涙液層測定
まばたきに続く脂質層の分散後に、眼の表面上の角膜前涙液層の脂質層の相対的厚みを測定する装置である。照射器が、眼の脂質層に光を向ける。照射器は、可視領域をカバーする広帯域スペクトル光源であり、かつ完全拡散放射体であり、光源が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受ける。集光器は、涙液層の脂質層上の干渉縞が観測できるように、鏡面反射光を集光および収束する。集光器は、高解像度モニタへの投射、あるいはコンピュータによる分析といったさらなる分析のために、鏡面反射光を表す出力を生成する。照射器が眼の脂質層に光を向けるとき、患者の頭部は観察台上に置かれてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、眼の角膜前表面上の涙液層の厚みの測定、より具体的には、涙液層の最外層、すなわち脂質層の厚みの測定の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの角膜前涙液層は、3つの主層からなり、それぞれ特定の機能を果たす。角膜前涙液層の最内層は、角膜の表層上皮細胞に保護環境を提供し、微生物および異物に対する保護に役立つ。角膜前涙液層の外面は眼の主屈折面であり、その表面張力はこの表面を滑らかにするのに役立ち、それにより、最終的に網膜に影響を与える像の光学的な質を向上させる。さらに、角膜前涙液層は、まばたき中の潤滑作用を提供する。これらの構造は多くの場合、眼科医により確認される最も一般的な眼疾患の一部である、ドライアイの状態において乱される。ドライアイ疾患および/または病気は、まばたき後に涙液層の早すぎる崩壊をもたらし、これにより表層上皮の損傷をもたらし、結果的に不快感を招き、光のぼけとして現れる場合がある。さらに、患者のコンタクトレンズを装着する能力は、涙液層の質および量に直接的に関係する。したがって、ドライアイ疾患および/または病気は、コンタクトレンズ装着パラメータに大きな影響を有する。
【0003】
角膜前涙液層は、内側のムチン層、中間の液層、および最外側の薄い脂質層から構成される。ドライアイ症状を軽減する試みにおいて、様々な治療法が用いられている。例えば、マイボーム腺の障害を除去するために熱および圧力を加えることにより、またはマイボーム腺の障害を除去するためおよび涙の発生を刺激するために薬物手段を用いて、特定のドライアイ状態を治療することが提案されている。
【0004】
上記にもかかわらず、臨床医および科学者が、提案された治療の結論として、角膜前涙液層の厚みにおける改善を客観的に実証することは、長年にわたり難問題であった。さらに、ドライアイに対する多くの期待が持てる治療法は、機関を満足させるだけの臨床上の有効性を実証できない理由で、米国食品医薬品局からの承認を得ていない。
【0005】
上記の長年にわたる切実な必要性に答えて、角膜前涙液層および具体的にはこの脂質層の厚みを測定する様々な方法が提案されてきた。例えば、本発明の発明者の1人であるKorbは、脂質層の干渉色に基づいて涙液層の脂質層の厚みの定量化を可能にした、鏡面反射顕微鏡システムの発明の概要および背景を提供した。このシステムは、熱吸収フィルタを備える半円筒形の広帯域照射源、高解像度ビデオカメラに70%の光を提供するZeissビームスプリッタを備える双眼顕微鏡、VHSレコーダ、および高解像度約50.8cm(20インチ)のカラーモニタを含んでいた。Eastman Kodak色参照基準(ラッテンフィルタ)を用いる校正後に、まばたき前および後において脂質層の静的および動的な様子が観察された。観察期間中において、被験者は、固視標を見つめる間に自然にまばたきすることを指示された。定量子化および標準化の目的で、分析のために涙液層の特定の領域が指定された。この領域は、下部メニスカスの上方約1mmから下部瞳孔周辺のわずかに下方まで、平均して幅7mmから8mmおよび高さ2.5mmのゾーンを含んでいた。この指定された領域内の鏡面反射光の主色が、脂質層の厚み値を決定するための基本として使用された。厚み値は、涙液層の脂質層に対する干渉色上の以前の作用を基にして、特定の色に対して決定された(McDonald、1969、Nom.、1979、Guilon、1982、Hamanoら、1982)。厚み値は表1にまとめられている。各被験者の涙液層の脂質層について決定された脂質層の厚み値を確認するために、記録結果は、被験者の識別属性に関してはマスキングされた2人の観察者により個別に評価された(Korb、DR、Baron DF、Herman JPら、「Tear Film Lipid Layer Thickness as a Function of Blinking」、Cornea、1994:13:354−9)。上記の装置は、脂質層の厚みの測定の改善には有効であったが、一方で測定の不正確がシステムに生じた。悪い方向に働き、カラーモニタには、脂質層をモニタ画面に画像化できるように十分な入力信号を提供する必要があった。その結果上記は、細隙灯では、その70%が高解像度ビデオカメラに向けられる最低限の照射が提供されることを必要とした。次に、これは、角膜の表面を照射するために要求される最少量の光を要求した。その結果、上述のシステムを作動させるのに必要な光の量は、光により生じる熱が涙液層の蒸発を引き起こすとき、光が自然発生する涙液層を妨げるため、最適ではない。さらに、システムを機能させるのに必要な光の量は、わずかな反射でも涙を生じる原因となった。
【0006】
涙液層を測定するための別の装置は、日本の興和株式会社に譲渡された欧州特許出願第0943288号に開示されている。その出願は、下眼まぶたに集まる涙液の量を非接触測定する装置を開示している。この発明によれば、涙の容積は、眼のまぶたのメニスカスに溜まる液の容積を測定して計算される。液の全容積を知ることは、眼科医には多少は有用である場合もあるが、特定の治療計画の結果として、脂質層の厚み測定またはそれの改善を特に測定するものではない。
【0007】
Marshall G.Doaneの米国特許第4,747,683号では、「Method and Device for in Vivo Wetting Determinations」を開示しており、そこでは、コンタクトレンズがコヒーレント光を用いて照射され、レンズ前の涙液層は、干渉縞を生成するように画像化される。このようにして生成された画像は記録され、涙液層の厚みは、記録された画像の干渉縞の相関を取ることにより決定される。コヒーレント光源およびカメラは、レンズ前の涙液層に焦点を合わせて、涙液層の前面および後面からの鏡面反射光を画像化する。涙液層運動分析器は、干渉縞の数値座標を提供し、マイクロプロセッサは座標値を分析して、レンズ位置または湿潤特性の定量測定を提供する。上記とおなじく、コンタクトレンズの表面を覆う涙液層の厚みを知ることは、コンタクトレンズ装着においては有用であり得るが、Doaneの装置は、自然の眼における脂質層の厚みを特に測定するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
涙液層の脂質層の厚みを測定することを目的にする別の機器は、Broomall,PAおよびBerkshire,UKのKeeler Instruments Inc.,により製造されているTearscope Plusである。より具体的には、Tearscopeは、同軸に取り付けられた円筒形光源を収容するチューブ状ハウジングを備える、手持ち式または細隙灯取付けデバイスである。ハウジングの内側開口は、光を拡散する円筒形拡散プレートで覆われている。使用するとき、眼科医は、患者の眼の近くにチューブの一端を配置して、瞳孔を含む眼全体を照射し、チューブの反対端を介して瞳孔表面上の干渉縞を観察する。次に、まばたきにより生じる干渉縞の色と涙液層の厚みとの相関関係が求められる。Tearscopeは、眼が照射されるプロセスとして固有の欠点および欠陥がないわけではなく、測定結果には診断上で容認できない誤差が生じる。例えば、可視の干渉縞を観察するために必要な光の強度と相まって、眼の表面に照射器が近いことにより、反射性涙液を生じることがある。さらに、採用される照射システムは、瞳孔を含む眼全体を照射する。したがって、Tearscopeからの光は網膜表面を照射し、これにより固有受容反応を引き起こし、これもまた測定の正確性を損なう。
【0009】
上記を考慮して、従来技術の欠点および欠陥を克服する方法および装置を提供することが本発明の目的である。
【0010】
本発明の別の目的は、角膜前涙液層の脂質層の構成要素の厚みの正確な測定を可能にする方法および装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、角膜前涙液層の脂質層の厚みが、反射性涙液の発生なく測定され得る方法および装置を提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、縮小の程度を大きくし、これにより角膜前涙液層の脂質層の厚みの可観測性および測定可能性を向上する方法および装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、測定結果を変化させる可能性のある涙液層の蒸発を最小にするために、低レベルの光を使用して角膜前涙液層の脂質層の厚みを測定する方法および装置を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、検査中の患者に苦痛を与えない、角膜前涙液層の脂質層の厚みを測定する方法および装置を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、測定結果を変化させる可能性のある、反射性涙液および固有受容反応を最小にするために瞳孔に入る光を最小にする、角膜前涙液層の脂質層の厚みを測定する方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の点から、本発明は、まばたきに続く脂質層の分散後に、眼の表面上の角膜前涙液層の脂質層の構成要素の厚みを測定する装置を含む。照射器は、患者の眼の脂質層に光を向ける。鏡面反射光線を観察するための手段が備えられる。照射器は、可視領域をカバーする広帯域の広範囲完全拡散光源であり、その光線は、脂質層から鏡面反射され、脂質層内で強め合うおよび弱め合う干渉を受ける。カメラまたは細隙灯といった集光器は、涙液層の脂質層上の干渉縞が観測できるように、鏡面反射光を集光および収束するために提供される。集光器はまた、高解像度ビデオモニタへの投射、あるいはコンピュータによる分析または格納といったさらなる分析に適した、鏡面反射光を表す出力信号を生成する。あるいは、鏡面反射光の干渉縞は、臨床医により直接観察されてもよく、記録されてもよい。測定をより容易にするために、照射器が患者の眼の脂質層に光を向けるとき、患者の頭部は、観察台、例えば細隙灯のスタンド上に置かれてもよい。
【0017】
本発明の第1の実施形態では、照射器は、眼全体にわたって脂質層の干渉縞を表すようなサイズとされ、(本明細書では「眼全体の照射器」と称する)、瞳孔に入って網膜に達する光の強度が、検出可能な測定誤差が生じるしきい値を下回る、すなわち反射性涙液および固有受容反応が発生しないようにして実現される。好ましい実施形態における干渉縞の観測は、照射器の開口を通してなされる。
【0018】
本発明の第2の実施形態では、照射器は、瞳孔の下方に脂質層の干渉縞を表すようなサイズとされ、(本明細書では「眼の半分の照射器」と称する)、これにより瞳孔に入る光の強度が極端に低くなり、したがって、実質的にシステム全体で生じる不正確の発生を回避する。この第2の実施形態における干渉縞の観測は、照射器の上方からである。
【0019】
