説明

液体クロマトグラフ及びプログラム

【課題】複数の溶媒や複数のカラムの中から選択した任意の溶媒及びカラムを用いてクロマトグラフ分析を行う場合において、使用する溶媒やカラムの種類を正しく選択することができる液体クロマトグラフを提供する。
【解決手段】本発明は、送液ポンプの送出側にカラム切替バルブを介して接続された複数のカラムと、送液ポンプの吸引側に溶媒切替バルブを介して接続された複数の溶媒容器から溶媒を吸引するための複数の溶媒流路と、送液ポンプによって溶媒が吸引される溶媒容器、及び移動相が導入されるカラムをユーザに選択させる条件選択手段と、条件選択手段による選択内容に基づいて溶媒切替バルブ及びカラム切替バルブを制御する制御手段とを備える。条件選択手段は、少なくとも複数の溶媒容器、及び複数のカラムを示すシンボルを用いた条件選択画面を表示する表示手段を備える。各シンボルは互いに異なる色で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の溶媒容器の中から任意の溶媒を吸引し、試料と共にカラムに導入することによりクロマトグラフ分析を行う液体クロマトグラフ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフは、オートサンプラ、ポンプ、カラムオーブン等の複数のユニットから構成されており、制御装置からの制御信号に従って各ユニットの動作が制御される。
【0003】
近年、こうした液体クロマトグラフにおいても、各分析ユニットを統括的に制御したり採取されたデータを処理したりするために、パーソナルコンピュータに所定の制御/処理プログラムをインストールした制御装置が広く利用されている。こうした制御装置では、分析の開始に先立ってスケジュールテーブルを作成しておくことにより、多検体の連続分析などを自動的に行うことができるようになっている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
図6は液体クロマトグラフ分析におけるスケジュールテーブルの一例である。このテーブル上では1行が1回の分析に対応しており、1行中に、その分析を実行するのに必要な情報として、試料名、試料注入量、メソッドファイル名、及び分析結果を保存する際のデータファイル名などが記述される。なお、メソッドファイルとは、液体クロマトグラフを構成する各ユニットの動作条件(以下、「分析メソッド」と呼ぶ)を規定したファイルであり、例えば、分析時に使用する移動相やカラムの種類、分析時におけるポンプの流量やカラムオーブンの温度といった各種のパラメータが記述されている。
【0005】
以上のようなスケジュールテーブルが作成された上で分析の開始が指示されると、そのスケジュールに従って順次試料が選択されるとともに分析条件が設定され、多数の試料の分析が自動的に実行される。
【0006】
こうした液体クロマトグラフにおいて、1つの試料に対して様々な条件での分析を行って該試料に最適な分析条件を探索することが行われることがある。これをメソッドスカウティングと呼ぶ。こうしたメソッドスカウティングでは、ユーザが予め上記の各種パラメータを様々に組み合わせた複数種類のメソッドファイルを作成し、更に、図6のようなスケジュールテーブルの各行でそれぞれ異なるメソッドファイルを指定し、各行の試料名および試料注入量は同一として分析の開始を指示する。これにより、各行のメソッドファイルの記述に従った種々の条件での分析が順次実行される。また、分析結果であるクロマトグラムデータは分析毎にそれぞれ1つのデータファイルに格納され、ハードディスクドライブ等の記憶装置に保存される。ユーザは該記憶装置に保存されたクロマトグラムデータを参照し、最適な分析結果が得られた時の分析条件を該試料の分析に適用する分析メソッドとして決定する。
【0007】
メソッドスカウティングを行う際に利用される液体クロマトグラフの分析手法の1つとしてグラジエント送液法がある。これは、例えば水と有機溶媒といった性質の異なる複数の溶媒を混合し、その混合比率を時間経過に伴って変化させた移動相液をカラムに送るものであり、多成分を含む試料の各成分の分離を良好に行うのに特に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-127814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の液体クロマトグラフにおいて、グラジエント送液法を利用してメソッドスカウティングを行う際は、表示部に表示される設定画面で、移動相として用いる溶媒の種類やカラムの種類、分析開始からの時間経過に伴う移動相組成の目標値等を入力する。