説明

液体コンテナ

【課題】円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体と、コンテナ用袋体とを含む液体コンテナにおいて、コンテナ用袋体のコンテナ本体へのセット作業が容易であり、かつ袋体内の液体を排出した際に液体が袋体内に残留しない構造を提供する。
【解決手段】分割形成された上部体11aと下部体11bと底板12が締結自在に設けられてなるコンテナ本体1と、コンテナ本体1に装入セットされるコンテナ用袋体3を備え、コンテナ用袋体3は、袋底部の口部材4をコンテナ本体1の底板12に有する開口16に係合してコンテナ本体1に装入セットした状態において前記上部体11aと下部体11bの締結部及び前記下部体11bと底板12の締結部に対応する位置付近の周上に外方への張り出し片34、35を有し、張り出し片34、35が前記締結部に挟着固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種薬品や液状食品その他の液体の輸送に用いられる液体コンテナ、特にドラム缶形のコンテナ本体と袋体とを組み合わせた液体コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の薬品や液状の食品あるいは飲料や液状塗料等の液体を収容し輸送するコンテナとして、金属製やプラスチック製のタンクが一般に用いられていたが、この種のタンクはかなり高価であり、また繰り返し使用するための洗浄、特にバルブ付き排出管の洗浄がきわめて面倒なものになっていた。
【0003】
そのため、近年、繰り返し使用のための洗浄作業を容易にあるいは不要にするために、ポリエチレン等の合成樹脂製やステンレス等の金属製のコンテナ本体内に、ワンウエイ使用の合成樹脂フィルム製の袋体を装入セットして使用する液体コンテナが出現している。
【0004】
本出願人も、合成樹脂フィルム等よりなるコンテナ用袋体を剛性のあるコンテナ本体と組み合わせた液体コンテナとして、コンテナ本体への袋体のセット作業及びバルブ付き排出管のセット作業、袋体底部の排出口とバルブ付き排出管との接続作業等を容易に行うことができ、かつ袋体の取り出しの際に残留液が滴り落ちるのを防止するために、袋体底部の排出口にバルブ付き排出管を接続しておいて、この排出管を、コンテナ本体の内側から底受部に有する開口を通して該底受部の下方に出して支持し、また袋体を取り出す際に、排出管を接続したままにしてコンテナ本体内に抜き出して取り出せるようにした液体コンテナを提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3769653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記提案の液体コンテナにおいて、コンテナ本体への袋体及びバルブ付き排出管のセット作業、またコンテナ本体からの袋体及びバルブ付き排出管の取り出し作業の際、コンテナ本体の深さ(高さ)の割に容積が小さいために、コンテナ本体内に入って作業するのが困難である上、コンテナ本体の上部開口からは作業者の手が底部の開口付近まで届きにくく、作業しにくいという問題がある。
【0007】
また、袋体内の液体を排出管からポンプ等により吸引して給出する場合、袋体内の液体量が減少するのに伴って袋体が上部から凹むように萎み、内部の液体が全て排出されるまでに袋体が吸引されてコンテナ本体の排出口に入り込んで排出口を塞いでしまうことがあり、その結果、袋体内に残留する液体量が多くなるといった問題がある。この問題は収容する液体が粘度の高いものであるほど顕著であり、袋体を使い捨てにする場合は不経済である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の液体コンテナは、パレット上に支持脚部によりバルブ付き排出管を配置するための間隔を存して支持された竪筒形のコンテナ本体と、排出管締結用の筒部の一端にフランジ部を連設してなる排出口用の口部材が前記フランジ部で袋底部に固着され前記コンテナ本体に装入セットされるコンテナ用袋体と、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管を含むバルブ付き排出管とからなる液体コンテナであって、コンテナ本体は、筒状胴部で分割形成された上部体と下部体とが締結自在に設けられてなり、前記コンテナ用袋体は、袋底部の口部材をコンテナ本体の底板に有する開口に係合してコンテナ本体に装入セットした状態において前記コンテナ本体の上部体と下部体の締結部と対応する位置付近の周上に外方への張り出し片を有し、前記張り出し片が上部体と下部体との前記締結部に挟着固定されることにより、コンテナ用袋体の底部及び下部がコンテナ本体の内面に沿って保持されることを特徴とするものである。
