説明

消雪用散水ノズル

【課題】ノズル本体1と、ノズル本体の上方開口部に嵌合載置すると共に、傾斜内周面に散水孔用溝23を形成したリング体2と、前記リング体を押さえ込む装着部材とで構成される消雪用散水ノズルにおいて、リング体の上下方向の緩みの発生を防止する。
【解決手段】装着部材を、鍔状蓋部を備え且つ弁体装着用の中央透孔を備えた上蓋体3と、調整弁を内装した弁体4と、メクラ蓋体5とで構成し、弁体4を上蓋体の中央透孔に装着してノズル本体の螺合部に螺合装着することで、上蓋体及びリング体を押さえ込み止着するように形成し、上蓋体の下方に係止突起を突設すると共に、ノズル体の水室部内周面から中心に向って、融雪水流が阻害されないように適宜間隔で、且つ前記押さえ込み装着時に係止突起が上蓋体の水平回動方向で係止される放射状突起16を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消雪道路に使用される消雪用散水ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
消雪道路は、道路面下に融雪水を供給する給水管を埋設し、給水管からの融雪水を道路面に散布する散水ノズルを適当間隔毎に設置してなるものである。この消雪用散水ノズルは、従来より種々の構造のものが知られているが、基本的には給水管と接続する給水部と、給水部と通ずる水室部と、水室部から上方へ放射状に形成された散水部とを有するノズル本体に、給水部と水室との間に水量調整並び遮断を行う水量調整機構を介設してなるものである。
【0003】
本願の対象となる消雪用散水ノズルは、特許文献1(特開平9−276748号公報)に開示されているように、給水部と水室部を備えると共に、水室部上部を開口したノズル本体と、散水部及び水量調整機構をリング体と装着体とで構成してなるものである。
【0004】
リング体は、ノズル本体の上部開口部に装着し、内周傾斜面に散水孔用溝を形成したものであり、装着体は、調整弁を内装し、下方部を給水部と水室部との間に形成した螺合部に装着可能とし、上部に鍔状蓋部を備えたもので、ノズル本体の上方開口部にリング体を嵌合配置し、装着体がリング体を押さえ込むように装着体を螺合してノズル本体に装着し、散水孔用溝と鍔状蓋部で散水孔を形成し、鍔状蓋部の外周側の散水孔用溝の露出部分が融雪水の散水噴射口となるものである。特にこの消雪ノズルは、リング体を変更することで散水角度並び散水放射数等を選択できる利点を有するものである。
【0005】
【特許文献1】特開平9−276748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでノズル本体とリング体と装着体で構成した消雪用散水ノズルは、リング体の装着位置で融雪水の噴射方向が定まるので、前記特許文献1においては、リング体とノズル本体との間に凹凸形状の係止構造を設け、リング体の回り止めとしている。
【0007】
しかしリング体の回り止めを施していたとしても、路面上に広く露出しているのは装着体の鍔状蓋部であり、この上面を車両が走行するものである。このため車両のタイヤで表面が擦られることによって装着体が回動して、ノズル本体との螺合が緩む虞がある。螺合が緩むとリング体の押さえ込みも緩み、車両走行によって上下方向にガタツキ、それに伴ない散水状態が変化してしまう。
【0008】
そこで本発明は、前記のリング体を採用した消雪用散水ノズルにおいて、リング体の上下方向の緩みの発生を防止した新規な構造の消雪用散水ノズルを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る消雪用散水ノズルは、下方に給水管と接続する給水部、及び上方に上部を開口して散水用のリング体の嵌合載置部を設けた水室部、及び給水部と水室部間に螺合部を設けたノズル本体と、ノズル本体の上方開口部にOリングを介在させて嵌合載置すると共に、傾斜内周面に散水孔用溝を形成したリング体と、調整弁を内装し、前記リング体の傾斜内周面に当接して周縁の外側箇所に散水口を形成する鍔状蓋部を備