説明

消霧方法及び装置

【課題】消霧を効率的に行わせることを可能とする消霧方法及び消霧装置を提供する。
【解決手段】水が吸収する波長の赤外光を霧に高速度で断続的に照射し水の分子振動に共振吸収させて凝集させ結合消去することで、赤外光の照射波長幅を無駄に広くする必要がなく、照射した赤外光を消霧に効率的に用い、エネルギーの散逸を抑制し、効率的な消霧を行わせることができる。凝集網体9と、赤外光を凝集網体9に照射する照射ランプ7とにより、水の分子振動に共振吸収させ、定在波音場により凝集を促進させ、エネルギーの散逸を抑制しながら確実な消霧を行わせることができる。照射ランプ7は、凝集網体9又は凝集格子膜体9Bの幅方向両側から赤外光の照射角θを考慮して交互に対向配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や航路・飛行場・橋・ゴルフ場などの施設へ流れ込む霧の消霧に供する消霧方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消霧方法としては、例えば特許文献1〜4に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1は、霧を吸引して加熱・乾燥した後に大気に還流する方法、特許文献2は、コロナ放電を誘発して霧を水滴化して捕捉する方法、エアカーテンを形成して霧の進入を阻止する方法、特許文献3は、特定波長の遠赤外線を霧やこれを反射するネットに照射し霧粒子を分裂させる方法、特許文献4は、波長3μmをピーク波長とするハロゲンランプを霧に照射し自己分裂させる方法である。
【0004】
しかし、特許文献1の蒸発促進を図る加熱型の消霧方式では、大規模な加熱装置が必要であり、熱を効率的に伝搬できない。
【0005】
特許文献2のコロナ放電を誘発して霧を水滴化して捕捉する方法やエアカーテンを形成して霧の進入を阻止する方法も、大型な放電装置やコンプレッサー装置などが必要であるにも関わらず消霧の効率が低かった。
【0006】
特許文献3の特定波長の遠赤外線を霧へ直接照射すると同時にネットで反射させる方法では、霧の微水滴粒子(粒径:10〜30μm)を赤外線の作用で粒径7μm以下に分裂させるため、大きな熱や運動エネルギーを必要とする。
【0007】
また、波長域が6〜25μmに最大ピークを有する半値全幅3μm程度の広い波長を照射しているため、水の分子振動に共振する波長の3μm、6μm、9μmに最大吸収を有する半値全幅0.5μmの吸収波長帯よりも照射波長幅が非常に広く、霧以外へエネルギーを供給してしまうため、自然界へのエネルギーの散逸が生じ環境への影響が大きい。
【0008】
特許文献4の、波長3μmをピーク波長(半値全幅3μm程度)とするハロゲン・ランプを霧に照射し自己分裂させる方法も、特許文献3同様の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7―317039号公報
【特許文献2】特開平7−224414号公報
【特許文献3】特許第4378438号公報
【特許文献4】特開2010−116689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、消霧をエネルギー効率良くできなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の消霧方法は、消霧をエネルギー効率良く行わせるために、水が吸収する波長の赤外光を霧に断続的に照射し水の分子振動に共振吸収させて凝集させ結合消去することを特徴とする。
【0012】
本発明の消霧装置は、前記消霧方法に使用する消霧装置であって、前記赤外光を霧に照射する光照射部と、前記光照射部を制御して断続的な赤外光を照射させる光制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の消霧方法は、上記のように水が吸収する波長の赤外光を霧に断続的に照射し水の分子振動に共振吸収させて凝集させ結合消去するから、赤外光の照射波長幅を無駄に広くする必要がなく、照射した赤外光を消霧に効率的に用い、エネルギーの散逸を抑制し、エネルギー効率良く消霧を行わせることができる。
【0014】
本発明の消霧装置は、上記構成であるから、凝集媒体と光照射部とにより、照射した赤外光を消霧に効率的に用い、エネルギーの散逸を抑制し、エネルギー効率良く消霧を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】道路に設置した消霧装置の概略斜視図である。(実施例1)
