説明

液体コンテナ

【課題】コンテナ本体内に比較的粘度の高い液体を収容してもこの液体をスムーズに排出する。
【解決手段】液体コンテナ10であって、コンテナ本体11には、その内部に収容された液体Lの液面L1と上蓋部11bとの間に気体を供給して、液面L1に気体圧を作用させる気体供給手段16が連結され、 ガイド孔の内周面と、ロッド14の上端部外周面との間に、これらの間を気密に保持するシール部材が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に液体が収容される液体コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体や粒体等の流動性物質が内部に収納されるコンテナとして、例えば下記特許文献1に示されるような、底部に前記流動性物質の排出口が形成されたコンテナ本体と、排出口を開閉するバルブと、が備えられ、バルブを操作して排出口を開くことにより流動性物質をこの排出口から排出する構成が知られている。
【特許文献1】特開平11−100091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のコンテナでは、コンテナ本体内に比較的粘度の高い液体を収容すると、粉体や粒体と比べて排出し難くなるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような背景の下になされたもので、コンテナ本体内に比較的粘度の高い液体を収容してもこの液体をスムーズに排出することができる液体コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明の液体コンテナは、内部に液体が収容され底部に前記液体の排出口が形成されたコンテナ本体と、このコンテナ本体内に設けられ前記排出口を開閉するバルブと、このバルブに鉛直方向上方に向けて延設され、上端部が、コンテナ本体の上蓋部に形成された挿通孔を通してこのコンテナ本体の上方に突出したロッドと、前記上蓋部に設けられ、前記ロッドの上端部が挿入されるガイド孔が形成されたロッドガイド部と、前記上蓋部の上方に設けられ、前記ロッドを上下動可能に支持する昇降手段と、が備えられ、この昇降手段でロッドを上下動させることによりバルブで排出口を開閉する液体コンテナであって、前記コンテナ本体には、その内部に収容された液体の液面と前記上蓋部との間に気体を供給して、前記液面に気体圧を作用させる気体供給手段が連結され、前記ガイド孔の内周面と、前記ロッドの上端部外周面との間に、これらの間を気密に保持するシール部材が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、コンテナ本体内に収容された液体の液面に気体圧を作用させる気体供給手段が設けられているので、排出口を開口したときに、この液体を、その自重のみならず液面に作用する気体圧によって排出口から排出することが可能になり、この液体が比較的粘度の高い液体であってもこれをスムーズに排出することができる。さらに、コンテナ本体の内周面に付着した液体にも気体圧を作用させることが可能になり、コンテナ本体内の液体の残留量を低減することができる。
しかも、前記シール部材が設けられているので、前記気体供給手段からの気体がコンテナ本体内からガイド孔を通して外部に漏出するのを抑制して、前記気体圧を液体の液面に効率的に作用させることが可能になり、液体のスムーズな排出を確実に実現することができる。
【0006】
ここで、前記コンテナ本体には、その内部に収容された液体を加熱する加熱手段が設けられてもよい。
この場合、液体を加熱してその粘度を低下させることが可能になり、液体のスムーズな排出をより一層確実に実現することができるとともに、液体がコンテナ本体の内面に付着、堆積するのを防ぐことも可能になり、収容する液体の種類を変更する際にコンテナ本体を洗浄するのに要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る液体コンテナによれば、コンテナ本体内に比較的粘度の高い液体を収容してもこの液体をスムーズに排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図1から図3に基づいて本発明の一実施形態を説明する。本実施形態に係る液体コンテナ10は、内部に液体Lが収容され底部11aに液体Lの排出口12が形成されたコンテナ本体11と、このコンテナ本体11内に設けられ排出口12を開閉するバルブ13と、このバルブ13に鉛直方向上方に向けて延設され、上端部が、コンテナ本体11の上蓋部11bに形成された挿通孔11cを通してこのコンテナ本体11の上方に突出したロッド14と、上蓋部11bに設けられ、ロッド14の上端部が挿入されるガイド孔15aが形成されたロッドガイド部15と、上蓋部11bの上方に設けられ、ロッド14を上下動可能に支持する図示されない昇降手段と、を備えている。