メソッドスカウティングでは、多種多様な分析条件の検討を行うため、使用する溶媒やカラムの種類が多くなる傾向がある。そのため、設定画面上で入力した溶媒やカラムの種類が、実際の溶媒容器に収容されている溶媒の種類やカラムに合致しているかどうかを把握することが難しいという問題があった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、複数の溶媒や複数のカラムの中から選択した任意の溶媒及びカラムを用いてクロマトグラフ分析を行う場合において、使用する溶媒やカラムの種類を正しく選択することができる液体クロマトグラフ及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために成された本発明に係る液体クロマトグラフは、送液ポンプに溶媒流路を介して接続された溶媒容器から移動相を構成する溶媒を吸引し、試料と共にカラムに導入することによりクロマトグラフ分析を行う液体クロマトグラフであって、
a)前記送液ポンプの送出側にカラム切替バルブを介して接続された複数のカラムと、
b)前記送液ポンプの吸引側に溶媒切替バルブを介して接続された、複数の溶媒容器から溶媒を吸引するための複数の溶媒流路と、
c)前記送液ポンプによって溶媒が吸引される溶媒容器、及び前記移動相が導入されるカラムをユーザに選択させる条件選択手段と、
d)前記条件選択手段による選択内容に基づいて前記溶媒切替バルブ及び前記カラム切替バルブを制御する制御手段とを備え、
前記条件選択手段が、少なくとも前記複数の溶媒容器、及び前記複数のカラムのそれぞれを示すシンボルを用いた条件選択画面を表示する表示手段と、前記条件選択画面上でユーザに溶媒容器及びカラムを選択させるための操作手段とを備え、
前記表示手段が、前記条件選択画面上の前記複数の溶媒容器を示すシンボルを互いに異なる色で表示し、前記複数のカラムを示すシンボルを互いに異なる色で表示することを特徴とする。
【0012】
さらに、前記本発明に係る液体クロマトグラフは、
e)前記複数の溶媒容器又は溶媒流路に取り付けるための、互いに異なる色を有する複数の溶媒識別部材と、
f)前記複数のカラム又はカラムの配管に取り付けるための、互いに異なる色を有する複数のカラム識別部材と、
を備え、
前記表示手段が、前記条件選択画面上の前記複数の溶媒容器を示すシンボルを対応する前記溶媒識別部材と同じ色で表示し、前記複数のカラムを示すシンボルを対応する前記カラム識別部材と同じ色で表示することが望ましい。
【0013】
また、前記溶媒容器が、有機系の溶媒を収容する複数の有機系溶媒容器と水系の溶媒を収容する複数の水系溶媒容器を含む場合には、
前記表示手段が、前記条件選択画面上の有機系溶媒容器を示すシンボル及び前記水系溶媒容器を示すシンボルのうちの一方を暖色系の色で、他方を寒色系の色で表示することが望ましい。
ここで、暖色系の色とは、赤色や橙色、黄色、赤紫色、茶色等をいい、寒色系の色とは青色や紺色、水色、青紫色等をいう。
【発明の効果】
【0014】
上記構成から成る本発明に係る液体クロマトグラフによれば、条件選択画面上に溶媒容器やカラムをシンボル表示すると共にこれらのシンボルを互いに異なる色で表示したため、溶媒の種類やカラムの種類の違いを色で認識することができる。この場合、溶媒容器やカラムを示すシンボルの色と同じ色の識別部材(溶媒識別部材、カラム識別部材)を溶媒容器や溶媒流路、カラムやカラムの配管に取り付けておけば、条件選択画面上のシンボルと実際の溶媒の種類やカラムの種類との関係が一目で分かるため、溶媒の種類やカラムの種類を正しく選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る制御装置を備えた液体クロマトグラフの概略構成図。
【図2】同実施例における溶媒A用の溶媒識別部材の例を示す図。
【図3】同実施例における溶媒B用の溶媒識別部材の例を示す図。
【図4】同実施例におけるカラム識別部材の例を示す図。
【図5】同実施例における移動相・カラム選択画面を示す図。
【図6】従来のスケジュールテーブルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る液体クロマトグラフ用制御装置の一実施例を、図面を参照して説明する。図1は本実施例による制御装置を備えた液体クロマトグラフの概略構成図である。
【0017】
この液体クロマトグラフは、送液部10、オートサンプラ20、カラムオーブン30、検出部40、これら各部をそれぞれ制御するシステムコントローラ50、システムコントローラ50を通して分析作業を管理したり検出部40で得られたデータを解析・処理したりする制御装置60、制御装置60に接続されたキーボードやマウスから成る操作部71、ディスプレイから成る表示部72などを備える。
