説明

液位検出装置

【課題】容器内に収容される液体の性状が変化しても、容器内の液体の液位を正確に検出する。
【解決手段】本発明の液位検出装置は、光伝搬体32,34,36を有する検出部26と、検出部で検出された検出結果を用いて液体の液位を判定する判定部を有している。光伝搬体32,34,36は、センシング部に接触する物質の種類及びその物質とセンシング部との接触面積に応じて伝搬する光の強度が変化する。検出部は、センシング部と液体との接触面積が液位に応じたものとなるときに光伝搬体で伝搬される第1の光の強度と、液体がセンシング部の全面に接するときに光伝搬体で伝搬される第2の光の強度と、基準物質がセンシング部の全面に接するときに光伝搬体で伝搬される第3の光の強度を検出する。判定部は、検出部で検出される第1の光強度、第2の光強度及び第3の光強度から、容器内の液体の液位を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に貯留されている液体の液位を検出する液位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器内に貯留されている液体の液位を検出する液位検出装置が開示されている。この液位検出装置は、光源と、光源からの光が入射する光ファイバーと、光ファイバーで伝搬された光の強度を検出する光検出器を有している。光ファイバーの一部にはセンシング部が設けられている。センシング部は、容器内に配置され、鉛直方向(すなわち、容器が水平に配置されたときに、容器内の液面に対して垂直となる方向)に伸びている。このため、容器内の液体の液位が変化すると、液体と接触するセンシング部の面積が変化し、光ファイバーを伝搬される光の強度が変化する。この光の強度変化を光検出器で検出することで、容器内の液体の液位を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−170327
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の液位検出装置では、光ファイバーで伝搬される光の強度が、容器内に貯留されている液体の性状によっても変化する。通常、液体性状による影響は小さいため、実用上問題のないレベルで液位を検出することができる。しかしながら、近年、容器内に貯留される液体の種類が多様化し、貯留する液体によっては、液体性状による影響が無視できない場合が生じてきている。例えば、近年、アルコール(バイオエタノール等)を含有する燃料を内燃機関の燃料として使用することが検討されている。このような燃料では、ガソリンとアルコールの割合が一定ではない場合が多く、その結果、給油する毎に、タンク内に貯留する燃料の性状が大きく変化することが考えられる。このような場合、従来の液位検出装置を用いると、容器内の液体の液位を正確に検出できない場合が生じる。
【0005】
本願は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、容器内に収容される液体の性状が変化するような場合であっても、容器内の液体の液位を正確に検出することができる液位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の液位検出装置は、容器内に貯留されている液体の液位を検出する。この液位検出装置は、センシング部を備えた光伝搬体を少なくとも一つ有している検出部と、検出部で検出された検出結果を用いて、容器内に貯留されている液体の液位を判定する判定部を有している。光伝搬体は、センシング部に接触する物質の種類及びその物質とセンシング部との接触面積に応じて伝搬する光の強度が変化するようになっている。検出部は、(1)センシング部と容器内の液体との接触面積が容器内の液体の液位に応じたものとなるときに光伝搬体で伝搬される第1の光の強度と、(2)容器内の液体がセンシング部の全面に接するときに光伝搬体で伝搬される第2の光の強度と、(3)基準物質がセンシング部の全面に接するときに光伝搬体で伝搬される第3の光の強度を検出する。判定部は、検出部で検出される第1の光の強度、第2の光の強度及び第3の光の強度から、容器内の液体の液位を判定する。
この液位検出装置は、第1の光強度(センシング部と液体との接触面積が液位に応じたものとなるときの光強度)と、第2の光強度(センシング部の全面に液体が接触するときの光強度)と、第3の光強度(センシング部の全面に基準物質が接触するときの光強度)とに基づいて、容器内の液体の液位を判定する。基準物質の特性(性状)は既知であるため、第2の光強度と第3の光強度の関係から容器内の液体の性状を特定することができる。このため、液体の液位に応じた第1の光強度を、液体の性状に応じた第2の光強度と第3の光強度の関係から補正することで、容器内の液体の液位を精度良く判定することができる。
