説明

液体から微細気泡を除去するための方法。

ジメチルアクリルアミド(DMAM)を場合によっては含有するN,N−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)由来の架橋重合体で直接被覆される、約0.01と0.03ミクロンとの間の平均ポアサイズを有する多孔質重合膜から形成される複合多孔質膜を用いた濾過による、液体から微細気泡を除去するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トップ反射防止コーティング(TARC)は、光パターンにレジストが曝露された際の、レジスト/空気界面から反射される光子を減衰させるために、フォトリソグラフィーにおいて使用される。薄いTARC/フィルムは、TARC/レジスト界面からの光子反射に対して180°でTARC/空気界面から反射される光子の相を変化させる。これらの光波は、破壊的に干渉し、この反射からのエネルギーを減少させ、したがって、レジストの厚さを通じて光強度の変動を低下させる。TARCフィルムを用いることで、線幅解像度を向上させることができ、レジスト側壁における不必要な段階を減らすことができる。
【0002】
TARCは、フォトレジスト又はソフトベークの付着後、回転ウエハー上に塗布される。TARC液は、時に有機重合体を含有する、フッ素化界面活性剤の酸性の水性調合液である。この界面活性剤は、TARC液の表面張力を低下させ、コーティングをより均一にするが、重大な微細気泡の不具合の一因となる。通常直径が10μm未満の安定な気泡を含有する微細気泡は、TARCフィルムにおける不具合の主要な原因である。TARC溶液における微細気泡により、電子部品における導電経路を形成するために利用されるフォトレジストフィルムに付着する欠点などの、TARCフィルムに不具合が生じる。
【0003】
液体中の界面活性剤は、気体/液体界面において、微細気泡の周囲に膜を形成する。この界面活性剤は、大量の液体と気体/液体界面との間を動くことにより、気体/液体界面において表面張力を変化させることができる。表面張力が変動可能であることにより、微細気泡は、せん断応力及び圧力変動下で微細気泡を崩壊から守る半径を変化させることができるようになる。さらに、界面活性剤の膜は、液体の加圧の結果、周囲の液体に気体が再溶解し得ないように、その気泡から周囲の液体への気体の物質移動に対するバリアとして作用する。形態を変化させ、気体の溶解速度を低下させる能力により、界面活性剤で安定化された微細気泡が一度溶液中で形成されると持続するようになる。
【0004】
気泡と微細気泡との違いは、大きさに基づく。気泡及び微細気泡は、それらが存在する液体よりも密度が低く、ある一定時間で、その液体の表面に上昇する。気泡が上昇する速度は、液体の粘度及び気泡の直径に依存する。この現象は、水中の気体に対してStokeの法則を適用することにより示される。表1は、ある直径の気泡に対する水中での上昇速度を与える。1μmの気泡は、底から30cmの高さの容器のトップまで上昇するのに7日間近くかかり、100μmの気泡が同じ表面に上昇するのに要する時間はわずか55秒である。
【0005】
気泡が液体/気体界面に分の単位で上昇する一方で、微細気泡は数時間から数日にわたり液体中に留まる。さらに、界面活性剤を含有するTARC溶液中の気泡及び微細気泡は、微細気泡を被覆する界面活性剤により形成される流体抵抗のために、同等の粘度の純粋な流動体中よりも、上昇に時間がかかる。
【0006】
【表1】

【0007】
気泡及び微細気泡は、溶解気体の溶解性が低下した際、液体中で形成される。液体の汲み上げ時に生じるものなどの、圧力変動は、いくつかの様々な機構により、気泡及び微細気泡の形成が起こり得る。均一核生成、不均一核生成及びキャビテーションは、気泡及び微細気泡の形成に対して文献において提案される機構である。均一核生成の結果、気体分子が塊を形成し、ある一定の大きさになると、液体の至るところに微細気泡が形成される。この現象は、例えば圧の低下により、液体中の過飽和溶解気体が急激に不溶性となる場合に起こる。均一核生成はまれであり、TARC中での気泡及び微細気泡形成に対する機構ではないと思われる。不均一核生成は、疎水性表面で生じる気泡の成長と定義される。疎水性表面又は粒子は、液体中の気体溶解度が低下した場合に、気泡及び微細気泡形成に対する触媒として作用する。第三の機構である、キャビテーションは、動流体の圧力の急激な低下により生じる核形成部位における、気泡及び微細気泡形成を特徴とする。不均一核生成及びキャビテーションの両者とも、TARCにおける気泡及び微細気泡形成に対する機構であると思われる。
【0008】
