説明

液体クロマトグラフ分析方法及び装置

【課題】液体クロマトグラフ分析方法及び装置の分析精度を向上する。
【解決手段】分離カラムを洗浄した後の洗浄液中の塩濃度を測定し、分離カラムに残存する塩濃度に基づいて溶離液をカラムに導入して、分離カラムの洗浄を適切に行うことにより。塩を含む試料が分析装置に導入されてしまう事態を防止する。液体クロマトグラフ分析方法及び装置の分析精度を向上することができる他、分離カラムを適切に洗浄することが可能であるため、分離カラムの汚染を抑制し、長寿命化することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学分析等に用いられる液体クロマトグラフ分析方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料分析や臨床試料分析などの様々な生化学分析を含めた化学分析に広く用いられる分析装置として液体クロマトグラフ装置がある。この液体クロマトグラフ装置においては、分離カラムを用いて試料中の測定対象物の分離を行なうが、測定対象物以外にも様々な混合物を含む試料を分析する場合、試料を一旦カラムに吸着させた後に、測定対象物以外の塩などの不純物を洗浄する工程が必要である。
【0003】
この不純物洗浄工程において、カラムに試料を導入した後、洗浄のための溶液を、所定時間導入して不純物を洗浄した後に、溶離液をカラムに導入し、溶離された測定対象物を分析装置に導入して分析を行う。
【0004】
複雑な混合試料に対して、高い分離能力を発揮させるための技術が特許文献1に記載されている。この特許文献1記載の、液体クロマトグラフ分析装置は、個々に、移動相と分析カラムとを有する2以上の分析部と、複数の濃縮カラムとを有している。
【0005】
【特許文献1】特開2003−254955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の液体クロマトグラフ分析装置にあっては、高い分離能力を発揮することができる。
【0007】
しかしながら、従来技術では、分離カラムに試料を導入した後、洗浄のための溶液を、予め定めた一定時間導入して行っていた。そのため、分離カラムに残存する塩などの不純物の洗浄が充分か否かに関わらず、その分離カラムを使用し、塩を含む試料が分析装置に導入されてしまう事態が発生する場合があるという問題点を本願発明者は見出した。
【0008】
また、分離カラムに残存する塩の洗浄が充分であるにも関わらず、さらに洗浄のための溶液を流し続ける場合もあり、そのため、分析時間が長くなるという問題点があることも、本願発明者は見出したものである。
【0009】
本発明の目的は、液体クロマトグラフ分析方法及び装置の分析精度を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、分離カラムを洗浄した後の洗浄液中の塩濃度を測定し、分離カラムに残存する塩濃度に基づいて溶離液をカラムに導入して、分離カラムの洗浄を適切に行うことに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、塩を含む試料が分析装置に導入されてしまう事態を防止して、液体クロマトグラフ分析の分析精度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と高価について添付図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1、図2は、本発明の第1の実施形態である液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。図1は、分離カラム103の洗浄時における状態を示す図であり、図2は、試料の分析時における状態を示す図である。
【0013】
図1、図2において、液体クロマトグラフ装置は、流路の変更を行なうバルブ(流路切替手段)108と、試料のバルブ108への導入及び試料の脱塩・洗浄を行う送液部110と、溶離液107をバルブ108に送るポンプ(送液手段)105と、電気伝導度測定装置(塩濃度測定手段)101と、試料を分離するカラム(試料吸着・溶離手段)103と、制御装置111とを備え、分析装置102に接続されている。
【0014】
まず、送液部110について説明する。送液部110は、溶液106をバルブ108に導入するポンプ104と、試料を溶液106に導入する試料導入装置109を備える。
【0015】
溶液106には、水の比率が高い溶液が用いられる。この溶液106は試料溶液との混合の容易さを考慮にいれて選択される。第1の実施形態では、一例として、0.1%HCOOH水溶液を用いることができる。
【0016】
ポンプ104の送液速度は、分離カラム103の充填剤の種類及び内径によって適宜選択される。ここで、ポンプ104の送液速度は、例えば、1ml/minとすることができる。
【0017】
試料導入装置109は、ポンプ104の吐出側であって、分離カラム103の流入側に配置され、試料をカラム103に導入する機能を有している。この試料導入装置109として、通常は、複数の試料を定量的に、かつ自動的に連続分析することが可能なオートサンプラーが用いられる。また、試料導入装置109として、自動的に連続分析することはできないが、定量的に試料を導入することができるマニュアルインジェクターも用いることができる。マニュアルインジェクターを使用するときは、シリンジ類の定量器具を用いて試料を定量することとなる。
【0018】
ポンプ104から送液が行なわれ、試料導入装置109から試料の導入が開始される。そして、試料がバルブ108に送液され、カラム103に導入されて保持される。その後、ポンプ104からバルブ108への送液が続行され、カラム103に吸着した塩および汚れが洗い流される。