これらのおよび他の特徴は、図面を参照して理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】スタンドに取り付けられた、本発明による涙液層分析器の側面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。照射器部分は、中心を通る縦断面図として示されている。
【図2】スタンドに取り付けられた、本発明による涙液層分析器の平面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。
【図3a】スタンドに取り付けられた、本発明による涙液層分析器の第2実施形態の側面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。照射器部分は中心を通る縦断面図として示されている。
【図3b】スタンドに取り付けられ、傾斜している、本発明による涙液層分析器の第2実施形態の側面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。照射器部分は中心を通る縦断面図として示されている。
【図4a】スタンドに取り付けられた、本発明による涙液層分析器の第2実施形態の平面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。
【図4b】スタンドに取り付けられ、傾斜している、本発明による涙液層分析器の第2実施形態の平面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。
【図5a】本発明による涙液層分析器の第2実施形態の平面図であり、干渉縞の可視範囲の外縁を形成する照射器の表面を示している。
【図5b】本発明による涙液層分析器の第2の実施形態の側面図であり、瞳孔の平面の下方に位置して、ある角度で傾斜している照射器の表面を示し、および干渉縞の可視範囲の外縁を示している。
【図5c】本発明による涙液層分析器の第2の実施形態の側面図であり、瞳孔の平面の下方に垂直に位置する照射器の表面を示し、および干渉縞の可視範囲の外縁を示している。
【図6】本発明による眼全体の照射器の部分的な分解組立斜視図である。
【図7】本発明による眼全体の照射器の観察開口の中心を通って水平に切断された平面図である。
【図8】本発明による眼全体の照射器の中心を通って垂直に切断された端面図である。
【図9】本発明による眼の半分の照射器の部分的な分解組立斜視図である。
【図10】本発明による眼の半分の照射器が取り除かれた上部を備える平面図である。
【図11】本発明による眼の半分の照射器の中心を通って垂直に切断された端面図である。
【図12】眼の表面の正面図であり、干渉縞が見ることができる、超拡散光線により画定される領域を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、特定の実施形態が示されている添付図面を参照して以下により詳細に説明されるが、当業者であれば、本発明の好ましい結果を達成する一方で、本明細書に開示される本発明を変更してもよいことが最初に理解されたい。したがって、以下の説明は、該当技術分野における当業者に向けられた広範な教示の開示であって、本発明についての限定ではないとして理解されたい。
【0022】
「眼全体の照射器」として本明細書では称される、図1、図2および図6から図8に詳細に図示される第1の実施形態では、本発明による装置は一般に、照射手段100および鏡面反射光を観察するための手段200を備える。「眼の半分の」照射器として本明細書では称される、図3a、図3b、図5aから図5cおよび図9から図11に詳細に図示される第2実施形態が示されている。2つの実施形態の動作モードは実質的に同じであり、同一参照符号を用いて一緒に説明される。ただし、これらの実施形態間に相違が生じる場合は、それらを説明する。
【0023】
患者の眼の脂質層に光を向けるための照射手段100は、可視領域をカバーし、スタンド300上の眼の前部に配置される完全拡散放射体である、広範囲の広帯域光源を備える。本明細書で採用される用語「完全拡散面」および「完全拡散放射体」は、全方向に等しい強度を有する発光体であると定義される。光源は、放射体から放射される光線が脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受けるように配置される、広表面面積放射体を備える。この表面の画像は、その上全体に干渉画像が見られる背景であり、背景は可能な限り空間的に均一でなければならない。照射手段100は、顔の大きい範囲を照射し、脂質層の厚みの決定およびドライアイに対する相関関係に適している、瞳孔310の下方に中心を有する高さ2.5mm、長さ5mmの可視領域を形成する(図12参照)。「可視領域」とは、干渉縞を観察するための基準を満たす、すなわち、眼の半分の照射器については約2.5mm×7mmを満たす、有効領域を意味する。瞳孔領域を除く眼全体の照射は、脂質の分散の眼全体の干渉縞に関する追加情報を明らかにする。
【0024】
照射器100の形態は、カメラレンズから開始し、眼まで前方に、次に照射器まで進むことにより最も容易に理解される。光線の進路を表す基本式はスネルの法則である:
1)N1Sinφ1=N2Sinφ2
ただしNは、光線が通過する媒体の屈折率であり、φは、表面からの垂線に対する光線の角度である。脂質層に入らない反射光線については、N1=N2であり、
2)φ1=φ2
これらの条件においては、スネルの法則は、古典的な「入射角は反射角に等しい」と記述される。
【0025】
本発明によれば、末端部の光線(所望の表示観察領域の最外境界線における光線)のみを決定して、照射器の領域を画定することが必要である。検査される眼のこの領域の部分の表面がほぼ球形であるため、カメラレンズ(または観察者の眼)から、観察される眼の上の観察領域の縁部に引かれる線は、その線と眼との交点における眼の表面に垂直な線の反対側において同一角度で反射する。眼の半分の照射器が使用される場合、照射器は、鼻によりよく適応し、下部の脂質層のより広い領域を照射するように傾斜してもよい。上記にかかわらず、眼の半分の照射器を使用する実験では、10°から30°の傾斜がより有効であることを示した。次に眼全体の照射器に戻ると、図1および図2に最も詳細に示したように、顔の特徴形体が、光線の一部が眼の表面に到達するのを妨害することは明らかである。鼻、頬、眉毛およびまぶたは光線を遮断し、眼の表面に影をもたらす。最大領域を露出するための照射器の位置は、各患者の顔の特徴形体に対して1つだけである。照射器の機械的寸法(高さおよび幅)は、目標母集団の顔の特徴形体の生体測定範囲をカバーするように拡張されてもよい。
【0026】
照射手段100は、約400nmから約700nm間の可視領域をカバーする広帯域光源である。作製したモデルでは、前方投影角50°、標準強度2500mcd、および直径5mm(ミシガン州、WixomのNichia Corporationから市販されている部品番号NSPW510CS)を有する、高効率の白色発光ダイオード(LED)120が使用された。本発明に対して他のLEDを加えて、スペクトル幅を近紫外または近赤外域に拡大してもよい。LEDが取り付けられている発光アレイプラットフォーム130(図6、図7)は、眼の光軸から約130°の円弧の範囲にある曲面を有していた(図5a参照)。6つの横列および16の縦列を備える格子パターンで間隔を空けた約96個のLEDは、並列/直列の組み合わせで接続され、適切な電源に接続されているが、当業者には良く知られており、したがって図示されていない。ハウジングは、1組の側方パネル135、底部および上部パネル140、後方パネル145、および拡散手段または拡散器150により、LEDアレイプラットフォーム130のまわりに形成される。それぞれの拡散器150、LEDプラットフォーム130、および後方パネル145は、柔軟であり、上部および底部パネル140ならびに末端片135に配置された溝147内に嵌まり込む。全体のアセンブリは相互にかみ合い、側方パネル135は、次に上部および底部パネル140にねじ止めされる。図示された照射手段100は、曲がっているかまたは弓形であり、検査している眼の中心から半径約19.35cm(7.620インチ)を有するが、眼の周りに130°の範囲を定める限り、平坦であってもよい。曲面は、検査を実行する際により効率的である。この理由は、この形状が、開業医が臨床的な設定において使用することがより容易であるより小さいデバイスを形成するためである。
【0027】
照射器100から放射される全パワーは、涙の蒸発の加速を防止するために最少に維持されなければならない。さらに、加熱または冷却システムにより生成される気流もまた、過剰な蒸発を引き起こすことがあり、測定の正確性を維持するために最小に(好ましくは排除)されなければならない。瞳孔に入るμW/mm2で測定される輝度または強度は、反射性涙液、斜視、および他の視覚の不快性を引き起こすことがあり、これらのすべては測定の正確性に影響を与える。眼全体の照射器に対して、曲線状の完全拡散放射体は、開口160を画定する中心に位置する孔を含み、この開口を通して鏡面反射光を集光および収束するための手段、すなわちカメラ、眼、または他のレンズ200が、位置合わせされる。中心にある開口160は実質的に、直接照射が検査する眼の瞳孔に入るのを防止する。最適ではないが、開口160は、照射器の他の部分に置かれてもよい。しかしながら他方の眼は、瞳孔に入る全光強度を有する。照射強度が十分に低い場合、露出された眼は反応しない。また露出された眼をマスクで遮へいするか、または照射器を分割して表面部分が照射されないようにしてもよい。眼の半分の照射器は、眼の中心線の下方で停止し、どちらの瞳孔も直接照射しないか、またはそうでない場合は、光線が斜めに間接的に瞳孔に入ることだけでき、網膜に当たらない。現在の眼全体の照射器は、約3μW/mm2から15μW/mm2間の輝度または照射強度を有し、照射器の表面において約4.5μW/mm2が好ましく、照射器は眼から約2.54cmから約5.08cm(1から2インチ)に維持される。全放射パワーは1W未満であり、好ましくは400mWを超えない。約6μW/mm2を上回る輝度は、網膜上に直接当たるように瞳孔に入る場合、第2の眼には不快になる。照射器の前面は完全拡散放射体である、すなわち拡大した照射器表面上のすべての点は、完全拡散放射体であり、複数のLED点光源から放射される光を拡散するおよび点光源を均一な完全拡散放射体に変換する機能を果たす、約0.16cm(約1/16インチ)の厚みの柔軟な白色の透光性アクリル樹脂シート150を備える。
【0028】
固有受容感覚の変化を防止し、涙液層の加熱を低減するために、眼への入射パワーおよび強度を最小にすることが重要であり、したがって、高感度カラーカメラ200などの鏡面反射光を集光および収束するための手段200が採用されなければならない。ビデオカメラ、細隙灯、または他の観察装置200は、開口160に位置合わせされ、また、図2に示すように、スタンド300上に取り付けられるか、または眼の半分の照射器の場合は、図3aおよび図3bのように放射体の上方に位置合わせされる。画像パターンの詳細な視覚化には、脂質層からの干渉縞が観測可能であるように、鏡面反射光を集光および鏡面反射光を収束するための手段を必要とする。優れたディジタル画像化は、脂質の干渉縞が眼の全体にわたって広がっているときに干渉縞の推移を示すために、最大1280×1024ピクセルの解像度および少なくとも15Hzのフレームレートを有する、CCDビデオカメラを必要とする。6.45μm2ピクセルのAVT Dolphin145C、約1.7cm(2/3インチ)CCDカメラは、必要条件に適合し、分析および/または保管する目的に対して、ビデオモニタ(好ましくは高解像度)またはコンピュータといった、多数のデバイスの任意の1つに対する入力信号として役立つことのできるそれらを表す信号を出力する。
