説明

液体カートリッジ、及び、液体吐出装置

【課題】カートリッジ着脱に係る手間を軽減しつつ、3種類の液体を液体吐出装置の装置本体に供給できるようにする。
【解決手段】カートリッジは、筐体内に、ブラックインクを収容するリザーバ42B、前処理液を収容するリザーバ42P、及び、加湿液を収容するリザーバ42Hを有する。リザーバ42Bに収容されているブラックインクの量V1、リザーバ42Pに収容されている前処理液の量V2、及びリザーバ42Hに収容されている加湿液の量V3が、V1>V2>V3の関係にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を収容する液体カートリッジ、及び、液体カートリッジと液体カートリッジが装着される装置本体とを含む液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体カートリッジ及び液体吐出装置に関する技術として、特許文献1が知られている。特許文献1によると、プリンタ(液体吐出装置)は、各色インクを収容するタンク7A(液体カートリッジ)、向上液を収容するタンク7B(液体カートリッジ)、タンク7Aから供給された各色インクを吐出するヘッド1k,1c,1m,1y、及び、タンク7Bから供給された向上液を吐出するヘッド1sを有する。向上液は、カラーインクの記録性を向上させる液体である。
【0003】
また、液体吐出装置において、ヘッドの吐出口内の詰まりを抑制するため、予備吐出(パージやフラッシング)を行うという技術が知られている。パージは、ポンプの駆動によりヘッド内の液体に圧力を付与し、全吐出口から液体を吐出させる動作である。フラッシングは、画像データとは異なるフラッシングデータに基づいてヘッドのアクチュエータを駆動することにより、一部又は全ての吐出口から液体を吐出させる動作である。しかし、予備吐出にはインクや向上液が消費されるため、予備吐出を頻繁に行うのは非経済的である。そこで、予備吐出の頻繁を低減させるべく、予備吐出とは別に、ヘッドの吐出口と対向する吐出空間をキャップで封止した状態で加湿するという技術も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−11000号公報(要約)
【特許文献2】特開2005−212138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、加湿に用いられる液体を、装置本体に固定されたタンクに収容するのではなく、インクや向上液と同様にカートリッジ式の容器に収容し、当該容器を装置本体に着脱可能に設けることに着眼した。しかしながら、この場合において、特許文献1のような液体を個別に収容する液体カートリッジを採用すると、ユーザは、計3つの液体カートリッジ(インクを収容する液体カートリッジ、向上液を収容する液体カートリッジ、及び、加湿用の液体を収容する液体カートリッジ)を個別に着脱する必要があり、カートリッジ着脱に係る作業が煩雑になる。
【0006】
本発明の目的は、カートリッジ着脱に係る手間を軽減しつつ3種類の液体を液体吐出装置の装置本体に供給することができる、液体カートリッジ及び液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1観点によると、色材を含む第1液体を収容する第1収容部と、前記色材を凝集させる第2液体を収容する第2収容部と、前記第1液体及び前記第2液体の少なくとも一方に水分を補給するための第3液体を収容する第3収容部と、を備えたことを特徴とする、液体カートリッジが提供される。
【0008】
本発明の第2観点によると、液体カートリッジと前記液体カートリッジが装着される装置本体とを含む液体吐出装置であって、前記液体カートリッジは、色材を含む第1液体を収容する第1収容部と、前記色材を凝集させる第2液体を収容する第2収容部と、前記第1液体及び前記第2液体の少なくとも一方に水分を補給するための第3液体を収容する第3収容部と、を備え、前記装置本体は、前記液体カートリッジが装着される装着部と、前記装着部に装着された前記液体カートリッジの前記第1収容部から供給される前記第1液体を吐出する複数の第1吐出口を有する第1ヘッドと、前記装着部に装着された前記液体カートリッジの前記第2収容部から供給される前記第2液体を吐出する複数の第2吐出口を有する第2ヘッドと、前記複数の第1吐出口と対向する第1吐出空間及び前記複数の第2吐出口と対向する第2吐出空間の少なくとも一方を封止するキャップ手段と、前記キャップ手段によって封止されている前記第1及び第2吐出空間の少なくとも一方を、前記装着部に装着された前記液体カートリッジの前記第3収容部から供給される前記第3液体を用いて、加湿する加湿手段と、を備えたことを特徴とする、液体吐出装置が提供される。
【0009】
上記第1及び第2観点によると、カートリッジ着脱に係る手間を軽減しつつ、3種類の液体を液体吐出装置の装置本体に供給することができる。
【0010】
前記第1収容部に収容されている前記第1液体の量V1、前記第2収容部に収容されている前記第2液体の量V2、及び前記第3収容部に収容されている前記第3液体の量V3が、V1>V2>V3の関係にあってよい。この場合、第1〜第3液体の量V1〜V3が、液体カートリッジが装着される液体吐出装置における第1〜第3液体の個々の消費量に鑑みた、効果的な関係となっている。これにより、第1液体の量がゼロになったときに第2液体や第3液体が大量に残っており、カートリッジ交換によって第2液体や第3液体が無駄に捨てられてしまうという問題を軽減することができる。即ち、液体の無駄な廃棄を抑制できることから、経済的で且つ地球環境にも優しい。また、第1〜第3液体の量V1〜V3が上記のような関係になく、第2液体や第3液体の量が無駄に多い場合、液体カートリッジのサイズが大型化してしまう。上記構成によれば、当該問題をも抑制することができる。
【0011】
前記第1収容部の容量C1、前記第2収容部の容量C2、前記第3収容部の容量C3が、C1>C2>C3の関係にあってよい。この場合、収容部のコンパクト化、ひいては液体カートリッジのサイズのさらなる小型化が可能である。
【0012】
前記第1、第2、及び第3収容部は、それぞれ、当該収容部に収容された液体を外部に排出するための排出管が取り付けられており、前記排出管を挟んで重ね合わせられ且つ周縁を互いに接合された2枚のシートを有する袋であってよい。この場合にも、収容部のコンパクト化、ひいては液体カートリッジのサイズのさらなる小型化が可能である。
【0013】
前記第1収容部及び前記第2収容部の少なくとも一方は、前記排出管が取り付けられた辺と直交する2辺が内側に折り畳まれるように形成されてよい。この場合、収容部のコンパクト化を実現しつつ、容量C1及び/又は容量C2を大きくすることができる。
【0014】
前記第3収容部は、前記排出管が取り付けられた辺と直交する2辺が内側に折り畳まれないように形成されてよい。この場合、収容部のコンパクト化を実現しつつ、容量C3を小さくすることができる。
【0015】
前記第3液体は、前記第1液体及び前記第2液体の両方に水分を補給するための液体であってよい。
【0016】
前記第1液体がブラックインクであってよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、カートリッジ着脱に係る手間を軽減しつつ、3種類の液体を液体吐出装置の装置本体に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るカートリッジを備えたインクジェット式プリンタを示す斜視図である。
【図2】プリンタの内部を示す概略図である。
【図3】カートリッジを示す図であり、(a),(b)は互いに異なる方向から見たカートリッジの斜視図、(c)はカートリッジの平面図である。