【0019】
次に、ポンプ105について説明する。
ポンプ105は、バルブ108を介して溶液107をカラム103に送り、このカラム103から試料を溶出させる。この第1の実施形態においては、カラム103に逆相カラムを用いている。また、溶液107には、0.1%HCOOHを含む100%CHCNを使用することができる。
【0020】
電気伝導度測定装置101は、溶液中のイオン種の伝導度を測定する装置である。この電気伝導度測定装置101は、ポンプ104から送液された洗浄液としての溶液が、カラム103を通過した後の溶液について、その電気伝導度の測定を行う。カラム103を通過した後の溶液の電気伝導度を測定することにより、カラム103の洗浄が充分に行われた否かを判定することが可能となる。
【0021】
分析装置102は、分離カラム103から溶離した各試料成分を分析する装置であり、バルブ108の切替操作により、分離カラム103の下流側に接続される。
【0022】
なお、この第1の実施形態において、分析装置102には、試料の定性・定量分析が可能な質量分析装置を適用した。また、この第1の実施形態では、エレクトロイオンスプレーイオントラップ質量分析装置を適用することができる。
【0023】
なお、ここでいう質量分析装置とは、四重極型質量分析装置や飛行時間型質量分析装置、フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析装置である。また、流路と質量分析装置とのインターフェースとしては、ESI(エレクトロイオンスプレー)を用いた。なお、インターフェースとしては、APCI(大気圧化学イオン化法)も用いることが可能である。
【0024】
また、分析装置は、質量分析装置以外にも、UV−VIS吸光度検出器や蛍光検出器、電気化学検出器を用いることも可能である。
【0025】
カラム103は、バルブ108の流路内に配置され、バルブ108の流路が切替わることにより、ポンプ104から溶液が供給されるか、105から溶液が供給されるかが変更するように配置されている。カラム103は試料の中の測定対象成分を吸着し、その後、グラジエント溶離液が導入されることにより、吸着した測定対象成分が溶出し、カラム103からの分離が行なわれる。
【0026】
なお、本発明の第1の実施形態においては、最も一般的な分離カラムとして使用されている逆相カラムを用いることができる。
【0027】
カラム103においては、様々なカラムを使用することが可能である。ただし、カラムから各測定対象成分を溶出させる際に用いる溶液107が分析装置102の測定精度に影響を与えるものは使用できない。例えば、カラム103にイオン交換カラムを使用した場合、大量の塩が分析装置102に導入されてしまうため、カラム103には、イオン交換カラムを使用することはできない。
【0028】
制御装置111は、バルブ108の流路の切替え、ポンプ104、ポンプ105の送液、試料導入装置109の測定操作、分析装置102、電気伝導度測定装置101の測定操作を制御している。
【0029】
図3は、制御装置111と、その制御対象との関係を示す図である。図3に示すように、制御装置111は、インターフェース113を介して、バルブ108、ポンプ104、ポンプ105、試料導入装置109、分析装置102、電気伝導度測定装置101と信号送受を行なう。そして、分析の経過情報や、分析結果、分離カラム103の洗浄度、汚染度等を出力装置112に表示させる。
【0030】
次に、制御装置111によって、ポンプ104、105、バルブ108等の動作を制御する手順について説明する。図4は、制御装置111によって行われる動作制御フローチャートである。なお、この第1の実施形態においては、試料として1成分組成でかつ塩を含む試料を用いて測定を行った。
【0031】
まず、ステップS401において、ポンプ104により溶液106をバルブ108に送液し、カラム103に試料を導入する。その後、そのままの流路で、ステップS402において測定対象成分以外の成分をカラム103から除去するため、ポンプ104からの洗浄液でカラム103を洗浄する。
【0032】
このとき、ステップ403において、電気伝導度測定装置101で、カラム103から排出された洗浄液のイオン濃度について測定を行うことにより、カラム103に吸着した目的の測定対象成分以外の塩が取り除かれたか否かが確認される。
【0033】
つまり、電気伝導度測定装置101により測定された洗浄液の電気伝導度は、制御装置111に伝送され、伝送された電気伝導度から、洗浄液のイオン濃度を算出し、カラム103の洗浄状態(脱塩状態)が判断される。カラム103の洗浄が十分された(脱塩が行なわれた)と判断するまで、カラム103の洗浄が行なわれる。
【0034】
カラム103からの脱塩を確認した後、制御装置111は、図1の状態から図2の状態にバルブ108の流路を切替える。すなわち、カラム103への流路がポンプ104→カラム103→電気伝導度測定装置101となる流路からポンプ105→カラム103→分析装置102となる流路に変更される。
【0035】
そして、溶液107から溶離液がカラム105に送られることで試料成分が溶出し分析装置102に導入され、試料の測定が行なわれる(ステップS404、S405)。
【0036】
制御装置111の制御によって、この一連の測定は少なくとも1回行うことが可能である。
【0037】
上述したように、電気伝導度測定装置101で測定を行い、カラム103の脱塩が完全に行われた後に、流路を切り替えて、ポンプ105からカラム103に溶液が送液され、分析装置102に測定対象成分が供給される。
【0038】
