説明

液体クロマトグラフィ用の微細加工されたフリットおよび流れ分配デバイス

【課題】液体クロマトグラフィ用の微細加工されたフリットおよび流れ分配デバイスの性能向上を図ること。
【解決手段】厚さを有する基板と、厚さを貫通して基板を流体連通させる穴とを有し、クロマトグラフィカラムで使用するための微細加工されたフリットを提供する。基板と、基板を貫通する穴と、穴と流体連通するチャネルとを有し、クロマトグラフィカラムで使用するための微細加工された流れ分配器を提供する。管と、その中に収容される抽出媒体と、管の端部付近に位置付けられている微細加工されたフリットとを有するクロマトグラフィカラムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、液体クロマトグラフィ用のフリットおよび流れ分配デバイス、ならびにクロマトグラフィカラムおよびそれを組み込んだシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィは、広く使用されている分離技術である。液体クロマトグラフィでは、液体試料がクロマトグラフィ系のカラムを通過し、より具体的には、カラム内に収容されたパッキングまたは抽出媒体を通過する。例えば、溶媒等の液体がカラムを通過し、分析される試料がカラムの中に注入される。試料が液体とともにカラムを通過するにつれて、それぞれが抽出媒体に対する固有の親和性を有する、試料の中の異なる化合物が、異なる速度でカラムを通って移動する。抽出媒体に対してより大きい親和性を有する化合物は、より小さい親和性を有するものよりもゆっくりとカラム中を移動し、その結果、化合物は、カラムを通過するにつれて互いに分離する。従来、抽出媒体を収容する一方で、液体および試料がカラムを通過することが出来る間は、フリットがカラム内に位置付けられている。そのようなフリットは、従来、焼結金属で形成され、様々な不定サイズの細孔を有する多孔質フリットをもたらす。最近の技術開発により、より小さい粒子が抽出媒体で使用されるようになった。
【0003】
標準的な焼結フリットには、2つの問題がある。第1に、フリットの多孔性質のため、分析される試料は、フリット内の増加した表面積に露出され、試料とフリットとの間に増加した相互作用がもたらされる可能性があり、これは望ましくない。加えて、抽出媒体の中の粒子のサイズが減少するにつれて、フリットのより大きい孔の中に詰まるか、包埋される場合があり、フリットを通る流体流れに影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
クロマトグラフィ系では、クロマトグラフィカラムを通る試料の流れの制御を助けるために、流れ分配チャンバがしばしば使用される。従来、これらは、入口毛細管と入口側フリットとの間、および出口側フリットと出口毛細管との間に位置付けられる、円錐形のチャンバであった。そのようなチャンバは、フリットにいかなる機械的な強度または支持も提供せず、したがって、フリットが流体流れの全ての力を受ける。これらのチャンバは、概して、流れ分配に効果的であるかもしれないが、フリット全体にわたって(例えば、入口端での)流体流れを均一に分配すること、または分析のために出口端で流体流れを均一に集中させることに関して、改善の余地があり得る。クロマトグラフィカラムを出る流体流れは、均一に集中していなければ、試料の溶出ピークが乱されて、精度の低い液体試料の分析をもたらす。
【0005】
したがって、減少したサイズの媒体粒子の抽出を効果的に阻止することができる、クロマトグラフィカラムで使用するための、フリットおよび/または流れ分配デバイスのための技術が必要である。また、カラムを通る流体流れの圧力に耐え得る、フリットおよび/または流れ分配デバイスのための技術も必要である。加えて、試料がフリットおよび/または流れ分配器を通過する時に晒される表面積を低減する、フリットおよび/または流れ分配デバイスも必要である。最後に、カラムを通る流体のより均一な流れを維持し、したがって、分析物がクロマトグラフィカラムを出る時にその溶出ピークの乱れを最小限に抑える、フリットおよび/または流れ分配デバイスのための技術が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
種々の実施形態によれば、クロマトグラフィカラムで使用するための、微細加工されたフリットが提供される。フリットは、第1の面と、対向して配置される第2の面と、厚さとを有する基板を備えることができる。基板は、厚さを通って延在する、複数の孔を画定することができ、孔のそれぞれは、第1の面上に位置付けられる第1の端部と、第2の面上に位置付けられる対向する第2の端部とを有する。孔のそれぞれについて、第1の端部は、第2の端部と整合させることができる。孔は、基板を通る流体連通を提供することができる。
【0007】
種々の他の実施形態では、クロマトグラフィカラムで使用するための微細加工された流れ分配器が提供される。流れ分配器は、第1の面と、対向して配置される第2の面とを有する、それぞれの基板を備えることができる。流れ分配器は、基板の中に位置付けられ、かつそれを通って延在する、複数の孔をさらに備え、各孔は、第1の端部と、対向する第2の端部とを有する。各孔の第2の端部は、第2の面上に位置付けることができる。流れ分配器はまた、第1の面の中に画定される複数のチャネルを備え、チャネルのそれぞれは、少なくとも1つの孔の第1の端部と流体連通している。さらなる実施形態によれば、流れ分配器は、第1の面の中に位置付けられる空洞を有することができ、各チャネルは、空洞と、少なくとも1つの孔のそれぞれの第1の端部との間に延在して、それらの間で流体連通を提供することができる。
【0008】
