説明

液位センサ

【課題】本発明は、液位センサをエンジンオイル等を充填したオイルパンに浸漬した状態で長期にわたって使用した場合でも、出力が変動してしまうということはなく、信頼性の面で優れている液位センサを提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の液位センサは、液位測定電極22を設けた検出素子21を覆う第1のラミネートフィルム35および第2のラミネートフィルム38を少なくとも2層構造にするとともに、前記第1のラミネートフィルム35における検出素子21と当接する側の層を、検出素子21と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、建築機械、航空機等のエンジンオイル、ギアオイル、トルコンオイル、CVTオイル、ブレーキオイル等の種々のオイルの液位を検出する液位センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の液位センサは、図10に示すように構成されていた。
【0003】
図10において、1は検出素子で、この検出素子1には、所定の間隔を設けるように配置された櫛歯形状の一対の液位を検出する液位測定電極2を上方から下方にわたって設けている。また、前記液位測定電極2の上端には第1の接続部3を設けている。そしてまた、前記検出素子1には、前記液位測定電極2のさらに下方に位置して、互いに所定の間隔を設けるように配置された櫛歯形状の一対の被検出物質である液体の静電容量を検出する液体容量検出電極4を設けており、そしてこの液体容量検出電極4は、被測定液の誘電率のみに依存する出力信号を第2の接続部5を介して外部に出力するものである。
【0004】
以上のように構成された従来の液位センサについて、次にその動作を説明する。
【0005】
液位センサを液位を測定するオイルパン(図示せず)に浸漬した状態において、液体容量検出電極4により、被測定液の液質に応じた誘電率を測定して外部に設けられた演算装置(図示せず)に記憶する。次に、液位測定電極2により、被測定液の液位に応じた誘電率の変化を測定して、液体容量検出電極4の出力信号と比較して演算することにより、オイルパン(図示せず)に浸漬した被測定液の液位を測定するようにしていた。
【0006】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開昭63−79016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の液位センサにおいては、液位センサをエンジンオイル等を充填したオイルパン(図示せず)に浸漬した状態で長期にわたって使用した場合、液位測定電極2および液体容量検出電極4が被検出物質であるエンジンオイル等に直接接触することになり、これにより、液位測定電極2および液体容量検出電極4が膨潤するため、液位測定電極2および液体容量検出電極4から検出される容量値が変動することになり、これにより、液位センサの出力が変動してしまうという課題を有していた。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、液位センサをエンジンオイル等を充填したオイルパンに浸漬した状態で長期にわたって使用した場合でも、出力が変動してしまうということはなく、信頼性の面で優れている液位センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、立設した検出素子と、この検出素子の一側面に設けられた一対の櫛歯形状の液位測定電極と、前記検出素子の全面を覆うように設けたラミネートフィルムとを有し、かつ前記ラミネートフィルムを少なくとも2層構造にするとともに、ラミネートフィルムにおける前記検出素子と当接する側の層を、検出素子と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成したもので、この構成によれば、検出素子の全面をラミネートフィルムで覆っているため、液位センサをエンジンオイル等を充填したオイルパンに浸漬した状態で長期にわたって使用した場合でも、液位測定電極が被検出物質であるエンジンオイル等に直接接触するということはなくなり、これにより、液位測定電極が膨潤するということはないため、液位測定電極から検出される容量値は安定することになり、これにより、液位センサの出力信号は安定したものが得られる。また、前記ラミネートフィルムは少なくとも2層構造にするとともに、ラミネートフィルムにおける前記検出素子と当接する側の層を、検出素子と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成しているため、この低融点の材料同士が融着されることになり、その結果、このラミネートフィルムによって検出素子を容易に保護することができるという作用効果を有するものである。