説明

消防ホース巻取り装置

【課題】 先に出願済みの特願平11−188098号(特許文献3)の2軸で消防ホースを手動で巻き取る消防ホースの巻取り手段における巻芯軸と巻込み軸とを取り付ける回転板を改良し簡易で巻取り労力が軽減される上、巻取りホースの抜き取りが簡易となる消防ホース巻取り装置を提供すること。
【解決手段】 前記特許文献3における回転板に代えた回転輪11は、架台1の一端に軸支されるハンドル軸9の他端部を回転輪11に回転自在に内嵌した内輪12に着装するとともに、所要の接合代13を内輪12より突出させ、接合代13に巻芯軸14がハンドル軸9の軸心と偏心状に、かつ、平行に接合され、内輪12に回転自在に抜け止めされて外嵌する回転輪11には巻芯軸14と平行に一体にして巻込み軸17が接合され、巻込み軸17には巻芯軸14の回転運動が伝達される回転伝達子18が接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防ホースの付属装置に属し、詳しくは消防ホースを二ツ折りして巻取る装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消防ホースの巻取り技術としては、実開平7−27616号公報(特許文献1)や実公平6−15944号公報(特許文献2)などにその先行技術が提案されているが、特許文献1では巻取具11の巻芯部材12、13が巻取ピン3a、3aに嵌合されて使用され、しかも、巻芯部材13は基部14に対してその軸心を中心に圧縮コイルばね25を介して、360°揺動可能とすることによって巻き取った消防ホースから巻取具11を取り外す構造であり、巻取具11を取り外した後に巻き取られた消防ホースを前記巻取ピン3a、3aから外すもので、消防ホースの取り外し作業が煩雑である。また、特許文献2における消防用ホース1の巻取機構は、回転巻取軸4が1本で、しかも、この回転巻取軸4に形成した長溝14に消防用ホース1の折部1aを差し込んで巻き上げるものであるから、巻き始めの曲率半径が小さいため、抵抗が大で手巻きの労力が大変であり、その上、巻き取られた消防用ホース1を回転巻取軸4から抜き取るにも、回転巻取軸4を先ず基枠2から外し、さらに、支軸短軸17を抜き取るなどの作業を要するなど、これまた消防用ホース1の取り外し作業が煩雑である。
そこで、本出願人は先に特願平11−188098号(特許文献3)において、巻芯軸10と巻込み軸14との2軸で消防ホース41巻き取り、巻取り後は巻込み軸14を押し上げて取り外しでき、しかも、消防ホース41の偏平幅に即応して巻取りできる消防ホース巻取り装置を提案したところであるが、前記巻込み軸14の押し上げが面倒である点と、回転板に対する巻込み軸の取付け構造が複雑で重量大となり、ホース巻取り時の回転労力の負担増となる点とに改良を要するものであった。
【特許文献1】実開平7−27616号公報
【特許文献2】実公平6−15944号公報
【特許文献3】特願平11−188098号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記に鑑みて、回転板の構造を改良して回転輪体とすることにより、巻取り労力が軽減され巻取りホースの抜き取りが簡易となる消防ホース巻取り装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を達成する本発明の消防ホース巻取り装置は、架台上の一端に回転自在に軸支されたハンドル軸の一端にハンドルを取着し、他端に回転輪を軸着し、該回転輪に巻芯軸と巻込み軸とを所要間隔で水平に軸支するとともに、巻込み軸と巻芯軸間を広狭自在に支持して成り、架台上の他端には前記ハンドル軸と平行な支軸において、上下に揺動自在に軸支される巻取り受座を配設して上方への揺動に所要の弾発力を付勢するとともに、その揺動端を前記両軸の下面側からその軸心より架台の一端側外方へ所要に突出し、巻取り受座の一対の幅決め座の一方を前記支軸に固定し、他方を幅調整手段を介して出入自在に支持して幅間隔を調整して成る消防ホース巻取り装置において、
前記回転輪が、前記ハンドル軸を内嵌するとともに該ハンドル軸に対し偏心状に連動する巻芯軸が支持される内輪に回転自在に外嵌し、前記巻込み軸が巻芯軸と平行に回転輪と一体に支持され、該巻込み軸に接合されて巻芯軸の回転運動を伝達する回転伝達子とから成る。
【発明の効果】
【0005】