【図2】消霧装置の要部正面図である。(実施例1)
【図3】消霧装置の要部正面図である。(実施例1)
【図4】凝集網体の概略図である。(実施例1)
【図5】(A)(B)は、それぞれ凝集網体の線材を示す斜視図である。(実施例1)
【図6】凝集網体の概略図である。(実施例1)
【図7】光照射部の交互配置を示す概略図である。(実施例1)
【図8】消霧装置を自動化した消霧システムの一例を示すブロック図である。(実施例1)
【図9】消霧システムの動作を示す消霧フローチャートである。(実施例1)
【図10】水の吸収波長を示すグラフである。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0016】
消霧を効率的に行わせるという目的を、水が吸収する波長の赤外光を霧に断続的に照射し水の分子振動に共振吸収させて凝集させ結合消去することにより実現した。
【実施例1】
【0017】
[消霧装置]
図1は、道路に設置した消霧装置の概略斜視図である。
【0018】
図1のように、消霧装置1は、施設である道路3の両側側帯に設けられている。消霧装置1は、霧の通路に配置され、霧が発生して道路3に流れ込むときに稼働し、消霧する。なお、霧の発生及び流れにはその地域、施設により一定のパターンがあり、このパターンを予め把握し、霧の通路に消霧装置1を設置する。
【0019】
消霧装置1の稼働、非稼働の判断は、画像認識或いはセンサーを用いて行われ、稼働の程度は、霧の濃度や粒子の大きさ、分布を考慮して最適な条件を制御する。
【0020】
図2は、消霧装置の要部正面図である。
【0021】
図1、図2のように、消霧装置1は、凝集網体組5を備え、光照射部として複数個の照射ランプ7、COレーザー出力部8、霧発生検出部として遠赤外線センサー10を備えている。
【0022】
凝集網体組5は、網状の凝集媒体として複数枚の凝集網体9を備え、各凝集網体9は、矩形面状に形成され、例えば縦長に配置されている。各凝集網体9の両側縁は、絶縁性の支持材11に結合され、支柱13間で一方の市中13側へ屏風状に折り畳み可能となっている。凝集網体組5の折りたたみ及び展開は、架設されたレールに各支持材11を可動支持し、各支持材11を連結するワイヤを電動モータにより走行駆動するなどして行わせることができる。
【0023】
凝集網体組5は、支柱13等を含めて全体が凝集媒体として機能する。
【0024】
各凝集網体9は、それぞれ交流電源に接続され、通電可能となっている。この交流電源により高速度の交流を通電することができる。なお、高速度の交流通電は、高速度のパルス通電に代えることもできる。
【0025】
照射ランプ7は、支持材11に取り付けられ、赤外光を霧及び凝集網体9に照射するものである。この照射ランプ7は、凝集網体9の幅方向両側から赤外光の照射角を考慮して交互に対向配置されている。例えば図2では、各凝集網体9の両側に、2個ずつ照射ランプ7が配置され、対向する照射ランプ7の位置を支持材11に沿ってずらして配置され、凝集網体9の全体に赤外光が照射されるように考慮されている。
【0026】
COレーザー出力部8は、複数個の照射ランプ7を備えている消霧装置1で消霧能力を超えたり、エネルギー補足が必要な場合に、消霧能力拡大により消霧効果を促進させる。このCOレーザー出力部8は、水に吸収作用する波長帯が狭く、無駄なエネルギーを必要としない。
【0027】
遠赤外線センサー10は、凝集網体組5に隣接して設けられている。遠赤外線センサー10により霧の成分を検知し、霧発生時のみ消霧装置1を稼働させることができる。なお、霧発生検出部は、霧の発生を検出できれば良く、遠赤外線センサー10以外のものを適用することもできる。
【0028】
図3は、消霧装置の変形例に係る要部正面図であり、凝集網体組5Aの配置方向を変更したものである。
【0029】
凝集網体9が支柱13間で横長に配置され、各支持材11の両端が、支柱13に移動及び位置決め可能に支持されている。
【0030】
したがって、図3の場合は、凝集網体組5Aを、支持材11を折れ線として凝集網体組5を上下方向で屏風状に折りたたむことができる。
[凝集媒体]
図4は、凝集網体の概略図、図5(A)(B)は、それぞれ凝集網体の線材を示す斜視図である。
【0031】
図4のように、凝集網体9は、図5で示す線材15、15Aを用いて網状に形成したものである。
【0032】
線材15は、例えば金属、カーボン・ファイバー、導電性高分子材等で形成され、赤外光を吸収可能かつ通電可能となっている。
