説明

消臭装置

【課題】気化式の消臭装置において、内部に取り込んだ空気を長時間に亘り装置内部に留めることで、より確実に消臭可能とする消臭装置を提供すること。
【解決手段】隔壁3によって内部空間201が上部空間202と下部空間203とに分断されるとともに天井部には排気口205が形成され下部空間203の側壁には吸気口204が形成された筐体2と、隔壁3に形成した通気孔301を閉鎖する配置で上部空間202内に配設された複数個のファン4と、下部空間203に挿装された、内部に消臭用溶剤が貯留される水槽5と、下方部分が水槽5の内部に位置するとともに吸気口204を閉鎖する配置で水槽5内に配設された気化シート6を具備した消臭装置であって、ファン4の1個を、排気面を斜め上方に向けて配置し、それによりファンから排気された空気を内部で撹拌し、筐体内の空気を長時間に亘り溶剤の雰囲気内に留めてより確実に消臭可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消臭装置に係り、より詳しくは、特に焼肉店等の飲食店における店内や厨房内の消臭に用いる消臭装置において、内部に取り込んだ汚れた外気をより確実に消臭可能とした消臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に焼肉点等の飲食店においては、店内や厨房内に漂う臭いを無くするために消臭装置を用いることが行われている。
【0003】
ここで、従来から用いられている消臭装置としては、香料によりマスキングする方法を採用したものや、活性炭等を用いて臭いを吸収する方法を採用したものが存在するが、その他、近年になり、消臭用溶剤を用いて、この消臭用溶剤を気化シートに浸透させるとともに、この気化シートに臭いを伴った外気を通過させて消臭する方法を採用した気化式の消臭装置が提案されている。
【0004】
図7は、この従来の消臭装置31の構成を示した一部縦断正面図であり、この従来の消臭装置31ではハウジング32を有しており、このハウジング32は、内部に消臭用溶剤を蓄えたタンク37を収納し、ハウジング32の底部に前記タンク37の下部より消臭用溶剤を供給し、これによりハウジング32は、底部に消臭用溶剤を貯留させることが可能となっている。
【0005】
また、前記ハウジング32は、その側壁に吸気口33が形成されるとともに、上部には排気口34が形成され、更に、排気口34の下方にはファン35が配設されており、ファン35を駆動することで、前記吸気口33を介して外部の空気をハウジング32内に取り込むとともに、排気口34を介して内部の空気を排気可能としている。
【0006】
また、前記ハウジング32内には気化シート36が配設されており、この気化シート36は、下方部分が、ハウジング32の底部に貯留させた消臭用溶剤の中に位置するとともに、前記吸気口33を閉鎖する配置とされている。
【0007】
そして、この構成において、ハウジング32内に消臭用溶剤を貯留させると、その消臭用溶剤は気化シート36に浸透していき、これにより気化シート36の全体が消臭用溶剤を含んだ状態になるとともに、気化シート36に浸透した消臭用溶剤は気化してハウジング32内が溶剤の雰囲気となる。
【0008】
そうすると、この状態で前記ファン35を駆動すると、吸気口33、及び気化シート36を介して外部の空気がハウジング32内に取り込まれるとともに、気化シート36を通過する際に消臭用溶剤により消臭され、ハウジング32内の溶剤の雰囲気の中を、排気口34に向かって上昇し、その後は、消臭された空気が排気口34から排気される。また、ハウジング32内の溶剤の雰囲気の中を空気が通過することで、より確実に消臭された空気を排気することが可能となる。
【0009】
従って、従来の消臭装置を用いることにより、面倒な工事等を行うことなく、臭いを含んだ空気の消臭を行うことができるという利点がある。
【0010】
また、図8は、図7に示した消臭装置と同様に気化式とした消臭装置の他の形態であり、この図8に示した形態の消臭装置41では、下部ケース42とこの下部ケース42の上部に装備した上部ケース43とを有しており、上部ケース43内は、底部に水槽47が配設されるとともに上部にはファン49が備えられており、更に、水槽47内の周囲には、ラウンド状とした気化シート48が配設されている。
【0011】
また、上部ケース43は、側壁に吸気口50が形成され、上部には排気口51が形成されており、これにより、ファン49を駆動することで、吸気口50より外気を取り入れるとともに、この取り入れた外気を排気口51より排気可能としている。
【0012】
一方、下部ケース42内には、消臭用溶剤を蓄えた溶剤タンク44と、この溶剤タンク44内の消臭用溶剤を前記水槽47に供給するためのポンプ45、及び電源等の電装部品46が備えられている。