したがって、試料中の塩濃度が高い場合であっても、十分に脱塩処理が行われた状態のカラム103から測定対象物を含む溶液が分析装置102に導入されることになる。
【0039】
本発明の第1の実施形態では、分析装置として質量分析装置を用いている。一般的に、カラム103の脱塩が完全に行われていないと、試料成分に含まれる塩が質量分析装置に混入してしまい、塩の析出により、その性能に影響を与えてしまう。
【0040】
その点、第1の実施形態では、カラム103から脱塩が完全に行われたことを確認できるので、試料成分に含まれる塩が質量分析装置に混入するという事態を防止でき、分析精度を向上できるとともに、質量分析装置の汚染を防ぐことができる。
【0041】
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、分析精度の向上化が可能な液体クロマトグラフ分析方法及び装置を実現することができる。
【0042】
また、分離カラムを適切に洗浄することが可能であるため、分離カラムの汚染を抑制し、長寿命化することが可能である。
【0043】
また、従来技術では、実際には脱塩が完了しているか否かに関係なく、脱塩操作は一定時間だけ行なわれていた。このため、脱塩が完了している場合であっても、所定時間が経過するまで、洗浄溶液をカラムに通過させることとなり、時間と洗浄溶液の過剰使用となる場合があった。
【0044】
これに対して、本発明の第1の実施形態においては、時間経過に関係なく、カラム103の脱塩が完全に終了したときには、カラムの脱塩処理を終了し、次のステップに移行することとしているので、適正な時間のみ脱塩が行われる。つまり、脱塩処理時間と洗浄溶液の過剰使用となることが回避でき、結果的に、分析時間を短縮でき、分析のスループットを向上することができる。
【0045】
また、カラムに導入された塩が確実に洗浄されることになるので、カラムの劣化を防ぎ、長寿命化を図ることが可能になる。さらに、カラムによる分離能の低下も防ぐことが可能になり、分析精度が向上する。
【0046】
さらに、従来技術では、洗浄(脱塩)時間を考慮しプログラムを適宜決定する必要があった。その点、本発明の第1の実施形態では、自動的に洗浄(脱塩)工程が終了したことを判断することが可能である。すなわち、測定開始時のわずらわしいパラメーターの決定作業を省くことができ装置の利便性が向上する。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
現在、国家レベルでの様々なゲノムプロジェクトの結果、ゲノム配列が明らかになっている生物種は人や植物、微生物など多岐にわたっている。このゲノム情報を基にして、ゲノムの発現情報を把握し、生命現象を特定の器官・組織・細胞の中で生産される蛋白質の動態を包括的に解析しようとする活動領域がプロテオミクスである。プロテオミクスは、蛋白質をプロファイリングする技術を用いて分析することで器官・組織・細胞の中での蛋白質の動態を解析することに焦点をおいたものである。
【0048】
このプロファイリング技術には、2次元電気泳動と質量分析装置の組合せで解析を行うことが一般的であった。
【0049】
しかし、最近のプロテオーム分野の技術革新により2次元電気泳動に変わり、種類の異なるカラムを組み合わせた高速クロマトグラフを使用して試料成分を分離し、質量分析装置に導入する方法が利用されている。
【0050】
本発明の第2の実施形態は、プロテオミクスの分野で蛋白質をプロファイリングする際に用いる多次元高速クロマトグラフィーについて、簡便で高効率に精度よく分離を行うための方法および装置に関しての実施形態である。
【0051】
図5、図6は、本発明の第2の実施形態である多次元高速クロマトグラフ装置の概略構成図であり、図5は、濃縮カラム504への試料濃縮時及び洗浄時における状態を示す図であり、図6は、試料の分析時における状態を示す図である。
【0052】
本発明の第2の実施形態は、5つの構成要素で構成される。
第1の構成要素は、マイクロフローレベル(μl/min)の定量でグラジエント溶離液を送液流路へ導入する前段送液手段(ポンプ)512と、試料を送液流路へ導入する試料導入装置506、および試料を各成分へ分離する1次元目分離カラム503を備えた1次元目分離部523である。
【0053】
第2の構成要素は、1次元目分離部523で分離された各分離成分を保持させるカラム504を備え、第1の構成要素におけるポンプ503から溶液を送液し各分離成分について洗浄(脱塩)を行い、洗浄液を測定する電気伝導度測定機501からなる脱塩部524である。
【0054】
第3の構成要素は、ナノフローレベル(nl/min)の定量でグラジエント溶離液を送液流路へ導入する後段送液手段518と、1次元目分離部523で分離された各成分毎にさらに分離を行う2次元目分離カラム505を備えた2次元目分離部525である。
【0055】
第4の構成要素は、第1〜第3の構成要素及び分析装置部526の制御を行う制御装置522である。
【0056】
第3の構成要素である2次元目分離部525で分離された各成分は、分析装置部526で分析される。
【0057】
まず、1次元目分離部523の構成について説明する。
【0058】
試料導入装置506は、複数の試料を定量的にかつ自動的に連続分析することが可能なオートサンプラーを使用した。マニュアルインジェクターとシリンジを用いて試料導入を行うことも可能である。
【0059】
ポンプ512は、マイクロフローレベル(μl/min)の流量で二つの溶液508、509を低圧グラジエント方式、即ち、電磁弁510、511のオン/オフで溶液508、509の組成比を決めて混合し送液を行うことが可能である。なお、溶液508、509の組成比率は、制御装置522により自動的に制御可能である。
【0060】