以上より、前記昇降手段でロッド14を上下動させることによりバルブ13で排出口12を開閉するようになっている。
【0009】
コンテナ本体11は、上蓋部11bの外周縁部から鉛直方向に沿って下方に延びる円筒状の本体部11dと、この本体部11dの下端部に連結され、鉛直方向下方に向かうに従い漸次縮径された漏斗状の底部11aとを備え、この漏斗状の底部11aの下端頂部に排出口12が形成されている。本実施形態では、コンテナ本体11の外面において、排出口12の開口周縁部に排出口12と同軸上に排出筒部18が垂設されている。なお、排出筒部18の内径と排出口12の内径とは同等となっている。また、本体部11dの鉛直方向長さは、底部11aよりも短くなっている。さらに、このコンテナ本体11は、例えばステンレス鋼等の金属材料で形成され、その内面は例えばバフ研磨等の研磨加工が施され摩擦抵抗の低減が図られている。なお、収容する液体が酸性物質の場合には、金属材料で形成されたコンテナ本体11の内面に樹脂材料膜を形成するのが好ましい。また、コンテナ本体11を金属材料に代えて、例えば樹脂材料で形成してもよい。
【0010】
なお、排出筒部18には、図示されない排出管が連結される。また、コンテナ本体11の上蓋部11bに形成された挿通孔11cと、ロッドガイド部15のガイド孔15aとは同軸上に位置している。さらに、挿通孔11cはガイド孔15aよりも大径となっている。さらにまた、ガイド孔15aが開口するロッドガイド部15の下端面と、挿通孔11cが開口する上蓋部11bの外面との間には、図示されないパッキンが介在されており、これらの間の気密性が確保されている。
【0011】
バルブ13は、ロッド14が連結された上端から下方に向かうに従い漸次拡径したコーン部13aと、このコーン部13aの下端面に取り付けられ、可撓性を有するシールリング部13bとを備えている。なお、このシールリング部13bは、例えばフッ素ゴムで形成され、また、コーン部13aおよびロッド14は、例えばステンレス鋼等で一体的に形成されている。図示の例では、シールリング部13bは、締結部材13dでコーン部13aの下端面と取り付け板13cとの間に挟み込まれることにより、コーン部13aの下端面に取り付けられている。なお、シールリング部13bの外径は、コーン部13aの下端面の外径と同等とされ、かつ排出筒部18および排出口12の各内径よりも若干大きくなっている。
【0012】
以上の構成において、バルブ13が前記昇降手段により下端位置に到達したときに、コンテナ本体11の排出筒部18の内周面、およびコンテナ本体11の内面における排出口12の開口周縁部に、シールリング部13bの外周面が液密状態で接触することにより、排出口12が閉塞されるようになっている。
【0013】
そして、本実施形態では、コンテナ本体11に、その内部に収容された液体Lの液面L1と上蓋部11bとの間に気体を供給して、液面L1に気体圧を作用させる気体供給手段16が連結されている。この気体供給手段16は、コンテナ本体11の上蓋部11bに連結され、コンテナ本体11内の液体Lの液面L1に、鉛直方向上方から気体を吹き付けて気体圧を作用させるようになっている。また、この気体供給手段16は、上面視円形の上蓋部11bにおいて、その中心軸線を径方向で挟んだ互いに対向する位置にそれぞれ連結され、液面L1の全域にわたって均等な気体圧を作用させることができるようになっている。ここで、気体供給手段16からコンテナ本体11内に供給された気体の一部は、コンテナ本体11の内周面上を液面L1に向かって流れる。
【0014】