【0033】
線材15Aは、芯材15Aa及び被覆材15Abからなり、芯材15Aaは、線材15と同様な材質で形成され、赤外光を吸収可能かつ通電可能となっている。被覆材15Abは、セラミック等で形成され、赤外光を吸収可能となっている。
【0034】
図6は、凝集媒体の変形例に係る概略図である。
【0035】
図6のように、凝集媒体を格子状の膜に形成した凝集格子膜体9Bとすることもできる。
【0036】
凝集格子膜体9Bは、厚み方向の一側9Baが線材15と同様な材質で形成され、赤外光を吸収可能かつ通電可能となっている。凝集格子膜体9Bは、厚み方向の一側9Bbは、セラミック等で形成され、赤外光を吸収可能となっている。
【0037】
凝集網体9や凝集格子膜体9Bの材質や太さ・目の大きさを選定することにより、後述する赤外光の吸収率や加熱の効率・圧電効率及び霧の凝集に効果的な定在波音場の共鳴周波数を選択する。
【0038】
凝集媒体は、通電可能又は赤外光吸収可能の何れかの特性に構成することもできる。また、凝集媒体は、霧凝集の媒体であれば良く、網状、格子状のほか、多孔体状等に形成することもできる。
[交互配置]
図7は、光照射部の交互配置を示す概略図である。
【0039】
光照射部である照射ランプ7は、例えばカーボンや金属ヒーター等の赤外灯17とバンドパス・フィルタ19とを組み合わせたものであり、照射角θを得る反射板21を備えている。
【0040】
照射角θを考慮して、図7のように照射範囲の外縁を相互に合わせるように交互配置すると、凝集網体9のほぼ全面に赤外光を無駄なく照射することができる。
【0041】
照射ランプ7は、発光ダイオード(LED)やレーザー発振器を用いることもできる。
[消霧]
本発明実施例では、照射ランプ7による赤外光の照射で水の分子振動に共振吸収させて凝集させ、さらに凝集網体組5に定在波音場を形成して凝集を促進させ、凝集網体組5を凝集の核として結合消去する。
【0042】
(分子振動)
照射ランプ7に通電し、水に吸収する最大波長1.5μmで半値幅0.3μm、最大波長2μmで半値幅0.5μm、 最大波長3μmで半値幅0.7μm、最大波長4.5μmで半値幅1.5μm、最大波長6μmで半値幅1.5μm、最大波長10μmで半値幅2μmの赤外光を出力する。
【0043】
この出力は、高速度の交流やパルスのように断続的に行われる。
【0044】
図8は、水の吸収波長を示すグラフである。
【0045】
図8のように、最下段の水の吸収波長3μmをターゲットとし、赤外灯17による発光スペクトル23をバンドパス・フィルタ19を通すことで、最大波長3μmで半値幅0.7μmの発光スペクトル25の赤外光を出力する。
【0046】
COレーザー出力部8は、最下段の水の吸収波長10μmをターゲットとし、10μmの発光スペクトル30の赤外光を出力する。
【0047】
LEDの場合は、そのまま発光スペクトル27となり、レーザーの場合は、発光スペクトル29となる。
【0048】
このように、水が吸収する波長の赤外光を霧に断続的に照射し水の分子振動に共振吸収させて凝集させ結合消去する。
【0049】
(定在波音場)
さらに本実施例では、凝集網体9やこれを支える支持材11や支柱13に赤外光を照射し、赤外光の断続周波数を霧が凝集する音波の音場を定在させる周波数として共鳴させ、定在波音場を形成して凝集を促進させる。
【0050】
照射ランプ7による上記赤外光の断続的な照射で、各凝集網体9又は凝集格子体9B等が赤外光を断続的に吸収し、固有振動数に共振して凝集網体組5に定在波音場が形成される。
【0051】
すなわち、霧が凝集する音波音場を定在させる周波数として共鳴させ、霧を凝集させ結合して消去する。
【0052】
定在波音場は、各凝集網体9の線材15や線材15Aの芯材15Aa、凝集格子膜体9Bの厚み方向の一側9Baに高速度の交流通電やパルス通電によりジュール加熱を行い、熱膨張時の音波発生により形成することもできる。
【0053】
各凝集網体9の線材15や線材15Aの芯材15Aa、凝集格子膜体9Bの厚み方向の一側9Baを圧電効果性材料で形成した場合は、高速な断続周波数の電圧印加により霧が凝集する音波音場を定在させる周波数として共鳴させ、定在波音場を形成することができる。圧電効果性材料としては、圧電セラミックなどがある。
【0054】
