液付与装置および画像形成装置、並びにポンプおよびフィルターの判定方法
【課題】液体供給流路および液体回収流路のポンプおよびフィルターの性能を個別に判断することができる液付与装置および画像形成装置、並びにポンプ及びフィルターの判定方法を提供する。
【解決手段】塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、塗布手段に塗布液を供給する供給部と、塗布手段から塗布液を回収する回収部と、を有し、供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする液付与装置、および、この液付与装置を備える画像形成装置である。供給能力判定手段および回収能力判定手段により、ポンプ、フィルターなどの能力を個別に判定することができる。
【解決手段】塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、塗布手段に塗布液を供給する供給部と、塗布手段から塗布液を回収する回収部と、を有し、供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする液付与装置、および、この液付与装置を備える画像形成装置である。供給能力判定手段および回収能力判定手段により、ポンプ、フィルターなどの能力を個別に判定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液付与装置および画像形成装置、並びにポンプおよびフィルターの判定方法に係り、特に、記録媒体などに液を付与する液付与装置におけるメンテナンス技術、並びにこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、汎用の画像形成装置として、インクジェットヘッドから記録媒体上にインク液を吐出して所望の画像を形成するインクジェット記録装置が広く用いられている。インクジェット記録装置において、インクジェット方式を用いた各種媒体への良好な画像形成を目的として、処理液を用いた直接描画方式が検討されている。かかる直接描画方式は、処理液や他の処理液体を記録媒体上に付与し、これらの液体を乾燥させた後に、定着用ポリマー粒子を添加したインクを打滴して記録媒体上に画像を形成する。その後、インクに凝集反応が発生した後に加熱して記録媒体上の水分を除去し、さらに、ポリマー粒子を成膜して画像を記録媒体に固定する方式が好適である。また、上述した直接描画方式において処理液を付与する方法として、オフセット印刷機などで実績のあるローラ塗布が好適である。
【0003】
一方、処理液タンクと処理液塗布手段(ローラ塗布)との処理液供給系に設けられるポンプの能力が低下したり、フィルターが目詰まりすると、処理液の供給量、回収量が低下する。処理液の供給量が低下すると、記録媒体への処理液塗布量が低下したり、処理液の回収量が低下し塗布皿から処理液が溢れたりするため、あるタイミングで設定値を判定する必要がある。
【0004】
ポンプの液体流速(送液能力)を測定する構成、および、フィルター目詰まりを判定する手段として例えば、下記の特許文献1,2がある。下記の特許文献1には、流路内に設けられた流路センサを通過する液体の流通時間を計測して、チューブポンプによる液体流速(送液能力)を測定する構成を開示している。また、特許文献2では、フィルター目詰まりを判定する手段として、タンク内に設けられたセンサで、液面が所定の位置まで下がる時間を計測し、フィルターの性能を評価している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−133265号公報
【特許文献2】特開2007−236533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている測定は、チューブポンプの液体流速を測定する装置であり、チューブポンプの寿命判定については記載されていなかった。また、特許文献2に記載の方法では、チューブポンプを用いて送液すると、使用時間に応じて送液量が低下する(チューブを潰した後の復帰力で送液する原理なので、チューブのへたりが影響する)という問題に対して、フィルター目詰まりによる送液能力の低下なのか、チューブポンプ寿命による送液能力の低下なのか、判定することができなかった。
【0007】
このように、液供給流路と液回収流路とで、別々のポンプを使用し、さらに、液回収流路内にフィルターを介在する構成の場合、それぞれのポンプが使用時間に応じて別々に送液能力が低下するため、ポンプ寿命、フィルター目詰まりを判定することができなかった。
【0008】
また、処理液が供給された塗布手段の構造が、塗布皿に供給された液体の、オーバーフロー分だけを回収する構造である場合、チューブポンプの送液については、供給能力<回収能力とするのが一般的である。この場合、オーバーフローした液の回収側では、液体と空気の両方を吸い込んで回収を行うため、回収側のチューブポンプの送液能力、フィルター目詰まり判定が、従来の技術ではできていなかった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、液体供給流路のポンプ、液体回収流路のポンプ、フィルターの性能を個別に判断することができる液付与装置および画像形成装置、並びにポンプ及びフィルターの判定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、前記塗布手段に前記塗布液を供給する供給部と、前記塗布手段から前記塗布液を回収する回収部と、を有し、前記供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、前記回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする液付与装置を提供する。
【0011】
請求項1によれば、供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段を備えているので、供給部および回収部のそれぞれを能力が低下する限界まで使用することができるので、メンテナンス性を向上させ、コストを下げることができる。
【0012】
請求項2は請求項1において、前記供給部および前記回収部の少なくともいずれか一方にフィルターが設けられており、前記フィルターを介した流路と、前記フィルターを介さない流路と、の両方を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2によれば、供給部および回収部の少なくともいずれか一方に、フィルターを設け、さらに、塗布手段に塗布液を供給または回収する通常のフィルターを介した流路とは別に、フィルターを介さない流路を設けている。これにより、フィルターを介した流路とフィルターを介さない流路の処理液の送液量を判定することで、フィルターの目詰まりを判定することができる。
【0014】
請求項3は請求項1または2において、前記供給部および前記回収部の前記塗布液の送液にチューブポンプを用いることを特徴とする。
【0015】
チューブポンプは、使用によりチューブの復元力の低下が見られるので、使用によりポンプの送液能力の低下がないか、定期的に検査を行う必要がある。本発明においては、供給能力判定手段と回収能力判定手段を備えているので、送液能力の判定を別々に行うことができるので、メンテナンス性を向上させることができる。
【0016】
請求項4は請求項1から3いずれか1項において、前記供給能力判定手段および前記回収能力判定手段は、判定用のタンクを備え、前記塗布液が、前記判定用のタンクへ充填する時間を測定することで判定を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項4によれば、塗布液を供給または回収する流路とは別に、供給能力判定手段および回収能力判定手段に判定用のタンクを備えているので、このタンクに処理液が充填する時間を測定することで、送液能力を容易に測定することができる。
【0018】
請求項5は請求項2から4いずれか1項において、前記供給能力判定手段は、前記フィルターの目詰まり、および、前記チューブポンプの送液能力を判定することを特徴とする。
【0019】
請求項6は請求項2から5いずれか1項において、前記回収能力判定手段は、前記フィルターの目詰まり、および、前記チューブポンプの送液能力を判定することを特徴とする。
【0020】
請求項5または請求項6は、供給能力判定手段および回収能力判定手段により判定される部材を規定したものであり、フィルターの目詰まりおよびチューブポンプの送液能力を判定することで、各部分を効率的に判定することができる。
【0021】
請求項7は請求項5または6において、前記フィルターの目詰まり、または、前記チューブポンプの送液能力の低下を通知する表示手段を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項7によれば、供給能力判定手段または回収能力判定手段により、フィルターの目詰まり、または、チューブポンプの送液能力の低下が確認された場合、それを通知する表示手段を備えているので、通知された部材を交換することで、各部材を限界まで使用することができる。
【0023】
請求項8は請求項5または6において、複数のフィルター、および、複数のチューブポンプを備え、フィルターの目詰まりまたはチューブポンプの送液能力が低下した場合、他のフィルター、または、他のチューブポンプに切り替わる切り替え手段を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項8によれば、供給能力判定手段または回収能力判定手段により、フィルターの目詰まりまたはチューブポンプの送液能力の低下が確認された場合、他のフィルターまたはチューブポンプに切り替わる切り替え手段を備えているので、装置を停止する必要がなく、性能の低下した部材を交換することができる。
【0025】
請求項9は請求項1から8いずれか1項において、前記塗布液を蓄える塗布液バッファタンクを備え、前記塗布液バッファタンクと、前記供給部と、前記塗布手段と、前記回収部とで、前記塗布液が循環することを特徴とする。
【0026】
塗布液が、塗布液バッファタンク、供給部、塗布手段、回収部などを循環する循環系の場合、一部の部材で能力の低下が見られると、塗布液の循環が途中で停止し、塗布手段への塗布液の供給能力が低下したり、流路の途中でオーバーフローする場合がある。本発明のように、供給能力判定手段または回収能力判定手段を設けることで、性能が低下した部材を交換することができるので、効率よく塗布液の供給、塗布、回収を行うことができる。
【0027】
請求項10は前記目的を達成するために、記録媒体に処理液を付与する処理液付与手段と、前記処理液付与手段によって処理液が付与された記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記処理液付与手段へ処理液を供給する供給部と、前記処理液付与手段から前記処理液を回収する回収部と、前記供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、前記回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0028】
請求項10によれば、供給能力判定手段と回収能力判定手段を備える処理液付与手段により、安定して処理液を供給することができるので、品質の良好な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
【0029】
請求項11は前記目的を達成するために、塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、供給ポンプを有し前記塗布手段に前記塗布液を供給する供給部と、回収ポンプおよびフィルターを有し前記塗布手段から前記塗布液を回収する回収部と、を備える液付与装置のポンプおよびフィルターの判定方法であって、前記供給ポンプの送液量を測定する供給ポンプ測定工程と、前記フィルターを介さず回収ポンプの送液量を測定する回収ポンプ測定工程と、前記フィルターを介して回収ポンプの回収量を測定する回収量測定工程と、前記塗布手段による塗布量と、前記供給ポンプ測定工程により測定した塗布液の送液量と、前記回収ポンプ測定工程により測定した塗布液の送液量と、前記回収量測定工程により測定した塗布液の回収量をもとに、前記ポンプおよび前記フィルターの性能を判定する判定工程と、を有することを特徴とするポンプおよびフィルターの判定方法を提供する。
【0030】
請求項11によれば、液付与装置の各部材を介する塗布液の送液量を測定し、この測定した送液量より各部材の性能評価を行っているので、性能が低下した部材の判定を容易に行うことができる。したがって、低下した部材のみを交換することができるので、メンテナンス性を向上させることができ、コストを下げることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の液付与装置および画像形成装置、並びにポンプおよびフィルターの判定方法によれば、ポンプおよびフィルターを個別に性能の判定を行うことができるので、それぞれを限界能力まで使用することができる。したがって、メンテナンス性を向上させることができ、コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る塗布装置(液供給装置)の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す塗布装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【図3】図1に示す塗布装置の処理液の循環流路を説明する図である。
【図4】図1に示す塗布装置の供給ポンプの性能を判定する際の処理液の流路を説明する図である。
【図5】図1に示す塗布装置の回収ポンプの性能を判定する際の処理液の流路を説明する図である。
【図6】図1に示す塗布装置の回収量を測定する際の処理液の流路を説明する図である。
【図7】図1に示す塗布装置の判定方法を説明するフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る塗布装置の全体構成を示すブロック図である。
【図9】第3実施形態に係る塗布装置の全体構成を示すブロック図である。
【図10】第4実施形態に係る塗布装置の全体構成を示すブロック図である。
【図11】第4実施形態に係る塗布装置の判定方法を説明するフローチャート図である。
【図12】本発明の液付与装置が適用されたインクジェット記録装置を模式的に示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付図面に従って、本発明の好ましい実施の形態について詳説する。なお、以下では具体例として、インクジェット記録装置に用いられる処理液を塗布する処理液塗布手段を例にして説明するが、本発明はこれに限定されず、塗布液供給部、塗布手段、塗布液回収部を備える装置であれば適用することができる。
【0034】
<第1実施形態>
〔塗布装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る塗布装置10の概略構成を示す全体構成図である。
【0035】
図1に示す塗布装置10は、処理液を記録媒体の表面に塗布する塗布部12と、塗布部12に処理液を供給する供給部14と、を含んで構成されている。なお、塗布部12及び供給部14のそれぞれは、単独で液塗布装置、液供給装置として機能させることができる。
【0036】
塗布部12は、周面に媒体を保持する圧胴20と、圧胴20に保持された記録媒体に接触して処理液を塗布する塗布ローラ22と、塗布皿24に充填されている処理液を汲み上げて塗布ローラ22に供給する供給ローラ26と、を含んで構成される。
【0037】
供給部14は、補充用の処理液が貯留される処理液補充タンク30と、処理液補充タンク30から処理液バッファタンク32へ処理液を送液するための処理液補充ポンプ34と、処理液バッファタンク32から塗布部12へ送られる処理液の流路となる供給流路36と、供給流路36を開閉するための第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39と、処理液バッファタンク32から塗布部12へ送られる処理液に圧力を付与する供給ポンプ40と、を含んで構成される。