微細気泡は非常に上昇速度が低いので、容器又はチャンバーのトップに微細気泡が上昇するための時間をかけることによりそれらを十分に除去するのは不可能である。また、界面活性剤で被覆された微細気泡は、気体から液体への物質移動が遅く、微細気泡が形態を変化させることができることから、圧力下で溶解しにくい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、液体/気体界面への微細気泡の動きに依存しない、液体、特に界面活性剤含有液体から微細気泡を除去する方法を提供することが望ましい。さらに、液体から微細気泡の相当量を除去する方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アミド含有単量体で修飾された表面を有する多孔質膜基材が、そこから微細気泡を除去するための、酸性TARC界面活性剤含有溶液を含む液体の濾過に特に適しているという発見に基づく。酸性液体溶液による分解に耐性のある多孔質膜基材を利用することが好ましい。親水性の修飾をうけた表面を有する表面修飾膜は、酸性溶液から微細気泡を除去するために特に有用であり、そのような溶液において機械的に安定であることが分かった。
【0011】
本発明は、約0.01ミクロンから約0.03ミクロンの平均ポアサイズを有しており、その表面がアミド基で修飾されている、多孔質膜基材から形成される表面修飾膜を利用する。このアミド基は、N,N−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)(架橋剤)のみ、又はジメチルアクリルアミド(DMAM)(単量体)と混合されたN,N−メチレンビスアクリルアミド(約1:0から約1:4、好ましくは約1:1から約1:3のMBAM/DMAM重量比)の、いずれかを含む単量体を含有する重合可能で架橋可能なアミド由来である。重合化MBAMの各繰り返し分子単位は、2個のアミド基を含有し、一方、重合化DMAMの各繰り返し分子単位は、1個のアミド基を含有する。MBAM/DMAMの重量比を変化させることにより、重合体骨格に置かれるアミド部分の濃度を調節することができる。したがって、膜の、相対的極性相互作用特性及び非極性相互作用特性を調節し、所定のフォトレジスト組成物に対して最適化することができる。MBAM/DMAM架橋/単量体組成物は、重合開始剤により基材多孔質膜の表面に付着し、次に、その基材においてインシトゥで重合及び架橋させられる。その結果、細孔表面を含む表面全体が架橋アミド組成物で修飾され、アミド部分のメチレン部分に対する所望する比率を有する多孔質膜が形成される。
【0012】
液体組成物、特にフッ素重合体などの重合体及びフッ素化界面活性剤などの界面活性剤を含有する酸性液体溶液からの微細気泡の除去において、非修飾多孔質膜基材の平均ポアサイズが本発明において利用される表面修飾多孔質膜の平均ポアサイズよりも小さい場合でも、非修飾多孔質膜基材よりも本発明の表面修飾多孔質膜組成物が、より効果的であることも分かった。Nylon66などのポリアミド膜と比較して、これらの表面修飾膜が、酸性溶液による分解に対してより安定であることが分かった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の表面修飾多孔質膜を用いて濾過される代表的なTARC組成物は、pHが約2から3の、時に有機重合体を含有する、フッ素化界面活性剤の酸性水性調合液を含む。
【0014】
本発明によると、TARC溶液などの水性溶液による分解に対する所望する耐性を有する重合多孔質膜のその表面全体を、単量体組成物を含有する重合架橋アミドで直接被覆する。この単量体は、グラフト重合により、及び/又は架橋単量体の付着により、重合多孔質膜基材の表面に付着させる。重合多孔質膜基材上へのこの架橋単量体の所望する付着は、直接被覆としてもたらされ、中間結合化学部分を必要とせず、又は利用しない。
【0015】
「重合多孔質膜基材」という用語は、本明細書中で使用される場合、1又は複数の単量体から形成される重合体性組成物を含むことを意味する。本多孔質膜を形成する代表的な適切な重合体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、高密度ポリエチレン、米国特許第4,778,601号及び同第4,828,772号(参照により本明細書中に組み込む。)のプロセスなどにより調製されるものなどの、超高分子ポリエチレン(UPE);ポリスチレン又は置換ポリスチレン;ポリ(テトラフルオロエチレン)、フッ化ポリビニリデンなどを含む、フッ素化重合体;ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートなどを含むポリエステル;ポリアクリレート;ポリカーボネート;ポリビニルクロライド及びポリアクリロニトリルなどのビニル重合体が含まれる。ブタジエン及びスチレンの共重合体、フッ素化エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体もまた、使用することができる。一般に、本重合多孔質膜基材は、約0.005と0.05ミクロンとの間、より一般的には、約0.01と0.03ミクロンとの間の平均ポアサイズを有する。