なお、定在波音場は、赤外光を断続的に吸収して形成する場合、交流通電やパルス通電によりジュール加熱を行い、熱膨張時の音波発生により形成する場合、高速な断続周波数の電圧印加により形成する場合をそれぞれ独立に適用し、或いは実施例のように赤外光を断続的に吸収して形成する場合と交流通電やパルス通電によりジュール加熱を行い、熱膨張時の音波発生により形成する場合とを組み合わせるなど、任意の組み合わせにより形成する場合の何れも可能である。
[消霧システム]
図8は、消霧装置を自動化した消霧システムの一例を示すブロック図である。
【0055】
図8のように、消霧システムは、監視制御部31を備え、この監視制御部31の入力ポートに、遠赤外線センサー10が接続され、同出力ポートに、前記照射ランプ7、COレーザー出力部8が接続されている。
【0056】
監視制御部31は、例えばコンピュータで構成され、CPU、ROM、RAM等を備えている。
【0057】
照射ランプ7は、監視制御部31により制御され、断続的な赤外光を照射させる。したがって、監視制御部31は、光制御部を構成する。
【0058】
COレーザー出力部8は、監視制御部31により制御され、COレーザー出力部8を必要時に制御してCOレーザーを出力させ、消霧能力を拡大する。したがって、監視制御部31は、COレーザー制御部を構成する。
【0059】
監視制御部31の出力ポートには、さらに電動モータなどの開閉駆動部33、断続周波数の通電部35が接続され、開閉駆動部33、断続周波数の通電部35の出力信号が、凝集網体組5へ入力される。
【0060】
この入力により、凝集網体組5の凝集網体9が開閉駆動されて展開及び折りたたみが行われ、断続周波数の通電が制御されて定在波音場が形成される。
【0061】
したがって、この例において凝集媒体は、導電性材料で形成された凝集網体9であり、監視制御部31は、凝集媒体に断続周波数の通電を行う通電制御部を構成する。
【0062】
凝集媒体が圧電効果性材料で形成された凝集格子膜体9Bであり、断続周波数の電圧印加により共鳴し定在波音場を形成する場合は、監視制御部31は、凝集媒体に断続周波数の圧電印加を行う圧電制御部を構成する。
【0063】
遠赤外線センサー10は、霧の発生を検出して監視制御部31へ入力し、監視制御部31が各部の運転、停止を行うための起因とする。したがって、遠赤外線センサー10は、霧発生検出部を構成する。
[消霧動作]
図9は、図8消霧システムの動作を示す消霧フローチャートである。
【0064】
電源の投入によりシステムが起動すると、ステップS1において「霧の発生を監視」の処理が実行され、遠赤外線センサー10の検出信号が読み込まれ、ステップS2へ移行する。
【0065】
ステップS2では、「霧が発生したか?」の判断処理が実行され、遠赤外線センサー10の検出信号により霧が発生したと判断されたときは(Yes)、ステップS3へ移行し、霧が発生していないと判断されたときは(No)、ステップS1へ戻る。
【0066】
ステップS3では、「折りたたんである凝集体を広げる」の処理が実行され、監視制御部31の制御により開閉駆動部33が駆動され、凝集網体組5の凝集網体9が展開される。
【0067】
ステップS4では、「凝集媒体に断続周波数の通電」の処理が実行され、監視制御部31の制御により通電部35が駆動され、凝集網体組5の凝集網体9に断続周波数の通電が行われる。
【0068】
この通電、すなわち高速度の交流通電やパルス通電により凝集網体9のジュール加熱を行い、熱膨張時の音波発生により霧が凝集する音波音場を定在させる周波数として共鳴させ、霧を凝集させ結合して消去する。
【0069】
ステップS5では、「照射ランプ点灯」の処理が実行され、監視制御部31の制御により照射ランプ7への通電が高速度の交流やパルスのように断続的に行われる。
【0070】
この通電により、水が吸収する波長の赤外光を霧に断続的に照射し水の分子振動に共振吸収させて凝集させ結合消去する。
【0071】
加えて、照射ランプ7による赤外光の断続的な照射で、各凝集網体9が赤外光を断続的に吸収し、固有振動数に共振して凝集網体組5に定在波音場が形成される。
【0072】
すなわち、霧が凝集する音波音場を定在させる周波数として共鳴させ、霧を凝集させ結合して消去する。
【0073】
ステップS6では、「霧の消滅を監視」の処理が実行され、遠赤外線センサー10の検出信号が読み込まれ、ステップS7へ移行する。
【0074】
ステップS7では、「霧が消滅したか?」の判断処理が行われ、霧が消滅したと判断されたときは(Yes)、ステップS8へ移行し、霧が消滅していないと判断されたときは(No)、ステップS9へ移行する。
【0075】