さらに他の実施形態では、クロマトグラフィカラムで使用するための微細加工された一体型フリットおよび流れ分配器デバイスが提供される。デバイスは、第1の面と、第1の面に対向して配置される第2の面と、第2の面から離間される第3の面とを有する、基板を備えることができる。基板は、第1および第2の面の間に厚さを有することができ、かつ厚さを通って延在する複数の孔を画定することができる。各孔は、第1の面上に位置付けられる第1の端部と、第2の面上に位置付けられる第2の端部とを有することができる。一実施形態では、各孔について、第1の端部は、第2の端部と整合される。孔は、基板を通る流体連通を提供することができる。デバイスはまた、第3の面の中に画定される複数のチャネルを備えることができ、各チャネルは、複数の孔のうちの少なくとも1つと流体連通している。
【0009】
さらに他の実施形態によれば、管と、抽出媒体と、少なくとも1つの微細加工されたフリットとを備える、クロマトグラフィカラムが提供される。管は、入口端と、対向する出口端とを有する。抽出媒体は、管内に収容され、かつ平均寸法を有する粒子を備える。少なくとも1つのフリットは、管の入口端および出口端のうちの1つに近接して位置付けることができる。種々の実施形態によれば、フリットは、第1の基板と、対向して配置される第2の面と、厚さとを有する、第1の面を備えることができる。第1の基板は、厚さを通って延在する、複数の第1の孔を画定することができる。第1の孔のそれぞれは、第1の面上に位置付けられる第1の端部と、第2の面上に位置付けられる対向する第2の端部とを有することができる。各孔について、第1の端部は、第2の端部と整合させることができる。孔は、基板を通る流体連通を提供することができる。
【0010】
さらなる実施形態によれば、クロマトグラフィカラムは、管のフリットとそれぞれの入口端または出口端との間に位置付けられる、少なくとも1つの微細加工された流れ分配器をさらに備えることができる。流れ分配器は、第1の面と、対向して配置される第2の面とを有する、第2の基板を備えることができる。流れ分配器は、第2の基板の中に位置付けられ、かつそれを通って延在する、複数の第2の孔を備えることができ、第2の孔のそれぞれは、第1の端部と、第2の基板の第2の面上に位置付けられる対向する第2の端部とを有する。流れ分配器はまた、第2の基板の第1の面の中に画定される、複数のチャネルを備えることができ、各チャネルは、第2の孔のうちの少なくとも1つの第1の端部と流体連通している。一実施形態では、少なくとも1つのフリットの第1の孔のそれぞれは、少なくとも1つの流れ分配器の第2の孔のうちの少なくとも1つと流体連通している。
【0011】
本発明のさらなる利点は、以下の説明に部分的記載され、その説明から部分的に明らかになり、または本発明の実践によって学習することができる。利点は、添付の特許請求の範囲に特に示される要素および組み合わせによって実現され、そして達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、どちらも例示および説明だけのものであり、特許請求されている本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の複数の実施形態を例証し、記述とともに本発明の原理を説明する役目をする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】一実施形態による、例示的なフリットの平面図である。
【図1B】図1Aの線1B−1Bに沿った、図1Aのフリットの断面図である。
【図1C】図1Aの円1Cで示される拡大尺の図1Aのフリットの部分平面図である。
【図2A】別の実施形態による、例示的なフリットの平面図である。
【図2B】図2Aのフリットの底部平面図である。
【図2C】図2Aの線2C−2Cに沿った、図2Aのフリットの断面図である。
【図3A】さらに別の実施形態による、例示的なフリットの平面図である。
【図3B】図3Aの線3B−3Bに沿った、図3Aのフリットの断面図である。
【図4A】一実施形態による、例示的な流れ分配器の平面図である。
【図4B】図4Aの線4B−4Bに沿った、図4Aの流れ分配器の断面図である。
【図5】図4Aの流れ分配器を通る例示的な流体流れ経路を例証する図である。
【図6A】一実施形態による、例示的な層状流れ分配デバイスの隠線平面図である。
【図6B】図6Aの流れ分配器の第1の層の平面図である。
【図6C】図6Bの線6C−6Cに沿った、図6Bの第1の層の断面図である。
【図6D】図6Aの流れ分配器の第2の層の平面図である。
【図6E】図6Dの第2の層の底部平面図である。
【図6F】図6Dおよび6Eの線6F−6Fに沿った、図6D〜6Eの第2の層の断面図である。
【図6G】図6Aの流れ分配器の第3の層の平面図である。
【図6H】図6Gの第3の層の底部平面図である。
【図6I】図6Gおよび6Hの線6I−6Iに沿った、図6G−6Hの第3の層の断面図である。
【図7A】一実施形態による、例示的なフリットおよび流れ分配器一体型デバイスの平面図である。
【図7B】図7Aの線7B−7Bに沿った、図7Aのデバイスの断面図である。
【図8A】別の実施形態による、例示的なフリットおよび流れ分配器一体型デバイスの平面図である。
【図8B】図8Aの線8B−8Bに沿った、図8Aのデバイスの断面図である。
【図9A】一実施形態による、クロマトグラフィカラムの断面図である。
【図9B】図9Aの円9Bで示される拡大尺の図9Aのクロマトグラフィカラムの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の詳細な説明、実施例、図面、および請求項、ならびにそれらの前後の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本デバイス、システム、および/または方法が開示され、説明される前に、本発明は、当然ながら、開示される特定のデバイス、システム、および/または方法が様々であり得るので、特に明記されていない限り、それらに限定されないことが理解される。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することは意図していないことが理解される。