本発明の消防ホース巻取り装置は、回転輪の構造が簡易となって回転労力が軽減される上、消防ホースが巻芯軸と巻込み軸との2軸に渡って巻き取られるが、巻取り終了後はハンドル軸を単に逆転することで両軸の軸間距離が狭められて巻取りホースの抜き取りが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の回転輪において同輪と一体の巻込み軸に接合される回転伝達子と巻芯軸との関係は、巻芯軸を直接回転伝達子に接触させるものから、巻芯軸とハンドル軸を接合する接合片を介して巻芯軸を回転伝達子に接触させることができる。このほか、両軸にそれぞれ交換用チューブを着脱自在に外嵌抜け止めして、幅決め座の上端との接触磨耗に対応したり、巻取りホースの抜き取りでの巻芯軸の逆転時の消防ホースとの接触抵抗の緩和に備えることもできる。
【実施例】
【0007】
本発明を実施例により説明すると、図1、図2に示すように、正面視台形状平面視H形状の架台1は、左右の縦骨2と縦骨2の中央間をつなぐ1本の横骨3から成るベース4に、横骨3の両端の位置で一方には傾斜状に左側支柱5を立設し、他方には垂直に右側支柱6を立設して両支柱5、6上端をつなぐ横梁7が横設され、縦骨2の前後端にL形の滑り止めが接合されて成っている。
【0008】
横梁7の一端、すなわち図1で示す左端部には横梁7を挟んで前後に取着された軸受8にハンドル軸9が回転自在に軸支され、ハンドル軸9の一端(手前側)にはL形のハンドル10が取着される。
ハンドル軸9はその他端部を次記の回転輪11に回転自在に内嵌した内輪12に嵌着している。回転輪11は後記の巻芯軸14と巻込み軸17の軸端を間隔をとって取り付ける直径をもち、ハンドル軸9の他端に一体の内輪12を回転自在に内嵌している。
次に、ハンドル軸9は軸端を内輪12の前周面より所要の接合代13(図3に示す)を突出伸長し、接合代13に図4に示すように、ハンドル軸9の軸心と偏心状に、かつ平行に所要長(消防ホースaの巻取りに足る長さ)の巻芯軸14の一端部を添わせて接合一体とし、両者の両接線方向に差し渡された接合片15を介して強固に接合されて成る。
【0009】
内輪12に対して回転自在に抜け止めされて外嵌する回転輪11には巻芯軸14と同長の巻込み軸17が図4に示すように、巻芯軸14とハンドル軸9の両軸心が水平一直線となったとき、両者に接合された接合片15の上面とその外周接線が前記水平一直線と平行なる位置に接合され、かつ、該外周接線に沿って巻込み軸17には回転輪11の周面とともに接合片15に達する回転伝達子18が一体に接合されて成る。
【0010】
架台1の横梁7の他端、すなわち図1、2の右端部には、ハンドル軸9と平行な支軸19が軸受20により回転自在に軸受20の前後で軸着したカラー21によって抜け止めされ、手前側のカラー21にその軸心を支軸19と平行にして取着したピン22にはその切欠き凹部にスプリング23の一端が係着され、スプリング23の他端は右側支柱6の外面に支軸19と平行に固着した長尺の係止棒24の前端外周に欠設した切欠き凹部に係着され、支軸19の上下揺動に弾発力を付勢して成る。このように横梁7に片持ち状に揺動自在に軸支された支軸19の後方には、一対の水平部25aと垂直部25bから成るL形の幅決め座25の右端部を、水平部25aを内方で対向するように垂直部25bを軸装した巻取り受座26が配設される。両幅決め座25の左端は巻芯軸14或いは巻込み軸17の回転による軸心より外方に突出されて成る。
【0011】
幅決め座25の右端部は手前側が支軸19に一体に接合され後方側が支軸19に出入自在に案内され、軸端部に螺設されたネジ部27に螺合するナット28によって外方への開きが位置決めされ、ナット28は蝶ボルト29によって回り止めされて成る。巻取り受座26の左方では図2、図3に示すように、両幅決め座25の底面において、長溝30を形成した長いU状の案内座31が手前側の幅決め座25の前端の水平部25aに接合され、後方の幅決め座25ではその水平部25aに植設垂下されたネジ軸32(図1に示す)を案内座31の長溝30に案内し、ネジ軸32に螺合する蝶ナット33によって後方の幅決め座25を消防ホースaの幅に対応して出入自在に位置決め調整できるようにしている。
【0012】
右方の両幅決め座25の各垂直部25bの外端を上り傾斜状に形成してその端縁に案内棒34を接合するとともに、両者間の支軸19には消防ホースaを円滑に案内するための回転ロール35が遊嵌されて成る。
【0013】
このようにして成る巻取り受座26は巻芯軸14と巻込み軸17によって巻き取られる消防ホースaを回転ロール35で滑らかに幅決め座25の水平部25aに載せて案内し、スプリング23の弾発力が巻き取られる消防ホースaの重量を支える。消防ホースaの巻き取りにつれて巻取り受座26は支軸19と共に反時計方向(ハンドル10の回転方向と逆方向)に回転するが、1回転しないように係止棒24の後端部に嵌着したゴム質の緩衝体36でその回転端を位置決め拘束する(図3に示す)。
