説明

液体カートリッジ、及び、液体供給装置

【課題】液体残量を複数の液量レベルで検出することが可能な液体カートリッジ、及び、液体供給装置を提供すること。
【解決手段】インクカートリッジ5は、インク貯留室33を形成する壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体30と、インク貯留室33内において液量に応じて移動するフロート40と、発光素子63から照射された光を、フロートに導くアーム41と、フロート40に設けられ且つ光出口53を有する突出部43を備えている。そして、アーム41によりフロート40に導かれた光が、光出口53からカートリッジ本体30の外側へ照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を貯留する液体カートリッジと、この液体カートリッジを備えた液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な技術分野において、液体を貯留する液体カートリッジ内の液体残量を検出する技術が知られているが、その中でも、発光素子と受光素子を備えたフォトセンサ(フォトインタラプタ)を利用して残量検出を行うものがある。
【0003】
例えば、本願出願人の公開特許公報である特許文献1には、インクジェットプリンタのカートリッジ装着部に装着される、インクカートリッジのインク残量検出技術が開示されている。この特許文献1のインクカートリッジは、インク室を有するカートリッジ本体と、インク室内に回動自在に設けられたアームと、アームの一端部に連結されてインク室の残量に応じて上下に移動するフロートと、アームの他端部に連結されてフロートと連動して上下に移動する遮光板とを有する。
【0004】
一方、プリンタのカートリッジ装着部には、インクカートリッジのカートリッジ本体に向けて光を照射する発光素子と、カートリッジ本体を透過した光を受光する受光素子が、カートリッジ本体を挟むように設けられている。ここで、インク室内に所定量以上のインクが存在するときには、遮光板は発光素子の光を遮断する位置にあり、受光素子で光は受光されない。一方、インク室内のインク残量が少なくなって所定の液面レベルよりも低くなると、遮光板はフロートの移動に連動して発光素子の光路からずれた位置まで移動する。このとき、発光素子から照射された光がカートリッジ本体を透過し、受光素子で受光されるようになる。従って、受光素子の受光量の変化によって、インク室内に所定量のインクが存在するか否かを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−246781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、カートリッジ装着部に設けられた、インク室内のインク量に応じて移動する遮光板の位置を検出するセンサ(特に、インクカートリッジに向けて光を照射する発光素子)の位置が固定されている。従って、この構成では、発光素子から照射された光を遮る位置に遮光板が存在するか否か、即ち、インク残量が、前記遮光板の遮光位置に対応した1つの液面レベル以上であるか否かの検出しかできず、2以上の複数の液面レベルを検出することはできなかった。もちろん、カートリッジ装着部に設けられるセンサの数を増やせば、そのセンサの数に応じてインク残量を細かく検出できるのであるが、センサ数の増加は装置のコストアップに直結する。
【0007】
本発明の目的は、液体残量を複数の液量レベルで細かく検出することが可能な液体カートリッジ、及び、液体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明の液体カートリッジは、液体供給装置のカートリッジ装着部に装着される液体カートリッジであって、液体を貯留する液体貯留室を有し、且つ、前記液体貯留室を形成する壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体と、前記液体貯留室内において液量に応じて移動する移動部材と、前記移動部材の移動に伴って移動する光出口と、前記カートリッジ装着部への装着状態において発光素子から照射された光を、前記光出口に導く導光部を備え、前記導光部により前記光出口に導かれた光が、前記透光部を通って前記カートリッジ本体の外側へ照射されることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、液体貯留室の外側にある発光素子から照射された光が、導光部によって、移動部材の移動に伴って移動する光出口に導かれ、さらに、この光出口からカートリッジ本体の透光部を通って外部に照射される。また、移動部材の位置は液体貯留室の液量に応じて変化する。従って、移動部材の移動に伴って移動する光出口から照射される光によって、移動部材の様々な位置を検出できるようになるため、2以上の複数の液量レベルを検出できる。尚、本願明細書の中で用いられる「残量検出」という表現は、光出口から照射された光を受光する受光素子の出力信号に基づいた、いわゆる電気的な検出だけでなく、光出口から照射された光から移動部材の位置をユーザーが目視で認識することによって、残量を検出(確認)することも含む。
【0010】
尚、上記作用効果を奏するためには、液体貯留室内で移動する移動部材に発光素子が設けられてもよいのだが(後述の第11の発明)、これと比べると、本発明では液体貯留室の外側に発光素子が設けられることになるため、発光素子に簡単に給電配線を接続することができ、給電を行うための電気的な構成が簡単になる。
【0011】
第2の発明の液体カートリッジは、前記第1の発明において、前記発光素子は、前記カートリッジ本体に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
前述した特許文献1の構成のように、カートリッジ外部に位置する発光素子から照射されて液体カートリッジを透過した光を、同じく外部に位置する受光素子で受光する場合、まず、発光素子の光はカートリッジ本体の壁を1回透過して内部に到達し、さらに、もう1回壁を透過した後に外部で検出される。つまり、発光素子から照射された光は、外部で検出されるまでにカートリッジ本体を2回透過する必要がある。しかし、反射や屈折の影響で、全ての光がカートリッジ本体を透過できるわけでない。また、ユーザーによって取り扱われた際などにカートリッジ本体の表面が汚れたりすることによっても、カートリッジ本体を透過する光量が減少する。従って、検出精度向上の観点からは、カートリッジ本体の光の透過回数は少ないことが好ましい。
【0013】
本発明では、発光素子から照射された光が、外部へ出るまでにカートリッジ本体を透過する回数が、光出口からカートリッジ本体外へ照射される際の1回のみとなるため、カートリッジ本体を透過する際に生じる光量減少が抑えられる。従って、光出口からカートリッジ本体外へ照射される光を、外部で検出しやすくなる。
【0014】
第3の発明の液体カートリッジは、前記第1の発明において、前記導光部は、前記カートリッジ装着部に設けられた前記発光素子から照射された光を、前記光出口に導くことを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、カートリッジ装着部側に発光素子が設けられることから、液体カートリッジのコストを低く抑えることができる。
【0016】
第4の発明の液体カートリッジは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記移動部材は、前記カートリッジ本体に支持された回動軸を中心に回動可能で、且つ、前記光の照射位置と対向可能なアームと連結されており、前記アームは、前記移動部材との連結部分、及び、前記照射位置との対向部分を含む一部分において透光性を有するとともに、残りの部分において内面が光反射性を有し、前記発光素子から照射された前記光を前記光出口に導く前記導光部を構成していることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、移動部材に連結されたアームによって、発光素子から照射された光を光出口に導くことができる。
【0018】
第5の発明の液体カートリッジは、前記第4の発明において、前記アームの前記回動軸が挿通された回動中心部が前記照射位置と対向することを特徴とするものである。
【0019】
移動部材が液量に応じて移動してもアームの回動中心部は位置が変化しない。本発明では、この回動中心部が発光素子の照射位置と対向することで、発光素子から照射された光が、移動部材の位置(アームの回動姿勢)にかかわらず、常時、アームを介して光出口に導かれる。
【0020】
第6の発明の液体カートリッジは、前記第5の発明において、前記回動中心部の少なくとも前記照射位置と対向する部分が前記回動中心部から外側に向かって凸となる円弧状に形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
回動中心部の、発光素子の照射位置と対向する部分が回動中心部から外側に向かって凸となる円弧状に形成されることで、移動部材の移動に伴ってアームが回動したときの、回動中心部と発光素子の照射位置との距離の変化が小さくなるため、発光素子の光を安定して光出口に導くことができる。