【図4】(a)は、図3(b)のカートリッジから筐体を除き、筐体内に収容されているブラックインクユニット、前処理液ユニット、及び加湿液ユニットを示す斜視図である。(b),(c),(d)は、ブラックインクユニット、前処理液ユニット、及び加湿液ユニットのそれぞれを個別に示す斜視図である。
【図5】図3(a),(b),(c)に示すV−V線に沿った断面図である。
【図6】排出口近傍の断面図であり、(a)は中空針が栓に挿入されておらず且つバルブが閉の位置にあるとき、(b)は中空針が栓に挿入され且つバルブが開の位置にあるときの図である。
【図7】図6(a)のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】カートリッジの基板を装着方向と逆の方向から見た図である。
【図9】カートリッジの装着過程を示す概略図である。
【図10】(a)は、図9(b),(c)に示す段階での、図3(a)に対応する斜視図である。(b)は、カートリッジの筐体をプリンタ本体にロックするための嵌合部材を示す、装着部の部分断面図である。
【図11】(a)は、プリンタ本体の基板を装着方向から見た図である。(b)は、図11(a)のXIB−XIB線に沿った断面図である。
【図12】カートリッジ及びプリンタ本体の電気的構成を示すブロック図である。
【図13】プリンタのコントローラにより構築される各手段を示す機能ブロック図である。
【図14】カートリッジが装着部に装着される際にプリンタのコントローラが実行する制御内容を示すフロー図である。
【図15】バルブの移動量とカートリッジのホール素子からの出力値との関係を示すグラフである。
【図16】加湿動作を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
先ず、図1を参照し、本発明の一実施形態に係る液体カートリッジを備えたインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0021】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの正面(図1の紙面左手前側の面)には、上から順に、3つの開口10d,10b,10cが形成されている。開口10bは給紙ユニット1b、開口10cはカートリッジ40(図2参照)をそれぞれ筐体1a内部に挿入するためのものである。開口10dには、下端の水平軸を支点として開閉可能な扉1dが嵌め込まれている。扉1dは、筐体1aの主走査方向(筐体1aの正面と直交する方向)に関して、搬送ユニット21(図2参照)と対向配置されている。開口10cにも、下端の水平軸を支点として開閉可能なカバー1cが設けられている。カートリッジ40が筐体1a内部に挿入された状態でカバー1cを閉じることにより、カートリッジ40の筐体1aからの脱落を防止することができる。
【0022】
次いで、図2を参照し、プリンタ1の内部構成について説明する。
【0023】
筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間Aには、ブラックインク及び前処理液(以下、ブラックインク、前処理液、及び、後述の加湿液を「液体」と総称する場合がある。)をそれぞれ吐出する2つのヘッド2、用紙Pを搬送する搬送ユニット21、及び、プリンタ1各部の動作を制御するコントローラ100が配置されている。空間B,Cにはそれぞれ、給紙ユニット1b及びカートリッジ40が配置される。即ち、空間Cが、プリンタ本体(プリンタ1のカートリッジ40以外の部分)におけるカートリッジ40が装着される部分(装着部)である。プリンタ1の内部には、給紙ユニット1bから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。
【0024】
コントローラ100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)に加え、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)、I/F(Interface)等を有する。ROMは、CPUが実行するプログラム、各種固定データ等を記憶している。RAMは、プログラム実行時に必要なデータ(画像データ等)を一時的に記憶可能である。コントローラ100は、I/Fを介して、カートリッジ40のメモリ141やホール素子71とのデータ送受信、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)とのデータ送受信等を行う。
【0025】
給紙ユニット1bは、トレイ23及びローラ25を有する。トレイ23は、筐体1aに対して主走査方向に着脱可能である。トレイ23は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収容可能である。ローラ25は、コントローラ100による制御の下、給紙モータ125(図12参照)の駆動により回転し、トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a,27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット21に送られる。
【0026】
搬送ユニット21は、2つのローラ6,7、及び、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8を有する。ローラ7は、駆動ローラであって、コントローラ100による制御の下、その軸に接続された搬送モータ127(図12参照)の駆動により回転し、図2中時計回りに回転する。ローラ6は、従動ローラであって、ローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図2中時計回りに回転する。搬送ベルト8のループ内には、2つのヘッド2と対向するように、直方体形状のプラテン19が配置されている。搬送ベルト8の上側ループは、搬送ベルト8の外周面8aがヘッド2の下面(液体を吐出する吐出口が多数形成された吐出面)2aと所定距離離隔しつつ下面2aと平行に延在するよう、内周面側からプラテン19により支持されている。搬送ベルト8の外周面8aには、弱粘着性のシリコン層が形成されている。給紙ユニット1bから搬送ユニット21へと送られてきた用紙Pは、押さえローラ4によって搬送ベルト8の外周面8aに押え付けられた後、粘着力によって外周面8aに保持されつつ、黒塗り矢印に沿って副走査方向に搬送されていく。
【0027】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット21による用紙Pの搬送方向と平行な方向である。主走査方向とは、副走査方向に直交し且つ水平面に平行な方向である。
【0028】
用紙Pがヘッド2の直ぐ下方を通過する際に、コントローラ100による制御の下、ヘッド2が駆動し、ヘッド2の下面2aから用紙Pの上面に向けて液体(ブラックインク、及び、状況に応じて前処理液)が吐出されることで、用紙P上に所望の画像が記録される。そして用紙Pは、剥離プレート5によって搬送ベルト8の外周面8aから剥離され、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ上方に搬送され、筐体1a上部に形成された開口130から排紙部31へと排出される。各送りローラ対28の一方のローラは、コントローラ100による制御の下、送りモータ128(図12参照)の駆動により回転する。
【0029】
前処理液は、例えば、濃度向上作用(用紙Pに吐出されたインクの濃度を向上させる作用)、インクの滲みや裏抜け(用紙Pの表面に着弾したインクが用紙Pの層を貫通して裏面に滲み出す現象)の防止作用、インクの発色性や速乾性を向上させる作用、インク着弾後の用紙Pの皺やカールを抑制する作用等を有する液体である。前処理液としては、例えば、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等を用いてよい。