ポンプ512から送られる溶液はミキサー513で混合された後、1次元目分離カラム503へ送られる。溶液508、509の組成は1次元目分離カラム503の特性によって決定される。
【0061】
第2の実施形態では、1次元目分離カラム503にイオン交換カラムを用いているため、イオン強度が異なるグラジエント溶離液を作成し用いることができる。このポンプ512は、3あるいは4種類の複数の溶液を用いて混合する低圧グラジエント方式を用いる場合も適用可能である。
【0062】
溶液508には、0.1%HCOOHを含む2%CHCN水溶液、溶液509には0.1%HCOOHおよび1mol/lHCOONHを含む2%CHCN水溶液を用いることができる。
【0063】
1次元目分離カラム503は、イオン交換カラムであり、試料の性質等において、固定相として各種イオン交換樹脂が溶離液や試料の性質によって適宜用いられる。
【0064】
試料導入装置506から導入が行われた試料は、イオン交換カラム503で試料中の各成分のイオン性等に基づいて保持される。その後、ポンプ512で作成されたイオン強度が異なるグラジエント溶離液がイオン交換カラム503に導入されることにより、イオン交換カラム503に充填されたイオン交換樹脂に対する親和力の違いによって試料が分離される。
【0065】
この第2の実施形態では、1次元目分離カラム503に、一例として、内径300μm×長さ150mmのものを使用することができる。
【0066】
次に、脱塩部524について説明する。
脱塩部524は、1次元目分離部523の1次元目分離カラム503であるイオン交換カラムにより分離を行った各試料成分の脱塩を行う機能を有する。
【0067】
1次元目分離部523で分離された各試料成分は、バルブ507へ送られ、濃縮カラム504に導入されて試料の濃縮が行われる。この濃縮カラム504は、試料の性質等において、固定相として各種の充填剤が用いられ、分離カラムに比較して低容積の充填剤が充填されているカラムである。
【0068】
ここで、上述した1次元目分離部523のポンプ512はマイクロフローレベル(μl/min)の流量で溶液508、溶液509を送液する。そして、このポンプ512は試料を送液する機能の他、脱塩部524の濃縮カラム504に濃縮された各試料成分を洗浄(脱塩)する機能も兼ね備えている。
【0069】
この濃縮カラム504の洗浄のための洗浄液として、2次元目分離部525で用いられる初期溶離液と成分が同様な組成を持つものが用いられる。一般的には、低濃度の有機酸を含んだ溶液を使用することが多い。この第2の実施形態では、溶液508は0.1%HCOOHを含む2%CHCN水溶液を使用することができる。
【0070】
脱塩部524の電気伝導度測定装置501は、溶液中のイオン種の伝導度を測定する装置である。この電気伝導度測定装置501は、洗浄液としてポンプ512から送液された溶液が、濃縮カラム504を通過した後の溶液について、その伝導度の測定を行う。なお、電気伝導度測定装置501において、導電率検出器、紫外線吸収検出器、電気化学検出器を用いても同様な効果が得られる。
【0071】
続いて、2次元目分離部525について説明する。
ポンプ518は、ナノフローレベル(nl/min)の流量で二つの溶液514、515を低圧グラジエント方式、即ち、電磁弁516、517のオン/オフで、これらの組成比率を決めて混合し送液を行う。なお、これらの組成比率は、制御装置522により制御されている。
【0072】
ポンプ518から送られる溶液は、ミキサー519で混合された後、バルブ507へ送られる。溶液514、515の組成は2次元目分離カラム505の特性によって決定される。この第2の実施形態では2次元目分離カラム505に逆相カラムを用いているため、極性が異なるグラジエント溶離液を作成し用いることができる。
【0073】
このポンプ518は、3あるいは4種類の複数の溶液を用いて混合する低圧グラジエント方式を用いる場合もある。また、溶液514には0.1%HCOOHを含む2%CHCN水溶液、溶液515には0.1%HCOOHを含む98%CHCN水溶液を用いることができる。
【0074】
2次元目分離カラム505は、逆相カラムであり、試料の性質等において、固定相として各種固定相が溶離液や試料の性質によって適宜選択される。
【0075】
バルブ507が、図5に示す状態から図6に示す状態に切替わることで、ポンプ518から濃縮カラム504、2次元目分離カラム505を通る流路に切り替えられる。
【0076】
そして、各試料成分が濃縮された濃縮カラム504にポンプ518からのグラジエント溶液が順次送液され試料が溶出し、2次元目分離カラム505に順次各試料成分が到達する。
【0077】
次に、分析装置部526について説明する。
分析装置502としては、通常、質量分析装置が用いられる。この多次元高速クロマトグラフ装置と質量分析装置とを組合せた装置は、プロテオーム解析、つまり生体内、細胞内で複雑に相互作用を行っている蛋白質を解析する手段として広く用いられている。
【0078】
通常の試料を測定する場合は、一種類のカラムで分離し、分析装置で検出するが、この第2の実施形態においては、様々な蛋白質からなる混合試料を分析して検出することを主眼においており、2種類の分離カラム503、505を用いて試料の分離を行なっている。
【0079】
分析試料としての蛋白質の混合物試料は、酵素により消化処理が行われ、予めペプチド断片にまで分解を行ったものを用いることが多い。このため、1次元目分離部523でイオン交換カラム503に導入され、イオン強度、つまり、イオン交換樹脂への親和性により分離される。そして、脱塩部524の濃縮カラム504で濃縮が行なわれ、ポンプ512からの洗浄液の送液により洗浄(脱塩)が行われる。続いて、2次元目分離部525の逆相カラム505に導入され、さらに分離が行われる。