【0013】
そしてこの構成において、前記ポンプ45を駆動して水槽47内に消臭用溶剤を供給すると、水槽47内の消臭用溶剤は気化シート48に浸透していき、これにより気化シート48の全体が消臭用溶剤を含んだ状態になるとともに、気化シート48に浸透した消臭用溶剤が気化して、上部ケース43内が溶剤の雰囲気となる。
【0014】
従って、この状態で、前記ファン49を駆動すると、吸気口50を介して外部の空気が上部ケース43内に取り込まれるとともに、この取り込まれた空気は、上部ケース43内の溶剤の雰囲気の中で消臭されつつ排気口51に向かって上昇し、その後は、消臭された空気が排気口51から排気され、これにより、面倒な工事等を行うことなく、臭いを含んだ空気の消臭を行うことができる。
【特許文献1】特開2000−60953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、前述したように、気化式の消臭装置では、ハウジング等の内部が気化した溶剤の雰囲気になっているため、取り込んだ空気をより確実に消臭するためには、内部に取り込んだ空気をできるだけこの溶剤の雰囲気内に留めることが望ましい。
【0016】
しかしながら、その一方、ハウジング内の空気は、常に、ファンの作用により排気口側へ引かれているために、溶剤の雰囲気内に長く留めておくことができない、という問題点が考えられる。
【0017】
そこで、本発明は、消臭用溶剤が浸透したシートを用いて外気を消臭する気化式の消臭装置において、内部に取り込んだ空気を長時間に亘り装置内部に留めることで、より確実に消臭可能とする消臭装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明における消臭装置は、
隔壁によって内部空間が上部空間と下部空間とに分断されるとともに、天井部には排気口が形成され、下部空間の側壁には吸気口が形成された筐体と、
前記隔壁に形成した通気孔を閉鎖する配置で前記筐体の上部空間内に配設された複数個のファンと、
該筐体の上部空間内に配設された複数個のファンと、
前記筐体の下部空間に挿装された、内部に消臭用溶剤が貯留される水槽と、
下方部分が前記水槽の内部に位置するとともに、前記吸気口を閉鎖する配置で、前記水槽内に配設された気化シートと、を具備した消臭装置であって、
前記ファンは、少なくとも1個を、排気面を斜め上方に向けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の消臭装置では、複数個のファンを有する気化式の消臭装置において、ファンのうちの少なくとも1個を、その排気面を斜め上方に向けて傾けて配置したことを特徴としている。そのため、排気面を斜め上方に向けたファンから排気された空気は、排気面を上方に向けたファンから排気された空気に衝突し、これにより、双方のファンから排気された空気は筐体内で撹拌され、それにより、筐体内に取り込んだ外気を、長時間に亘り溶剤の雰囲気内に留めておくことができ、より確実に消臭することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の消臭装置では筐体を有しており、この筐体の内部は、隔壁によって上部空間と下部空間とに分断され、前記隔壁には通気孔が形成されている。
【0021】
また、筐体の天井部には排気口が形成され、筐体の下部空間の側壁には吸気口が形成され、更に、筐体の上部空間内には、前記通気孔を閉鎖する配置で、2個のファンが配設されている。そして、ファンを駆動することで、吸気口から筐体内に外気を取り込み、この取り込んだ空気を、筐体内で消臭した後に排気口から排気することとしている。
【0022】
次に、前記筐体の下部空間には、内部に消臭用溶剤が貯留される水槽が挿装され、この水槽内には、下方部分が水槽の内部に位置し、なおかつ、前記吸気口を閉鎖する配置とした気化シートが、配設されている。
【0023】
そして、前記筐体の上部空間内に配設したファンは、一方は排気面を上方に向けており、他方は、排気面を、排気面を上方に向けた一方のファンの上方側に向けて傾けて配置している。従って、本発明では、他方のファンから排気された空気は、一方のファンから排気された空気に衝突し、これにより、双方のファンから排気された空気は、装置内で撹拌されるため、長時間に亘り、上部空間内に滞留することが可能である。
【0024】
ここで、前記水槽を、前記筐体内に挿抜自在に挿装して、引出式にするとよく、これにより、水槽内への消臭用溶剤の補充を容易にすることができる。
【0025】
また、前記吸気口の、すべて、あるいはいずれかを閉鎖可能なスライド板を、前記筐体の内部にスライド自在に配設するとよく、これにより、筐体内に取り込む空気量を調整することが可能である。