前処理液を吐出するヘッド2は、ブラックインクを吐出するヘッド2よりも、用紙Pの搬送方向上流側に配置されている。
【0030】
ヘッド2は、主走査方向(図1の紙面に直交する方向)に長尺なライン式であり、略直方体の外形形状を有する。2つのヘッド2は、副走査方向に所定ピッチで並び、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。各ヘッド2において、上面には、可撓性チューブが取り付けられるジョイントが設けられ、下面2aには、多数の吐出口が形成され、内部には、可撓性チューブ及びジョイントを介してカートリッジ40の対応するリザーバ42B,42Pからそれぞれ供給された液体が吐出口に至るまでの流路が形成されている。
【0031】
各ヘッド2には、図2に示すように、キャップ2cが設けられている。キャップ2cは、吐出面2aの外周を囲む環状の部材であって、フレーム3に取り付けられていると共に、キャップ昇降機構2cM(図12参照)の駆動によりヘッド2に対して昇降する。キャップ2cは、後述のキャップ動作で用いられる。
【0032】
カートリッジ40は、ブラックインクを収容するリザーバ42B、前処理液を収容するリザーバ42P、及び、加湿液を収容するリザーバ42Hを有する(図4参照)。リザーバ42B内のブラックインク及びリザーバ42P内の前処理液は、可撓性チューブ及びジョイントを介して、対応するヘッド2に供給される。リザーバ42H内の加湿液は、可撓性チューブ等を介して、タンク94(図16参照)に供給される。加湿液は、後述の加湿動作で用いられる液体であり、例えば水、防腐剤、防カビ剤等を含有する。カートリッジ40は、筐体1aに対して主走査方向に着脱可能である。したがって、プリンタ1のユーザは、使用済みのカートリッジ40を筐体1aから取り外し、新品のカートリッジ40と交換してこれを筐体1aに装着することができる。
【0033】
次いで、図3〜図8を参照し、カートリッジ40の構成について説明する。
【0034】
カートリッジ40は、図3及び図4に示すように、筐体41、ブラックインクに対応するブラックインクユニット40B、前処理液に対応する前処理液ユニット40P、加湿液に対応する加湿液ユニット40H、及び基板142を有する。ユニット40B,40P,40Hは、それぞれリザーバ42B,42P,42H、排出管43、栓50、バルブ60等を含み(図4及び図6参照)、リザーバ42B,42P,42Hのサイズ等が異なる点を除き、略同じ構成を有する。
【0035】
排出管43は、各リザーバ42B,42P,42Hの開口部に取り付けられており、各リザーバ42B,42P,42H内の液体を外部に排出するための流路43aを画定している(図6参照)。排出管43は、図3(b)及び図6に示すように、先端が筐体41外に突出している。当該先端には、流路43aのリザーバ42B,42P,42Hとは反対側の開口(排出口)43bを塞ぐように、ゴム等の弾性材料からなる栓50が圧縮状態で設けられている(図6参照)。当該先端及び栓50の外側にはキャップ46が設けられている。キャップ46の中央には開口46aが形成されており、開口46aを介して栓50の正面(バルブ60に対向する裏面とは反対側の面)が露出している。
【0036】
バルブ60は、図6に示すように、流路43aに配置されており、Oリング61及び弁本体62を有する。
【0037】
弁本体62は、図6及び図7に示すように副走査方向に軸を有する円柱形状の、磁性体である。図7に示すように、排出管43における弁本体62が配置された部分は、上壁及び下壁が平坦であり、副走査方向と直交する断面が主走査方向に細長い、円筒状である。排出管43の主走査方向両側の側壁の内面にはそれぞれ、主走査方向に沿って内側に突出する突起43pが形成されている。各突起43pは、弁本体62が移動可能な範囲に亘って、副走査方向に延在している。弁本体62は、排出管43の突起43p及び上下壁に挟持され、断面視において流路43aの中央で位置決めされている。弁本体62と排出管43の間には、弁本体62と排出管43の突起43p及び上下壁との当接部分を除く部分に、流路が確保されている。
【0038】
Oリング61は、ゴム等の弾性材料からなり、弁本体62の正面(栓50に対向する面)に固定されている。バルブ60は、コイルバネ63によって、開口43yに向けて付勢されている。コイルバネ63は、一端が排出管43の基端に固定されており、他端が弁本体62の裏面に接触している。図6(a)に示すようにバルブ60が流路43aを閉じる閉の位置にあるとき、Oリング61は、排出管43の縮径部43xの一端(排出口43bに近い方の端部)から排出管43の径方向中心に向けて突出した部分(弁座)43zに接触し、縮径部43xの一端の開口43yが封止されている。これにより、流路43aを介したリザーバ42B,42P,42Hと外部との連通が遮断されている。このとき、Oリング61はコイルバネ63の付勢力によって弾性変形している。
【0039】
ユニット40B,40Pの排出管43には、ホール素子71及び磁石72を含むセンサユニット70が取り付けられている。磁石72は、磁場を発生させるものである。ホール素子71は、磁気センサであって、入力された磁場を電気信号に変換し、当該電気信号を生成する。本実施形態において、ホール素子71は、弁本体62の移動に伴って変化する磁場の大きさに比例した電圧値を示す信号を生成する。ホール素子71は、磁石72と弁本体62とによって作られる磁場が入力される位置に配置されている(図6(a)参照)。
【0040】
ホール素子71及び磁石72は、図6(a)に示すように、それぞれ排出管43の上壁及び下壁に固定され、鉛直方向に互いに対向している。図6(a)に示すようにバルブ60が閉の位置にあるとき、ホール素子71及び磁石72は、弁本体62を挟んで対向している(即ち、弁本体62は、ホール素子71と磁石72との間の位置にある)。このとき、磁石72が発生した磁場が、弁本体62を介してホール素子71に効率的に届く。したがって、ホール素子71が検知する磁場は大きく、ホール素子71は高い電圧値を示す信号を生成する。バルブ60が図6(a)に示す閉の位置から図6(b)に示す流路43aを開く開の位置に移動するときに、弁本体62が鉛直方向に関してホール素子71及び磁石72と対向しない位置(即ち、ホール素子71と磁石72との間ではない位置)に移動するのに伴い、ホール素子71が検知する磁場が小さくなり、ホール素子71が生成する信号が示す電圧値が低くなる。コントローラ100は、ホール素子71が生成した信号を受信し、当該信号が示す電圧値に基づいて、バルブ60の位置が開か閉かを判断する。
【0041】
なお、ユニット40Hの排出管43には、センサユニット70が取り付けられていない。
【0042】
筐体41は、図3に示すように、略直方体形状であり、外面41a〜41h等を有する。外面41a,41bは、共に装着方向(カートリッジ40が空間Cに装着される際のカートリッジ40の空間Cに対する移動方向)と略平行であり、挿入方向(中空針153が流路43aに挿入される際の中空針153の流路43aに対する移動方向)に関して互いに離隔して対向している。外面41aには、排出口43b(図6参照)が設けられている。外面41c,41dは、共に装着方向と略直交し且つ挿入方向と略平行であり、挿入方向に関して外面41a,41bの間にあり、装着方向に関して互いに離隔して対向している。外面41cは装着方向下流側、外面41dは装着方向上流側に設けられた面である。外面41e,41f(図2参照)は、共に、外面41a〜41dのそれぞれと略直交し、挿入方向に関して外面41a,41bの間且つ装着方向に関して外面41c,41dの間に設けられている。外面41e,41fは、互いに略平行であり、鉛直方向に関して互いに離隔して対向している。外面41gは、外面41eと略平行であり、鉛直方向に関して外面41e,41fの間且つ装着方向に関して外面41e,41cの間に設けられている。外面41hは、外面41eと外面41gとを接続すると共に、鉛直方向と略平行である。