【0009】
これにより、コンテナ本体への袋体及びバルブ付き排出管のセット作業、またコンテナ本体からの袋体及びバルブ付き排出管の取り出し作業の際、コンテナ本体の上部を外して作業することができるため、手が排出口に届きやすくなり、上記作業を容易に行うことができる。また袋体内部の液体を排出する際、袋体内部の液体の量が減っても、コンテナ本体の上部と下部の間に前記コンテナ用袋体の張り出し片が挟まれているために、袋体がコンテナ本体の排出口に吸引されて排出口を塞ぐことが無く、高粘度の液体であっても、液体が袋体内部に殆ど残ることがない。
【0010】
前記のコンテナ本体は、前記下部体とコンテナ本体の底板が締結自在に設けられてなり、前記コンテナ用袋体は、袋底部の口部材をコンテナ本体の底板に有する開口に係合してコンテナ本体に装入セットした状態において前記下部体とコンテナ本体の底板の締結部と対応する位置付近に外方への張り出し片を有し、前記張り出し片が前記下部体と前記底板の締結部に挟着固定されることにより、コンテナ用袋体の底部及び下部がコンテナ本体の内面に沿って保持されるものであることが望ましい。この場合、袋体内部の液体を排出する際、袋体内部の液体の量が減っても、前記下部体と前記底板の締結部に前記コンテナ用袋体の張り出し片が挟まれているために、袋体底部がコンテナ本体の排出口に吸引されて排出口を塞ぐことが無く、高粘度の液体であっても、液体が袋体内部に殆ど残ることがない。
【0011】
前記のコンテナ本体は、円筒状のドラム缶形であることが、製造上望ましい。
【0012】
前記の液体コンテナにおいて、コンテナ用袋体の張り出し片が、前記締結部と対応する位置付近の周上に周方向に連続して外方に延出していることが望ましい。これにより張り出し片が前記締結部に確実に挟着固定される。
【0013】
前記の各液体コンテナにおいて、コンテナ本体の上部体の下端部と下部体の上端部との一方には、パッキンを保持する円弧状部が、他方には、前記パッキンを介して円弧状部と対向する巻き締め部が設けられ、前記円弧状部と巻き締め部とが環状の締結手段により締結自在に設けられるとともに、前記円弧状部材に保持されたパッキンと巻き締め部との間にコンテナ用袋体の張り出し片を挟着できるようにすることができる。これにより張り出し片がコンテナ本体の上部体と下部体の締結部に確実に挟着固定されるとともに、コンテナ用袋体の張り出し片がこれを挟着するコンテナ本体の上部体の下端部と下部体の上端部により損傷を受けることを防ぐことができる。
【0014】
前記の各液体コンテナにおいて、コンテナ本体の底板の周端部にはパッキンを保持する溝が設けられ、コンテナ本体の下部体の下端部には、前記パッキンを介して前記溝と対向する巻き締め部が設けられ、前記溝を形成する円弧状部と巻き締め部とが環状の締結手段により締結自在に設けられるとともに、前記溝に保持されたパッキンと巻き締め部との間にコンテナ用袋体の張り出し片を挟着できるようにすることができる。これにより張り出し片がコンテナ本体の底板と下部体の締結部に確実に挟着固定されるとともに、コンテナ用袋体の張り出し片がこれを挟着するコンテナ本体の底板と下部体により損傷を受けることを防ぐことができる。
【0015】
前記の各液体コンテナにおいて、コンテナ本体の上部体と下部体とが、コンテナ本体の高さ方向の中間部付近で分割され、前記締結部の位置がコンテナ本体の高さ方向中間部付近の位置にあることが好ましい。これにより、コンテナ用袋体は、袋底部の口部材をコンテナ本体の底板に有する開口に係合してコンテナ本体に装入セットした状態において、コンテナ本体の高さ方向の中間部付近の位置に対応する位置の周上に外方への張り出し片を有し、当該張り出し片が前記締結部に挟着固定されるため、袋体内の液体量が減少するのに伴って袋体が上部から凹むように萎んでも、コンテナ用袋体の前記張り出し片より上方にあった部分が袋底部に届くことが無く、袋体がコンテナ本体の排出口に吸引されて排出口を塞ぐことが無い。
【0016】
