説明

液体クロマトグラフの制御装置、液体クロマトグラフィの実行方法及び液体クロマトグラフの制御プログラム

【課題】溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率を予め得ておかなくても、適切な移動度Rf0となる溶離液条件でクロマトグラフィを実行することを可能とする。
【解決手段】複数の成分を第1、第2の特定混合比でそれぞれ含む溶離液を用いたときの試料の移動度Rfの第1、第2の実測値を薄層クロマトグラフを行って求める。求められた移動度Rfの第1、第2の実測値を、それぞれ第1、第2の特定混合比に関連付けて格納する(S2)。そして、格納された第1、第2の実測値に基づいて、移動度Rfと溶離液の混合比との一対一の関係を決定する(S3)。次に、決定された関係から、特定移動度Rf0に対する溶離液の混合比を算出する(S4)。しかる後、算出された混合比を有する溶離液をカラムに送液する(S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動相として液体溶媒(溶離液)を用いる液体クロマトグラフィに関し、より詳細には、液体クロマトグラフィを行う際の条件検討に関する。
【従来の技術】
【0002】
液体クロマトグラフィにおいては、カラム内に充填された固定相内に、複数の溶媒が混合された溶離液である移動相に溶解された試料が通過される。このとき、カラム内に導入された試料内の各成分は固定相との相互作用や移動相との親和性等により、それぞれカラムを通過する時間が異なるため、カラムから排出される時点では各成分が分離される。固定相との相互作用が強い、又は移動相との親和性の弱い物質がカラム中に長く留まり、カラムから遅く排出されることとなる。
【0003】
上記示した液体クロマトグラフィと同じ原理により行われる薄層クロマトグラフィ(TLC)がある。薄層クロマトグラフィでは、薄層とされたカラム内の固定相に用いられる物質に試料が1滴垂らされ、この薄層が移動層となる溶離液中に浸漬される。そして、毛管現象により溶離液が薄層に吸い上げられると共に試料が吸い上げられる作用により、試料の溶離液に対する移動度Rfを求めることができる。このようにして任意の溶媒比の溶離液で行われるTLCにて求められる移動度Rfが、液体クロマトグラフィの分離度Rsに相関性があることが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1の液体クロマトグラフィの制御装置は、溶離液の各成分の混合比と試料の移動度Rfとの関係が比例関係であること、及び、溶離液の各成分の混合比に対する試料の移動度Rfの変化率は、同じ溶離液種であれば、試料の種類が変わっても同じであるという知見に基づいてなされたもので、薄層クロマトグラフの分離において複数の成分を特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの実測値と、その溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率とに基づいて、特定移動度Rf0が得られる溶離液の混合比を求め、その結果に基づいて、試料の移動度Rfが特定移動度Rf0となるようにカラムに送液される溶離液の混合比を制御する。
【特許文献1】特開2003−240765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された液体クロマトグラフィの制御装置は、特定移動度Rf0が得られる溶離液の混合比を求めるために、複数の成分を特定混合比で含む溶離液を用いて薄層クロマトグラフの分離を行ったときの試料の移動度Rfの実測値に加えて、その溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率を予め得ておく必要がある。従って、液体クロマトグラフィの制御装置を提供する製造者は、ユーザが使用する全ての種類の溶離液に関して、それぞれの溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率を予め得ておかなければならず、非常に煩雑な作業を要することとなる。また、所定の溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率が当該制御装置に与えられているため、ユーザは、所定の溶離液とは異なる新たな溶離液を使用して液体クロマトグラフィを実行することは不可能である。