説明

液体のための輸送および貯蔵用容器のためのパレット状基部フレーム

【課題】輸送および貯蔵用容器のためのパレット状基部フレームを提供する。
【解決手段】内側容器と外側筐体18とを備える。基部フレームは内側容器を支持する平坦部22と脚フレーム25上に取り付けられた角部脚23および中央脚とを備え、基部フレームの平坦部22は脚フレーム25に取り付けられ、角部脚23は前部壁26および前部壁23の中心軸の横方向に形成された部分体を持つ角部脚本体を備え、部分体は角部脚23を平坦部22に接続するための前部壁26の円周リム28上に形成された上部支持表面と角部脚23を脚フレーム25に接続するための接続領域を持つ下部支持表面とをそれぞれ備え、少なくとも1つの部分体の下部支持表面は前部壁26の円周リム28と接続領域との間に配置されたストップ体を有し、ストップ体は円周リム28からのその距離によって輸送および貯蔵容器の外側筐体18上で基部フレームを支持するための支持リムを規定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体のための特に輸送および貯蔵用容器のためのパレット状基部フレームであって、容器は、閉じられ得る取入栓と、取出継ぎ手に接続するための排出栓とを持つ、プラスチックで作られた内側容器と、金属グリッドまたはシートからなる外側筐体とを備え、基部フレームは、内側容器を支持する平坦部と、脚フレーム上に取り付けられた角部脚および中央脚とを備え、基部フレームの平坦部は、脚フレームに取り付けられ、角部脚は、壁および前部壁の中心軸の横方向に形成された部分体を持つ角部脚本体を備え、部分体は、角部脚を平坦部に接続するための前部壁の円周リム上に形成された上部支持表面と、角部脚を脚フレームに接続するための接続領域を持つ下部支持表面とをそれぞれ備える。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べられた種類のパレット状の基部フレームは、例えば特許文献1から知られている。知られている基部フレームは、中心軸の領域においてつながるように構成された2つの部分体を持つ角部脚本体を備える基部フレームのフレーム角部に位置する角部脚を備える。この部分体は、前部壁の上部リム上と、前部壁の下部リム上とにそれぞれ、前部壁に対して実質的に直角に配置されている上部支持表面および下部支持表面を備える。上部支持表面は、基部フレームの平坦部に接続するために用いられ、下部支持表面は、基部フレームの脚フレームに接続するために用いられる。
【0003】
冒頭で述べられた種類の輸送および貯蔵用容器は、保管時にはスタックされた状態でしばしば置かれ、このとき少なくとも2つの輸送および貯蔵用容器は互いに重ねられている。このような場合、角部および中心脚の下部支持表面は、上側輸送および貯蔵用容器を、下側輸送および貯蔵用容器の外側筐体の上部リム上で支持する支持表面(supporting bearing surface)として働く。下部支持表面の実質的に平坦な形状のために、上側輸送および貯蔵用容器の基部フレームの脚フレームおよび下側輸送および貯蔵用容器の外側筐体の上部リムは、共通な水平平面内で延びる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国実用新案出願公開第202 17 856号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上側輸送および貯蔵用容器の脚フレームおよび下側輸送および貯蔵用容器の上部リムは、それらの大きさについて、積み重ねられた構成のときに、脚フレームが上部リムによって規定される特定の境界線内に位置するよう、互いに一致するよう構成されている。これはスタック構成において、上側容器を下側容器に対してある種、相対的に位置付けすることにつながる。避けることのできない製造公差があるので、スタック構成に配置されたときに上側容器の脚フレームが下側容器の上部リムの内部領域内に常に嵌められることを確実にするために、明確に規定されていない水平距離が、上側容器の上部リムと下側容器の脚フレームとの間に設けられる。この距離のために、共通の鉛直軸上で重ねられた容器の重心の、多少なりとも正確な位置付けは、もしフォークリフトトラックまたは同様の装置を操作する人が適切な注意を払った場合だけ実際上、可能になる。適切に対応および注意して積み重ねを行わない場合には、上側容器の重心から多少大きく水平方向へ変位し、鉛直に作用する容器の荷重に加えて、容器を横切る向きの軸について傾斜モーメント(tilting moment)が発生する。この傾斜モーメントは、特にもし容器のスタックが不均一な土台や傾斜平面の上に置かれているなら、極端な場合は、積み重ねられた構成が不安定になってスタックの安全を脅かすことにつながる。