【0029】
即時涙液層分析器において採用されるレンズシステムは、CCD検出器の有効領域(例えば約1.7cm(2/3インチ)CCDに対して10mmまでの横寸法)上のサンプル平面(眼)に15mmから40mmの寸法を画像化する。レンズのF値は、最大の光を捕集し、優れた画像に必要とされる照射パワーを最小にするためにできるかぎり小さくしなければならない。眼の半分および眼全体の照射システムにおいて選択されるレンズは、約1.7cm(2/3インチ)フォーマットCCDではNavitar Zoom7000の近接フォーカスズームレンズである。より低い倍率において(25mmから40mmの視野)、眼およびまぶたを検査して、脂質層の厚みとまばたきとの関係を観察することができる。脂質層のより詳細な分析は、15mmから25mmの視野を示すわずかに高い倍率を用いて得ることができる。
【0030】
脂質層の厚みは均一ではなく、干渉縞に存在する最も支配的な色に基づいて分類される。大多数の個人に対する脂質層は180nmを超えることはなく、厚い脂質層が薄い脂質層に比べて蒸発に対してより優れた保護を提供するため、より厚い脂質層は、ドライアイの状態の拡大に対してより優れた保護を提供すると考えられている。脂質層が薄いほど、特に脂質層の厚みが75nm未満である場合、ドライアイ状態およびドライアイ症状と関連する。
【0031】
本発明のシステムは、脂質層の膜上に入射する白色光からの干渉縞を表示する。干渉縞の色と脂質層の厚み(LLT)との間の関係は表1に示される。
【表1】
【0032】
広範囲の調査により、より厚い膜は青および茶色により示され、中間の厚みの膜は黄色により示され、より薄い膜は灰色−黄色により示され、極めて薄い膜は様々な濃度のグレースケールを示し、白色が最も薄いことを表すことが立証された。色測光において、茶色は、小さい強度の赤および緑、またはオレンジおよび青、すなわち基本的に可視光のスペクトルの両端を混合することにより、加法混色において得ることができると考えられる。あるいは、茶色は、白色スペクトルから中心の黄−緑色を除去して、青−オレンジの混色を残すことによって、減色法でも得ることができる。
【0033】
干渉膜において観察される光の波長が、膜の厚みに逆比例する理由は立証されていないが、広範囲の臨床検査により、本発明者らは、弱め合う干渉が支配的プロセスであるという確信および理論に到達した。波長が膜の厚みに近くなるほど、干渉はより大きくなり、したがって黄−赤干渉は、より厚いフィルムにおいて最大の影響を有する。しかしながら、より厚いフィルムが青を発生し、したがって、赤の波長は、弱め合う干渉により入射光スペクトルから除去され、反射光は青を発生すると想定される。
【0034】
より薄い膜については、青はより強い干渉を有する。より薄いフィルムは、赤みを発生するため、青は弱め合う干渉により除去されると仮定される。このことから、本発明者らは、目に見える色は広帯域の表面反射であって、支配的な干渉色の帯域は、除去されていると推定する。すなわち、干渉は、反射光から膜の厚みを示すスペクトルの一部を除去し、補色を残す。これは、茶色がこの種のシステムから得られる理由を、発明者らに理解させる最適な説明である。表1は、可視スペクトルおよびそれぞれの波長の色を一覧表示している。
【0035】
眼における脂質層の厚みは、可視光の波長のすべてより大幅に小さいことに留意すべきである。したがって、全波長の干渉縞は不可能であると考えられる。分数波長(λ/2n、n=1、2…)については、干渉縞の強度は、nが増えると急速に減少し、背景から弱い干渉縞を区分する能力は、結果的に低下する。
【0036】
脂質の膜の厚みが約90nm未満になると、本発明の装置(現在のLED光源を採用する)により生成される画像には色が見られず、灰色の濃度だけが変化する。紫および紫外線の干渉の影響が、この厚みにおいて支配的であるが、紫および紫外線は入射スペクトルには存在しないため色を見ることができない、と推定される。可視光スペクトル全体にわたって残る干渉は、極わずかのため(λ/2n、n>5)ため、極めて弱く、このため全スペクトルの反射および吸収の影響が支配的であり、特定の色を見ることができない。60nmから75nm層における広帯域の弱め合う干渉は、最も薄い層(≦30nm)では広帯域の強め合う干渉に取って代わられる。
【0037】
要約すれば、本発明は、減色法の色の結果を立証するものと考えられ、ここでは、白色光から青色部分を除去すると赤みを帯びた色調が残り、そのスペクトルから中心(黄−緑)を除去すると茶色を帯びた色調が残り、オレンジ−赤を除去すると青色の色調が残る。干渉縞のすべては極わずかな波長であり、したがって強度は相対的に弱く、画像は強く飽和しない。したがって、画像強調技術は、優れた可視性に対してより大きな高い重要性を持つ。約90nm未満の膜の厚みは、グレースケール分析により決定できる。
【0038】
リアルタイムまたは高速データ転送および大容量記憶ボリュームの使用が、所定のアプリケーションに対して要求される場合、高性能コンピュータシステムなどの鏡面反射光を表す出力信号(ビデオ出力信号)を記録する手段に利用が必要とされる。本明細書で採用される用語「リアルタイム」は、観察者が主観的に満足する観察体験に対して要求する、画像生成のために必要な速度でのデータ転送、記憶、および検索として定義される。まばたき後の脂質層の干渉縞運動の観察については、なめらかな運動の認識のためには、最低限毎秒約15フレームで十分である。設定値に応じて、カメラは、毎秒15個の1.4MBから3.9MBの画像を生成でき、または記憶、表示、または計算のために、コンピュータにより21MB/秒から57MB/秒で処理されなければならない。この速度では、1分間の記録は1.26GBから3.42GBの記憶装置を必要とする。現在利用可能な技術であれば、RAMに記録セッションを記憶することは適正ではなく、したがってカメラからのデータは、データの予想量に適合するサイズの記憶システムに直接流れ込まなければならない。例えば、500GBの記憶装置は、1分間の147個から397個の検査結果を記録できる。画像サイズ、圧縮、および優れた診断に適した記録時間を最小にすることを含む、記憶必要条件を低減するために、様々な形式のデータ管理を利用できる。
【0039】
カメラを操作し、画像を取り込み、画像ファイルを記憶および検索し、データについて選択された計算を実行するためのソフトウェアは、システムを成功に導くには重要である。関連する明細は、
機械システムは、患者の頭部を位置合わせする、照射器およびカメラを位置合わせする、カメラの焦点を合わせる、および眼の間の位置を切り替えるための構成要素からなる。
【0040】
現在の眼科医のあご当ては、頭部を位置合わせして、拘束するのに適している。これらは垂直(Z軸)調整を含む。
【0041】
可動フレームは、患者の顔の反対側にカメラおよび照射器を配置する。照射器およびカメラは共に大きく動くが、照射器は、異なる顔の形状に対応するために独立したXおよび回転運動を有する。眼から眼への切り替えには、患者の顔から離れてカメラ/照射器のフレーム全体を移動すること(X運動)、および第2の眼と整列するように水平に移動する(Y運動)ことを必要とする。カメラの焦点を合わせることは、X運動の微調整を必要とし、垂直のZ運動は、患者の眼の位置の差に対応するために要求される。従来の細隙灯の生体顕微鏡スタンドは、これらの運動のほとんどを実現し、本発明のシステムでは必要とされない角運動を追加している。
【0042】
図1、図2、図3aから図3cは、眼の全体のシステムを示している。典型的な検査セッションは以下のようである:
事前設定:カメラと照射器との間の垂直関係が設定される。眼の半分の照射器では、カメラの位置は、画像が縁部の影響を含まないように照射器の上部端より十分に高い。眼全体の照射器を使用する場合、カメラは、照射器を通る孔と同軸に位置合わせされる。カメラ/照射器の位置は、以後調整する必要はない。
患者の検査:
1.患者は着席し、あご当てにあごを乗せるように要求される。あご当ては、患者の快適性のために調整される(Z軸)。患者は、前額部当てに前額部を接触させて維持するように要求される。
2.カメラおよび照射器を保持するフレームが、第1の眼の軸上に位置合わせされ、皮膚に大まかに焦点を合わせるために十分近くにまで動かされる。
3.フレームは、垂直および水平の中心合わせのために調整され、次に微調整のために前方に動かされる。
4.照射器は、前後方向に調整され、眼の最適な照射のために回転される。必要に応じて、微調整を繰り返す。患者は、カメラレンズの中心または上部の中心を直接見るように要求される。診断医により、まばたきの仕方に対する指示が患者に与えられる。
5.所望のとおり画像が表示され記録される。
6.フレームが患者から引き離され(鼻を通過して)、次の眼まで水平に移動される。ステップ2から5が繰り返される。
【0043】
システムは、完全に電動式であり、制御ソフトウェアの高度化に応じて、手動、半自立、または自立モードで作動される。完全な自動化システムは、機械的なスタンドを調整し、カメラの焦点を合わせ、脂質膜の運動を記録し、膜の構造の様々な測定値を計算し、脂質膜の質の評価を報告して、患者の記録ファイルにデータを記録する。
【0044】
このように説明してきた本発明は、当業者であれば、装置および方法における種々の変更および変形形態を発案できる。このようなすべての変更および修正は、添付の特許請求の範囲に記載のように、本発明の範囲内であるものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、眼の角膜前表面上の涙液層の厚みの測定、より具体的には、涙液層の最外層、すなわち脂質層の厚みの測定の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの角膜前涙液層は、3つの主層からなり、それぞれ特定の機能を果たす。角膜前涙液層の最内層は、角膜の表層上皮細胞に保護環境を提供し、微生物および異物に対する保護に役立つ。角膜前涙液層の外面は眼の主屈折面であり、その表面張力はこの表面を滑らかにするのに役立ち、それにより、最終的に網膜に影響を与える像の光学的な質を向上させる。さらに、角膜前涙液層は、まばたき中の潤滑作用を提供する。これらの構造は多くの場合、眼科医により確認される最も一般的な眼疾患の一部である、ドライアイの状態において乱される。ドライアイ疾患および/または病気は、まばたき後に涙液層の早すぎる崩壊をもたらし、これにより表層上皮の損傷をもたらし、結果的に不快感を招き、光のぼけとして現れる場合がある。さらに、患者のコンタクトレンズを装着する能力は、涙液層の質および量に直接的に関係する。したがって、ドライアイ疾患および/または病気は、コンタクトレンズ装着パラメータに大きな影響を有する。
【0003】
角膜前涙液層は、内側のムチン層、中間の液層、および最外側の薄い脂質層から構成される。ドライアイ症状を軽減する試みにおいて、様々な治療法が用いられている。例えば、マイボーム腺の障害を除去するために熱および圧力を加えることにより、またはマイボーム腺の障害を除去するためおよび涙の発生を刺激するために薬物手段を用いて、特定のドライアイ状態を治療することが提案されている。
【0004】
上記にもかかわらず、臨床医および科学者が、提案された治療の結論として、角膜前涙液層の厚みにおける改善を客観的に実証することは、長年にわたり難問題であった。さらに、ドライアイに対する多くの期待が持てる治療法は、機関を満足させるだけの臨床上の有効性を実証できない理由で、米国食品医薬品局からの承認を得ていない。
【0005】