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、ラミネートフィルムにおける検出素子と当接する側の低融点の材料で構成された層の厚みを液位測定電極の膜厚よりも大きくしたもので、この構成によれば、低融点の材料で構成された検出素子と当接する側の層を互いに融着させる際に、溶融したラミネートフィルムが櫛歯形状の液位測定電極間に侵入することになり、これにより、液位測定電極間に空気層が生じることはなくなるため、空気層による誘電率の変化の影響を受けることはなくなり、その結果、出力精度を向上させることができるという作用効果を有するものである。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、立設した検出素子と、この検出素子の一側面に設けられた一対の櫛歯形状の液位測定電極と、前記検出素子の一側面に前記液位測定電極の上方に位置して設けられた一対の空気容量検出電極と、前記検出素子の一側面に前記液位測定電極の下方に位置して設けられた一対の液体容量検出電極と、前記検出素子の全面を覆うように設けたラミネートフィルムとを有し、かつ前記ラミネートフィルムを少なくとも2層構造にするとともに、ラミネートフィルムにおける前記検出素子と当接する側の層を、検出素子と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成したもので、この構成によれば、検出素子の全面をラミネートフィルムで覆っているため、液位センサをエンジンオイル等を充填したオイルパンに浸漬した状態で長期にわたって使用した場合でも、液位測定電極および液体容量検出電極が被検出物質であるエンジンオイル等に直接接触するということはなくなり、これにより、液位測定電極および液体容量検出電極が膨潤するということはないため、液位測定電極および液体容量検出電極から検出される容量値は安定することになり、これにより、液位センサの出力信号は安定したものが得られる。また、前記ラミネートフィルムは少なくとも2層構造にするとともに、ラミネートフィルムにおける前記検出素子と当接する側の層を、検出素子と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成しているため、この低融点の材料同士が融着されることになり、その結果、このラミネートフィルムによって検出素子を容易に保護することができるという作用効果を有するものである。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、低融点ラミネートフィルムと高融点ラミネートフィルムとを積層した第1のラミネートフィルムと、低融点ラミネートフィルムと高融点ラミネートフィルムとを積層した第2のラミネートフィルムとを有し、かつ前記第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムとを互いに融着させるとともに、第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムのいずれか一方に液位測定電極を設けたもので、この構成によれば、第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムとを互いに融着させるようにしているため、この低融点の材料同士が融着されることになり、その結果、このラミネートフィルムによって検出素子を容易に保護することができ、また、第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムのいずれか一方に液位測定電極を設けているため、検出素子を別個に設ける必要はなくなり、これにより、液位センサの部品点数を削減することができるという作用効果を有するものである。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、低融点ラミネートフィルムと高融点ラミネートフィルムとを積層した第1のラミネートフィルムと、高融点ラミネートフィルムからなる第2のラミネートフィルムとを有し、かつ前記第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとを互いに融着させるとともに、第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムのいずれか一方に液位測定電極を設けたもので、この構成によれば、第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとを互いに融着させるようにしているため、前記低融点ラミネートフィルムが溶融して高融点融着フィルムと融着されることになり、その結果、このラミネートフィルムによって検出素子を容易に保護することができ、また、第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムのいずれか一方に液位測定電極を設けているため、検出素子を別個に設ける必要はなくなり、これにより、液位センサの部品点数を削減することができるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明の液位センサは、立設した検出素子と、この検出素子の一側面に設けられた一対の櫛歯形状の液位測定電極と、前記検出素子の全面を覆うように設けたラミネートフィルムとを有し、かつ前記ラミネートフィルムを少なくとも2層構造にするとともに、ラミネートフィルムにおける前記検出素子と当接する側の層を、検出素子と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成したもので、この構成によれば、検出素子の全面をラミネートフィルムで覆っているため、液位センサをエンジンオイル等を充填したオイルパンに浸漬した状態で長期にわたって使用した場合でも、液位測定電極が被検出物質であるエンジンオイル等に直接接触するということはなくなり、これにより、液位測定電極が膨潤するということはないため、液位測定電極から検出される容量値は安定することになり、これにより、液位センサの出力信号は安定したものが得られる。