【0016】
グラフト及び/又は付着による重合可能単量体の多孔質膜への重合及び架橋は、孔の内表面を含むその多孔質膜の表面が架橋/グラフト重合体で被覆されるようになされなければならない。好ましくは、多孔質膜の表面が完全に被覆される。したがって、第一段階において、この多孔質膜を、多孔質膜を膨張させないか、又は溶解しない溶媒組成物で洗浄し、水及び有機溶媒の混合液などで、孔の表面を湿らせる。この目的のための適切な水溶媒組成物には、メタノール/水、エタノール/水、アセトン/水、テトラヒドロフラン/水などが含まれる。この湿潤段階の目的は、多孔質膜にその後に接触する架橋剤/単量体組成物が多孔質膜の表面全体を確実に湿らせることである。この予備的湿潤段階は、下記の試薬液そのものが該多孔質膜の表面全体を濡らすように機能する場合、省くことができる。予備的湿潤段階は、例えば15重量%以上など、その試薬が有機反応物質を高濃度で両方含有する場合、影響を受け得る。いずれの場合も、必要であるのは、重合可能単量体が多孔質膜の表面全体を湿らせるように、多孔質表面全体が湿っていることである。
【0017】
適切な重合可能架橋剤/単量体組成物は、単独又は約1:0から約1:4(好ましくは約1:1から約1:3)の間のMBAM/DMAM重量比のDMAMとの混合のいずれかで、MBAMを含む。表面にアミド官能化された重合体を含有する微小多孔質膜のアミド密度(AD)値は、AD=(重合体繰り返し単位における置換又は非置換基のあるアミドの数/重合体繰り返し単位の分子量)として定義することができる。1:0及び1:4のMBAM/DMAM重量比である本発明の表面修飾膜の(AD)値は、それぞれ、0.013及び0.010である。比較のために、Nylon66重合体から形成される膜の(AD)は、0.009である。
【0018】
上述の単量体に対する適切な開始剤及び架橋剤は、本技術分野で周知である。所望する遊離基重合及び架橋が、抽出に時間がかかる大量の副産物の形成及び着色物の形成無しになされるように、単量体、重合開始剤及び架橋剤を、これら3つの反応物質及び多孔質膜に適合する溶媒中の混合物として多孔質膜と接触させる。容易に抽出可能な副産物が形成される場合、これらは、被覆段階の後、適切な溶媒において洗浄段階を行うことにより、除去することができる。
【0019】
重合可能単量体、重合開始剤及び架橋剤に対して利用される特定の溶媒は、使用される特定の反応物質及び、多孔質膜形成のために使用される特定の重合体に依存する。必要であるのは、反応物質が溶媒に溶解し、溶媒系において遊離基の発生により反応できること及び溶媒が多孔質膜基材を攻撃しないことのみである。したがって、使用する特定の溶媒系は、使用する反応物質及び多孔質膜に依存する。代表的な適切な溶媒には、水又は、アルコール、エステル、アセトンもしくはこれらが適合している水性混合物などの有機溶媒が含まれる。
【0020】
一般に、重合可能架橋剤/単量体混合物は、反応物質溶液の重量に基づいて、約1%と約20%との間、好ましくは約3%と約9%との間の全体的濃度で存在する。重合開始剤は、重合可能架橋剤/単量体混合物の重量に基づいて、約0.25%から約2.5重量%、好ましくは0.75%から1.75%の間の量で存在する。
【0021】
加熱、紫外線光、γ線、電子ビームなどの、遊離基重合開始のための従来のエネルギー源を使用することができる。例えば、遊離基重合が加熱により開始される場合、少なくとも約60℃、及び溶液中で望ましくないバルク重合が起こる温度以下に、又はその溶媒が沸騰する温度以下に、反応物質溶液及び多孔質膜を加熱する。例えば、一般に、水性溶媒系を使用する場合の適切な温度は、約80℃と約95℃との間であり、好ましくは約88℃と約92℃との間である。重合反応は、多孔質膜の露出表面全体が付着重合体組成物で確実に被覆されるが、その膜の孔が詰まることがない時間にわたり行われるべきである。一般に、適切な反応時間は、約0.1分間から約30分間であり、好ましくは約1分間から約2分間である。多孔質膜が溶液に浸されている間、反応が起こっている状態であり得る。しかし、その結果、溶液のいたるところで単量体の重合が起こる。反応物質溶液で多孔質膜を飽和させ、単量体が浪費されないように、溶液外で反応が起こることが好ましい。したがって、回分式で、又は連続的にこの反応を行うことができる。連続プロセスとして操作する場合、多孔質膜のシートを反応物質溶液で飽和させ、次に、重合反応を起こすためにエネルギーに曝露する反応ゾーンに移す。
【0022】