【0043】
本実施形態において、装着方向は主走査方向と平行であり、挿入方向は副走査方向と平行である。装着方向及び挿入方向は互いに直交している。
【0044】
筐体41は、さらに、カートリッジ40が空間Cに装着される際に筐体41を筐体1aにロックするための穴48、外面41g,41h等で画定された凹部41r、及び、ユーザが把持可能な把持部49を有する。穴48は、外面41gに形成されており、カートリッジ40が空間Cに装着される際に筐体1aに設けられた嵌合部材148の凸部148a(図10(b)参照)が嵌合する。把持部49は、外面41e,41dの角部に設けられた、外面41eにおける装着方向上流側の辺に沿って長尺な凹部からなる。把持部49は、穴48及び凹部41rよりも装着方向上流側において、挿入方向に関して穴48及び凹部41rと重なる位置に、設けられている。
【0045】
外面41cにおける挿入方向上流側の部分に、凹部41c1が形成されている。凹部41c1の底面に、基板142が配置されている。
【0046】
基板142は、裏面にメモリ141、表面に8つの端子170c〜177c(図8参照)を有する。
【0047】
端子170c〜177cは、凹部41c1を介して外部に露出されている。端子170c〜177cは全て、同じサイズ及び形状を有し、カートリッジ40の外面に露出している。端子170c〜177cの形状は、副走査方向と平行な2つの短辺と鉛直方向と平行な2つの長辺とからなる長方形である。端子170c〜177cは2列に配置されている。
【0048】
図12に示すように、センサ信号出力端子(SB)170cはユニット40Bのホール素子71と電気的に接続され、センサ信号出力端子(SP)171cはユニット40Pのホール素子71と電気的に接続され、データ出力端子(DO)172c及びデータ入力端子(DI)173cはメモリ141と電気的に接続され、電力入力端子(V)174cは2つのホール素子71及びメモリ141と電気的に接続され、3つの接地端子(G)175c,176c,177cはメモリ141、ユニット40Pのホール素子71、及びユニット40Bのホール素子71のそれぞれと電気的に接続されている。端子170c,171c,174c,175c,176c,177cと各ホール素子71との電気的接続は、フレキシブルケーブル(図示略)の配線を介して行われている。ユニット40P,40Bの排出管43にはそれぞれ、図4(b),(c)に示すように、当該フレキシブルケーブルが取り付けられるプレート70xが固定されている。端子172c,173c,174c,175c,176c,177cとメモリ141との電気的接続は、基板142を貫通するスルーホール内に充填された導電性材料を介して行われている。
【0049】
メモリ141は、EEPROM等からなり、各リザーバ42B,42P内の液体の残量、センサ出力値(各ホール素子71からの出力値Vmax,Vmin:図15参照)等に関するデータを予め記憶している。さらに、カートリッジ40が空間Cに装着されているとき、コントローラ100は、メモリ141に記憶されているデータを読み取り可能であると共に、メモリ141に記憶されている各リザーバ42B,42P内の液体の残量に関するデータを書き換え可能である。
【0050】
次いで、図4及び図5を参照し、リザーバ42B,42P,42Hの構成について詳細に説明する。
【0051】
リザーバ42B,42P,42Hは、それぞれ、図4に示すように、排出管43を挟んで重ね合わせられ且つ周縁を互いに熱溶着等で接合された2枚のシートを有する袋である。リザーバ42B,42Pは、排出管43が取り付けられた辺と直交する2辺42Bs,42Psが内側に折り畳まれるように形成されている。リザーバ42Hは、排出管43が取り付けられた辺と直交する2辺42Hsが内側に折り畳まれないように形成されている。したがって、図4(b),(c),(d)に示すように、辺42Bs,42Psの面には折り目42Bi,42Piがあるのに対し、辺42Hsの面には折り目がない。
【0052】
リザーバ42B,42P,42Hは、それぞれ、排出方向(排出管43から液体が排出される方向)から見たときの断面(以下、「横断面」と称す。)が、図5に示すように、細長い形状である。リザーバ42B,42Pの横断面の形状は略矩形であり、リザーバ42Hの横断面の形状は略楕円形である。
【0053】
リザーバ42B,42P,42Hの横断面の長手方向の長さL1,L2,L3は、L1>L2>L3の関係にある。リザーバ42B,42P,42Hの横断面の短手方向の長さW1,W2,W3は、W1>W2>W3の関係にある。また、リザーバ42Hの横断面の長手方向の長さL3は、リザーバ42B,42P,42Hの横断面の短手方向の長さW1,W2,W3の和よりも小さく、リザーバ42B,42Pの横断面の短手方向の長さW1,W2の和以下である。即ち、L3≦(W1+W2)<(W1+W2+W3)という関係が成立している。リザーバ42B,42P,42Hの排出方向に関する長さは略同じである。
【0054】
リザーバ42Bの容量C1、リザーバ42Pの容量C2、リザーバ42Hの容量C3は、C1>C2>C3の関係にある。また、リザーバ42Bに収容されているブラックインクの量V1、リザーバ42Pに収容されている前処理液の量V2、及びリザーバ42Hに収容されている加湿液の量V3は、V1>V2>V3の関係にある。
【0055】
リザーバ42B,42P,42Hは、互いに排出方向が平行になるように配置されている。本実施形態において、各リザーバ42B,42P,42Hに対応する排出方向は、挿入方向(図3(b)参照)と逆の方向であり、副走査方向と平行で且つ主走査方向と直交する。
【0056】
リザーバ42B,42Pは、図5に示すように、それぞれ横断面の長手方向が主走査方向と平行で且つ横断面の短手方向が鉛直方向と平行であり、互いに鉛直方向に並ぶように配置されている。即ち、リザーバ42B,42Pは、横置きで上下に重ねて配置されている。リザーバ42Hは、横断面の長手方向が鉛直方向と平行で且つ横断面の短手方向が主走査方向と平行であり、主走査方向に関してリザーバ42B,42Pと並ぶように配置されている。即ち、リザーバ42Hは、リザーバ42B,42Pの側方に、縦置きで配置されている。
【0057】
主走査方向に関して、リザーバ42Pにおけるリザーバ42Hと対向する面(図5におけるリザーバ42Pの右側面)が、リザーバ42Bにおけるリザーバ42Hと対向する面(図5におけるリザーバ42Bの右側面)よりも、リザーバ42Hの近くに位置し、リザーバ42P,42Hが主走査方向に関して部分的に重複している。
【0058】
図5に示すように、排出方向と平行な方向(副走査方向)から見て、リザーバ42Bと連通する排出口43bの中心O1は、主走査方向に関して、リザーバ42Bの中心よりもリザーバ42Hの近くに位置している。リザーバ42Pと連通する排出口43bの中心O2は、主走査方向に関して、リザーバ42Pの中心よりもリザーバ42Hの近くに位置している。即ち、リザーバ42B,42Pと連通する排出口43bは、それぞれ、主走査方向に関して、対応するリザーバ42B,42Pの中心から距離E1,E2だけリザーバ42Hに近づく方向(図5の右方向)に偏心している。また、リザーバ42Hと連通する排出口43bの中心O3は、鉛直方向に関して中心O1,O2の間に位置している。
【0059】
主走査方向に関してリザーバ42Pと対向し且つ鉛直方向に関してリザーバ42Hと対向する空間(図5において、リザーバ42Pの右方且つリザーバ42Hの上方)に、把持部49が設けられている。把持部49を構成する壁が、リザーバ42P,42Hを支持している。