【0015】
本明細書および添付の特許請求において使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「孔(a hole)」に対する参照は、文脈が指示しない限り、そのような2つ以上の孔を含むことができる。
範囲は、本明細書において、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現することができる。そのような範囲が表現されている場合、別の実施形態は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用することによって、値が近似値として表現される時に、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。範囲のそれぞれの端点は、他方の端点に関する場合、および他方の端点とは無関係な場合、の双方において有意であることがさらに理解されるであろう。
【0016】
本明細書で使用される場合、「随意の(optional)」または「随意に(optionally)」という用語は、続いて記載される事象または状況が、生じても生じなくてもよいこと、およびその説明が、該事象または状況が生じる場合、および生じない場合を含むことを意味する。
以下、本発明の好適な実施形態を詳細に参照して、それらの実施例を添付図面で例証する。可能な限り、図面全体を通して、同じまたは類似の部品を指すように同じ参照番号が使用される。
【0017】
種々の実施形態によれば、本明細書には、クロマトグラフィカラムで使用するための微細加工されたフリットが開示される。例示的なフリット120を図1A〜1Bに示す。他の例示的なフリット(220および320)は、それぞれ、図2A〜2Cおよび3A〜3Bに示される。例示的なフリットは、図1B等に示されるように、第1の面124と、対向して配置される第2の面126とを有する、基板122を備えることができる。図1Bおよび2Cに示されるように、第1の面124は、(ページ上で見た時に)基板の最上面とすることができ、第2の面126は、基板の最下面とすることができる。随意に、第1および第2の面の一方または両方は、基板の最上位または最下面からある距離で位置する面とすることができる。例えば、図3Bに示されるように、第1の面324は、基板122の最上面と第2の面126との間に位置付けられる。本明細書で使用される場合、頂部、底部、上部、下部という用語は、そのように説明されない限り、説明されている特定の構成要素の配向、または当該の構成要素が使用されるべき配向に限定することを意図していない。したがって、図1Bに示される基板122の最上面は、基板を逆に反転させた場合、同様に最下面を表すことができる。
【0018】
基板122は、少なくとも1つの厚さ128を有する。厚さは、図1Bおよび2Cに示されるように、基板の総厚さとすることができ、第1の面124と第2の面126との間に延在することができる。随意に、厚さ328は、図3Bに示されるように、基板の総厚さの一部を表すことができ、陥凹状の第1の面324と第2の面126との間に延在することができる。基板は、それぞれの厚さを通って延在する、複数の孔130をさらに画定することができる。孔のそれぞれは、第1の面上に位置付けられる第1の端部と、第2の面上に位置付けられる対向する第2の端部とを有することができる。例えば、図1Bおよび2Cに示されるように、各孔130は、第1の面124上に位置付けられる第1の端部132と、第2の面126上に位置付けられる対向する第2の端部134とを有する。同様に、図3Bに示されるように、各孔130は、第1の面324上に位置付けられる第1の端部132と、第2の面126上に位置付けられる対向する第2の端部134とを有する。各孔の第1および第2の端部は、一実施形態では、互いに整合される。孔は、基板を通る流体連通を提供する。さらなる一実施態様では、孔130は、アレイ状に配置することができる。アレイは、図1A、2A、および3A等に示されるように、列のアレイとすることができる。随意に、アレイは、列のアレイ、行および列のアレイ、同心円のアレイ、または任意の他の規則的な規定のパターンとすることができる。さらに別の実施形態では、孔は、ランダムな位置に、またはランダムなパターンで配置することができる。
【0019】
1つの例示的なフリット230では、図2A〜2Cに示されるように、フリットは、第1の面124の中に形成される、複数の第1のスロット136を備えることができる。第1のスロットは、互いに実質的に平行にすることができる。フリットはまた、第2の面126の中に形成される、複数の第2のスロット138を備えることができる。第2のスロットは、互いに実質的に平行にすることができ、複数の第1のスロットに対して直角に配向することができる。例えば、図2Aに示されるように、第2の溝は、第1の溝に対して角度αで配向することができる。角度αは、一実施形態では、約90°とすることができる。随意に、角度αは、約75°、約80°、約85°、またはいくつかの他の角度等の、90°以外の角度とすることができるが、これらに限定されない。図2A〜2Cで分かるように、第1の溝は、第2の溝と交差し、それによって、複数の孔130を形成する。図2Cに示されるように、第1の溝136および第2の溝138は、それぞれ、基板のほぼ中間まで延在することができ、したがって、第1の溝および第2の溝は、それぞれ、基板の厚さのほぼ半分の深さを有する。随意に、第1および/または第2の溝は、基板の厚さの半分を超える、またはそれ未満の深さを有することができ、したがって、基板の中間以外の位置で交差させることができる。他の実施形態では、溝は、約1μmから約20μmの幅とすることができる。随意に、溝は、約1μmから約10μmの幅、または約1μmから約5μmの幅とすることができる。さらに他の実施形態では、溝は、約1μmから約2.5μmの幅とすることができる。