ステップS9では、「視程が一定値以下?」の判断処理が実行され、遠赤外線センサー10の検出信号により視程が一定値以下であると判断されたときは(Yes)、ステップS10へ移行し、視程が一定値を上回ると判断されたときは(No)、ステップS11へ移行する。
【0076】
ステップS10では、「COレーザー照射」の処理が実行され、監視制御部31によりCOレーザー出力部8を制御してCOレーザーを出力させ、消霧能力を拡大する。
【0077】
ステップS10からは、ステップS6へ戻り、ステップS7で霧が消滅したと判断されるまでS9、S10が繰り返され、視程が一定値を上回ればS11へ移行する。
【0078】
ステップ11では、「COレーザー停止」の処理が実行され、監視制御部31の制御によりCOレーザー出力部8を制御してCOレーザー出力を停止させ、現消霧能力を維持させる。
【0079】
ステップS11からは、S6、S7、S8へと移行する。
【0080】
ステップS8では、「照射ランプ停止」の処理が実行され、照射ランプ7への通電が停止されてステップS12へ移行する。
【0081】
ステップS12では、「断続周波数の通電停止」の処理が実行され、断続周波数の通電部35による凝集網体9への断続周波数の通電が停止され、ステップS13へ移行する。
ステップS13では、「凝集媒体をたたむ」の処理が実行され、監視制御部31の制御により開閉駆動部33が駆動され、凝集網体組5の凝集網体9が折りたたまれ、消霧動作が終了する。
[実施例の作用効果]
本発明実施例の消霧方法は、水が吸収する波長の赤外光を霧に高速度で断続的に照射し水の分子振動に共振吸収させて凝集させ結合消去することができる。
【0082】
赤外光の照射波長幅を無駄に広くする必要がなく、照射した赤外光を消霧に効率的に用い、エネルギーの散逸を抑制し、効率的な消霧を行わせることができる。
【0083】
赤外光を吸収する金属、カーボン・ファイバー、導電性高分子材、セラミック等で形成され断続的な赤外光の照射で共鳴して定在波音場を形成する凝集網体9又は凝集格子膜体9Bを前記霧の通路に設置する。
【0084】
このため、定在波音場により凝集網体9又は凝集格子膜体9Bでの霧の凝集が促進され、エネルギーの散逸を抑制しながら確実な消霧を行わせることができる。
【0085】
金属、カーボン・ファイバー、導電性高分子材等の導電性材料で形成され高速度の断続周波数の高流通電やパルス通電によりジュール加熱を行い、熱膨張時の音波発生により定在波音場を形成する凝集網体9又は凝集格子膜体9Bを霧の通路に設置する。
【0086】
このため、定在波音場により凝集網体9又は凝集格子膜体9Bでの霧の凝集が促進され、エネルギーの散逸を抑制しながら確実な消霧を行わせることができる。
【0087】
圧電セラミック等の圧電効果性材料で形成され断続周波数の電圧印加により共鳴して定在波音場を形成する凝集網体9又は凝集格子膜体9Bを霧の通路に設置する。
【0088】
このため、定在波音場により凝集網体9又は凝集格子膜体9Bでの霧の凝集が促進され、エネルギーの散逸を抑制しながら確実な消霧を行わせることができる。
【0089】
複数枚の凝集網体9又は凝集格子膜体9Bは、折り畳み可能である。
【0090】
このため、霧が出ていないときに折り畳み、コンパクトに保持させることができ、且つ異物の付着も抑制することができる。この折り畳みは、モータ駆動を用い、霧の有無を検出することで自動で行わせることもできる。
【0091】
凝集網体9又は凝集格子膜体9Bと、赤外光を凝集網体9又は凝集格子膜体9Bに照射する照射ランプ7とにより、水の分子振動に共振吸収させ、定在波音場により凝集を促進させ、エネルギーの散逸を抑制しながら確実な消霧を行わせることができる。
【0092】
照射ランプ7は、凝集網体9又は凝集格子膜体9Bの幅方向両側から赤外光の照射角θを考慮して交互に対向配置した。
【0093】
このため、少ない個数で凝集網体9又は凝集格子膜体9Bの全体に赤外光を照射することができ、エネルギーの散逸を抑制しながら確実な消霧を行わせることができる。
【0094】
また、COレーザーのように、水に吸収作用する波長帯が狭く、無駄なエネルギーを必要としない霧の粒子に限定して作用するエネルギー供給による霧粒子の結合促進を行うことができる。
【0095】
すなわち、 ネットによる消霧効果に加え、高濃度な霧の発生には、COレーザーによるハイパワーな消霧効果が得られる装置で、走行車両への影響が発生しないように直接照射し、消霧能力を拡大することができる。
【0096】