【0022】
第7の発明の液体カートリッジは、前記第5又は第6の発明において、前記回動中心部は、前記カートリッジ本体の上面に近接して配置されていることを特徴とするものである。
【0023】
カートリッジ本体の上面近傍においては、液体貯留室の液体残量が十分にある場合であっても空気層がある程度存在する。従って、回動中心部と発光素子との間に空気層が介在しやすく、その場合には、発光素子から照射された光が回動中心部に到達しやすい。
【0024】
第8の発明の液体カートリッジは、前記第4の発明において、前記アームの途中部が、前記回動軸が挿通された回動中心部となっており、前記アームの回動中心部を挟んで一端側部分に前記移動部材が連結されるとともに、他端側部分が前記照射位置と対向可能であり、前記アームの他端側部分と前記照射位置との距離は、前記移動部材の位置に応じて変化することを特徴とするものである。
【0025】
液体貯留室内の残量変化に従って、アームの回動中心部を挟んで一端側に位置する移動部材が移動すると、それに伴いアームの他端側部分も移動して、照射位置との離隔距離が変化し、発光素子からアームを介して光出口に導かれる光量が変化する。つまり、残量に応じて光出口から外部へ照射される光量が変化することから、ユーザーは、光の強さによっても残量を認識できる。
【0026】
第9の発明の液体カートリッジは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記導光部は、前記移動部材に接続されて、前記発光素子から照射された前記光を前記光出口に導く光ファイバーケーブルであることを特徴とするものである。
【0027】
この構成によれば、光ファイバーケーブルによって、発光素子から照射された光が光出口に確実に導かれる。
【0028】
第10の発明の液体カートリッジは、前記第1〜第9の何れかの発明において、前記カートリッジ本体の壁の異なる位置に、2つの前記透光部が設けられ、前記2つの透光部と同時に対向可能な2つの前記光出口を有し、前記導光部によって導かれた光が、前記2つの光出口から前記2つの透光部を通ってそれぞれ外側へ照射されることを特徴とするものである。
【0029】
この構成によれば、導光部によって導かれた光が、2つの光出口から、カートリッジ本体の2つの透光部を通って異なる方向へそれぞれ照射される。従って、これら2つの透光部から照射された光を異なる目的で使用することが可能である。例えば、一方の透光部からの光をセンサ(受光素子)での検出用、一方をユーザーによる目視確認用とすることができる。あるいは、ユーザーが、異なる2方向のどちらからカートリッジを見ても、残量を確認することも可能となる。
【0030】
第11の発明の液体カートリッジは、液体供給装置のカートリッジ装着部に装着される液体カートリッジであって、液体を貯留する液体貯留室を有し、且つ、前記液体貯留室の壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体と、前記液体貯留室内において液量に応じて移動する移動部材と、前記移動部材の移動に伴って移動する発光素子と、前記発光素子の光を外部に照射する光出口を備え、前記光出口から照射された前記発光素子の光が、前記透光部を通って前記カートリッジ本体の外側へ照射されることを特徴とするものである。
【0031】
本発明によれば、液体貯留室内の液量に応じて移動する移動部材の移動に伴って発光素子が移動し、この発光素子から照射された光は、光出口からカートリッジ本体の透光部を通って外部に照射される。従って、光出口から照射される光によって、移動部材の様々な位置を検出できるようになるため、2以上の複数の液量レベルを検出できる。
【0032】
また、発光素子は液体貯留室内の移動部材に設けられていることから、発光素子から照射された光が外部へ出るまでにカートリッジ本体を透過する回数が、光出口からカートリッジ本体外へ照射される際の1回のみとなるため、従来のように2回透過する場合と比べて、カートリッジ本体を透過する際に生じる光量減少が抑えられる。従って、光出口からカートリッジ本体外へ照射される光を、外部で検出しやすくなる。
【0033】
第12の発明の液体カートリッジは、前記第11の発明において、前記カートリッジ本体の壁の異なる位置に2つの前記透光部が設けられ、前記2つの透光部に対応した2つの前記光出口を有し、前記2つの光出口から照射された光は、前記液体貯留室から前記2つの透光部を通ってそれぞれ外側へ照射されることを特徴とするものである。
【0034】
この構成によれば、2つの光出口から、カートリッジ本体の2つの透光部を通って異なる方向へそれぞれ照射される。従って、これら2つの透光部から照射された光を異なる目的で使用することが可能である。
【0035】
第13の発明の液体カートリッジは、前記第1〜第12の何れかの発明において、前記カートリッジ本体の、前記カートリッジ装着部への装着方向と反対側の壁に前記透光部が設けられ、前記光出口は、前記装着方向と反対側の前記透光部に向けて前記発光素子から照射された前記光を照射するように構成されていることを特徴とするものである。
【0036】
この構成によれば、カートリッジ本体の、装着方向と反対側の透光部から外部へ光が照射されてくるため、照射された光をユーザーが見やすくなり、残量を確認しやすくなる。
【0037】
第14の発明の液体カートリッジは、前記第1〜第13の何れかの発明において、前記液体貯留室の液量が所定量以上であるときに、上方へ光が照射されるように前記光出口が形成されていることを特徴とするものである。
【0038】
液量が多い状態でも、液体貯留室の上部には空気層が存在するため、液体貯留室の液量が所定量以上であるときに、光出口から上方へ光が照射されることで、この照射された光が、液体貯留室内の液体によって遮られにくくなる。
【0039】
第15の発明の液体カートリッジは、前記第1〜第14の何れかの発明において、前記光出口は、前記カートリッジ本体の前記透光部と隙間を空けて対向し、前記発光素子は、白色光を照射するものであることを特徴とするものである。
【0040】
本発明においては、発光素子から照射された白色光が、光出口とカートリッジ本体の透光部との間を通過する際に、その隙間に存在する液体の色に応じて、カートリッジ本体の外部に照射される光の色が変化する。従って、ユーザーは、あるカートリッジから照射されている光の色から、そのカートリッジに貯留されている液体の色を識別することができる。
【0041】
第16の発明の液体供給装置は、液体カートリッジとこの液体カートリッジが装着されるカートリッジ装着部を備えた液体供給装置であって、前記液体カートリッジは、液体を貯留する液体貯留室を有し、且つ、前記液体貯留室を形成する壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体と、前記液体貯留室内において液量に応じて移動する移動部材と、前記移動部材の移動に伴って移動する光出口を備え、前記液体カートリッジの前記カートリッジ本体と前記カートリッジ装着部の一方が発光素子を有し、前記液体カートリッジは、前記発光素子から照射された光を、前記光出口に導く導光部を備えており、前記導光部により前記光出口に導かれた光が、前記透光部を通って前記カートリッジ本体の外側へ照射されることを特徴とするものである。
【0042】
本発明によれば、発光素子から照射された光が、導光部によって、移動部材の移動に伴って移動する光出口に導かれ、さらに、この光出口からカートリッジ本体の透光部を通って外部に照射される。従って、光出口から外部へ照射される光によって、移動部材の様々な位置を検出できるようになるため、2以上の複数の液量レベルを検出できる。また、液体貯留室の外側に発光素子が設けられることになるため、発光素子へ給電を行うための電気的な構成が簡単になる。
【0043】
第17の発明の液体供給装置は、液体カートリッジとこの液体カートリッジが装着されるカートリッジ装着部を備えた液体供給装置であって、前記液体カートリッジは、液体を貯留する液体貯留室を有し、且つ、前記液体貯留室の壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体と、前記液体貯留室内において液量に応じて移動する移動部材と、前記移動部材の移動に伴って移動する発光素子と、前記発光素子の光を外部に照射する光出口を備え、前記光出口から照射された前記発光素子の光が、前記透光部を通って前記カートリッジ本体の外側へ照射されることを特徴とするものである。
【0044】
本発明によれば、移動部材に設けられた発光素子から照射された光が、光出口からカートリッジ本体の透光部を通って外部に照射される。従って、光出口から外部へ照射される光によって、移動部材の様々な位置を検出できるようになるため、2以上の複数の液量レベルを検出できる。また、発光素子から照射される光が、外部へ出るまでにカートリッジ本体を透過する回数が、光出口からカートリッジ本体外へ照射される際の1回のみとなるため、カートリッジ本体を透過する際に生じる光量減少が抑えられる。
【0045】
第18の発明の液体供給装置は、前記第16又は第17の発明において、前記カートリッジ装着部は、前記液体カートリッジの前記透光部から照射された光を受光する受光素子を備えていることを特徴とするものである。