【0020】
別の例示的なフリット320を図3A〜3Bに示す。この実施形態では、基板122は、第1の面324上に位置付けられる、支持格子140をさらに備える。前述のように、この実施形態では、第1の面324は、基板122の最上面からある距離で位置付けられ、複数の孔130は、第1の面324上に位置付けられる第1の端部132と、第2の面126上に位置付けられる第2の端部134とを有する。支持格子140は、複数の開口部142を画定する。図3Aおよび3Bで分かるように、各開口部は、孔130のうちの少なくとも1つと流体連通する。図3Bに示される開口部142は、ほぼ六角形状であるように示されているが、他の実施形態の支持格子で画定される例示的な開口部は、これらに限定されないが、円形、楕円形、長方形、正方形、他の形状、または形状の組み合わせ等の任意の形状とすることができることが想定される。特定の実施形態によれば、開口部は、支持格子140で覆われる領域を最小限に抑え、それによって、可能な限り多くの孔130との流体流れを可能にする、任意の形状で形成できることが想定される。さらに、図3Bでは、開口部142は、基板322のほぼ中間まで延在しているように示され、孔130は、同様に、基板のほぼ中間まで延在しているように示されている。しかしながら、孔が画定される厚さ328が、それぞれ、基板の総厚さの半分未満、またはそれを超える等の場合に、開口部は、基板の中間を超えて、または超えずに延在させることができることが想定される。
【0021】
種々の実施形態によれば、各孔130は、本明細書で説明するように、フリットが使用されるクロマトグラフィカラム内に収容される抽出媒体の粒子のサイズに応じて選択される、それぞれの横断寸法を有することができる(本明細書で以下にさらに説明する)。一実施例では、各孔は、約1μmから約10μmのそれぞれの横断寸法を有することができる。随意に、各孔は、約1μmから約5μmのそれぞれの横断寸法を有することができる。さらに別の実施形態では、各孔は、約1μmから約2.5μmのそれぞれの横断寸法を有することができる。さらに他の実施形態によれば、各孔は、1μm未満の、または10μmを超えるそれぞれの横断寸法を有することができる。例えば、図1Aおよび3Aに示される各孔130は、実質的に円形の断面形状を有し、前述の例示的な横断寸法の直径を有することができる。随意に、図2Aに示されるように、各孔は、正方形または長方形の断面形状を有することができ、それぞれ、前述の例示的な横断寸法の幅および/または長さを有することができる。したがって、前述した寸法は、あらゆる形状の孔に適用されることが意図される。いくつかの実施形態によれば、各孔のサイズおよび/または形状は、予め画定することができ、フリットが作製される方法によって制御することができる(本明細書で以下にさらに説明する)。
【0022】
本明細書で説明するように、例示的なフリットは、それらが使用されるクロマトグラフィカラムに応じて、種々の寸法を有することができる。特定の実施形態によれば、フリットの直径は、フリットが使用されるクロマトグラフィカラムの管の内径に実質的に等しいか、それよりもわずかに小さい。同様に、フリットの厚さ(例えば、図1Bおよび2Cで示される第1の面124と第2の面126との間の厚さ、または図3Bで示される第1の面324と第2の面126と間の厚さ)は、フリットがカラム内に抽出媒体を収容するのに十分であり(下記でさらに説明する)、かつフリットを通る流体流れの圧力に耐えるのに十分である、任意の選択された厚さとすることができ、下記で論じられる寸法に限定されない。特定の実施形態では、そこを通って孔が延在するフリットの厚さに対する孔130の横断寸法の比は、約1:5から約1:20とすることができる。他の実施形態によれば、フリットの厚さは、約5μmから約500μmとすることができる。さらに他の実施形態では、フリットの厚さは、約10μmから約100μmとすることができる。随意に、フリットの厚さは、約10〜90μm、または約10〜80μm、または約10〜70μm、または約10〜60μm、または約10〜50μm、または約10〜40μm、または約10〜30μm、または約10〜20μm、または約15μmとすることができる。前述のように、この厚さは、フリットの総厚さ、または部分厚さであってもよい。
【0023】
種々の実施形態によれば、クロマトグラフィカラム用の流れ分配器が開示される。例示的な流れ分配器450を図4Aおよび4Bに示す。流れ分配器450は、第1の面454と、対向して配置される第2の面456とを有する、基板452を備える。流れ分配器はまた、基板452の中に位置付けられ、かつそれを通って延在する、複数の孔460を有する。各孔460は、第1の端部462と、第2の面456上に位置付けられる第2の端部464とを有する。流れ分配器はまた、第1の面454の中に画定される、複数のチャネル466を有する。各チャネルは、孔のうちの少なくとも1つの第1の端部と流体連通することができる。さらなる実施形態では、流れ分配器450は、第1の面454の中に位置付けられる、空洞458を有することができる。この実施形態では、各チャネル466は、空洞458と孔460のうちの少なくとも1つの第1の端部462との間に延在することができ、空洞と少なくとも1つの孔との間の流体連通を提供することができる。例えば、図4Aに示されるように、チャネルのうちのいくつかは、遠位端でサブチャネルに分岐することができ、したがって、1つを超える孔460と流体連通することができる。
【0024】
