粉体の塗着には、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液からなる塗着剤が用いられる構成に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述のごとき構成からなるもので、使用する細繊度繊維に無機繊維や合成繊維若しくは天然繊維が使用され、且所要の幅と厚さ及び空隙率でフィルター基布が形成されるため、調理具や調理機器の直近で高温度のオイルミストや調理火炎に晒される部位には、細繊度無機繊維からなるフィルター基布の選択で十分な耐火性や不燃性が保持され、更に低温度のオイルミストや臭気ガス或いは焦煙に晒される部位には細繊度合成繊維や天然繊維からなるフィルター基布の選択で極めて安価且強靭なフィルター材が形成しえ、而も天然繊維素材の使用では多量使用後の廃棄も容易になされる。
【0010】
そしてかかるフィルター基布の全面には、その平均粒径が10乃至30μmとオイルミストや臭気ガス若しくは焦煙との接触表面積率が大きく、且その比表面積が少なくとも80m/g以上の膨大量の吸着孔隙を有し、而も陽イオン置換容量(meq/100g)が150mg以上の人工ゼオライト粉体が、50g/m以上の塗着重量割合で且その吸着孔隙が閉塞されぬよう塗着されてなるとともに、細繊度無機繊維からなるフィルター基布では塗着剤にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が使用されて塗着されてなるから、調理具や調理機器より発生する高温度で膨大量のオイルミストや臭気或いは焦煙もフィルター基布の空隙率を構成する空隙径及び空隙密度を流通する際に接触付着して除去されるとともに、多様な臭気分子は塗着されてなる広大な吸着比表面積で且膨大数の人工ゼオライト粉体の吸着孔隙内に物理的に吸着され、更に人工ゼオライト粉体は高い陽イオン置換容量(meq/100g)を保持するため臭気分子が電気化学的にも吸着されるとともに、人工ゼオライト粉体の高い陽イオン置換容量と且特有の触媒作用とが相俟って、吸着された臭気分子が分解され、吸着飽和が防止されるとともに長期にわたって消臭効果が発揮される。
【0011】
更に調理具や調理機器より発生する焦煙は、食材等の分解ガスと微粒子から構成されるものであるから、これら分解ガスは前記吸着孔隙内に物理的且電気化学的に吸着され、而もその臭気成分は分解され、微粒子成分も物理的に吸着されて消煙されることとなる。
そして本発明消臭消煙フィルター材は、フィルター基布が不織布からなるため、軽量で極めて安価なうえ人工ゼオライト粉体が全面に塗着されることにより適度の剛性が付与され、実用使用に際しての適宜の枠体への装着や汚損時の除去作業も簡便になしえるとともに、本発明は極めて安価で洗浄作業もすることなく使い捨てが可能であるため、維持コストも著しく削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
細繊度無機繊維としてロックウールを機械絡合させて、その空隙率が30%の不織布を用いてフィルター基布となしたうえ、このフィルター基布の全面に平均粒径が20μmで比表面積が80m/g以上及び陽イオン置換容量(meq/100g)が150mg以上の人工ゼオライト粉体を、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を塗着剤として用い、50g/m以上の塗着重量割合で且その吸着孔隙を閉塞させることなく塗着させた構成。
【実施例1】
【0013】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は本発明に用いるフィルター基布1の一部拡大見取図であって、該フィルター基布1は軽量で安価に且所要の幅と厚さ及び空隙率を以って形成されるものが有利であることから不織布が用いられるもので、且本発明においては使用状況により高温度のオイルミストの接触流通や調理火炎の接触する場合には耐火不燃性が要請されるものであるから無機繊維素材が選択される。
この無機繊維素材の具体的なものとしてはアルミナ繊維やセラミックス繊維、岩石繊維、スラッグ繊維或いはガラス繊維等が挙げられるが、コスト的に安価で耐火不燃性と且不織布への加工性の面からは、岩石繊維のロックウールが好適である。
【0014】
かくして選択された無機繊維素材により所要の幅と厚さ及び空隙率を以って不織布を形成させるものであるが、不織布加工に際しては十分な柔軟性を保持させる必要上から、その繊維の単糸径としては0.01乃至0.05mm程度の細繊度無機繊維1Aが好適である。
反面比較的低温度のオイルミストや臭気ガス及び焦煙が接触流通される場合には、ポリエステルやポリアミド若しくはポリオレフィン系合成繊維素材や、綿若しくは麻等の天然繊維素材の使用が、コスト的安価さや使用後の廃棄のうえから望まれるもので、かかる繊維素材を使用する場合にも、その単糸繊度においては1乃至10d(デニール)程度の細繊度繊維の使用が不織布加工のうえから望まれる。
【0015】
而して細繊度無機繊維1A若しくは細繊度合成繊維或いは細繊度天然繊維等を用いてフィルター基布1の不織布を形成する手段としては、これら細繊度繊維を所要の繊維長に切断のうえウエッブを形成の後、適宜の接着剤で接着形成させる接着剤接合手段や、所要の繊維長に切断のうえ機械的に相互の繊維を絡合させる機械絡合手段、及び細繊度繊維の紡糸工程で繊維相互を配列させ接着剤や加熱融着させる紡糸接合手段等が挙げられる。