【0046】
この構成によれば、液体カートリッジの透光部からの光を受光する受光素子の受光量に応じた出力信号に基づいて、液体供給装置側で、液体カートリッジの移動部材の位置(即ち、液体残量)を電気的に検出することができる。
【0047】
第19の発明の液体供給装置は、前記第18の発明において、前記液体カートリッジの前記カートリッジ装着部への装着状態において、前記液体貯留室の液量が所定量以上であるときに上方へ光が照射され、前記受光素子は、前記光出口から照射された光を受光できるように、前記液体カートリッジの上方に配置されていることを特徴とするものである。
【0048】
液量が多い状態でも、液体貯留室の上部には空気層が存在するため、液体貯留室の液量が所定量以上であるときに、光出口から上方へ光が照射されることで、この照射された光が、液体貯留室内の液体によって遮られにくくなる。
【0049】
第20の発明の液体供給装置は、前記第18又は第19の発明において、複数の前記受光素子が前記移動部材の移動方向に沿って配置されていることを特徴とするものである。
【0050】
この構成によれば、複数の受光素子のそれぞれの出力信号に基づいて、移動部材の複数の位置(即ち、複数の液量レベル)を、液体供給装置側で検出することができる。
【0051】
第21の発明の液体供給装置は、前記第16〜第20の何れかの発明において、前記カートリッジ本体の、前記カートリッジ装着部への装着方向と反対側の壁に前記透光部が設けられるとともに、前記光出口は前記透光部に向けて光を照射するように構成され、前記カートリッジ装着部は、前記カートリッジ本体の前記装着方向と反対側の壁を覆うカバーを備え、前記カバーの、少なくとも前記カートリッジ本体の透光部を覆う部分が透光性を有することを特徴とするものである。
【0052】
この構成によれば、光出口から、カートリッジ本体の装着方向反対側(ユーザーから見て手前側)の透光部を通って外部へ照射された光が、さらにカバーを透過してくるため、カバーが装着された状態でもユーザーが残量を確認できる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、発光素子から照射された光が、移動部材の移動に伴って移動する光出口から、カートリッジ本体の透光部を通って外部に照射される。従って、光出口から外部へ照射される光によって、移動部材の様々な位置を検出できるようになるため、2以上の複数の液量レベルを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンタを概略的に示す平面図である。
【図2】第1実施形態のインクカートリッジの、カートリッジ装着部への装着方向を含む平面における断面図である。
【図3】第1実施形態のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図であり、(a)はインク残量が十分にある状態、(b)はインク残量がほとんどない状態をそれぞれ示す。
【図4】変更形態1のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図である。
【図5】変更形態2のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図である。
【図6】変更形態3のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図である。
【図7】変更形態5のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図である。
【図8】変更形態7のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図である。
【図9】変更形態9のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図である。
【図10】変更形態10のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図である。
【図11】変更形態11のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図である。
【図12】第2実施形態のインクカートリッジの、カートリッジ装着部への装着方向を含む平面における断面図である。
【図13】第2実施形態のインクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図であり、(a)はインク残量が十分にある状態、(b)はインク残量がほとんどない状態をそれぞれ示す。
【図14】第2実施形態の図8相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、インクジェットプリンタに装着されて、インクジェットヘッドにインクを供給するインクカートリッジに、本発明を適用したものである。
【0056】
図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成を示す平面図である。図1に示すように、プリンタ1は、図1の走査方向に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3及びサブタンク4a〜4dと、インクカートリッジ5a〜5d(液体カートリッジ)を有するインク供給装置8(液体供給装置)と、記録用紙Pを図1の紙送り方向に搬送する搬送機構6等を備えている。
【0057】
キャリッジ2は、図1の左右方向(走査方向)に平行に延びる2本のガイド軸17に沿って往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ2には、無端ベルト18が連結されており、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18が走行駆動されたときに、キャリッジ2は、無端ベルト18の走行に伴って走査方向に移動するようになっている。
【0058】
このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3と4つのサブタンク4a〜4dが搭載されている。インクジェットヘッド3は、その下面(図1の紙面向こう側の面)に多数の液滴噴射用ノズルを備えている。また、4つのサブタンク4a〜4dは、走査方向に沿って並べて配置されており、これら4つのサブタンク4a〜4dにはチューブジョイント20が一体的に設けられている。そして、チューブジョイント20に連結された可撓性のチューブ11によって、4つのサブタンク4a〜4dとインク供給装置8の4つのインクカートリッジ5a〜5dとがそれぞれ接続されている。
【0059】
インク供給装置8は、4つのインクカートリッジ5a〜5dと、これら4つのインクカートリッジ5a〜5dがそれぞれ装着される4つのカートリッジ装着部7が形成されたホルダ10を有する。4つのインクカートリッジ5a〜5dには、例えば、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの、4色のインクがそれぞれ貯留されており、これらのインクカートリッジ5a〜5dは、ホルダ10の4つのカートリッジ装着部7に挿入されることにより、ホルダ10に取り外し可能に装着される。
【0060】
そして、4つのインクカートリッジ5a〜5dにそれぞれ貯留された4色のインクは、4本のチューブ11を介して4つのサブタンク4a〜4dに供給され、サブタンク4a〜4dにおいて一時的に貯留された後、インクジェットヘッド3に供給される。そして、インクジェットヘッド3は、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、その下面に設けられた多数のノズルから、搬送機構6により図1の下方(紙送り方向)に搬送される記録用紙Pにインクの液滴を噴射する。
【0061】
搬送機構6は、インクジェットヘッド3よりも紙送り方向上流側に配置された給紙ローラ25と、インクジェットヘッド3よりも紙送り方向下流側に配置された排紙ローラ26とを有する。給紙ローラ25と排紙ローラ26は、それぞれ、給紙モータ27と排紙モータ28により回転駆動される。そして、この搬送機構6は、給紙ローラ25により、記録用紙Pを図1の上方からインクジェットヘッド3に供給するとともに、排紙ローラ26により、インクジェットヘッド3によって画像や文字等が記録された記録用紙Pを図1の下方へ排出するように構成されている。
【0062】
次に、インクカートリッジ5について説明する。尚、4色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ5a〜5dは同じ構成を有するものであるため、以下では、それらのうちの1つについて説明する。図2は、インクカートリッジの、カートリッジ装着部への装着方向を含む平面に関する断面図である。また、図3は、インクカートリッジ及びホルダ(カートリッジ装着部)の断面図であり、(a)はインクカートリッジのインク残量が多い状態、(b)はインク残量が少ない状態をそれぞれ示している。尚、図2、図3において、ホルダ10への装着方向である図中左方を前方、装着方向と逆の方向(取り外し方向)である図中右方を後方と定義する。