図5は、図4Aに示されるもの等の流れ分配器を通る流体の例示的な流れを例証する。見て分かるように、流体は、空洞の中に流れ(流体468aによって表される)、各チャネルを通って(流体468bによって表される)、そして各孔を通って(流体468cによって表される)流れることができる。各チャネル466は、所定の長さを有する。いくつかの実施形態によれば、図4Aに示されるように、チャネルの所定の長さは異なっていてもよい。
【0025】
特定の一実施形態では、複数のチャネルの所定の長さは、互いに実質的に等しい。したがって、理解できるように、任意の経路を通る流れ分配器による流体の流れは、実質的に等しい。「実質的に等しい」という用語は、互いに全く等しい経路を指すことを意味するものではなく、互いの長さが最高で10%異なる経路を包含することができる。そのような例示的実施形態は、例示的な流れ分配器550の隠れ線図を示す、図6Aで確認することができる。この特定の流れ分配器550は、3つの層で作製され、各層は、空洞、チャネル、および孔(流れ分配器450に関して前述したもの等)のうちの少なくとも1つを有する。層は、流れ分配器550を通る流体流れ経路を画定するように、互いの頂部に積み重ねられて、および/または互いに接合もしくは接着される。第1の層は、図6Bに示され、第1の基板552aを備え、図6Cに示されるように第1の基板552aを通って延在する空洞558aを画定する(したがって、第1の基板の底面図は、図6Bに示される上面図と同じように見える)。
【0026】
第2の(または中央)層は、図6D〜6Fに示され、第2の基板552bを備える。第2の層は、空洞558bを有し、流れ分配器550を形成するために層を積み重ねた、または接合した時に、第1の層の空洞558aと流体連通している。複数の孔560aは、図6Fに示されるように、基板552bの中に位置付けられ、かつそれを通って延在する。複数のチャネル566aは、図6Dおよび6Fに示されるように、第2の層の頂面の中に画定され、かつ第2の層の空洞558bとそれぞれの孔560aとの間に延在して流体連通を提供する。複数のチャネル566bは、図6Eおよび6Fに示されるように、第2の層の底面に形成され、孔560aの底端部間の流体連通を提供する。
【0027】
第3の層は、図6G〜6Iに示され、第3の基板552cを備える。第3の層は、図6Gおよび6Iに示されるように、第3の層の頂面に形成される、複数のチャネル566cを有する。第3の層の中のチャネル566cの少なくとも一部分は、流れ分配器550を形成するために層を積み重ねた、または接合した時に、第2の層の底面に形成されるチャネル566bと流体連通している。複数の孔560bは、図6Iに示されるように、基板552cの中に位置付けられ、かつそれを通って延在する。第3の層の底面には、図6Hに示されるように、それぞれの複数の孔560bとそれぞれ流体連通している、複数のチャネル566dが形成される。したがって、流体は、第1の層から第3の層、またはその逆のいずれかで、流れ分配器550を通して流れるので、流体内の各粒子は、流体内の任意の他の粒子と実質的に等しい距離(すなわち、10%以内)進行することが想定される。
【0028】
本明細書で説明される種々の流れ分配器に関して、種々の構成要素の寸法(例えば、空洞の直径、チャネルの幅および/または深さ、孔の直径および深さ、および/または基板の総厚さ)は、流れ分配器が使用されるクロマトグラフィカラムの直径、どのくらいの流体がカラムを通過するのか、および考慮している流れ分配器全体にわたる流体の許容可能な圧力降下に応じて変化させることができる。特定の一実施形態では、標準的な直径4.6mmのクロマトグラフィカラムについて、流れ分配器の総直径は、約7.32mmの直径とすることができ、約100μmの総厚さを有することができる。チャネルは、約20〜24μmの幅、および約10〜15μmの深さとすることができる。したがって、孔の長さまたは深さは、約85〜90μmとすることができる。孔は、約50〜60μmの直径とすることができる。これらの寸法は、例示的なものに過ぎず、限定することは意図していない。
【0029】
さらに他の実施形態によれば、図7Aおよび7Bに示されるような、クロマトグラフィカラムで使用するためのフリットおよび流れ分配器一体型デバイス680が提供される。別の例示的なフリットおよび流れ分配器一体型デバイス780を図8Aおよび8Bに示す。フリットおよび流れ分配器一体型デバイス(680または780)は、第1の面684と、第1の面684に対向して配置される第2の面685と、第2の面685から離間される第3の面686とを有する、基板682を備える。図7Bで分かるように、基板682は、第1の面684と第2の面685との間に厚さ688を有する。明らかなように、厚さ688は、基板の総厚さ未満である。一実施形態では、厚さは、デバイスがカラム内に抽出媒体を収容するのに十分であり(下記でさらに説明する)、かつデバイスを通る流体流れの圧力に耐えるのに十分である、任意の選択された厚さとすることができる。特定の実施形態によれば、厚さは、約5μmから約500μmとすることができる。随意に、厚さは、約10μmから約100μmとすることができる。他の実施形態では、厚さは、約10〜90μm、または約10〜80μm、または約10〜70μm、または約10〜60μm、または約10〜50μm、または約10〜40μm、または約10〜30μm、または約10〜20μm、または約15μmとすることができる。
【0030】
基板682は、厚さ688を通って延在する複数の孔630を画定する。各孔630は、第1の面684上に位置付けられる第1の端部632と、第2の面685上に位置付けられる第2の端部634とを有する。一実施形態では、各孔について、第1の端部は、第2の端部と整合され、孔630は、基板682を通る流体連通を提供する。フリットおよび流れ分配器一体型デバイスはまた、図7Aのチャネル666または図8Aのチャネル766等の、第3の面の中に画定される複数のチャネルを備える。各チャネルは、複数の孔630のうちの少なくとも1つと流体連通している。さらなる実施形態では、デバイスは、第3の面686の中に位置付けられる空洞658を備えることができ、各チャネルは、空洞658および複数の孔630のうちの少なくとも1つと流体連通することができる。