【0038】
また、処理液の濃度を調整するために処理液バッファタンク32へ供給される希釈液が、希釈液タンク42に貯留されており、希釈液供給流路44を介して希釈液供給ポンプ45により圧力が付与され、処理液バッファタンク32に供給される。また、希釈液供給流路44は、洗浄液供給流路47を介して、供給流路36と連通している。洗浄液供給流路47は、洗浄液供給流路47を開閉するための洗浄液供給バルブ46が設けられている。
【0039】
供給流路36には、供給流路36を通過する液の濃度を測定するための濃度センサ48が設けられており、濃度センサ48によって濃度値が監視されるように構成されている。
【0040】
塗布部12に設けられる塗布皿24の排出口(不図示)は、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62を介して回収流路64と連通されている。回収流路64は、廃液タンク72と連通されるとともに、回収フィルター66、回収バルブ67、回収ポンプ68、排出バルブ70が設けられている。また、回収流路64は循環流路74と連通され、循環流路74に設けられた循環バルブ76を介して処理液バッファタンク32と連通されている。
【0041】
〔塗布部の構成〕
次に、図1に図示される塗布部12の構成について詳細に説明する。
【0042】
圧胴20は、周面に記録媒体を保持するための多数の吸着穴が設けられている記録媒体保持領域を具備し、吸着穴から記録媒体に対して真空ポンプ(不図示)から負圧が付与され記録媒体が保持されるように構成されている。圧胴20は円筒のドラム形状を有し、不図示の回転機構により符号Aを付して図示した反時計回りに回転させることで、周面に保持された記録媒体を圧胴20の回転方向に沿って移動させる。
【0043】
塗布ローラ22は、その表面が所定量の処理液を保持することができる材質(例えば、ゴム)で構成され、不図示の回転機構によって圧胴20と反対方向(符号Bを付して図示した時計回り方向)に回転駆動可能に構成されている。塗布ローラ22を所定の回転速度で回転させながら、圧胴20に保持された記録媒体に所定の押圧で押し当てて、記録媒体の表面に処理液が塗布される。
【0044】
塗布皿24は、供給部14から供給された処理液が貯留される部材であり、処理液が保持される液保持部24Aと、液保持部24Aからオーバーフローした処理液が集められるオーバーフロー部24Bと、液保持部24Aとオーバーフロー部24Bとを区画している仕切板24Cと、を含んで構成される。液保持部24Aの処理液の液面高さが仕切板24Cに設けられた開口部24Dの位置に達すると、開口部24Dからオーバーフロー部24Bへ処理液が流れ込み、液保持部24A内の処理液の液面高さが一定に保たれる。
【0045】
液保持部24Aの底面には処理液を排出するための排出口(不図示)が設けられ、オーバーフロー部24Bの底面にも処理液を排出するための排出口(不図示)が設けられている。液保持部24A及びオーバーフロー部24Bの排出口は、それぞれドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62と接続され、回収流路64と連通される。
【0046】
供給ローラ26は、クロムやセラミックでメッキ(又はコート)された表面、もしくはステンレス材の表面に、図示しない細かい溝(セル)が形成されたアニロックスローラが適用される。供給ローラ26は、その表面の一部が塗布皿24の中の処理液に浸漬され、符号Cを付して図示した塗布ローラ22と反対の反時計回り方向に回転させることで、溝の中に保持された処理液を汲み上げる。供給ローラ26の表面が塗布ローラ22に接触すると、供給ローラ26の溝に保持された処理液は塗布ローラ22の表面に転写される。なお、供給ローラ26に液量を調整するためにブレードを付勢させてもよい。
【0047】
〔供給部の構成〕
次に、供給部14の構成について詳細に説明する。
【0048】
処理液補充タンク30は、内部の処理液が消費された分だけ大気と置換される一方向弁などが組み込まれた密閉型の構造を有し、その内部には処理液をろ過するためのろ過フィルター30Aが具備されている。また、処理液補充タンク30はフロートセンサ(図示せず)を具備し、処理液を補充する際の液面の上限を検出することができ、かつ、処理液を消費したときの液面の下限を検出することができる。液面の上限又は下限が検出されるとその旨を報知する報知手段(ブザー、ランプ、報知信号を制御系へ送出する手段等)が具備されている。
【0049】
処理液バッファタンク32は、内部の処理液をろ過するためのろ過フィルター32Aと、処理液の液面の上限及び下限を検出するためのフロートセンサ33と、を備えている。フロートセンサ33によって処理液の液面が下限を下回ったことが検出されると、処理液補充ポンプ34を動作させて処理液補充タンク30から処理液バッファタンク32へ一定量の処理液が補充され、処理液バッファタンク32内の液量が一定範囲に保たれる。また、フロートセンサ33によって処理液の液面が上限に達したことが検出されると、処理液バッファタンク32の液量異常として報知信号が制御系へ送出される。
【0050】
希釈液タンク42は、処理液補充タンク30と同様の密閉型の構造(内部の希釈液が消費された分だけ大気と置換される一方向弁などが組み込まれた構造)を有し、内部の希釈液をろ過するためのろ過フィルター42Aが具備されている。
【0051】
希釈液は、溶媒の蒸発等によって使用範囲濃度を超えて高濃度となった処理液を希釈する液体であり、蒸留水やイオン交換水などの水にジクロルイソシアヌル酸塩などの塩素系殺菌剤を添加したものが好適に用いられる。なお、希釈液は、使用範囲濃度よりも希釈された低濃度の処理液を適用してもよい。
【0052】
廃液タンク72は、塗布部12から排出される液体が集められるタンクである。廃液タンク72にも不図示の上限センサが具備されており、廃液タンク72内の液が上限センサの位置を超えるとその旨を報知する報知手段(ブザー、ランプ、報知信号を制御系へ送出する手段等)が具備されている。
【0053】
第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39は、図2に図示する制御系から送出される制御信号に応じて開閉が制御される制御弁が適用される.また、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、排出バルブ70、循環バルブ76もまた、制御弁が適用され、図2に図示する制御系から送出される制御信号に応じてその開閉が制御される。
【0054】
供給ポンプ40及び回収ポンプ68は、チュープポンプなど正逆両用型ポンプが適用される。供給ポンプ40及び回収ポンプ68の回転方向の切り換えによって、供給流路36、回収流路64に流れる液の方向は切り換え可能に構成されている。チューブポンプは、小型自給式であり、送液方向の切り換えが容易であり、装置の小型化、制御系の簡素化に寄与する。
【0055】
供給流路36内を通過する液の濃度を検出する濃度センサ48は、被検出対象の液体の濃度情報(濃度値)に応じたセンサ信号を出力する。処理液の濃度が、所定の濃度以上に検知された場合、希釈液を希釈液タンク42から補充する。希釈液は、希釈液供給ポンプ45を駆動させて希釈液供給流路44を介して、処理液バッファタンク32内に供給することで行う。
【0056】
供給部14は、供給ポンプ40の性能を評価するための第1の判定用タンク78、第1の判定用タンク供給流路80、第1の判定用タンク循環流路82を備える。第1の判定用タンク78には、センサ88を備え、供給された処理液の液面がセンサ88により測定される。第1の判定用タンク供給流路80は、第1の判定用タンク供給バルブ84で供給流路36と連通されている。また、判定に用いられた処理液を処理液バッファタンク32に戻すために、第1の判定用タンク循環流路82には、第1の判定用タンク循環バルブ86を備え、第1の判定用タンク78に供給された処理液の循環を行う。
【0057】
また、回収流路64側には、回収フィルター66と回収ポンプ68の性能を評価するための第2の判定用タンク90、第2の判定用タンク供給流路92、第2の判定用タンク循環流路94、を備える。第2の判定用タンク90には、センサ99を備え、供給された処理液の液面がセンサ99により測定される。第2の判定用タンク供給流路92は、第2の判定用タンク供給バルブ96a、96bにより循環流路74と連通されている。また、判定に用いられた処理液を処理液バッファタンク32に戻すため、第2の判定用タンク循環流路94には、第2の判定用タンク循環バルブ98を備え、第2の判定用タンク90に供給された処理液の循環を行う。
【0058】
〔制御系の説明〕
図2は、塗布装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。塗布装置10は、通信インターフェース200、システム制御部202、圧胴制御部204、塗布ローラ制御部206、バルブ制御部208、ポンプ制御部210、が備えられている。また、図2では図示を省略するが、各部の動作パラメータや設定値、得られた情報等が記憶される記憶部(メモリ)を備えている。
【0059】
通信インターフェース200は、ホストコンピュータ216から送られてくる制御データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース200の通信方式や形態は限定されるものではなく、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。
【0060】
システム制御部202は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従って塗布装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システム制御部202は、通信インターフェース200、圧胴制御部204等の各部を制御し、ホストコンピュータ216との間の通信制御、記憶部の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
【0061】
圧胴制御部204は、圧胴駆動部218を介して図1に図示した圧胴20の回転動作や媒体の動作を制御する。例えば、ジョブ(塗布動作)間の待機モードにおいて媒体検出センサ220により処理対象の媒体が検出されると、媒体の吸着動作が開始されるとともに、圧胴20の回転動作が塗布処理モードの動作に切り換えられる。
【0062】
塗布ローラ制御部206は、システム制御部202から送られた制御信号に基づいて、図1に図示した塗布ローラ22や供給ローラ26を駆動するローラ駆動部222を制御する。例えば、圧胴20に処理対象の媒体が供給されると、圧胴20の動作に応じて塗布ローラ22を圧胴20に押圧させるとともに圧胴20に供給ローラ26を押圧させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を所定の回転数で所定の回転方向に回転させる。また、塗布ローラ制御部206は、塗布ローラ22の離間や、塗布ローラ22及び供給ローラ26の回転速度を制御する。
【0063】
バルブ制御部208は、システム制御部202から送られた制御信号に基づいて、制御バルブ(第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39、洗浄液供給バルブ46、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、排出バルブ70、循環バルブ76、第1の判定用タンク供給バルブ84、第1の判定用タンク循環バルブ86、第2の判定用タンク供給バルブ96a、96b、第2の判定用タンク循環バルブ98)の開閉を制御する。
【0064】
ポンプ制御部210は、システム制御部202から送られた制御信号に基づいて、ポンプ211(処理液補充ポンプ34、供給ポンプ40、希釈液供給ポンプ45、回収ポンプ68、及び圧胴20に保持される媒体に吸着圧力を付与するポンプなどその他のポンプ)のオンオフ、回転速度、回転方向(正逆転制御可能なもの)を制御する。なお、システム制御部202によって、バルブの開閉タイミングや、ポンプのオンオフのタイミングの同期が取られるように制御される。
【0065】
図1に図示した処理液補充タンク30や処理液バッファタンク32、希釈液タンク42、廃液タンク72に設けられているフロートセンサ226(図1では、処理液バッファタンク32に設けられたフロートセンサに符号33を付して図示)によって、内部の液の液面が上限を超えたことが検出されると、その旨の検出信号がシステム制御部202に送られる。システム制御部202は、フロートセンサ226から送出される検出信号を受け取ると、ブザーやランプなどの報知手段(不図示)を動作させて、その旨を報知させる。
【0066】
一方、システム制御部202は、処理液バッファタンク32に設けられるフロートセンサ226から処理液の液面が下限を下回ったことを検出した旨の検出信号を受けると、処理液補充ポンプ34を動作させるようにポンプ制御部210へ制御信号を送出する。また、処理液補充タンク30及び希釈液タンク42に設けられたフロートセンサ226によって、内部の液の液面が下限を下回ったことを検出した旨の検出信号を受け取ると、ブザーやランプなどの報知手段を動作させて、その旨を報知させる。
【0067】
ここで、塗布部12の塗布処理の一連の流れを説明する。待機モード中は塗布ローラ22(図1参照)を圧胴20から離間させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を塗布動作中よりも遅い回転速度で回転させるとともに、処理液バッファタンク32と塗布皿24の間で処理液を循環させる。塗布皿24内の処理液を攪拌し、かつ、処理液を循環させることで、処理液の温度、濃度、粘度などの物性が均質に保たれ、処理液の溶質の固着が防止され、紙粉などの異物は回収フィルター66によってろ過される。
【0068】
なお、回収流路64内に回収フィルター66を介する必要性は、記録媒体への処理液付与時に、塗布ローラ22へのゴミ付着や、記録媒体のコート層が剥れて塗布ローラに付着したり、紙粉付着、ジャム時に用紙片混入があり得るため、回収フィルター66で除去しなければ、塗布障害が発生する場合があるからである。
【0069】
不図示の搬送系によって処理対象の媒体が搬送され、媒体検出センサ220によって媒体が検出されると塗布処理モードに移行し、媒体の搬送に同期して塗布ローラ22及び供給ローラ26を所定の回転速度で回転させるとともに、塗布ローラ22をニップさせる。塗布動作が終了して処理モードから待機モードに移行すると、塗布ローラ22を圧胴20から離間させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を減速させる。一方、塗布処理が終了すると、塗布部12の処理液は処理液バッファタンク32へ回収される。なお、塗布処理モード中は、処理液を循環させている。
【0070】
次に本例に示す塗布装置10の処理液の循環流路について説明する。
【0071】
図3は、処理液バッファタンク32から塗布部12へ処理液を供給する場合の循環供給流路を模式的に表した図である。以降、先に説明した部分と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、図3以降の図において太線で図示された流路は、矢印の方向へ液が流れることを表している。
【0072】
処理液塗布時、処理液循環時では、第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、循環バルブ76が開かれ、洗浄液供給バルブ46、第1の判定用タンク供給バルブ84、ドレインバルブ60、排出バルブ70、第2の判定用タンク供給バルブ96a、96bが閉じられ、供給ポンプ40及び回収ポンプ68を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、第2の処理液供給バルブ39、濃度センサ48、を経由して塗布部12の塗布皿24へ供給される。