【0063】
図2、図3に示すように、インクカートリッジ5は、インクを貯留するインク貯留室33(液体貯留室)を備えたカートリッジ本体30と、インク貯留室33内に設けられたインク残量検出用のアーム部材31を備えている。
【0064】
カートリッジ本体30は、合成樹脂材料等の光透過性材料で形成され、このカートリッジ本体30内にはインク貯留室33が形成されている。尚、カートリッジ本体30の後壁部34は、後方へ膨らむ円弧形状に形成されている。
【0065】
カートリッジ本体30の前壁部36の下端部には、インク貯留室33の下部空間と連通し、このインク貯留室33からインクを導出するためのインク導出孔37が設けられている。尚、前壁部36のインク導出孔37が設けられた部分には、ゴム等からなる環状のシール部材39が取り付けられている。さらに、前壁部36の上端部には、インク貯留室33の上部空間と連通し、インク貯留室33に大気を導入する大気連通孔38が設けられている。
【0066】
カートリッジ本体30のインク貯留室33内にはアーム部材31が収容されている。このアーム部材31は、フロート40と、一端部がフロート40に連結されたアーム41と、このアーム41部の他端部に設けられた回動中心部42と、フロート40のアーム41と反対側に設けられた突出部43とが一体形成された構造を有する。フロート40と突出部43を合わせたものが本願発明の移動部材に相当する。アーム41の回動中心部42は、図2における断面においてほぼ円形に形成され、この回動中心部42には、カートリッジ本体30の側壁部(図2の紙面に平行な壁部)に支持される回動軸44が挿通されている。これにより、フロート40は、鉛直面(図2の紙面に平行な平面)内で回動中心部42の回動軸44を中心に回動(揺動)可能となっている。尚、カートリッジ本体30の下壁部32には、回動中心部42の円弧表面と隙間を空けて対向する凹状の円弧面32aが、下壁部32からやや上方(インク貯留室33内)に突出した位置に設けられている。また、突出部43は、フロート40のアーム41との連結部51と反対側の部分52から、アーム41の延長線上に沿ってフロート40から突出しており、その先端は、カートリッジ本体30の後壁部34と僅かな隙間(例えば、0.5〜1mm程度)を空けて対向している。
【0067】
尚、インク貯留室33内には、フロート40(アーム41)の回動を、回動上限位置(図2の実線の位置)と回動下限位置(図2の二点鎖線の位置)との間で規制する、2つのストッパー46,47が設けられている。
【0068】
図3に示すように、インク貯留室33内に十分なインクがある(図3(a)の第1液面レベルL1以上である)状態では、フロート40に作用する浮力によって、アーム41に図3の反時計回りの方向のモーメントが働き、アーム41が上側のストッパー46に当接し、フロート40及びアーム41がストッパー46で回動上限位置(図2の実線の位置)に規制された状態である。一方、インク貯留室33内のインク残量が減少して、第1液面レベルL1よりも液面が下がった場合には、フロート40が液面から一部露出し始めるためフロート40に作用する浮力が減少し、液面の低下に従ってフロート40及びアーム41は図3の時計回りの方向に回動する。このとき、突出部43はカートリッジ本体30の後壁部34と僅かな隙間を空けて対向しつつ、この後壁部34の内面に沿った円弧軌道を描く。さらに、インク貯留室33内のインクがほとんど無くなった状態(図3(b)の第2液面レベルL2)となると、突出部43が下側のストッパー47に当接してそれ以上のアーム部材31の回動が規制される。
【0069】
尚、後のカートリッジ装着部7の説明においても触れるが、アーム部材31は、図3のように、アーム41の回動中心部42がカートリッジ装着部7側の発光素子63の照射位置と対向し、この発光素子63から照射された光をアーム41によってフロート40まで導き、さらに、突出部43の先端からカートリッジ本体30の外部へ照射することが可能に構成されている。より具体的には、図2、図3に太線で示されるように、アーム部材31のうち、カートリッジ本体30の凹状の円弧面32aと対向し、発光素子63からの光を受ける回動中心部42の下端部(光入口50)、アーム41とフロート40との連結部51、フロート40と突出部43の連結部52、及び、突出部43の先端(光出口53)がそれぞれ透光性を有する。その一方で、アーム部材31のそれ以外の部分は内面が光反射性を有する。
【0070】
これにより、回動中心部42の光入口50からアーム41内に導入された光は、図3中のジグザグ線で示されるように、アーム41内で光反射性の内面で反射しながらフロート40に導かれ、さらに、フロート40から突出する突出部43の光出口53から、透光性を有するカートリッジ本体30の後壁部34(本願発明の透光部に相当する)へ照射される。尚、フロート40に連結されたアーム41が、カートリッジ装着部7への装着状態において、発光素子63から照射された光を光出口53に導く本願発明の導光部に相当する。
【0071】
尚、フロート40に突出部43が設けられておらず、フロート40の一部に直接光出口53が形成されてもよいのだが、フロート40から突出する突出部43の先端に光出口53が設けられていると、カートリッジ本体30外への照射前に、一方向に延びる突出部43内を光が通ることで、光の直進性が上がり、光出口53から出た光が放射されにくくなる。
【0072】
上記のアーム部材31の光反射性は、例えば、アーム部材31の内面の所定領域にニッケル等の光反射性のコーティングを施すことにより実現できる。あるいは、光反射性が必要な部分において、屈折率の高い内側心材の表面に低屈折率のコーティングを施した2層構造とし、屈折率が高い層から屈折率が低い層へ向かうときの全反射を利用した構造としてもよい。
【0073】
次に、インクカートリッジ5が装着されるホルダ10(カートリッジ装着部7)について説明する。図1に示すように、ホルダ10は、一方向(図1では走査方向と平行な方向)に配列されて、4つのインクカートリッジ5が装着される4つのカートリッジ装着部7を有する。尚、4つのカートリッジ装着部7は同じ構成を有するものであるため、以下ではそれらのうちの1つについて説明する。
【0074】
図3に示すように、ホルダ10の1つのカートリッジ装着部7は、後方に開口したカートリッジ収容室60と、カートリッジ収容室60に収容されたインクカートリッジ5を覆うカバー61とを備えている。
【0075】
カートリッジ収容室60には、カバー61が開放された状態で、開口した後方からインクカートリッジ5が挿入される。このカートリッジ収容室60を形成するホルダ10の前壁部65にはインク導出路62が形成され、このインク導出路62は、図1に示すチューブ11を介してインクジェットヘッド3と接続されている。このインク導出路62は、カートリッジ収容室60に装着されたインクカートリッジ5のインク導出孔37とシール部材39を介して連通し、インク導出路62から導出されたインクは、チューブ11によってインクジェットヘッド3へ送られる。
【0076】
ホルダ10の下壁部66には、カートリッジ収容室60に収容されたインクカートリッジ5に向けて上方へ光を照射する発光素子63が設けられている。図3に示すように、発光素子63の前後方向(インクカートリッジ5の装着方向)の位置は、装着状態のカートリッジ本体30に設けられた凹状の円弧面32aの真下の位置である。つまり、アーム部材31の回動中心部42の下端部に設けられた光入口50と発光素子63の照射位置とが対向するようになっている。従って、この発光素子63から照射された光は、カートリッジ本体30の下壁部32を透過し、その凹状の円弧面32aからアーム部材31へ照射され、アーム部材31と下壁部32との間に存在するインクを通過して回動中心部42の光入口50からアーム部材31内に導かれる。上述したように、アーム部材31に導かれた光は、アーム41によってフロート40まで導かれ、さらに、フロート40から突出した突出部43先端の光出口53からカートリッジ本体30外へ照射される。
【0077】
このように、インク残量に応じて移動する突出部43の光出口53からカートリッジ本体30外へ光が照射されることから、インクの残量によって、光出口53から照射された光が、カートリッジ本体30の後壁部34のどの位置を透過して外部へ出てくるかが変わってくる。即ち、図3(a)に示すように、インク残量が第1液面レベルL1以上で、フロート40が高い位置にあるときには、突出部43の光出口53から照射された光は、カートリッジ本体30の後壁部34の上端部を透過して斜め上方へ出る。一方、図3(b)に示すように、インク残量が、前記第1液面レベルL1よりも低い第2液面レベルL2となって、フロート40が低い位置にあるときには、突出部43の光出口53から照射された光は、カートリッジ本体30の後壁部34の下端部を透過して後方へ水平に出る。
【0078】
カバー61は、カートリッジ収容室60に収容されるカートリッジ本体30の後壁部34(装着方向と反対側の壁)と同様の円弧形状を有する。また、カバー61はその一端部においてホルダ10の下壁部66に回動自在に連結されており、カバー61は、カートリッジ収容室60を開放した位置と閉止した位置(インクカートリッジ5の後壁部34を覆う位置:図3の位置)とにわたって上下に回動可能である。尚、カバー61の先端部にはホルダ10の上壁部69に係合する係合部61aが設けられ、この係合部61aによってカバー61が閉止位置でロックされる。