【実施例1】
【0026】
本発明の消臭装置の実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例の消臭装置の外観を示す概略斜視図であり、また、図2は本実施例の消臭装置の構造を説明するための拡大一部縦断正面図である。更に、図3は、本実施例の消臭装置の構造を図2におけるB−B線で縦断した構造を拡大して示す断面図、図4は本実施例の消臭装置を図2におけるA−A線で横断した構造を拡大して示す断面図である。
【0027】
そして、図において1が本実施例の消臭装置であり、本実施例の消臭装置1は筐体を有している。即ち、図において2が筐体であり、本実施例において前記筐体2は、天井部、床面、左右側壁、及び前後側壁を有する中空の箱状としており、筐体2の内部空間201は、高さ方向の中間部分近傍に配設した隔壁3によって、上部空間202と下部空間203に分断されている。
【0028】
また、天井部には、図1に示されるような、複数の細長の排気口205が形成されており、下部空間203における前後側壁の双方、及び左右側壁の一方には、同じく複数の細長の吸気口204が形成されている。
【0029】
次に、前記隔壁3には、2箇所に、通気孔301が形成されており、この通気孔301のそれぞれを閉鎖する配置で、前記上部空間202には、ファン4が配設されている。
【0030】
従って、ファン4を駆動することで、ファン4の吸引力によって、前記吸気口204を介して外部の空気を筐体2の内部に取り込むとともに、排気口205を介して、筐体2の内部に取り入れた空気を排気することが可能である。
【0031】
ここで、図2に示されるように、本実施例においては、ファンの一方4aは、その排気面を上方に向けて配置されており、これにより、通気孔301を介して下部空間203から吸い上げた空気を上方に排気可能としている。そして他方のファン4bは、その排気面を前記一方のファン4aの上方側に向けて配置されており、これにより、他方のファン4bでは、通気孔301を介して下部空間203から吸い上げた空気を、前記一方のファン4aの上方に排気可能としている。
【0032】
従って、本実施例の消臭装置1では、他方のファン4bから排気された空気は一方のファン4aから排気された空気に衝突し、それによって、ファン4a、4bの双方から排気される空気は、上部空間内で渦巻き状に撹拌され、これにより、吸い上げた空気を単に上方へ排気する場合と比較して、ファンから排気される空気を、上部空間202内に長時間留めておくことが可能である。
【0033】
次に、図において5は水槽である。即ち、本実施例の消臭装置1では、上部を開放とした箱状の水槽5を有しており、この水槽5は、引き出し可能にして前記下部空間203内に挿装されており、その内部に消臭用溶剤を貯留することとしている。
【0034】
ここで、前記水槽5について説明すると、前記下部空間203における左右側壁の他方、即ち、吸気口204を形成していない側の側壁には、挿入孔206が形成されている。
【0035】
一方、前記水槽5は、上部を開放とした箱状の水槽本体501を有しており、この水槽本体501の高さ寸法は前記挿入孔206の高さ寸法よりも短い寸法としている。
【0036】
そして、この水槽本体501の側壁の一方には蓋部502を連設しており、この蓋部502は、前記挿入孔206を閉鎖可能な寸法としている。そしてこれにより、前記挿入孔206を介して前記下部空間203内に水槽本体501を挿装した際に、前記蓋部502によって、挿入孔206を閉鎖可能としている。
【0037】
また、前記蓋部503には、吸気口503を形成しており、これにより、蓋部502の吸気口503を介して、外気を下部空間203に取り入れることを可能としている。なお、図において504は、水槽5の引き出しの際に指等を差し込むための孔である。
【0038】
次に、前記水槽5内には、水槽5内の消臭用溶剤を浸み込ませて気化させるとともに、これを通過した空気を消臭するための気化シート6が挿装されている。即ち、図において、気化シート6は、前記水槽5の高さ寸法よりも高い寸法としており、図4に示されるように、水槽5の内壁に沿って、ラウンド状に、水槽5の内部に挿装している。
【0039】
また、本実施例において前記気化シート6は、ハニカム状あるいは金網状にした紙製のシートで構成しており、下端部を前記水槽5の底部に載置した際に、前記吸気口204、503を筐体2の内側から閉鎖可能な高さ寸法としている。
【0040】
従って、水槽5内に消臭用溶剤を貯留すると、消臭用溶剤が気化シート6に浸み込み、気化シート6の全体が消臭用溶剤により湿った状態になり、これにより、吸気口204から下部空間203内に取り入れた空気は、下部空間203内に取り込まれる際に気化シート6を通過し、気化シート6に浸み込んだ消臭用溶剤によって消臭される。