【0006】
もちろん脚フレームおよび上部リムの製造公差のためのそのような狭い制限を規定することによって、脚フレームおよび上部リムの間の設定された最短距離のために、上側容器の重心に対する上側容器の重心からの水平方向の変位が非常に小さくなるようにすることも可能ではある。しかしその一方で、積み重ねられた構成を形成するとき、または積み重ねられた構成を分解するときには、リスクが増大し、過度に小さい製造公差のせいで、上側容器の脚フレームおよび下側容器の上部リムが互いに対してずれて(引っかかって)、それにより上側容器が落下し損傷することにつながり得る危険な状態になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって本発明は、液体のための輸送および貯蔵用容器のためのパレット状基部フレームを提案する目的に基づいており、本発明によれば、積み重ねられた構成の安定性の欠如による容器の故障に対してより高まった安全を確保し、よって危険物質の輸送および貯蔵に特に適した、液体のための輸送および貯蔵用容器の提供が可能になる。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する本発明による基部フレームによって達成される。
【0009】
本発明による基部フレームを用いると、少なくとも1つの部分体の下部支持表面が、前部壁の円周リム(circumferential rim)と支持表面の接続領域との間のストップ体(stop body)に設けられ、このストップ体は、円周リムからのその距離によって、輸送および貯蔵用容器の外側筐体上で基部フレームを支持する支持リム(bearing rim)を規定する。
【0010】
本発明による基部フレームは、前部壁の円周リムと接続領域との間の下部支持表面上に配置されたストップ体によって、上に積み重ねられた輸送および貯蔵用容器群の相対的な構成が規定されることを可能にする。このストップ体は、円周リムからのその距離によって、外側筐体上で下側輸送および貯蔵用容器を支持する支持リムを規定する。特に、角部脚上に配置されたストップ体は、上側輸送および貯蔵用容器を下側輸送および貯蔵用容器に対してほぼ中心が合うように位置合わせすることを可能にし、それにより規定された円周距離を、上側輸送および貯蔵用容器の脚フレームと、下側輸送および貯蔵用容器の外側筐体の上部リムとの間に作ることによって、積み重ねられたときの輸送および貯蔵用容器群の互いに対する望ましくない位置ズレを避け、よって積み重ねられた構成をより簡単に作ることを可能にすると共に、積み重ねられた輸送および貯蔵用容器群を互いから離す、スタック構成の分解も可能にし、それに対応する危険な状況を作らないようにする。
【0011】
金属からできた角部脚本体については、下部支持表面のリムウェブ部の部分的な領域を開いて曲げることによって形成されるストップストラップとしてストップ体を形成することによって、ストップ体が角部脚の金属切断と一体的に形成され得るのが特に優位性がある。
【0012】
ストップストラップによって支持リムから分離された接続リムによって接続領域が形成されるとき、ストップストラップは接続領域を規定するようにも同時に働く。
【0013】
角部脚の両方の部分体が、下部支持表面上に配置されたストップ体を備えるとき、ストップ体は、前部壁の中心軸から所定の距離でそれぞれ配置され、位置付けの効果は、上側容器が下側容器上に置かれたときに、ただ1つの角部脚によっても達成され得る。
【0014】
本発明による液体のための輸送および貯蔵用容器は、請求項5の特徴を備えてもよい。
【0015】
本発明による輸送および貯蔵用容器は、請求項1によるパレット状基部フレーム上に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】パレット状基部フレームが設けられた液体のための輸送および貯蔵用容器の透視図である。
【図2】図1の輸送および貯蔵用容器の基部フレームの角部領域の拡大図である。
【図3】角部脚の等角詳細図である。
【図4】図3の角部脚を等角図で下から詳細に示す図である。
【図5】積み重ねられた構成における角部脚を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
輸送および貯蔵用容器のためのパレット状基部フレームの好ましい実施形態が図面を参照して詳細に説明される。
【0018】