また、前記ラミネートフィルムは少なくとも2層構造にするとともに、ラミネートフィルムにおける前記検出素子と当接する側の層を、検出素子と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成しているため、この低融点の材料同士が融着されることになり、その結果、このラミネートフィルムによって検出素子を容易に保護することができる液位センサを提供することができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜3に記載の発明について説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態1における液位センサの斜視図、図2は同液位センサの側断面図、図3は同液位センサにおける検出素子の上面図、図4は同液位センサにおける検出素子の側断面図、図5は同液位センサにおける検出素子をラミネートフィルムで覆った状態を示す側断面図、図6は同液位センサにおける検出素子と回路基板とを接続する状態を示す部分拡大側断面図である。
【0018】
図1〜図6において、21はポリイミドフィルムからなる略長方形状の厚みが約20μmである検出素子で、この検出素子21は、図3に示すように、立設した検出素子21の略中央の位置に、互いに0.5mmの間隔を設けるように配置された櫛歯形状の膜厚が約15μmのカーボンからなる一対の液位測定電極22を上方から下方にわたって設けており、そしてこの液位測定電極22により被検出物質の液位を検出するようにしている。また、前記液位測定電極22の一方は第1の延出部23を介して第1の接続部24と接続され、かつ他方は共通延出部25を介して銀からなる共通接続部26に接続されている。そして、図4に示すように、前記第1の延出部23は、銀からなる第1延出層23aと、この第1延出層23aの上面に積層されたカーボンからなる第2延出層23bとで構成されている。また、同様に、前記共通延出部25は、銀からなる第1延出層25aと、この第1延出層25aの上面に積層されたカーボンからなる第2延出層25bとで構成されている。そしてまた、前記検出素子21には、前記液位測定電極22のさらに上方に位置して、互いに0.5mmの間隔を設けるように配置された櫛歯形状のカーボンからなり、かつ空気の容量を検出する一対の膜厚が約15μmの空気容量検出電極27を設けている。そして、この空気容量検出電極27の一方は第2の延出部28を介して銀からなる第2の接続部29に接続され、かつ他方は前記共通延出部25を介して共通接続部26に接続されている。そして、図4に示すように、前記第2の延出部28は、銀からなる第1延出層28aと、この第1延出層28aの上面に積層されたカーボンからなる第2延出層28bとで構成されている。さらに、前記検出素子21には、前記液位測定電極22のさらに下方に位置して、互いに0.5mmの間隔を設けるように配置された櫛歯形状のカーボンからなる一対の膜厚が約15μmの液体容量検出電極30を設けており、この液体容量検出電極30により液体の容量を検出するようにしている。そして、この液体容量検出電極30の一方は、第3の延出部31を介して銀からなる第3の接続部32に接続され、かつ他方は前記共通延出部25を介して共通接続部26に接続されている。そして、図4に示すように、前記第3の延出部32は、銀からなる第1延出層32aと、この第1延出層32aの上面に積層されたカーボンからなる第2延出層32bとで構成されている。
【0019】
そしてまた、前記検出素子21の上面には、図3,図4に示すように、前記第3の延出部31と並列に感度調整延出部33を設けており、かつこの感度調整延出部33は一端を銀からなる感度調整接続部34と電気的に接続している。また、この感度調整延出部33は、図4に示すように、銀からなる第1延出層33aと、この第1延出層33aの上面に積層されたカーボンからなる第2延出層33bとで構成されている。
【0020】
