説明

液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズル

【課題】液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズルを提供すること。
【解決手段】主モデルは、把持部1.2と、トリガ1.3と、圧縮空気用ボタン1.4とを備える金属製のピストル型ノズルとして実施したモノブロック本体1.1を備える。モノブロック本体は、把持部からトリガにより作動するシャッター装置または弁1.7を有するハウジング1.6に延びるチャネル通路1.5を有する。把持部の下端部内のチャネル1.11は、加圧した液体および圧縮空気がそれぞれ流れるホースに接続しているネジ山付き接続部1.16および1.17まで延びる。弁は、使用するシャッター、弁内の球体1.7Aおよび弁内のディスク1.13A以外は、同一の基本機能を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に工作機械一般ならびにフライス盤、旋盤、およびマシニング・センターと一緒に使用するために特に開発したピストル型ノズルに関するもので、液体および圧縮空気の流れを(同時にまたは別々に)統合管理することができるようにするために必要な手段を1つの手動装置内に統合することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
よく知られていることであるが、フライス盤、旋盤およびその他の工作機械、またはマシニング・センターであっても、所望の加工部品を得るために材料の小さな部分を制御された方法で除去するために原料ブロック(通常は金属である)を加工するので、屑として大量の砕片が発生する。
【0003】
工作機械(および類似の装置)は、切断、粗削り等の手段に適している温度に維持することができるか否かに大きく依存し、このような条件は、材料が効率的に加工されている領域に向けて一定の冷却液体の流れが得られる場合に限られる。
【0004】
加工部品を仕上げる場合には、たいてい、機械のオペレータは、機械加工動作を終了した後で、特にその上に集積している砕片を除去するために、ホースを接続し、加圧した液体(通常は冷却液体である)が噴出する装置を使用する必要がある。
【0005】
上記装置に類似するものとして、工作機械から取り出す前に加工部品の最初の乾燥を行うために、圧縮空気を噴出する。
【0006】
通常のラインにおいては、加圧した液体の流れおよび圧縮空気の流れの両方を供給する装置は、独立していて、それぞれ直接各ホースに接続される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、機械のオペレータは、一方または他方の装置を交互に操作しなければならなくなり、そのため生産性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような技術的現状のために、本明細書に記載する加圧した液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズルが開発された。これはピストル型ノズルの形で実施した1つの解剖装置(anatomic device)であり、新しく製造する加工部品の清掃を促進するために使用する液体の流れを管理するために必要な手段と、加工部品を乾燥するために使用される圧縮空気の流れを供給するために必要な手段とを統合することができる、
【0009】
本明細書に記載するピストル型ノズルの主モデルは、液体を供給するためのホースと空気を供給するためのホースからなる1対のホースに直接接続される。本明細書に記載するピストル型ノズルは、これら2つの機能のために別々のコマンドを提供しているので、そのオペレータは、液体供給機能および圧縮空気の流れ供給機能を全く独立して選択することができる。本発明は、また、加圧した液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズルの主モデルの他に、その構造に従って様々な変形例を提供している。しかし、このような様々な構造も本発明の主題に関連するものであり、主モデルから由来するものである。
【0010】
関連図面を参照しながら、加圧した液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズルの主モデルおよび種々の構造について以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1、図2、図3、図4および図5は、加圧した液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズルの主モデルを種々の角度から見たものである。特に、本発明は、把持部1.2と、トリガ1.3と、圧縮空気用ボタン1.4とを備え、金属からできていることが好ましい、ピストル型ノズルとして実施したモノブロック本体1.1を備える。