【0007】
上記の液位検出装置では、判定部は、さらに、検出部で検出される第2の光の強度と第3の光の強度から、容器内の液体の性状を判定することが好ましい。これによって、容器内の液体の液位と性状を、同一の装置で検出することができる。
【0008】
上記の液位検出装置は、次の態様を採ることができる。すなわち、検出部は、第1の光伝搬体と、第2の光伝搬体と、第3の光伝搬体と、第2の光伝搬体を収容する第1の収容体と、第3の光伝搬体を収容する第2の収容体を有している。第1の光伝搬体は、そのセンシング部と容器内の液体との接触面積が容器内の液体の液位に応じて変化するようになっている。第1の収容体は容器内の液体で満たすことが可能となっており、第2の収容体は基準物質で満たすことが可能となっている。このような構成によると、第1の光伝搬体で伝搬される光から第1の光強度を検出でき、第2の光伝搬体で伝搬される光から第2の光強度を検出でき、第3の光伝搬体で伝搬される光から第3の光強度を検出できる。
【0009】
また、上記の液位検出装置は、次の態様を採ってもよい。すなわち、検出部は、第1の光伝搬体と、第2の光伝搬体と、第2の光伝搬体を収容する収容体を有している。第1の光伝搬体は、そのセンシング部と容器内の液体との接触面積が容器内の液体の液位に応じて変化するようになっている。収容体は、基準物質で満たされた第1の状態と、容器内の液体で満たされた第2の状態とに切替え可能となっている。このような構成によると、第1の光伝搬体で伝搬される光から第1の光強度を検出でき、また、第1の状態と第2の状態を切替えることで、第2の光伝搬体で伝搬される光から第2の光強度と第3の光強度を検出することができる。
【0010】
上述した液位検出装置では、第1の光伝搬体の表面の少なくとも一部に撥水性層が形成されていてもよい。このような構成によると、容器内の液体の液位が変化して、第1の光伝搬体の一部が液体内から液体外に露出したときに、その露出した部位に付着している液体が撥水性層によってはじかれて、第1の光伝搬体の表面から流れ落ちる。そのため、第1の光伝搬体の表面に表面張力等によって液体が付着することによる液位検出精度の低下が防止される。
【0011】
上述した液位検出装置では、容器が水平面に設置されたときに、第1の光伝搬体の少なくとも一部は、鉛直方向に伸びると共にセンシング部が形成されており、そのセンシング部には、前記鉛直方向に伸びる複数の撥水性層が形成されており、それら複数の撥水性層は互いに間隔を空けて配置することができる。このような構成とすることで、光伝搬体の表面(撥水性層以外の部位)と液体との接触性を確保しながら、液体外に露出した際の光伝搬体の表面からの液体の除去を好適に行うことができる。
【0012】
なお、光伝搬体のセンシング部には、表面プラズモン現象を発生する金属膜が形成されていてもよい。このように構成することで、センシング部の検出感度が向上し、検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る液位検出装置の全体構成を示す図。
【図2】検出部の構成を示す図。
【図3】検出部の他の構成を示す図。
【図4】検出部の他の構成を示す図。
【図5】検出部の他の構成を示す図。
【図6】検出部の他の構成を示す図。
【図7】図6(B)に示す検出部の詳細な構成を示す図。
【図8】光ファイバーに撥水性層を形成した例を示す図。
【図9】光ファイバーに撥水性層を形成した他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を具現化した一実施形態に係る液位検出装置20について図面を参照して説明する。図1に示すように、液位検出装置20は、燃料タンク10内に貯留される燃料18の液位及び燃料性状を検出する。燃料タンク10は、自動車等の車両に搭載され、自動車等の内燃機関で用いられる燃料18を貯留する。燃料18の燃料性状は、重軽質比(重質燃料と軽質燃料の比)やアルコール含有率等によって変化する。燃料タンク10内には燃料供給装置12が収容されている。燃料供給装置12は、燃料ポンプ14と、燃料フィルタ15と、プレッシャレギュレータ17を備えている。燃料ポンプ14は、燃料タンク10内の燃料を昇圧し、昇圧した燃料を燃料ポンプ14外に吐出する。燃料ポンプ14から吐出された燃料は、燃料フィルタ15によって異物が除去される。異物が除去された燃料は、プレッシャレギュレータ17によって圧力が調整される。プレッシャレギュレータ17によって圧力が調整された燃料は、燃料供給路19を通って、燃料タンク10外に配置されたインジェクタに供給される。プレッシャレギュレータ17からの戻り燃料は、燃料供給路16を通って液位検出装置20に供給される。