【0018】
送液部10は、送液ポンプPによって吸引された溶媒Aと、送液ポンプPによって吸引された溶媒Bとをグラジエントミキサー17によって混合した上でカラムへと送出するものであり、更に、送液ポンプP、Pにはそれぞれ溶媒切替バルブ15、16及び脱気ユニット13、14を介して4つの溶媒容器が接続されている。このうち、送液ポンプPに接続された溶媒容器11a〜11dには例えば水系の溶媒(水を主成分とする溶媒)が収容されており、溶媒切替バルブ15の切り替えにより、これら4つの溶媒容器11a〜11dの内の1つが選択されて該容器内の溶媒が前記溶媒Aとして送液ポンプPにより吸引される。一方、送液ポンプPに接続された溶媒容器12a〜12dには例えば有機系の溶媒(有機溶媒を主成分とする溶媒)が収容されており、溶媒切替バルブ16の切り替えにより4つの溶媒容器12a〜12dの内の1つが選択されて該容器内の溶媒が前記溶媒Bとして送液ポンプPにより吸引される。これら送液ポンプP、Pの流量は時間経過に伴ってそれぞれ変化するように制御することが可能であり、これによって溶媒A、Bの混合比率が時間的に変化するグラジエント方式の送液を行うことができる。カラムオーブン30は、6つのカラム32a〜32f、及びこれらのカラムのいずれか1つを選択的に移動相の流路に接続するための流路切替部31、33を内装している。検出部40には例えばPDA検出器などの検出器41が設けられている。
【0019】
制御装置60は、記憶部61、分析条件設定部62、スケジュールテーブル作成部63、分析制御部64、及びデータ処理部65を機能ブロックとして含んでいる。制御装置60の実体はパーソナルコンピュータであり、パーソナルコンピュータにインストールした専用の制御/処理ソフトウエアを実行することにより各種機能が達成される。なお、前記の分析制御部64が本発明における制御手段に相当し、分析条件設定部62が本発明における条件選択手段に相当する。また、操作部71が本発明における操作手段、表示部72が本発明における表示手段として機能する。
【0020】
上記の液体クロマトグラフを用いた1回のグラジエント分析における標準的な分析動作は次の通りである。即ち、制御装置60の分析制御部64から指示を受けたシステムコントローラ50の制御の下で、溶媒切替バルブ15、16がそれぞれ1つの溶媒容器を選択し、送液ポンプP、Pが前記溶媒容器から所定の流量で以て溶媒を吸引する。送液ポンプPで吸引された溶媒Aと送液ポンプPで吸引された溶媒Bは、グラジエントミキサー17によって均一に混合され、混合後の移動相は、オートサンプラ20を介してカラムへと流入する。オートサンプラ20には1つ以上の試料瓶(バイアル)が搭載されたラックがセットされており、システムコントローラ50の制御の下に所定の試料を選択してこれを採取し、所定のタイミングで以て該試料を移動相中に注入する。この試料は移動相に乗ってカラム32a〜32fのいずれかに導入される。
【0021】
このとき、試料の注入から所定の時間が経過するまでの間は、溶媒Bの比率が低く、溶媒Aの比率が高い状態となるように送液ポンプP、Pの流量が制御される(試料導入工程)。溶媒Aとしては、溶出力の弱い溶媒が用いられるため、これにより試料中の各成分が一旦カラムに吸着する。続いて、送液ポンプP、Pの流量を時間経過に従って変化させて溶媒Bの比率を上げていく(グラジエント工程)。溶媒Bとしては、溶出力の強い溶媒が用いられるため、これによりカラムに吸着していた各成分がその極性に応じて順次カラムから溶出されて検出部40に導入される。
【0022】
そして、検出部40に設けられた検出器41によって各成分が順次検出され、その濃度に応じた検出信号をデジタル化したデータがシステムコントローラ50を介して制御装置60へ送られる。制御装置60では受け取ったデータをハードディスク等の記憶装置上に設けられた記憶部61に格納するとともに、データ処理部65で所定の処理を行ってクロマトグラムを作成し表示部72の画面上に表示する。その後、溶媒Bを一定時間高濃度で送液することによりカラムを洗浄し(洗浄工程)、再び初期の移動相組成に戻してカラムを一定時間平衡化する(平衡化工程)。
【0023】
次に、本実施例の液体クロマトグラフ装置における特徴的な構成について、メソッドファイル作成時の動作と併せて説明する。
図2及び図3は溶媒容器11a〜11dと脱気ユニット13をつなぐ4本の溶媒流路、溶媒容器12a〜12dと脱気ユニット14をつなぐ4本の溶媒流路に取り付けられる溶媒識別部材の例を示す図である。また、図4は6つのカラム32a〜32fと流路切替部31をつなぐ6本の配管に取り付けられるカラム識別部材83を示す図である。これら識別部材はいずれもプレート90と結束バンド91から成り、結束バンド91の基部(プレート90側の端部)に挿通孔が設けられている。前記結束バンド91を溶媒流路及び配管に巻き付けた後、該結束バンド91を挿通孔に挿通して締め付けることにより識別部材が溶媒流路及び配管に取り付けられる。これら識別部材は取り付けられる溶媒流路や配管の種類を区別できるようするための部材であり、以下に述べるような特徴的な色を有している。