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率を予め得ておかなくても、適切な移動度Rf0となる溶離液条件でクロマトグラフィを実行することができる液体クロマトグラフィの制御装置、液体クロマトグラフィの実行方法及び液体クロマトグラフィの制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の液体クロマトグラフィの制御装置は、薄層クロマトグラフィの分離において、複数の成分を第1の特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの第1の実測値、及び、前記複数の成分を前記第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの第2の実測値を、それぞれ前記第1の特定混合比、及び、前記第2の特定混合比に関連づけて記憶するための実測値記憶手段と、前記実測値記憶手段に記憶された、前記第1の特定混合比に対する移動度Rfの前記第1の実測値と、前記第2の特定混合比に対する移動度Rfの前記第2の実測値とに基づいて、特定移動度Rf0が得られる前記溶離液の混合比を求めるための混合比演算手段と、前記混合比演算手段での演算結果に基づいて、試料の移動度Rfが前記特定移動度Rf0となるようにカラムに送液される前記溶離液の混合比を制御する制御信号を出力するための混合比制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の液体クロマトグラフィの実行方法は、複数の成分を第1の特定混合比で含む溶離液を用いたときの試料の移動度Rfの第1の実測値を薄層クロマトグラフを行って求める第1の工程と前記複数の成分を前記第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比で含む溶離液を用いたときの試料の移動度Rfの第2の実測値を薄層クロマトグラフを行って求める第2の工程と、前記第1の工程で求められた移動度Rfの前記第1の実測値及び前記第1の実測値が求められた前記溶離液の前記第1の特定混合比と、前記第2の工程で求められた移動度Rfの前記第2の実測値及び前記第2の実測値が求められた前記溶離液の前記第2の特定混合比とに基づいて、特定移動度Rf0が得られる前記溶離液の混合比を求める第3の工程と、前記第3の工程で求められた前記特定移動度Rf0が得られる混合比を有する前記溶離液をカラムに送液する第4の工程とを備えていることを特徴としている。
【0009】
上記の構成によると、任意の第1の特定混合比における試料の移動度Rfと、第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比における試料の移動度Rfを、それぞれ薄層クロマトグラフィで求めておけば、所望の特定移動度Rf0での溶離液の混合比を知ることができる。そのため、溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率を予め得ておかなくても、薄層クロマトグラフィを2回行うことで、最適の分離度Rsが得られる適切な移動度Rf0となる溶離液条件でクロマトグラフィを実行することができる。従って、製造者は、ユーザが使用する全ての種類の溶離液に関して、それぞれの溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率を予め得ておかなくてもよいため、煩雑な作業が不要となる。また、ユーザは、薄層クロマトグラフィを2回行うことで、いかなる溶離液を使用したクロマトグラフィも実行可能である。
【0010】
また、請求項3に記載の液体クロマトグラフの制御プログラムは、コンピュータを請求項1のような液体クロマトグラフの制御装置として機能させることが可能なプログラムであり、請求項1と同様の作用効果を奏する。なお、請求項3に記載されているプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体やハードディスクなどの固定型記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適な実施の形態を、図1〜図7に基づいて以下に説明する。
【0012】
図1において、薄層クロマトグラフィ(TLC)に用いられるTLC装置1を示す。TLC装置1は、試料3が表面に1滴垂らされ吸着されたシリカゲル薄層板2と、容器5に貯留された溶離液4とを備えている。尚、試料3、シリカゲル薄層板2を形成するシリカゲル、及び溶離液4は、後述する液体クロマトグラフィに用いられるのと同等のものである。
【0013】
図3において、液体クロマトグラフ装置11を示す。液体クロマトグラフ装置11は、溶媒Aが貯留された容器12と、溶媒Bが貯留された容器13と、溶媒Aと溶媒Bとが連結された位置に設けられた電磁弁14と、溶離液4が貯留される混合器15と、ポンプ16と、インジェクター17と、カラム18と、検出器19と、フラクションコレクター20とが、この順に配置され経路が形成されている。そして、電磁弁14に液体クロマトグラフ制御装置21が接続されている。
【0014】
容器12には溶媒Aが、容器13には溶媒Bが貯留されている。尚、用いられる溶媒は2種類に限定されず、使用状態・目的に応じて数を増やしてもよい。一般に、溶媒A・溶媒Bには、非極性分子と極性分子との組合せで用いられる。
【0015】