【0079】
このカバー61の円弧状内面には上下方向の異なる位置に2つの受光素子67,68が設けられている。即ち、2つの受光素子67,68が、フロート40の移動方向である上下方向に沿って設けられている。具体的には、カバー61の閉止状態において、カートリッジ本体30の後壁部34の上端部と当接する位置に受光素子67が設けられるとともに、後壁部34の下端部と当接する位置にも別の受光素子68が設けられている。これにより、2つの受光素子67,68の受光量に応じた出力信号に基づいて、プリンタ1側でインク残量を2つの液面レベル(L1,L2)で検出できる。
【0080】
即ち、図3(a)に示すように、液面が第1液面レベルL1以上でインク残量が十分にあり、フロート40が回動上限位置にあるときには、上側に位置する受光素子67によって、光出口53から照射された光が受光され、この状態がプリンタ1側で検出される。また、図3(b)に示すように、液面が第2液面レベルL2でインク残量がほとんどなくなったときには、フロート40が回動下限位置に到達するが、このとき、下側に位置する受光素子68によって、光出口53から照射された光が受光され、この状態がプリンタ1側で検出される。
【0081】
尚、カバー61は、インクカートリッジ5の着脱の際にユーザーによって操作されるものであり、その操作の際に、カバー61に設けられた受光素子67,68にユーザーが触れてしまうと、汚れ等によって受光感度が低下する虞がある。しかしながら、本実施形態では、カバー61の円弧状内面に受光素子67,68が設けられていることから、通常の操作では受光素子67,68にユーザーが触れてしまう可能性は低い。また、受光素子67,68は、カートリッジ本体30と当接しているため、インクカートリッジ5をカートリッジ装着部7に確実に固定できる。但し、光出口53から照射される光を受光するという機能のみを考慮すれば、受光素子67,68は、それぞれの位置において、カートリッジ本体30の後壁部34と対向する位置にあればよく、カートリッジ本体30と当接するものには限られない。
【0082】
以上説明した第1実施形態によれば、次のような効果が得られる。
1)インク残量に応じて移動するフロート40の光出口53から照射される光によって、フロート40の2つの位置、即ち、2つのインク残量レベル(液面レベルL1,L2)を検出できる。また、上記の例では受光素子の数は2つであったが、カバー61に3以上の受光素子が上下方向に並べて設けられていれば、さらに多くのインク残量レベルを検出することができる。
【0083】
また、本願出願人が以前に提案していた、上述の特許文献1の構成では、1つのインク残量レベルしか検出できず、さらに、その検出されるインク残量レベルは、フロートが液面から露出して動き始めるときのインク残量(本実施形態の第1液面レベルL1に相当)であり、インクカートリッジ5内にインクがほとんどなくなった状態(本実施形態の第2液面レベルL2)を検出できるものではない。つまり、インク残量が、ある程度インク量が少なくなった状態(ニアエンプティ)が検出されてからも、まだインクカートリッジ5内にインクが残存しているため、この残存インクを使い切るために、従来は、ニアエンプティ検出後から、インクジェットヘッドでのインク消費量(ノズルからの液滴噴射量、及び、メンテナンス時におけるインク排出量等)の推測を開始し、推測したインク消費量の積算値からインクカートリッジ5内に残存するインク残量を予測していた。しかし、推測されるインク消費量と実際の消費量との間にはかなりの誤差が生じることがあり、予測精度に問題があった。
【0084】
一方、本実施形態では、インク残量に応じたフロート40の位置を検出できることから、図3(b)に示す、インク残量がほとんどない状態も直接検出できるため、インクカートリッジ5内のインクをほぼ完全に使い切ることが可能になる。
【0085】
2)後述する第2実施形態(図12、図13参照)で説明するが、インク貯留室33内のフロート40自身に発光素子63が設けられた場合でも、上記1)と同様の効果は得られる。しかし、この第1実施形態では、インク貯留室33の外側に発光素子63が設けられていることから、外部からこの発光素子63に簡単に給電配線を接続することができ、給電を行うための電気的な構成が簡単になるという利点がある。
【0086】
3)図3(a)に示すように、装着状態のインクカートリッジ5のインク残量が十分多い場合(液面が第1液面レベルL1以上である場合)に、突出部43はフロート40から斜め上方に突出し、突出部43の光出口53から光が上方(斜め上方)に照射される。そして、このときに上方へ照射される光を受光できるように受光素子67がインクカートリッジ5の上方に位置している。
【0087】
光出口53とカートリッジ本体30(後壁部34)の間にインクが存在していると、受光素子67で受光される光量が少なくなってしまう。しかし、インク残量が多い状態であっても、大気連通孔38によって大気に連通しているインク貯留室33の上部には空気層が存在するため、上記のように光出口53から上方へ光が照射されることで、この照射された光が、インク貯留室33内のインクによって遮られにくくなり、受光素子67の検出精度が上がる。
【0088】
4)インクカートリッジ5の装着方向と反対側の壁である後壁部34が透光性を有し、また、突出部43はフロート40から後方へ突出してその光出口53が後方へ向いて後壁部34に向けて光を照射するようになっている。そのため、ユーザーがカバー61を開放したときに、ユーザーから見て手前に位置する後壁部34から光が照射されてくるため、ユーザーが目視でインク残量を確認しやすい。
【0089】
5)発光素子63から照射された光を、インク残量に応じて回動するアーム部材31に導く際に、アーム部材31の揺動によって、アーム部材31と照射位置との離間距離が大きくなると、アーム部材31に光を入射させることが難しくなる。また、離間距離が変動すると、一定の光量で安定してアーム部材31に光を導くことが難しく、その結果、光出口53から照射される光量が変動してしまう。しかし、本実施形態においては、アーム部材31の回動(フロート40の移動)によって位置が変化しない回動中心部42の光入口50が、発光素子63の照射位置に対向していることから、発光素子63から照射された光が、アーム部材31の回動姿勢にかかわらず、常時、アーム41を介して移動部材(突出部43の光出口53)に導かれる。
【0090】
また、回動中心部42が円形状であり、それゆえ、照射位置と対向する下端部が外側に膨らんだ円弧状となっていることから、アーム41が回動したときの、回動中心部42の光入口50と発光素子63の照射位置との離間距離の変化が小さくなり、アーム41に到達する光量が安定する。さらに、発光素子63の照射位置において、カートリッジ本体30の下壁部32が凹状の円弧面32aとなっていることで、前記離間距離の変化はさらに小さくなる。また、回動中心部42の円弧形状と凹状の円弧面32aの形状が、アーム部材31の回動中心と同心の円弧形状であると、アーム部材31が回動しても前記離間距離は全く変化しなくなる。尚、回動中心部42は、その全体が円形に形成されている必要は必ずしもなく、発光素子63の照射位置と対向する部分のみが円弧形状に形成されていてもよい。
【0091】
6)インクカートリッジ5ではなく、カートリッジ装着部7に発光素子63が設けられることから、インクカートリッジ5単体のコストを低く抑えることができる。
【0092】
次に、上述した第1実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記第1実施形態とほぼ同様の構成を有するものについては同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0093】
(変更形態1)
前記第1実施形態では、発光素子63はカートリッジ装着部7に設けられていたが、インクカートリッジ5のカートリッジ本体30に発光素子63が設けられてもよい。具体的には、図4のように、アーム部材31の回動中心部42と対向する、カートリッジ本体30の下壁部32内に発光素子63が埋め込まれるように設けられ、この発光素子63から照射された光がアーム41によって光出口53まで導かれる。
【0094】
前記第1実施形態では、インクカートリッジ5の外部に設けられた発光素子63から照射された光は、カートリッジ本体30の下壁部32を透過し、さらに、後壁部34を透過して、外部の受光素子67,68で受光される。つまり、発光素子63から照射された光は、受光素子67,68で受光されるまでにカートリッジ本体30を2回透過する必要がある。しかし、反射や屈折の影響で、全ての光がカートリッジ本体30を透過できるわけでない。また、ユーザーによって取り扱われた際などにカートリッジ本体30の表面が汚れたりすることによっても、カートリッジ本体30を透過する光量が減少する。従って、検出精度向上の観点からは、カートリッジ本体30の透過回数は少ないことが好ましい。
【0095】