上記の長年にわたる切実な必要性に答えて、角膜前涙液層および具体的にはこの脂質層の厚みを測定する様々な方法が提案されてきた。例えば、本発明の発明者の1人であるKorbは、脂質層の干渉色に基づいて涙液層の脂質層の厚みの定量化を可能にした、鏡面反射顕微鏡システムの発明の概要および背景を提供した。このシステムは、熱吸収フィルタを備える半円筒形の広帯域照射源、高解像度ビデオカメラに70%の光を提供するZeissビームスプリッタを備える双眼顕微鏡、VHSレコーダ、および高解像度約50.8cm(20インチ)のカラーモニタを含んでいた。Eastman Kodak色参照基準(ラッテンフィルタ)を用いる校正後に、まばたき前および後において脂質層の静的および動的な様子が観察された。観察期間中において、被験者は、固視標を見つめる間に自然にまばたきすることを指示された。定量子化および標準化の目的で、分析のために涙液層の特定の領域が指定された。この領域は、下部メニスカスの上方約1mmから下部瞳孔周辺のわずかに下方まで、平均して幅7mmから8mmおよび高さ2.5mmのゾーンを含んでいた。この指定された領域内の鏡面反射光の主色が、脂質層の厚み値を決定するための基本として使用された。厚み値は、涙液層の脂質層に対する干渉色上の以前の作用を基にして、特定の色に対して決定された(McDonald、1969、Nom.、1979、Guilon、1982、Hamanoら、1982)。厚み値は表1にまとめられている。各被験者の涙液層の脂質層について決定された脂質層の厚み値を確認するために、記録結果は、被験者の識別属性に関してはマスキングされた2人の観察者により個別に評価された(Korb、DR、Baron DF、Herman JPら、「Tear Film Lipid Layer Thickness as a Function of Blinking」、Cornea、1994:13:354−9)。上記の装置は、脂質層の厚みの測定の改善には有効であったが、一方で測定の不正確がシステムに生じた。悪い方向に働き、カラーモニタには、脂質層をモニタ画面に画像化できるように十分な入力信号を提供する必要があった。その結果上記は、細隙灯では、その70%が高解像度ビデオカメラに向けられる最低限の照射が提供されることを必要とした。次に、これは、角膜の表面を照射するために要求される最少量の光を要求した。その結果、上述のシステムを作動させるのに必要な光の量は、光により生じる熱が涙液層の蒸発を引き起こすとき、光が自然発生する涙液層を妨げるため、最適ではない。さらに、システムを機能させるのに必要な光の量は、わずかな反射でも涙を生じる原因となった。
【0006】
涙液層を測定するための別の装置は、日本の興和株式会社に譲渡された欧州特許出願第0943288号に開示されている。その出願は、下眼まぶたに集まる涙液の量を非接触測定する装置を開示している。この発明によれば、涙の容積は、眼のまぶたのメニスカスに溜まる液の容積を測定して計算される。液の全容積を知ることは、眼科医には多少は有用である場合もあるが、特定の治療計画の結果として、脂質層の厚み測定またはそれの改善を特に測定するものではない。
【0007】
Marshall G.Doaneの米国特許第4,747,683号では、「Method and Device for in Vivo Wetting Determinations」を開示しており、そこでは、コンタクトレンズがコヒーレント光を用いて照射され、レンズ前の涙液層は、干渉縞を生成するように画像化される。このようにして生成された画像は記録され、涙液層の厚みは、記録された画像の干渉縞の相関を取ることにより決定される。コヒーレント光源およびカメラは、レンズ前の涙液層に焦点を合わせて、涙液層の前面および後面からの鏡面反射光を画像化する。涙液層運動分析器は、干渉縞の数値座標を提供し、マイクロプロセッサは座標値を分析して、レンズ位置または湿潤特性の定量測定を提供する。上記とおなじく、コンタクトレンズの表面を覆う涙液層の厚みを知ることは、コンタクトレンズ装着においては有用であり得るが、Doaneの装置は、自然の眼における脂質層の厚みを特に測定するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
涙液層の脂質層の厚みを測定することを目的にする別の機器は、Broomall,PAおよびBerkshire,UKのKeeler Instruments Inc.,により製造されているTearscope Plusである。より具体的には、Tearscopeは、同軸に取り付けられた円筒形光源を収容するチューブ状ハウジングを備える、手持ち式または細隙灯取付けデバイスである。ハウジングの内側開口は、光を拡散する円筒形拡散プレートで覆われている。使用するとき、眼科医は、患者の眼の近くにチューブの一端を配置して、瞳孔を含む眼全体を照射し、チューブの反対端を介して瞳孔表面上の干渉縞を観察する。次に、まばたきにより生じる干渉縞の色と涙液層の厚みとの相関関係が求められる。Tearscopeは、眼が照射されるプロセスとして固有の欠点および欠陥がないわけではなく、測定結果には診断上で容認できない誤差が生じる。例えば、可視の干渉縞を観察するために必要な光の強度と相まって、眼の表面に照射器が近いことにより、反射性涙液を生じることがある。さらに、採用される照射システムは、瞳孔を含む眼全体を照射する。したがって、Tearscopeからの光は網膜表面を照射し、これにより固有受容反応を引き起こし、これもまた測定の正確性を損なう。
【0009】
上記を考慮して、従来技術の欠点および欠陥を克服する方法および装置を提供することが本発明の目的である。
【0010】
本発明の別の目的は、角膜前涙液層の脂質層の構成要素の厚みの正確な測定を可能にする方法および装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、角膜前涙液層の脂質層の厚みが、反射性涙液の発生なく測定され得る方法および装置を提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、縮小の程度を大きくし、これにより角膜前涙液層の脂質層の厚みの可観測性および測定可能性を向上する方法および装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、測定結果を変化させる可能性のある涙液層の蒸発を最小にするために、低レベルの光を使用して角膜前涙液層の脂質層の厚みを測定する方法および装置を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、検査中の患者に苦痛を与えない、角膜前涙液層の脂質層の厚みを測定する方法および装置を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、測定結果を変化させる可能性のある、反射性涙液および固有受容反応を最小にするために瞳孔に入る光を最小にする、角膜前涙液層の脂質層の厚みを測定する方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の点から、本発明は、まばたきに続く脂質層の分散後に、眼の表面上の角膜前涙液層の脂質層の構成要素の厚みを測定する装置を含む。照射器は、患者の眼の脂質層に光を向ける。鏡面反射光線を観察するための手段が備えられる。照射器は、可視領域をカバーする広帯域の広範囲完全拡散光源であり、その光線は、脂質層から鏡面反射され、脂質層内で強め合うおよび弱め合う干渉を受ける。カメラまたは細隙灯といった集光器は、涙液層の脂質層上の干渉縞が観測できるように、鏡面反射光を集光および収束するために提供される。集光器はまた、高解像度ビデオモニタへの投射、あるいはコンピュータによる分析または格納といったさらなる分析に適した、鏡面反射光を表す出力信号を生成する。あるいは、鏡面反射光の干渉縞は、臨床医により直接観察されてもよく、記録されてもよい。測定をより容易にするために、照射器が患者の眼の脂質層に光を向けるとき、患者の頭部は、観察台、例えば細隙灯のスタンド上に置かれてもよい。
【0017】
本発明の第1の実施形態では、照射器は、眼全体にわたって脂質層の干渉縞を表すようなサイズとされ、(本明細書では「眼全体の照射器」と称する)、瞳孔に入って網膜に達する光の強度が、検出可能な測定誤差が生じるしきい値を下回る、すなわち反射性涙液および固有受容反応が発生しないようにして実現される。好ましい実施形態における干渉縞の観測は、照射器の開口を通してなされる。
【0018】
本発明の第2の実施形態では、照射器は、瞳孔の下方に脂質層の干渉縞を表すようなサイズとされ、(本明細書では「眼の半分の照射器」と称する)、これにより瞳孔に入る光の強度が極端に低くなり、したがって、実質的にシステム全体で生じる不正確の発生を回避する。この第2の実施形態における干渉縞の観測は、照射器の上方からである。
【0019】
これらのおよび他の特徴は、図面を参照して理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】スタンドに取り付けられた、本発明による涙液層分析器の側面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。照射器部分は、中心を通る縦断面図として示されている。
【図2】スタンドに取り付けられた、本発明による涙液層分析器の平面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。
【図3a】スタンドに取り付けられた、本発明による涙液層分析器の第2実施形態の側面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。照射器部分は中心を通る縦断面図として示されている。
【図3b】スタンドに取り付けられ、傾斜している、本発明による涙液層分析器の第2実施形態の側面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。照射器部分は中心を通る縦断面図として示されている。
【図4a】スタンドに取り付けられた、本発明による涙液層分析器の第2実施形態の平面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。
【図4b】スタンドに取り付けられ、傾斜している、本発明による涙液層分析器の第2実施形態の平面図であり、患者は眼の脂質層上の干渉縞を観察するために位置付けされている。
【図5a】本発明による涙液層分析器の第2実施形態の平面図であり、干渉縞の可視範囲の外縁を形成する照射器の表面を示している。
【図5b】本発明による涙液層分析器の第2の実施形態の側面図であり、瞳孔の平面の下方に位置して、ある角度で傾斜している照射器の表面を示し、および干渉縞の可視範囲の外縁を示している。
【図5c】本発明による涙液層分析器の第2の実施形態の側面図であり、瞳孔の平面の下方に垂直に位置する照射器の表面を示し、および干渉縞の可視範囲の外縁を示している。
【図6】本発明による眼全体の照射器の部分的な分解組立斜視図である。
【図7】本発明による眼全体の照射器の観察開口の中心を通って水平に切断された平面図である。
【図8】本発明による眼全体の照射器の中心を通って垂直に切断された端面図である。
【図9】本発明による眼の半分の照射器の部分的な分解組立斜視図である。
【図10】本発明による眼の半分の照射器が取り除かれた上部を備える平面図である。
【図11】本発明による眼の半分の照射器の中心を通って垂直に切断された端面図である。
【図12】眼の表面の正面図であり、干渉縞が見ることができる、超拡散光線により画定される領域を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、特定の実施形態が示されている添付図面を参照して以下により詳細に説明されるが、当業者であれば、本発明の好ましい結果を達成する一方で、本明細書に開示される本発明を変更してもよいことが最初に理解されたい。したがって、以下の説明は、該当技術分野における当業者に向けられた広範な教示の開示であって、本発明についての限定ではないとして理解されたい。
