説明

液体サンプリング装置

【課題】 菌汚染なくサンプリングができる液体サンプリング装置の提供。
【解決手段】 管接続用の接続口22、23、それらを連絡する液流路24を有する本体部20と、それに着脱自在に取り付けられ、液体サンプルを採取用のゴム部34を有するインジェクションキャップ30と、前記キャップ30を包囲して本体部20に着脱自在に取り付けられる外側キャップ40を有している。前記キャップ30はサンプリングごとに新品に取り替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体サンプリング装置とそれを用いた液体サンプルの採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関や研究機関等では、滅菌状態で液体サンプルを採取する場合がある。このようなサンプリング装置として、特許文献1〜3がある。しかし、これらの先行技術は、滅菌状態でのサンプリングやサンプリング対象の液漏れ等の点で改善の余地がある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−14015号公報
【特許文献2】特許第3144755号公報
【特許文献3】特許第3497567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、常に滅菌状態でサンプリングすることができ、サンプリング対象となる液漏れが生じることがない、液体サンプリング装置とそれを用いた液体サンプルの採取方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、管と接続できる2つの接続口を有し、内部に前記2つの接続口を連絡する液流路を有しており、更に前記液流路に繋がる液体サンプルの採取孔を有している本体部と、
前記液体サンプルの採取口に着脱自在に取り付けられ、液体サンプルを採取するための軸方向に連続したゴム部を有しているインジェクションキャップと、
前記インジェクションキャップを密閉した状態で包囲して、前記本体部に着脱自在に取り付けられる外側キャップを有している、液体サンプリング装置を提供する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の液体サンプリング装置を用いた液体サンプルの採取方法であって、
本体部の2つの接続口の一方に1つの管入口を接続し、他方に別の管出口を接続し、前記1つの管から、本体部の液流路を経て、他方の管にサンプリング対象となる液体を流す第1段階、
外側キャップを外す第2段階、
使用済みのインジェクションキャップを外し、新しいインジェクションキャップを取り付ける第3段階、
インジェクションキャップをした状態で、そのゴム部分に、サンプリング用の注射針を本体部の液流路に到達するまで刺し込み、サンプリング対象となる液体を採取し、注射針を引き抜く第4段階、
外側キャップを取り付け、インジェクションキャップを密封状態にする第5段階、
を有しており、
以上の第2段階〜第5段階又は第1〜第5段階を繰り返す、液体サンプルの採取方法を提供する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1記載の液体サンプリング装置を用いた液体サンプルの採取方法であって、
本体部の2つの接続口の一方に1つの管入口を接続し、他方に別の管出口を接続し、前記1つの管から、本体部の液流路を経て、他方の管にサンプリング対象となる液体を流す第1段階、
外側キャップを外す第2段階、
インジェクションキャップをした状態で、そのゴム部分に、サンプリング用の注射針を本体部の液流路に到達するまで刺し込み、サンプリング対象となる液体を採取し、注射針を引き抜く第3段階、
使用済みのインジェクションキャップを外し、外側キャップを取り付け、この状態にて加熱滅菌した後、冷却する第4段階、
外側キャップを外し、外側キャップ内の液体を除去した後、新しいインジェクションキャップを取り付け、再度外側キャップを取り付ける第5段階を有しており、
以上の第2段階〜第5段階又は第1〜第5段階を繰り返す、液体サンプルの採取方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のサンプリング装置用いることにより、常に滅菌状態にてサンプリングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<液体サンプリング装置>
(1)図1、図2のサンプリング装置
図1、図2により、本発明のサンプリング装置を説明する。図1は、組立前のサンプリング装置を構成する各部品の縦方向の断面図であり、図2は、組立後のサンプリング装置の縦断面図である。
【0010】
図2に示すように、サンプリング装置10は、本体部20、インジェクションキャップ30、外側キャップ40を組み合わせてなるものであり、インジェクションキャップ30のゴム部を除いて金属製である。
【0011】
図1に示すように、外形が立方体又は直方体である本体部20は、4面からなる外壁部21で外殻が形成されており、両端側にサンプリング対象となる液体を流すための管と接続できる2つの接続口22、23を有している。2つの接続口22、23の内周面には、接続する管とネジ合わせるためのネジ部が形成されていてもよい。
【0012】
本体部20は、内部に、2つの接続口22、23を連絡する液流路24を有しており、外壁部21の一面を貫通して、液流路24にまで繋がる液体サンプルの採取孔25を有している。
【0013】