【0073】
塗布皿24へ処理液が連続的に供給され、塗布皿24の液保持部24Aに一定量以上の処理液が供給されると、余剰の処理液はオーバーフロー部24Bへ流れ出し、オーバーフロー部24Bの排出口(不図示)、オーバーフローバルブ62、回収流路64、回収フィルター66、回収バルブ67、回収ポンプ68、循環流路74、循環バルブ76を経由して処理液バッファタンク32へ戻される。塗布部12の動作中において、かかる処理液の循環供給を行うことにより、供給ローラ26によって汲み上げられた分の処理液が遅滞なく補充され、塗布皿24の液保持部24Aの液面は一定の水位に保たれる。
【0074】
終了するときは、ドレインバルブ60が開かれ、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67及び循環バルブ76が開かれたまま、供給ポンプ40を停止させ、第1の処理液供給バルブ38が閉じられる。回収ポンプ68を一定期間正転動作させて処理液が処理液バッファタンク32へ回収されると、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、循環バルブ76が閉じられる。
【0075】
〔供給ポンプ判定の説明〕
図4は、供給ポンプ40の性能を判定する場合の処理液の循環を摸式的に表した図である。供給ポンプ40の判定を行う場合は、第1の処理液供給バルブ38、第1の判定用タンク供給バルブ84が開かれ、第2の処理液供給バルブ39、洗浄液供給バルブ46が閉じられ、供給ポンプ40を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、第1の判定用タンク供給バルブ84、を経由して第1の判定用タンク78へ供給される。
【0076】
供給ポンプ40の供給能力の判定は、第1の判定用タンク78に処理液が所定の量たまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第1の判定用タンク78に備えられたセンサ88により液面を検出することで行う。
【0077】
判定後は、第1の判定用タンク循環バルブ86を開き、第1の判定用タンク循環流路82を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0078】
〔回収ポンプ判定の説明〕
図5は、回収ポンプ68の性能を判定する場合の処理液の循環を摸式的に表した図である。回収ポンプ68の判定を行う場合は、循環バルブ76、第2の判定用タンク供給バルブ96aが開かれ、第2の判定用タンク供給バルブ96b、排出バルブ70、回収バルブ67閉じられ、回収ポンプ68を逆転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、循環バルブ76、回収ポンプ68、第2の判定用タンク供給バルブ96a、を経由して第2の判定用タンク90へ供給される。
【0079】
回収ポンプ68の供給能力の判定は、第2の判定用タンク90に所定の量の処理液がたまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第2の判定用タンク90内に備えられたセンサ99により液面を検出することで行う。
【0080】
判定後は、第2の判定用タンク循環バルブ98を開き、第2の判定用タンク循環流路94を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0081】
〔回収フィルター判定の説明〕
図6は、回収フィルター66の目詰まりを判定する場合の処理液の循環を摸式的に表した図である。回収フィルター66の判定を行う場合は、第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、第2の判定用タンク供給バルブ96bが開かれ、洗浄液供給バルブ46、第1の判定用タンク供給バルブ84、ドレインバルブ60、第2の判定用タンク供給バルブ96a、排出バルブ70、循環バルブ76が閉じられ、供給ポンプ40、回収ポンプ68を正転動作させる。処理液バッファタンク32の塗布液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、第2の処理液供給バルブ39、濃度センサ48、塗布皿24、オーバーフローバルブ62、回収フィルター66、回収ポンプ68、第2の判定用タンク供給バルブ96b、を経由して第2の判定用タンク90へ供給される。
【0082】
回収フィルター66の目詰まりの判定は、第2の判定用タンク90に所定の量の処理液がたまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第2の判定用タンク90内に備えられたセンサ99により液面を検出することで行う。
【0083】
判定後は、第2の判定用タンク循環バルブ98を開き、第2の判定用タンク循環流路94を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0084】
〔能力判定方法〕
上記で測定した供給ポンプ40、回収ポンプ68、回収フィルター66の能力の判定方法について説明する。なお、交換が必要と判定された際に交換を通知する表示手段を備えることが好ましい。
【0085】
上記により測定した数値から、下記の数値を計算する。
(1A)塗布ローラ22で記録媒体に供給する単位時間あたりの処理液の量(固定値)
(2A)供給ポンプ40で供給できる単位時間あたりの処理液の量(上記供給ポンプ判定により求める)
(3A)回収フィルター66を介さず回収ポンプ68で回収できる単位時間あたりの処理液の量(上記回収ポンプ判定により求める)
(4A)回収フィルター66を介して回収ポンプ68で回収できる単位時間あたりの処理液の量
図3で示した処理液の循環が行われている場合、下記の関係が設定されている。
【0086】
設定(I) (1A)<(2A)<(4A)
この設定(I)内であれば、供給ポンプ40の性能が落ちても記録媒体への付与量が減ることはなく、また、回収ポンプ68の性能が落ちたり、回収フィルター66が目詰まりしたりしても、塗布皿24から処理液がオーバーフローすることは無い。しかしながら、ポンプ40、68のへたりや、回収フィルター66の目詰まりにより、設定(I)が崩れた場合、塗布皿24からの処理液溢れや、塗布ローラ22への処理液供給不足が生じるため、あるタイミングで設定値を判定する必要がある。
【0087】
判定方法のフローチャートを図7に示す。先ず、S11で(1A)塗布ローラ22で塗布できる処理液の量と(2A)供給ポンプ40で供給できる処理液の量を比較する。供給ポンプ40で供給できる処理液の量が少ない場合は、供給ポンプ40の性能が落ちているので、供給ポンプ40の交換を行うように通知を行う。
【0088】
次に、供給ポンプ40の供給量が多い場合、および、S11で供給ポンプ40の交換を行った後、S12で(2A)供給ポンプ40で供給できる処理液の量と、(4A)回収フィルター66を介して回収ポンプ68で回収できる処理液の量(回収量)を比較する。(4A)回収できる処理液の量が多い場合は、塗布皿24から処理液がオーバーフローすることがないので、問題無く、処理液の塗布、循環を行うことができる。しかしながら、(2A)供給ポンプ40で供給できる量が多い場合は、塗布皿24からオーバーフローする可能性があるので、回収フィルター66と回収ポンプ68の判定を行う。
【0089】
S13では、(2A)供給ポンプ40で供給できる処理液の量と、(3A)回収フィルター66を介さずに回収ポンプ68で回収される処理液の量と、を比較する。(3A)回収ポンプ68で回収できる処理液の量が、(2A)供給ポンプ40で供給できる処理液の量より多い場合は、回収フィルター66の目詰まりにより、(4A)回収できる処理液の量が低くなっているので、回収フィルター66の交換を行うように通知を行う。逆に、(3A)回収ポンプ68で回収できる処理液の量が少ない場合は、回収ポンプ68の性能が低下しているので、回収ポンプ68の交換を行うように通知を行う。
【0090】
回収ポンプ68の交換を行った後、S12に戻り、再度、(2A)と(4A)の比較を行う。(4A)の処理液の量が多い場合は問題ないが、まだ(2A)の処理液の量が多い場合は、回収フィルター66が目詰まりしているため処理液の量が低下しているので、回収フィルター66の交換を行うように通知を行う。
【0091】
以上をまとめると、以下の条件の場合、各部材の交換を行うことが好ましい。
【0092】
通常運転時 (1A)<(2A)<(4A)
(1A)>(2A)の場合、供給ポンプ40の交換を通知
(1A)<(2A)>(4A)であり、かつ、(2A)<(3A)の場合、回収フィルター66の交換を通知
(1A)<(2A)>(4A)であり、かつ、(2A)>(3A)の場合、回収ポンプ68の交換を通知
このような、判定動作は、例えば、電源投入時、Jam時などの画像形成を行っていない時間に行うことが好ましい。
【0093】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す全体構成図である。図8に示す塗布装置310は、判定用のタンクが、第1の判定用タンク78の一つしか設けていない点が第1実施形態と異なっている。
【0094】
第2実施形態に示す塗布装置310で、各部材の性能判定を行う場合、供給ポンプ40の判定は、第1実施形態と同様の方法により行うことができる。回収ポンプ68、回収フィルター66の判定についても各バルブの開け方、処理液の流路内の経由の仕方は同じであるが、処理液を第1の判定用タンク78に送液することで単位時間あたりの液量を測定することで、計測することができる。なお、能力判定方法も第1実施形態と同様の方法により行うことができる。
【0095】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す全体構成図である。図9に示す塗布装置410は、複数の供給ポンプ40a、40b、・・・、複数の回収フィルター66a、66b、・・・、複数の回収フィルター切り替えバルブ465a、465b、・・・および複数の回収ポンプ68a、68b、・・・を備えている点が第1実施形態と異なっている。
【0096】
第3実施形態に示す塗布装置410で、各部材の判定は、第1実施形態と同様の方法により行うことができる。第1実施形態においては、各部材の判定で、能力が低下している場合は、通知を行う構成としたが、第3実施形態においては、能力が低下した供給ポンプ40、回収フィルター66および回収ポンプ68を、予備のポンプ、フィルターに変更することで、交換することなく、連続的に処理液の塗布、循環を行うことができる。なお、予備のポンプ、フィルターはそれぞれ2個でなく、複数搭載させることも可能である。
【0097】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す全体構成図である。図10に示す塗布装置510は、処理液の供給流路36内にも供給フィルター550が設けられている点が第1実施形態と異なっている。
【0098】
第4実施形態に示す塗布装置510では、処理液バッファタンク32から塗布部12へ処理液を供給する際は、第1の処理液供給バルブ38、供給フィルター切り替えバルブ552a、552b、第2の処理液供給バルブ39、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、および循環バルブ76が開かれ、洗浄液供給バルブ46、供給フィルター切り替えバルブ552c、第1の判定用タンク供給バルブ84、第2の判定用タンク供給バルブ96a、96b、および排出バルブ70が閉じられ、供給ポンプ40.および回収ポンプ68を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、供給フィルター切り替えバルブ552a、供給フィルター550、供給フィルター切り替えバルブ552c、第2の処理液供給バルブ39、濃度センサ48を経由して塗布部12の塗布皿24へ供給される。
【0099】
塗布皿24に供給された処理液は、第1実施形態の塗布装置と同様の方法により塗布皿24から処理液バッファタンク32に循環される。
【0100】
〔能力判定方法〕
続いて、各部剤の判定方法について説明する。第4実施形態については、下記の数値を測定する。
(1B)塗布ローラ22で記録媒体に供給する単位時間あたりの処理液の量(固定値)
(2B)供給フィルター550を介さず供給ポンプ40で供給できる単位時間あたりの処理液量
(3B)供給フィルター550を介して供給ポンプ40で供給できる単位時間あたりの処理液量
(4B)回収フィルター66を介さず回収ポンプ68で回収できる単位時間あたりの処理液の量
(5B)回収フィルター66を介して回収ポンプ68で回収できる単位時間あたりの処理液の量
(2B)供給フィルター550を介さず供給ポンプ40で供給できる処理液量の測定を行う場合は、第1の処理液供給バルブ38、供給フィルター切り替えバルブ552c、第1の判定用タンク供給バルブ84が開かれ、洗浄液供給バルブ46、供給フィルター切り替えバルブ552a、552b、第2の処理液供給バルブ39が閉じられ、供給ポンプ40を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、供給フィルター切り替えバルブ552c、第1の判定用タンク供給バルブ84、を経由して第1の判定用タンク78へ供給される。
【0101】
供給ポンプ40の供給能力の判定は、第1の判定用タンク78に処理液が所定の量たまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第1の判定用タンク78に備えられたセンサ88により液面を測定することで行う。
【0102】
判定後は、第1の判定用タンク循環バルブ86を開き、第1の判定用タンク循環流路82を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0103】
(3B)供給フィルター550を介して供給ポンプ40で供給できる処理液量の測定を行う場合は、第1の処理液供給バルブ38、供給フィルター切り替えバルブ552a、552b、第1の判定用タンク供給バルブ84が開かれ、洗浄液供給バルブ46、供給フィルター切り替えバルブ552c、第2の処理液供給バルブ39が閉じられ、供給ポンプ40を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、供給フィルター切り替えバルブ552a、供給フィルター550、供給フィルター切り替えバルブ552b、第1の判定用タンク供給バルブ84、を経由して第1の判定用タンク78へ供給され、第1の判定用タンク78に処理液が所定の量たまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第1の判定用タンク78に備えられたセンサ88により液面を測定することで行う。
【0104】
判定後は、第1の判定用タンク循環バルブ86を開き、第1の判定用タンク循環流路82を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0105】
(4B)回収フィルター66を介さず回収ポンプ68で回収できる処理液の量、および(5B)回収フィルター66を介して回収ポンプ68で回収できる処理液の量は、第1実施形態に示す(3A)、(3B)と同様の方法により測定することができる。
【0106】
処理液が塗布部12に供給され、余剰の処理液が処理液バッファタンク32に回収される処理液の循環が行われている場合、下記の関係が設定されている。
【0107】
設定(II) (1B)<(3B)<(5B)
この設定(II)内であれば、供給ポンプ40の性能が落ちたり、供給フィルター550が目詰まりしても、記録媒体への付与量が減ることがなく、また、回収ポンプ68の性能が落ちたり、回収フィルター66が目詰まりしても、塗布皿24から処理液がオーバーフローすることは無い。しかしながら、ポンプのへたりやフィルターの目詰まりにより、設定(II)が崩れた場合、塗布皿24からの処理液溢れや、塗布ローラ22への処理液供給不足が生じるため、設定値を判定する必要がある。