そして細繊度無機繊維1Aにおいては機械絡合手段が好都合であって、該機械絡合手段においては細繊度無機繊維1Aを略25乃至100mm程度に切断のうえニードルパンチやスティッチ等により相互を所要の幅と厚さ及び空隙率を以って絡合形成させれば良い。
【0016】
ところで本発明は不織布からなるフィルター基材1に形成される空隙1Bをオイルミストや臭気ガス或いは焦煙が接触流通するものであって、フィルター基材1の単位容積当たりの空隙1B総数が多い程接触流通抵抗が少なくなる所謂負圧は小さくなるものの、反面においてオイルミストの接触付着除去率が低下し、且当然に該フィルター基材1の外面に塗着される人工ゼオライト粉体2の臭気ガスの吸着消臭性や焦煙の分解ガス及び微粒子等の吸着消煙性も低下する結果となる。
とりわけ細繊度繊維による不織布は定形的に空隙1Bを形成させることが至難であるから、所要の面積内においての空隙率を求めることとなる。
【0017】
そこで本発明における空隙率は、所定の面積と厚さで形成されるフィルター基布1の見掛容積(面積×厚さ)に対して使用する細繊度繊維の実質容積(細繊度繊維の断面積×使用総長さ)の割合を以って便宜的に定めたもので、且これに基づき多くのオイルミスト接触付着除去試験の結果からは、好ましい空隙率としては略25乃至55%が求められている。
このフィルター基布1に形成される空隙1Bの孔径は、使用される細繊度繊維の繊維径と使用量及び厚さによっても大きく変動するが、ロックウールの繊維径0.03mmを使用量210g/mで、厚さ0.7mmの場合のものでは略0.2乃至1.2mm程度に形成される。
【0018】
かくして形成されたフィルター基布1の外面全体に塗着される人工ゼオライト粉体2は、図2に示す如く主成分が酸化珪素並びに酸化アルミを含む産業廃棄物例えば石炭灰や鋳造廃砂等をアルカリで溶解のうえ水熱処理により珪素、酸素及びアルミニウムの立体規則的構造により平均粒径が10乃至30μmで、平均細孔径が20乃至50Å及びその比表面積が80m/g以上の膨大数の吸着孔隙2Aを保持し、而も陽イオン置換容量(meq/100g)が150mg以上のものが使用されるもので、更に該人工ゼオライト粉体2はアルミによるマイナス電価を保持し大きな触媒作用をも保持するものである。
【0019】
而してこの人工ゼオライト粉体2は塗着剤3Aと所要の割合で配合混練のうえ図3に示すように、フィルター基布1の全面に塗着するもので、塗着手段としては特段の制約は無く、該人工ゼオライト粉体2がフィルター基布1に対して少なくとも50g/m以上の塗着重量割合で、且人工ゼオライト粉体2に形成された膨大数の吸着孔隙2Aが閉塞されぬよう塗着されれば良い。
塗着手段を例示すればブレードコーターやナイフコーター等の塗工装置や含浸機による方法が挙げられる。
そして留意すべきことは本発明が調理具や調理機器直近で使用され、高温度のオイルミストや臭気ガス或いは焦煙が接触流通され、若しくは調理火炎が接触する部位での使用には、フィルター基布1が耐火不燃性細繊度繊維が使用されるものであるから、人工ゼオライト粉体2を塗着させる塗着剤3Aも、当然に耐火不燃性が使用される。
【0020】
これがため細繊度無機繊維1Aを用いて形成された不織布からなるフィルター基材1への人工ゼオライト粉体2の塗着のための塗着剤3Aとしては耐火不燃性を保持する塗着剤3Aが必要とされるため、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Aが選択される。
このシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液は、珪酸ナトリウムや珪酸等をフッ酸やホウ酸等の存在化に、シロキサンとシラノール塩とを分子量換算で略4,000程度の錯化合物状となして、シロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45乃至60重量%に水分40乃至55重量%割合の水溶液状で、水分蒸散とともにシロキサン結合が促進されて強力な接着力を創出するとともに、略1,000℃の耐火性を保持するものである。
【0021】
他方細繊度合成繊維や細繊度天然繊維で形成されるフィルター基布1は、耐火性や不燃性も特段要請されぬことから、これら細繊度繊維からなるフィルター基布1への塗着剤としては強力な接着力と且使用安全性のうえから水溶性アクリル共重合樹脂が挙げられる。
そして人工ゼオライト粉体2の塗着に際して肝要なことは塗着剤3Aによる塗着に際して人工ゼオライト粉体2に膨大数に形成されてなる吸着孔隙2Aが閉塞されぬよう塗着させることが臭気ガスの吸着消臭性並びに焦煙の吸着消煙性を発揮させるうえから重要となる。
【0022】
この吸着孔隙2Aを閉塞させぬよう塗着させるには、該吸着孔隙2Aの吸放湿性即ち調湿性を利用することで可能となるもので、人工ゼオライト粉体2に形成された膨大数の吸着孔隙2Aの平均細孔径は20乃至50Åの大きさであり、且該人工ゼオライト粉体2の吸着孔隙2Aは化学的吸水をなさず物理的保水性を保持するものであるから、細繊度無機繊維によるフィルター基布1に用いるシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは細繊度合成繊維や細繊度天然繊維によるフィルター基布に用いられる水溶性アクリル共重合樹脂には当然に水分が混合されている。