【0080】
このように、分離された試料成分は、質量分析装置部526に導入され、ペプチド断片のアミノ酸配列が同定される。その同定されたアミノ酸配列情報はアミノ酸配列情報検索データベースと照合が行われることによって蛋白質の同定が行われる。
【0081】
質量分析装置としては、エレクトロイオンスプレーイオントラップ質量分析装置を用いた。ここで用いる質量分析装置は、四重極型質量分析装置や飛行時間型質量分析装置、フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析装置も適用可能である。
【0082】
また、分析装置は、質量分析装置以外に、UV−VIS吸光度検出器や蛍光検出器、電気化学検出器を用いることができる。
【0083】
次に、制御装置522について説明する。
制御装置522は、ポンプ512、518における、溶液の組成比率および送液操作、試料導入部(オートサンプラー)506からの試料の導入、バルブ507の流路切替え、電気伝導度測定装置501の測定操作、分析装置502の測定操作を制御している。図7は、制御装置522と、その制御対象との関係を示す図である。図7に示すように、制御装置522は、インターフェース527を介して、バルブ507、ポンプ512、ポンプ518、試料導入装置506、分析装置502、電気伝導度測定装置501と信号送受を行なう。そして、分析の経過情報や、分析結果、濃縮カラム504の洗浄度、汚染度等を出力装置528に表示させる。
【0084】
次に、制御装置522の制御動作について、図8に示した動作フローチャートを参照して説明する。
【0085】
まず、ステップS801において、試料導入装置506から試料がポンプ512からの送液により1次元目分離カラム503に導入される。ポンプ512からの送液は制御装置522により組成比率が制御されており、予めプログラムした一定時間1次元目分離カラム503に導入される。
【0086】
次に、ステップS802において、ポンプ512から塩濃度勾配グラジエントを用いて、分離カラム503から目的試料を溶出し、濃縮カラム504に濃縮する。その後、ポンプ512からの溶離液により、濃縮カラム504の脱塩処理を開始し、電気伝導度測定装置501で濃縮カラム504から排出される溶液の塩濃度の測定を行なって、濃縮カラム504の脱塩が完了するまでその処理を行う(ステップS803、S804)。
【0087】
なお、ステップS801〜S804は、図9に示したような傾斜的に増加する塩濃度となるように、濃縮カラム504へ試料の導入と、この濃縮カラム504の脱塩処理とが、所定の塩濃度となるまで交互に繰り返して行われる。つまり、図9の(a)の時点0からt1まで、傾斜状に塩濃度が上昇された後、カラム504の脱塩処理が開始され、カラム504から排出される溶液の塩濃度が0となる時点t2まで脱塩処理が行われる(図9の(b))。そして、脱塩処理の終了後、次の塩濃度となるように時点t2からt3まで、塩濃度が上昇された後、カラム504の脱塩処理が開始され、カラム504から排出される溶液の塩濃度が0となる時点t4まで脱塩処理が行われる。以降、同様にして、所定の濃度となるまで塩濃度が傾斜状に増加され、脱塩処理が行われる。
【0088】
続いて、バルブ507の流路を切り替え、濃縮カラム504に溶液が供給される流路をポンプ512からポンプ518に切り替える。つまり、図5に示す流路から図6に示す流路に切り替える(ステップS805)。
【0089】
そして、ポンプ518からの溶離液を用いて、濃縮カラム504からの試料成分のうちの対象成分を2次元目分離カラム505で分離する(ステップS806)。2次元目分離カラム505で分離された対象成分は、ポンプ518からの送液により分析装置502に導入され、試料成分が測定される(ステップS807)。
【0090】
分析装置502による測定が終了すると、バルブ507の流路が図6に示した状態から図5に示した状態に切り替えられ(ステップS808)、ステップS8012に戻る。
【0091】
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、電気伝導度測定装置501で測定を行い、濃縮カラム504の脱塩が完全に行われた後に、制御装置522より、ポンプ512からの送液からポンプ518への送液に切替わる。
【0092】
したがって、この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0093】
(第3の実施形態)
本発明第3の実施形態は、上述した第2の実施形態と同様に、多次元高速クロマトグラフ装置に本発明を適用した場合の例である。この第3の実施形態と第2の実施形態との相違は、1次元目分離カラムへの溶離液の導入方法が異なるところである。つまり、一次元目分離部の構成と、制御装置の動作が異なっている。他の点については、第2の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0094】
図10は、本発明の第2の実施形態の概略構成図である。図10において、1次元目分離部1019のポンプ1009は、マイクロフローレベル(μl/min)の流量で溶液1008から溶液を送り、試料導入装置1006を介して1次元目分離カラム1003に試料を導入する。ここで、溶液1008は、この第3の実施形態では、0.1%HCOOHを含む2%CHCN水溶液を用いることができる。
【0095】
試料導入装置1006は、ポンプ1009の下流側(排出側)であり、1次元目分離カラム1003の上流側に配置されている。通常は、試料導入装置1006として、複数の試料を定量的にかつ自動的に連続分析することが可能なオートサンプラ−が用いられる。この試料導入装置1006は、試料を1次元目分離カラム1003に導入する機能及び溶離液を1次元目分離カラム1003に導入する機能を有する。この第3の実施形態においては、1次元目分離カラム1003としてイオン交換カラムを用いることができる。