え、螺合部に螺合することでリング体を押さえ込む装着部材とで構成される消雪用散水ノズルにおいて、装着部材を、前記鍔状蓋部を備え且つ弁体装着用の中央透孔を備えた上蓋体と、調整弁を内装した弁体と、上蓋体の中央透孔に嵌合装着するメクラ蓋体とで構成し、前記弁体を上蓋体の中央透孔に装着してノズル本体の螺合部に螺合装着することで、上蓋体及びリング体を押さえ込み止着するように形成し、上蓋体の下方に係止突起を突設すると共に、ノズル体の水室部内周面から中心に向って、融雪水流が阻害されないように適宜間隔で、且つ前記押さえ込み装着時に係止突起が上蓋体の水平回動方向で係止される放射状突起を設けてなることを特徴とするものである。
【0010】
而してリング体は、上面露出面積が少なく、且つOリングの摩擦抵抗によって充分な回動阻止力を備え、また路面に大きく露出する上蓋体及び上蓋体に取り付けられたメクラ蓋体は、係止突起がノズル本体内の放射状突起に係止することで回動が阻止され、車両走行等の通常の使用状態で弁体の螺合装着に緩みが生ずることが無い。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記の構成を採用したものであるから、路面を走行する車両のタイヤでノズル上面が擦られて、弁体の螺合解除方向の回動力が加えられたとしても、露出上面に位置する上蓋体が、係止突起と放射突起の係止によって回り止めを実現しているので、弁体の緩み回動が発生せず、弁体の押さえ込みの緩みが生じない消雪用散水ノズルを提供できたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した消雪用散水ノズルは、ノズル本体1と、リング体2と、装着部材としての上蓋体3、及び弁体4、及びメクラ蓋体5で構成される。
【0013】
ノズル本体1は、基本的に従前のものと同一で、下方に給水管Aと接続する給水部11と、散水を行うための水室部12と、給水部11と水室部12間に設けた螺合部13を備え、水室部12の上方を開口(上方開口部14)してリング体2の嵌合載置部15を設けてなる。
【0014】
特に後述する係止突起34と対応する水室部12の内周面の所定位置に、水室部12の内周面から中心に向って、融雪水流が阻害されないように適宜間隔で放射状突起16を設けてなる。
【0015】
リング体2は、ノズル本体1の上方開口部14内に嵌合載置するもので、外周にOリング21を設けて水密性を確保し、傾斜内周面22に散水孔用溝23を形成したもので、傾斜面の角度や散水孔用溝23の形成数や形成位置などは適宜定められるもので、予め形成した種々の部品から選択採用できるものである。
【0016】
上蓋体3は、前記リング体2の傾斜内周面22に当接して周縁の外側箇所に散水口aを形成する鍔状蓋部31と、弁体4を装着する中央透孔32を備え、中央透孔32の下端部に内周係止部33を周設し、更にノズル本体1に装着した際に、前記放射状突起16の間隔内に達する係止突起34を、前記内周係止部33から垂設してなる。
【0017】
弁体4は、基本構造が従前と同様で、筒状本体41に通水孔42を設けると共に、前記通水孔42の開閉をなす開閉弁43を内装し、筒状本体41の下方外周にネジ部44を設けてなる。
【0018】
特に筒状本体41の頭部45を、前記内周係止部33に係止される大きさとし、頭部45の外周にOリング46を装着して上蓋体3と弁体4との間の水密性を確保し、更に頭部45の上面には、筒状本体41の螺合操作用レンチ穴47を形成してなる。
【0019】
而して前記の消雪用散水ノズルは、ノズル本体1の上方開口部14内にリング体2を嵌合装着し、上蓋体3の鍔状蓋部31をリング体2の傾斜内周面22上に位置せしめて、鍔状蓋部31の周縁外側に散水口aを形成し、係止突起34を放射状突起16の間に垂下させ、弁体4を上蓋体3の中央透孔32に差し入れて、ネジ部44を螺合部13に螺合して、頭部45で内周係止部33を係止して、上蓋体3及びリング体2をノズル本体1側に押さえ込み、その後に弁体4の上方の中央透孔32の空間にメクラ蓋体5を装着するものである。