一方、図4のインクカートリッジ5では、発光素子63が下壁部32に設けられることで、発光素子63から照射された光が、外部で検出されるまでにカートリッジ本体30を透過する回数が、光出口53からカートリッジ本体30外へ照射される際の1回のみとなるため、カートリッジ本体30を透過する際に生じる光量減少が抑えられる。従って、光出口53からカートリッジ本体30外へ照射される光を、外部で検出しやすくなる。
【0096】
(変更形態2)
移動部材の光出口53からカートリッジ本体30外に照射されてきた光は、受光素子で受光されるのみだけでなく、ユーザーの目視によって確認されるだけでもよい。また、受光素子とユーザーの目視の両方により確認されてもよい。従って、図5のように、カートリッジ装着部7(カバー61)に受光素子67,68が設けられていなくてもよい。また、上記第1実施形態において、受光素子67,68の間を移動部材が移動する際に、光出口53からカートリッジ本体30外に照射されてきた光を、ユーザーが目視によって確認してもよい。
【0097】
(変更形態3)
図6のように、カバー61の所定位置に受光素子68が1つだけ設けられてもよい。この場合には、1つの受光素子68によりインク残量が所定量以上であるか否か(図ではインク残量がほとんどない状態か否か)が検出されるとともに、途中のフロート40の位置を目視で確認することによって、その時々の残量をユーザーが認識できる。
【0098】
(変更形態4)
上記変更形態2(図5)及び変更形態3(図6)のように、ユーザーによる目視確認が想定される場合には、カバー61は、少なくとも、カートリッジ本体30の後壁部34(特に、光出口53からの光が透過する透光部)を覆う部分において透光性を有することが好ましい。具体的には、カバー61の、カートリッジ本体30の後壁部34(特に、透光部)を覆う部分が、透光性材料で形成されているか、当該部分にスリットなどが形成されていればよい。この場合には、光出口53から、カートリッジ本体30の後壁部34を通って外部へ照射された光が、さらにカバー61を透過してくるため、カバー61が装着された状態でもユーザーがインク残量を確認できる。
【0099】
(変更形態5)
光出口53からカートリッジ本体30の外部へ照射される光量が、フロート40(突出部43)の位置に応じて変化するように構成されてもよい。この場合、光が照射されてくる位置だけでなく、照射されてくる光の強さによってもユーザーにインク残量の程度を認識させることができる。
【0100】
例えば、図7に示すように、カートリッジ本体30の後壁部34の厚みが上方ほど薄くなっており、インク残量が多いほど強い光が照射され、インク残量が少なくなるほど光が弱くなるように構成されてもよい。あるいは、逆に、後壁部34の厚みが下方ほど薄くなっており、インク残量が少なくなった状態で光が強くなって、その状態をユーザーに喚起できるようになっていてもよい。また、カバー61が透光性を有する場合に、その厚みを変えて透光性の程度を変化させてもよい。また、カートリッジ本体30の後壁部34やカバー61の材質(合成樹脂材料等の種類)を部分的に異ならせる、あるいは、透光性を低下させるフィルムを部分的に貼り付けることにより、上下方向で透光性が変化するようにしてもよい。さらには、フロート40の光出口53と、カートリッジ本体30の後壁部34との距離を変えることによっても同様の作用効果が得られる。
【0101】
(変更形態6)
発光素子63としては、どのような色の光を照射するものであってもよいが、複数色のインクをそれぞれ貯留する複数のインクカートリッジ5を使用するカラーインクジェットプリンタにおいては、白色光を照射する発光素子63を使用してもよい。この場合、発光素子63から照射された白色光が、移動部材の光出口53とカートリッジ本体30の後壁部34との隙間を通過する際に、その隙間に存在するインクの色に応じて、カートリッジ本体30の外部に照射される光の色が変化する。従って、ユーザーは、あるインクカートリッジ5から照射されている光の色から、そのインクカートリッジ5に貯留されているインクの色を識別することができる。尚、図3(a)のように、光出口53の光の照射方向が上方に向いていると、光出口53とカートリッジ本体30との隙間に空気が存在した状態となるため、この隙間にインクを介在させるために、光出口53からの光の照射方向は水平に近いか、あるいは、下方に向いていることが好ましい。また、白色光を照射する発光素子63としては、一般的に知られている白色LEDを使用することができる。それ以外にも、白熱電球や蛍光灯などを使用してもよい。
【0102】
(変更形態7)
移動部材に2以上の複数の光出口53が形成されてもよい。例えば、図8に示すように、フロート40から2つの突出部43a,43bが突出しており、これら2つの突出部43a,43bの先端に2つの光出口53a,53bがそれぞれ形成されてもよい。インク残量が十分にある状態では、一方の光出口53aはカートリッジ本体30の後壁部34と対向する一方で、同時に、他方の光出口53bはカートリッジ本体30の上壁部35と対向している。また、カートリッジ本体30全体が透光性材料で形成されていれば、上壁部35も透光性を有する。従って、インク残量が十分にあるときには、2つの光出口53a,53bから透光性の後壁部34と上壁部35を通って異なる方向へそれぞれ光が照射される。
【0103】
このように、2つの光出口53a,53bから、同時にカートリッジ本体30の外側へ光がそれぞれ照射される場合、これら2つの光出口53a,53bから照射される光を異なる目的で使用することが可能である。例えば、図8のように、ホルダ10の上壁部35に、光出口53bから照射された光を受光する受光素子67が設けられている場合には、この光出口53bからの光を受光素子67による検出用とし、もう片方の光出口53aからの光をユーザーによる目視確認用とすることができる。あるいは、受光素子67が設けられていない場合には、ユーザーが、装着状態のインクカートリッジ5を、異なる2方向(上方及び後方)のどちらから見ても、残量を確認することも可能となる。但し、この場合は、ホルダ10の上壁部68が透光性を有する、あるいは、上壁部68に目視確認用の窓や切欠が設けられていることが必要である。
【0104】
(変更形態8)
前記第1実施形態では、移動部材の光出口53から照射された光は、カートリッジ本体30の後壁部34(装着方向反対側の壁)を透過するようになっているが、カートリッジ本体30の他の壁部を透過するように光出口53が構成されてもよい。その場合、照射された光を受光する受光素子は、前記他の壁部と対向する、ホルダ10の壁部に設けられる。例えば、カートリッジ本体30の前壁部(装着方向側の壁)から外部へ光が照射される場合には、装着状態においてこれと対向するホルダ10の前壁部に受光素子が設けられる。この場合、受光素子がカートリッジ装着部7の奥側に設けられることになるため、ユーザーによって受光素子が触れられにくくなるという利点がある。
【0105】
(変更形態9)
前記第1実施形態では、アーム部材31の回動中心部42は、カートリッジ本体30の下面(下壁部32の内面)に近接して配置されていたが、図9に示すように、発光素子63の照射位置と対向する、アーム部材31の回動中心部42が上限位置のフロート40とほぼ同じ高さにあり、回動中心部42の光入口50がカートリッジ本体30の上面(上壁部35の内面)に近接して配置されていてもよい。カートリッジ本体30の上面近傍においては、インク残量が十分にある場合であっても空気層がある程度存在する。従って、回動中心部42と発光素子63の照射位置との間に空気層が介在しやすく、発光素子63から照射された光が回動中心部42の光入口50に到達しやすくなる。
【0106】
尚、図9の形態では、カートリッジ装着部7側のカバー61の回動支点は上端部にあり、カバー61は、下から上に向けて開くようにカバー61が構成されている。この場合、ユーザーによって受光素子67,68が触れられにくくなる。但し、カバー61がユーザーから見て手前に開くため、インクカートリッジ5の着脱や、インク残量(フロート40の位置)を目視で検出する際に、カバー61が邪魔になる場合もあり、これらの観点においては、前記第1実施形態の、カバー61が上から下に開く構成の方が有利である。
【0107】
(変更形態10)
前記第1実施形態のように、アーム部材31の回動中心部42に光入口50が設けられて、発光素子63の照射位置と対向する必要は必ずしもなく、図10に示すように、アーム41の途中部が、回動軸44が挿通された回動中心部42となっていてもよい。図10では、アーム41の回動中心部42を挟んで一端側部分にフロート40が連結されるとともに、他端側部分が発光素子63の照射位置と対向可能であり、この他端側部分に、発光素子63から照射された光をアーム部材31内に導く光入口50が形成されている。そして、アーム41の光入口50と発光素子63の照射位置との距離が、フロート40の位置に応じて変化するようになっている。
【0108】
この構成では、インク残量の変化に従って、アーム41の回動中心部42を挟んで一端側に位置するフロート40が移動すると、それに伴いアーム41の光入口50も移動して、発光素子63の照射位置との離隔距離が変化し、光入口50から光出口53に導かれる光量が変化する。つまり、インク残量に応じて光出口53から外部へ照射される光量が変化することから、ユーザーは、フロート40が上から下へ移動する際に、そのフロート40の位置だけでなく、照射されてくる光の強さによってもインク残量を認識できる。