液体サンプルの採取孔25は、外壁部21の一面の中央部を貫通して突出された筒状壁26で形成されており、筒状壁26の外周面には、インジェクションキャップ30とネジ合わせるためのネジ部26aが形成されている。
【0014】
筒状壁26の周囲には、インジェクションキャップ30と外側キャップ40を取り付けるための環状溝27が形成されている。環状溝27の筒状壁26が正対する周面には、外側キャップ40とネジ合わせるためのネジ部27aが形成されている。
【0015】
図1に示すように、インジェクションキャップ30は、円形の底部31から突出された外側筒状壁32と、底部31の中央部を貫通して突出された内側環状壁33とを有している。内側環状壁33の外径寸法は、筒状壁26内にぴったりと挿入できる程度の寸法である。
【0016】
外側環状壁32の内周面には、本体部の筒状壁26の外周面に形成されたネジ部26aとネジ合わせるためのネジ部32aが形成されている。内側環状壁33内には、ゴムが充填されたゴム部34が形成されている。
【0017】
図1に示すように、外側キャップ40は、円形の底部41と、底部41の中央部から突出された筒状壁42を有している。筒状壁42の外周面には、本体部のネジ部27aとネジ合わせるためのネジ部42aが形成されている。
【0018】
図2に示すように、サンプリング装置10は、本体部20、インジェクションキャップ30、外側キャップ40のそれぞれがネジ合わせて取り付けられており、各部品を組み合わせたとき、各部品の寸法を調整することにより、空間50が形成されるようになっている。空間50には、滅菌状態を維持するため、消毒液等を含浸させたスポンジや脱脂綿のような含浸体を充填することもできる。
【0019】
(2)図3のサンプリング装置
図3のサンプリング装置は、図1、図2の本体部20に相当する本体部のみの縦断面図であり、図3の本体部は、第1本体部120と第2本体部130が組み合わされている点で、図1、図2のサンプリング装置10の本体部20と異なっている。なお、図示していないが、図3の本体部は、図1、図2のサンプリング装置10と同様にインジェクションキャップ30と外側キャップ40と組み合わせて使用する。
【0020】
第1本体部120は、外形が立方体又は直方体のものであり、4面からなる外壁部121で外殻が形成されており、両端側にサンプリング対象となる液体を流すための管と接続できる2つの接続口122、123を有している。2つの接続口122、123の内周面には、接続する管とネジ合わせるためのネジ部が形成されていてもよい。第1本体部120は、内部に、2つの接続口122、123を連絡する液流路124を有している。
【0021】
第2本体部130は、円形の底部131と、その中央部を貫通して突出された筒状壁132を有している。筒状壁132の外周面にはネジ部132aが形成され、底部131の周面にはネジ部(図示せず)が形成されている。
【0022】
第1本体部120の外壁部121の一面には、中央部に貫通孔を有する円形凹部127が形成されており、円形凹部127内に第2本体部130が取り付けられている。図3では、円形凹部127に第2本体部130を取り付けたときの残部空間が、図1における環状溝27に相当する環状溝となる。
【0023】
前記円形凹部127の内周面にはネジ部127aが形成されており、第2本体部130は、底部131の周面に形成されたネジ部とネジ部127aをネジ合わせることで固定されている。
【0024】
図3の本体部(第1本体部120と第2本体部130の組み合わせ)は、図1に示すインジェクションキャップ30のネジ部32aをネジ部132aとネジ合わせ、更に外側キャップ40のネジ部42aをネジ部127aとネジ合わせることで、図2に相当するサンプリング装置にすることができる。
【0025】
<液体サンプルの採取方法>
(1)第1の液体サンプルの採取方法
図1、図2により、第1の液体サンプルの採取方法を説明する。なお、以下に示す各段階の操作は限定されるものではなく、例えば、2つ以上の段階を適宜組み合わせて1つにしたり、1つの段階を2つ以上の段階に分けたりしてもよい。
【0026】
(第1段階)
図2に示す状態にて、本体部20の接続口22に1つの管入口を接続し、接続口23別の管出口を接続する。そして、前記1つの管から、本体部の液流路24を経て、他方の管にサンプリング対象となる液体を流す。接続口22、23と管との接続方法は、液漏れがしない方法であればよく、必要に応じてアダプターやシール部材を介在させることができる。
【0027】
(第2段階)
次に、本体部20から外側キャップ40を外す。これにより、インジェクションキャップ30が外部雰囲気に暴露されることになる。
【0028】
(第3段階)
次に、使用済みのインジェクションキャップ30を外し、新しいインジェクションキャップ30を取り付ける。
【0029】
(第4段階)
次に、インジェクションキャップ30をした状態で、そのゴム部34に、サンプリング用の注射針を本体部の液流路34に到達するまで刺し込み、サンプリング対象となる液体を採取し、注射針を引き抜く。
【0030】
(第5段階)
次に、外側キャップ40を取り付け、インジェクションキャップ30を密封状態にする。このとき、必要に応じて、空間50内に消毒液含浸体を充填する。このようにして、使用済みのインジェクションキャップ30を新しい(即ち、滅菌された)インジェクションキャップ30に取り替え、外側キャップ40で密閉状態にすることで、次回のサンプリング時まで、確実に滅菌状態を維持することができ、次回サンプリング時の菌による汚染が防止される。