図1は、液体のための輸送および貯蔵用容器10を示す。輸送および貯蔵用容器10は、ワンウェイ(one-way)またはマルチウェイ(multi-way)の容器として用いられ得る。この容器10はプラスチックで作られた内側容器11を備える。内側容器11は、上部容器平面14上に設けられた、蓋12によって閉じられ得る取入栓13と、下部容器平面16の領域に設けられた、取出継ぎ手17に接続するための排出栓15とを備える。内側容器11は、互いに交差する水平および鉛直の金属グリッドバー19,20からなる外側筐体18内に交換可能に受け入れられる。この外側筐体18は、パレット状基部フレーム21上に内側容器11と共に配置される。
【0019】
基部フレーム21は、内側容器11を支持する平坦部22と、脚フレーム25上に取り付けられた角部脚23および中央脚24とを備える。脚フレーム25には、平坦部22と共に内側容器11の外側筐体18が取り付けられる。
【0020】
図2および3を併せて見るとわかるように、角部脚23は、脚フレーム25のフレーム角部27の角部半径に対応するように実質的に湾曲させられた前部壁26を有し、その円周リム28において前部壁26は、脚フレーム25の内側領域に向かって曲げられているリムウェブ29になるよう変形される。このリムウェブは、下部リムウェブ部30によって形成される下部支持表面と、上部リムウェブ部31によって形成される上部支持表面とを備える。下部リムウェブ部30は、脚フレーム25への接続のために用いられる。上部リムウェブ部31は、平坦部22の円周リム33が上部リムウェブ部31(図3)と外側筐体18の下部リム32との間に受け入れられるように、外側筐体18の下部リム32への接続のために用いられる。
【0021】
図4に特に示されるように、示された実施形態において角部脚23は、本件では塑性加工によって金属で作られた、実質的に箱形状またはボウル形状の角部脚本体35を備える。角部脚本体26は、共通前部壁26を介して互いに接続された2つの部分体(partial bodies)36,37からなる。部分体36,37は、横方向に、かつ示された本実施形態においては、前部壁26の中心軸42について対称的にそれぞれ形成され、連続的に互いに一体化されている。図4で明らかに示されるように、部分体36,37は、下部リムウェブ部30および上部リムウェブ部31に近接した前部壁26の円周リムに沿った、横方向のリムウェブ部43を備える。この横方向リムウェブ部は、リムウェブ変形領域44において、上部リムウェブ部31および下部リムウェブ部30になるよう連続的に変化する。
【0022】
特に図2および3に示されるように、前部壁26は、補強用溝部45,46を備え、これら溝部45,46は、上部リムウェブ部31および下部リムウェブ部30の間を延び、溝平坦部47を備える。この溝平坦部47は、前部壁26によって規定される前部平面に対して、接続リム48として形成される接続領域に向かって傾斜がつけられている。図5では下部リムウェブ部30が示される。本実施形態の場合、接続リム48は、それぞれ2つのウェブ形状の溶接バンプ49を備える。これら溶接バンプ49は、溶接接続を製造するのに用いられる。特に図2に示されるように、溝平坦部47の傾けられた配置によって、外側筐体18の下部リム32または平坦部22および脚フレーム25の間で傾きモーメントなしで直接的に力を伝達することが可能となる。
【0023】
図2〜5に示されるように、角部脚23の部分体36,37は、下部リムウェブ部30上にストップストラップ50,51として形成されるストップ体と共にそれぞれ設けられる。それぞれのストップストラップ50,51は、中心軸42から距離をおいて配置されることによって、ストップストラップ50,51は、フレーム角部の角部頂点Sの両側に互いから距離2aだけ離れて配置され、本実施形態ではフレーム角部の頂点Sについて対称的に構成される。
【0024】
積み重ねられた構成において角部脚23の図5に示される配置は、すなわち上側輸送および貯蔵用容器10の角部脚23が下側輸送および貯蔵用容器10の外側筐体18の上側リム53(図1参照)上に配置されている場合は、ストップストラップ50,51が下部リムウェブ部30の支持リム52を、溶接接続として脚フレーム25と用いられる下部リムウェブ部30の接続リム48から分離する構成である。ストップストラップ50,51は、スタック構成における、下側輸送および貯蔵用容器10の外側筐体18の上側リム53と、その上に配置された上側輸送および貯蔵用容器10の脚フレーム25との距離を規定するよう形成される。輸送および貯蔵用容器の全ての4つの角部脚におけるストップストラップ50,51の配置によって、上側輸送および貯蔵用容器10の脚フレーム25と、下側輸送および貯蔵用容器10の上側リム53との間には、円周方向に沿って、所定の自由距離が設けられる。
【0025】