前記の各液体コンテナにおいて、コンテナ本体の底板の中央部に、前記口部材の筒部に締結されたバルブ付き排出管を抜き通し得る開口が設けられるとともに、前記口部材の筒部の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材のフランジ部を受ける受け部材が、前記底板の開口周縁部に係合セット自在に設けられていることが望ましい。これにより、円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体に対するコンテナ用袋体のセット作業及びバルブ付き排出管のセット作業、袋体底部の排出口とバルブ付き排出管との接続作業等を容易に行うことができ、かつ袋体の取り出しの際に残留液が滴り落ちるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体コンテナによれば、コンテナ本体への袋体及びバルブ付き排出管のセット作業、またコンテナ本体からの袋体及びバルブ付き排出管の取り出し作業の際、コンテナ本体の上部を外して作業することができるため、手が排出口に届きやすくなり、上記作業を容易に行うことができる。また袋体内部の液体の量が減っても、コンテナ本体の上部と下部の間に前記コンテナ用袋体の張り出し片が挟まれているために、袋体がコンテナ本体の排出口に吸引されて排出口を塞ぐことが無く、高粘度の液体であっても、液体が袋体内部に殆ど残ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る液体コンテナの組立てセット状態の概略を示す断面図である。
【図2】同上の一部を欠載した正面図である。
【図3】コンテナ本体の上部体と下部体、下部体と底板の締結部分の拡大断面図である。
【図4】コンテナ用袋体の概略を示す正面図である。
【図5】上部体、下部体、底板に分割されたコンテナ本体と上下締結手段の斜視図である。
【図6】コンテナ用袋体の排出口用の口部材にバルブ付き排出管を接続する前の一部の拡大断面図である。
【図7】バルブ付き排出管を排出口用の口部材に接続した状態の一部の拡大断面図である。
【図8a】排出口用の口部材の平面図である。
【図8b】排出口用の口部材の斜視図である。
【図9】排出口用の口部材の受け部材としてテーパー状をなす筒壁部を有する受け部材を使用した場合の、バルブ付き排出管を排出口用の口部材に接続した状態の一部の拡大断面図である。
【図10】コンテナ本体を省略したパレット上面の平面図である。
【図11】バルブ付き排出管の位置決め係止部の部分の拡大斜視図である。
【図12】同上のバルブ外周部分を位置決め固定した状態の一部の拡大断面図である。
【図13】コンテナ本体の底板中央部の開口にバルブ付き排出管を通す状態の一部の断面図である。
【図14】同上の排出管を開口に通して組立てセットした状態の一部の断面図である。
【図15a】上部体、下部体、底板に分割されたコンテナ本体の拡大断面図である。
【図15b】下部体と底板を締結したコンテナ本体の拡大断面図である。
【図15c】上部体と下部体と底板を締結したコンテナ本体の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0020】
図において、1は主として円筒状の筒状胴部11を有するドラム缶形のコンテナ本体、2は前記コンテナ本体1を支持する支持台としてのパレット、3は前記コンテナ本体1に装入セットされるコンテナ用袋体であり、コンテナ本体1に対応した主として円筒状の筒状胴部31を有し、底部32の中央部には排出口用の口部材4が固着されている。5は前記口部材4に締結されるエルボ管51を含むバルブ付き排出管である。
【0021】
なお、コンテナ本体1は円筒状のドラム缶形に限らず、角筒形等でも良い。また材質としては金属やプラスチック等を使用することができるが、実施上は金属が好適に使用される。
【0022】
前記コンテナ本体1は、筒状胴部11の高さ方向の中間部で上下に分割形成された上部体11aと下部体11bとからなり、該上部体11aと下部体11bが締結自在に設けられている。さらに、前記コンテナ本体1は、前記下部体11bとコンテナ本体の底板12が締結自在に設けられている。また前記円筒状胴部11の上端部に被着される蓋板14は、前記上部体11aと締結自在に設けられている。なお、コンテナ本体の筒状胴部11は、本実施例のように上下2つに分割されるもののみならず、3つ以上に分割されるものであっても良い。
【0023】
前記上部体11aと下部体11bの締結構造の一例として図3に示す構造では、前記上部体11aの下端部と下部体11bの上端部との一方、例えば上部体11aの下端部には、下方向きに開口する断面半円形状の溝18aを形成し、かつ該溝18aにパッキン18bを保持する円弧状部18が胴部全周にわたって外方への突出状をなすように溶接手段等により付設されている。また、他方の例えば下部体11bの上端部には、外側に円形に巻回された巻き締め部18cが形成されている。前記円弧状部18と巻き締め部18cとが、外方への突出部分において主としてクランプ式のリング状の締結手段17により締結自在に設けられている。