【0015】
液位検出装置20は、燃料タンク10内に配置される検出部26と、検出部26から出力される信号を中継する中継回路24と、中継回路24を介して入力する検出部26からの出力に基づいて燃料18の液位及び燃料性状を判定するECU(制御装置)22を有している。
【0016】
検出部26は、燃料タンク10内に貯留されている燃料18の液位及び燃料性状に応じて変化する光強度を検出する。図2に示すように、検出部26は、光源30と、光ファイバー32,34,36と、光検出器46,48,50と、温度センサ54を有している。光源30は、光ファイバー32,34,36の一端を支持するケーシング28内に収容されている。光源30は、図示しない配線によって中継回路24を介してECU22に接続されている。ECU22は、光源30のON/OFFを制御する。光源30がONすると、光源30から光が出射される。光源30から出射される光は、光ファイバー32,34,36の一端面に入射する。本実施形態では、一つの光源30からの光を各光ファイバー32,34,36に入射させているため、異なる光源30を用いることによる検出精度の低下が防止されている。なお、本実施形態では、光源30にLED(発光ダイオード)が用いられているが、光源30にはLED以外の種々の光源(例えば、レーザー光源)を用いることができる。
【0017】
光ファイバー32,34,36は、燃料タンク10が水平に設置されたときに、その軸線が鉛直方向に伸びるように燃料タンク10内に設置されている。光ファイバー32,34,36のそれぞれは同一構成を有しており、一端面に入射された光を他端面に伝搬する。光ファイバー32,34,36には、センシング部32a,34a,36aが設けられている。光ファイバー32,34,36は、センシング部32a,34a,36aに接触する物質の種類及びその物質とセンシング部32a,34a,36aとの接触面積に応じて、他端面に伝搬する光の強度が変化するようになっている。本実施形態のセンシング部32a,34a,36aには、表面プラズモン共鳴現象を利用する構成が採られている。具体的には、光ファイバー32,34,36は、コアと、コアの外周面に設けられたクラッドを有している。コアとクラッドは、光に対して透過率が高い石英ガラス又はプラスチックで形成されている。コアの屈折率は、クラッドの屈折率よりも大きくされている。これによって、光ファイバー32,34,36に入射された光の多くがコアを伝搬する。クラッドは、その一部が除去されている。クラッドが除去された部分ではコアが表面に露出している。コアが表面に露出した部分において、コアの表面に金の薄膜(以下、金薄膜という)が形成されている。金薄膜は、真空蒸着法によって形成することができる。金薄膜の厚みは1〜200nmとされ、表面プラズモン共鳴現象が起こり易い厚みに形成されている。
【0018】
光ファイバー32は、燃料タンク10内に露出しており、そのセンシング部32aには燃料タンク10内の燃料18が接触している。光ファイバー32は、燃料タンク10が水平に設置されたときに鉛直方向に伸びるように設置されているため、センシング部32aと燃料18との接触面積は、燃料タンク10内に貯留される燃料18の液位に応じたものとなる。
【0019】
光ファイバー34は、密閉容器38内に収容されている。密閉容器38内には空気が充填されている。このため、光ファイバー34のセンシング部34aの全面は、常時、空気と接触することとなる。なお、密閉容器38内には、空気以外の物質(屈折率が既知の物質)を充填するようにしてもよい。
【0020】
光ファイバー36は、燃料管40内に収容されている。燃料管40の一端には流入口42が設けられ、燃料管40の他端には流出口44が設けられている。流入口42には燃料供給路16が接続されている。このため、燃料ポンプ14が作動すると、燃料供給路16から燃料管40内に燃料が供給される。燃料供給路16から燃料管40内に燃料が供給されると、燃料管40内が燃料で満たされる。これによって、光ファイバー36のセンシング部36aの全面が燃料と接触することとなる。なお、燃料管40内に供給された燃料は、燃料管40内を流れ、流出口44より燃料タンク10内に戻される。
【0021】