35はポリフェニレンスルファイドで構成した第1のラミネートフィルムで、この第1のラミネートフィルム35は、図5に示すように、融点が約245℃である厚みが約30μmの低融点ラミネートフィルム36と融点が295℃である厚みが約60μmの高融点ラミネートフィルム37とを積層して構成するとともに、前記低融点ラミネートフィルム36を検出素子21に当接させているものである。38はポリフェニレンスルファイドで構成した第2のラミネートフィルムで、この第2のラミネートフィルム38は融点が245℃である厚みが約30μmの低融点ラミネートフィルム39と融点が295℃である厚みが約60μmの高融点ラミネートフィルム40とを積層して構成するとともに、前記低融点ラミネートフィルム36を検出素子21、液位測定電極22、空気容量検出電極27および液体容量検出電極30に当接させているものである。また、前記第1のラミネートフィルム35における低融点ラミネートフィルム36と、第2のラミネートフィルム38における低融点ラミネートフィルム39とを互いに融着させるようにしているものである。この場合、前記第1のラミネートフィルム35および第2のラミネートフィルム38をポリフェニレンスルファイドで構成しているため、耐油性、耐薬品性に優れたものが得られ、これにより、液位センサの信頼性を向上させることができるという効果が得られるものである。
【0021】
41は回路基板で、この回路基板41には、図6に示すように、下端に位置して接続電極42を設けており、そしてこの接続電極42をはんだにより前記検出素子21における第1の接続部24、共通接続部26、第2の接続部29および第3の接続部32に電気的に接続している。また、前記回路基板41には図2に示すように、IC43および固定抵抗44を設けており、そして、このIC43により、液位測定電極22、空気容量検出電極27および液体容量検出電極30から検出される容量の変化を被検出溶液(図示せず)の液位の変化に応じた出力信号に変換するようにしている。45はケースで、このケース45は前記検出素子21および回路基板41を内側に収納している。46は押さえバネで、この押さえバネ46は前記ケース45の内側に収納されるとともに、図6に示すように、前記検出素子21における第1の接続部24、共通接続部26、第2の接続部29および第3の接続部32を回路基板41における接続電極42に圧接させているものである。
【0022】
上記のように構成された本発明の実施の形態1における液位センサにおいて、次に、その組立方法を説明する。
【0023】
まず、ポリイミドフィルムからなる検出素子21に厚膜印刷工法によりAgペーストを印刷した後、約180℃で約1時間焼成することにより、検出素子21の上面に、第1の延出部23における第1延出層23a、共通延出部25における第1延出層25a、第1の接続部24、共通接続部26、第2の延出部28における第1延出層28a、第2の接続部29、第3の延出部31における第1延出層31a、第3の接続部32、感度調整延出部33における第1延出層31aおよび感度調整接続部34を形成する。
【0024】
次に、検出素子21の上面に厚圧印刷工法によりカーボンペーストを印刷した後、約180℃で約1時間焼成することにより、第1の延出部23における第2延出層23b、共通延出部25における第2延出層25b、第2の延出部28における第2延出層28b、第3の延出部31における第1延出層31b、感度調整延出部33における第2延出層33b、液位測定電極22、空気容量検出電極27および液体容量検出電極30を形成する。
【0025】
次に、第1のラミネートフィルム35における低融点ラミネートフィルム36を検出素子21に当接させるとともに、第2のラミネートフィルム38における低融点ラミネートフィルム39を検出素子21、液位測定電極22、空気容量検出電極27および液体容量検出電極30に当接させた後、第1のラミネートフィルム35および第2のラミネートフィルム38を約245℃に加熱したヒートプレート(図示せず)で約30秒間挟んで、第1のラミネートフィルム35における低融点ラミネートフィルム36と第2のラミネートフィルム38における低融点ラミネートフィルム39とを互いに融着させる。この場合、検出素子21と当接する側の層を低融点の材料で構成しているため、低融点の材料同士が融着されることになり、その結果、この第1のラミネートフィルム35および第2のラミネートフィルム38によって検出素子21を容易に保護することができるという効果が得られるものである。
【0026】
また、前記第2のラミネートフィルム38における検出素子21と当接する側の低融点の材料で構成された層の厚みを30μmとし、液位測定電極22の膜厚15μmよりも大きくしているため、低融点の材料で構成した検出素子21と当接する側の第1のラミネートフィルム35における低融点ラミネートフィルム36と第2のラミネートフィルム38における低融点フィルム39とを互いに融着させる際に、溶融した低融点ラミネートフィルム39が櫛歯形状の液位測定電極22間に侵入することになり、これにより、液位測定電極22間に空気層が生じることはなくなるため、空気層による誘電率の変化の影響を受けることはなくなり、その結果、出力精度を向上させることができるものである。
【0027】
次に、予め、IC43および固定抵抗44を実装した回路基板41における接続電極42を検出素子21における第1の接続部24、共通接続部26、第2の接続部29および第3の接続部32にはんだ付けする。
【0028】
最後に、前記回路基板41および検出素子21をケース45に収納した後、回路基板41と検出素子21とのはんだ付け部の機械的な接続を補強するように、押さえバネ46をケース45の内側に装着する。
【0029】