【0024】
前記下部体11bと前記底板12の締結構造の一例として図3に示す構造では、底板12の周端部に、円弧状部12cが上向きに開口する断面半円形状の溝12aを形成し、溝12aにパッキン12bが保持されている。また下部体11bの下端部には、外側に円形に巻回された巻き締め部11cが形成されている。前記溝12aを形成する円弧状部12cと巻き締め部11cとが、外方への突出部分において主としてクランプ式のリング状の締結手段17により締結自在に設けられている。
【0025】
前記コンテナ用袋体3は、例えばポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルムの単層もしくは複層のシートよりなる袋、またはこれらとターポリン製シートとの組み合わせよりなる袋、あるいはゴム製の気密性のある袋よりなり、その上部の略中央部あるいはやや片側に偏った位置にキャップ付の注入口33が設けられ、底部32の中央部に前記口部材4による排出口が設けられてなる。もちろん、他の形態の袋であっても良いのは言うまでもなく、例えば、袋体上部が閉じられていない開放形のものでも良く、コンテナ本体がドラム缶形以外の形状である場合には、該コンテナ本体の形状に合わせてその内面に沿う形としたものでも良い。
【0026】
前記コンテナ用袋体3は、袋底部32の口部材4を後述するコンテナ本体1の底板12に有する開口に係合してコンテナ本体1に装入セットした状態において前記コンテナ本体1の上部体11aと下部体11bの締結部19と対応する位置付近の筒状胴部31の周上に外方への張り出し片34を有する。また前記下部体11bと前記底板12の締結部13に対応する位置付近にも外方への張り出し片35を有する。前記張り出し片34が上部体11aと下部体11bの締結部19に挟着固定され、前記張り出し片35が前記下部体11bと前記底板12の締結部13に挟着固定されることにより、コンテナ用袋体3の底部32及び筒状胴部31の下部がコンテナ本体1の内面に沿って保持される。ここで、前記張り出し片34が上部体11aと下部体11bの締結部19に挟着固定されるだけでコンテナ用袋体3の底部32及び筒状胴部31の下部がコンテナ本体1の内面に沿って保持されるが、前記張り出し片35も前記下部体11bと前記底板12の締結部13に挟着固定される方がより確実に保持され、実施上特に好ましい。
【0027】
ここで前記張り出し片34、35は外方に十分な幅を持たせ、上部体11aの下端部と下部体11bの上端部の間に挟んだ際、又は底板12の溝12aと下部体11bの下端部の間に挟んだ際に、上下締結手段17の外に出すことができることが望ましい。これにより上部体11aと下部体11bの締結作業の際、又は底板12と下部体11bの締結作業の際に、張り出し片34、35をコンテナ本体1の外側から保持しながら作業することができるため作業が容易となり、また締結部から張り出し片34、35がコンテナ本体1の内側へ外れることが無くなる。
【0028】
張り出し片34、35は、例えば張り出し片34、35形成予定位置の上下の部分をつまんで袋体外側に引っ張りながら加熱融着することにより、あるいはあらかじめ作成した環状の張り出し片を袋体の張り出し片34、35形成予定位置に加熱等の方法により接合することにより、作成する。
【0029】
前記の上部体11aと下部体11bの締結構造の一例において上部体11aと下部体11bを結合させる際は、図3に示すように、上部体11aの溝18aと下部体11bの巻き締め部18cの間に、パッキン18bを溝18a側に、張り出し片34を巻き締め部18c側に密着させて挟みながら、溝18aと巻き締め部18cを嵌め合い、円弧状部18と巻き締め部18cを締め付け部17aを有する円筒状胴部の締結手段17により締結する。前記締結手段としては、前記の締め付け部17aを有する締結手段17のほか、他の締結手段を利用することも可能であるが、実施上は、前記の締め付け部17aを有する締結手段17が締結操作の容易性等の点から特に好ましい。またパッキン18bはあらかじめ上部体11aの溝18aの中に固着されていても良い。
【0030】
前記の下部体11bと底板12の締結構造の一例において下部体11bと底板12を結合させる際は、図3に示すように、底板12の周端部の溝12aと下部体11bの巻き締め部11cの間に、パッキン12bを溝12a側に、張り出し片35を巻き締め部11c側に密着させて挟みながら、溝12aと巻き締め部11cを嵌め合い、円弧状部12cと巻き締め部11cを締め付け部17aを有する円筒状胴部の締結手段17により締結する。前記締結手段としては、前記の締め付け部17aを有する締結手段17のほか、他の締結手段を利用することも可能であるが、実施上は、前記の締め付け部17aを有する締結手段17が締結操作の容易性等の点から特に好ましい。またパッキン12bはあらかじめ底板12の溝12aの中に固着されていても良い。