なお、本実施形態では、光ファイバー32,34,36の表面に表面プラズモン共鳴現象を生じさせるための薄膜として金薄膜を形成したが、このような薄膜の材料には、金以外にも他の金属(例えば、銀、銅、アルミニウム等)を用いることができる。また、金と、これらの金属を積層した薄膜を用いることもできる。
また、センシング部32a,34a,36aの構成は、表面プラズモン共鳴現象を利用したものに限られず、公知の種々の構成(例えば、特許文献1、特開昭54−118865号、特開2003−337103号等)を採ることができる。
【0022】
光検出器46,48,50は、光ファイバー32,34,36の他端に配置され、光ファイバー32,34,36の他端を支持するケーシング52内に収容されている。光検出器46,48,50のそれぞれは、光ファイバー32,34,36のそれぞれを伝搬した光を受光し、その受光した光の強度に応じた信号を出力する。光検出器46,48,50は、図示しない配線によって中継回路24と接続されている。光検出器46,48,50から出力された信号は、中継回路24を介してECU22に入力する。なお、光検出器46,48,50は、光の強度を検出する公知のセンサを用いることができ、例えば、フォトダイオードを用いることができる。
【0023】
温度センサ54は、ケーシング52の外表面に取付けられ、燃料タンク10の燃料18内に浸漬されている。温度センサ54は、燃料タンク10内の燃料18の温度を検出する。温度センサ54は、図示しない配線によって中継回路24と接続されている。温度センサ54から出力された信号は、中継回路24を介してECU22に入力する。なお、温度センサ54には、温度を検出する公知のセンサを用いることができ、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0024】
中継回路24は、検出部26とECU22との間で送受信される信号を中継する。具体的には、検出部26の光検出器46,48,50及び温度センサ54から出力される信号は、中継回路24を介してECU22に入力する。また、ECU22は、検出部26の光源30をオン/オフするための信号を、中継回路24を介して光源30に出力する。なお、中継回路24からECU22への信号出力は、アナログ方式であってもよいし、デジタル方式であってもよい。また、中継回路24は、検出部26で検出された検出結果を、電圧に変換して出力するようにしてもよいし、周波数に変換して出力するようにしてもよいし、パルス幅に変換して出力するようにしてもよいし、パルス数に変換して出力するようにしてもよい。さらには、中継回路24とECU22を1つの信号線で接続し、光検出器46,48,50及び温度センサ54から出力される信号を、時分割処理によって出力するようにしてもよい。
【0025】
ECU22は、光検出器46,48,50及び温度センサ54から出力される信号に基づいて、燃料タンク10内に貯留される燃料18の液位及び燃料性状を判定する。具体的には、光検出器48で検出された光強度(光ファイバー34で伝搬される光の強度)を基準として、光検出器46で検出された光強度(光ファイバー36で伝搬される光の強度)から燃料性状を判定する。すなわち、光ファイバー34は、空気が充填された密閉容器38内に収容される一方で、光ファイバー36は、燃料で満たされた燃料管40内に収容されている。光ファイバー34,36で伝搬される光の強度は、センシング部34a,36aが接触する物質の屈折率によって変化する。空気の屈折率は既知であるため、光ファイバー34で伝搬される光の強度(基準となる光強度)と光ファイバー36で伝搬される光の強度を比較することで、燃料18の屈折率を特定することができる。燃料18の屈折率は、燃料性状(例えば、重軽質比、アルコール含有率(アルコール濃度)、密度等)及び燃料18の温度によって変化する。燃料18の温度は、温度センサ54によって計測されている。このため、ECU22は、燃料18の屈折率が分かると、燃料18の屈折率及び温度から燃料18の燃料性状(例えば、重軽質比、アルコール濃度、密度等)を特定することができる。
【0026】