【0060】
主走査方向に関してリザーバ42Pと対向し且つ鉛直方向に関してリザーバ42Bと対向する空間(図5において、リザーバ42Pの左方且つリザーバ42Bの上方)に、凹部41r及び穴48(図3(a)参照)が設けられている。凹部41rを構成する壁(外面41g,41hを構成する壁)が、リザーバ42B,42Pを支持している。
【0061】
リザーバ42B,42Hの間には、仕切り壁41pが設けられている。仕切り壁41pは、筐体41の底壁から鉛直方向に延出しており、先端がリザーバ42Bの上面よりも下方にある。仕切り壁41pは主走査方向に関してリザーバ42Pと重複しない。
【0062】
なお、上述したリザーバ42B,42P,42Hの横断面の形状及びサイズ、各リザーバ42B,42P,42H内の液体の量V1〜V3等は、カートリッジ40が新品の状態(即ち、カートリッジ40が未使用であって、各リザーバ42B,42P,42H内の液体が、カートリッジ40製造時の量のまま、消費されておらず、リザーバ42B,42P,42H内で充満している状態)におけるものである。カートリッジ40が使用され、各リザーバ42B,42P,42H内の液体が消費されるのに伴い、V1〜V3が減少し、リザーバ42B,42P,42Hの横断面の形状及びサイズが変化していく。例えば、リザーバ42B,42P,42Hの横断面は、さらに扁平な形状になり、短手方向の長さW1,W2,W3が小さくなる。これに伴い、L3≦(W1+W2)やL3<(W1+W2+W3)の関係が成立しなくなったり、V1>V2>V3の関係が成立しなくなったりし得る。また、リザーバ42P,42Hが主走査方向に関して部分的に重複しなくなったり、把持部49を構成する壁がリザーバ42P,42Hを支持しなくなったり、凹部41rを構成する壁がリザーバ42B,42Pを支持しなくなったり、また、仕切り壁41pの先端がリザーバ42Bの上面と同じ又はこれよりも上方に位置するようになったりし得る。
【0063】
次いで、図2及び図9を参照し、プリンタ本体におけるカートリッジ40の装着部(空間C)の構成について説明する。
【0064】
空間Cは、筐体1aの壁面によって画定されている。当該壁面は、壁面1aa,1ab,1ac,1af等を有する。
【0065】
壁面1aa,1abは、共に装着方向と略平行であり、挿入方向に関して互いに離隔して対向している。壁面1aaには、ユニット40B,40P,40Hにそれぞれ対応する3つの中空針153、及び、これら中空針153を支持する支持体154が設けられている。支持体154は、移動機構155(図12参照)の駆動によって、筐体1aに対して挿入方向及び挿入方向と逆の方向に移動可能である。中空針153は、支持体154の当該移動によって、流路43aに挿入されていない非挿入位置(図6(a)参照)と流路43aに挿入された挿入位置(図6(b)参照)とを選択的に取り得る。ユニット40B,40Pに対応する2つの中空針153は、チューブ及びジョイントを介して、ブラックインクを吐出するヘッド2及び前処理液を吐出するヘッド2のそれぞれと連通している。ユニット40Hに対応する中空針153は、チューブ等を介して、タンク94(図16参照)と連通している。
【0066】
壁面1acは、装着方向と略直交し、装着方向下流側に設けられた面であり、挿入方向に関して壁面1aa,1abの間にある。壁面1acには、基板182が設けられている。
【0067】
壁面1afは、壁面1aa,1ab,1acのそれぞれと略直交し、空間Cの底面を構成する。壁面1afにおける装着方向上流側端部には、把持部49を把持するユーザの手が挿入可能な凹部1afx(図2参照)が設けられている。
【0068】
基板182は、基板142と略同じサイズであり、カートリッジ40が空間Cに装着される際に基板142と対向する位置に配置されている。基板182の表面には、図11(a),(b)に示すように、基材201が設けられている。基材201上には、8つの端子170c〜177cにそれぞれ対応する8つの端子170p〜177pが設けられている。
【0069】
端子170p〜177pは、図11(b)に示すように、それぞれ断面が略C字形状の板バネからなる。端子170p〜177pの一端205は、基板182に固定された固定端であり、基板182と電気的に接続されている。端子170p〜177pの他端203は、部分204を支点として撓むことが可能な自由端であり、撓んだときに装着方向上流側(図11(b)の上方向)に向かう方向の付勢力を発揮する。
【0070】
端子170p〜177pは、カートリッジ40が空間Cに装着される際に端子170c〜177cのそれぞれと接触するよう、図8に示す端子170c〜177cのパターンと鏡対称となるパターンで配置されている。
【0071】
図12に示すように、センサ信号受信端子(SB)170p、センサ信号受信端子(SP)171p、データ受信端子(DO)172p、及びデータ送信端子(DI)173pはコントローラ100と電気的に接続され、電力出力端子(V)174pは電源158と電気的に接続され、3つの接地端子(G)175p,176p,177pは接地されている。電源158は筐体1a内に設けられている。
【0072】
次いで、図9〜図15等を参照し、カートリッジ40の空間Cへの装着からカートリッジ40とヘッド2及びタンク94との連通形成までの過程について説明する。図12では、電力供給線を太線で示し、信号線を細線で示している。
【0073】
カートリッジ40を空間Cに装着するとき、プリンタ1のユーザは、先ず、カバー1c(図1参照)を開ける。その後、ユーザは、例えば片手で把持部49(図3参照)を把持し、当該片手の親指以外の4本の指を凹部1afx(図2参照)に挿入する。そしてこの状態で、カートリッジ40を装着方向に移動させ、空間Cに挿入する(図9(a)参照)。このときカートリッジ40は、図9(b)に示す位置まで挿入される。
【0074】
カートリッジ40が図9(b)に示す位置に至るまでの過程において、基板182が凹部41c1内に挿入されて基板142と接触し、端子170c〜177cと端子170p〜177pとが接触する。さらに端子170p〜177pは、端子170c〜177cに押され、他端203が部分204を支点として下向きに撓むことにより、図11(b)に実線で示す状態から二点鎖線で示す状態に移行する。このようにして、端子170c〜177cの中心が端子170p〜177pの頂点部202とそれぞれ接触し、端子170c〜177cと端子170p〜177pとの間の電気的接続が実現される。これにより、電源158から端子174p,174cを介してホール素子71及びメモリ141に電力が供給される。さらに、コントローラ100は、端子170c,170pを介したユニット40Bのホール素子71からの信号の受信、端子171c,171pを介したユニット40Pのホール素子71からの信号の受信、端子172c,172pを介したメモリ141からのデータ読み取り、及び、端子173c,173pを介したメモリ141へのデータ書き込みや書き換えを行えるようになる。
【0075】