ポンプ16は、液体クロマトグラフ装置11の回路において、容器15・電磁弁14を介して溶媒A・溶媒Bを汲み上げる。電磁弁14は、液体クロマトグラフ制御装置21からの制御信号により、汲み上げられる溶媒を溶媒A又は溶媒Bから選択する。電磁弁14での各溶媒の選択時間に応じて混合器15内での溶媒A、Bの混合比が決定される。混合器15は、汲み上げられた溶媒A及び溶媒Bが一旦貯留され、溶離液10とされる。この溶離液10は、後述するように、算出された混合比を有するものである。
【0016】
インジェクター17は、試料3を有しており、溶離液10が通過することで試料3が送出されるようになっている。この試料3は、図1における試料3と同じものである。尚、インジェクター17は1本に限定されず、選択的に経路を選ぶことができる並設された複数のインジェクターとし、複数の試料について連続的に作業を行うことも可能である。
【0017】
カラム18には固定相が充填されており、試料3を含んだ混合溶媒10が通過することで液体クロマトグラフが行われる。この固定相としては、図1におけるシリカゲル薄層板2を形成するシリカゲルが用いられている。尚、カラムは1本に限定されず、選択的に経路を選ぶことができる並設された複数のカラムとし、複数種類の液体クロマトグラフィを行うことも可能である。
【0018】
検知器19は、カラム18にて行われる液体クロマトグラフの結果の検出を行う。そして、フラクションコレクター20は、複数の試験管を有しており、検知器19の分析結果により、試料3に含まれる成分毎に各試験管に分取されるようになっている。
【0019】
また、液体クロマトグラフ制御装置21は、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどの情報処理装置によって構成されており、図4に示すように、混合比演算部22a及び混合比制御部22bを有するCPU22と、実測値記憶部25aを有するメモリ25と、ハードディスク26と、入出力部28とを備えている。入出力部28には、例えばキーボードやマウスなどから構成された入力部29と、液体クロマトグラフィの実行過程における様々な情報をオペレータに知らせるためのディスプレイ30と、CPUの混合比制御部22bからの指示に基づいて電磁弁14の開閉信号を送出する電磁弁操作部31とが接続されている。
【0020】
ハードディスク26には、一実施の形態による液体クロマトグラフの制御プログラムを含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、上述の各部22a、22b、25aが構築されている。なお、このプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体に記録しておくことにより、任意のコンピュータにインストールすることが可能である。
【0021】
実測値記憶部25aは、薄層クロマトグラフィの分離において複数の成分を第1の特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの実測値、及び、当該複数の成分を第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの実測値を、それぞれ第1の特定混合比、及び、第2の特定混合比に関連づけて記憶する。実測値記憶部25aに記憶すべきこれらのデータは、液体クロマトグラフ装置11を用いて液体クロマトグラフィを行う前に予め薄層クロマトグラフィを行って得られたものであって、オペレータによって入力部29から入力されてよい。
【0022】
混合比演算部22aは、実測値記憶部25aに記憶された、第1の特定混合比に対する移動度Rfの実測値と、第2の特定混合比に対する移動度Rfの実測値とに基づいて、特定移動度Rf0が得られる溶離液の混合比を求める。混合比演算部22aでの詳細な動作については後述する。
【0023】
混合比制御部22bは、混合比演算部22aでの演算結果に基づいて、試料の移動度Rfが特定移動度Rf0となるようにカラムに送液される溶離液の混合比を制御する制御信号を出力する。この制御信号は入出力部28から電磁弁操作部31に供給される。
【0024】
ディスプレイ30には、図5に示すように、グラフ51と、グラフ52と、グラジエント条件表53とが表示される。
【0025】
グラフ51は、混合器15からカラム18に供給される溶離液10の混合比(B/A+B)の時間変化を表したものであり、横軸が経過時間、縦軸が溶離液に含まれる溶媒Bの割合である。横軸には、時間巾54がW(wait)、G(gradient)、T(top)、FW(forward wash)、EQ(equilibration)の順に設定されている。グラフ52は、横軸が経過時間、縦軸が吸光度である。グラフ52は試料3の溶出曲線であり、試料3に含まれる成分がカラム18から排出されたときに成分の濃度に応じて突出した値を示す。グラジエント条件表53は、時間巾毎の、溶離液10に含まれる溶媒Aと溶媒Bとの混合比が表示されている。尚、時間巾Gにおいては、Wでの混合比を徐々にTでの混合比にまで直線的に増加させる。