また、本実施形態では、ロッドガイド部15のガイド孔15aの内周面と、ロッド14の上端部外周面との間に、これらの間を気密に保持するシール部材17が設けられている。すなわち、ロッド14の上端部外周面は、このロッド14が前記昇降手段で上下動させられるとき、および停止しているときの別を問わず、常に、ガイド孔15aの内周面との間の気密性が保たれるように、シール部材17に支持されている。このシール部材17はリング状体とされ、ロッドガイド部15のガイド孔15aの内周面に同軸的に嵌合されている。
【0015】
図示の例では、シール部材17は、ガイド孔15aの下端開口部側から、例えばポリエチレン等からなる第1シール部材17aと、ポリ4フッ化エチレン等からなる第2シール部材17bと、汎用のオイルシール等からなる第3シール部材17cとがこの順に積層された積層構造となっている。これらの第1シール部材17a、第2シール部材17bおよび第3シール部材17cは、相互間で気密性が保たれるように互いに密接している。
【0016】
さらに、本実施形態では、コンテナ本体11の外周面に、その内部に収容された液体Lを加熱する図示されない加熱手段が設けられている。ここで、この加熱手段としては、例えば、コンテナ本体11の外周面に電熱ヒータを巻き付けてもよいし、あるいはコンテナ本体11の外周面に配管を巻き付けて、この配管内に温水若しくは水蒸気を供給してもよい。
【0017】
以上のように構成された液体コンテナ10においては、コンテナ本体11内の液体Lを排出する際、前記昇降手段で、ロッド14を、その上端部外周面をシール部材17の内周面に摺接させつつ、上方に移動させることにより、バルブ13を排出口12から離間させてこの排出口12を開口させる。この際、コンテナ本体11内において上蓋部11bと液面L1との間に気体供給手段16から気体を供給して、この液面L1に気体圧を作用させる一方、前記加熱手段で液体Lを加熱する。
【0018】
そして、液体Lの排出を停止させる際、気体供給手段16による気体の供給を停止する一方、前記昇降手段で、ロッド14を、その上端部外周面をシール部材17の内周面に摺接させつつ、下方に移動させて、バルブ13を下端位置に到達させたときに、排出筒部18の内周面、およびコンテナ本体11の内面における排出口12の開口周縁部に、シールリング部13bの外周面を液密状態で接触させて排出口12を閉塞する。
【0019】
以上説明したように、本実施形態に係る液体コンテナ10によれば、コンテナ本体11内に収容された液体Lの液面L1に気体圧を作用させる気体供給手段16が設けられているので、排出口12を開口させたときに、この液体Lを、その自重のみならず液面L1に作用する気体圧によって排出口12から排出することが可能になり、この液体Lが比較的粘度の高い液体であってもこれをスムーズに排出することができる。さらに、コンテナ本体11の内周面に付着した液体にも気体圧を作用させることが可能になり、コンテナ本体11内の液体の残留量を低減することができる。
【0020】
しかも、ロッドガイド部15のガイド孔15aの内周面とロッド14の上端部外周面との間に、シール部材16が設けられているので、気体供給手段16からの気体がコンテナ本体11内からガイド孔15aを通して外部に漏出するのを抑制して、前記気体圧を液体Lの液面L1に効率的に作用させることが可能になり、液体Lのスムーズな排出を確実に実現することができる。
特に、本実施形態では、ロッドガイド部15の下端面と上蓋部11bの外面との間にも図示されないパッキンが介在されて、これらの間の気密性が確保されているので、気体供給手段16からコンテナ本体11内に供給された気体が外部に漏出するのを一層確実に抑えることができる。
【0021】
また、本実施形態では、コンテナ本体11の外周面に、その内部に収容された液体Lを加熱する加熱手段が設けられているので、液体Lを加熱してその粘度を低下させることが可能になり、液体Lをより一層スムーズに排出することができるとともに、液体Lがコンテナ本体11の内面に付着、堆積するのを防ぐことも可能になり、収容する液体Lの種類を変更する際にコンテナ本体11を洗浄するのに要する時間を短縮することができる。
【0022】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、コンテナ本体11の外周面に加熱手段を設けたが、この加熱手段をロッド14やコンテナ本体11の内周面に設けてもよく、また、電熱コイルをコンテナ本体11内に投入してもよい。さらには前記加熱手段は設けなくてもよい。