【0108】
判定方法のフローチャートを図11に示す。先ず、S21で、(1B)塗布ローラ22で塗布できる処理液の量と(3B)供給フィルター550を介して供給できる処理液の量を比較する。(3B)の処理液の量が少ない場合は、ポンプ40の性能が落ちているか、あるいは、供給フィルター550が目詰まりしているので、S22で(1B)の処理液の量と(2B)供給フィルター550を介さず供給ポンプ40で供給できる処理液の量を比較する。(2B)の処理液の量が、(1B)の処理液の量より多い場合は、供給ポンプ40は正常に作動しているが、供給フィルター550の目詰まりにより処理液の供給量が落ちているため、供給フィルター550の交換を通知する。逆に、(2B)の処理液の量が、(1B)の処理液の量より少ない場合は、ポンプの性能が落ちているため、供給ポンプ40の交換を通知する。また、この場合は、供給フィルター550が目詰まりしている場合も考えられるので、供給ポンプ40の交換後、S21に戻り(1B)の処理液と(3B)の処理液の量を比較し、(3B)の処理液量が少ない場合は、供給フィルター550の目詰まりが原因であると考えられるので、供給フィルター550の交換を通知する。
【0109】
次に、(3B)の処理液の量が(1B)の処理液の量より多い場合、およびS22で供給フィルター550の交換を行った後、回収フィルター66と回収ポンプ68の性能評価を行う。S23で(3B)の処理液の量と(5B)回収フィルター66を介して回収できる処理液の量を比較し、(3B)の処理液の量が(5B)の処理液の量より少ない場合は、処理液の供給量が回収量を上回っているので、処理液が塗布皿24からオーバーフローすることがないので、特に交換を行うことなく、作業を行うことができる。
【0110】
しかし、(3B)の処理液の量が(5B)の処理液の量より多い場合は、処理液の供給量が多いので、塗布皿24からオーバーフローする場合がある。したがって、回収ポンプ68の性能が落ちているか、回収フィルター66の目詰まりが原因か、判定を行う(S24)。
【0111】
回収側の判定については、第1実施形態と同様に、(3B)供給フィルター550を介して、供給ポンプ40で供給できる処理液の量と、(4B)回収フィルター66を介さず、回収ポンプ68で排出できる処理液の量と、を比較する。(3B)の処理液の量が<(4B)の処理液の量より少ない場合は、回収ポンプ68の性能は落ちていないが、回収フィルター66の目詰まりにより、処理液の回収量が低下しているので、回収フィルター66の交換を通知する。
【0112】
逆に、(3B)の処理液の量が(4B)の処理液の量より多い場合は、回収ポンプ68の性能が低下しているので、回収ポンプ68の交換を通知する。この場合、回収フィルター66も目詰まりしている場合が考えられるので、回収ポンプ68の交換後、S23に戻り(3B)の処理液の量と(5B)の処理液の量を比較し、(3B)の処理液の量が>(5B)処理液の量より多い場合は、回収フィルター66が目詰まりしているので、回収フィルター66の交換を通知する。
【0113】
以上をまとめると、
通常運転時 (1B)<(3B)<(5B)
(1B)>(3B)であり、(1B)>(2B)の場合、供給ポンプ40の交換を通知
(1B)>(3B)であり、(1B)<(2B)の場合、供給フィルター550の交換を通知
(1B)<(3B)>(5B)であり、かつ、(3B)<(4B)の場合、回収フィルター66の交換を通知
(1B)<(3B)>(5B)であり、かつ、(3B)>(4B)の場合、回収ポンプ68の交換を通知
なお、第4実施形態については、能力の低下した部材を通知する構成で説明したが、第3実施形態に示すように、複数の供給ポンプ、供給フィルター、回収ポンプ、回収フィルターを設け、能力の低下した部材を切り替える構成とすることも可能である。
【0114】
<インクジェット記録装置の全体構成>
次に上述した塗布装置10を記録媒体にカラー画像を形成するインクジェット記録装置に適用した構成例について説明する。以下に説明するインクジェット記録装置は、記録媒体に凝集処理剤を塗布する処理液塗布部へ上述した塗布装置を適用したものである。
【0115】
図12は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。
【0116】
このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
【0117】
図示のように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排出部122を備えて構成される。
【0118】
(給紙部)
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
【0119】
本例のインクジェット記録装置100では、記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
【0120】
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
【0121】
図12に示すように、処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
【0122】
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
【0123】
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
【0124】
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
【0125】
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(第2の搬送体)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
【0126】
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)とすることが好ましい。インク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
【0127】
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
【0128】
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0129】
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
【0130】
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図12に示すように、乾燥ドラム176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
【0131】
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
【0132】
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。
【0133】
各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
【0134】
また、乾燥ドラム176の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム176の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75度以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
【0135】
乾燥ドラム176の外周面に、記録媒体124の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
【0136】
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
【0137】
(定着部)
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
【0138】
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
【0139】
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
【0140】
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性熱可塑性樹脂微粒子を溶着し、インクを皮膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
【0141】
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子のTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、熱可塑性樹脂微粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
【0142】
なお、図12の実施形態では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みや熱可塑性樹脂微粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
【0143】
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
【0144】
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内の熱可塑性樹脂微粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度を50℃以上に設定することで、定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
【0145】
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させた場合は、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
【0146】
(排出部)
図12に示すように、定着部120に続いて排出部122が設けられている。排出部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
【0147】
また、図には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
【符号の説明】
【0148】
10、310、410、510…塗布装置、12…塗布部、14…供給部、20…圧胴、22…塗布ローラ、24…塗布皿、26…供給ローラ、30…処理液補充タンク、32…処理液バッファタンク、33…フロートセンサ、34…処理液補充ポンプ、36…供給流路、38…第1の処理液供給バルブ、39…第2の処理液供給バルブ、40…供給ポンプ、42…希釈液タンク、44…希釈液供給流路、45…希釈液供給ポンプ、46…洗浄液供給バルブ、47…洗浄液供給流路、48…濃度センサ、60…ドレインバルブ、62…オーバーフローバルブ、64…回収流路、66…回収フィルター、67…回収バルブ、68…回収ポンプ、70…排出バルブ、72…廃液タンク、74…循環流路、76…循環バルブ、78…第1の判定用タンク、80…第1の判定用タンク供給流路、82…第1の判定用タンク循環流路、84…第1の判定用タンク供給バルブ、86…第1の判定用タンク循環バルブ、88、99…センサ、90…第2の判定用タンク、92…第2の判定用タンク供給流路、94…第2の判定用タンク循環流路、96a、96b…第2の判定用タンク供給バルブ、98…第2の判定用タンク循環バルブ、100…インクジェット記録装置、112…給紙部、114…処理液付与部、116…描画部、118…乾燥部、120…定着部、122…排出部、124…記録媒体、154…処理液ドラム、156…処理液塗布装置、170…描画ドラム、172M、172K、172C、172Y…インクジェットヘッド、176…乾燥ドラム、180…温風噴出しノズル、182…IRヒータ、184…定着ドラム、186…ハロゲンヒータ、188…定着ローラ、192…排出トレイ、196…搬送ベルト、550…供給フィルター、552…供給フィルター切り替えバルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、液付与装置および画像形成装置、並びにポンプおよびフィルターの判定方法に係り、特に、記録媒体などに液を付与する液付与装置におけるメンテナンス技術、並びにこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、汎用の画像形成装置として、インクジェットヘッドから記録媒体上にインク液を吐出して所望の画像を形成するインクジェット記録装置が広く用いられている。インクジェット記録装置において、インクジェット方式を用いた各種媒体への良好な画像形成を目的として、処理液を用いた直接描画方式が検討されている。かかる直接描画方式は、処理液や他の処理液体を記録媒体上に付与し、これらの液体を乾燥させた後に、定着用ポリマー粒子を添加したインクを打滴して記録媒体上に画像を形成する。その後、インクに凝集反応が発生した後に加熱して記録媒体上の水分を除去し、さらに、ポリマー粒子を成膜して画像を記録媒体に固定する方式が好適である。また、上述した直接描画方式において処理液を付与する方法として、オフセット印刷機などで実績のあるローラ塗布が好適である。
【0003】
一方、処理液タンクと処理液塗布手段(ローラ塗布)との処理液供給系に設けられるポンプの能力が低下したり、フィルターが目詰まりすると、処理液の供給量、回収量が低下する。処理液の供給量が低下すると、記録媒体への処理液塗布量が低下したり、処理液の回収量が低下し塗布皿から処理液が溢れたりするため、あるタイミングで設定値を判定する必要がある。
【0004】
ポンプの液体流速(送液能力)を測定する構成、および、フィルター目詰まりを判定する手段として例えば、下記の特許文献1,2がある。下記の特許文献1には、流路内に設けられた流路センサを通過する液体の流通時間を計測して、チューブポンプによる液体流速(送液能力)を測定する構成を開示している。また、特許文献2では、フィルター目詰まりを判定する手段として、タンク内に設けられたセンサで、液面が所定の位置まで下がる時間を計測し、フィルターの性能を評価している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−133265号公報
【特許文献2】特開2007−236533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている測定は、チューブポンプの液体流速を測定する装置であり、チューブポンプの寿命判定については記載されていなかった。また、特許文献2に記載の方法では、チューブポンプを用いて送液すると、使用時間に応じて送液量が低下する(チューブを潰した後の復帰力で送液する原理なので、チューブのへたりが影響する)という問題に対して、フィルター目詰まりによる送液能力の低下なのか、チューブポンプ寿命による送液能力の低下なのか、判定することができなかった。
【0007】
このように、液供給流路と液回収流路とで、別々のポンプを使用し、さらに、液回収流路内にフィルターを介在する構成の場合、それぞれのポンプが使用時間に応じて別々に送液能力が低下するため、ポンプ寿命、フィルター目詰まりを判定することができなかった。
【0008】