カートリッジ40が図9(b)に示す位置に至ると同時に、筐体1aに設けられた嵌合部材148の凸部148a(図10(b)参照)が穴48に嵌合し、筐体41が移動不能に固定(ロック)される。嵌合部材148は、図10(b)に示すように、空間Cの上面を構成する壁面に、バネ148sを介して取り付けられている。嵌合部材148はバネ148sによって下方に付勢されている。凸部148aは、嵌合部材148の下面から下方に突出している。嵌合部材148は、主走査方向に関して、一対のガイド壁148gによって挟持され、主走査方向に移動しないようになっている。一対のガイド壁148gは、空間Cの上面を構成する壁面に固定されている。カートリッジ40が図9(b)に示す位置に至るまでの過程において、嵌合部材148が凹部41rに配置され、凸部148aが外面41gに接触し、そして凸部148aが外面41gに接触した状態で外面41gに沿ってスライドする。凸部148aが外面41gに接触するまで、嵌合部材148の下面は外面41gよりも若干上方にあり、バネ148sの縮みはない。凸部148aが外面41gに接触する際に、バネ148sが縮み、嵌合部材148は若干上方に移動する。その後カートリッジ40が図9(b)に示す位置に至ると同時に、嵌合部材148がバネ148sの付勢力によって下方に移動し、凸部148aが穴48に嵌合する。またこのとき、一対のガイド壁148gのうち装着方向上流側のガイド壁148gが、外面41hに当接する。なお、嵌合部材148の上面(バネ148sが取り付けられた面)は、カートリッジ40が空間Cに装着される際及びカートリッジ40が空間Cに装着されたときの両方において、外面41eよりも下方に位置している。
【0076】
カートリッジ40が図9(b)に示す位置に至った後、ユーザがカバー1c(図1参照)を閉じると、装着検出スイッチ159(図12参照)がON信号を出力する。コントローラ100は、当該ON信号の受信により、カートリッジ40の装着が完了したと判断する(図14のS1:YES)。
【0077】
装着検出スイッチ159は、筐体1aにおける開口10c(図1参照)を画定する壁面に設けられた、凸部を有する。凸部は、カバー1cが開いているとき突出状態にあり、カバー1cが閉じられる際にカバー1cに押されて壁面内に後退する。装着検出スイッチ159は、凸部が突出状態にあるときにOFF信号、凸部が壁面内に後退した状態にあるときにON信号を出力する。
【0078】
コントローラ100は、カートリッジ40の装着が完了したと判断すると(S1:YES)、メモリ141からデータ(各リザーバ42B,42P内の液体の残量、センサ出力値等に関するデータ)を読み取り(S2)、さらに移動機構155(図12参照)を制御し、図9(c)に示すように支持体154をこれに支持された3つの中空針153と共に挿入方向に移動させる(S3)。
【0079】
S3で中空針153の移動が開始された後、各ユニット40B,40P,40Hにおいて、先ず、図6(b)に示すように、中空針153が栓50の略中心を主走査方向に貫通する。このとき、中空針153の先端に設けられた開口153bが流路43aに配置され、開口153bを介して、中空針153内の流路153aと流路43aとが連通する。またこのとき、栓50に中空針153による孔が形成されるが、栓50における当該孔の周囲が弾性により中空針153の外周面に密着する。これにより、栓50の孔と中空針153との間からの液漏れが抑制される。その後、中空針153の先端が弁本体62に当接する。そして中空針153の流路43aへのさらなる進入により、弁本体62がOリング61と共に移動し、Oリング61が弁座43zから離隔する。このとき、バルブ60の位置が閉から開に切り換わる。バルブ60が開の位置にあるとき、流路43aを介したリザーバ42B,42Pと各ヘッド2との連通及びリザーバ42Hとタンク94との連通が形成される。即ち、図6(b)に示すように栓50に中空針153が貫通し且つバルブ60が開の位置にあるとき、流路43a、流路153a等を介して、リザーバ42B,42Pと各ヘッド2とが連通し、また、リザーバ42Hとタンク94とが連通している。
【0080】
S3の後、コントローラ100は、各ユニット40B,40Pのホール素子71から信号を受信する(S4)。S4の後、コントローラ100は、S2でメモリ141から読み取った出力値Vmax,VminとS4で受信した信号とに基づいて、各ユニット40B,40Pにおいて、バルブ60が開の位置に配置されたか否かを判断する(S5)。本実施形態では、S5の判断を以下のように行う。
【0081】
図15に、バルブ60の移動量とホール素子71からの出力値との関係を示す。横軸は、図6(a)に示す閉の位置から、主走査方向に沿って栓50から離隔する方向への、バルブ60の移動量を意味する。Vmax,Vminはそれぞれ、バルブ60が閉の位置及び開の位置にあるときに、ホール素子71に所定の駆動電圧が印加されたときの、ホール素子71からの出力値である。コントローラ100は、S4で受信したホール素子71からの出力値が、S2で読み取った出力値Vmax,Vminに基づいて算出した閾値Vt(例えば、Vt=(Vmax+Vmin)/2)以下の場合、バルブ60が開の位置にあると判断し、ホール素子71からの出力値が閾値Vtを超えている場合、バルブ60が閉の位置にあると判断する。
【0082】
各ユニット40B,40Pのバルブ60が開の位置に配置されないまま所定時間が経過した場合(S6:YES)、コントローラ100は、プリンタ1のディスプレイやスピーカ等の出力手段160(図12参照)により、エラー報知を行う(S7)。さらにコントローラ100は、S7の後、プリンタ1の各部の動作を停止させる(S8)。この場合、端子170cと端子174cとの間の短絡によってユニット40Bのホール素子71が破損したり、端子171cと端子174cとの間の短絡によってユニット40Pのホール素子71が破損したり、端子173cと端子174cとの間の短絡によってコントローラ100の通信機能に不具合が生じたりしているか、或いは、栓50、バルブ60、プリンタ1の中空針153、移動機構155等に不具合があると推定される。
【0083】
各ユニット40B,40Pのバルブ60が開の位置に配置されていると判断した場合(S5:YES)、コントローラ100は、外部装置からの記録指令の受信の有無を判断する(S9)。記録指令を受信した場合(S9:YES)、コントローラ100は、ブラックインク及び前処理液の各液体について、使用量が残量未満であるか否かを判断する(S10)。液体の使用量は、当該記録指令に係る記録時に吐出されるべき液体の量のことであり、記録指令に含まれる画像データに基づいて算出される。液体の残量としては、S2でメモリ141から読み取ったデータが使用される。
【0084】
使用量が残量以上の場合(S10:NO)、コントローラ100は、エラー報知を行い(S7)、プリンタ1の各部の動作を停止させる(S8)。
【0085】
使用量が残量未満の場合(S10:YES)、コントローラ100は、画像データに基づく画像が用紙Pに記録されるよう、給紙モータ125、搬送モータ127、送りモータ128、ヘッド2等の駆動を制御する(S11)。
【0086】
S11の後、コントローラ100は、メモリ141に記憶されている各リザーバ42B,42P内の液体の残量に関するデータを書き換える(S12)。このときコントローラ100は、S2でメモリ141から読み取った残量からS10で算出した使用量をマイナスした値を新たな残量として、データを書き換える。
【0087】
S12の後、コントローラ100は、S9に処理を戻し、再び記録指令を受信するまで待機する。
【0088】
カートリッジ40を空間Cから取り出すとき、プリンタ1のユーザは、先ず、カバー1c(図1参照)を開ける。このときに装着検出スイッチ159がOFF信号を出力し、コントローラ100は、当該OFF信号の受信に応じて、移動機構155(図12参照)を制御し、支持体154をこれに支持された3つの中空針153と共に挿入方向と逆の方向に移動させる。このとき、各ユニット40B,40P,40Hにおいて、中空針153が図6(b)の左方向に移動するのに伴い、コイルバネ63の付勢力によって、バルブ60が図6(b)の左方向に移動して弁座43zに接触する。これにより、バルブ60の位置が開から閉に切り換わる。コントローラ100は、各ユニット40B,40Pにおいて、ホール素子71からの出力値が閾値Vtを超えたときに、バルブ60が閉の位置にあると判断する。バルブ60の位置が開から閉に切り換わった後、中空針153が栓50から抜去される。このとき、栓50に形成された中空針153による孔は、当該孔の周囲部分の弾性により、液漏れが抑制される程度に、小さくなる。