図1に示される基部フレームは、全ての4つのフレーム角部27上に角部脚23と共に設けられるので、角部脚の最小限の構成としては、それぞれの角部脚において1つのストップストラップがあれば、重ねられたスタック構成において輸送および貯蔵用容器群の所定の相対的位置付けを達成するのに十分である。
【0026】
しかしそれぞれ2つのストップストラップ50,51を持つ角部脚23の上述の設計であれば、スタック構成を形成するときに、輸送および貯蔵用容器の水平方向に向かった傾いたアラインメントのために、上側容器の角部脚が下側容器の上側リム53上に同時には置かれない場合であっても、相対的なアラインメントが可能である。これは上側リム53に対して接するときに、距離2aだけ離れたストップストラップ50,51(図2)は、モーメントM(図5)を支持するモーメント支持を形成するからである。
【0027】
図示された実施形態から異なっていても、形成されたストップストラップを持つ角部脚本体が例えば射出成形によって製造されるように、角部脚本体をプラスチックから形成することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
18 外側筐体
22 平坦部
23 角部脚
25 脚フレーム
26 前部壁
27 フレーム角部
28 円周リム
30 下部リムウェブ部
32 下部リム
33 円周リム
45,46 補強用溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体のための輸送および貯蔵用容器のためのパレット状基部フレームであって、
閉じられ得る取入栓と、取出継ぎ手に接続するための排出栓とを持つ、プラスチックで作られた内側容器と、
金属グリッドまたはシートからなる外側筐体と
を備え、
前記基部フレームは、前記内側容器を支持する平坦部と、脚フレーム上に取り付けられた角部脚および中央脚とを備え、
前記基部フレームの前記平坦部は、前記脚フレームに取り付けられ、
前記角部脚は、前部壁および前記前部壁の中心軸の横方向に形成された部分体を持つ角部脚本体を備え、
前記部分体は、前記角部脚を前記平坦部に接続するための前記前部壁の前記円周リム上に形成された上部支持表面と、前記角部脚を前記脚フレームに接続するための接続領域を持つ下部支持表面とをそれぞれ備え、
前記少なくとも1つの部分体(36,37)の前記下部支持表面は、前記前部壁(26)の前記円周リム(28)と前記接続領域との間に配置されたストップ体を有し、前記ストップ体は、前記円周リムからのその距離によって、輸送および貯蔵容器(10)の外側筐体(18)上で前記基部フレームを支持するための支持リム(52)を規定する
ことを特徴とする基部フレーム。
【請求項2】
前記ストップ体は、下部支持表面のリムウェブ部の部分的な領域を開いて曲げることによって形成されるストップストラップ(50,51)として形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の基部フレーム。
【請求項3】
前記接続領域は、前記ストップストラップ(50,51)によって前記支持リム(52)から分離される接続リム(48)によって形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の基部フレーム。
【請求項4】
部分体(36,37)の両方は、前記下部支持表面上に配置されたストップ体を備え、
前記ストップ体は、前記前部壁(26)の前記中心軸(42)から距離を置いてそれぞれ配置される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基部フレーム。
【請求項5】
閉じられ得る取入栓(13)および取出継ぎ手(17)に接続するための排出栓(15)を持つプラスチックでできた内側容器(11)と、金属グリッドまたはシートからなる外側筐体(18)とを備える液体のための輸送および貯蔵用容器(10)であって、
前記内側容器および前記外側筐体は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパレット状基部フレーム(21)の平坦部(22)上に配置されている
ことを特徴とする輸送および貯蔵用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224399(P2012−224399A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−94788(P2012−94788)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(510094263)
【Fターム(参考)】