Dev膜との、本発明で使用される表面修飾多孔質膜の平均イソプロピルアルコール(IPA)泡立ち点(又はASTM法 F316−80に記載されているような平均IPA流動間隙水圧)の比較は、以下の通りである:Optimizer Dev(カタログ番号CWUZ16EL1、Mykrolis Corporation)=50psi、UPE(0.03ミクロン)DMAM/MBAM 1:1=85psi。本発明で使用される表面修飾膜は、50psiを超えるIPA泡立ち点を有する。IPA泡立ち点は、サイズ排除除去による多孔質膜の粒子保持能の優れた指標を与える。
【0023】
本発明は、液体から微細気泡を除去するためのプロセスに関する。とりわけ、本発明は、濾過により、液体から微細気泡を除去するためのプロセスに関する。
【0024】
次の実施例は、本発明を説明するものであり、同発明を制限することを意図しない。
【実施例1】
【0025】
気泡形成機構及び界面活性剤により安定化される微細気泡の挙動に関する知識に基づいた研究のために、数種類のフィルター膜を選択した。ある範囲の粒子保持(0.02から0.1μm)及び表面エネルギー(疎水性又は親水性)を有する膜の候補を、TARC液において微細気泡レベルを低下させるそれらの能力について試験した。2セットの試験を行い、保持率及び表面エネルギーがどのように液体中の微細気泡レベルに影響を及ぼすか、についてを調べた。
【0026】
Mykrolis Corporation,Billerica,Massachusetts,USAから入手可能なIntelliGen(R)2 ディスペンスシステム、及びClariant Corporation,Somerville,NJ,USAから入手可能なAZ Aquatar(R)TARCを使用して、実験を行った。Particle Measuring System(PMS)Corporation,Boulder,CO,USAから入手可能なParticle Measuring Systems Liquilaz(R)SO2 光学粒子カウンタを吐出ラインに設置した。前記フィルターをTARCとともに事前準備を行い、粒子総数が安定するまで吐出手順を連続して実行した。
【0027】
粒子計数の結果、より保持力の高い濾過媒体において微細気泡レベルが低下することが示される。粒子計数には、>0.2μmの大きさの全ての計数を含む。試験する膜は全て、0.1ミクロンの中空の繊維UPEを除き、平板ひだ付き膜である。このデータから、濾過媒体保持効率が定常状態での微細気泡レベルに対して大きな影響を持つことが示される。0.02μmUPE親水性膜において、微細気泡レベルが最小となった。
【0028】
これらデータは、光学粒子カウンタにより検出されているほとんどの「粒子」が気泡であり、粒子ではないことを示す。何故ならば、log−log軸上にプロットされる粒子の分布が線形ではないからである。累積粒子計数を粒子サイズに対してプロットする。粒子のみが存在する場合、累積粒子計数データは、log−log軸上にプロットした際、−2から−3.5の傾斜を有する直線を形成する。急な屈曲部及び/又はより緩やかな傾斜を示す粒子計数データは、微細気泡の存在を示す。この実験において回収されるデータは両方の特徴を有する。
【0029】
再循環検査スタンドを、ある一定の時間、液体を停滞状態にしておいた後、いくつかのタイプの濾過媒体の下流の微細気泡レベルを測定するよう構築した。疎水性(低表面エネルギー)UPEフィルター(LHVD)及び親水性(高表面エネルギー)UPE(PCM)フィルターを「試料フィルター」位置に連続して設置した。このPCM界面は、上述のように、0.02μmUPE多孔性膜基材を用いて調製された1:0のMBAM:DMAMの重量比により修飾される。Rion Corporation,Ltd.,Tokyo,Japanから入手可能なRion KL−20光学粒子カウンタ(OPC)を前記試験フィルターの下流に設置して微細気泡を検出した。粒子数が安定するまで前記ポンプを動かし、粒子数が安定した時点でポンプを停止させた。2時間後、このポンプを再度動かし始め、フィルターの下流の粒子数を測定した。
【0030】
気泡形成の不均一核生成の機構から、疎水性材料が微細気泡形成のための核形成部位として作用するであろうことが示される。データは、流動再開後に疎水性フィルターに対する粒子総数の大きな急上昇を示す。この急上昇は、親水性フィルターの場合は非常に弱く、粒子数は低レベルへと急激に低下する。
【0031】
0.02μm定格の親水性UPE膜では、定常状態において、流動の停止後、微細気泡レベルが最低となった。この膜を、0.02μmIMPACT Plus PCM濾過装置へと組み込んだ。
【0032】
トップ反射防止コーティングフィルムでの不具合を低下させる目的で、試験するフィルタータイプを半導体製造ラインに設置した。この実験の目的は、不具合が最低レベルに抑えられるフィルターのタイプを見出し、ウエハーレベルの不具合低下が、光学粒子カウンタにより測定される微細気泡レベルの低下と相関するか否かを調べることであった。
【0033】