従って塗着剤3Aが塗着されると、該塗着剤3A中の分子粒径が小さく且低粘度の水分が積極的に該吸着孔隙2A内に吸水され、分子粒径が大きく而も而高粘度の塗着成分が人工ゼオライト粉体2の外表面に付着包被された態様となる。そして塗着されたる後の加熱乾燥や減圧乾燥若しくは自然乾燥により、人工ゼオライト粉体2外面の湿度低下と且塗着成分の固化に伴い、吸着孔隙2A内に吸水された水分が固化形成される塗着膜を透出して外部放水(外部放湿)され、実質的に吸着孔隙2Aの閉塞が防止された塗着がなされることとなる。
【0023】
これがためには、塗着剤の組成としては水分が略45乃至55重量%に人工ゼオライト粉体略20乃至25重量%と塗着成分略20乃至25重量%の組成成分割合で、且その粘度においては略12,000乃至18,000(ポアズ)程度のやや高粘度の塗着剤3Aを利用することが好適である。
そして該塗着剤3Aの塗着割合はオイルミストや臭気ガス及び焦煙の発生量や期待する除去度合によっても異なるが、業務用調理具や調理機器で膨大量に発生するオイルミスト、臭気ガス、焦煙に対処するには少なくとも50g/m以上が望まれるが、150g/mを超える塗着重量では、却ってフィルター基材1の空隙2Bを狭少せしめ流通負圧を増大させ、而も消臭効果や消煙効果の向上も期待できぬことを考慮すべきである。
【0024】
かかる如く、所要の幅と厚さ及び空隙率を以って形成されたフィルター基布1の全面に、人工ゼオライト粉体2が少なくとも50g/m以上の塗着重量割合を以って且その吸着孔隙2Aが閉塞されぬよう塗着させることにより、本発明消臭消煙フィルター材3が形成されるもので、実際の使用においては図4に示すようにそれぞれの厨房レンジフードや調理機器に装脱自在に形成される枠体4に適宜に張設し使用するもので、当然に業務用としての使用では膨大量に発生するオイルミストや臭気ガス或いは焦煙を、接触付着除去若しくは吸着消臭及び吸着消煙するものであるが、いかなるフィルター材においてもオイルミストの接触付着により短期に油着膜で閉塞されるものであって、本発明消臭消煙フィルター材3は極めて軽量で且安価であるから油着膜による閉塞とともに適宜に交換張設し、且絞縮減容のうえ廃棄がなしえる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
オイルミストや臭気ガス及び焦煙の温度によって、細繊度無機繊維若しくは細繊度合成繊維或いは細繊度天然繊維を用いたフィルター基布の全面に人工ゼオライト粉体を、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは水溶性アクリル共重合樹脂からなる塗着剤で塗着させてなる本発明消臭消煙フィルター材を、適宜の枠体に張設し使用すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 フィルター基布の部分拡大説明図である。
【図2】 人工ゼオライト粉体の拡大説明図である。
【図3】 本発明消臭消煙フィルター材の断面説明図である。
【図4】 本発明の使用態様図である。
【符号の説明】
【0027】
1 フィルター基材
1A 細繊度無機繊維
1B 空隙
2 人工ゼオライト粉体
2A 吸着孔隙
3 本発明消臭消煙フィルター材
3A 塗着剤
4 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細繊度無機繊維、細繊度合成繊維若しくは細繊度天然繊維を、接着剤接合手段若しくは機械絡合手段或いは紡糸接合手段により、所要の幅と厚さ及び空隙率の不織布を形成してフィルター基布となすとともに、該フィルター基布の全面にその平均粒径が10乃至30μmで比表面積が少なくとも80m/g以上及び陽イオン置換容量(meq/100g)が150mg以上の人工ゼオライト粉体が,少なくとも50g/m以上の塗着重量割合で、且人工ゼオライト粉体の吸着孔隙が閉塞されぬよう塗着されてなる、消臭消煙フィルター材。
【請求項2】
フィルター基布が細繊度無機繊維で形成されてなり、且人工ゼオライト粉体がシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液からなる塗着剤で塗着されてなる、請求項1記載の消臭消煙フィルター材。
【請求項3】
フィルター基布が細繊度合成繊維若しくは細繊度天然繊維で形成され、且人工ゼオライト粉体が水溶性アクリル共重合樹脂からなる塗着剤で塗着されてなる。請求項1記載の消臭消煙フィルター材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−160509(P2009−160509A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−342002(P2007−342002)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(506154801)有限会社ダイアテック (13)
【Fターム(参考)】