【0031】
種々の実施形態では、デバイスは、第2の面685と第3の面686との間に延在する、支持格子(図7Aの640、図8Aの740)を備える。支持格子は、図7A〜8Bに示されるような、複数の開口部(642または742)を画定する。図7Aおよび7Bを参照すると、例えば、各開口部642は、各チャネル666と少なくとも1つの孔630との間の流体連通を提供する。したがって、図7Aおよび7Bに示されるように、各開口部642は、チャネル666と複数の孔630との間の流体連通を提供する。同様に、図8Aおよび8Bを参照すると、各開口部742は、各チャネル766と少なくとも1つの孔630との間の流体連通を提供する。
【0032】
一実施形態では、各チャネル666は、所定の長さを有する。さらなる実施形態では、図7Aおよび7Bに示されるチャネル666または図8Aおよび8Bに示されるチャネル766等の、複数のチャネルの所定の長さは、互いに実質的に等しい。一実施形態では、チャネルの全てが実質的に等しい長さを有する場合、流れ分配器を通って進行する各流体粒子が実質的に同じ距離を進行しなければならないので、流れ分配器を通る流体流れを比較的一定に保つことができる。
【0033】
種々の実施形態によれば、フリットおよび流れ分配器一体型デバイスは、個々のフリット(図1A〜3Bに関して説明したもの)を、個々の流れ分配器(図4A〜6Iに関して説明したもの)と互いに積み重ねる、および/または接着もしくは接合することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、フリットおよび/または流れ分配器の中の孔の配置等の、フリットおよび流れ分配器の個々の構成要素または特徴は、協働するように設計されなければならない。
【0034】
本明細書で以下にさらに説明するように、例示的なフリット、例示的な流れ分配器、例示的なフリットおよび流れ分配器一体型デバイスは、流体を任意の方向に通すように構成できることが想定される。したがって、「流れ分配器」という用語は、流れを集中させる実施形態も包含することを意図している。したがって、図8Aおよび8Bを参照すると、例えば、デバイス780を通る流体の流れは、空洞658に入り、各チャネル766を通り、各開口部742に入り、そして各孔630を通る経路に従うことができる。随意に、デバイス780を通る流体の流れは、逆の経路に従うことができ、流体は、各孔630に入り、開口部742に入り、チャネル766を通り、そして空洞658に入るように流れ、次いで、デバイス780を出る。
【0035】
種々の実施形態によれば、本明細書で説明される例示的なフリット、流れ分配器、および/またはフリットおよび流れ分配器一体型デバイスのうちのいずれかは、種々の技術に従って微細加工することができる。例えば、フリット120または320の中に孔130を形成し(それぞれ、図1A〜1Bおよび3A〜3B)、フリット220の中にスロット136および138を形成し(図2A〜2C)、および/または図3Aおよび3Bに示される支持格子140の中に形成される開口部142を形成するために、微細加工を使用することができる。同様に、空洞458、チャネル466、および/または孔460を図4Aに示される流れ分配器450の中に形成するために、微細加工を使用することができる。
【0036】
例えば、エッチングまたはレーザミリング等の微細加工技術を使用することができる。エッチング技術には、深堀り反応性イオンエッチング(RIE)、ドライエッチング、ウェットエッチング、プラズマエッチング、電気化学エッチング、気相エッチング等が挙げられる。加えて、例示的なフリット、流れ分配器、および/または一体型デバイスの構成要素(例えば、孔、空洞、チャネル等)を画定するために、当技術分野で知られているリソグラフィ技術をマスキングステップとして使用することができる。次いで、構成要素を形成するために、エッチング技術を使用することができる。図1を参照すると、例えば、孔130が形成される基板122の部分を露出させるために、リソグラフィをマスキングステップとして使用することができる。次いで、基板を通る孔130を形成するために、深堀りRIEを使用することができる。種々の実施形態によれば、本明細書で説明されるフリット、流れ分配器、および/または一体型デバイスを微細加工することによって、液体試料が接触する表面積を最小限に抑えることができ、それによって、分析される液体試料との不要な相互作用を最小限に抑える。
【0037】
加えて、例示的なフリット、流れ分配器、および/またはフリットおよび流れ分配器一体型デバイスに関して前述したもの等の、例示的な基板のうちのいずれかは、金属(例えば、これに限定されないが、ステンレス鋼またはチタン)、ガラス、シリカ、ポリマー(これに限定的されないが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等)、セラミック(これに限定されないが、酸化アルミニウム等)を含む、種々の材料から製造できることが想定される。
【0038】
種々の他の実施形態によれば、図9Aに示されるような、例示的なクロマトグラフィカラム800が開示される。クロマトグラフィカラム800は、入口端804と、対向する出口端806とを有する、管802を備える。抽出媒体808は、管内に収容され、平均寸法を有する粒子809を備える。例えば、粒子が実質的に球状である場合、各粒子はそれぞれの直径を有する。各粒子は、他の粒子とはサイズが若干異なり得るが、粒子は、全体として平均寸法を有し、この特定の実施形態では平均直径となる。一実施形態によれば、粒子は、約5μmを超える平均寸法を有することができる。随意に、粒子は、約3.5μmから約5μmの平均寸法を有することができる。別の実施形態では、粒子は、約2μmから約3.5μmの平均寸法を有することができる。さらに別の実施形態では、粒子は、約2μm未満の平均寸法を有することができる。図9Aには、抽出媒体の一部の粒子だけしか示されていないが、以下で説明するように、実質的に管802全体が抽出媒体808で充填されていることが想定される。