また、処理液が供給された塗布手段の構造が、塗布皿に供給された液体の、オーバーフロー分だけを回収する構造である場合、チューブポンプの送液については、供給能力<回収能力とするのが一般的である。この場合、オーバーフローした液の回収側では、液体と空気の両方を吸い込んで回収を行うため、回収側のチューブポンプの送液能力、フィルター目詰まり判定が、従来の技術ではできていなかった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、液体供給流路のポンプ、液体回収流路のポンプ、フィルターの性能を個別に判断することができる液付与装置および画像形成装置、並びにポンプ及びフィルターの判定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、前記塗布手段に前記塗布液を供給する供給部と、前記塗布手段から前記塗布液を回収する回収部と、を有し、前記供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、前記回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする液付与装置を提供する。
【0011】
請求項1によれば、供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段を備えているので、供給部および回収部のそれぞれを能力が低下する限界まで使用することができるので、メンテナンス性を向上させ、コストを下げることができる。
【0012】
請求項2は請求項1において、前記供給部および前記回収部の少なくともいずれか一方にフィルターが設けられており、前記フィルターを介した流路と、前記フィルターを介さない流路と、の両方を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2によれば、供給部および回収部の少なくともいずれか一方に、フィルターを設け、さらに、塗布手段に塗布液を供給または回収する通常のフィルターを介した流路とは別に、フィルターを介さない流路を設けている。これにより、フィルターを介した流路とフィルターを介さない流路の処理液の送液量を判定することで、フィルターの目詰まりを判定することができる。
【0014】
請求項3は請求項1または2において、前記供給部および前記回収部の前記塗布液の送液にチューブポンプを用いることを特徴とする。
【0015】
チューブポンプは、使用によりチューブの復元力の低下が見られるので、使用によりポンプの送液能力の低下がないか、定期的に検査を行う必要がある。本発明においては、供給能力判定手段と回収能力判定手段を備えているので、送液能力の判定を別々に行うことができるので、メンテナンス性を向上させることができる。
【0016】
請求項4は請求項1から3いずれか1項において、前記供給能力判定手段および前記回収能力判定手段は、判定用のタンクを備え、前記塗布液が、前記判定用のタンクへ充填する時間を測定することで判定を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項4によれば、塗布液を供給または回収する流路とは別に、供給能力判定手段および回収能力判定手段に判定用のタンクを備えているので、このタンクに処理液が充填する時間を測定することで、送液能力を容易に測定することができる。
【0018】
請求項5は請求項2から4いずれか1項において、前記供給能力判定手段は、前記フィルターの目詰まり、および、前記チューブポンプの送液能力を判定することを特徴とする。
【0019】
請求項6は請求項2から5いずれか1項において、前記回収能力判定手段は、前記フィルターの目詰まり、および、前記チューブポンプの送液能力を判定することを特徴とする。
【0020】
請求項5または請求項6は、供給能力判定手段および回収能力判定手段により判定される部材を規定したものであり、フィルターの目詰まりおよびチューブポンプの送液能力を判定することで、各部分を効率的に判定することができる。
【0021】
請求項7は請求項5または6において、前記フィルターの目詰まり、または、前記チューブポンプの送液能力の低下を通知する表示手段を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項7によれば、供給能力判定手段または回収能力判定手段により、フィルターの目詰まり、または、チューブポンプの送液能力の低下が確認された場合、それを通知する表示手段を備えているので、通知された部材を交換することで、各部材を限界まで使用することができる。
【0023】
請求項8は請求項5または6において、複数のフィルター、および、複数のチューブポンプを備え、フィルターの目詰まりまたはチューブポンプの送液能力が低下した場合、他のフィルター、または、他のチューブポンプに切り替わる切り替え手段を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項8によれば、供給能力判定手段または回収能力判定手段により、フィルターの目詰まりまたはチューブポンプの送液能力の低下が確認された場合、他のフィルターまたはチューブポンプに切り替わる切り替え手段を備えているので、装置を停止する必要がなく、性能の低下した部材を交換することができる。
【0025】
請求項9は請求項1から8いずれか1項において、前記塗布液を蓄える塗布液バッファタンクを備え、前記塗布液バッファタンクと、前記供給部と、前記塗布手段と、前記回収部とで、前記塗布液が循環することを特徴とする。
【0026】
塗布液が、塗布液バッファタンク、供給部、塗布手段、回収部などを循環する循環系の場合、一部の部材で能力の低下が見られると、塗布液の循環が途中で停止し、塗布手段への塗布液の供給能力が低下したり、流路の途中でオーバーフローする場合がある。本発明のように、供給能力判定手段または回収能力判定手段を設けることで、性能が低下した部材を交換することができるので、効率よく塗布液の供給、塗布、回収を行うことができる。
【0027】
請求項10は前記目的を達成するために、記録媒体に処理液を付与する処理液付与手段と、前記処理液付与手段によって処理液が付与された記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記処理液付与手段へ処理液を供給する供給部と、前記処理液付与手段から前記処理液を回収する回収部と、前記供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、前記回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0028】
請求項10によれば、供給能力判定手段と回収能力判定手段を備える処理液付与手段により、安定して処理液を供給することができるので、品質の良好な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
【0029】
請求項11は前記目的を達成するために、塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、供給ポンプを有し前記塗布手段に前記塗布液を供給する供給部と、回収ポンプおよびフィルターを有し前記塗布手段から前記塗布液を回収する回収部と、を備える液付与装置のポンプおよびフィルターの判定方法であって、前記供給ポンプの送液量を測定する供給ポンプ測定工程と、前記フィルターを介さず回収ポンプの送液量を測定する回収ポンプ測定工程と、前記フィルターを介して回収ポンプの回収量を測定する回収量測定工程と、前記塗布手段による塗布量と、前記供給ポンプ測定工程により測定した塗布液の送液量と、前記回収ポンプ測定工程により測定した塗布液の送液量と、前記回収量測定工程により測定した塗布液の回収量をもとに、前記ポンプおよび前記フィルターの性能を判定する判定工程と、を有することを特徴とするポンプおよびフィルターの判定方法を提供する。
【0030】
請求項11によれば、液付与装置の各部材を介する塗布液の送液量を測定し、この測定した送液量より各部材の性能評価を行っているので、性能が低下した部材の判定を容易に行うことができる。したがって、低下した部材のみを交換することができるので、メンテナンス性を向上させることができ、コストを下げることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の液付与装置および画像形成装置、並びにポンプおよびフィルターの判定方法によれば、ポンプおよびフィルターを個別に性能の判定を行うことができるので、それぞれを限界能力まで使用することができる。したがって、メンテナンス性を向上させることができ、コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る塗布装置(液供給装置)の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す塗布装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【図3】図1に示す塗布装置の処理液の循環流路を説明する図である。
【図4】図1に示す塗布装置の供給ポンプの性能を判定する際の処理液の流路を説明する図である。
【図5】図1に示す塗布装置の回収ポンプの性能を判定する際の処理液の流路を説明する図である。
【図6】図1に示す塗布装置の回収量を測定する際の処理液の流路を説明する図である。
【図7】図1に示す塗布装置の判定方法を説明するフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る塗布装置の全体構成を示すブロック図である。
【図9】第3実施形態に係る塗布装置の全体構成を示すブロック図である。
【図10】第4実施形態に係る塗布装置の全体構成を示すブロック図である。
【図11】第4実施形態に係る塗布装置の判定方法を説明するフローチャート図である。
【図12】本発明の液付与装置が適用されたインクジェット記録装置を模式的に示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付図面に従って、本発明の好ましい実施の形態について詳説する。なお、以下では具体例として、インクジェット記録装置に用いられる処理液を塗布する処理液塗布手段を例にして説明するが、本発明はこれに限定されず、塗布液供給部、塗布手段、塗布液回収部を備える装置であれば適用することができる。
【0034】
<第1実施形態>
〔塗布装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る塗布装置10の概略構成を示す全体構成図である。
【0035】
図1に示す塗布装置10は、処理液を記録媒体の表面に塗布する塗布部12と、塗布部12に処理液を供給する供給部14と、を含んで構成されている。なお、塗布部12及び供給部14のそれぞれは、単独で液塗布装置、液供給装置として機能させることができる。
【0036】
塗布部12は、周面に媒体を保持する圧胴20と、圧胴20に保持された記録媒体に接触して処理液を塗布する塗布ローラ22と、塗布皿24に充填されている処理液を汲み上げて塗布ローラ22に供給する供給ローラ26と、を含んで構成される。
【0037】
供給部14は、補充用の処理液が貯留される処理液補充タンク30と、処理液補充タンク30から処理液バッファタンク32へ処理液を送液するための処理液補充ポンプ34と、処理液バッファタンク32から塗布部12へ送られる処理液の流路となる供給流路36と、供給流路36を開閉するための第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39と、処理液バッファタンク32から塗布部12へ送られる処理液に圧力を付与する供給ポンプ40と、を含んで構成される。
【0038】
また、処理液の濃度を調整するために処理液バッファタンク32へ供給される希釈液が、希釈液タンク42に貯留されており、希釈液供給流路44を介して希釈液供給ポンプ45により圧力が付与され、処理液バッファタンク32に供給される。また、希釈液供給流路44は、洗浄液供給流路47を介して、供給流路36と連通している。洗浄液供給流路47は、洗浄液供給流路47を開閉するための洗浄液供給バルブ46が設けられている。
【0039】
供給流路36には、供給流路36を通過する液の濃度を測定するための濃度センサ48が設けられており、濃度センサ48によって濃度値が監視されるように構成されている。
【0040】
塗布部12に設けられる塗布皿24の排出口(不図示)は、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62を介して回収流路64と連通されている。回収流路64は、廃液タンク72と連通されるとともに、回収フィルター66、回収バルブ67、回収ポンプ68、排出バルブ70が設けられている。また、回収流路64は循環流路74と連通され、循環流路74に設けられた循環バルブ76を介して処理液バッファタンク32と連通されている。
【0041】
〔塗布部の構成〕
次に、図1に図示される塗布部12の構成について詳細に説明する。
【0042】
圧胴20は、周面に記録媒体を保持するための多数の吸着穴が設けられている記録媒体保持領域を具備し、吸着穴から記録媒体に対して真空ポンプ(不図示)から負圧が付与され記録媒体が保持されるように構成されている。圧胴20は円筒のドラム形状を有し、不図示の回転機構により符号Aを付して図示した反時計回りに回転させることで、周面に保持された記録媒体を圧胴20の回転方向に沿って移動させる。
【0043】
塗布ローラ22は、その表面が所定量の処理液を保持することができる材質(例えば、ゴム)で構成され、不図示の回転機構によって圧胴20と反対方向(符号Bを付して図示した時計回り方向)に回転駆動可能に構成されている。塗布ローラ22を所定の回転速度で回転させながら、圧胴20に保持された記録媒体に所定の押圧で押し当てて、記録媒体の表面に処理液が塗布される。
【0044】
塗布皿24は、供給部14から供給された処理液が貯留される部材であり、処理液が保持される液保持部24Aと、液保持部24Aからオーバーフローした処理液が集められるオーバーフロー部24Bと、液保持部24Aとオーバーフロー部24Bとを区画している仕切板24Cと、を含んで構成される。液保持部24Aの処理液の液面高さが仕切板24Cに設けられた開口部24Dの位置に達すると、開口部24Dからオーバーフロー部24Bへ処理液が流れ込み、液保持部24A内の処理液の液面高さが一定に保たれる。
【0045】
液保持部24Aの底面には処理液を排出するための排出口(不図示)が設けられ、オーバーフロー部24Bの底面にも処理液を排出するための排出口(不図示)が設けられている。液保持部24A及びオーバーフロー部24Bの排出口は、それぞれドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62と接続され、回収流路64と連通される。
【0046】
供給ローラ26は、クロムやセラミックでメッキ(又はコート)された表面、もしくはステンレス材の表面に、図示しない細かい溝(セル)が形成されたアニロックスローラが適用される。供給ローラ26は、その表面の一部が塗布皿24の中の処理液に浸漬され、符号Cを付して図示した塗布ローラ22と反対の反時計回り方向に回転させることで、溝の中に保持された処理液を汲み上げる。供給ローラ26の表面が塗布ローラ22に接触すると、供給ローラ26の溝に保持された処理液は塗布ローラ22の表面に転写される。なお、供給ローラ26に液量を調整するためにブレードを付勢させてもよい。
【0047】
〔供給部の構成〕
次に、供給部14の構成について詳細に説明する。
【0048】
処理液補充タンク30は、内部の処理液が消費された分だけ大気と置換される一方向弁などが組み込まれた密閉型の構造を有し、その内部には処理液をろ過するためのろ過フィルター30Aが具備されている。また、処理液補充タンク30はフロートセンサ(図示せず)を具備し、処理液を補充する際の液面の上限を検出することができ、かつ、処理液を消費したときの液面の下限を検出することができる。液面の上限又は下限が検出されるとその旨を報知する報知手段(ブザー、ランプ、報知信号を制御系へ送出する手段等)が具備されている。
【0049】