【0096】
試料導入装置1006が有するバイアル1に試料、バイアル2に2%CHCN、0.1%HCOOH、10mMのHCOONH水溶液、バイアル3に2%CHCN、0.1%HCOOH、20mMのHCOONH水溶液、バイアル4に2%CHCN、0.1%HCOOH、50mMのHCOONH水溶液、バイアル5に2%CHCN、0.1%HCOOH、100mMのHCOONH水溶液、バイアル6に2%CHCN、0.1%HCOOH、200mMのHCOONH水溶液、バイアル7に2%CHCN、0.1%HCOOH、500mMのHCOONH水溶液を用いることができる。
【0097】
試料導入装置1006により試料またはグラジエント溶離液の導入動作を説明する。
【0098】
まず、ポンプ1009の送液によって、あらかじめプログラムした一定時間、バイアル1から試料を1次元目分離カラム1003に導入する。次に、試料導入装置1006のラック上に、数種類の試料およびイオン強度が異なる溶液が配置されており、制御装置1018の制御により順次、1次元目分離カラム1003に導入する。この動作によりイオン強度が異なる各溶離液が試料が吸着した1次元目分離カラム1003に導入される。
【0099】
つまり、バイアル1からの試料が1次元目分離カラム1003で分離され、脱塩部524に導入される。バイアル1からの試料が導入された後、バイアル2から溶離液が送液され、1次元目分離カラム1003で各試料成分に分離された後、濃縮カラム504で濃縮される。
【0100】
その間もポンプ1009による送液は行なわれており、濃縮カラム504の洗浄(脱塩)が行なわれている。つまり、図11に示すように、時点t1からt2、時点t3からt4、t5からt6、…の期間に濃縮カラム504の洗浄が行なわれる。
【0101】
この洗浄(脱塩)工程の間、電気伝導度測定装置501により、濃縮カラム504カラ排出される洗浄液のイオン濃度が測定される。このとき、電気伝導度測定装置1001が測定したイオン濃度が、予め設定した設定値より低くなれば濃縮カラム1004の脱塩が終了したと判断される。そして、縮カラム1004の脱塩が終了すると、制御装置1018により、バルブ507の流路が切替わり、ポンプ1009から濃縮カラム504への送液からポンプ518から濃縮カラム504への送液に切替わる。この時点で脱塩処理は完了する。
【0102】
このバルブ507の流路切り替えに同期して、ポンプ518から送り出される溶離液が濃縮カラム504を介して2次元目分離カラム505に送られ、2次元目の分離が始まる。このように分離された試料は、分析装置502に導入され測定が開始される。
【0103】
分析装置502での測定が終了すると、バルブ507の流路が図10の状態に切替えられ、バイアル3の溶離液が1次元目分離カラム1003に導入され、以降、上述と同様にして試料の分離、濃縮、分離が行なわれた後、測定が行なわれる。
【0104】
上述した一連の動作制御は、全て制御装置1018により実行され、自動的、かつ連続的に試料を測定することが可能である。
【0105】
本発明の第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0106】
ここで、上述した第1〜第3の実施形態においては、分離カラム又は濃縮カラムに試料を導入した後の、洗浄工程において、分離カラム又は濃縮カラムから排出される洗浄液のイオン濃度を電気伝導度測定装置で測定し、脱塩の終了を確認している。
【0107】
本発明においては、洗浄工程のみならず、分離カラム又は濃縮カラムに試料を導入する前の段階で、分離カラム又は濃縮カラムに洗浄液を供給し、脱塩状態を電気伝導度測定装置により確認することもできる。
【0108】
また、洗浄液そのもののイオン濃度を、電気伝導度測定装置、紫外線吸収検出器、電気化学検出器等により検出することもできる。これにより、洗浄液が汚染されていることを検出することができ、試料の分析前に、洗浄液を汚染されていないものに交換することができる。洗浄液が汚染されていると、試料の分析精度を低下させるからである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1の実施形態である液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である液体クロマトグラフ装置の動作説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における制御装置と、その制御対象との関係を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における動作フローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態である液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態である液体クロマトグラフ装置の動作説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における制御装置と、その制御対象との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における動作フローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態におけるポンプからの送液の塩濃度と電気伝導度測定装置により測定される塩濃度との関係を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態である液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第3実施形態におけるポンプからの送液の塩濃度と電気伝導度測定装置により測定される塩濃度との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