【0039】
クロマトグラフィカラム800は、管の入口端804および出口端806のうちの1つに近接して位置付けられる、少なくとも1つのフリットをさらに備える。フリットは、本明細書で開示される前述のフリットのうちのいずれかとすることができ、したがって、第1の面と、対向して配置される第2の面と、厚さとを有する、第1の基板を備えることができる。第1の基板は、厚さを通って延在する複数の孔を画定し、各孔は、第1の面上に位置付けられる第1の端部と、第2の面上に位置付けられる対向する第2の端部とを有する。孔は、第1の基板を通る流体連通を提供する。特定の一実施形態では、第1の端部は、第2の端部と整合される。前述のように、いくつかの実施形態では、孔は、列のアレイで配置することができる。同様に、図3A〜3Bに関して前述したように、第1の基板は、第1の面上に位置付けられる、支持格子をさらに備えることができる。支持格子は、複数の開口部を画定することができ、各開口部は、孔のうちの少なくとも1つと流体連通している。
【0040】
さらなる実施態様では、各孔は、抽出媒体を構成する粒子の平均寸法未満である、それぞれの断面寸法を有する。したがって、例えば、粒子が約2μmの平均寸法を有する場合、各孔は、約2μm未満である、それぞれの断面寸法を有することができる。
種々の実施形態によれば、クロマトグラフィカラムは、フリットと管のそれぞれの入口端または出口端との間に位置付けられる、少なくとも1つの流れ分配器をさらに含むことができる。流れ分配器は、本明細書で上記に開示される流れ分配器のうちのいずれかとすることができる。例えば、流れ分配器は、第1の面と、対向して配置される第2の面とを有する、第2の基板を備えることができる。さらなる実施形態では、第2の基板は、第2の基板の第1の面の中に位置付けられる、空洞を有することができる。流れ分配器はまた、第2の基板の中に位置付けられ、かつそれを通って延在する、複数の第2の孔を含むことができる。前述のように、第2の孔のそれぞれは、第1の端部と、第2の基板の第2の面上に位置付けられる対向する第2の端部とを有する。流れ分配器はまた、第2の基板の第1の面の中に画定される、複数のチャネルを備える。各チャネルは、第2の孔のうちの少なくとも1つの第1の端部と流体連通することができる。随意に、各チャネルは、空洞と、第2の孔のうちの少なくとも1つの第1の端部との間に延在することができ、それらの間の流体連通を提供する。フリットの第1の孔のそれぞれは、流れ分配器の第2の孔のうちの少なくとも1つと流体連通する。
【0041】
図9Aに示される特定の実施形態では、クロマトグラフィカラムは、2つのフリット、すなわち、入口端804に近接して位置付けられる第1のフリット820aと、出口端806に近接して位置付けられる第2のフリット820bとを備える。抽出媒体808は、第1のフリット820aと第2のフリット820bとの間に収容される。第1の流れ分配器850aは、第1のフリットと入口端との間に位置付けられ、第2の流れ分配器850bは、第2のフリットと出口端との間に位置付けられる。さらなる実施形態によれば、フリットおよび管のいずれかの端部上の流れ分配器の配向は、互いに鏡映状に対向する。したがって、第1のフリットおよび第2のフリット双方の第2の面は、抽出媒体と接触する。同様に、流れ分配器の空洞およびチャネルは、フリットの反対側に面する。
【0042】
使用に際し、図9Aおよび9Bを参照すると、例示的なクロマトグラフィカラム800は、入口毛細管810(図9Aの大きい矢印によって示されている流れ方向)を通して流体(分析のための液体試料等)を受容する。流体は、入口毛細管から、第1の流れ分配器850aの空洞858の中に入り、チャネル866を通過し、そして第2の孔860を通過する。流体は、次いで、第1のフリット820aの孔830を通過する。随意に、開口部を画定する支持格子を備えるフリット(図3A〜3Bに示されるフリット等)を使用することができる。この実施形態では、流体は、第1の流れ分配器850aの第2の孔860から、支持格子の中の開口部に移動し、次いで、第1のフリットの孔830を通過する。
【0043】
流体は、次いで、標準的な液体クロマトグラフィで知られているように、抽出媒体を通過する。管の出口端では、流体は、前述したものと反対の様態で、第2のフリット820bおよび第2の流れ分配器850bを通過する。したがって、流体は、第2のフリットの孔を通過し(および、随意に、第2のフリットの支持格子の開口部の中に入り)、第2の流れ分配器の孔を通過し、第2の流れ分配器のチャネルを通過し、そして、第2の流れ分配器の空洞の中に入る。流体は、空洞から、出口毛細管812に移り、そこでは、さらなる分析のために、流体をクロマトグラフィ系の他の構成要素に渡すことができる。
【0044】
別々のフリットおよび流れ分配器に関して前述したが、本明細書で説明するフリットおよび流れ分配器一体型デバイスは、クロマトグラフィカラムで使用できることが想定される。そのような実施例では、直前に説明したものと同様に、一体型デバイスの第3の面の中に位置付けられる空洞は、入口毛細管および/または出口毛細管と直接的に流体連通する。基板の第1の面は、管内に収容される抽出媒体と接触する。
【0045】