【0012】
モノブロック本体1.1は、把持部1.2からトリガ1.3により作動するシャッター装置または弁1.7が組み込まれたハウジング1.6まで延びるチャネル通路1.5を有する。弁1.7の先端側は、チャネル1.5は、モノブロック本体1.1の前端部1.10に設けられたスプリンクラー1.9に通ずる通路1.8に連絡している。
【0013】
このモノブロック本体1.1は、さらに、把持部1.2内を横切り、圧縮空気用ボタン1.4により作動するシャッター装置または弁1.13が組み込まれたハウジング1.12まで延びるチャネル通路1.11を有する。
【0014】
弁1.13の先端側には、スプリンクラー1.9の上部に設けられた管状延長部1.15に通ずるチャネル通路1.14が位置する。
【0015】
把持部1.2の下端部のチャネル1.5およびチャネル1.11は、加圧した液体および圧縮空気がそれぞれ流れるホース1.18およびホース1.19に接続されているネジ山付き接続部1.16およびネジ山付き接続部1.17まで延びている。
【0016】
図2に拡大して示すように、弁1.7および弁1.13は、使用したシャッター(弁1.7内の球体1.21および弁1.13内のディスク1.13A)以外は、同一の基本機能を提供する。
【0017】
弁1.7および弁1.13間の基本的な違いは、また、弁1.7は加圧した液体の流れにより動作し、一方、弁1.13は圧縮空気により動作することである。
【0018】
要するに、弁1.7および弁1.13は、各スプリング1.21の動作によりそれぞれの各ローカル(接触部)1.20に対して付勢されているシャッター部材(1.7Aおよび1.13A)に依存する。弁1.7においては、接触部1.20は、トリガ1.3により作動するシャフト1.24が挿通される軸方向チャネル1.23を有する弁1.22の一部である。
【0019】
弁1.13においては、接触部1.25は、スプリング機能1.21により付勢される面(surface)として形成され、ディスク1.13Aが、圧縮空気用ボタン1.4を押下した場合に動作する上記ディスクである。軸方向チャネル1.23は、弁本体1.23を囲むリング状の凹部1.26に通ずる小さい半径方向のチャネルを有している。
【0020】
弁1.13の動作原理(弁1.7の動作原理と同じである)は、圧縮された場合、そのシャッター部材が、その接触部から離れ、そのため流れ(この場合は、圧縮空気である)が、チャネル1.11からチャネル1.14に達し、本明細書においては管状延長部1.15で表すピストル型ノズルの出口に効率的に向かうというものである。
【0021】
基本的な原理は、すでに説明したように、加圧した液体で動作する弁1.7によっても確認される。
【0022】
図1、図2、図3、図4および図5においては、参照符号F1およびF2は、それぞれ、ピストル型ノズル本体を貫通する(cross)液体の流れおよび圧縮空気の流れを示す。
【0023】
図3で特に詳細に示すスプリンクラー1.9は、液体の流れのパターンを調整することができる構造体である。このスプリンクラーは、位置決め調整加工部品1.9Bにより位置決めされるピン1.9Dにより一部が閉塞される円錐形開口部1.9Cを有する調整加工部品1.9Bを外側に収容する(receive)本体1.9Aを備える。
【0024】
図6、図7、図8、図9、図10、図11および図12は、ピストル型ノズルの種々の構造を示しているが、本発明は、ピストル型ノズルに類似した形になるように実施したモノブロック本体2.1を備えることである。この場合、この本体2.1は金属製であることが好ましい。
【0025】
モノブロック本体2.1は、その前部にスプリンクラー2.5と管状延長部2.6とを端部に有する突起2.4を備えた一体化ブロック2.3と、アングル付把持部部分2.2とを備える。
【0026】
一体化ブロック2.3は、液体の流れを制御し、もう1つの弁またはシャッター2.8の隣に設けれた弁またはシャッター2.7を収容する。もう1つの弁またはシャッターは、圧縮空気の流れを制御するためのものである。
【0027】
弁またはシャッター2.7は、アングル付把持部2.2を貫通する(cross)チャネルの通路2.10と、突起2.4を貫通する(cross)第2のチャネル通路2.11との間の中間の領域に配置されるハウジング2.7A内であって一体化ブロック2.3内の中央領域2.9に設けられ、上記チャネル通路2.11の端部には、上記スプリンクラー2.5が位置する。
【0028】
参照符号2.8で示すもう1つの弁またはシャッターは、ハウジング2.7Aの弁およびシャッター2.7の場合と同様に、アングル付把持部2.2を貫通する(cross)対応するチャネル通路2.12、および突起2.4を貫通する(cross)第2のチャネル通路2.13との間の中間の領域内に位置するハウジング2.8A内の同一の一体化ブロック2.3の中央領域2.9に設けられ、上記チャネル通路2.13の端部には、上記管状延長部2.6が位置する。