【0109】
尚、図10の構成では、インク残量が多いときにはアーム41の光入口50と照射位置との距離が近いためにアーム部材31に到達する光量が多く、光出口53から照射される光量も多くなるが、インク残量が少なくなるにつれて光量が減少する。これとは逆に、インク残量が少なくなるほど光入口50と照射位置との距離が近くなって光量が増加するように構成されてもよい。例えば、図10において、発光素子63がホルダ10の前壁部65のインク導出孔37の上側の位置に設けられていれば、インク残量が少なくなってフロート40が下がったときに(図10の二点鎖線の状態)、アーム41の光入口50が上昇して発光素子63の照射位置に近くなり、アーム部材31内に導かれる光量、即ち、光出口53から照射される光量が増加する。
【0110】
(変更形態11)
フロート40にアーム41が連結された構成には限らず、図11に示すように、インク貯留室33内において、インク残量に応じてフロート40が単体で上下に移動するように構成されてもよい。尚、この場合、フロート40がカートリッジ本体30の後壁部34に沿って上下に移動するように案内するガイド部70が、インク貯留室33内に設けられていることが好ましい。
【0111】
また、図11の形態では、発光素子63から照射された光をインク貯留室33内のフロート40に導く導光部がフロート40とは別に必要になるが、図11では、フロート40に導光部としての光ファイバーケーブル71が接続されている。光ファイバーケーブル71の一端はカートリッジ本体30の下壁部32に位置して、その真下の位置にある発光素子63から照射された光を受け取り、光ファイバーケーブル71の他端はフロート40の光出口53付近に位置して、発光素子63の光を光出口53まで確実に導くことができるようになっている。
【0112】
尚、光ファイバーケーブル71は、フロート40の内部に挿入されている必要はなく、フロート50の外面に取り付けられていてもよい。この場合は、光ファイバーケーブル71でフロート40まで導かれた光は、フロート40の壁を透過することはなく、光ファイバーケーブル70の端部から直接カートリッジ本体30の後壁部34に向けて照射される。
【0113】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、第2実施形態に係るインクカートリッジの、カートリッジ装着部への装着方向を含む平面に関する断面図である。また、図13は、インクカートリッジ及びカートリッジ装着部の断面図であり、(a)はインクカートリッジのインク残量が多い状態、(b)はインク残量が少ない状態をそれぞれ示している。この第2実施形態は、フロート自身が発光素子を備えている点で前記第1実施形態と異なるが、それ以外の構成はほぼ同じである。そのため、以下では、前記第1実施形態とほぼ同様の構成を有するものについて同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0114】
図12、図13に示すように、第2実施形態のインクカートリッジ85は、インクを貯留するインク貯留室33を備えたカートリッジ本体30と、インク貯留室33内に設けられたインク残量検出用のアーム部材31を備えている。
【0115】
カートリッジ本体30は、前記第1実施形態と同様の構成を有するものである。アーム部材31も、第1実施形態と同じく、フロート40、アーム41、回動中心部42、及び、突出部43を有するものであるが、フロート40から突出した突出部43内に発光素子63が配置されている点が異なっている。従って、インクカートリッジ85が装着されるカートリッジ装着部87には発光素子は設けられていない。また、突出部43の先端は透光性を有し、突出部43内の発光素子63の光を外部へ照射させる光出口53となっている。そして、突出部43内の発光素子63から照射された光は、光出口53から、カートリッジ本体30の透光性を有する後壁部34(透光部)を通って、カートリッジ本体30外へ照射される。
【0116】
この第2実施形態においても、前記第1実施形態と同じく、インク残量に応じて移動する光出口53から照射される光を受光する2つの受光素子67,68により、2つのフロート40の位置、即ち、2つのインク残量レベルを検出できる。また、カートリッジ装着部87に設けられる受光素子の数を3以上にすれば、3以上のインク残量レベルを検出することができるようになる。
【0117】
これに加えて、この第2実施形態においては、発光素子63はインク貯留室33内を移動するフロート40(突出部43)に設けられていることから、発光素子63から照射された光が、外部へ出るまでにカートリッジ本体30を透過する回数が、移動部材の光出口53からカートリッジ本体30の後壁部34を透過して外へ照射される際の1回のみとなるため、前述した特許文献1のように2回透過する場合と比べて、カートリッジ本体30を透過する際に生じる光量減少が抑えられる。従って、フロート40からカートリッジ本体30外へ照射される光を、外部で検出しやすくなる。
【0118】
但し、インクカートリッジ85がカートリッジ装着部87に設けられたときに、カートリッジ装着部87側から、インク貯留室33内のフロート40に設けられた発光素子63に対して給電するための構成が必要になる。例えば、インクカートリッジ85の外側面から、アーム部材31の回動軸44及びアーム部材31の内部空間を通って発光素子63まで給電配線を引き回すことで発光素子63への給電を実現できる。あるいは、カートリッジ装着部87側に一次コイルが設けられる一方で、フロート40内に発光素子63に接続された二次コイルが設けられ、一次コイルに通電したときの、一次コイルと二次コイルの間の磁場変化によって二次コイルに誘導電流を生じさせる構成を採用することもできる。
【0119】
尚、発光素子63は、フロート40の内部に設けられている必要はなく、フロート40の外面に取り付けられていてもよい。この場合は、発光素子63から照射された光は、フロート40の壁を透過することはなく、直接カートリッジ本体30の後壁部34に向けて照射される。
【0120】
また、この第2実施形態に、前記第1実施形態と同様の変更を加えることが可能である。例えば、受光素子の省略(変更形態2、3:図5、図6)、カバー61の透光性等に関する変更(変更形態4、5:図7)、白色光を照射する発光素子63の使用(変更形態6)は、そのままこの第2実施形態にも適用可能である。
【0121】
また、上記変更形態7と同様の変更を加えることもできる。図14に示すように、フロート40から2つの突出部43a,43bが突出しており、これら2つの突出部43a,43b内に2つの発光素子63a,63bがそれぞれ収容され、さらに、2つの突出部43a,43bの先端に、前記2つの発光素子63a,63bに対応した2つの光出口53a,53bがそれぞれ形成されてもよい。インク残量が十分にある状態では、2つの発光素子63a,63bから照射された光は、2つの光出口53a,53bから、カートリッジ本体30の透光性を有する後壁部34と上壁部35を通ってそれぞれ外側へ光が照射される。
【0122】
さらに、移動部材からの光の照射方向(変更形態8)、回動中心部42の位置(変更形態9:図9)、アーム部材31の構成変更(変更形態10:図10)、フロート構造の変更(変更形態11:図11)についても、第2実施形態に適用可能である。
【0123】
(第1、第2実施形態に共通の変更形態)
1]前記第1、第2実施形態及びそれらの変更形態においては、カートリッジ本体30の全部が合成樹脂材料等の透光性材料で形成されていたが、移動部材から照射される光を透過させる部分のみが透光性を有する透光部であってもよい。例えば、前記第1実施形態の図3を例に挙げれば、カートリッジ本体30の後壁部34の、カバー61に設けられた2つの受光素子67,68とそれぞれ対向する部分のみが透光性を有し、その他の部分は遮光性であってもよい。
【0124】
2]インクカートリッジのカートリッジ装着部への装着方向は水平方向には限られず、特許文献1に開示されているような鉛直方向に装着される場合においても、本発明を適用可能である。
【0125】
3]インク残量に応じて移動し、且つ、外部に向けて光を照射する、本願発明の移動部材は、インク量の変動に応じて移動するものであれば、フロートのように上下に移動するものには限られない。例えば、インク残量に応じて上下に移動するフロートと、このフロートと連結された移動部材とがインク貯留室内に設けられた上で、フロートの上下方向移動が適宜の方向変換機構(例えば、リンク機構や回動機構等の公知の機械要素からなる機構)によって方向変換されて、移動部材が上下方向とは異なる方向に移動するように構成されてもよい。
【0126】
4]上述した実施形態は、インクジェットプリンタに用いられるインクカートリッジに本発明を適用した例であるが、本発明の適用対象はインクカートリッジに限られるものではない。即ち、液体を貯留するカートリッジ本体と、このカートリッジ本体内の液量に応じて移動する移動部材とを有するものであれば、用途や貯留される液体の種類に関わらず、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 プリンタ