【0031】
ここで、上部体11aと下部体11bとが、コンテナ本体1の高さ方向の中間部付近で分割され、前記締結部19の位置がコンテナ本体1の高さ方向の中間部付近にあることが好ましい。ここで中間部付近とは、中間部又は中間部よりやや上方又はやや下方の位置を指すが、特に上部体11aと下部体11bとの分割位置がコンテナ本体1の高さ方向の中間部又は中間部よりやや上方であることがより好ましい。この場合、コンテナ用袋体3は、袋底部32の口部材4をコンテナ本体1の底板12に有する開口16に係合してコンテナ本体1に装入セットした状態において、コンテナ本体1の高さ方向の中間部又は中間部よりやや上方の位置に対応する位置の周上に外方への張り出し片34を有し、当該張り出し片34が前記締結部19に挟着固定されるため、袋体3内の液体量が減少するのに伴って袋体が上部から凹むように萎んでも、コンテナ用袋体の前記張り出し片34より上方にあった部分31aが袋体内部の液体が無くなる前に袋底部32に届くことが無く、袋体3がコンテナ本体の排出口に吸引されて排出口を塞ぐことが無い。
【0032】
前記排出口用の口部材4は、ポリエチレン樹脂あるいはポリカーボネート等のある程度の強度を有する合成樹脂成形体により形成され、排出管締結用の筒部41と、該筒部41の一端に連設されたフランジ部42とからなる。前記フランジ部42に前記袋体3の底部の排出口周縁が熱融着手段等によりシール状態に固着されている。前記筒部41の端部と、前記バルブ付き排出管5のエルボ管51の端部とは、例えばクランプ式の締結手段6により前記両端部をパッキン(図示省略)を介して突き合わせ状態にして液密に締結できるように設けられている。前記フランジ部42は、通常、例えば円形又は角部に丸みをつけた略四角形をなしているが、楕円形や5角形以上の多角形とすることもでき、また大きさに関しては、底板12全体を覆う大きさとしても良いし、後述する受け部材7を使用する場合は、コンテナ本体の底板12に設けられた開口16より小さくても良い。
【0033】
前記フランジ部42の上面は平面であっても良いが、図示するようにフランジ部42を上から見た時の中心から放射状に突起43が設けられていることが望ましい。突起43と突起43の間が溝44を形成し、袋体内の液体の流路となるため、仮に袋体3が排出口用の口部材4の上に被さっても、袋体内の液体が前記溝44を通って排出され、液体が袋体内に残留することが無い。
【0034】
前記バルブ付き排出管5は、主としてステンレス等の金属製で、前記口部材4の筒部41に締結される略L字形をなすエルボ管51と、該エルボ管51に適宜締結手段により接続される口金付バルブ52とからなる。前記エルボ管51としては、市販のエルボ管を利用することができる。
【0035】
なお、口金付バルブ52の口金部材53は液体の排出時にポンプ等を接続する箇所であり、図面上カムロック式としているが、ねじ込み式等他の締結手段とすることができる。また、前記口部材4と前記排出管5のエルボ管51との締結手段としては、前記のクランプ式の締結手段6のほか、他の締結手段を利用することも可能であるが、実施上は、前記のクランプ式の締結手段6が締結操作の容易性や連結部のシール性等の点から特に好ましい。前記バルブ付き排出管5のエルボ管51と口金付バルブ52との接続にも前記と同様のクランプ式の締結構造を利用することができる。
【0036】
かかるコンテナ本体1は、パレット2の上面の左右部に間隔をおいて立設された支持脚部21により、前記底板12とパレット上面との間に前記バルブ付き排出管5を横向きに配置してかつバルブ操作に支承のない間隔を保有する高さに支持されている。
【0037】