【0022】
「眼全体の照射器」として本明細書では称される、図1、図2および図6から図8に詳細に図示される第1の実施形態では、本発明による装置は一般に、照射手段100および鏡面反射光を観察するための手段200を備える。「眼の半分の」照射器として本明細書では称される、図3a、図3b、図5aから図5cおよび図9から図11に詳細に図示される第2実施形態が示されている。2つの実施形態の動作モードは実質的に同じであり、同一参照符号を用いて一緒に説明される。ただし、これらの実施形態間に相違が生じる場合は、それらを説明する。
【0023】
患者の眼の脂質層に光を向けるための照射手段100は、可視領域をカバーし、スタンド300上の眼の前部に配置される完全拡散放射体である、広範囲の広帯域光源を備える。本明細書で採用される用語「完全拡散面」および「完全拡散放射体」は、全方向に等しい強度を有する発光体であると定義される。光源は、放射体から放射される光線が脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受けるように配置される、広表面面積放射体を備える。この表面の画像は、その上全体に干渉画像が見られる背景であり、背景は可能な限り空間的に均一でなければならない。照射手段100は、顔の大きい範囲を照射し、脂質層の厚みの決定およびドライアイに対する相関関係に適している、瞳孔310の下方に中心を有する高さ2.5mm、長さ5mmの可視領域を形成する(図12参照)。「可視領域」とは、干渉縞を観察するための基準を満たす、すなわち、眼の半分の照射器については約2.5mm×7mmを満たす、有効領域を意味する。瞳孔領域を除く眼全体の照射は、脂質の分散の眼全体の干渉縞に関する追加情報を明らかにする。
【0024】
照射器100の形態は、カメラレンズから開始し、眼まで前方に、次に照射器まで進むことにより最も容易に理解される。光線の進路を表す基本式はスネルの法則である:
1)N1Sinφ1=N2Sinφ2
ただしNは、光線が通過する媒体の屈折率であり、φは、表面からの垂線に対する光線の角度である。脂質層に入らない反射光線については、N1=N2であり、
2)φ1=φ2
これらの条件においては、スネルの法則は、古典的な「入射角は反射角に等しい」と記述される。
【0025】
本発明によれば、末端部の光線(所望の表示観察領域の最外境界線における光線)のみを決定して、照射器の領域を画定することが必要である。検査される眼のこの領域の部分の表面がほぼ球形であるため、カメラレンズ(または観察者の眼)から、観察される眼の上の観察領域の縁部に引かれる線は、その線と眼との交点における眼の表面に垂直な線の反対側において同一角度で反射する。眼の半分の照射器が使用される場合、照射器は、鼻によりよく適応し、下部の脂質層のより広い領域を照射するように傾斜してもよい。上記にかかわらず、眼の半分の照射器を使用する実験では、10°から30°の傾斜がより有効であることを示した。次に眼全体の照射器に戻ると、図1および図2に最も詳細に示したように、顔の特徴形体が、光線の一部が眼の表面に到達するのを妨害することは明らかである。鼻、頬、眉毛およびまぶたは光線を遮断し、眼の表面に影をもたらす。最大領域を露出するための照射器の位置は、各患者の顔の特徴形体に対して1つだけである。照射器の機械的寸法(高さおよび幅)は、目標母集団の顔の特徴形体の生体測定範囲をカバーするように拡張されてもよい。
【0026】
照射手段100は、約400nmから約700nm間の可視領域をカバーする広帯域光源である。作製したモデルでは、前方投影角50°、標準強度2500mcd、および直径5mm(ミシガン州、WixomのNichia Corporationから市販されている部品番号NSPW510CS)を有する、高効率の白色発光ダイオード(LED)120が使用された。本発明に対して他のLEDを加えて、スペクトル幅を近紫外または近赤外域に拡大してもよい。LEDが取り付けられている発光アレイプラットフォーム130(図6、図7)は、眼の光軸から約130°の円弧の範囲にある曲面を有していた(図5a参照)。6つの横列および16の縦列を備える格子パターンで間隔を空けた約96個のLEDは、並列/直列の組み合わせで接続され、適切な電源に接続されているが、当業者には良く知られており、したがって図示されていない。ハウジングは、1組の側方パネル135、底部および上部パネル140、後方パネル145、および拡散手段または拡散器150により、LEDアレイプラットフォーム130のまわりに形成される。それぞれの拡散器150、LEDプラットフォーム130、および後方パネル145は、柔軟であり、上部および底部パネル140ならびに末端片135に配置された溝147内に嵌まり込む。全体のアセンブリは相互にかみ合い、側方パネル135は、次に上部および底部パネル140にねじ止めされる。図示された照射手段100は、曲がっているかまたは弓形であり、検査している眼の中心から半径約19.35cm(7.620インチ)を有するが、眼の周りに130°の範囲を定める限り、平坦であってもよい。曲面は、検査を実行する際により効率的である。この理由は、この形状が、開業医が臨床的な設定において使用することがより容易であるより小さいデバイスを形成するためである。
【0027】
照射器100から放射される全パワーは、涙の蒸発の加速を防止するために最少に維持されなければならない。さらに、加熱または冷却システムにより生成される気流もまた、過剰な蒸発を引き起こすことがあり、測定の正確性を維持するために最小に(好ましくは排除)されなければならない。瞳孔に入るμW/mm2で測定される輝度または強度は、反射性涙液、斜視、および他の視覚の不快性を引き起こすことがあり、これらのすべては測定の正確性に影響を与える。眼全体の照射器に対して、曲線状の完全拡散放射体は、開口160を画定する中心に位置する孔を含み、この開口を通して鏡面反射光を集光および収束するための手段、すなわちカメラ、眼、または他のレンズ200が、位置合わせされる。中心にある開口160は実質的に、直接照射が検査する眼の瞳孔に入るのを防止する。最適ではないが、開口160は、照射器の他の部分に置かれてもよい。しかしながら他方の眼は、瞳孔に入る全光強度を有する。照射強度が十分に低い場合、露出された眼は反応しない。また露出された眼をマスクで遮へいするか、または照射器を分割して表面部分が照射されないようにしてもよい。眼の半分の照射器は、眼の中心線の下方で停止し、どちらの瞳孔も直接照射しないか、またはそうでない場合は、光線が斜めに間接的に瞳孔に入ることだけでき、網膜に当たらない。現在の眼全体の照射器は、約3μW/mm2から15μW/mm2間の輝度または照射強度を有し、照射器の表面において約4.5μW/mm2が好ましく、照射器は眼から約2.54cmから約5.08cm(1から2インチ)に維持される。全放射パワーは1W未満であり、好ましくは400mWを超えない。約6μW/mm2を上回る輝度は、網膜上に直接当たるように瞳孔に入る場合、第2の眼には不快になる。照射器の前面は完全拡散放射体である、すなわち拡大した照射器表面上のすべての点は、完全拡散放射体であり、複数のLED点光源から放射される光を拡散するおよび点光源を均一な完全拡散放射体に変換する機能を果たす、約0.16cm(約1/16インチ)の厚みの柔軟な白色の透光性アクリル樹脂シート150を備える。
【0028】
固有受容感覚の変化を防止し、涙液層の加熱を低減するために、眼への入射パワーおよび強度を最小にすることが重要であり、したがって、高感度カラーカメラ200などの鏡面反射光を集光および収束するための手段200が採用されなければならない。ビデオカメラ、細隙灯、または他の観察装置200は、開口160に位置合わせされ、また、図2に示すように、スタンド300上に取り付けられるか、または眼の半分の照射器の場合は、図3aおよび図3bのように放射体の上方に位置合わせされる。画像パターンの詳細な視覚化には、脂質層からの干渉縞が観測可能であるように、鏡面反射光を集光および鏡面反射光を収束するための手段を必要とする。優れたディジタル画像化は、脂質の干渉縞が眼の全体にわたって広がっているときに干渉縞の推移を示すために、最大1280×1024ピクセルの解像度および少なくとも15Hzのフレームレートを有する、CCDビデオカメラを必要とする。6.45μm2ピクセルのAVT Dolphin145C、約1.7cm(2/3インチ)CCDカメラは、必要条件に適合し、分析および/または保管する目的に対して、ビデオモニタ(好ましくは高解像度)またはコンピュータといった、多数のデバイスの任意の1つに対する入力信号として役立つことのできるそれらを表す信号を出力する。
【0029】
即時涙液層分析器において採用されるレンズシステムは、CCD検出器の有効領域(例えば約1.7cm(2/3インチ)CCDに対して10mmまでの横寸法)上のサンプル平面(眼)に15mmから40mmの寸法を画像化する。レンズのF値は、最大の光を捕集し、優れた画像に必要とされる照射パワーを最小にするためにできるかぎり小さくしなければならない。眼の半分および眼全体の照射システムにおいて選択されるレンズは、約1.7cm(2/3インチ)フォーマットCCDではNavitar Zoom7000の近接フォーカスズームレンズである。より低い倍率において(25mmから40mmの視野)、眼およびまぶたを検査して、脂質層の厚みとまばたきとの関係を観察することができる。脂質層のより詳細な分析は、15mmから25mmの視野を示すわずかに高い倍率を用いて得ることができる。
【0030】
脂質層の厚みは均一ではなく、干渉縞に存在する最も支配的な色に基づいて分類される。大多数の個人に対する脂質層は180nmを超えることはなく、厚い脂質層が薄い脂質層に比べて蒸発に対してより優れた保護を提供するため、より厚い脂質層は、ドライアイの状態の拡大に対してより優れた保護を提供すると考えられている。脂質層が薄いほど、特に脂質層の厚みが75nm未満である場合、ドライアイ状態およびドライアイ症状と関連する。
【0031】
本発明のシステムは、脂質層の膜上に入射する白色光からの干渉縞を表示する。干渉縞の色と脂質層の厚み(LLT)との間の関係は表1に示される。
【表1】
【0032】
広範囲の調査により、より厚い膜は青および茶色により示され、中間の厚みの膜は黄色により示され、より薄い膜は灰色−黄色により示され、極めて薄い膜は様々な濃度のグレースケールを示し、白色が最も薄いことを表すことが立証された。色測光において、茶色は、小さい強度の赤および緑、またはオレンジおよび青、すなわち基本的に可視光のスペクトルの両端を混合することにより、加法混色において得ることができると考えられる。あるいは、茶色は、白色スペクトルから中心の黄−緑色を除去して、青−オレンジの混色を残すことによって、減色法でも得ることができる。
【0033】
干渉膜において観察される光の波長が、膜の厚みに逆比例する理由は立証されていないが、広範囲の臨床検査により、本発明者らは、弱め合う干渉が支配的プロセスであるという確信および理論に到達した。波長が膜の厚みに近くなるほど、干渉はより大きくなり、したがって黄−赤干渉は、より厚いフィルムにおいて最大の影響を有する。しかしながら、より厚いフィルムが青を発生し、したがって、赤の波長は、弱め合う干渉により入射光スペクトルから除去され、反射光は青を発生すると想定される。
【0034】