【0026】
次に、本発明の液体クロマトグラフの実行方法の一実施の形態について説明する。
【0027】
(第1、第2の工程)まず、溶媒A・溶媒Bを第1の特定混合比で含む溶離液4を用いたときの試料3の移動度Rfの実測値、及び、溶媒A・溶媒Bを第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比で含む溶離液4を用いたときの試料3の移動度Rfの実測値を、オペレータが薄層クロマトグラフィ(TLC)を行って求める。
【0028】
TLCでは、まず、図2(a)に示すように、試料3が1滴垂らされた状態のシリカゲル薄層2が、図1に示すように溶離液4中に浸漬される。すると、毛管現象により混合溶液4がシリカゲル薄層2に吸い上げられてゆく。これに伴い、試料3も上方に移動する。溶離液4及び試料3の移動が終了すると、図2(b)に示すように、試料3は試料3´の位置に移動する。このとき、試料3の混合溶液4中に浸漬される前の位置から、溶離液4が上端まで上った距離を1.0として、その1.0に対する試料3´までの距離の比が移動度Rfとして求められる。
【0029】
(第3の工程)以下の工程は液体クロマトグラフ制御装置21において行われる。液体クロマトグラフ制御装置21のCPU22は、図6のステップS1において、第1、第2の工程のTLCで得られた移動度Rfの2つの実測値が入力部29から入力されたかどうかを繰り返して判断する。そして、移動度Rfの2つの実測値が入力された場合には(S1:YES)、ステップS2において、移動度Rfの各実測値と共に、その実測値が求められたときにおける混合溶液4の溶媒Aと溶媒Bとの混合比(特定混合比)をメモリ25の実測値記憶部25aに記憶する。
【0030】
次に、ステップS3において、混合比演算部22aは、実測値記憶部25aに記憶された、第1の特定混合比に対する移動度Rfの実測値と、第2の特定混合比に対する移動度Rfの実測値とに基づいて、溶離液の混合比と移動度Rfとの関係を一対一に定める。つまり、混合比を横軸に移動度Rfを縦軸にとったグラフである図7に示すように、実測値記憶部25aに記憶された、第1の特定混合比X1に対する移動度Rfの実測値Rf1、及び、第2の特定混合比X2に対する移動度Rfの実測値Rf2を用いて、座標(X1,Rf1)及び座標(X2,Rf2)を通過する直線63を、実際に移動度Rfと混合比との関係を表すものとする。
【0031】
さらに、ステップS4では、混合比演算部22aが、液体クロマトグラフ装置11で試料の分取を行う際に必要とされる特定移動度Rf0に対する混合比を、ステップS3で定められた一対一の関係に基づいて算出する。例えば、図5のグラフ51に示すようなグラジエント処理を行う場合、混合比演算部22aは、図7に示すように、時間巾「W」及び「T」のときの各特定移動度Rf0w、Rf0tに対する混合比Xw、Xtを直線63に基づいて求める。このようにして求められた混合比は、メモリ25内の所定領域に書き込まれ、図5のグラジエント条件表53に示すようにディスプレイ30に表示される。
【0032】
なお、ステップS4において、グラフ51に示す溶離液10の混合比の時間変化がさらに算出されてもよい。
【0033】
(第4の工程)ステップS5において、混合比制御部22bは、ステップS4で求められた混合比を有する溶離液10が所定時間だけカラム18に送液されるような制御信号を電磁弁操作部31に順次出力する。電磁弁操作部31はこの制御信号に基づいて電磁弁14を開閉させる信号を電磁弁14に供給する。これにより、カラム18内での試料の移動度Rfを、確実に特定移動度Rf0又はその近傍とすることができるので、良好な試料の分離を行わせることができる。
【0034】
以上説明した本実施の形態によると、任意の第1の特定混合比における試料の移動度Rfと、第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比を、それぞれ薄層クロマトグラフィで求めておけば、所望の特定移動度Rf0での溶離液の混合比を知ることができる。そのため、溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率を予め得ておかなくても、薄層クロマトグラフィを2回行うことで、適切な移動度Rf0となる溶離液条件でクロマトグラフィを実行することができる。従って、製造者は、溶離液における各成分の混合比の変化に対する試料の移動度Rfの変化率を予め得ておかなくてもよいため、多種の溶離液での変化率を求めるという煩雑な作業が不要となる。また、ユーザは、薄層クロマトグラフィを2回行うことで、いかなる溶離液を使用したクロマトグラフィも実行可能である。