前記コンテナ本体1の底板12には、その中央部の前両支持脚部21,21間の部分にエルボ管51を含む前記バルブ付き排出管5を抜き通し得る大きさの開口16が設けられている。さらに本実施例では、前記口部材4の筒部41の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材4のフランジ部42を受支する受け部材7が、前記底板12の開口周縁部(開口16の周縁部)16a上に係合セット自在に設けられている。ただし、前記口部材4のフランジ部42が前記底板12の開口16より大きい場合は、前記受け部材7を設けず前記口部材4の筒部41の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記フランジ部42を前記底板12の開口周縁部16a上に係合セットしても良い。なお、本実施例では受け部材7は上下方向に平面形状だが、図9に示すように下方側程径小のテーパ状をなしている筒壁部71の上端部に前記開口周縁部16a上に載接する外フランジ72が、前記筒壁部71の下端部に前記口部材4の筒部41の外周に遊嵌もしくは嵌合してフランジ部42を受ける内フランジ73がそれぞれ設けられてなり、前記筒壁部71を前記開口16に内側から嵌入して下部を下方に突出させた状態で前記外フランジ72を開口周縁部16aに載設し係合できるようになっているものとしても良い。
【0038】
図中の符号8は、前記コンテナ本体1の前記開口周縁部16a、すなわち前記受け部材7又は前記口部材4のフランジ部42を載接する開口周縁部16aを除く底板12上に保護を兼ねて載設された排出補助用の底部材であり、例えば合成樹脂材や発泡樹脂材あるいは断熱ボード等により形成された環状円板よりなる。
【0039】
前記パレット2は、上下板22,23が四隅部と四方各辺の中央部で連結支柱24により連結されてなり、四方からフォークリフトによる運搬移動のためのフォークを差し込めるフォーク挿し込み部25が設けられてなる。そして、上板22による上面の左右部に鋼材製のアングル材や板材等よりなる前記支持脚部21、21がバルブ付き排出管5をセットできる空間を保有するように間隔をおいて立設され、該支持脚部21上に前記コンテナ本体1の下端部が溶接手段等により固定されて支持されている。図中の26は前記支持脚部21,21に沿って設けた補強部材、27は上板22の外周部に設けた補強用突縁、28は水抜き穴である。
【0040】
前記パレット2の上面には、前記コンテナ本体1の底板12開口を通して下方に出して横向きにした状態の前記バルブ付き排出管5の口金付バルブ52の外周部分54を係止して位置決めし係止固定する位置決め係止部9が設けられている。
【0041】
前記位置決め係止部9として、実施例の場合、バルブ付き排出管5の前記バルブ外周部分54の前後部に係止する前後係止板92,93を有する係止部材91が、バルブ外周部分54を上方より嵌め込み可能な正面凹形に屈曲形成されてパレット2上に溶接手段により固設され、さらに該係止部材91の左右縦部94の少なくとも一方の上端部94aが外方に折曲延成され、該上端部94aに、該係止部材91に嵌め込まれた前記バルブ外周部分54を押さえる押さえ部材95がねじ締結手段96により固着自在に設けられている。97は前記ねじ締結手段96の螺合用ねじ部であり、例えばナットが前記上端部94aに固着されてなる。
【0042】
前記位置決め係止部9としては、バルブ付き排出管5をパレット2上に安定性よく係止固定できるものであれば、どのような構造のものであってもよいが、実施上は、前記の嵌め込みを利用した形態にするのが好ましい。
【0043】
上記の構成をなす液体コンテナにおけるコンテナ用袋体3及びバルブ付き排出管5等のコンテナ本体1への装入セットする方法について説明する。
【0044】
コンテナ用袋体3をドラム缶形のコンテナ本体1内に装入セットして使用できる状態に組み立てるには、組込みを開始するまでに、コンテナ本体を上部体11aと下部体11bと底板12に分割し、上部体11aと下部体11bを取り外しておく。またコンテナ本体1の蓋板14もこの段階では被着しない。また、コンテナ本体1の外部において、前記袋体3の底部の排出口用の口部材4に、バルブ付き排出管5を締結しておく。この締結操作は、前記口部材4の筒部41の外周に前記受け部材7を遊嵌もしくは嵌合した状態にして組み合わせておいて、該口部材4の筒部41の端部に、バルブ付き排出管5のエルボ管51の端部をパッキン(図示省略)を介して突き合わせて、クランプ式の締結手段6により締結する。この締結作業は、コンテナ本体1の外部の広い場所で容易に行える。
【0045】
そして、コンテナ用袋体3が締結された前記バルブ付き排出管5を底板12の中央部に有する開口16に、図13のように内側から下方に通して底板12の下方に抜き出す。これと同時に、前記受け部材7を開口周縁部16aに載接して係合セットし、この状態で前記口部材4のフランジ部42を前記受け部材7で受支する。
【0046】
そして、底板12の開口16より下方に出したバルブ付き排出管5は、パレット2の上面に適宜の固定手段により、例えば図12、図14に示す実施例のように、パレット2上の位置決め係止部9として正面凹形の係止部材91の左右縦部94,94間にバルブ52の外周部分54を嵌め込んで前後係止板92,93に係止させて位置決め固定する。