以上のようにして組み立てられた本発明の実施の形態1における液位センサについて、次に、その動作を説明する。
【0030】
図7に示すように、液位センサをオイルパン47に設置した後、オイルパン47にエンジンオイル48を充填する。なお、この液位センサにおける一対の液位測定電極22間は簡易コンデンサを構成しているため、液位測定電極22間は、(数1)に示す式で表される。
【0031】
【数1】

【0032】
上記した本発明の実施の形態1における液位センサにおいて、まず、オイルパン47に満たされたエンジンオイル48の液位を検出する原理を説明する。
【0033】
エンジンオイル48の初期状態における誘電率は2.15であり、さらに第1のラミネートフィルム35および第2のラミネートフィルム38の誘電率は3.0である。一方、ポリイミドフィルムからなる検出素子21の誘電率は3.5であるため、オイルパン47にエンジンオイル48が満タンに満たされた状態においては、検出素子21に結合された液位測定電極22および液体容量検出電極30間に発生する誘電率は8.65となる。
【0034】
そして、このエンジンオイル48がオイルパン47に満タンに満たされた状態から、エンジンオイル48の液位が減少してくると、この減少に伴って液位測定電極22の空気と接する面積は大きくなる。この場合、空気の誘電率は1であるため、液位測定電極22の全てが空気中に露出した状態においては、液位測定電極22および空気容量検出電極27間に発生する誘電率は7.5となる。すなわち、エンジンオイル48の液位が順次減少するに従い、液位測定電極22間の誘電率は8.65から7.5に減少していくため、液位測定電極22間に発生する静電容量も減少する。この場合、液位測定電極22間に発生する静電容量を、空気容量検出電極27間および液体容量検出電極30間に発生する静電容量と、回路基板41におけるIC43とによって比較演算することにより、オイルパン47におけるエンジンオイル48の液位を検出することができるものである。
【0035】
なお、本発明の実施の形態1における液位センサにおいては、第1のラミネートフィルム35における低融点ラミネートフィルム39および第2のラミネートフィルム38における低融点ラミネートフィルム39をポリフェニレンスルファイドで構成しているが、これに限定されるものではなく、これ以外の例えば、低融点の材料であるポリエチレン樹脂で構成した場合でも同様の効果が得られるものである。
【0036】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項4に記載の発明について、説明する。図8は本発明の実施の形態2における液位センサの検出素子をラミネートフィルムで覆った状態を示す側断面図である。なお、本発明の実施の形態2において、上記した本発明の実施の形態1と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0037】
図8において、51は第1のラミネートフィルムで、この第1のラミネートフィルム51は低融点ラミネートフィルム52と高融点ラミネートフィルム53とを積層して構成するとともに、この第1のラミネートフィルム51における低融点ラミネートフィルム52に、上記した本発明の実施の形態1における液位センサの検出素子21に設けた図3に示すような液位測定電極22、空気容量検出電極27および液体容量検出電極30と同様の検出電極を直接に設けているものである。54は第2のラミネートフィルムで、この第2のラミネートフィルム54は低融点ラミネートフィルム55と高融点ラミネートフィルム56とを積層して構成するとともに、前記低融点ラミネートフィルム55を前記第1のラミネートフィルム51における低融点ラミネートフィルム52に直接に設けた液位測定電極22、空気容量検出電極27および液体容量検出電極30に当接させているものである。また、前記第1のラミネートフィルム51における低融点ラミネートフィルム52と、第2のラミネートフィルム54における低融点ラミネートフィルム55とを互いに融着させるようにしているものである。
【0038】
上記した本発明の実施の形態2においては、第1のラミネートフィルム51における低融点ラミネートフィルム52に液位測定電極22を設けているため、検出素子21を別個に設ける必要はなくなり、これにより、液位センサの部品点数を削減することができるという効果が得られるものである。
【0039】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項5に記載の発明について説明する。図9は本発明の実施の形態3における液位センサの検出素子をラミネートフィルムで覆った状態を示す側断面図である。なお、本発明の実施の形態3において、上記した本発明の実施の形態1と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0040】