5 インクカートリッジ
7 カートリッジ装着部
8 インク供給装置
30 カートリッジ本体
33 インク貯留室
40 フロート
41 アーム
42 回動中心部
44 回動軸
53 光出口
61 カバー
63 発光素子
67,68 受光素子
71 光ファイバーケーブル
85 インクカートリッジ
87 カートリッジ装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給装置のカートリッジ装着部に装着される液体カートリッジであって、
液体を貯留する液体貯留室を有し、且つ、前記液体貯留室を形成する壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体と、
前記液体貯留室内において液量に応じて移動する移動部材と、
前記移動部材の移動に伴って移動する光出口と、
前記カートリッジ装着部への装着状態において発光素子から照射された光を、前記光出口に導く導光部を備え、
前記導光部により前記光出口に導かれた光が、前記透光部を通って前記カートリッジ本体の外側へ照射されることを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項2】
前記発光素子は、前記カートリッジ本体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記導光部は、前記カートリッジ装着部に設けられた前記発光素子から照射された光を、前記光出口に導くことを特徴とする請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
前記移動部材は、前記カートリッジ本体に支持された回動軸を中心に回動可能で、且つ、前記光の照射位置と対向可能なアームと連結されており、
前記アームは、前記移動部材との連結部分、及び、前記照射位置との対向部分を含む一部分において透光性を有するとともに、残りの部分において内面が光反射性を有し、前記発光素子から照射された前記光を前記光出口に導く前記導光部を構成していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液体カートリッジ。
【請求項5】
前記アームの前記回動軸が挿通された回動中心部が前記照射位置と対向することを特徴とする請求項4に記載の液体カートリッジ。
【請求項6】
前記回動中心部の少なくとも前記照射位置と対向する部分が前記回動中心部から外側に向かって凸となる円弧状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液体カートリッジ。
【請求項7】
前記回動中心部は、前記カートリッジ本体の上面に近接して配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の液体カートリッジ。
【請求項8】
前記アームの途中部が、前記回動軸が挿通された回動中心部となっており、
前記アームの回動中心部を挟んで一端側部分に前記移動部材が連結されるとともに、他端側部分が前記照射位置と対向可能であり、
前記アームの他端側部分と前記照射位置との距離は、前記移動部材の位置に応じて変化することを特徴とする請求項4に記載の液体カートリッジ。
【請求項9】
前記導光部は、前記移動部材に接続されて、前記発光素子から照射された前記光を前記光出口に導く光ファイバーケーブルであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液体カートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジ本体の壁の異なる位置に2つの前記透光部が設けられ、
前記2つの透光部と同時に対向可能な2つの前記光出口を有し、
前記導光部によって導かれた光が、前記2つの光出口から前記2つの透光部を通ってそれぞれ外側へ照射されることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の液体カートリッジ。
【請求項11】
液体供給装置のカートリッジ装着部に装着される液体カートリッジであって、
液体を貯留する液体貯留室を有し、且つ、前記液体貯留室の壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体と、
前記液体貯留室内において液量に応じて移動する移動部材と、
前記移動部材の移動に伴って移動する発光素子と、
前記発光素子の光を外部に照射する光出口を備え、
前記光出口から照射された前記発光素子の光が、前記透光部を通って前記カートリッジ本体の外側へ照射されることを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項12】
前記カートリッジ本体の壁の異なる位置に2つの前記透光部が設けられ、
前記2つの透光部に対応した2つの前記光出口を有し、
前記2つの光出口から照射された光は、前記液体貯留室から前記2つの透光部を通ってそれぞれ外側へ照射されることを特徴とする請求項11に記載の液体カートリッジ。
【請求項13】
前記カートリッジ本体の、前記カートリッジ装着部への装着方向と反対側の壁に前記透光部が設けられ、
前記光出口は、前記装着方向と反対側の前記透光部に向けて前記発光素子から照射された前記光を照射するように構成されていることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の液体カートリッジ。
【請求項14】
前記液体貯留室の液量が所定量以上であるときに、上方へ光が照射されるように前記光出口が形成されていることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の液体カートリッジ。
【請求項15】
前記光出口は、前記カートリッジ本体の前記透光部と隙間を空けて対向し、
前記発光素子は、白色光を照射するものであることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の液体カートリッジ。
【請求項16】
液体カートリッジとこの液体カートリッジが装着されるカートリッジ装着部を備えた液体供給装置であって、
前記液体カートリッジは、液体を貯留する液体貯留室を有し、且つ、前記液体貯留室を形成する壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体と、前記液体貯留室内において液量に応じて移動する移動部材と、前記移動部材の移動に伴って移動する光出口を備え、
前記液体カートリッジの前記カートリッジ本体と前記カートリッジ装着部の一方が発光素子を有し、
前記液体カートリッジは、前記発光素子から照射された光を、前記光出口に導く導光部を備えており、
前記導光部により前記光出口に導かれた光が、前記透光部を通って前記カートリッジ本体の外側へ照射されることを特徴とする液体供給装置。
【請求項17】
液体カートリッジとこの液体カートリッジが装着されるカートリッジ装着部を備えた液体供給装置であって、
前記液体カートリッジは、液体を貯留する液体貯留室を有し、且つ、前記液体貯留室の壁の少なくとも一部に透光部を備えたカートリッジ本体と、前記液体貯留室内において液量に応じて移動する移動部材と、前記移動部材の移動に伴って移動する発光素子と、前記発光素子の光を外部に照射する光出口を備え、
前記光出口から照射された前記発光素子の光が、前記透光部を通って前記カートリッジ本体の外側へ照射されることを特徴とする液体供給装置。
【請求項18】
前記カートリッジ装着部は、前記液体カートリッジの前記透光部から照射された光を受光する受光素子を備えていることを特徴とする請求項16又は17に記載の液体供給装置。
【請求項19】
前記液体カートリッジの前記カートリッジ装着部への装着状態において、前記液体貯留室の液量が所定量以上であるときに、上方へ光が照射され、
前記受光素子は、前記光出口から照射された光を受光できるように、前記液体カートリッジの上方に配置されていることを特徴とする請求項18に記載の液体供給装置。
【請求項20】
複数の前記受光素子が、前記移動部材の移動方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項18又は19に記載の液体供給装置。
【請求項21】
前記カートリッジ本体の、前記カートリッジ装着部への装着方向と反対側の壁に前記透光部が設けられるとともに、前記光出口は前記透光部に向けて光を照射するように構成され、
前記カートリッジ装着部は、前記カートリッジ本体の前記装着方向と反対側の壁を覆うカバーを備え、
前記カバーの、少なくとも前記カートリッジ本体の透光部を覆う部分が透光性を有することを特徴とする請求項16〜20の何れかに記載の液体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−201215(P2011−201215A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72377(P2010−72377)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】