【0014】
上記構成から成る消防ホース巻取り装置Aの使用を説明すると、図4に示すように、巻芯軸14に消防ホースaの二ツ折り部37が仮想線で示すように掛けられ、ハンドル10を矢印方向(作業者側から見て時計方向)に回転すると、ハンドル軸9と一体の巻芯軸14の回転が回転伝達子18を介して巻込み軸17を一体にして同方向に回転し、両軸14、17は最大幅Lを以て図6に示すように、前記した要領で両幅決め座25、25間が調整された巻取り受座26に案内され消防ホースaを巻き取る。このとき回転輪11は小形軽量であるから巻取り労力が軽減される。
【0015】
消防ホースaの巻取りを終えると図5に示すように、ハンドル10を矢印方向(巻取り時とは逆方向)に回すと、回転輪11に固定された巻込み軸17は消防ホースaとの接触抵抗で固定状態となり、巻芯軸14のみが回転しその結果巻芯軸14と巻込み軸17との間隔は最小間隔lとなって消防ホースaの巻込み始端に隙間が生じ、巻取りホース38は両軸14、17から簡単に抜き取られる。
このようにして消防ホースaの巻取り作業の労力の省力化と巻取りホース38の抜き取り作業の簡易化が達成される。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の消防ホース巻取り装置は、消防ホースaを巻き取る回転輪の構造が簡易で軽量であるから巻取り労力が省力化される上、巻取りホースの抜き取りにおいては、ハンドル軸を逆転するだけで簡単に抜き取りできるため、抜き取り作業の簡易化が図られ実用性に優れたものであり、その需要は大いに期待される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係わる消防ホース巻取り装置Aの正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の左側面図。
【図4】消防ホースaの巻取り時の回転板11の説明図。
【図5】巻取りホース38(図外)の抜き取り時の回転板11の説明図。
【図6】消防ホースaの巻取り説明図。
【符号の説明】
【0018】
1:架台
2:縦骨
3:横骨
4:ベース
5:左側支柱
6:右側支柱
7:横梁
8:軸受
9:ハンドル軸
10:ハンドル
11:回転輪
12:内輪
13:接合代
14:巻芯軸
15:接合片
17:巻込み軸
18:回転伝達子
19:支軸
20:軸受
21:カラー
22:ピン
23:スプリング
24:係止棒
25a:水平部
25b:垂直部
25:幅決め座
26:巻取り受座
27:ネジ部
28:ナット
29:蝶ボルト
30:長溝
31:案内座
32:ネジ軸
33:蝶ナット
34:案内棒
35:回転ロール
36:緩衝体
37:二ツ折り部
38:巻取りホース
a:消防ホース
A:消防ホース巻取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台上の一端に回転自在に軸支されたハンドル軸の一端にハンドルを取着し他端に回転輪を軸着し、該回転輪に巻芯軸と巻込み軸とを所要間隔で水平に軸支するとともに、巻込み軸と巻芯軸間を広狭自在に支持して成り、架台上の他端には前記ハンドル軸と平行な支軸において、上下に揺動自在に軸支される巻取り受座を配設して上方への揺動に所要の弾発力を付勢するとともに、その揺動端を前記両軸の下面側からその軸心より架台の一端側外方へ所要に突出し、かつ、巻取り受座の一対の幅決め座の一方を前記支軸に固定し、他方を幅調整手段を介して出入自在に支持して幅間隔を調整して成る消防ホ−ス巻取り装置において、
前記回転輪が、前記ハンドル軸を内嵌し該ハンドル軸に対し偏心状に連動する巻芯軸が支持される内輪に回転自在に外嵌し、前記巻込み軸が巻芯軸と平行に回転輪と一体に支持され、該巻込み軸に接合されて巻芯軸の回転運動を伝達する回転伝達子とから成る消防ホース巻取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−296215(P2007−296215A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128191(P2006−128191)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(599092491)
【Fターム(参考)】