より薄い膜については、青はより強い干渉を有する。より薄いフィルムは、赤みを発生するため、青は弱め合う干渉により除去されると仮定される。このことから、本発明者らは、目に見える色は広帯域の表面反射であって、支配的な干渉色の帯域は、除去されていると推定する。すなわち、干渉は、反射光から膜の厚みを示すスペクトルの一部を除去し、補色を残す。これは、茶色がこの種のシステムから得られる理由を、発明者らに理解させる最適な説明である。表1は、可視スペクトルおよびそれぞれの波長の色を一覧表示している。
【0035】
眼における脂質層の厚みは、可視光の波長のすべてより大幅に小さいことに留意すべきである。したがって、全波長の干渉縞は不可能であると考えられる。分数波長(λ/2n、n=1、2…)については、干渉縞の強度は、nが増えると急速に減少し、背景から弱い干渉縞を区分する能力は、結果的に低下する。
【0036】
脂質の膜の厚みが約90nm未満になると、本発明の装置(現在のLED光源を採用する)により生成される画像には色が見られず、灰色の濃度だけが変化する。紫および紫外線の干渉の影響が、この厚みにおいて支配的であるが、紫および紫外線は入射スペクトルには存在しないため色を見ることができない、と推定される。可視光スペクトル全体にわたって残る干渉は、極わずかのため(λ/2n、n>5)ため、極めて弱く、このため全スペクトルの反射および吸収の影響が支配的であり、特定の色を見ることができない。60nmから75nm層における広帯域の弱め合う干渉は、最も薄い層(≦30nm)では広帯域の強め合う干渉に取って代わられる。
【0037】
要約すれば、本発明は、減色法の色の結果を立証するものと考えられ、ここでは、白色光から青色部分を除去すると赤みを帯びた色調が残り、そのスペクトルから中心(黄−緑)を除去すると茶色を帯びた色調が残り、オレンジ−赤を除去すると青色の色調が残る。干渉縞のすべては極わずかな波長であり、したがって強度は相対的に弱く、画像は強く飽和しない。したがって、画像強調技術は、優れた可視性に対してより大きな高い重要性を持つ。約90nm未満の膜の厚みは、グレースケール分析により決定できる。
【0038】
リアルタイムまたは高速データ転送および大容量記憶ボリュームの使用が、所定のアプリケーションに対して要求される場合、高性能コンピュータシステムなどの鏡面反射光を表す出力信号(ビデオ出力信号)を記録する手段に利用が必要とされる。本明細書で採用される用語「リアルタイム」は、観察者が主観的に満足する観察体験に対して要求する、画像生成のために必要な速度でのデータ転送、記憶、および検索として定義される。まばたき後の脂質層の干渉縞運動の観察については、なめらかな運動の認識のためには、最低限毎秒約15フレームで十分である。設定値に応じて、カメラは、毎秒15個の1.4MBから3.9MBの画像を生成でき、または記憶、表示、または計算のために、コンピュータにより21MB/秒から57MB/秒で処理されなければならない。この速度では、1分間の記録は1.26GBから3.42GBの記憶装置を必要とする。現在利用可能な技術であれば、RAMに記録セッションを記憶することは適正ではなく、したがってカメラからのデータは、データの予想量に適合するサイズの記憶システムに直接流れ込まなければならない。例えば、500GBの記憶装置は、1分間の147個から397個の検査結果を記録できる。画像サイズ、圧縮、および優れた診断に適した記録時間を最小にすることを含む、記憶必要条件を低減するために、様々な形式のデータ管理を利用できる。
【0039】
カメラを操作し、画像を取り込み、画像ファイルを記憶および検索し、データについて選択された計算を実行するためのソフトウェアは、システムを成功に導くには重要である。関連する明細は、
機械システムは、患者の頭部を位置合わせする、照射器およびカメラを位置合わせする、カメラの焦点を合わせる、および眼の間の位置を切り替えるための構成要素からなる。
【0040】
現在の眼科医のあご当ては、頭部を位置合わせして、拘束するのに適している。これらは垂直(Z軸)調整を含む。
【0041】
可動フレームは、患者の顔の反対側にカメラおよび照射器を配置する。照射器およびカメラは共に大きく動くが、照射器は、異なる顔の形状に対応するために独立したXおよび回転運動を有する。眼から眼への切り替えには、患者の顔から離れてカメラ/照射器のフレーム全体を移動すること(X運動)、および第2の眼と整列するように水平に移動する(Y運動)ことを必要とする。カメラの焦点を合わせることは、X運動の微調整を必要とし、垂直のZ運動は、患者の眼の位置の差に対応するために要求される。従来の細隙灯の生体顕微鏡スタンドは、これらの運動のほとんどを実現し、本発明のシステムでは必要とされない角運動を追加している。
【0042】
図1、図2、図3aから図3cは、眼の全体のシステムを示している。典型的な検査セッションは以下のようである:
事前設定:カメラと照射器との間の垂直関係が設定される。眼の半分の照射器では、カメラの位置は、画像が縁部の影響を含まないように照射器の上部端より十分に高い。眼全体の照射器を使用する場合、カメラは、照射器を通る孔と同軸に位置合わせされる。カメラ/照射器の位置は、以後調整する必要はない。
患者の検査:
1.患者は着席し、あご当てにあごを乗せるように要求される。あご当ては、患者の快適性のために調整される(Z軸)。患者は、前額部当てに前額部を接触させて維持するように要求される。
2.カメラおよび照射器を保持するフレームが、第1の眼の軸上に位置合わせされ、皮膚に大まかに焦点を合わせるために十分近くにまで動かされる。
3.フレームは、垂直および水平の中心合わせのために調整され、次に微調整のために前方に動かされる。
4.照射器は、前後方向に調整され、眼の最適な照射のために回転される。必要に応じて、微調整を繰り返す。患者は、カメラレンズの中心または上部の中心を直接見るように要求される。診断医により、まばたきの仕方に対する指示が患者に与えられる。
5.所望のとおり画像が表示され記録される。
6.フレームが患者から引き離され(鼻を通過して)、次の眼まで水平に移動される。ステップ2から5が繰り返される。
【0043】
システムは、完全に電動式であり、制御ソフトウェアの高度化に応じて、手動、半自立、または自立モードで作動される。完全な自動化システムは、機械的なスタンドを調整し、カメラの焦点を合わせ、脂質膜の運動を記録し、膜の構造の様々な測定値を計算し、脂質膜の質の評価を報告して、患者の記録ファイルにデータを記録する。
【0044】
このように説明してきた本発明は、当業者であれば、装置および方法における種々の変更および変形形態を発案できる。このようなすべての変更および修正は、添付の特許請求の範囲に記載のように、本発明の範囲内であるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まばたきに続く脂質層の分散後に、患者の眼の表面上の脂質層の厚みを測定する装置であって、
患者の眼の脂質層に光を向ける照射器を備え、照射器が、可視領域の広帯域スペクトル光源を含み、かつ完全拡散放射体であり、光源からの光線が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受け、さらに、
鏡面反射光を観察する画像化デバイスを備え、涙液層の脂質層上の干渉縞が観察可能である、装置。
【請求項2】
前記照射手段が、弓形の放射体を備え、前記完全拡散放射体の表面が、実質的に眼の表面と平行である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
鏡面反射光を観察するための前記手段が、照射手段における開口を画定する孔を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
照射手段における前記開口が、前記照射手段の後方からの鏡面反射光の観察を可能にする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
鏡面反射光を集光および収束し、かつ前記開口と機能的に関連する鏡面反射光を表す出力信号を生成するための手段をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
鏡面反射光を表す出力信号を記録するための手段をさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
鏡面反射光を表す出力信号を記録するための前記手段が、リアルタイムで記録する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
出力信号を集光および収束するための前記手段が、カメラレンズのシステムを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
記録するための前記手段が、コンピュータメモリ、ビデオカセット記録デバイス、アナログ記録デバイス、およびディジタル記録デバイスからなる、記録デバイスのグループから選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
患者の頭部が観察プラットフォーム上で位置合わせされると、前記鏡面反射光が観察される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記弓形の放射体が、放射体から放射された光線が眼の表面に当たるように構成および配置され、スネルの法則が、鏡面反射光を観察するための前記手段の受光角に対して満たされ、眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記照射手段がさらに、
可視領域の光を放射するように適合された複数の間隔を空けた発光ダイオードと、
前記発光ダイオードと眼の表面との間に配置され、それぞれの発光ダイオードにより放射された光を拡散するための拡散器手段とを含み、さらに、拡散器手段が、拡散器手段から放射された光線が眼の表面に当たるように弓形であり、スネルの法則が、前記カメラレンズシステムの受光角に対して満たされ、眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
干渉の可視観察領域を形成する光線が、実質的に眼の表面に垂直である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記照射手段が、1W未満の総放射パワーを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
まばたきに続く脂質層の分散後に、眼の表面上の脂質層の厚みを測定するための装置であって、
患者の眼の脂質層に光を向ける照射器を備え、照射器が、可視領域の広帯域スペクトル光源を含み、かつ完全拡散放射体であり、光源が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受け、照射手段の表面から放射される全光量が、10μW/mm2未満であり、さらに、
鏡面反射光を観察する画像化デバイスを備え、涙液層の脂質層上の干渉縞が観察可能である、装置。
【請求項16】
前記照射手段が、弓形の放射体をさらに含み、前記放射体の表面が、実質的に眼の表面と平行である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
鏡面反射光を観察するための前記手段が、照射手段における開口を画定する孔を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
照射手段における前記開口部が、前記照射手段の後方からの鏡面反射光の観察を可能にする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