【0031】
なお、第3段階において、新しいインジェクションキャップ30に交換せずに、第4段階に移行してサンプリングした後、新しいインジェクションキャップ30を取り付けてもよい。
【0032】
このように、第1の液体サンプルの採取方法では、以上の第2段階〜第5段階又は第1〜第5段階を繰り返すことで、長期間、常に滅菌された状態でサンプリングすることができるようになる。なお、定期的にサンプリングするため、通常は、第2段階〜第5段階を繰り返すことになるが、本体部20と外側キャップ40がネジ合わせられて強く結合しているので、管内の圧力が高くなり、液流路24内を流れる液体の圧力によってインジェクションキャップ30が破損した場合でも、外側キャップ40により、液体が外に飛び出たりすることはない。
【0033】
(2)第2の液体サンプルの採取方法
図1、図2により、第2の液体サンプルの採取方法を説明する。なお、以下に示す各段階の操作は限定されるものではなく、例えば、2つ以上の段階を適宜組み合わせて1つにしたり、1つの段階を2つ以上の段階に分けたりしてもよい。
【0034】
(第1段階〜第3段階)
第1段階〜第3段階は、第1の液体サンプルの採取方法と同じである。
【0035】
(第4段階)
次に、使用済みのインジェクションキャップ30を外し、外側キャップ40を取り付け、この状態にて加熱滅菌した後、冷却する。このとき、液流は停止しておくことが望ましいが、流した状態でもよい。
【0036】
(第5段階)
次に、外側キャップ40を外し、外側キャップ内の液体を除去した後、新しい(即ち、滅菌された)インジェクションキャップ30を取り付け、再度外側キャップ40を取り付ける。なお、この操作は、滅菌して冷却後、直ちに行ってもよいし、次回のサンプリング時に行ってもよい。また、加熱滅菌時に液流を停止しないときには、環状溝27内に液体が入っていることもあるので、除去する。
【0037】
このように、第1の液体サンプルの採取方法では、以上の第2段階〜第5段階又は第1〜第5段階を繰り返すことで、常に滅菌された状態でサンプリングすることができるようになる。なお、第1の液体サンプルの採取方法と同様に、外側キャップ40により、液体が外に飛び出たりすることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のサンプリング装置を分解した状態(組立前の状態)の断面図。
【図2】本発明のサンプリング装置の縦方向の断面図。
【図3】別実施形態の縦方向の部分断面図。
【符号の説明】
【0039】
10 サンプリング装置
20 本体部
22、23 管接続口
24 液流路
30 インジェクションキャップ
34 ゴム部
40 外側キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管と接続できる2つの接続口を有し、内部に前記2つの接続口を連絡する液流路を有しており、更に前記液流路に繋がる液体サンプルの採取孔を有している本体部と、
前記液体サンプルの採取口に着脱自在に取り付けられ、液体サンプルを採取するための軸方向に連続したゴム部を有しているインジェクションキャップと、
前記インジェクションキャップを密閉した状態で包囲して、前記本体部に着脱自在に取り付けられる外側キャップを有している、液体サンプリング装置。
【請求項2】
請求項1記載の液体サンプリング装置を用いた液体サンプルの採取方法であって、
本体部の2つの接続口の一方に1つの管入口を接続し、他方に別の管出口を接続し、前記1つの管から、本体部の液流路を経て、他方の管にサンプリング対象となる液体を流す第1段階、
外側キャップを外す第2段階、
使用済みのインジェクションキャップを外し、新しいインジェクションキャップを取り付ける第3段階、
インジェクションキャップをした状態で、そのゴム部分に、サンプリング用の注射針を本体部の液流路に到達するまで刺し込み、サンプリング対象となる液体を採取し、注射針を引き抜く第4段階、
外側キャップを取り付け、インジェクションキャップを密封状態にする第5段階、
を有しており、
以上の第2段階〜第5段階又は第1〜第5段階を繰り返す、液体サンプルの採取方法。
【請求項3】
請求項1記載の液体サンプリング装置を用いた液体サンプルの採取方法であって、
本体部の2つの接続口の一方に1つの管入口を接続し、他方に別の管出口を接続し、前記1つの管から、本体部の液流路を経て、他方の管にサンプリング対象となる液体を流す第1段階、
外側キャップを外す第2段階、
インジェクションキャップをした状態で、そのゴム部分に、サンプリング用の注射針を本体部の液流路に到達するまで刺し込み、サンプリング対象となる液体を採取し、注射針を引き抜く第3段階、
使用済みのインジェクションキャップを外し、外側キャップを取り付け、この状態にて加熱滅菌した後、冷却する第4段階、
外側キャップを外し、外側キャップ内の液体を除去した後、新しいインジェクションキャップを取り付け、再度外側キャップを取り付ける第5段階を有しており、
以上の第2〜第5段階又は第1〜第5段階を繰り返す、液体サンプルの採取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−122061(P2009−122061A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298909(P2007−298909)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】