処理液バッファタンク32は、内部の処理液をろ過するためのろ過フィルター32Aと、処理液の液面の上限及び下限を検出するためのフロートセンサ33と、を備えている。フロートセンサ33によって処理液の液面が下限を下回ったことが検出されると、処理液補充ポンプ34を動作させて処理液補充タンク30から処理液バッファタンク32へ一定量の処理液が補充され、処理液バッファタンク32内の液量が一定範囲に保たれる。また、フロートセンサ33によって処理液の液面が上限に達したことが検出されると、処理液バッファタンク32の液量異常として報知信号が制御系へ送出される。
【0050】
希釈液タンク42は、処理液補充タンク30と同様の密閉型の構造(内部の希釈液が消費された分だけ大気と置換される一方向弁などが組み込まれた構造)を有し、内部の希釈液をろ過するためのろ過フィルター42Aが具備されている。
【0051】
希釈液は、溶媒の蒸発等によって使用範囲濃度を超えて高濃度となった処理液を希釈する液体であり、蒸留水やイオン交換水などの水にジクロルイソシアヌル酸塩などの塩素系殺菌剤を添加したものが好適に用いられる。なお、希釈液は、使用範囲濃度よりも希釈された低濃度の処理液を適用してもよい。
【0052】
廃液タンク72は、塗布部12から排出される液体が集められるタンクである。廃液タンク72にも不図示の上限センサが具備されており、廃液タンク72内の液が上限センサの位置を超えるとその旨を報知する報知手段(ブザー、ランプ、報知信号を制御系へ送出する手段等)が具備されている。
【0053】
第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39は、図2に図示する制御系から送出される制御信号に応じて開閉が制御される制御弁が適用される.また、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、排出バルブ70、循環バルブ76もまた、制御弁が適用され、図2に図示する制御系から送出される制御信号に応じてその開閉が制御される。
【0054】
供給ポンプ40及び回収ポンプ68は、チュープポンプなど正逆両用型ポンプが適用される。供給ポンプ40及び回収ポンプ68の回転方向の切り換えによって、供給流路36、回収流路64に流れる液の方向は切り換え可能に構成されている。チューブポンプは、小型自給式であり、送液方向の切り換えが容易であり、装置の小型化、制御系の簡素化に寄与する。
【0055】
供給流路36内を通過する液の濃度を検出する濃度センサ48は、被検出対象の液体の濃度情報(濃度値)に応じたセンサ信号を出力する。処理液の濃度が、所定の濃度以上に検知された場合、希釈液を希釈液タンク42から補充する。希釈液は、希釈液供給ポンプ45を駆動させて希釈液供給流路44を介して、処理液バッファタンク32内に供給することで行う。
【0056】
供給部14は、供給ポンプ40の性能を評価するための第1の判定用タンク78、第1の判定用タンク供給流路80、第1の判定用タンク循環流路82を備える。第1の判定用タンク78には、センサ88を備え、供給された処理液の液面がセンサ88により測定される。第1の判定用タンク供給流路80は、第1の判定用タンク供給バルブ84で供給流路36と連通されている。また、判定に用いられた処理液を処理液バッファタンク32に戻すために、第1の判定用タンク循環流路82には、第1の判定用タンク循環バルブ86を備え、第1の判定用タンク78に供給された処理液の循環を行う。
【0057】
また、回収流路64側には、回収フィルター66と回収ポンプ68の性能を評価するための第2の判定用タンク90、第2の判定用タンク供給流路92、第2の判定用タンク循環流路94、を備える。第2の判定用タンク90には、センサ99を備え、供給された処理液の液面がセンサ99により測定される。第2の判定用タンク供給流路92は、第2の判定用タンク供給バルブ96a、96bにより循環流路74と連通されている。また、判定に用いられた処理液を処理液バッファタンク32に戻すため、第2の判定用タンク循環流路94には、第2の判定用タンク循環バルブ98を備え、第2の判定用タンク90に供給された処理液の循環を行う。
【0058】
〔制御系の説明〕
図2は、塗布装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。塗布装置10は、通信インターフェース200、システム制御部202、圧胴制御部204、塗布ローラ制御部206、バルブ制御部208、ポンプ制御部210、が備えられている。また、図2では図示を省略するが、各部の動作パラメータや設定値、得られた情報等が記憶される記憶部(メモリ)を備えている。
【0059】
通信インターフェース200は、ホストコンピュータ216から送られてくる制御データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース200の通信方式や形態は限定されるものではなく、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。
【0060】
システム制御部202は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従って塗布装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システム制御部202は、通信インターフェース200、圧胴制御部204等の各部を制御し、ホストコンピュータ216との間の通信制御、記憶部の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
【0061】
圧胴制御部204は、圧胴駆動部218を介して図1に図示した圧胴20の回転動作や媒体の動作を制御する。例えば、ジョブ(塗布動作)間の待機モードにおいて媒体検出センサ220により処理対象の媒体が検出されると、媒体の吸着動作が開始されるとともに、圧胴20の回転動作が塗布処理モードの動作に切り換えられる。
【0062】
塗布ローラ制御部206は、システム制御部202から送られた制御信号に基づいて、図1に図示した塗布ローラ22や供給ローラ26を駆動するローラ駆動部222を制御する。例えば、圧胴20に処理対象の媒体が供給されると、圧胴20の動作に応じて塗布ローラ22を圧胴20に押圧させるとともに圧胴20に供給ローラ26を押圧させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を所定の回転数で所定の回転方向に回転させる。また、塗布ローラ制御部206は、塗布ローラ22の離間や、塗布ローラ22及び供給ローラ26の回転速度を制御する。
【0063】
バルブ制御部208は、システム制御部202から送られた制御信号に基づいて、制御バルブ(第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39、洗浄液供給バルブ46、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、排出バルブ70、循環バルブ76、第1の判定用タンク供給バルブ84、第1の判定用タンク循環バルブ86、第2の判定用タンク供給バルブ96a、96b、第2の判定用タンク循環バルブ98)の開閉を制御する。
【0064】
ポンプ制御部210は、システム制御部202から送られた制御信号に基づいて、ポンプ211(処理液補充ポンプ34、供給ポンプ40、希釈液供給ポンプ45、回収ポンプ68、及び圧胴20に保持される媒体に吸着圧力を付与するポンプなどその他のポンプ)のオンオフ、回転速度、回転方向(正逆転制御可能なもの)を制御する。なお、システム制御部202によって、バルブの開閉タイミングや、ポンプのオンオフのタイミングの同期が取られるように制御される。
【0065】
図1に図示した処理液補充タンク30や処理液バッファタンク32、希釈液タンク42、廃液タンク72に設けられているフロートセンサ226(図1では、処理液バッファタンク32に設けられたフロートセンサに符号33を付して図示)によって、内部の液の液面が上限を超えたことが検出されると、その旨の検出信号がシステム制御部202に送られる。システム制御部202は、フロートセンサ226から送出される検出信号を受け取ると、ブザーやランプなどの報知手段(不図示)を動作させて、その旨を報知させる。
【0066】
一方、システム制御部202は、処理液バッファタンク32に設けられるフロートセンサ226から処理液の液面が下限を下回ったことを検出した旨の検出信号を受けると、処理液補充ポンプ34を動作させるようにポンプ制御部210へ制御信号を送出する。また、処理液補充タンク30及び希釈液タンク42に設けられたフロートセンサ226によって、内部の液の液面が下限を下回ったことを検出した旨の検出信号を受け取ると、ブザーやランプなどの報知手段を動作させて、その旨を報知させる。
【0067】
ここで、塗布部12の塗布処理の一連の流れを説明する。待機モード中は塗布ローラ22(図1参照)を圧胴20から離間させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を塗布動作中よりも遅い回転速度で回転させるとともに、処理液バッファタンク32と塗布皿24の間で処理液を循環させる。塗布皿24内の処理液を攪拌し、かつ、処理液を循環させることで、処理液の温度、濃度、粘度などの物性が均質に保たれ、処理液の溶質の固着が防止され、紙粉などの異物は回収フィルター66によってろ過される。
【0068】
なお、回収流路64内に回収フィルター66を介する必要性は、記録媒体への処理液付与時に、塗布ローラ22へのゴミ付着や、記録媒体のコート層が剥れて塗布ローラに付着したり、紙粉付着、ジャム時に用紙片混入があり得るため、回収フィルター66で除去しなければ、塗布障害が発生する場合があるからである。
【0069】
不図示の搬送系によって処理対象の媒体が搬送され、媒体検出センサ220によって媒体が検出されると塗布処理モードに移行し、媒体の搬送に同期して塗布ローラ22及び供給ローラ26を所定の回転速度で回転させるとともに、塗布ローラ22をニップさせる。塗布動作が終了して処理モードから待機モードに移行すると、塗布ローラ22を圧胴20から離間させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を減速させる。一方、塗布処理が終了すると、塗布部12の処理液は処理液バッファタンク32へ回収される。なお、塗布処理モード中は、処理液を循環させている。
【0070】
次に本例に示す塗布装置10の処理液の循環流路について説明する。
【0071】
図3は、処理液バッファタンク32から塗布部12へ処理液を供給する場合の循環供給流路を模式的に表した図である。以降、先に説明した部分と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、図3以降の図において太線で図示された流路は、矢印の方向へ液が流れることを表している。
【0072】
処理液塗布時、処理液循環時では、第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、循環バルブ76が開かれ、洗浄液供給バルブ46、第1の判定用タンク供給バルブ84、ドレインバルブ60、排出バルブ70、第2の判定用タンク供給バルブ96a、96bが閉じられ、供給ポンプ40及び回収ポンプ68を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、第2の処理液供給バルブ39、濃度センサ48、を経由して塗布部12の塗布皿24へ供給される。
【0073】
塗布皿24へ処理液が連続的に供給され、塗布皿24の液保持部24Aに一定量以上の処理液が供給されると、余剰の処理液はオーバーフロー部24Bへ流れ出し、オーバーフロー部24Bの排出口(不図示)、オーバーフローバルブ62、回収流路64、回収フィルター66、回収バルブ67、回収ポンプ68、循環流路74、循環バルブ76を経由して処理液バッファタンク32へ戻される。塗布部12の動作中において、かかる処理液の循環供給を行うことにより、供給ローラ26によって汲み上げられた分の処理液が遅滞なく補充され、塗布皿24の液保持部24Aの液面は一定の水位に保たれる。
【0074】
終了するときは、ドレインバルブ60が開かれ、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67及び循環バルブ76が開かれたまま、供給ポンプ40を停止させ、第1の処理液供給バルブ38が閉じられる。回収ポンプ68を一定期間正転動作させて処理液が処理液バッファタンク32へ回収されると、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、循環バルブ76が閉じられる。
【0075】
〔供給ポンプ判定の説明〕
図4は、供給ポンプ40の性能を判定する場合の処理液の循環を摸式的に表した図である。供給ポンプ40の判定を行う場合は、第1の処理液供給バルブ38、第1の判定用タンク供給バルブ84が開かれ、第2の処理液供給バルブ39、洗浄液供給バルブ46が閉じられ、供給ポンプ40を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、第1の判定用タンク供給バルブ84、を経由して第1の判定用タンク78へ供給される。
【0076】
供給ポンプ40の供給能力の判定は、第1の判定用タンク78に処理液が所定の量たまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第1の判定用タンク78に備えられたセンサ88により液面を検出することで行う。
【0077】
判定後は、第1の判定用タンク循環バルブ86を開き、第1の判定用タンク循環流路82を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0078】
〔回収ポンプ判定の説明〕
図5は、回収ポンプ68の性能を判定する場合の処理液の循環を摸式的に表した図である。回収ポンプ68の判定を行う場合は、循環バルブ76、第2の判定用タンク供給バルブ96aが開かれ、第2の判定用タンク供給バルブ96b、排出バルブ70、回収バルブ67閉じられ、回収ポンプ68を逆転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、循環バルブ76、回収ポンプ68、第2の判定用タンク供給バルブ96a、を経由して第2の判定用タンク90へ供給される。
【0079】
回収ポンプ68の供給能力の判定は、第2の判定用タンク90に所定の量の処理液がたまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第2の判定用タンク90内に備えられたセンサ99により液面を検出することで行う。
【0080】
判定後は、第2の判定用タンク循環バルブ98を開き、第2の判定用タンク循環流路94を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0081】
〔回収フィルター判定の説明〕
図6は、回収フィルター66の目詰まりを判定する場合の処理液の循環を摸式的に表した図である。回収フィルター66の判定を行う場合は、第1の処理液供給バルブ38、第2の処理液供給バルブ39、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、第2の判定用タンク供給バルブ96bが開かれ、洗浄液供給バルブ46、第1の判定用タンク供給バルブ84、ドレインバルブ60、第2の判定用タンク供給バルブ96a、排出バルブ70、循環バルブ76が閉じられ、供給ポンプ40、回収ポンプ68を正転動作させる。処理液バッファタンク32の塗布液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、第2の処理液供給バルブ39、濃度センサ48、塗布皿24、オーバーフローバルブ62、回収フィルター66、回収ポンプ68、第2の判定用タンク供給バルブ96b、を経由して第2の判定用タンク90へ供給される。
【0082】
回収フィルター66の目詰まりの判定は、第2の判定用タンク90に所定の量の処理液がたまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第2の判定用タンク90内に備えられたセンサ99により液面を検出することで行う。
【0083】