鏡面反射光を集光および収束し、かつ前記開口と機能的に関連する鏡面反射光を表す出力信号を生成するための手段をさらに含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
鏡面反射光を表す出力信号を記録するための手段をさらに含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
鏡面反射光を表す出力信号を記録するための前記手段が、リアルタイムで記録する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
集光および収束するための前記手段が、カメラレンズシステムを備える、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
記録するための前記手段が、コンピュータメモリ、ビデオカセット記録デバイス、アナログ記録デバイス、およびディジタル記録デバイスからなる、記録デバイスのグループから選択される、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
患者の頭部が観察プラットフォーム上で位置合わせされると、鏡面反射光が観察される、請求項15に記載の装置。
【請求項25】
前記弓形の放射体が、放射体からの光線が眼の表面に当たるように構成および配置され、スネルの法則が、鏡面反射光を集光するための前記手段の受光角に対して満たされ、眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、請求項15に記載の装置。
【請求項26】
前記照射手段がさらに、
可視領域の光を放射するように適合された複数の間隔を空けた発光ダイオードと、
前記発光ダイオードと眼の表面との間に配置され、それぞれの発光ダイオードにより放射された光を拡散するための拡散器手段とを含み、さらに、拡散器手段が、完全拡散放射体から放射された光線が眼の表面に当たるように弓形であり、スネルの法則が、前記カメラレンズシステムの受光角に対して満たされ、眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、請求項15に記載の装置。
【請求項27】
鏡面反射光を集光および収束するための手段をさらに含み、該手段が、反射光を表す出力信号を生成する、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記照射手段が、1W未満の総放射パワーを有する、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
干渉の可視観察領域を形成する光線が、実質的に眼の表面に垂直である、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
まばたきに続く脂質層の分散後に、患者の眼の表面上の脂質層の厚みを測定する装置であって、
患者の眼の脂質層に光を向ける照射器を備え、照射器が、可視領域の広帯域スペクトル光源を含み、かつ均一な照射の完全拡散放射体であり、光源が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受け、さらに、照射手段が、患者の顔を照射するが、瞳孔の下方の領域のみがスネルの法則を満たし、さらに、
鏡面反射光を観察する画像化デバイスを備え、涙液層の脂質層上の干渉縞が、観察するための手段の受光角に対して瞳孔の下方の領域において観測可能であり、瞳孔の下方の眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、装置。
【請求項31】
鏡面反射光を集光および収束する手段をさらに含み、涙液層の脂質層上の干渉縞が観測可能である、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記照射手段が、患者の眼の領域を照射し、可視の干渉縞を有する領域が、瞳孔の下方に位置する、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
可視の干渉縞を有する領域が、少なくとも12.5mm2の領域である、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記照射手段が、反射性涙液を生じるかまたは固有受容反応を引き起こす総照射強度より小さい総照射強度を有する、請求項30に記載の装置。
【請求項35】
前記照射手段が、照射器の表面において約1μW/mm2から15μW/mm2の間の総照射強度を有する、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
患者の頭部が観察プラットフォーム上で位置合わせされると、鏡面反射光が観察される、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
干渉の観察可能な鏡面反射光の領域を記録するための手段をさらに含む、請求項30に記載の装置。
【請求項38】
干渉の観察可能な範囲を記録するための前記手段が、リアルタイムで記録する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
記録するための前記手段が、コンピュータメモリ、ビデオカセット記録デバイス、アナログ記録デバイス、およびディジタル記録デバイスからなる、記録デバイスのグループから選択される、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
鏡面反射光を集光および収束するための前記手段が、鏡面反射光を表す出力信号を生成する、請求項31に記載の装置。
【請求項41】
前記照射手段が、発光ダイオードアレイと、それぞれのダイオードアレイと涙液層の脂質層との間に配置された拡散器とを備える、請求項30に記載の装置。
【請求項42】
前記拡散器が弓形であり、完全拡散放射体から放射される光線が、眼の表面に対して接線方向に眼の表面に当たる、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
まばたきに続く脂質層の分散後に、眼の表面上の脂質層の厚みを測定する装置であって、
患者の眼の脂質層に光を向ける照射器を備え、照射器が、可視領域の広帯域スペクトル光源であり、かつ均一な照射の完全拡散放射体であり、光源が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受け、照射器から放射された光が、反射することなく脂質層に直接伝搬し、かつ脂質層に当たり、さらに、
鏡面反射光を集光および収束する画像化デバイスを備え、涙液層の脂質層上の干渉縞が観察可能である、装置。
【請求項44】
鏡面反射光を集光および収束する手段をさらに含み、涙液層の脂質層上の干渉縞が観察可能である、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
照射手段が、患者の眼の領域を照射し、可視の干渉縞を有する領域が、瞳孔の下方に位置する、請求項43に記載の装置。
【請求項46】
可視の干渉縞を有する領域が、少なくとも12.5mm2の領域である、請求項43に記載の装置。
【請求項47】
前記照射手段が、反射性涙液を生じるかまたは固有受容反応を引き起こす総照射強度より小さい総照射強度を有する、請求項43に記載の装置。
【請求項48】
照射手段が、照射器の表面において約1μW/mm2から15μW/mm2の間の総照射強度を有する、請求項43に記載の装置。
【請求項49】
照射手段が、約1W未満の総放射パワーを有する、請求項43に記載の装置。
【請求項50】
患者の頭部が観察プラットフォーム上で位置合わせされると、鏡面反射光が観察される、請求項45に記載の装置。
【請求項51】
干渉の鏡面反射光の観察可能な領域を記録するための手段をさらに含む、請求項43に記載の装置。
【請求項52】
干渉の観察可能な領域を記録するための前記手段が、リアルタイムで記録する、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
記録するための前記手段が、コンピュータ、ビデオカセット記録デバイス、およびディジタル記録デバイスからなる、記録デバイスのグループから選択される、請求項51に記載の装置。
【請求項54】
鏡面反射光を集光および収束するための前記手段が、鏡面反射光を表す出力信号を生成する、請求項44に記載の装置。
【請求項55】
照射手段が、発光ダイオードアレイと、それぞれのダイオードアレイと涙液層の脂質層との間に配置された拡散器とを備える、請求項43に記載の装置。
【請求項56】
前記拡散器が弓形であり、完全拡散放射体から放射される光線が、眼の表面に対して接線方向に眼の表面に当たる、請求項55に記載の装置。
【請求項1】
まばたきに続く脂質層の分散後に、患者の眼の表面上の脂質層の厚みを測定する装置であって、
患者の眼の脂質層に光を向ける照射器を備え、照射器が、可視領域の広帯域スペクトル光源を含み、かつ完全拡散放射体であり、光源からの光線が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受け、さらに、
鏡面反射光を観察する画像化デバイスを備え、涙液層の脂質層上の干渉縞が観察可能である、装置。
【請求項2】
前記照射手段が、弓形の放射体を備え、前記完全拡散放射体の表面が、実質的に眼の表面と平行である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
鏡面反射光を観察するための前記手段が、照射手段における開口を画定する孔を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
照射手段における前記開口が、前記照射手段の後方からの鏡面反射光の観察を可能にする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
鏡面反射光を集光および収束し、かつ前記開口と機能的に関連する鏡面反射光を表す出力信号を生成するための手段をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
鏡面反射光を表す出力信号を記録するための手段をさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
鏡面反射光を表す出力信号を記録するための前記手段が、リアルタイムで記録する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
出力信号を集光および収束するための前記手段が、カメラレンズのシステムを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
記録するための前記手段が、コンピュータメモリ、ビデオカセット記録デバイス、アナログ記録デバイス、およびディジタル記録デバイスからなる、記録デバイスのグループから選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
患者の頭部が観察プラットフォーム上で位置合わせされると、前記鏡面反射光が観察される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記弓形の放射体が、放射体から放射された光線が眼の表面に当たるように構成および配置され、スネルの法則が、鏡面反射光を観察するための前記手段の受光角に対して満たされ、眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記照射手段がさらに、
可視領域の光を放射するように適合された複数の間隔を空けた発光ダイオードと、