【0024】
即ち、前記溶媒識別部材のうち送液ポンプPにより吸引される溶媒Aの流路に取り付けられる溶媒識別部材81Aは、白色のプラスチック製のプレート及び結束バンドから成り、プレートには寒色系の色のシールが貼付されている。各プレートに貼付されるシールは全て異なる色から成り、それぞれ送液ポンプの種類を表す「A/MP」の文字と、溶媒の種類を表す「A」〜「D」の文字が印刷されている。
【0025】
送液ポンプPにより吸引される溶媒Bの流路に取り付けられる溶媒識別部材91Bは白色のプラスチック製のプレート及び結束バンドから成り、各プレートには暖色系の色のシールが貼付されている。各プレートに貼付されるシールは全て異なる色から成り、それぞれ送液ポンプの種類を表す「B/MP」の文字と溶媒の種類を表す「A」〜「D」の文字が印刷されている。
【0026】
一方、カラム32a〜32fの配管に取り付けられるカラム識別部材92は黒色のプラスチック製のプレート及び結束バンドから成り、各プレートには互いに異なる色のシールが貼付されている。カラム識別部材92のプレートに貼付されるシールの色は溶媒識別部材のプレートに貼付されるシールの色と同じでも良く、異なっていても良い。各シールには、それぞれカラムを表す文字「COL」とカラムの種類を表す数字「1」〜「6」から成る記号が印刷されている。
【0027】
これに対して、図5は表示部72の画面上に表示される移動相・カラム選択画面100の例を示す図である。移動相・カラム選択画面100は、グラジエント分析によるメソッドスカウティングを行う際に、溶媒Aとして使用する溶媒の種類、溶媒Bとして使用する溶媒の種類、及びカラムの種類をそれぞれ選択するための画面である。従って、前記移動相・カラム選択画面100が本発明の条件選択画面に相当する。
前記移動相・カラム選択画面100には、図1に示す本実施例の液体クロマトグラフのうち、送液部10、オートサンプラ20、カラムオーブン30、検出部40(検出器41)の構成要素を示すシンボルが表示されている。
このとき、送液部10を構成する送液ポンプを示すシンボルには、該送液ポンプが吸引する溶媒の種類を示す文字「A」又は「B」が付されている。また、各溶媒容器及びカラムを示すシンボルには、それぞれ対応する識別部材のプレートに貼付されたシールの色と同じ色が付されている。
【0028】
このような液体クロマトグラフにおける、メソッドファイルの作成時の動作は次の通りである。まず、ユーザが操作部71を操作して、グラジエント分析によるメソッドスカウティングを行う旨を分析条件設定部62に入力する。これにより、表示部72の画面上に移動相・カラム選択画面100が表示されるので、該画面100上でユーザが溶媒Aとして使用する溶媒の種類、溶媒Bとして使用する溶媒の種類、及びカラムの種類をそれぞれ選択する。選択作業は、操作部71を操作して溶媒容器やカラムの側に対応して設けられているチェックボックスにチェックを入れることで行う。例えば図5は、溶媒A及び溶媒Bとしてそれぞれ水とACNが選択され、カラムとしてXRODSが選択された状態を示している。
【0029】
このような移動相・カラム選択画面100での設定が完了すると、続いて分析条件設定部62は表示部72の画面上に基本設定画面やグラジエント詳細設定画面(いずれも図示略)等を表示させる。これらの設定画面でユーザが分析対象とする試料名とその注入量、及びグラジエント分析に適用するグラジエントプロファイル等を設定すると、スケジュールテーブル作成部63によりそれぞれ異なる分析条件を記述した複数のメソッドファイルが作成されると共に、各メソッドファイルによる分析順序等を記述したスケジュールテーブルが作成される。その後、ユーザが所定の操作を行って分析の開始を指示すると、前記スケジュールテーブルに従った自動分析が開始され、各メソッドファイルの記述に従ったグラジエント分析が順次実行される。
【0030】
なお、上記の例では移動相・カラム選択画面100において、溶媒A、溶媒B及びカラムとして1種類のものを指定したが、2種類以上のものを指定してメソッドスカウティングを行うようにしても良い。例えば、移動相・カラム選択画面100において溶媒Aを1種類、溶媒Bを1種類、カラムを2種類指定し、6種類のグラジエントプロファイルでメソッドスカウティングを行う場合、これらの組合せから成る、1×1×2×6=12種類のメソッドファイルが作成される。移動相・カラム選択画面100において溶媒Aを2種類、溶媒Bを1種類、カラムを2種類指定し、6種類のグラジエントプロファイルでメソッドスカウティングを行う場合、これらの組合せから成る、2×1×2×6=24種類のメソッドファイルが作成される。