【0047】
その後、前記の方法にて張り出し片35を狭着しながら底板12と下部体11bを締結手段17にて締結し、さらに張り出し片34を狭着しながら下部体11bと上部体11aを締結手段17にて締結する。
【0048】
この後、コンテナ本体1内にセットした前記のコンテナ用袋体3の上部のキャップ付き注入口33より輸送対象の液体を注入し充填する。この際、前記注入口33を、適宜補助の支持部材(図示せず)を用いてコンテナ本体1の上部開口の高さ位置に保持しておくのがよい。また、必要に応じて、前記の液体注入までに袋体3内にエアを吹き込む等してコンテナ本体1の内面に沿うように膨らませておくこともできる。こうして液体を注入し充填したあと、コンテナ本体1の蓋板14を被着し輸送に供する。
【0049】
次に、上記の構成をなす液体コンテナからの液体の排出について説明する。
【0050】
排出管5の口金付バルブ52の口金部材53にポンプを接続し、バルブハンドル52aを操作して口金付バルブ52を開き、該ポンプにて液体を吸引することにより、液体コンテナから液体を排出させる。この時、袋体3の内容物が減少するに従い袋体3が上部から凹むように萎むが、袋体3の筒状胴部31の張り出し片34がコンテナ本体1の上部体11aと下部体11bの締結部19に挟着されているために、コンテナ用袋体の前記張り出し片34より上方にあった部分31aが袋底部32に届くことが無く、袋体3が排出口に吸引されて排出口を塞ぐことが無い。さらに、前記下部体11bとコンテナ本体の底板12の締結部13に対応する位置付近に有する張り出し片35が前記下部体11bと前記底板12の締結部13に挟着されているために、袋体底部32が排出口に吸引されて排出口を塞ぐことが無い。また、前記フランジ部42の上面にフランジ部42を上から見た時の中心から放射状に突起43が複数設けられているため、袋体3の内容物が減少し袋体3の上部31aがフランジ部42の上面に覆い被さっても、突起43、43により形成された溝44が袋体内の液体の流路となるため、液体の排出口への流れが確保される。以上により、内容物である液体が袋体内に残留することなく最後まで排出される。
【0051】
輸送先で内容物の液体を排出した後、ワンウエイ使用のコンテナ用袋体3をコンテナ本体1から取り出して分解し、コンテナ本体1及びバルブ付き排出管5については、輸送元に返送する。
【0052】
この分解作業の際、パレット2上のバルブ付き排出管5の固定を外し、さらに上部体11aを下部体11bから取り外し、該排出管5を袋体3の口部材4に連結した状態のままで、前記のセット作業とは逆にコンテナ本体1の底板12の開口16から受け部材7とともに上方へ抜き出し、そのまま前記袋体3をコンテナ本体1から取り出す。こうして、コンテナ本体1の外部において、前記排出管5を口部材4から分離すればよい。すなわち、コンテナ用袋体3は、その底部32に有する排出口用の口部材4にバルブ付き排出管5を締結した状態のまま、該排出管5を底板12の開口16を通してコンテナ本体1に組込み、またコンテナ本体1から取り出すことができるので、該袋体3や排出管5のセット作業及び取り出し分解作業を容易に、かつ残留液を滴り落とすおそれなく行うことができる。
【0053】
そのため、ドラム缶等の円筒状胴部を有するコンテナ本体と、コンテナ用袋体及びバルブ付き排出管を組み合わせた液体コンテナを容易に実施できる。
【符号の説明】
【0054】
1…コンテナ本体、11…円筒状胴部、11a…上部体、11b…下部体、11c…巻き締め部、12…底板、12a…半円形状の溝、12b…パッキン、12c…円弧状部、13…下部体と底板の締結部、14…蓋板、16…開口、16a…開口周縁部、17…締結手段、17a…締め付け部、18…円弧状部、18a…半円形状の溝、18b…パッキン、18c…巻き締め部、19…上部体11aと下部体11bの締結部、2…パレット、21…支持脚部、22、23…上下板、24…連結支柱、25…フォーク挿し込み部、26…補強部材、27…補強用突縁、28…水抜き穴、3…コンテナ用袋体、31…筒状胴部、31a…袋体の張り出し片より上の部分、32…底部、33…注入口0、34…張り出し片、35…張り出し片、4…排出口用の口部材、41…排出管締結用の筒部、42…フランジ部、43…突起、44…溝、5…バルブ付きの排出管、51…エルボ管、51a…エルボ管51の縦部分、52…口金付バルブ、52a…バルブハンドル、53…口金部材、54…バルブ外周部分、6…締結手段、7…受け部材、71…筒壁部、72…外フランジ、73…内フランジ、8…排出補助用の底部材、 