図9において、61は第1のラミネートフィルムで、この第1のラミネートフィルム61は低融点ラミネートフィルム63と高融点ラミネートフィルム62とを積層して構成している。64は高融点ラミネートフィルムからなる第2のラミネートフィルムで、この第2のラミネートフィルム64に、上記した本発明の実施の形態1における液位センサの検出素子21に設けた図3に示すような液位測定電極22、空気容量検出電極27および液体容量検出電極30と同様の検出電極を直接に設けているものである。また、前記第1のラミネートフィルム61における低融点ラミネートフィルム63と、第2のラミネートフィルム64とを互いに融着させるようにしているものである。
【0041】
上記した本発明の実施の形態3においては、高融点ラミネートフィルムからなる第2のラミネートフィルム64に液位測定電極22を設けているため、検出素子21を別個に設ける必要はなくなり、これにより、液位センサの部品点数を削減することができるという効果が得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る液位センサは、液位センサをエンジンオイル等を充填したオイルパンに浸漬した状態で長期にわたって使用した場合でも、出力が変動してしまうということはなく、信頼性の面で優れているという効果を有するものであり、特に自動車、建築機械、航空機等のエンジンオイル、ギアオイル、トルコンオイル、CVTオイル、ブレーキオイル等、種々のオイルの液位を検出する液位センサとして有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1における液位センサの斜視図
【図2】同液位センサの側断面図
【図3】同液位センサにおける検出素子の上面図
【図4】同液位センサにおける検出素子の側断面図
【図5】同液位センサにおける検出素子をラミネートフィルムで覆った状態を示す側断面図
【図6】同液位センサにおける検出素子と回路基板とを接続する状態を示す部分拡大側断面図
【図7】同液位センサをオイルパンに浸漬した状態を示す側断面図
【図8】本発明の実施の形態2における液位センサの検出素子をラミネートフィルムで覆った状態を示す側断面図
【図9】本発明の実施の形態3における液位センサの検出素子をラミネートフィルムで覆った状態を示す側断面図
【図10】従来の液位センサにおける検出素子の上面図
【符号の説明】
【0044】
21 検出素子
22 液位測定電極
27 空気容量検出電極
30 液体容量検出電極
35,38 ラミネートフィルム
36,39,52,55,63 低融点ラミネートフィルム
37,40,53,56,62 高融点ラミネートフィルム
51,61 第1のラミネートフィルム
54,64 第2のラミネートフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設した検出素子と、この検出素子の一側面に設けられた一対の櫛歯形状の液位測定電極と、前記検出素子の全面を覆うように設けたラミネートフィルムとを有し、かつ前記ラミネートフィルムを少なくとも2層構造にするとともに、ラミネートフィルムにおける前記検出素子と当接する側の層を、検出素子と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成した液位センサ。
【請求項2】
ラミネートフィルムにおける検出素子と当接する側の低融点の材料で構成された層の厚みを液位測定電極の膜厚よりも大きくした請求項1記載の液位センサ。
【請求項3】
立設した検出素子と、この検出素子の一側面に設けられた一対の櫛歯形状の液位測定電極と、前記検出素子の一側面に前記液位測定電極の上方に位置して設けられた一対の空気容量検出電極と、前記検出素子の一側面に前記液位測定電極の下方に位置して設けられた一対の液体容量検出電極と、前記検出素子の全面を覆うように設けたラミネートフィルムとを有し、かつ前記ラミネートフィルムを少なくとも2層構造にするとともに、ラミネートフィルムにおける前記検出素子と当接する側の層を、検出素子と当接しない側の層よりも低融点の材料で構成した液位センサ。
【請求項4】
低融点ラミネートフィルムと高融点ラミネートフィルムとを積層した第1のラミネートフィルムと、低融点ラミネートフィルムと高融点ラミネートフィルムとを積層した第2のラミネートフィルムとを有し、かつ前記第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムとを互いに融着させるとともに、第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムのいずれか一方に液位測定電極を設けた液位センサ。
【請求項5】
低融点ラミネートフィルムと高融点ラミネートフィルムとを積層した第1のラミネートフィルムと、高融点ラミネートフィルムからなる第2のラミネートフィルムとを有し、かつ前記第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとを互いに融着させるとともに、第1のラミネートフィルムにおける低融点ラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムのいずれか一方に液位測定電極を設けた液位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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