また、前記実施形態では、シール部材17として3層からなる積層構造を示したが、これに代えて、例えば単層構造としてもよいし、2層若しくは4層以上からなる多層構造としてもよい。
【0023】
さらに、コンテナ本体11に供給する気体として、例えばエアを採用してもよく、また、コンテナ本体11内に収容した液体が食品等の酸化を防ぐ必要があるものは、不活性ガス若しくは窒素ガス等を採用してもよい。
また、コンテナ本体11内に供給する気体は、その温度を適宜調整してもよい。例えば、加熱した気体をコンテナ本体11に供給すると、収容された液体の粘度を低下させることができるので、液体のスムーズな排出およびコンテナ本体11内の液体の残留量の低減を確実に実現することができる。
【0024】
さらに、コンテナ本体11内に供給する気体の気体圧は、例えばコンテナ本体11内の液体の残量や、所望する液体の排出速度に応じて適宜設定してもよい。
また、コンテナ本体11内に、収容された液体を撹拌する撹拌手段を設けてもよい。例えば、図4に示されるような、ロッド14の外周面に回転可能に撹拌手段19を嵌合してもよい。図示の例では、撹拌手段19は、ロッド14の上部外周面側から径方向外方に突出した第1パイプ19aと、この第1パイプ19aの突端からコンテナ本体11の内周面に沿って垂設されて下端がロッド14の下部外周面側に連結された第2パイプ19bと、を備えている。この撹拌手段19は、コンテナ本体11内の液体Lを排出する際、ロッド14回りに回転させられて用いられ、コンテナ本体11内の液体Lのうち、このコンテナ本体11の内周面上に位置する液体Lをこの内周面から引き離しつつ、コンテナ本体11内の液体Lを撹拌できるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0025】
コンテナ本体内に比較的粘度の高い液体を収容してもこの液体をスムーズに排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態として示した液体コンテナの正面縦断面図である。
【図2】図1に示す液体コンテナのA部拡大図である。
【図3】図1に示す液体コンテナのB部拡大図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る液体コンテナの一部を示す正面縦断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 液体コンテナ
11 コンテナ本体
11a 底部
11b 上蓋部
11c 挿通孔
12 排出口
13 バルブ
14 ロッド
15 ロッドガイド部
15a ガイド孔
16 気体供給手段
17 シール部材
L 液体
L1 液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体が収容され底部に前記液体の排出口が形成されたコンテナ本体と、
このコンテナ本体内に設けられ前記排出口を開閉するバルブと、
このバルブに鉛直方向上方に向けて延設され、上端部が、コンテナ本体の上蓋部に形成された挿通孔を通してこのコンテナ本体の上方に突出したロッドと、
前記上蓋部に設けられ、前記ロッドの上端部が挿入されるガイド孔が形成されたロッドガイド部と、
前記上蓋部の上方に設けられ、前記ロッドを上下動可能に支持する昇降手段と、が備えられ、
この昇降手段でロッドを上下動させることによりバルブで排出口を開閉する液体コンテナであって、
前記コンテナ本体には、その内部に収容された液体の液面と前記上蓋部との間に気体を供給して、前記液面に気体圧を作用させる気体供給手段が連結され、
前記ガイド孔の内周面と、前記ロッドの上端部外周面との間に、これらの間を気密に保持するシール部材が設けられていることを特徴とする液体コンテナ。
【請求項2】
請求項1記載の液体コンテナであって、
前記コンテナ本体には、その内部に収容された液体を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする液体コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−68880(P2008−68880A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246888(P2006−246888)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】