【0029】
チャネル通路2.10およびチャネル通路2.11は、アングル付把持部2.2に沿って相互に平行に並んでおり、一方、チャネル通路2.11およびチャネル2.13も、突起2.4に沿って相互に平行に並んでいる。
【0030】
本明細書に記載する修正実施形態で用いられる弁またはシャッター2.7は、すでに詳細に説明したピストル型ノズルの主モデルで用いられた弁と類似のものであって、ピストル型ノズルの主モデルとは異なるものであることが好ましく、修正構造体の弁およびシャッター2.7は、トリガにより作動しないが、圧縮用ボタン2.14、上述のピストル型ノズルの主モデルで用いられたものに類似するものであることが好ましい。この弁またはシャッター2.7は、もう一つの弁またはシャッター2.8とは独立に設けられた類似の圧縮用ボタン2.14により作動する。
【0031】
上記ピストル型ノズルの主モデルのように、その修正構造体においても、アングル付把持部2.2と結合していて、ピストル型ノズルに液体および圧縮空気の別々の流れを供給するホース接続(図示せず)を可能にするネジ山付き接続部2.15および2.16を配置することができる。
【0032】
このピストル型ノズルの動作システムは、すでに説明したピストル型ノズルの主モデルと全く同じものであるので、これ以上の説明は省略する。
【0033】
ピストル型ノズルの主モデルの修正構造体を使用すると、工作機械(tool)をより広い範囲で使用することができる。その理由は、液体の流れおよび圧縮空気の流れを管理するためのコマンドが並べて配置され、オペレータは親指を使用して作動させることができるからである。
【0034】
上記ピストル型ノズルの上記修正構造体も、その内部チャネルの構造をより簡単にするため、関連製造コストを大きく低減する。
【0035】
上記修正ピストル型ノズルのモデルを、図12に示すように具体化したバージョンを示す。この図面は、本発明の装置によりすでに全体が完成した実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】その内部実施形態をよりよく理解することができる概略部分断面の領域を示す本明細書に記載するピストル型ノズルの主モデルの側面図である。
【図2】図1のピストル型ノズルの一部である2つのシャッター弁の領域の拡大部分断面の略図である。
【図3】図1のピストル型ノズルの前領域の拡大部分断面図である。
【図4】図1のピストル型ノズルの把持部の領域の拡大部分断面図である。
【図5】そのトリガの作動条件の例を示す図1のピストル型ノズルの全体図である。
【図6】上記主ピストル型ノズルの別の構造の斜視図である。
【図7】図6のピストル型ノズルの側面図である。
【図8】切断線A−Aで示すような図7からの断面図である。
【図9】図6からの矢印Aで示すような上記ピストル型ノズルの前面図である。
【図10】切断線B−Bで示すような図9からの断面図である。
【図11】切断線C−Cで示すような図9からのもう1つの断面図である。
【図12】最終的な形の、また本発明の装置から製造した図6のピストル型ノズルからの一部修正実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1.1 モノブロック本体
1.2 把持部
1.3 トリガ
1.4 圧縮空気用ボタン
1.5 チャネル通路
1.6 ハウジング
1.7 弁
1.8 通路
1.9 スプリンクラー
1.10 前縁部
1.11 チャネル通路
1.12 ハウジング
1.13 弁
1.14 チャネル通路
1.15 管状延長部
1.16および1.17 ネジ山付き接続部
1.18および1.19 ホース
1.20 ローカル(接触部)
1.21 スプリング
1.22 弁
1.23 軸方向チャネル
1.24 シャフト
1.25 ローカル(接触部)
1.26 リング状の凹部
1.13A ディスク
1.7A 球体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズルであって、
把持部(1.2)と、トリガ(1.3)と、圧縮空気用ボタン(1.4)とを備え、ピストル型形状としたモノブロック本体(1.1)を備え、
前記モノブロック本体(1.1)は、前記把持部(1.2)からトリガ(1.3)により作動するシャッター装置または弁(1.7)が組み込まれたハウジング(1.6)まで延びるチャネル通路(1.5)を有し、
前記チャネル通路(1.5)の前記弁(1.7)の先端側は、モノブロック本体(1.1)の前端部(1.10)に設けられたスプリンクラー(1.9)に通ずる通路(1.8)に連絡しており、