判定後は、第2の判定用タンク循環バルブ98を開き、第2の判定用タンク循環流路94を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0084】
〔能力判定方法〕
上記で測定した供給ポンプ40、回収ポンプ68、回収フィルター66の能力の判定方法について説明する。なお、交換が必要と判定された際に交換を通知する表示手段を備えることが好ましい。
【0085】
上記により測定した数値から、下記の数値を計算する。
(1A)塗布ローラ22で記録媒体に供給する単位時間あたりの処理液の量(固定値)
(2A)供給ポンプ40で供給できる単位時間あたりの処理液の量(上記供給ポンプ判定により求める)
(3A)回収フィルター66を介さず回収ポンプ68で回収できる単位時間あたりの処理液の量(上記回収ポンプ判定により求める)
(4A)回収フィルター66を介して回収ポンプ68で回収できる単位時間あたりの処理液の量
図3で示した処理液の循環が行われている場合、下記の関係が設定されている。
【0086】
設定(I) (1A)<(2A)<(4A)
この設定(I)内であれば、供給ポンプ40の性能が落ちても記録媒体への付与量が減ることはなく、また、回収ポンプ68の性能が落ちたり、回収フィルター66が目詰まりしたりしても、塗布皿24から処理液がオーバーフローすることは無い。しかしながら、ポンプ40、68のへたりや、回収フィルター66の目詰まりにより、設定(I)が崩れた場合、塗布皿24からの処理液溢れや、塗布ローラ22への処理液供給不足が生じるため、あるタイミングで設定値を判定する必要がある。
【0087】
判定方法のフローチャートを図7に示す。先ず、S11で(1A)塗布ローラ22で塗布できる処理液の量と(2A)供給ポンプ40で供給できる処理液の量を比較する。供給ポンプ40で供給できる処理液の量が少ない場合は、供給ポンプ40の性能が落ちているので、供給ポンプ40の交換を行うように通知を行う。
【0088】
次に、供給ポンプ40の供給量が多い場合、および、S11で供給ポンプ40の交換を行った後、S12で(2A)供給ポンプ40で供給できる処理液の量と、(4A)回収フィルター66を介して回収ポンプ68で回収できる処理液の量(回収量)を比較する。(4A)回収できる処理液の量が多い場合は、塗布皿24から処理液がオーバーフローすることがないので、問題無く、処理液の塗布、循環を行うことができる。しかしながら、(2A)供給ポンプ40で供給できる量が多い場合は、塗布皿24からオーバーフローする可能性があるので、回収フィルター66と回収ポンプ68の判定を行う。
【0089】
S13では、(2A)供給ポンプ40で供給できる処理液の量と、(3A)回収フィルター66を介さずに回収ポンプ68で回収される処理液の量と、を比較する。(3A)回収ポンプ68で回収できる処理液の量が、(2A)供給ポンプ40で供給できる処理液の量より多い場合は、回収フィルター66の目詰まりにより、(4A)回収できる処理液の量が低くなっているので、回収フィルター66の交換を行うように通知を行う。逆に、(3A)回収ポンプ68で回収できる処理液の量が少ない場合は、回収ポンプ68の性能が低下しているので、回収ポンプ68の交換を行うように通知を行う。
【0090】
回収ポンプ68の交換を行った後、S12に戻り、再度、(2A)と(4A)の比較を行う。(4A)の処理液の量が多い場合は問題ないが、まだ(2A)の処理液の量が多い場合は、回収フィルター66が目詰まりしているため処理液の量が低下しているので、回収フィルター66の交換を行うように通知を行う。
【0091】
以上をまとめると、以下の条件の場合、各部材の交換を行うことが好ましい。
【0092】
通常運転時 (1A)<(2A)<(4A)
(1A)>(2A)の場合、供給ポンプ40の交換を通知
(1A)<(2A)>(4A)であり、かつ、(2A)<(3A)の場合、回収フィルター66の交換を通知
(1A)<(2A)>(4A)であり、かつ、(2A)>(3A)の場合、回収ポンプ68の交換を通知
このような、判定動作は、例えば、電源投入時、Jam時などの画像形成を行っていない時間に行うことが好ましい。
【0093】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す全体構成図である。図8に示す塗布装置310は、判定用のタンクが、第1の判定用タンク78の一つしか設けていない点が第1実施形態と異なっている。
【0094】
第2実施形態に示す塗布装置310で、各部材の性能判定を行う場合、供給ポンプ40の判定は、第1実施形態と同様の方法により行うことができる。回収ポンプ68、回収フィルター66の判定についても各バルブの開け方、処理液の流路内の経由の仕方は同じであるが、処理液を第1の判定用タンク78に送液することで単位時間あたりの液量を測定することで、計測することができる。なお、能力判定方法も第1実施形態と同様の方法により行うことができる。
【0095】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す全体構成図である。図9に示す塗布装置410は、複数の供給ポンプ40a、40b、・・・、複数の回収フィルター66a、66b、・・・、複数の回収フィルター切り替えバルブ465a、465b、・・・および複数の回収ポンプ68a、68b、・・・を備えている点が第1実施形態と異なっている。
【0096】
第3実施形態に示す塗布装置410で、各部材の判定は、第1実施形態と同様の方法により行うことができる。第1実施形態においては、各部材の判定で、能力が低下している場合は、通知を行う構成としたが、第3実施形態においては、能力が低下した供給ポンプ40、回収フィルター66および回収ポンプ68を、予備のポンプ、フィルターに変更することで、交換することなく、連続的に処理液の塗布、循環を行うことができる。なお、予備のポンプ、フィルターはそれぞれ2個でなく、複数搭載させることも可能である。
【0097】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す全体構成図である。図10に示す塗布装置510は、処理液の供給流路36内にも供給フィルター550が設けられている点が第1実施形態と異なっている。
【0098】
第4実施形態に示す塗布装置510では、処理液バッファタンク32から塗布部12へ処理液を供給する際は、第1の処理液供給バルブ38、供給フィルター切り替えバルブ552a、552b、第2の処理液供給バルブ39、オーバーフローバルブ62、回収バルブ67、および循環バルブ76が開かれ、洗浄液供給バルブ46、供給フィルター切り替えバルブ552c、第1の判定用タンク供給バルブ84、第2の判定用タンク供給バルブ96a、96b、および排出バルブ70が閉じられ、供給ポンプ40.および回収ポンプ68を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、供給フィルター切り替えバルブ552a、供給フィルター550、供給フィルター切り替えバルブ552c、第2の処理液供給バルブ39、濃度センサ48を経由して塗布部12の塗布皿24へ供給される。
【0099】
塗布皿24に供給された処理液は、第1実施形態の塗布装置と同様の方法により塗布皿24から処理液バッファタンク32に循環される。
【0100】
〔能力判定方法〕
続いて、各部剤の判定方法について説明する。第4実施形態については、下記の数値を測定する。
(1B)塗布ローラ22で記録媒体に供給する単位時間あたりの処理液の量(固定値)
(2B)供給フィルター550を介さず供給ポンプ40で供給できる単位時間あたりの処理液量
(3B)供給フィルター550を介して供給ポンプ40で供給できる単位時間あたりの処理液量
(4B)回収フィルター66を介さず回収ポンプ68で回収できる単位時間あたりの処理液の量
(5B)回収フィルター66を介して回収ポンプ68で回収できる単位時間あたりの処理液の量
(2B)供給フィルター550を介さず供給ポンプ40で供給できる処理液量の測定を行う場合は、第1の処理液供給バルブ38、供給フィルター切り替えバルブ552c、第1の判定用タンク供給バルブ84が開かれ、洗浄液供給バルブ46、供給フィルター切り替えバルブ552a、552b、第2の処理液供給バルブ39が閉じられ、供給ポンプ40を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、供給フィルター切り替えバルブ552c、第1の判定用タンク供給バルブ84、を経由して第1の判定用タンク78へ供給される。
【0101】
供給ポンプ40の供給能力の判定は、第1の判定用タンク78に処理液が所定の量たまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第1の判定用タンク78に備えられたセンサ88により液面を測定することで行う。
【0102】
判定後は、第1の判定用タンク循環バルブ86を開き、第1の判定用タンク循環流路82を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0103】
(3B)供給フィルター550を介して供給ポンプ40で供給できる処理液量の測定を行う場合は、第1の処理液供給バルブ38、供給フィルター切り替えバルブ552a、552b、第1の判定用タンク供給バルブ84が開かれ、洗浄液供給バルブ46、供給フィルター切り替えバルブ552c、第2の処理液供給バルブ39が閉じられ、供給ポンプ40を正転動作させる。処理液バッファタンク32の処理液は、第1の処理液供給バルブ38、供給ポンプ40、供給フィルター切り替えバルブ552a、供給フィルター550、供給フィルター切り替えバルブ552b、第1の判定用タンク供給バルブ84、を経由して第1の判定用タンク78へ供給され、第1の判定用タンク78に処理液が所定の量たまるまでの時間を測定することで行う。測定は、第1の判定用タンク78に備えられたセンサ88により液面を測定することで行う。
【0104】
判定後は、第1の判定用タンク循環バルブ86を開き、第1の判定用タンク循環流路82を経由して処理液は処理液バッファタンク32に戻される。
【0105】
(4B)回収フィルター66を介さず回収ポンプ68で回収できる処理液の量、および(5B)回収フィルター66を介して回収ポンプ68で回収できる処理液の量は、第1実施形態に示す(3A)、(3B)と同様の方法により測定することができる。
【0106】
処理液が塗布部12に供給され、余剰の処理液が処理液バッファタンク32に回収される処理液の循環が行われている場合、下記の関係が設定されている。
【0107】
設定(II) (1B)<(3B)<(5B)
この設定(II)内であれば、供給ポンプ40の性能が落ちたり、供給フィルター550が目詰まりしても、記録媒体への付与量が減ることがなく、また、回収ポンプ68の性能が落ちたり、回収フィルター66が目詰まりしても、塗布皿24から処理液がオーバーフローすることは無い。しかしながら、ポンプのへたりやフィルターの目詰まりにより、設定(II)が崩れた場合、塗布皿24からの処理液溢れや、塗布ローラ22への処理液供給不足が生じるため、設定値を判定する必要がある。
【0108】
判定方法のフローチャートを図11に示す。先ず、S21で、(1B)塗布ローラ22で塗布できる処理液の量と(3B)供給フィルター550を介して供給できる処理液の量を比較する。(3B)の処理液の量が少ない場合は、ポンプ40の性能が落ちているか、あるいは、供給フィルター550が目詰まりしているので、S22で(1B)の処理液の量と(2B)供給フィルター550を介さず供給ポンプ40で供給できる処理液の量を比較する。(2B)の処理液の量が、(1B)の処理液の量より多い場合は、供給ポンプ40は正常に作動しているが、供給フィルター550の目詰まりにより処理液の供給量が落ちているため、供給フィルター550の交換を通知する。逆に、(2B)の処理液の量が、(1B)の処理液の量より少ない場合は、ポンプの性能が落ちているため、供給ポンプ40の交換を通知する。また、この場合は、供給フィルター550が目詰まりしている場合も考えられるので、供給ポンプ40の交換後、S21に戻り(1B)の処理液と(3B)の処理液の量を比較し、(3B)の処理液量が少ない場合は、供給フィルター550の目詰まりが原因であると考えられるので、供給フィルター550の交換を通知する。
【0109】
次に、(3B)の処理液の量が(1B)の処理液の量より多い場合、およびS22で供給フィルター550の交換を行った後、回収フィルター66と回収ポンプ68の性能評価を行う。S23で(3B)の処理液の量と(5B)回収フィルター66を介して回収できる処理液の量を比較し、(3B)の処理液の量が(5B)の処理液の量より少ない場合は、処理液の供給量が回収量を上回っているので、処理液が塗布皿24からオーバーフローすることがないので、特に交換を行うことなく、作業を行うことができる。
【0110】
しかし、(3B)の処理液の量が(5B)の処理液の量より多い場合は、処理液の供給量が多いので、塗布皿24からオーバーフローする場合がある。したがって、回収ポンプ68の性能が落ちているか、回収フィルター66の目詰まりが原因か、判定を行う(S24)。
【0111】
回収側の判定については、第1実施形態と同様に、(3B)供給フィルター550を介して、供給ポンプ40で供給できる処理液の量と、(4B)回収フィルター66を介さず、回収ポンプ68で排出できる処理液の量と、を比較する。(3B)の処理液の量が<(4B)の処理液の量より少ない場合は、回収ポンプ68の性能は落ちていないが、回収フィルター66の目詰まりにより、処理液の回収量が低下しているので、回収フィルター66の交換を通知する。
【0112】
逆に、(3B)の処理液の量が(4B)の処理液の量より多い場合は、回収ポンプ68の性能が低下しているので、回収ポンプ68の交換を通知する。この場合、回収フィルター66も目詰まりしている場合が考えられるので、回収ポンプ68の交換後、S23に戻り(3B)の処理液の量と(5B)の処理液の量を比較し、(3B)の処理液の量が>(5B)処理液の量より多い場合は、回収フィルター66が目詰まりしているので、回収フィルター66の交換を通知する。
【0113】
以上をまとめると、
通常運転時 (1B)<(3B)<(5B)
(1B)>(3B)であり、(1B)>(2B)の場合、供給ポンプ40の交換を通知
(1B)>(3B)であり、(1B)<(2B)の場合、供給フィルター550の交換を通知
(1B)<(3B)>(5B)であり、かつ、(3B)<(4B)の場合、回収フィルター66の交換を通知
(1B)<(3B)>(5B)であり、かつ、(3B)>(4B)の場合、回収ポンプ68の交換を通知
なお、第4実施形態については、能力の低下した部材を通知する構成で説明したが、第3実施形態に示すように、複数の供給ポンプ、供給フィルター、回収ポンプ、回収フィルターを設け、能力の低下した部材を切り替える構成とすることも可能である。
【0114】
<インクジェット記録装置の全体構成>
次に上述した塗布装置10を記録媒体にカラー画像を形成するインクジェット記録装置に適用した構成例について説明する。以下に説明するインクジェット記録装置は、記録媒体に凝集処理剤を塗布する処理液塗布部へ上述した塗布装置を適用したものである。
【0115】
図12は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。
【0116】
このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
【0117】
図示のように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排出部122を備えて構成される。
【0118】
(給紙部)
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
【0119】
本例のインクジェット記録装置100では、記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
【0120】
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