【0089】
その後、ユーザは、例えば片手で把持部49(図3参照)を把持し、当該片手の親指以外の4本の指を凹部1afx(図2参照)に挿入する。そしてこの状態で、カートリッジ40を装着方向と逆の方向に移動させる。この際に、筐体41に装着方向と逆方向の力が作用し、当該力が所定以上の大きさになると、凸部148aが穴48から抜去される。凸部148aが穴48から抜去された後、ユーザは比較的小さな力でカートリッジ40を装着方向と逆の方向に移動させることができる。カートリッジ40が空間Cから取り出される際、基板142が基板182から離隔する。これにより、端子170c〜177cと端子170p〜177pとの間の電気的接続が解除され、ホール素子71及びメモリ141に電力が供給されなくなり、コントローラ100がホール素子71やメモリ141と信号の送受信を行えなくなる。
【0090】
コントローラ100は、図13に示すように、空間Cに装着されたカートリッジ40と通信する通信手段であると共に、図14の処理に対応する各手段を構築している。
【0091】
装着検出手段M1はS1に対応し、読取手段M2はS2に対応し、報知手段M3はS7に対応し、記録禁止手段M4はS8に対応し、移動手段M5はS3に対応し、受信手段M6はS4に対応し書換手段M7はS12に対応し、記録制御手段M8はS11に対応し、連通判断手段M9はS5に対応する。キャップ手段M10及び加湿手段M11はそれぞれ、後述のキャップ動作及び加湿動作に係る処理に対応する。
【0092】
ここで、図16を参照し、キャップ動作及び加湿動作について説明する。
【0093】
加湿動作は、加湿機構90を用いて行われる。加湿機構90は、ジョイント91、チューブ95,96,97、加湿ポンプ93、及びタンク94を含む。
【0094】
ジョイント91は、ヘッド2毎に2つずつ設けられており、ヘッド2の長手方向一端及び他端においてそれぞれフレーム3に固定されている。ジョイント91は、略円筒状であり、下面の開口91aがキャップ2cにより画定された内部空間に開口している。チューブ95は、一方のジョイント91と加湿ポンプ93とを連通可能に接続している。チューブ96は、加湿ポンプ93とタンク94とを連通可能に接続している。チューブ97は、タンク94と他方のジョイント91とを連通可能に接続している。
【0095】
なお、図16には1のヘッド2に対応するチューブ95,97のみが示されているが、チューブ95,97はヘッド2毎に設けられている。一方、加湿ポンプ93及びタンク94は、プリンタ1において1つずつ設けられている。2つのヘッド2からそれぞれ延出した2本のチューブ95は共に加湿ポンプ93に接続し、2つのヘッド2からそれぞれ延出した2本のチューブ97は共にタンク94に接続している。
【0096】
タンク94の下部空間は、リザーバ42Hから供給された加湿液を収容し、タンク94の上部空間は、下部空間の加湿液により加湿された加湿空気を収容している。チューブ96はタンク94の下部空間と連通し、チューブ97はタンク94の上部空間と連通している。チューブ96には逆止弁(図示略)が取り付けられており、図16の矢印方向にのみ空気が流れ、タンク94内の水が加湿ポンプ93に流れ込まないようになっている。
【0097】
コントローラ100は、キャップ動作を行う際、キャップ2cと係合するギア及びギアを駆動するギアモータを含むキャップ昇降機構2cM(図12参照)を制御し、キャップ2cを下降させる。これにより、図16に示すように、キャップ2cの先端(図16の下端)が、吐出面2aよりも下方に位置し、搬送ベルト8の外周面8aに当接する。このとき、吐出面2aと外周面8aとの間に形成される吐出空間R1が封止され、外部空間R2から隔離される。このときのキャップ2cの位置をキャップ位置と称す。キャップ2cは、記録時は、キャップ位置よりも上方の、吐出面2aよりも上方に先端が位置する記録位置に、保持されている。コントローラ100は、所定時間以上記録指令を受信しない場合等に、キャップ動作を行い、キャップ2cを記録位置からキャップ位置に移動させる。
【0098】
コントローラ100は、加湿動作を行う際、キャップ2cをキャップ位置に保持しつつ、加湿ポンプ93を駆動する。加湿ポンプ93の駆動に伴い、吐出空間R1の空気は、一方のジョイント91の開口91aから回収され、チューブ95、加湿ポンプ93、及びチューブ96を通って、タンク94の下部空間に流入する。そしてタンク94内の加湿液によって加湿された後、当該加湿空気は、タンク94の上部空間から排出され、チューブ97を通って、他方のジョイント91の開口91bから、吐出空間R1に戻される。図16中、黒塗りの矢印は加湿前の空気の流れを示し、白抜きの矢印は加湿後の空気の流れを示す。
【0099】
このような加湿動作によって、ヘッド2の吐出口内の粘度上昇が抑制され、吐出口内の詰まりを抑制することができる。また、予備吐出(パージやフラッシング)の頻度を低減させ、ブラックインクや前処理液の消費量を抑制することができる。
【0100】
加湿動作を行うタイミングは、例えば、キャップ2cが所定時間以上キャップ位置に保持されたとき、1日に1回程度であってよい。
【0101】
以上に述べたように、本実施形態のカートリッジ40は、ブラックインクを収容するリザーバ42B、前処理液を収容するリザーバ42P、及び、加湿液を収容するリザーバ42Hを含む。これにより、カートリッジ着脱に係る手間を軽減しつつ、3種類の液体をヘッド2に供給することができる。
【0102】
リザーバ42Bに収容されているブラックインクの量V1、リザーバ42Pに収容されている前処理液の量V2、及びリザーバ42Hに収容されている加湿液の量V3が、V1>V2>V3の関係にある。
用紙Pに画像を記録する際のブラックインクの消費量U1及び前処理液の消費量U2は、例えば、「U2=U1*(1/5〜1/10)」の関係にある。また、加湿動作が行われる際の加湿液の消費量U3は、例えば、「U3=U1*(1/20〜1/100)」(ブラックインクに水分を補給する場合)、「U3=U2*(1/20〜1/100)」(前処理液に水分を補給する場合)である。加湿液は、ヘッド2の吐出口において蒸発した水分を補給するための液体であり、通常、記録時に吐出口から吐出されるブラックインクや前処理液に比べ、消費量が極めて少ない。また、前処理液は、用紙Pの種類や、記録モード(カラーかモノクロか、写真か文書か等)によって、消費されない場合もあり得る。例えば、用紙Pが厚紙やコーティング用紙等の場合、記録モードが写真印刷モードの場合等に、前処理液を使用しないで記録が行われる場合があり得る。
本実施形態では、リザーバ42B,42P,42H内の液体の量V1〜V3を、上記のようなプリンタ1における個々の液体の消費量に鑑みた、効果的な関係としている。これにより、ブラックインクの残量がゼロになったときに前処理液や加湿液が大量に残っており、カートリッジ交換によって前処理液や加湿液が無駄に捨てられてしまうという問題を軽減することができる。即ち、液体の無駄な廃棄を抑制できることから、経済的で且つ地球環境にも優しい。
また、リザーバ42B,42P,42H内の液体の量V1〜V3が上記のような関係になく、前処理液や加湿液の量が無駄に多い場合、カートリッジ40のサイズが大型化してしまう。上記の構成によれば、当該問題をも抑制することができる。
【0103】
リザーバ42Bの容量C1、リザーバ42Pの容量C2、リザーバ42Hの容量C3は、C1>C2>C3の関係にある。これにより、リザーバ42B,42P,42Hのコンパクト化、ひいてはカートリッジ40のサイズのさらなる小型化が可能である。
【0104】
リザーバ42B,42P,42Hは、それぞれ、図4に示すように、排出管43を挟んで重ね合わせられ且つ周縁を互いに熱溶着等で接合された2枚のシートを有する袋である。この構成によっても、リザーバ42B,42P,42Hのコンパクト化、ひいてはカートリッジ40のサイズのさらなる小型化が可能である。