【0031】
以上のように、本実施例では、移動相・カラム選択画面100に表示される溶媒容器やカラムを示すシンボルの色と、実際のカラムや溶媒流路に取り付けられる識別部材のプレートの色を揃えたため、移動相・カラム選択画面100上で移動相として使用する溶媒の種類やカラムの種類を正しく選択することができる。
【0032】
なお、上記した実施例では、溶媒識別部材とカラム識別部材の両方をプレート及び結束バンドから構成したが、溶媒識別部材として、溶媒容器に直接貼付するシールを採用することもできる。また、溶媒容器に装着される蓋の色を異ならせることで、溶媒容器に収容されている溶媒の種類を区別することもできる。この場合、前記の蓋が溶媒識別部材に相当する。
また、カラム識別部材はカラムの配管だけでなくカラムに直接取り付けても良い。
さらに、上記実施例では溶媒の種類に応じて溶媒識別部材の色を暖色系と寒色系に色分けしたが、ランダムに異なる色に分けても良い。
【符号の説明】
【0033】
10…送液部
11a〜11d、12a〜12d…溶媒容器
、P…送液ポンプ
15、16…溶媒切替バルブ
17…グラジエントミキサー
20…オートサンプラ
30…カラムオーブン
32a〜32f…カラム
40…検出部
41…検出器
50…システムコントローラ
60…制御装置
61…記憶部
62…分析条件設定部
63…スケジュールテーブル作成部
64…分析制御部
65…データ処理部
71…操作部
72…表示部
81A、81B…溶媒識別部材
92…カラム識別部材
200…グラジエント詳細設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送液ポンプに溶媒流路を介して接続された溶媒容器から移動相を構成する溶媒を吸引し、試料と共にカラムに導入することによりクロマトグラフ分析を行う液体クロマトグラフにおいて、
a)前記送液ポンプの送出側にカラム切替バルブを介して接続された複数のカラムと、
b)前記送液ポンプの吸引側に溶媒切替バルブを介して接続された、複数の溶媒容器から溶媒を吸引するための複数の溶媒流路と、
c)前記送液ポンプによって溶媒が吸引される溶媒容器、及び前記移動相が導入されるカラムをユーザに選択させる条件選択手段と、
d)前記条件選択手段による選択内容に基づいて前記溶媒切替バルブ及び前記カラム切替バルブを制御する制御手段とを備え、
前記条件選択手段が、少なくとも前記複数の溶媒容器、及び前記複数のカラムのそれぞれを示すシンボルを用いた条件選択画面を表示する表示手段と、前記条件選択画面上でユーザに溶媒容器及びカラムを選択させるための操作手段とを備え、
前記表示手段が、前記条件選択画面上の前記複数の溶媒容器を示すシンボルを互いに異なる色で表示し、前記複数のカラムを示すシンボルを互いに異なる色で表示することを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項2】
e)前記複数の溶媒容器又は溶媒流路に取り付けるための、互いに異なる色を有する複数の溶媒識別部材と、
f)前記複数のカラム又はカラムの配管に取り付けるための、互いに異なる色を有する複数のカラム識別部材と、
をさらに備え、
前記表示手段が、前記条件選択画面上の前記複数の溶媒容器を示すシンボルを対応する前記溶媒識別部材と同じ色で表示し、前記複数のカラムを示すシンボルを対応する前記カラム識別部材と同じ色で表示することを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項3】
前記溶媒容器が、有機系の溶媒を収容する複数の有機系溶媒容器と水系の溶媒を収容する複数の水系溶媒容器を含み、
前記表示手段が、前記条件選択画面上の有機系溶媒容器を示すシンボル及び前記水系溶媒容器を示すシンボルのうちの一方を暖色系の色で、他方を寒色系の色で表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1に記載の条件選択手段及び制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24601(P2013−24601A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157129(P2011−157129)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)