【0041】
また、前記気化シート6に浸透した消臭用溶剤は、気化シート6に浸み込むとともに気化していき、それによって、筐体2の内部空間201は溶剤の雰囲気になる。そのため、下部空間203内に取り込まれた空気は、ファン4a、4bにより上部空間202に吸い上げられて排気口205から排気される過程で、この溶剤の雰囲気の中を通過するので、これによっても消臭することが可能となる。
【0042】
なお、図において7はガイド枠である。即ち、本実施例においては、水槽5内に気化シート6を配設した際における気化シート6の内径とほぼ同じ外径の枠状のガイド枠7を水槽5内に配設しており、これにより、気化シート6が水槽5の内側に倒れ込まないようにしている。
【0043】
また、図において8は押さえ部材である。即ち、本実施例においては、気化シート6の上部を押さえるための無端状の押さえ部材8を有し、これにより、気化シート6を固定するとともに、気化シート6を通過しない空気が上部空間202に上昇することを防止している。
【0044】
即ち、本実施例において前記押さえ部材8は、無端状の枠体状としており、外径は、前記下部空間203の内径とほぼ同様としており、内径は、前記水槽5内にラウンド状に配設した気化シート6の上端の内径よりも僅かに小さい寸法とし、更に内径の縁は下方に延長させて、これにより、気化シート6を上方から抑えるとともに気化シート6の内周側上部を内側から支えて、気化シート6の位置を固定可能としている。
【0045】
また、前記押さえ部材8は、外径を下部空間203の内径とほぼ同様としているため、吸気口204、503から取り入れた空気が、気化シート6を通過せずに、下部空間203の内壁と気化シート6との隙間から上方に上昇してしまうことを防止可能である。なお、水槽5、ガイド枠7、気化シート6、押さえ部材8の関係を分解して示した分解図が図5である。
【0046】
次に、図3において9は、下部空間203内へ取り入れる空気の量を調整するためのスライド板であり、図6はスライド板9の正面図である。即ち、本実施例の消臭装置1では、長板状のスライド板9を有しており、このスライド板9には、下部空間203の長手側の側壁に形成した吸気口204と同じ寸法の吸気口901を、下部空間203の長手側の側壁に形成した吸気口204と同じピッチで同じ個数形成しており、このスライド板9を、スライドガイド10を介して、下部空間203の長手側の側壁に形成した吸気口204の裏側にスライド自在にして配設している。そしてそれにより、スライド板9をスライドすることで、前記吸気口204の全閉、全開、あるいは一部開放を可能にし、下部空間203内に取り入れる空気量を調節可能としている。従って、本実施例の消臭装置1では、外気の汚れ具合に応じて、筐体2内に取り込んで消臭する処理量を調節することが可能である。
【0047】
なお、本実施例において前記筐体2は、長手方向の寸法を約500mm、幅方向寸法を焼く250mm、高さ方向寸法を約400mmとしているが、この寸法は特に限定されない。
【0048】
次に、このように構成される本実施例の消臭装置の作用について説明すると、
本実施例の消臭装置1を使用して室内等の空気の消臭を行う場合には、前記水槽5内に消臭用溶剤を貯留させるとともに、気化シート6を、水槽5の内壁に沿わせるとともに水槽5の内壁とガイド枠7との間に挿装される形態で、ラウンド状に水槽5内に挿装し、それによって、気化シート6によって前記吸気口204、503を閉鎖し、更に押さえ部材8を気化シート6の上部に載置し、この状態の水槽5を、筐体2の挿入孔206を介して下部空間203内に挿入し、前記ファン4を駆動する。
【0049】
そうすると、汚れた外気は、吸気口204、503を介して、気化シート6を通過しながら、下部空間203内に取り込まれ、この下部空間203内に取り込まれた空気は、ファン4により、通気孔301を介して吸い上げられるとともに上部空間202内に排気され、更に排気口205から外部へ排気される。
【0050】
そしてその過程で、気化シート6を通過した外気は、気化シート6に浸み込んだ消臭用溶剤によって消臭される。
【0051】
また、気化シート6に浸透した消臭用溶剤は、気化シート6に浸み込むとともに気化していき、それによって、内部空間201内は溶剤の雰囲気になっているため、下部空間203内に取り込まれた空気は、ファン4によって上部空間202に吸い上げられて排気口205から外部に排気される過程で、溶剤の雰囲気の中を通過するために、これによっても空気の消臭がなされる。
【0052】