フィルターを、AZ Aquatar TARCを使用するRDSディスペンスシステムに設置した。これらのフィルターを設置し事前準備した。KLA−Tencor Corporation,San Jose,CA,USAから入手可能なKLA−Tencor AIT2を使用して、TARC被覆ウエハーの不具合について分析した。この不具合低下傾向から、濾過媒体保持効率及び表面エネルギーが、ウエハーレベルの不具合に対して劇的な効果を有することが明らかとなった。IMPACT Plus装置における0.02μmPCM膜により、TARCフィルムにおける不具合レベルを満足に低下させることができた。このフィルターの使用の結果、0.04μmナイロン膜と比較して不具合が57%低下し、0.1μmナイロン膜と比較して不具合が85%低下し、0.1μm 中空繊維UPE(非修飾)と比較して不具合が88%低下した。
【0034】
Sunnyvale,CA,U.S.A.のJapanese Scientific Rubber Corp.(JSR)から入手可能なNFC 540 TARCを使用する半導体ウエハー処理設備である、第二の半導体製造ラインにおいて、0.02μmIMPACT Plus PCM多孔性膜と並行して、0.05μmIMPACT Plus LHVD(未修飾UPE)を試験した。KLA−Tencor Corporation,San Jose,CA,USAから入手可能なKLA−Tencor SP1を使用して、ウエハーレベルの不具合を測定した。この0.02μmIMPACT Plus PCM(界面修飾されている。)は、2つの方法で0.05μmIMPACT LHVDを超える改善があることを証明した。PCMフィルターにより、不具合数が50%低下し、不具合レベルの無作為な急上昇が防止された。表2はこの評価からのデータを含む。
【0035】
【表2】

【0036】
このデータから、TARC濾過のための親水性で非常に保持力のある濾過媒体を選択する重要性が明らかとなる。0.02μmIMPACT Plus PCMでは、ウエハー上の不具合が最低レベルとなり、トップ反射防止コーティングにおける不具合レベルのて無作為な急上昇発生を防止した。
【実施例2】
【0037】
表面修飾されたUPE膜を、Mykrolis Corporation製造の、疎水性微小孔性UPE膜(カタログ番号CWAY01)から調製する。これは、0.03μmの定格平均ポアサイズ及び42μmの平均厚を有する。
【0038】
この疎水性0.03μmUPE膜を解き、膜界面処理に通して、イソプロピルアルコール(IPA)を使用して連続的に予め湿らせて、この孔において空気が閉じ込められるのを防止し、次に20重量% ヘキシレングリコール及び80%水の溶液で処理する。
【0039】
ヘキシレングリコール/水の溶液において十分に湿らせた後、この膜を、重合可能な単量体及び、0.3%Irgacure2959(Ciba Specialty Chemical AG)、10%アセトン、3.5%N,N−メチレンビスアクリルアミド、86.2%水(全て重量による。)を含有する架橋剤混合溶液に浸漬する。この単量体で湿らせた膜をポリエチレン(PE)フィルムのシートの間に挟み、総計四個の紫外線ランプを使用してその膜の各側に対して紫外線ランプ「Fusion H バルブ型」を当て、その後、水ですすぎ、乾燥させ、芯に巻き上げる。
【0040】
得られた膜を、水による湿潤性、水流速度、平均イソプロピルアルコール(IPA)泡立ち点及び膜の厚さについて調べる。結果は、水湿潤時間(秒):0.1秒、水流速度(ml/分/cm2):13.5psi分圧及び21℃で1.2、厚さ:42μm、平均IPA泡立ち点(ASTM法F316−80):85psi、である。
【実施例3】
【0041】
4%MBAM、4%DMAM、10%アセトン、0.75%Irgacureを含む単量体溶液を使用することにより、実施例2を繰り返した。得られた膜は以下の特性を有する。すなわち、
水湿潤時間(秒):0.1秒、水流速度(ml/分/cm2):13.5psi分圧及び21℃で1.2、厚さ:42μm、平均IPA泡立ち点(ASTM法F316−80):86psi、である。
【実施例4】
【0042】
この例は、本発明の複合多孔性膜と、0.04μm多孔性Nylon6,6膜及び、0.05ミクロンUPE(Dev)を含有する基材を有する複合膜との比較を与える。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【実施例5】
【0045】
この例は、本発明の複合多孔性膜と、0.04μm多孔性Nylon66膜及び、0.05μmUPE(Dev)を含有する基材を有する複合膜との比較を与える。
【0046】
【表5】

【0047】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質膜を含む物品[前記膜の表面は、前記膜表面に付着している1又は複数の単量体の重合により親水性になるように修飾されており、前記表面修飾膜の相対的極性相互作用特性及び非極性相互作用特性が、前記修飾膜と接触している液体から微細気泡を除去する。]。
【請求項2】
前記表面修飾膜が、分解に対して機械的に安定である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記膜の相対的極性及び非極性相互作用特性が、該修飾表面のアミド及びメチレン部分の濃度により調節される、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記修飾膜が、濾過装置に組み込まれる、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
重合性多孔質膜基材を含む複合多孔質膜[前記重合性多孔質膜基材は約0.005と約0.05ミクロンとの間の孔を有し、前記基材はアミド基により修飾された表面を有しており、前記アミド基は重合可能組成物由来であり、前記重合可能組成物は、前記多孔質基材の表面に付着している1又は複数のアミド単量体を含み、インシトゥで前記多孔質基材の表面で重合する。]。
【請求項6】
前記重合可能組成物が、N,N−メチルビスアクリルアミド(MBAM)、ジメチルアクリルアミド(DMAM)又は約1:0と約1:4との間のMBAM/DMAM重量比でのこれらの組合せを含む、請求項5に記載の複合多孔質膜。
【請求項7】
前記重合可能組成物が、開始剤を含む、請求項5に記載の複合多孔質膜。
【請求項8】
前記基材が、超高分子量ポリエチレンである、請求項5に記載の複合多孔質膜。
【請求項9】
前記基材が、ポリテトラフルオロエチレンである、請求項5に記載の複合多孔質膜。
【請求項10】
50psiを超える平均IPA泡立ち点を有する、請求項5に記載の複合多孔質膜。
【請求項11】
メチレン基に対するアミド基の比が、前記膜の極性及び非極性相互作用特性を調節する、請求項5に記載の複合多孔質膜。
【請求項12】
液体から微細気泡を除去するための方法[前記方法は、前記液体を、約0.01と0.03ミクロンとの間の平均ポアサイズを有し、第一の重合体で形成されている複合多孔質膜基材を用いて濾過することを含み、前記基材は、架橋された第二の重合体により直接表面全体が被覆されており、前記架橋された第二の重合体は、遊離基開始剤及び単量体組成物を用いてインシトゥで重合された単量体から形成されていて、前記単量体組成物は、N,N−メチルビスアクリルアミド(MBAM)が場合によって混合されたジメチルアクリルアミド(DMAM)を含み、前記単量体組成物はインシトゥで前記基材上において架橋されていて、前記複合多孔質膜は該多孔質膜基材と基本的に同じ多孔構造を有する。]。
【請求項13】
前記第一の重合体が超高分子量ポリエチレンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の重合体がポリテトラフルオロエチレンである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記液体が、酸性トップ反射防止コーティング液である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記液体が、界面活性剤を含有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記液体が、フッ素重合体を含有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記液体が、フッ素重合体及び界面活性剤を含有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記界面活性剤が、フッ素化界面活性剤である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記界面活性剤が、フッ素化界面活性剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
液体から微細気泡を除去するための方法[前記方法は、多孔質膜を用いて前記液体を濾過することを含み、前記多孔質膜は、前記膜の極性及び非極性相互作用特性を調節する、アミド基のメチレン基に対する比を有する。]。
【請求項22】
前記液体を回転ウエハー上に塗布する段階をさらに含む、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2007−519522(P2007−519522A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551123(P2006−551123)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/000753
【国際公開番号】WO2005/072487
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】