また、ECU22は、光検出器46,48,50から出力される信号に基づいて、燃料タンク10内の燃料18の液位を判定する。すなわち、光ファイバー34は空気が充填された密閉容器38内に収容され、光ファイバー36は燃料で満たされた燃料管40内に収容されている。このため、光検出器48で検出された光強度(光ファイバー34で伝搬される光の強度)は、液位が「0%」となるときの光強度に相当する。また、光検出器46で検出された光強度(光ファイバー36で伝搬される光の強度)は、液位が「100%」となるときの光強度に相当する。液位が「0%」と「100%」のときの光強度が分かれば、光検出器50で検出された光強度(光ファイバー32で伝搬される光の強度)から、燃料18の液位を特定することができる。なお、密閉容器38内に空気以外の物質(ただし、屈折率は既知)が充填されている場合は、光検出器46、48で検出された光強度から液体の屈折率を特定し、その屈折率に基づいて液位が「0%」と「100%」となるときの光強度を算出する。次いで、光検出器50で検出された光強度から、燃料18の液位を特定すればよい。
【0027】
上述した説明から明らかなように、本実施形態の液位検出装置20では、基準物質がセンシング部の全面に接触する光ファイバー34と、燃料18がセンシング部の全面に接触する光ファイバー36と、燃料18とセンシング部の接触面積が液位に応じたものとなる光ファイバー32を用いることによって、燃料18の燃料性状及び液位を精度良く検出することができる。特に、燃料性状を考慮して液位を検出するため、燃料18の液位を精度良く検出することができる。
【0028】
また、本実施形態の液位検出装置20は、3本の光ファイバー32,34,36と、それら3本の光ファイバー32,34,36を伝搬する光を検出する光検出器46,48,50を備え、光検出器46,48,50で検出される3つの光強度を比較して燃料18の液位及び燃料性状を判定する。このため、これらの一つが故障した場合には、その故障に係る光ファイバー及び/又は光検出器で検出された検出値が異常な値となる。このため、その異常を検出することができる。例えば、光検出器46で検出された光強度(光ファイバー36で伝搬される光の強度)が燃料に対応する値とならないときは、光ファイバー36及び/又は光検出器46が故障していると判断することができる。また、光検出器48で検出された光強度(光ファイバー34で伝搬される光の強度)が空気に対応する値とならないときは、光ファイバー34及び/又は光検出器48が故障していると判断することができる。また、光検出器50で検出された光強度(光ファイバー32で伝搬される光の強度)が、光検出器46で検出された光強度と光検出器48で検出された光強度の間の値とならないときは、光ファイバー32及び/又は光検出器50が故障していると判断することができる。
【0029】
また、本実施形態では、3本の光ファイバー32,34,36に共通の光源30を用いている。このため、光源30の経年劣化によって光源30の光量が低下しても、その影響は3本の光ファイバー32,34,36のそれぞれに同様に生じる。したがって、長期間に亘って精度良く燃料18の液位及び燃料性状を検出することができる。
【0030】
さらに、本実施形態では、光ファイバー32,34,36の表面に金薄膜を形成し、コアを伝搬する光の一部が表面プラズモン共鳴現象によって吸収されるようになっている。このため、燃料18の屈折率の変化に対して光検出器46,48,50で受光する光の強度が大きく変化する。これによって、燃料18の液位及び燃料性状の検出精度を高めている。
【0031】
なお、上述した実施形態では、3本の光ファイバー32,34,36のそれぞれに光検出器46,48,50を設ける一方で、3本の光ファイバー32,34,36に対して一つの光源30を共通に用いていた。しかしながら、本願発明は、このような形態に限られず、様々な形態で実施することができる。例えば、図3に示す検出部55のように、光ファイバー32,34,36のそれぞれに対して光源56,58,60を設け、光ファイバー32,34,36に対して共通の光検出器62を設けるようにしてもよい。この場合は、光源56のみをオンして、光検出器62で光ファイバー32を伝搬される光の強度を検出する。同様に、光源58のみをオンして光ファイバー34を伝搬される光の強度を検出し、光源60のみをオンして光ファイバー36を伝搬される光の強度を検出する。光源56,58,60のオン/オフをECU22で制御することで、各光ファイバー32,34,36を伝搬される光の強度を一つの光検出器62で検出することができる。このように光検出器62を共通化することで、光検出器62のバラツキによる検出精度の低下を防止することができる。
【0032】
さらには、図3に示す構成とは異なり、3本の光ファイバーのそれぞれに光源と光検出器を設けるようにしてもよい。それぞれに光源と光検出器を設けることで、それぞれを独立して作動させることができる。あるいは、3本の光ファイバーの光源及び光検出器を共通化してもよい。この場合は、光源からの光を遮蔽するシャッターを各光ファイバーに設け、1本の光ファイバーにのみ光が入射するようにすればよい。このような構成によると、光源及び光検出器が共用されるため、これらの特性のバラツキによる検出精度の低下を防止することができる。