9…位置決め係止部、91…係止部材、92,93…前後係止板、94…左右縦部、94a…上端部、95…押さえ部材、96…ねじ締結手段、97…螺合用ねじ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット上に支持脚部によりバルブ付き排出管を配置するための間隔を存して支持された竪筒形のコンテナ本体と、排出管締結用の筒部の一端にフランジ部を連設してなる排出口用の口部材が前記フランジ部で袋底部に固着され前記コンテナ本体に装入セットされるコンテナ用袋体と、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管を含むバルブ付き排出管とからなる液体コンテナであって、
コンテナ本体は、筒状胴部で分割形成された上部体と下部体とが締結自在に設けられてなり、
前記コンテナ用袋体は、袋底部の口部材をコンテナ本体の底板に有する開口に係合してコンテナ本体に装入セットした状態において前記コンテナ本体の上部体と下部体の締結部と対応する位置付近の周上に外方への張り出し片を有し、前記張り出し片が上部体と下部体との前記締結部に挟着固定されることにより、コンテナ用袋体の底部及び下部がコンテナ本体の内面に沿って保持されることを特徴とする液体コンテナ。
【請求項2】
コンテナ本体は、前記下部体とコンテナ本体の底板が締結自在に設けられてなり、
前記コンテナ用袋体は、袋底部の口部材をコンテナ本体の底板に有する開口に係合してコンテナ本体に装入セットした状態において前記下部体とコンテナ本体の底板の締結部に対応する位置付近に外方への張り出し片を有し、前記張り出し片が前記下部体と前記底板の締結部に挟着固定されることにより、コンテナ用袋体の底部及び下部がコンテナ本体の内面に沿って保持されることを特徴とする請求項1に記載の液体コンテナ。
【請求項3】
コンテナ本体が円筒状のドラム缶形である請求項1又は2に記載の液体コンテナ。
【請求項4】
コンテナ用袋体の張り出し片が、前記締結部と対応する位置付近の周上に周方向に連続して外方に延出している請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体コンテナ。
【請求項5】
コンテナ本体の上部体の下端部と下部体の上端部との一方には、パッキンを保持する円弧状部が、他方には、前記パッキンを介して円弧状部と対向する巻き締め部が設けられ、前記円弧状部と巻き締め部とが環状の締結手段により締結自在に設けられるとともに、前記円弧状部材に保持されたパッキンと巻き締め部との間にコンテナ用袋体の張り出し片を挟着できるように設けられてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体コンテナ。
【請求項6】
コンテナ本体の底板の周端部にはパッキンを保持する溝が設けられ、コンテナ本体の下部体の下端部には、前記パッキンを介して前記溝と対向する巻き締め部が設けられ、前記溝を形成する円弧状部と巻き締め部とが環状の締結手段により締結自在に設けられるとともに、前記溝に保持されたパッキンと巻き締め部との間にコンテナ用袋体の張り出し片を挟着できるように設けられてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体コンテナ。
【請求項7】
コンテナ本体の上部体と下部体とが、コンテナ本体の高さ方向の中間部付近で分割され、前記締結部の位置がコンテナ本体の高さ方向中間部付近の位置にある請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体コンテナ。
【請求項8】
前記コンテナ本体の底板の中央部に、前記口部材の筒部に締結されたバルブ付き排出管を抜き通し得る開口が設けられるとともに、前記口部材の筒部の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材のフランジ部を受ける受け部材が、前記底板の開口周縁部に係合セット自在に設けられてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【公開番号】特開2013−79103(P2013−79103A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221061(P2011−221061)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(591123573)株式会社共立物流システム (7)
【Fターム(参考)】