101、501 電気伝導度測定装置
102、502 分析装置
103、 分離カラム
104、105 ポンプ
108、507 バルブ
109、506 試料導入装置
110 送液部
111 制御装置
503 1次元目分離カラム
504 濃縮カラム
505 2次元目分離カラム
510、511 電磁弁
512、518 ポンプ
513 ミキサー
516、517 電磁弁
519 電磁弁
522 制御装置
523 1次元目分離部
524 脱塩部
525 2次元目分離部
526 分析装置部
1003 1次元目分離カラム
1006 試料導入装置
1009 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフ分析方法において、
試料を選択的に吸着・溶離できる第1のカラムに、塩を含む溶液と共に上記試料を導入して測定対象物を吸着させ、
上記第1のカラムに溶液を導入して洗浄し、この第1のカラムから排出された溶液の塩濃度を測定して、測定した塩濃度に基づいて、上記洗浄を継続するか停止するかを判断し、
上記第1のカラムへの洗浄を停止すると判断した後、上記第1のカラムに溶液を導入して、上記第1のカラムに吸着させた測定対象物をこの第1のカラムから溶離させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析方法。
【請求項2】
請求項1記載の液体クロマトグラフ分析方法において、上記第1のカラムから排出された溶液の電気伝導度を測定することにより塩濃度を測定することを特徴とする液体クロマトグラフ分析方法。
【請求項3】
請求項2記載の液体クロマトグラフ分析方法において、上記塩を含む溶液の塩濃度を調整して、上記試料と共に第2のカラムに導入して試料測定対象物をこの第2のカラムに吸着させた後、この第2のカラムに溶液を導入して、吸着されていた測定対象物を溶離して上記第1のカラムに導入させると共に、この第1のカラムから排出された溶液の塩濃度を測定して、測定した塩濃度に基づいて、上記溶液の第1のカラムへの導入を継続するか停止するかを判断し、上記第1のカラムへの溶液の導入を停止すると判断した後、上記第1のカラムに溶液を導入して、上記第1のカラムに吸着させた測定対象物をこの第1のカラムから溶離させ、第3のカラムに導入して測定対象物を吸着させ、その後、上記第3のカラムに溶液を導入して、上記第3のカラムに吸着させた測定対象物をこの第3のカラムから溶離させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析方法。
【請求項4】
請求項3記載の液体クロマトグラフ分析方法において、上記第2のカラムに導入される溶液の塩濃度は、時間経過と共に傾斜状に増加させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析方法。
【請求項5】
請求項3記載の液体クロマトグラフ分析方法において、上記第2のカラムに導入される溶液の塩濃度は、時間経過と共に階段状に増加させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析方法。
【請求項6】
請求項1記載の液体クロマトグラフ分析方法において、上記第1のカラムへの上記試料の導入前に、上記第1のカラムに洗浄用の溶液を導入し洗浄し、この第1のカラムから排出された溶液の塩濃度を測定して、測定した塩濃度に基づいて、上記第1のカラムの塩汚染度を判断することを特徴とする液体クロマトグラフ分析方法。
【請求項7】
液体クロマトグラフ分析装置において、
試料を選択的に吸着・溶離できる第1のカラムと、
塩を含む溶液を上記第1のカラムに送液する第1のポンプと、
上記第1のポンプから送液される溶液に試料を導入する試料導入器と、
上記第1のポンプにより第1のカラムに導入され、排出された洗浄溶液の塩濃度を測定する塩濃度測定器と、
上記第1のカラムに試料溶出溶液を導入し、第1のカラムに吸着された試料成分を溶出させる第2のポンプと、
上記第1のカラムに第1のポンプから溶液を導入する流路及び上記第1のカラムに第2のポンプから溶液を導入する流路を有し、いずれかの流路を選択できるバルブと、
上記塩濃度測定器が測定した塩濃度に基づいて、上記洗浄溶液の導入を継続するか停止するかを判断し、上記第1のポンプ、第2のポンプ、上記バルブの動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項8】
請求項7記載の液体クロマトグラフ分析装置において、上記塩濃度測定器は、電気伝導度測定器であり、第1のカラムから排出された溶液の電気伝導度を測定することにより塩濃度を測定することを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項9】
請求項8記載の液体クロマトグラフ分析装置において、
上記第1のポンプから送液された試料を選択的に吸着・溶離できる第2のカラムと、
上記第1のカラムから溶離された試料を選択的に吸着・溶離できる第3のカラムと、