【0033】
また、上述した実施形態では、基準物質がセンシング部の全面に接触する状態となるときの光強度(基準となる光強度)を検出する光ファイバー34と、燃料がセンシング部の全面に接触する状態となるときの光強度を検出する光ファイバー36と、燃料が液位に応じた接触面積となるときの光強度を検出する光ファイバー32を設けていたが、本願発明はこのような形態に限られない。例えば、図4に示すように、2本の光ファイバー32,66で検出部64を構成することができる。具体的には、光ファイバー32は、上述した実施形態と同様、燃料タンク10内に露出し、その一部が燃料18内に液没する。そして、光ファイバー32のセンシング部と燃料18との接触面積は、燃料タンク10内に貯留されている燃料18の液位に応じたものとなる。一方、光ファイバー66は、燃料・空気導入管68内に収容されている。燃料・空気導入管68は、図示しない切替え弁によって、燃料18が充填された状態と、空気が充填された状態とに切り替えられるようになっている。この状態の切替えは、ECU22によって行われる。このような構成によると、燃料・空気導入管68に空気が充填された状態として光検出器70の出力を読取ることで、基準となる光強度を検出することができ、また、燃料・空気導入管68に燃料が充填された状態として光検出器70の出力を読取ることで、燃料がセンシング部の全面に接触する状態となるときの光強度を検出することができる。光ファイバーを共用することで、製造コストを下げることができる。また、光ファイバーの特性のバラツキによる検出精度の低下を防止することができる。
【0034】
さらには、図5に示すように、1本の光ファイバー106によって、基準となる光強度と、燃料がセンシング部の全面に接触する状態となるときの光強度と、燃料が液位に応じた接触面積となるときの光強度を検出することができる。すなわち、1本の光ファイバー106を1つの導管104内に収容する。そして、切替弁112を制御することで、導管104内を空気で充填した状態と、燃料で充填した状態と、燃料タンク10内の燃料18の液位に応じた接触面積となるように燃料と空気が充填された状態とする。そして、各状態としたときに、光源102から出力される光の光強度を光検出器114で検出することで、1本の光ファイバー104によって3つの光強度を検出することができる。
【0035】
また、上述した実施形態では、光ファイバーが鉛直方向に伸びるように配置し、光ファイバーの上端に光源を配置し、光ファイバーの下端に光検出器を配置したが、本願発明はこのような形態に限られない。例えば、図6(A)に示すように、光ファイバー76a,76b,76cをU字状に屈曲させて配置することができる。このような構成では、光源72及び光検出器74が燃料18内に液没しないため、光源72及び光検出器74に高いシール性と耐燃料性が要求されない。なお、この構成を採る場合には、光ファイバー76a,76b,76cのうち、鉛直方向に伸びる部位にセンシング部を設ければよい。
【0036】
さらには、図6(B)に示すように、光ファイバー80,82,84を鉛直方向に伸びるように配置し、光ファイバー80,82,84の上端を支持するケーシング78内に光源及び光検出器を配置するようにしてもよい。このような構成によっても、光源及び光検出器が燃料18内に液没しないようにすることができる。かかる構成を採る場合は、例えば、図7に示すように、光源86と光ファイバー80(82,84)と光検出器88を配置することができる。すなわち、光ファイバー80の下端には、光を反射する反射板を配設する。光源86と光ファイバー80の間にはビームスプリッタ90を配置する。かかる構成では、光源86から出射した光はビームスプリッタ90を透過して光ファイバー80の上端面に入射する。光ファイバー80に入射した光は、光ファイバー80内を伝搬し、光ファイバー80の下端で反射される。光ファイバー80の下端で反射された光は、光ファイバー80内を伝搬し、光ファイバー80の上端面から出射する。光ファイバー80の上端面から出射した光は、ビームスプリッタ90で反射され、光検出器88に導かれる。このような構成を採用することで、光源と光検出器を光ファイバーの同一の端部に配置することができ、検出部をコンパクト化することができる。
【0037】