【0020】
前記のとおり組み立てた消雪用散水ノズルは、従前と同様に路面に埋設した給水管Aと接続し、上面のみを路面状に露出させて設置するもので、給水管Aから供給された融雪水は、開閉弁43によって開口された通水孔42から水室部12に入り、更に放射状突起16の間隙から水室部12の上方に至り、散水孔用溝23を通って散水口aから放水されるものである。
【0021】
特に本発明は、路面内に固定されるノズル本体1の放射状突起16に、上蓋体3の係止突起34が係止した状態で、上蓋体3及びリング体2をノズル本体1側に押さえ込んでいるもので、路面上に露出している箇所を走行車両のタイヤが擦ったとしても、リング体2は上面露出面積が少なく且つOリング21の摩擦抵抗によって充分な回動阻止がなされ、また路面に大きく鍔状蓋部31が露出している上蓋体3は、前記の通り係止突起34と放射状突起16が係止して回り止め係止状態であるから、回動することがなく、結果的に弁体4が回動して螺合部分が緩む虞がない。
【0022】
しかもノズル本体1の水室部12内に設ける一方の係止構造を放射状突起16としたものであるから、放射状突起16の隣接間隙が通水路となるため、弁体4が装着可能であるならば、水室部12内の何れの範囲(突起の高さ・突出程度並びに位置)に係止構造を設けても、融雪水の流れに支障が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の全体の断面図。
【図2】同リング体の断面図。
【図3】同上蓋体の断面図。
【図4】同弁体の断面図。
【図5】同リング体、上蓋体、弁体の斜視図。
【図6】同ノズル本体の断面図。
【図7】同ノズル本体の平面図。
【符号の説明】
【0024】
1 ノズル本体
11 給水部
12 水室部
13 螺合部
14 上方開口部
15 嵌合載置部
16 放射状突起
2 リング体
21 Oリング
22 傾斜内周面
23 散水孔用溝
3 上蓋体
31 鍔状蓋部
32 中央透孔
33 内周係止部
34 係止突起
4 弁体
41 筒状本体
42 通水孔
43 開閉弁
44 ネジ部
45 頭部
46 Oリング
47 レンチ用穴
5 メクラ蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に給水管と接続する給水部、及び上方に上部を開口して散水用のリング体の嵌合載置部を設けた水室部、及び給水部と水室部間に螺合部を設けたノズル本体と、ノズル本体の上方開口部にOリングを介在させて嵌合載置すると共に、傾斜内周面に散水孔用溝を形成したリング体と、調整弁を内装し、前記リング体の傾斜内周面に当接して周縁の外側箇所に散水口を形成する鍔状蓋部を備え、螺合部に螺合することでリング体を押さえ込む装着部材とで構成される消雪用散水ノズルにおいて、装着部材を、前記鍔状蓋部を備え且つ弁体装着用の中央透孔を備えた上蓋体と、調整弁を内装した弁体と、上蓋体の中央透孔に嵌合装着するメクラ蓋体とで構成し、前記弁体を上蓋体の中央透孔に装着してノズル本体の螺合部に螺合装着することで、上蓋体及びリング体を押さえ込み止着するように形成し、上蓋体の下方に係止突起を突設すると共に、ノズル体の水室部内周面から中心に向って、融雪水流が阻害されないように適宜間隔で、且つ前記押さえ込み装着時に係止突起が上蓋体の水平回動方向で係止される放射状突起を設けてなることを特徴とする消雪用散水ノズル。
【請求項2】
上蓋体の中央透孔の下端部に内周係止部を周設し、弁体上部に係止鍔部を周設して、押さえ込み構造としてなる請求項1記載の消雪用散水ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−185474(P2009−185474A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24753(P2008−24753)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(593206148)株式会社ユーテック (5)
【Fターム(参考)】