を備え、上記制御部は、上記塩を含む溶液の塩濃度を調整して、上記試料と共に第2のカラムに導入して試料測定対象物をこの第2のカラムに吸着させた後、この第2のカラムに溶液を導入して、吸着されていた測定対象物を溶離して上記第1のカラムに導入させると共に、この第1のカラムから排出された溶液の塩濃度を測定して、測定した塩濃度に基づいて、上記溶液の第1のカラムへの導入を継続するか停止するかを判断し、上記第1のカラムへの溶液の導入を停止すると判断した後、上記第1のカラムに溶液を導入して、上記第1のカラムに吸着させた測定対象物をこの第1のカラムから溶離させ、第3のカラムに導入して測定対象物を吸着させ、その後、上記第3のカラムに溶液を導入して、上記第3のカラムに吸着させた測定対象物をこの第3のカラムから溶離させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項10】
請求項9記載の液体クロマトグラフ分析装置において、上記制御部は、上記第2のカラムに導入される溶液の塩濃度は、時間経過と共に傾斜状に増加させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項11】
請求項9記載の液体クロマトグラフ分析装置において、上記制御部は、上記第2のカラムに導入される溶液の塩濃度は、時間経過と共に階段状に増加させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項12】
請求項7記載の液体クロマトグラフ分析装置において、上記制御部は、上記第1のカラムへの上記試料の導入前に、上記第1のカラムに洗浄用の溶液を導入し洗浄し、この第1のカラムから排出された溶液の塩濃度を測定して、測定した塩濃度に基づいて、上記第1のカラムの塩汚染度を判断することを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項13】
液体クロマトグラフ分析装置において、
試料を選択的に吸着・溶離できる第1の試料吸着・溶離手段と、
塩を含む溶液を上記第1の試料吸着・溶離手段に送液する第1の送液手段と、
上記第1の送液手段から送液される溶液に試料を導入する試料導入手段と、
上記第1の送液手段により第1の試料吸着・溶離手段に導入され、排出された洗浄溶液の塩濃度を測定する塩濃度測定手段と、
上記第1の試料吸着・溶離手段に試料溶出溶液を導入し、第1の試料吸着・溶離手段に吸着された試料成分を溶出させる第2の送液手段と、
上記第1の試料吸着・溶離手段に第1の送液手段から溶液を導入する流路及び上記第1の試料吸着・溶離手段に第2送液手段から溶液を導入する流路を有し、いずれかの流路を切り替えて選択できる流路切替手段と、
上記塩濃度測定器が測定した塩濃度に基づいて、上記洗浄溶液の導入を継続するか停止するかを判断し、上記第1の送液手段、第2送液手段、上記流路切替手段の動作を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項14】
請求項13記載の液体クロマトグラフ分析装置において、上記塩濃度測定手段は、電気伝導度測定器であり、第1の試料吸着・溶離手段から排出された溶液の電気伝導度を測定することにより塩濃度を測定することを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項15】
請求項14記載の液体クロマトグラフ分析装置において、
上記第1の送液手段から送液された試料を選択的に吸着・溶離できる第2の試料吸着・溶離手段と、
上記第1の試料吸着・溶離手段から溶離された試料を選択的に吸着・溶離できる第3の試料吸着・溶離手段と、
を備え、上記制御手段は、上記塩を含む溶液の塩濃度を調整して、上記試料と共に第2の試料吸着・溶離手段に導入して試料測定対象物をこの第2の試料吸着・溶離手段に吸着させた後、この第2の試料吸着・溶離手段に溶液を導入して、吸着されていた測定対象物を溶離して上記第1の試料吸着・溶離手段に導入させると共に、この第1の試料吸着・溶離手段から排出された溶液の塩濃度を測定して、測定した塩濃度に基づいて、上記溶液の第1の試料吸着・溶離手段への導入を継続するか停止するかを判断し、上記第1の試料吸着・溶離手段への溶液の導入を停止すると判断した後、上記第1の試料吸着・溶離手段に溶液を導入して、上記第1の試料吸着・溶離手段に吸着させた測定対象物をこの第1の試料吸着・溶離手段から溶離させ、第3の試料吸着・溶離手段に導入して測定対象物を吸着させ、その後、上記第3の試料吸着・溶離手段に溶液を導入して、上記第3の試料吸着・溶離手段に吸着させた測定対象物をこの第3の試料吸着・溶離手段から溶離させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項16】
請求項15記載の液体クロマトグラフ分析装置において、上記制御手段は、上記第2の試料吸着・溶離手段に導入される溶液の塩濃度は、時間経過と共に傾斜状に増加させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項17】
請求項15記載の液体クロマトグラフ分析装置において、上記制御手段は、上記第2の試料吸着・溶離手段に導入される溶液の塩濃度は、時間経過と共に階段状に増加させることを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項18】
請求項13記載の液体クロマトグラフ分析装置において、上記制御手段は、上記第1の試料吸着・溶離手段への上記試料の導入前に、上記第1の試料吸着・溶離手段に洗浄用の溶液を導入し洗浄し、この第1の試料吸着・溶離手段から排出された溶液の塩濃度を測定して、測定した塩濃度に基づいて、上記第1の試料吸着・溶離手段の塩汚染度を判断することを特徴とする液体クロマトグラフ分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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