なお、上述した各実施形態で用いられる光ファイバーの表面の少なくとも一部には、撥水性層が形成されていることが好ましい。例えば、図8に示すように、光ファイバー90の本体92aの表面に撥水性の膜92bを形成する。撥水性膜92bを形成することで、光ファイバー90の液没していない部位に、燃料18の表面張力によって燃料18が接触した状態となることが防止される。これにより、液位を精度良く検出することができる。
なお、図9(a),(b)に示すように、撥水性層(撥水性膜)96,98は、鉛直方向に連続するように形成される一方で、水平方向には間隔を空けて形成されることが好ましい。このように撥水性層96,98を形成することで、撥水性層96,98によるセンサ感度の低下を防止することができる。
【0038】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0039】
10:燃料タンク
12:燃料供給装置
14:燃料ポンプ
20:液位検出装置
22:ECU
24:中継回路
26:検出部
30:光源
32,34,36:光ファイバー
46,48,50:光検出器
54:温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に貯留されている液体の液位を検出する液位検出装置であり、
センシング部を備えた光伝搬体を少なくとも一つ有している検出部と、
検出部で検出された検出結果を用いて、容器内に貯留されている液体の液位を判定する判定部と、を有しており、
光伝搬体は、センシング部に接触する物質の種類及びその物質とセンシング部との接触面積に応じて伝搬する光の強度が変化するようになっており、
検出部は、(1)センシング部と容器内の液体との接触面積が容器内の液体の液位に応じたものとなるときに光伝搬体で伝搬される第1の光の強度と、(2)容器内の液体がセンシング部の全面に接するときに光伝搬体で伝搬される第2の光の強度と、(3)基準物質がセンシング部の全面に接するときに光伝搬体で伝搬される第3の光の強度を検出し、
判定部は、検出部で検出される第1の光の強度、第2の光の強度及び第3の光の強度から、容器内の液体の液位を判定することを特徴とする液位検出装置。
【請求項2】
判定部は、さらに、検出部で検出される第2の光の強度と第3の光の強度から、容器内の液体の性状を判定することを特徴とする請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項3】
検出部は、第1の光伝搬体と、第2の光伝搬体と、第3の光伝搬体と、第2の光伝搬体を収容する第1の収容体と、第3の光伝搬体を収容する第2の収容体を有しており、
第1の光伝搬体は、そのセンシング部と容器内の液体との接触面積が容器内の液体の液位に応じて変化するようになっており、
第1の収容体は容器内の液体で満たすことが可能となっており、第2の収容体は基準物質で満たすことが可能となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液位検出装置。
【請求項4】
検出部は、第1の光伝搬体と、第2の光伝搬体と、第2の光伝搬体を収容する収容体を有しており、
第1の光伝搬体は、そのセンシング部と容器内の液体との接触面積が容器内の液体の液位に応じて変化するようになっており、
収容体は、基準物質で満たされた第1の状態と、容器内の液体で満たされた第2の状態とに切替え可能となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液位検出装置。
【請求項5】
第1の光伝搬体の表面の少なくとも一部に撥水性層が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液位検出装置。
【請求項6】
容器が水平面に設置されたときに、第1の光伝搬体の少なくとも一部は、鉛直方向に伸びると共にセンシング部が形成されており、そのセンシング部には、前記鉛直方向に伸びる複数の撥水性層が形成されており、それら複数の撥水性層は互いに間隔を空けて配置されていることを特徴とする請求項5に記載の液位検出装置。
【請求項7】
光伝搬体のセンシング部には、表面プラズモン現象を発生する金属膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液位検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−80881(P2011−80881A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233810(P2009−233810)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】