さらに、霧の発生に特定して検出できるセンサーとのシステム化で、霧発生時に限定した消霧装置の運転が可能となり、効率良い消霧効果が得られる。[その他]
上記実施例では、凝集媒体を専用に構成したが、フェンス(立ち入り防止柵、防風柵、防砂柵、飛雪防止柵)、ブラインド、ガラリ等として共用させることもできる。
【0097】
凝集媒体は、霧を凝集させる媒体になれば良く、凝集網体9又は凝集格子膜体9Bに限らず、有孔板、多孔板、ワイヤ、バー(棒)などで構成することもできる。
【符号の説明】
【0098】
5 凝集媒体組(凝集媒体)
7 照射ランプ(光照射部)
8 COレーザー出力部
9 凝集網体(凝集媒体)
9B 凝集格子膜体(凝集媒体)
10 遠赤外線センサー(霧発生検出部)
31 監視制御部(光制御部、通電制御部、電圧制御部、開閉制御部、COレーザー制御部)
33 開閉駆動部
35 通電制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が吸収する波長の赤外光を霧に断続的及び連続的に照射し水の分子振動に共振吸収させて凝集させ結合消去する、
ことを特徴とする消霧方法。
【請求項2】
請求項1記載の消霧方法であって、
前記結合消去に加え、前記赤外光を吸収する材料で形成された凝集媒体に前記断続的な赤外光を照射して共鳴させ定在波音場を形成して消霧する、
ことを特徴とする消霧方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の消霧方法であって、
前記結合消去に加え、導電性材料で形成された凝集媒体に断続周波数の通電を行って共鳴させ定在波音場を形成して消霧する、
ことを特徴とする消霧方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の消霧方法であって、
前記結合消去に加え、圧電効果性材料で形成された凝集媒体に断続周波数の電圧印加を行って共鳴させ定在波音場を形成して消霧する、
ことを特徴とする消霧方法。
【請求項5】
請求項1記載の消霧方法に使用する消霧装置であって、
前記赤外光を霧に照射する光照射部と、
前記光照射部を制御して断続的な赤外光を照射させる光制御部と、
を備えたことを特徴とする消霧装置。
【請求項6】
請求項5記載の消霧装置であって、
赤外光を吸収する材料で形成され前記断続的な赤外光の照射で共鳴し定在波音場を形成する凝集媒体を備えた、
ことを特徴とする消霧装置。
【請求項7】
請求項5記載の消霧装置であって、
前記光照射部は、前記凝集媒体の幅方向両側から赤外光の照射角を考慮して交互に対向配置された、
ことを特徴とする消霧装置。
【請求項8】
請求項5〜7の何れかに記載の消霧装置であって、
導電性材料で形成され断続周波数の通電により共鳴し定在波音場を形成する凝集媒体と、
前記凝集媒体に断続周波数の通電を行う通電制御部と、
を備えたことを特徴とする消霧装置。
【請求項9】
請求項5〜7の何れかに記載の消霧装置であって、
圧電効果性材料で形成され断続周波数の電圧印加により共鳴し定在波音場を形成する凝集媒体と、
前記凝集媒体に断続周波数の電圧印加を行う電圧制御部と、
を備えたことを特徴とする消霧装置。
【請求項10】
請求項7〜9の何れかに記載の消霧装置であって、
前記凝集媒体は、網状又は格子状である、
ことを特徴とする消霧装置。
【請求項11】
請求項7〜10の何れかに記載の消霧装置であって、
前記凝集媒体は、折り畳み可能に形成され、
前記凝集媒体を開閉駆動する開閉駆動部と、
前記開閉駆動部を制御する開閉制御部と、
を備えたことを特徴とする消霧装置。
【請求項12】
請求項5〜11の何れかに記載の消霧装置であって、
消霧能力を拡大するためにCOレーザー出力部と、
前記COレーザー出力部を必要時に制御してCOレーザーを出力させるCOレーザー制御部と、
を備えたことを特徴とする消霧装置。
【請求項13】
請求項5〜12の何れかに記載の消霧装置であって、
霧の発生を検出して各部の運転、停止の起因とする霧発生検出部を備えた、
ことを特徴とする消霧装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−91966(P2013−91966A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234153(P2011−234153)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(395014596)株式会社アイアールエフ (11)