【0105】
リザーバ42B,42Pは、排出管43が取り付けられた辺と直交する2辺42Bs,42Psが内側に折り畳まれるように形成されている。これにより、リザーバ42B,42P,42Hのコンパクト化を実現しつつ、容量C1,C2を大きくすることができる。
【0106】
リザーバ42Hは、排出管43が取り付けられた辺と直交する2辺42Hsが内側に折り畳まれないように形成されている。これにより、リザーバ42B,42P,42Hのコンパクト化を実現しつつ、容量C3を小さくすることができる。
【0107】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0108】
液体カートリッジについて:
・第1液体は、カラーインクであってもよい。第1液体の色材とは、顔料、染料等をいう。
・第2液体は、第1液体に含まれる色材を凝集させる機能を有する限り、任意の液体であってよい。例えば、第2液体は、上述した前処理液に限定されず、画質を向上させるために記録後の記録媒体に吐出される等であってもよい。
・第3液体は、第1液体及び第2液体の一方のみに水分を補給するための液体であってもよい。
・第1ヘッドから吐出される第1液体の液滴のサイズ及び第2ヘッドから吐出される第2液体の液滴のサイズは、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。(例えば、第1ヘッドから吐出される第1液体の液滴のサイズは、1記録周期における液滴の吐出回数によって7,10,14pl(ピコリットル)の3種類のいずれかを選択でき、第2ヘッドから吐出される第2液体の液滴のサイズは5plの1種類であってよい。)
・各収容部の容量や各収容部が収容する液体の量は特に限定されない。
・各収容部は、上述の実施形態のようなシートを有する袋であることに限定されず、例えばシートよりも肉厚の板を有する箱であってもよい。
・各収容部の形状、配置態様等は、任意であり、例えば第1〜第3収容部の横断面が全て矩形状、楕円形、円形等であってもよい。また、第1〜第3収容部が一方向に並ぶように配置されてもよい。第1〜第3収容部が、互いに排出方向(各収容部から液体が排出される方向)が異なるように、配置されてもよい。・第1及び第2収容部と連通する排出口の中心が、それぞれ、第1及び第2収容部の中心に対して偏心していなくてもよい。
【0109】
液体吐出装置について:
・加湿手段の構成は任意に変更可能であり、例えばヘッド毎に加湿ポンプ及びタンクを設けてもよい。
・液体吐出装置は、ブラックインク及び3色のカラー(マゼンタ、シアン、イエロー)インクを吐出するヘッドを含む、カラーインクジェットプリンタであってもよい。
・液体吐出装置は、ライン式及びシリアル式のいずれでもよく、さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等の任意の液体吐出装置であってよい。
・記録媒体は、紙以外の任意の媒体(例えば布等)であってよい。
【0110】
その他、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、液体カートリッジや液体吐出装置の各部品を適宜変更してよく、また、別の部品を追加したり、一部の部品を省略したりしてよい。
【符号の説明】
【0111】
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
2 ヘッド(第1ヘッド,第2ヘッド)
2c キャップ(キャップ手段)
40 カートリッジ(液体カートリッジ)
42B リザーバ(第1収容部)
42P リザーバ(第2収容部)
42H (第3収容部)
43 排出管
48 ロック部
49 把持部
90 加湿機構(加湿手段)
100 コントローラ(キャップ手段,加湿手段)
C 空間(装着部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材を含む第1液体を収容する第1収容部と、
前記色材を凝集させる第2液体を収容する第2収容部と、
前記第1液体及び前記第2液体の少なくとも一方に水分を補給するための第3液体を収容する第3収容部と、
を備えたことを特徴とする、液体カートリッジ。
【請求項2】
前記第1収容部に収容されている前記第1液体の量V1、前記第2収容部に収容されている前記第2液体の量V2、及び前記第3収容部に収容されている前記第3液体の量V3が、V1>V2>V3の関係にあることを特徴とする、請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記第1収容部の容量C1、前記第2収容部の容量C2、前記第3収容部の容量C3が、C1>C2>C3の関係にあることを特徴とする、請求項2に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
前記第1、第2、及び第3収容部は、それぞれ、当該収容部に収容された液体を外部に排出するための排出管が取り付けられており、前記排出管を挟んで重ね合わせられ且つ周縁を互いに接合された2枚のシートを有する袋であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項5】
前記第1収容部及び前記第2収容部の少なくとも一方は、前記排出管が取り付けられた辺と直交する2辺が内側に折り畳まれるように形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の液体カートリッジ。
【請求項6】
前記第3収容部は、前記排出管が取り付けられた辺と直交する2辺が内側に折り畳まれないように形成されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の液体カートリッジ。
【請求項7】
前記第3液体は、前記第1液体及び前記第2液体の両方に水分を補給するための液体であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項8】
前記第1液体がブラックインクであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体カートリッジ。
【請求項9】
液体カートリッジと前記液体カートリッジが装着される装置本体とを含む液体吐出装置であって、
前記液体カートリッジは、
色材を含む第1液体を収容する第1収容部と、
前記色材を凝集させる第2液体を収容する第2収容部と、
前記第1液体及び前記第2液体の少なくとも一方に水分を補給するための第3液体を収容する第3収容部と、を備え、
前記装置本体は、
前記液体カートリッジが装着される装着部と、
前記装着部に装着された前記液体カートリッジの前記第1収容部から供給される前記第1液体を吐出する複数の第1吐出口を有する第1ヘッドと、
前記装着部に装着された前記液体カートリッジの前記第2収容部から供給される前記第2液体を吐出する複数の第2吐出口を有する第2ヘッドと、
前記複数の第1吐出口と対向する第1吐出空間及び前記複数の第2吐出口と対向する第2吐出空間の少なくとも一方を封止するキャップ手段と、
前記キャップ手段によって封止されている前記第1及び第2吐出空間の少なくとも一方を、前記装着部に装着された前記液体カートリッジの前記第3収容部から供給される前記第3液体を用いて、加湿する加湿手段と、
を備えたことを特徴とする、液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−78867(P2013−78867A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218728(P2011−218728)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】