当業者には、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、種々の修正および変更を本発明に行うことができることが明らかになるであろう。当業者には、本明細書を考慮し、本明細書で開示される本発明を実行することによって、他の実施形態が明らかになるであろう。仕様および実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィカラム(800)で使用するための微細加工されたフリット(120、220、320、680、780、820a、820b)であって、
第1の面(124、324、684)と、対向して配置される第2の面(126、685)と、厚さ(128、328、688)とを有し、前記厚さを通って延在する複数の第1の孔(130、630、830)を画定する、第1の基板(122、682)であって、前記第1の孔のそれぞれが、前記第1の面上に位置付けられる第1の端部(132、632)と、前記第2の面上に位置付けられる対向する第2の端部(134、634)とを有する、第1の基板(122、682)を備え、
前記第1の孔のそれぞれに対して、前記第1の端部は、前記第2の端部と整合され、前記孔は、前記第1の基板を通る流体連通を提供する、微細加工されたフリット。
【請求項2】
前記第1の面(124、324)の中に形成され、かつ互いに実質的に平行である、複数の第1のスロット(136)と、
前記第2の面(126)の中に形成され、かつ互いに実質的に平行であり、前記複数の第1のスロットに対して直角に配向される、複数の第2のスロット(138)と、をさらに備え、前記複数の第1のスロットは、前記複数の第2のスロットと交差し、それによって、前記複数の孔(130)を形成する、
請求項1に記載のフリット。
【請求項3】
前記第1の基板は、前記第1の面(324)上に位置付けられる支持格子(140)を備え、前記支持格子は、複数の開口部(142)を画定し、前記開口部のそれぞれが、前記孔(130)のうちの少なくとも1つと流体連通している、請求項1に記載のフリット。
【請求項4】
前記第1の孔(130)のそれぞれが、1μmから2.5μmの断面寸法を有するか、または、前記厚さ(128、328)は、10μmから約40μmである、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のフリット。
【請求項5】
前記フリットは、それとともに一体的に形成される、流れ分配器をさらに備え、前記第1の基板(682)の前記厚さ(688)は、前記第1の面(684)と前記第2の面(685)との間に延在し、前記第1の基板は、前記第2の面から離間される第3の面(686)をさらに備え、
前記フリットは、
前記第3の面の中に画定され、それぞれが、前記複数の孔のうちの少なくとも1つの孔(630)と流体連通している複数のチャネル(666、766)をさらに備える、
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のフリット。
【請求項6】
各チャネル(666、766)は、所定の長さを有し、前記複数のチャネルの前記所定の長さは、互いに実質的に等しい、請求項5に記載のフリット。
【請求項7】
前記第1の基板(682)は、前記第2の面(685)と前記第3の面(686)との間に延在する支持格子(640、740)を備え、前記支持格子は、複数の開口部(642、742)を画定し、前記開口部のそれぞれが、少なくとも1つのチャネル(666、766)と前記複数の孔のうちの少なくとも1つの孔(630)との間に流体連通を提供する、請求項5または6に記載のフリット。
【請求項8】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のフリットと組み合わせてクロマトグラフィカラムで使用するための、微細加工された流れ分配器(450、550、850a、850b)であって、
第1の面(454)と、対向して配置される第2の面(456)とを有する、第2の基板(452)と、
前記第2の基板の中に位置付けられ、かつそれを通って延在し、それぞれが、第1の端部(462)と、前記第2の基板の前記第2の面上に位置付けられる対向する第2の端部(464)とを有する、複数の第2の孔(460、860)と、
前記第2の基板の前記第1の面の中に画定され、それぞれが、前記第2の孔のうちの少なくとも1つの第1の端部と流体連通している複数のチャネル(466)と、
を備える、微細加工された流れ分配器。
【請求項9】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の少なくとも1つのフリットを有する、クロマトグラフィカラム(800)であって、
入口端(804)と、対向する出口端(806)とを有する管(802)と、
前記管内に収容され、平均寸法を有する粒子(809)を備える抽出媒体(808)と、を備え、前記第1の孔(830)のそれぞれの断面寸法は、前記粒子の前記平均寸法未満であり、前記少なくとも1つの前記フリットは、前記管の前記入口端および前記出口端のうちの1つに近接して位置付けられる、
クロマトグラフィカラム。
【請求項10】
請求項8に記載の少なくとも1つの流れ分配器(850a、850b)をさらに備え、前記少なくとも1つの流れ分配器は、前記少なくとも1つのフリットと、前記管(802)の前記それぞれの入口端(804)または出口端(806)との間に位置付けられ、前記第1の孔(830)のそれぞれが、前記第2の孔(860)のうちの少なくとも1つと流体連通している、請求項9に記載のクロマトグラフィカラム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2013−11601(P2013−11601A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135420(P2012−135420)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.