前記モノブロック本体(1.1)は、さらに、前記把持部(1.2)内を横切り、前記圧縮空気用ボタン(1.4)により作動するシャッター装置または弁(1.13)が組み込まれたハウジング(1.12)まで延びるチャネル通路(1.11)を有し、
前記弁(1.13)の先端側は、前記スプリンクラー(1.9)の上部に設けられた管状延長部(1.15)に通ずるチャネル通路(1.14)が位置し、
前記把持部(1.2)の下端部のチャネル(1.5)と、チャネル(1.11)は、加圧した液体および圧縮した空気がそれぞれ流れるホース(1.18、1.19)が接続されたネジ山付き接続部(1.16、1.17)まで延び、
弁(1.7)と弁(1.13)は、それぞれ使用するシャッターと弁(1.7)内の球体(1.7A)および弁(1.13)内のディスク(1.13A)以外は、同一の基本機能を有することを特徴とするピストル型ノズル。
【請求項2】
前記弁(1.7)において、接触部(1.20)は、前記トリガ(1.3)により作動するシャフト(1.24)が挿通される軸方向チャネル(1.23)を有する弁(1.22)の一部を形成し、
前記弁(1.13)において、接触部(1.25)は、前記ディスクがスプリング機能(1.21)により付勢される面として形成され、前記圧縮空気用ボタン(1.4)が押されると前記ディスク(1.13A)は作動し、
軸方向チャネル(1.23)は、弁本体(1.13)を囲むリング状の凹部(1.26)に通ずる小さい半径方向のチャネルを有すること
を特徴とする請求項1に記載の液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズル。
【請求項3】
前記スプリンクラー(1.9)は、液体の流れのパターンを調整することができる構造を有し、前記スプリンクラーは、位置決め調整加工部品(1.9B)により位置決めされるピン(1.9D)により一部が閉塞される円錐形開口部(1.9C)を有する調整加工部品(1.9B)を外部に収容する本体(1.9A)を備えること
を特徴とする請求項1に記載の液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズル。
【請求項4】
前記モノブロック本体(2.1)は、その前部にあるアングル付把持部部分(2.2)と、スプリンクラー(2.5)と管状延長部(2.6)を端部に有する突起(2.4)を備えた一体化ブロック(2.3)を有することを特徴とし、
一体化ブロック(2.3)は、圧縮空気の流れを制御するもう1つの弁またはシャッター(2.8)の隣に設けられた液体の流れを制御する弁またはシャッター(2.7)を収容し、
前記弁またはシャッター(2.7)は、アングル付把持部(2.2)を貫通するチャネル通路(2.10)と、第2のチャネル通路(2.11)の端部にある前記スプリンクラー(2.5)を有する突起(2.4)を貫通する前記第2のチャネル通路(2.11)との間の中間の領域に配置されるハウジング(2.7A)内であって一体化ブロック(2.3)内の中央領域(2.9)に設けられ、
前記もう1つの弁またはシャッター(2.8)は、前記ハウジング(2.7A)の弁又はシャッター(2.7)と同様に、アングル付把持部(2.2)を貫通するチャネル通路(2.12)と、第2のチャネル通路(2.13)の端部にある前記管状延長部(2.6)を有する突起(2.4)を貫通する前記第2のチャネル通路(2.13)との間の中間の領域に配置されるハウジング(2.8A)内であって一体化ブロック(2.3)内の中央領域(2.9)に設けられ、
前記両チャネル通路(2.10、2.11)は、前記アングル付把持部(2.2)に沿って相互に平行に並んで延びるとともに、前記両チャネル通路(2.12、2.13)も、突起(2.4)に沿って相互に平行に並んで延び、
前記弁またはシャッター(2.7)は、前記もう1つの弁またはシャッター(2.8)とは独立に設けられた圧縮用ボタン(2.14)により作動し、
前記チャネル通路(2.10、2.12)の端部にネジ山付き接続部(2.15、2.16)が接続可能であり、前記ネジ山付き接続部(2.15、2.16)はピストル型ノズルに液体および圧縮空気を別々に供給するホースが接続されること
を特徴とする請求項1に記載の液体および圧縮空気の流れを統合管理するためのピストル型ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−149446(P2008−149446A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−202988(P2007−202988)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(507263782)マチシステム インダストリア エ コメルシオ デ マキナス リミターダ (1)
【Fターム(参考)】