【0035】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、液体クロマトグラフ装置11の具体的な構成は様々な形態に変更することができる。また、液体クロマトグラフ制御装置21のハードウェア構成は任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】TLCを行う装置を示す斜視図である。
【図2】TLCを行う際のシリカゲル薄層板の模式図であり、(a)はTLC前、(b)はTLC後をそれぞれ示している。
【図3】本発明が適用される液体クロマトグラフ装置を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施の形態による液体クロマトグラフ制御装置のブロック図である。
【図5】図4に示す液体クロマトグラフ制御装置のディスプレイへの表示例を描いた図面である。
【図6】本発明の一実施の形態による液体クロマトグラフの実行方法のフローチャートである。
【図7】混合比を横軸に、移動度Rfを縦軸にとったグラフである。
【符号の説明】
【0037】
1 TLC装置
2 シリカゲル薄層板
3 試料
4 溶離液
5 容器
11 液体クロマトグラフ装置
12、13 容器
14 電磁弁
15 混合器
16 ポンプ
17 インジェクター
18 カラム
20 フラクションコレクター
21 液体クロマトグラフ制御装置
22 CPU
22a 混合比演算部(混合比演算手段)
22b 混合比制御部(混合比制御手段)
25 メモリ
25a 実測値記憶部(実測値記憶手段)
26 ハードディスク
28 入出力部
29 入力部
30 ディスプレイ
31 電磁弁操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄層クロマトグラフィの分離において、複数の成分を第1の特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの第1の実測値、及び、前記複数の成分を前記第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの第2の実測値を、それぞれ前記第1の特定混合比、及び、前記第2の特定混合比に関連づけて記憶するための実測値記憶手段と、
前記実測値記憶手段に記憶された、前記第1の特定混合比に対する移動度Rfの前記第1の実測値と、前記第2の特定混合比に対する移動度Rfの前記第2の実測値とに基づいて、特定移動度Rf0が得られる前記溶離液の混合比を求めるための混合比演算手段と、
前記混合比演算手段での演算結果に基づいて、試料の移動度Rfが前記特定移動度Rf0となるようにカラムに送液される前記溶離液の混合比を制御する制御信号を出力するための混合比制御手段とを備えていることを特徴とする液体クロマトグラフの制御装置。
【請求項2】
複数の成分を第1の特定混合比で含む溶離液を用いたときの試料の移動度Rfの第1の実測値を薄層クロマトグラフを行って求める第1の工程と
前記複数の成分を前記第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比で含む溶離液を用いたときの試料の移動度Rfの第2の実測値を薄層クロマトグラフを行って求める第2の工程と、
前記第1の工程で求められた移動度Rfの前記第1の実測値及び前記第1の実測値が求められた前記溶離液の前記第1の特定混合比と、前記第2の工程で求められた移動度Rfの前記第2の実測値及び前記第2の実測値が求められた前記溶離液の前記第2の特定混合比とに基づいて、特定移動度Rf0が得られる前記溶離液の混合比を求める第3の工程と、
前記第3の工程で求められた前記特定移動度Rf0が得られる混合比を有する前記溶離液をカラムに送液する第4の工程とを備えていることを特徴とする液体クロマトグラフィの実行方法。
【請求項3】
薄層クロマトグラフィの分離において、複数の成分を第1の特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの第1の実測値、及び、前記複数の成分を前記第1の特定混合比とは異なる第2の特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの第2の実測値を、それぞれ前記第1の特定混合比、及び、前記第2の特定混合比に関連づけて記憶するための実測値記憶手段、
前記実測値記憶手段に記憶された、前記第1の特定混合比に対する移動度Rfの前記第1の実測値と、前記第2の特定混合比に対する移動度Rfの前記第2の実測値とに基づいて、特定移動度Rf0が得られる前記溶離液の混合比を求めるための混合比演算手段、及び、
前記混合比演算手段での演算結果に基づいて、試料の移動度Rfが前記特定移動度Rf0となるようにカラムに送液される前記溶離液の混合比を制御する制御信号を出力するための混合比制御手段としてコンピュータを機能させるための液体クロマトグラフの制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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