【0121】
図12に示すように、処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
【0122】
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
【0123】
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
【0124】
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
【0125】
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(第2の搬送体)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
【0126】
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)とすることが好ましい。インク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
【0127】
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
【0128】
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0129】
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
【0130】
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図12に示すように、乾燥ドラム176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
【0131】
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
【0132】
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。
【0133】
各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
【0134】
また、乾燥ドラム176の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム176の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75度以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
【0135】
乾燥ドラム176の外周面に、記録媒体124の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
【0136】
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
【0137】
(定着部)
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
【0138】
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
【0139】
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
【0140】
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性熱可塑性樹脂微粒子を溶着し、インクを皮膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
【0141】
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子のTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、熱可塑性樹脂微粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
【0142】
なお、図12の実施形態では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みや熱可塑性樹脂微粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
【0143】
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
【0144】
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内の熱可塑性樹脂微粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度を50℃以上に設定することで、定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
【0145】
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させた場合は、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
【0146】
(排出部)
図12に示すように、定着部120に続いて排出部122が設けられている。排出部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
【0147】
また、図には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
【符号の説明】
【0148】
10、310、410、510…塗布装置、12…塗布部、14…供給部、20…圧胴、22…塗布ローラ、24…塗布皿、26…供給ローラ、30…処理液補充タンク、32…処理液バッファタンク、33…フロートセンサ、34…処理液補充ポンプ、36…供給流路、38…第1の処理液供給バルブ、39…第2の処理液供給バルブ、40…供給ポンプ、42…希釈液タンク、44…希釈液供給流路、45…希釈液供給ポンプ、46…洗浄液供給バルブ、47…洗浄液供給流路、48…濃度センサ、60…ドレインバルブ、62…オーバーフローバルブ、64…回収流路、66…回収フィルター、67…回収バルブ、68…回収ポンプ、70…排出バルブ、72…廃液タンク、74…循環流路、76…循環バルブ、78…第1の判定用タンク、80…第1の判定用タンク供給流路、82…第1の判定用タンク循環流路、84…第1の判定用タンク供給バルブ、86…第1の判定用タンク循環バルブ、88、99…センサ、90…第2の判定用タンク、92…第2の判定用タンク供給流路、94…第2の判定用タンク循環流路、96a、96b…第2の判定用タンク供給バルブ、98…第2の判定用タンク循環バルブ、100…インクジェット記録装置、112…給紙部、114…処理液付与部、116…描画部、118…乾燥部、120…定着部、122…排出部、124…記録媒体、154…処理液ドラム、156…処理液塗布装置、170…描画ドラム、172M、172K、172C、172Y…インクジェットヘッド、176…乾燥ドラム、180…温風噴出しノズル、182…IRヒータ、184…定着ドラム、186…ハロゲンヒータ、188…定着ローラ、192…排出トレイ、196…搬送ベルト、550…供給フィルター、552…供給フィルター切り替えバルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、
前記塗布手段に前記塗布液を供給する供給部と、
前記塗布手段から前記塗布液を回収する回収部と、を有し、
前記供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、前記回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする液付与装置。
【請求項2】
前記供給部および前記回収部の少なくともいずれか一方にフィルターが設けられており、前記フィルターを介した流路と、前記フィルターを介さない流路と、の両方を備えることを特徴とする請求項1に記載の液付与装置。
【請求項3】
前記供給部および前記回収部の前記塗布液の送液にチューブポンプを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の液付与装置。
【請求項4】
前記供給能力判定手段および前記回収能力判定手段は、判定用のタンクを備え、前記塗布液が、前記判定用のタンクへ充填する時間を測定することで判定を行うことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の液付与装置。
【請求項5】
前記供給能力判定手段は、前記フィルターの目詰まり、および、前記チューブポンプの送液能力を判定することを特徴とする請求項2から4いずれか1項に記載の液付与装置。
【請求項6】
前記回収能力判定手段は、前記フィルターの目詰まり、および、前記チューブポンプの送液能力を判定することを特徴とする請求項2から5いずれか1項に記載の液付与装置。
【請求項7】
前記フィルターの目詰まり、または、前記チューブポンプの送液能力の低下を通知する表示手段を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の液付与装置。
【請求項8】
複数のフィルター、および、複数のチューブポンプを備え、フィルターの目詰まり、または、チューブポンプの送液能力が低下した場合、他のフィルターまたは他のチューブポンプに切り替わる切り替え手段を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の液付与装置。
【請求項9】
前記塗布液を蓄える塗布液バッファタンクを備え、
前記塗布液バッファタンクと、前記供給部と、前記塗布手段と、前記回収部とで、前記塗布液が循環することを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載の液付与装置。
【請求項10】
記録媒体に処理液を付与する処理液付与手段と、
前記処理液付与手段によって処理液が付与された記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記処理液付与手段へ処理液を供給する供給部と、
前記処理液付与手段から前記処理液を回収する回収部と、
前記供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、前記回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、供給ポンプを有し前記塗布手段に前記塗布液を供給する供給部と、回収ポンプおよびフィルターを有し前記塗布手段から前記塗布液を回収する回収部と、を備える液付与装置のポンプおよびフィルターの判定方法であって、
前記供給ポンプの送液量を測定する供給ポンプ測定工程と、
前記フィルターを介さず回収ポンプの送液量を測定する回収ポンプ測定工程と、
前記フィルターを介して回収ポンプの送液量を測定する回収量測定工程と、
前記塗布手段による塗布量と、前記供給ポンプ測定工程により測定した塗布液の送液量と、前記回収ポンプ測定工程により測定した塗布液の送液量と、前記回収量測定工程により測定した塗布液の回収量をもとに、前記ポンプおよび前記フィルターの性能を判定する判定工程と、を有することを特徴とするポンプおよびフィルターの判定方法。
【請求項1】
塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、
前記塗布手段に前記塗布液を供給する供給部と、
前記塗布手段から前記塗布液を回収する回収部と、を有し、
前記供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、前記回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする液付与装置。
【請求項2】
前記供給部および前記回収部の少なくともいずれか一方にフィルターが設けられており、前記フィルターを介した流路と、前記フィルターを介さない流路と、の両方を備えることを特徴とする請求項1に記載の液付与装置。
【請求項3】
前記供給部および前記回収部の前記塗布液の送液にチューブポンプを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の液付与装置。
【請求項4】
前記供給能力判定手段および前記回収能力判定手段は、判定用のタンクを備え、前記塗布液が、前記判定用のタンクへ充填する時間を測定することで判定を行うことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の液付与装置。
【請求項5】
前記供給能力判定手段は、前記フィルターの目詰まり、および、前記チューブポンプの送液能力を判定することを特徴とする請求項2から4いずれか1項に記載の液付与装置。
【請求項6】
前記回収能力判定手段は、前記フィルターの目詰まり、および、前記チューブポンプの送液能力を判定することを特徴とする請求項2から5いずれか1項に記載の液付与装置。
【請求項7】
前記フィルターの目詰まり、または、前記チューブポンプの送液能力の低下を通知する表示手段を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の液付与装置。
【請求項8】
複数のフィルター、および、複数のチューブポンプを備え、フィルターの目詰まり、または、チューブポンプの送液能力が低下した場合、他のフィルターまたは他のチューブポンプに切り替わる切り替え手段を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の液付与装置。
【請求項9】
前記塗布液を蓄える塗布液バッファタンクを備え、
前記塗布液バッファタンクと、前記供給部と、前記塗布手段と、前記回収部とで、前記塗布液が循環することを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載の液付与装置。
【請求項10】
記録媒体に処理液を付与する処理液付与手段と、
前記処理液付与手段によって処理液が付与された記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記処理液付与手段へ処理液を供給する供給部と、
前記処理液付与手段から前記処理液を回収する回収部と、
前記供給部の送液能力を判定する供給能力判定手段と、前記回収部の送液能力を判定する回収能力判定手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
塗布液を記録媒体に塗布する塗布手段と、供給ポンプを有し前記塗布手段に前記塗布液を供給する供給部と、回収ポンプおよびフィルターを有し前記塗布手段から前記塗布液を回収する回収部と、を備える液付与装置のポンプおよびフィルターの判定方法であって、
前記供給ポンプの送液量を測定する供給ポンプ測定工程と、
前記フィルターを介さず回収ポンプの送液量を測定する回収ポンプ測定工程と、
前記フィルターを介して回収ポンプの送液量を測定する回収量測定工程と、
前記塗布手段による塗布量と、前記供給ポンプ測定工程により測定した塗布液の送液量と、前記回収ポンプ測定工程により測定した塗布液の送液量と、前記回収量測定工程により測定した塗布液の回収量をもとに、前記ポンプおよび前記フィルターの性能を判定する判定工程と、を有することを特徴とするポンプおよびフィルターの判定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−201234(P2011−201234A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72510(P2010−72510)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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