前記発光ダイオードと眼の表面との間に配置され、それぞれの発光ダイオードにより放射された光を拡散するための拡散器手段とを含み、さらに、拡散器手段が、拡散器手段から放射された光線が眼の表面に当たるように弓形であり、スネルの法則が、前記カメラレンズシステムの受光角に対して満たされ、眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
干渉の可視観察領域を形成する光線が、実質的に眼の表面に垂直である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記照射手段が、1W未満の総放射パワーを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
まばたきに続く脂質層の分散後に、眼の表面上の脂質層の厚みを測定するための装置であって、
患者の眼の脂質層に光を向ける照射器を備え、照射器が、可視領域の広帯域スペクトル光源を含み、かつ完全拡散放射体であり、光源が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受け、照射手段の表面から放射される全光量が、10μW/mm2未満であり、さらに、
鏡面反射光を観察する画像化デバイスを備え、涙液層の脂質層上の干渉縞が観察可能である、装置。
【請求項16】
前記照射手段が、弓形の放射体をさらに含み、前記放射体の表面が、実質的に眼の表面と平行である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
鏡面反射光を観察するための前記手段が、照射手段における開口を画定する孔を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
照射手段における前記開口部が、前記照射手段の後方からの鏡面反射光の観察を可能にする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
鏡面反射光を集光および収束し、かつ前記開口と機能的に関連する鏡面反射光を表す出力信号を生成するための手段をさらに含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
鏡面反射光を表す出力信号を記録するための手段をさらに含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
鏡面反射光を表す出力信号を記録するための前記手段が、リアルタイムで記録する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
集光および収束するための前記手段が、カメラレンズシステムを備える、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
記録するための前記手段が、コンピュータメモリ、ビデオカセット記録デバイス、アナログ記録デバイス、およびディジタル記録デバイスからなる、記録デバイスのグループから選択される、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
患者の頭部が観察プラットフォーム上で位置合わせされると、鏡面反射光が観察される、請求項15に記載の装置。
【請求項25】
前記弓形の放射体が、放射体からの光線が眼の表面に当たるように構成および配置され、スネルの法則が、鏡面反射光を集光するための前記手段の受光角に対して満たされ、眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、請求項15に記載の装置。
【請求項26】
前記照射手段がさらに、
可視領域の光を放射するように適合された複数の間隔を空けた発光ダイオードと、
前記発光ダイオードと眼の表面との間に配置され、それぞれの発光ダイオードにより放射された光を拡散するための拡散器手段とを含み、さらに、拡散器手段が、完全拡散放射体から放射された光線が眼の表面に当たるように弓形であり、スネルの法則が、前記カメラレンズシステムの受光角に対して満たされ、眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、請求項15に記載の装置。
【請求項27】
鏡面反射光を集光および収束するための手段をさらに含み、該手段が、反射光を表す出力信号を生成する、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記照射手段が、1W未満の総放射パワーを有する、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
干渉の可視観察領域を形成する光線が、実質的に眼の表面に垂直である、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
まばたきに続く脂質層の分散後に、患者の眼の表面上の脂質層の厚みを測定する装置であって、
患者の眼の脂質層に光を向ける照射器を備え、照射器が、可視領域の広帯域スペクトル光源を含み、かつ均一な照射の完全拡散放射体であり、光源が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受け、さらに、照射手段が、患者の顔を照射するが、瞳孔の下方の領域のみがスネルの法則を満たし、さらに、
鏡面反射光を観察する画像化デバイスを備え、涙液層の脂質層上の干渉縞が、観察するための手段の受光角に対して瞳孔の下方の領域において観測可能であり、瞳孔の下方の眼の表面上に干渉の観察可能な領域を形成する、装置。
【請求項31】
鏡面反射光を集光および収束する手段をさらに含み、涙液層の脂質層上の干渉縞が観測可能である、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記照射手段が、患者の眼の領域を照射し、可視の干渉縞を有する領域が、瞳孔の下方に位置する、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
可視の干渉縞を有する領域が、少なくとも12.5mm2の領域である、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記照射手段が、反射性涙液を生じるかまたは固有受容反応を引き起こす総照射強度より小さい総照射強度を有する、請求項30に記載の装置。
【請求項35】
前記照射手段が、照射器の表面において約1μW/mm2から15μW/mm2の間の総照射強度を有する、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
患者の頭部が観察プラットフォーム上で位置合わせされると、鏡面反射光が観察される、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
干渉の観察可能な鏡面反射光の領域を記録するための手段をさらに含む、請求項30に記載の装置。
【請求項38】
干渉の観察可能な範囲を記録するための前記手段が、リアルタイムで記録する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
記録するための前記手段が、コンピュータメモリ、ビデオカセット記録デバイス、アナログ記録デバイス、およびディジタル記録デバイスからなる、記録デバイスのグループから選択される、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
鏡面反射光を集光および収束するための前記手段が、鏡面反射光を表す出力信号を生成する、請求項31に記載の装置。
【請求項41】
前記照射手段が、発光ダイオードアレイと、それぞれのダイオードアレイと涙液層の脂質層との間に配置された拡散器とを備える、請求項30に記載の装置。
【請求項42】
前記拡散器が弓形であり、完全拡散放射体から放射される光線が、眼の表面に対して接線方向に眼の表面に当たる、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
まばたきに続く脂質層の分散後に、眼の表面上の脂質層の厚みを測定する装置であって、
患者の眼の脂質層に光を向ける照射器を備え、照射器が、可視領域の広帯域スペクトル光源であり、かつ均一な照射の完全拡散放射体であり、光源が、脂質層から鏡面反射され、脂質層において強め合うおよび弱め合う干渉を受け、照射器から放射された光が、反射することなく脂質層に直接伝搬し、かつ脂質層に当たり、さらに、
鏡面反射光を集光および収束する画像化デバイスを備え、涙液層の脂質層上の干渉縞が観察可能である、装置。
【請求項44】
鏡面反射光を集光および収束する手段をさらに含み、涙液層の脂質層上の干渉縞が観察可能である、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
照射手段が、患者の眼の領域を照射し、可視の干渉縞を有する領域が、瞳孔の下方に位置する、請求項43に記載の装置。
【請求項46】
可視の干渉縞を有する領域が、少なくとも12.5mm2の領域である、請求項43に記載の装置。
【請求項47】
前記照射手段が、反射性涙液を生じるかまたは固有受容反応を引き起こす総照射強度より小さい総照射強度を有する、請求項43に記載の装置。
【請求項48】
照射手段が、照射器の表面において約1μW/mm2から15μW/mm2の間の総照射強度を有する、請求項43に記載の装置。
【請求項49】
照射手段が、約1W未満の総放射パワーを有する、請求項43に記載の装置。
【請求項50】
患者の頭部が観察プラットフォーム上で位置合わせされると、鏡面反射光が観察される、請求項45に記載の装置。
【請求項51】
干渉の鏡面反射光の観察可能な領域を記録するための手段をさらに含む、請求項43に記載の装置。
【請求項52】
干渉の観察可能な領域を記録するための前記手段が、リアルタイムで記録する、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
記録するための前記手段が、コンピュータ、ビデオカセット記録デバイス、およびディジタル記録デバイスからなる、記録デバイスのグループから選択される、請求項51に記載の装置。
【請求項54】
鏡面反射光を集光および収束するための前記手段が、鏡面反射光を表す出力信号を生成する、請求項44に記載の装置。
【請求項55】
照射手段が、発光ダイオードアレイと、それぞれのダイオードアレイと涙液層の脂質層との間に配置された拡散器とを備える、請求項43に記載の装置。
【請求項56】
前記拡散器が弓形であり、完全拡散放射体から放射される光線が、眼の表面に対して接線方向に眼の表面に当たる、請求項55に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−530282(P2010−530282A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513285(P2010−513285)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057578
【国際公開番号】WO2008/156883
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509050214)テイアサイエンス・インコーポレーテツド (8)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057578
【国際公開番号】WO2008/156883
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509050214)テイアサイエンス・インコーポレーテツド (8)
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