そしてこのとき、本実施例の消臭装置1では、隔壁3に形成した通気孔301を閉鎖する配置で、上部空間202に2個のファン4a、4bを配設しているとともに、ファン4aの一方は排気面を上方に向け、他方のファン4bは排気面を前記一方のファン4aの上方側に向け、他方のファン4bから排気された空気を一方のファン4aから排気された空気に衝突させることとしているため、ファン4a、4bの双方から排気される空気は、上部空間内で渦巻き状に撹拌され、それによって、吸い上げた空気を単に上方へ排気する場合と比較して、ファンから排気される空気を、溶剤の雰囲気となっている上部空間202内に長時間留めておくことが可能であり、これにより、より確実に汚れた外気を消臭することが可能である。
【0053】
このように、本実施例の消臭装置では、ファン4aの一方は排気面を上方に向け、他方のファン4bは排気面を前記一方のファン4aの上方側に向け、これにより、ファン4a、4bの双方から排気される空気を上部空間内で渦巻き状に撹拌し、ファンから排気される空気を溶剤の雰囲気となっている上部空間202内に長時間留めておくことを可能としているために、より確実に汚れた外気を消臭することが可能である。
【0054】
また、本実施例の消臭装置では、消臭用溶剤を貯留するための水槽を引き出し式にしているため、消臭用溶剤の補充作業が極めて容易である。
【0055】
更に、本実施例の消臭装置では、スライド板9を用いて、吸気口204の全閉、全開、あるいは一部開放を可能にし、下部空間203内に取り入れる空気量を調節可能としているため、外気の汚れ具合に応じて処理量を調節することが可能である。但し、このスライド板は必ずしも必要ではなく、これを備えない形態としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の消臭装置では、消臭用溶剤の雰囲気の中に空気が滞留する時間を長くすることができ、それにより効果的な消臭を可能としているため、気化式の消臭装置の全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の消臭装置の実施例の斜視図である。
【図2】本発明の消臭装置の実施例の構造を説明するための拡大一部縦断正面図である。
【図3】本発明の消臭装置の実施例を図2におけるB−B線で縦断した構造を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の消臭装置の実施例を図2におけるA−A線で横断した構造を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の消臭装置の実施例における水槽、ガイド枠、気化シート、押さえ部材の関係を分解して示した分解図である。
【図6】本発明の消臭装置の実施例におけるスライド板の正面図である。
【図7】従来の消臭装置を説明するための図である。
【図8】従来の消臭装置の他の形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0058】
1 消臭装置
2 筐体
201 内部空間
202 上部空間
203 下部空間
204 吸気口
205 排気口
206 挿入孔
3 隔壁
301 通気孔
4 ファン
5 水槽
6 気化シート
7 ガイド枠
8 押さえ部材
9 スライド板
901 吸気孔
10 スライドガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁(3)によって内部空間(201)が上部空間(202)と下部空間(203)とに分断されるとともに、天井部には排気口(205)が形成され、下部空間(203)の側壁には吸気口(204)が形成された筐体(2)と、
前記隔壁(3)に形成した通気孔(301)を閉鎖する配置で前記筐体(2)の上部空間(202)内に配設された複数個のファン(4)と、
前記筐体(2)の下部空間(203)に挿装された、内部に消臭用溶剤が貯留される水槽(5)と、
下方部分が前記水槽(5)の内部に位置するとともに、前記吸気口(204)を閉鎖する配置で、前記水槽(5)内に配設された気化シート(6)と、を具備した消臭装置であって、
前記ファン(4)は、少なくとも1個を、排気面を斜め上方に向けたことを特徴とする消臭装置。
【請求項2】
前記水槽(5)を、前記筐体(2)内に挿抜自在に挿装したことを特徴とする請求項1に記載の消臭装置。
【請求項3】
前記吸気口(204)のすべてあるいはいずれかを閉鎖可能なスライド板(9)を前記筐体(2)の内部にスライド自在に配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の消臭装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate