液体タンク、液体供給システム、および液体噴射システム。
【課題】液体タンクから噴射ヘッドに液体を供給する際、途中の流路などで気泡が生ずることによって噴射ヘッドが目詰まりすることを確実に回避可能とする
【解決手段】液体を収容する液体収容室と、液体収容室に連通し、且つ、噴射ヘッドに接続された出口室とを備える液体タンクにおいて、液体収容室と出口室とが連通する部分に減圧手段を設ける。こうすれば、液体が減圧手段を必ず通過してから噴射ヘッドに供給される。また、減圧手段で生じた気泡は、下流側の出口室でトラップすることができる。このため、液体が気泡を生ずることによって噴射ヘッドが目詰まりすることを確実に回避することが可能となる。
【解決手段】液体を収容する液体収容室と、液体収容室に連通し、且つ、噴射ヘッドに接続された出口室とを備える液体タンクにおいて、液体収容室と出口室とが連通する部分に減圧手段を設ける。こうすれば、液体が減圧手段を必ず通過してから噴射ヘッドに供給される。また、減圧手段で生じた気泡は、下流側の出口室でトラップすることができる。このため、液体が気泡を生ずることによって噴射ヘッドが目詰まりすることを確実に回避することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用のインクジェットプリンターのように大量の液体を消費する液体噴射装置には、容量の大きな液体タンクが設けられている。液体タンクは、チューブを介して噴射ヘッドに接続されており、液体タンク内の液体が噴射ヘッドに供給されて、噴射ヘッドのノズルから噴射される。また、液体タンク内の液体が残り少なくなった場合には、ユーザーが液体タンクに液体を補充できるようになっており、これにより液体の噴射を中断することなく、液体噴射装置を連続して稼働させることが可能となる(特許文献1)。
【0003】
また、液体タンクに液体を補充する際には、液体タンクの蓋を空けた状態(液体タンク内が大気に曝された状態)で、別途用意しておいたボトルなどから液体を補充するので、液体タンク内の液体に多くの空気が溶け込む。この液体が噴射ヘッドに供給されると、途中の流路などで気泡を発生させ、ノズルを塞いで目詰まりを起こすことが起こり得る。そこで、液体タンク内にプロペラなどの減圧装置を設けておき、これを駆動して液体タンク内を減圧することによって、液体に溶け込んだ空気を気泡として分離する技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−219483号公報
【特許文献2】特開2010−120372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の技術を用いてもなお、噴射ヘッドへの流路の途中などで気泡が発生し、ノズルの目詰りが起きてしまう場合があるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術における上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、液体タンクから噴射ヘッドに液体を供給する際、途中の流路などで気泡が生ずることによる弊害を低減する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体タンクは次の構成を採用した。すなわち、
液体を噴射する噴射ヘッドに接続され、該噴射ヘッドに液体を供給する液体タンクであって、
前記液体を収容可能な液体収容室と、
前記液体収容室に連通し、且つ、前記噴射ヘッドに接続される出口室と、
前記液体収容室と前記出口室とが連通する部分に設けられ、当該部分を減圧する減圧手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
このような本発明の液体タンクにおいては、液体収容室に収容された液体が、減圧手段が設けられた部分を通過し、その後出口室を経由して噴射ヘッドに供給される。尚、本発明の「減圧手段」とは、液体タンク内を減圧させる必要はなく、液体中で局部的に圧力を低下させる手段とすることができる。例えば、液体中でプロペラを回転させると、プロペラの背面側では圧力が低下していわゆるキャビテーションという現象が生じる。あるいは、液体中で圧電素子や水晶振動子を振動させると、振動面が液体を押しのけた後に戻る際に圧力が低下して、キャビテーションが発生する。従って、プロペラや圧電素子、水晶振動子なども減圧手段として用いることができる。
【0009】
減圧手段は、液体収容室と出口室とが連通する部分に設けられているので、液体収容室内の液体が出口室に流入する際には、減圧手段が設けられた箇所を通過する。このため、液体中に溶け込んでいた空気が気泡として分離され、分離された気泡は浮力によって液体中を上昇していく。もちろん、液体収容室と出口室とが連通する部分に減圧手段を設けている関係上、液体から分離された気泡の少なくとも一部は出口室に入り込むこととなるが、入り込んだ気泡は浮力によって出口室内を上昇していくので、出口室から下流側(噴射ヘッド側)に流出することはない。その結果、噴射ヘッドには液体だけを供給することができるので、噴射ヘッドで目詰まりが発生することを低減することが可能となる。
【0010】
また、上述した本発明の液体タンクにおいては、液体収容室と出口室とが連通する部分の液体収容室側に、減圧手段を設けることとしてもよい。こうすれば、減圧手段で発生した気泡の一部は液体収容室内を上昇していくので、出口室内に流れ込む気泡を減らすことができる。その結果、出口室内から噴射ヘッド側に気泡が流出して噴射ヘッドを目詰まりさせる事態を、より低減することが可能となる。
【0011】
また、上述した本発明の液体タンクにおいては、液体収容室と出口室とを連通通路によって連通しておき、その連通通路内に減圧手段を設けることとしてもよい。仮に、連通通路内ではなく、液体収容室内の連通通路が開口している部分に減圧手段を設けた場合、僅かとはいえ、減圧手段によって減圧されずに出口室内に流れ込む液体が発生しうる。また、同様なことは、液体収容室と出口室とが連通通路で連通しているのではなく、液体収容室と出口室とを隔てる隔壁に設けられた開口部で連通しており、液体収容室内の開口部の近傍に減圧手段が設けられている場合にも当てはまる。これに対して、連通通路内に減圧手段を設けておけば、液体収容室から出口室に流れ込む全ての液体が減圧手段で減圧されることになる。その結果、液体に溶け込んだ空気をより確実に分離することができるので、噴射ヘッドが目詰まりする事態をより低減することが可能となる。
【0012】
また、上述した本発明の液体タンクにおいては、液体収容室と出口室とが連通する部分は、少なくとも出口室側では上方に向けて開口するように設けることとしてもよい。
【0013】
こうすれば、液体収容室から出口室に液体が流れ込む箇所に、上向きの液体の流れを発生させることができる。従って、浮力に加え、この液体の流れが気泡に作用することによって、出口室に入り込んだ気泡を確実に上部に移動させることができる。その結果、出口室内で液体と気泡とを分離することができるので、噴射ヘッド側に気泡が流出して噴射ヘッドを目詰まりさせる事態を、より確実に回避することが可能となる。
【0014】
また、本発明は、上述した液体タンクと、液体タンクの出口室と噴射ヘッドとを接続し、噴射ヘッドに液体を輸送する輸送管とを備える液体供給システムの態様で把握することもできる。このような液体供給システムを用いれば、空気が分離された状態の液体を、輸送管を介して噴射ヘッドに供給することができるので、噴射ヘッドで目詰まりが発生することを低減することが可能となる。
【0015】
また、本発明は、上述した液体タンクと、液体タンクの出口室と噴射ヘッドとを接続し、噴射ヘッドに液体を輸送する輸送管と、液体を噴射する噴射ヘッドとを備える液体噴射システムの態様で把握することもできる。このような液体噴射システムでは、噴射ヘッドでの目詰まりが低減されるので、目詰まりによって液体がうまく噴射できなくなる事態を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】いわゆるインクジェットプリンターを例に用いて本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。
【図2】インクジェットプリンターの内部構造を示した説明図である。
【図3】本実施例のインクタンクの内部構造を示した断面図である。
【図4】インク収容室内のインクから空気を分離する方法を示した説明図である。
【図5】参考例のインクタンクの内部構図を示した断面図である。
【図6】第1変形例のインクタンクの内部構造を示した断面図である。
【図7】第2変形例のインクタンクの内部構造を示した断面図である。
【図8】第3変形例のインクタンクの内部構造を示した断面図である。
【図9】減圧手段として、プロペラの代わりに水晶振動子を設けたインクタンクを例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.本実施例のインクタンクの構成:
C.変形例:
C−1.第1変形例:
C−2.第2変形例:
C−3.第3変形例:
【0018】
A.装置構成 :
図1は、いわゆるインクジェットプリンターを例に用いて本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。インクジェットプリンター10は、略箱形の外観形状をしており、前面のほぼ中央には前面カバー11が設けられ、背面側には、印刷用紙2をセットする給紙トレイ12が設けられている。また、インクジェットプリンター10の前面側で、前面カバー11の隣の位置には複数の操作ボタン13が設けられている。前面カバー11は下端側で軸支されており、上端側を手前に倒すと、印刷用紙2が排出される細長い排紙口14が現れる。給紙トレイに印刷用紙2をセットして操作ボタン13を操作すると、給紙トレイから印刷用紙2が吸い込まれ、インクジェットプリンター10の内部で印刷用紙2の表面に画像が印刷された後、排紙口14から排出される。
【0019】
また、インクジェットプリンター10の側面には、箱形のタンクケース50が設けられている。詳しくは後述するが、タンクケース50の内部には複数のインクタンクが設けられており、インクジェットプリンター10が印刷に用いるインクは、このインクタンクから供給される。
【0020】
図2は、本実施例のインクジェットプリンター10の内部構造を示した説明図である。図示されるように、インクジェットプリンター10の内部には、印刷用紙2の上で往復動するキャリッジ20が設けられており、キャリッジ20には、インクを噴射する噴射ヘッド22が設けられている。尚、本実施例のインクジェットプリンター10では、シアン(以下C)色、イエロー(以下Y)色、マゼンタ(以下M)色、黒(以下K)色の4色のインクを用いて画像を印刷可能であり、これに対応してインクの色ごとに噴射ヘッド22が設けられている。
【0021】
キャリッジ20は、図示しない駆動機構に駆動されて、ガイドレール24にガイドされながら印刷用紙2の上で往復動を繰り返す。また、インクジェットプリンター10には図示しない紙送り機構も設けられており、キャリッジ20が往復動する動きに合わせて印刷用紙2が少しずつ紙送りされる。そして、キャリッジ20が往復動する動きと、印刷用紙2が紙送りされる動きとに合わせて、噴射ヘッド22の下面側(印刷用紙2側)に設けられたノズルからインクを噴射することによって、印刷用紙2に画像が印刷される。
【0022】
ノズルから噴射されるインクは、タンクケース50内のインクタンク100に収容されている。本実施例のインクジェットプリンター10では、4種類のインク(Cインク、Yインク、Mインク、Kインク)を使用することから、インクタンク100もインクの色ごとに設けられている。これらインクタンク100内のインクは、インクの色ごとに設けられたインクチューブ26を介して噴射ヘッド22に供給される。
【0023】
B.本実施例のインクタンクの構成 :
図3は、本実施例のインクタンク100の内部構造を示した断面図である。尚、本実施例のインクジェットプリンター10には、4つのインクタンク100が設けられているが、いずれの内部構造も同じであるので、図3では代表して1つのインクタンク100の内部構造が示されている。
【0024】
インクタンク100は、隔壁によって内部が2つの部屋に区切られている。このうち、上流側のインク収容室110(液体収容室)は、上部がインクタンク100の上面に開口しており、この開口(インク補充口112)がキャップ114で封止されている。また、インク収容室110は、連通口110oを介して下流側の出口室120と連通しており、出口室120は、インク供給口120oからインクチューブ26を介して噴射ヘッド22に接続されている。このため、インクタンク100に収容されたインクは、インク収容室110から出口室120、インクチューブ26と経由して、噴射ヘッド22に供給される。さらに、連通口110oのすぐ手前(インク収容室110側)の位置には、プロペラ116(減圧手段)が設けられており、プロペラ116は図示しないモーターによって駆動可能となっている。
【0025】
このような本実施例のインクタンク100では、内部のインクが残り少なくなった場合には、ユーザーがキャップ114を外して、別途用意しておいたインクボトルのインクをインク補充口112から補充する。これにより、一度の印刷で大量のインクを消費するような場合であっても、連続してインクジェットプリンター10を稼働させることが可能となる。
【0026】
もっとも、キャップ114を外すとインク収容室110の内部は大気に曝されるので、この状態でインクが補充されることによって、インク収容室110内のインクには多くの空気が溶け込むこととなる。このインクが噴射ヘッド22に供給されると、途中の流路などで気泡を発生させ、ノズルが目詰まりするなどの弊害が生ずるおそれがある。そこで、次のようにしてインク中に溶け込んだ空気を分離する。
【0027】
図4は、インク収容室110内のインクから空気を分離する方法を示した説明図である。インク中の空気を分離する際には、図4(a)に示されるように、インク収容室110内のプロペラ116をモーターによって駆動する。すると、プロペラ116の表側と裏側との間に圧力差が生ずることによって、プロペラ116の背面側が減圧される。プロペラ116は、連通口110oのすぐ手前に設けられているので、インク収容室110から下流側に流出するインクはプロペラ116の位置を必ず通過する。このため、プロペラ116の位置でインクが減圧され、このときインク中に溶け込んでいた空気が気泡となって分離(脱気)される。その結果、脱気された状態のインクのみが噴射ヘッド22側に供給されるので、ノズルが目詰まりするなどの弊害を低減できる。
【0028】
もちろん、連通口110oのすぐ手前にプロペラ116が設けられているので、プロペラ116で生じた気泡は、インク収容室110の上方に移動するだけでなく、連通口110oからインク収容室110の下流側にも移動する(図4(b)を参照)。しかし、下流側に移動した気泡は、出口室120に入った後に浮力によって上方に移動し、やがて出口室120の上部に溜まる。従って、プロペラ116で生じた気泡がさらに下流側(噴射ヘッド22側)に流出することによって、ノズルが目詰まりするなどの弊害が生ずることもない。
【0029】
図5は、参考例のインクタンク200の内部構図を示した断面図である。図示したインクタンク200では、インク収容室210がインクチューブ26を経て噴射ヘッド22に接続されており、プロペラ216は、インク供給口220oから離れた位置に設けられている。このインクタンク200では、図中に矢印で示したように、インク収容室210の一部のインク(プロペラ216よりもインク供給口220o側のインク)が、プロペラ216を経ることなく下流側に流出する。このため、脱気されていないインクが噴射ヘッド22側に供給されることによって、ノズルが目詰まりするなどの弊害が生じうる。
【0030】
これに対して、本実施例のインクタンク100では、インクが必ず通る位置(連通口110oの手前の位置)にプロペラ116を設けることによって、脱気がされないまま下流側にインクが流出することを防ぐことが可能であり、しかも、この位置にプロペラ116を設けることによって下流側に移動する気泡を、出口室120でトラップすることができる。従って、気泡が噴射ヘッド22側に混入することによる上述した弊害を、より確実に回避することが可能である。
【0031】
C.変形例 :
以上に説明した本実施例のインクタンク100には、幾つかの変形例が存在する。以下では、これら変形例について説明する。尚、変形例の説明では、前述した実施例と同様の構成部分については、先に説明した実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0032】
C−1.第1変形例 :
上述した実施例では、連通口110oの手前にプロペラ116を設けるものと説明した。ここで、インク収容室110から下流側に流出するインクをより確実に減圧する目的で、プロペラ116を次のように設けることとしてもよい。
【0033】
図6は、第1変形例のインクタンク100の内部構造を示した断面図である。図示した第1変形例のインクタンク100では、インク収容室110と出口室120とが連通通路130で接続されており、この連通通路130の内部にプロペラ116が設けられている。このインクタンク100では、連通通路130によって、連通口110oに向かうインクの流れが1つに絞られた状態で、この流れの途中に設けられたプロペラ116によってインクが減圧される。したがって、インク収容室110から出口室120に流れ込む全てのインクを減圧することができるので、インクが減圧されずに下流側に流出することをより確実に防止することが可能となる。
【0034】
C−2.第2変形例 :
上述した実施例では、インク収容室110と出口室120とが連通口110oで連通されているものと説明した。ここで、連通口110oは、インク収容室110と出口室120とを連通していれば、どのような方向に向けて設けられていてもよく、従って、例えば連通口110oを上方に向けて設けることとしてもよい。
【0035】
図7は、第2変形例のインクタンク100の内部構造を示した断面図である。図示した第2変形例のインクタンク100では、インク収容室110の底部側が少しだけ出口室120側に拡張されており、拡張部分の上部に連通口110oが設けられることによって、連通口oが上方を向いている。
【0036】
このように連通口110oを上方に向けておくと、インクタンク100から噴射ヘッド22にインクを供給する際、図6に破線で示されているように、インクが連通口110oから出口室120の上方に向かって流れた後に、インク供給口120oに向かって流れる。このため、プロペラ116で生じた気泡が出口室120に入った場合、気泡の浮力に加えて、インクの流れによって出口室120の上方に気泡が送られる。従って、前述したインクタンク100(図3を参照)のように、浮力のみによって気泡を上方に移動させる場合と比較して、気泡を確実に上方に向かわせて、出口室120に溜めることができる。その結果、例えば高速で画像を印刷する場合のように、出口室120から流出するインクの流れが大きくなるような場合であっても、インクの流れにつられて気泡が出口室120から流出することを回避することが可能となる。
【0037】
C−3.第3変形例 :
上述した実施例および変形例では、気泡は出口室120の上部に溜まるものと説明した。ここで、気泡を出口室120の上部に確実に留めておく目的で、次のようにしてもよい。
【0038】
図8は、第3変形例のインクタンク100の内部構造を示した断面図である。図示した第3変形例のインクタンク100では、出口室120の上部にメッシュ124が設けられている。このようにメッシュ124を設けておけば、出口室120の気泡を、メッシュ124の網の目の間に引っ掛かった状態とすることができるので、気泡を出口室120に確実に留めておくことが可能となる。
【0039】
尚、図8では、出口室120の上部にメッシュ124を用いる場合を例示したが、出口室120に設ける部材は、気泡を留めておくことが可能なものであればメッシュ124以外であってもよい。従って例えばスポンジなどの多孔質部材をメッシュ124の代わりに設けることとしてもよい。
【0040】
以上、各種の実施形態を説明したが、本発明は上記すべての実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上述した実施例および変形例では、インク収容室110のインク中から空気を分離する装置として、プロペラ116を用いるものと説明した。しかし、インク中から空気を分離する装置は、同様の原理によって気泡を生ずる装置であればプロペラ116以外であってもよく、従って、例えば図9に示されているように、水晶振動子118をインク収容室110に設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…インクジェットプリンター、 20…キャリッジ、 22…噴射ヘッド、
100…インクタンク、 110…インク収容室、 110o…連通口、
116…プロペラ、 118…水晶振動子、 120…出口室、
120o…インク供給口、 124…メッシュ、 130…連通通路
200…インクタンク、 210…インク収容室、 216…プロペラ、
220o…インク供給口
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用のインクジェットプリンターのように大量の液体を消費する液体噴射装置には、容量の大きな液体タンクが設けられている。液体タンクは、チューブを介して噴射ヘッドに接続されており、液体タンク内の液体が噴射ヘッドに供給されて、噴射ヘッドのノズルから噴射される。また、液体タンク内の液体が残り少なくなった場合には、ユーザーが液体タンクに液体を補充できるようになっており、これにより液体の噴射を中断することなく、液体噴射装置を連続して稼働させることが可能となる(特許文献1)。
【0003】
また、液体タンクに液体を補充する際には、液体タンクの蓋を空けた状態(液体タンク内が大気に曝された状態)で、別途用意しておいたボトルなどから液体を補充するので、液体タンク内の液体に多くの空気が溶け込む。この液体が噴射ヘッドに供給されると、途中の流路などで気泡を発生させ、ノズルを塞いで目詰まりを起こすことが起こり得る。そこで、液体タンク内にプロペラなどの減圧装置を設けておき、これを駆動して液体タンク内を減圧することによって、液体に溶け込んだ空気を気泡として分離する技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−219483号公報
【特許文献2】特開2010−120372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の技術を用いてもなお、噴射ヘッドへの流路の途中などで気泡が発生し、ノズルの目詰りが起きてしまう場合があるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術における上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、液体タンクから噴射ヘッドに液体を供給する際、途中の流路などで気泡が生ずることによる弊害を低減する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体タンクは次の構成を採用した。すなわち、
液体を噴射する噴射ヘッドに接続され、該噴射ヘッドに液体を供給する液体タンクであって、
前記液体を収容可能な液体収容室と、
前記液体収容室に連通し、且つ、前記噴射ヘッドに接続される出口室と、
前記液体収容室と前記出口室とが連通する部分に設けられ、当該部分を減圧する減圧手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
このような本発明の液体タンクにおいては、液体収容室に収容された液体が、減圧手段が設けられた部分を通過し、その後出口室を経由して噴射ヘッドに供給される。尚、本発明の「減圧手段」とは、液体タンク内を減圧させる必要はなく、液体中で局部的に圧力を低下させる手段とすることができる。例えば、液体中でプロペラを回転させると、プロペラの背面側では圧力が低下していわゆるキャビテーションという現象が生じる。あるいは、液体中で圧電素子や水晶振動子を振動させると、振動面が液体を押しのけた後に戻る際に圧力が低下して、キャビテーションが発生する。従って、プロペラや圧電素子、水晶振動子なども減圧手段として用いることができる。
【0009】
減圧手段は、液体収容室と出口室とが連通する部分に設けられているので、液体収容室内の液体が出口室に流入する際には、減圧手段が設けられた箇所を通過する。このため、液体中に溶け込んでいた空気が気泡として分離され、分離された気泡は浮力によって液体中を上昇していく。もちろん、液体収容室と出口室とが連通する部分に減圧手段を設けている関係上、液体から分離された気泡の少なくとも一部は出口室に入り込むこととなるが、入り込んだ気泡は浮力によって出口室内を上昇していくので、出口室から下流側(噴射ヘッド側)に流出することはない。その結果、噴射ヘッドには液体だけを供給することができるので、噴射ヘッドで目詰まりが発生することを低減することが可能となる。
【0010】
また、上述した本発明の液体タンクにおいては、液体収容室と出口室とが連通する部分の液体収容室側に、減圧手段を設けることとしてもよい。こうすれば、減圧手段で発生した気泡の一部は液体収容室内を上昇していくので、出口室内に流れ込む気泡を減らすことができる。その結果、出口室内から噴射ヘッド側に気泡が流出して噴射ヘッドを目詰まりさせる事態を、より低減することが可能となる。
【0011】
また、上述した本発明の液体タンクにおいては、液体収容室と出口室とを連通通路によって連通しておき、その連通通路内に減圧手段を設けることとしてもよい。仮に、連通通路内ではなく、液体収容室内の連通通路が開口している部分に減圧手段を設けた場合、僅かとはいえ、減圧手段によって減圧されずに出口室内に流れ込む液体が発生しうる。また、同様なことは、液体収容室と出口室とが連通通路で連通しているのではなく、液体収容室と出口室とを隔てる隔壁に設けられた開口部で連通しており、液体収容室内の開口部の近傍に減圧手段が設けられている場合にも当てはまる。これに対して、連通通路内に減圧手段を設けておけば、液体収容室から出口室に流れ込む全ての液体が減圧手段で減圧されることになる。その結果、液体に溶け込んだ空気をより確実に分離することができるので、噴射ヘッドが目詰まりする事態をより低減することが可能となる。
【0012】
また、上述した本発明の液体タンクにおいては、液体収容室と出口室とが連通する部分は、少なくとも出口室側では上方に向けて開口するように設けることとしてもよい。
【0013】
こうすれば、液体収容室から出口室に液体が流れ込む箇所に、上向きの液体の流れを発生させることができる。従って、浮力に加え、この液体の流れが気泡に作用することによって、出口室に入り込んだ気泡を確実に上部に移動させることができる。その結果、出口室内で液体と気泡とを分離することができるので、噴射ヘッド側に気泡が流出して噴射ヘッドを目詰まりさせる事態を、より確実に回避することが可能となる。
【0014】
また、本発明は、上述した液体タンクと、液体タンクの出口室と噴射ヘッドとを接続し、噴射ヘッドに液体を輸送する輸送管とを備える液体供給システムの態様で把握することもできる。このような液体供給システムを用いれば、空気が分離された状態の液体を、輸送管を介して噴射ヘッドに供給することができるので、噴射ヘッドで目詰まりが発生することを低減することが可能となる。
【0015】
また、本発明は、上述した液体タンクと、液体タンクの出口室と噴射ヘッドとを接続し、噴射ヘッドに液体を輸送する輸送管と、液体を噴射する噴射ヘッドとを備える液体噴射システムの態様で把握することもできる。このような液体噴射システムでは、噴射ヘッドでの目詰まりが低減されるので、目詰まりによって液体がうまく噴射できなくなる事態を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】いわゆるインクジェットプリンターを例に用いて本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。
【図2】インクジェットプリンターの内部構造を示した説明図である。
【図3】本実施例のインクタンクの内部構造を示した断面図である。
【図4】インク収容室内のインクから空気を分離する方法を示した説明図である。
【図5】参考例のインクタンクの内部構図を示した断面図である。
【図6】第1変形例のインクタンクの内部構造を示した断面図である。
【図7】第2変形例のインクタンクの内部構造を示した断面図である。
【図8】第3変形例のインクタンクの内部構造を示した断面図である。
【図9】減圧手段として、プロペラの代わりに水晶振動子を設けたインクタンクを例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.本実施例のインクタンクの構成:
C.変形例:
C−1.第1変形例:
C−2.第2変形例:
C−3.第3変形例:
【0018】
A.装置構成 :
図1は、いわゆるインクジェットプリンターを例に用いて本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。インクジェットプリンター10は、略箱形の外観形状をしており、前面のほぼ中央には前面カバー11が設けられ、背面側には、印刷用紙2をセットする給紙トレイ12が設けられている。また、インクジェットプリンター10の前面側で、前面カバー11の隣の位置には複数の操作ボタン13が設けられている。前面カバー11は下端側で軸支されており、上端側を手前に倒すと、印刷用紙2が排出される細長い排紙口14が現れる。給紙トレイに印刷用紙2をセットして操作ボタン13を操作すると、給紙トレイから印刷用紙2が吸い込まれ、インクジェットプリンター10の内部で印刷用紙2の表面に画像が印刷された後、排紙口14から排出される。
【0019】
また、インクジェットプリンター10の側面には、箱形のタンクケース50が設けられている。詳しくは後述するが、タンクケース50の内部には複数のインクタンクが設けられており、インクジェットプリンター10が印刷に用いるインクは、このインクタンクから供給される。
【0020】
図2は、本実施例のインクジェットプリンター10の内部構造を示した説明図である。図示されるように、インクジェットプリンター10の内部には、印刷用紙2の上で往復動するキャリッジ20が設けられており、キャリッジ20には、インクを噴射する噴射ヘッド22が設けられている。尚、本実施例のインクジェットプリンター10では、シアン(以下C)色、イエロー(以下Y)色、マゼンタ(以下M)色、黒(以下K)色の4色のインクを用いて画像を印刷可能であり、これに対応してインクの色ごとに噴射ヘッド22が設けられている。
【0021】
キャリッジ20は、図示しない駆動機構に駆動されて、ガイドレール24にガイドされながら印刷用紙2の上で往復動を繰り返す。また、インクジェットプリンター10には図示しない紙送り機構も設けられており、キャリッジ20が往復動する動きに合わせて印刷用紙2が少しずつ紙送りされる。そして、キャリッジ20が往復動する動きと、印刷用紙2が紙送りされる動きとに合わせて、噴射ヘッド22の下面側(印刷用紙2側)に設けられたノズルからインクを噴射することによって、印刷用紙2に画像が印刷される。
【0022】
ノズルから噴射されるインクは、タンクケース50内のインクタンク100に収容されている。本実施例のインクジェットプリンター10では、4種類のインク(Cインク、Yインク、Mインク、Kインク)を使用することから、インクタンク100もインクの色ごとに設けられている。これらインクタンク100内のインクは、インクの色ごとに設けられたインクチューブ26を介して噴射ヘッド22に供給される。
【0023】
B.本実施例のインクタンクの構成 :
図3は、本実施例のインクタンク100の内部構造を示した断面図である。尚、本実施例のインクジェットプリンター10には、4つのインクタンク100が設けられているが、いずれの内部構造も同じであるので、図3では代表して1つのインクタンク100の内部構造が示されている。
【0024】
インクタンク100は、隔壁によって内部が2つの部屋に区切られている。このうち、上流側のインク収容室110(液体収容室)は、上部がインクタンク100の上面に開口しており、この開口(インク補充口112)がキャップ114で封止されている。また、インク収容室110は、連通口110oを介して下流側の出口室120と連通しており、出口室120は、インク供給口120oからインクチューブ26を介して噴射ヘッド22に接続されている。このため、インクタンク100に収容されたインクは、インク収容室110から出口室120、インクチューブ26と経由して、噴射ヘッド22に供給される。さらに、連通口110oのすぐ手前(インク収容室110側)の位置には、プロペラ116(減圧手段)が設けられており、プロペラ116は図示しないモーターによって駆動可能となっている。
【0025】
このような本実施例のインクタンク100では、内部のインクが残り少なくなった場合には、ユーザーがキャップ114を外して、別途用意しておいたインクボトルのインクをインク補充口112から補充する。これにより、一度の印刷で大量のインクを消費するような場合であっても、連続してインクジェットプリンター10を稼働させることが可能となる。
【0026】
もっとも、キャップ114を外すとインク収容室110の内部は大気に曝されるので、この状態でインクが補充されることによって、インク収容室110内のインクには多くの空気が溶け込むこととなる。このインクが噴射ヘッド22に供給されると、途中の流路などで気泡を発生させ、ノズルが目詰まりするなどの弊害が生ずるおそれがある。そこで、次のようにしてインク中に溶け込んだ空気を分離する。
【0027】
図4は、インク収容室110内のインクから空気を分離する方法を示した説明図である。インク中の空気を分離する際には、図4(a)に示されるように、インク収容室110内のプロペラ116をモーターによって駆動する。すると、プロペラ116の表側と裏側との間に圧力差が生ずることによって、プロペラ116の背面側が減圧される。プロペラ116は、連通口110oのすぐ手前に設けられているので、インク収容室110から下流側に流出するインクはプロペラ116の位置を必ず通過する。このため、プロペラ116の位置でインクが減圧され、このときインク中に溶け込んでいた空気が気泡となって分離(脱気)される。その結果、脱気された状態のインクのみが噴射ヘッド22側に供給されるので、ノズルが目詰まりするなどの弊害を低減できる。
【0028】
もちろん、連通口110oのすぐ手前にプロペラ116が設けられているので、プロペラ116で生じた気泡は、インク収容室110の上方に移動するだけでなく、連通口110oからインク収容室110の下流側にも移動する(図4(b)を参照)。しかし、下流側に移動した気泡は、出口室120に入った後に浮力によって上方に移動し、やがて出口室120の上部に溜まる。従って、プロペラ116で生じた気泡がさらに下流側(噴射ヘッド22側)に流出することによって、ノズルが目詰まりするなどの弊害が生ずることもない。
【0029】
図5は、参考例のインクタンク200の内部構図を示した断面図である。図示したインクタンク200では、インク収容室210がインクチューブ26を経て噴射ヘッド22に接続されており、プロペラ216は、インク供給口220oから離れた位置に設けられている。このインクタンク200では、図中に矢印で示したように、インク収容室210の一部のインク(プロペラ216よりもインク供給口220o側のインク)が、プロペラ216を経ることなく下流側に流出する。このため、脱気されていないインクが噴射ヘッド22側に供給されることによって、ノズルが目詰まりするなどの弊害が生じうる。
【0030】
これに対して、本実施例のインクタンク100では、インクが必ず通る位置(連通口110oの手前の位置)にプロペラ116を設けることによって、脱気がされないまま下流側にインクが流出することを防ぐことが可能であり、しかも、この位置にプロペラ116を設けることによって下流側に移動する気泡を、出口室120でトラップすることができる。従って、気泡が噴射ヘッド22側に混入することによる上述した弊害を、より確実に回避することが可能である。
【0031】
C.変形例 :
以上に説明した本実施例のインクタンク100には、幾つかの変形例が存在する。以下では、これら変形例について説明する。尚、変形例の説明では、前述した実施例と同様の構成部分については、先に説明した実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0032】
C−1.第1変形例 :
上述した実施例では、連通口110oの手前にプロペラ116を設けるものと説明した。ここで、インク収容室110から下流側に流出するインクをより確実に減圧する目的で、プロペラ116を次のように設けることとしてもよい。
【0033】
図6は、第1変形例のインクタンク100の内部構造を示した断面図である。図示した第1変形例のインクタンク100では、インク収容室110と出口室120とが連通通路130で接続されており、この連通通路130の内部にプロペラ116が設けられている。このインクタンク100では、連通通路130によって、連通口110oに向かうインクの流れが1つに絞られた状態で、この流れの途中に設けられたプロペラ116によってインクが減圧される。したがって、インク収容室110から出口室120に流れ込む全てのインクを減圧することができるので、インクが減圧されずに下流側に流出することをより確実に防止することが可能となる。
【0034】
C−2.第2変形例 :
上述した実施例では、インク収容室110と出口室120とが連通口110oで連通されているものと説明した。ここで、連通口110oは、インク収容室110と出口室120とを連通していれば、どのような方向に向けて設けられていてもよく、従って、例えば連通口110oを上方に向けて設けることとしてもよい。
【0035】
図7は、第2変形例のインクタンク100の内部構造を示した断面図である。図示した第2変形例のインクタンク100では、インク収容室110の底部側が少しだけ出口室120側に拡張されており、拡張部分の上部に連通口110oが設けられることによって、連通口oが上方を向いている。
【0036】
このように連通口110oを上方に向けておくと、インクタンク100から噴射ヘッド22にインクを供給する際、図6に破線で示されているように、インクが連通口110oから出口室120の上方に向かって流れた後に、インク供給口120oに向かって流れる。このため、プロペラ116で生じた気泡が出口室120に入った場合、気泡の浮力に加えて、インクの流れによって出口室120の上方に気泡が送られる。従って、前述したインクタンク100(図3を参照)のように、浮力のみによって気泡を上方に移動させる場合と比較して、気泡を確実に上方に向かわせて、出口室120に溜めることができる。その結果、例えば高速で画像を印刷する場合のように、出口室120から流出するインクの流れが大きくなるような場合であっても、インクの流れにつられて気泡が出口室120から流出することを回避することが可能となる。
【0037】
C−3.第3変形例 :
上述した実施例および変形例では、気泡は出口室120の上部に溜まるものと説明した。ここで、気泡を出口室120の上部に確実に留めておく目的で、次のようにしてもよい。
【0038】
図8は、第3変形例のインクタンク100の内部構造を示した断面図である。図示した第3変形例のインクタンク100では、出口室120の上部にメッシュ124が設けられている。このようにメッシュ124を設けておけば、出口室120の気泡を、メッシュ124の網の目の間に引っ掛かった状態とすることができるので、気泡を出口室120に確実に留めておくことが可能となる。
【0039】
尚、図8では、出口室120の上部にメッシュ124を用いる場合を例示したが、出口室120に設ける部材は、気泡を留めておくことが可能なものであればメッシュ124以外であってもよい。従って例えばスポンジなどの多孔質部材をメッシュ124の代わりに設けることとしてもよい。
【0040】
以上、各種の実施形態を説明したが、本発明は上記すべての実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上述した実施例および変形例では、インク収容室110のインク中から空気を分離する装置として、プロペラ116を用いるものと説明した。しかし、インク中から空気を分離する装置は、同様の原理によって気泡を生ずる装置であればプロペラ116以外であってもよく、従って、例えば図9に示されているように、水晶振動子118をインク収容室110に設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…インクジェットプリンター、 20…キャリッジ、 22…噴射ヘッド、
100…インクタンク、 110…インク収容室、 110o…連通口、
116…プロペラ、 118…水晶振動子、 120…出口室、
120o…インク供給口、 124…メッシュ、 130…連通通路
200…インクタンク、 210…インク収容室、 216…プロペラ、
220o…インク供給口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する噴射ヘッドに接続され、該噴射ヘッドに液体を供給する液体タンクであって、
前記液体を収容可能な液体収容室と、
前記液体収容室に連通し、且つ、前記噴射ヘッドに接続される出口室と、
前記液体収容室と前記出口室とが連通する部分に設けられ、当該部分を減圧する減圧手段と
を備える液体タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の液体タンクであって、
前記減圧手段は、前記液体収容室と前記出口室とが連通する部分の該液体収容室側に設けられている液体タンク。
【請求項3】
請求項1に記載の液体タンクであって、
前記液体収容室と前記出口室とは連通通路によって連通しており、
前記減圧手段は、前記連通通路内に設けられている液体タンク。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の液体タンクであって、
前記液体収容室と前記出口室とが連通する部分は、少なくとも該出口室側では上方に向けて開口して設けられている液体タンク。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れかに記載の液体タンクと、
前記出口室と前記噴射ヘッドとを接続し、該噴射ヘッドに液体を輸送する輸送管と
を備える液体供給システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4の何れかに記載の液体タンクと、
前記出口室と前記噴射ヘッドとを接続し、該噴射ヘッドに液体を輸送する輸送管と、
前記液体を噴射する噴射ヘッドと
を備える液体噴射システム。
【請求項1】
液体を噴射する噴射ヘッドに接続され、該噴射ヘッドに液体を供給する液体タンクであって、
前記液体を収容可能な液体収容室と、
前記液体収容室に連通し、且つ、前記噴射ヘッドに接続される出口室と、
前記液体収容室と前記出口室とが連通する部分に設けられ、当該部分を減圧する減圧手段と
を備える液体タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の液体タンクであって、
前記減圧手段は、前記液体収容室と前記出口室とが連通する部分の該液体収容室側に設けられている液体タンク。
【請求項3】
請求項1に記載の液体タンクであって、
前記液体収容室と前記出口室とは連通通路によって連通しており、
前記減圧手段は、前記連通通路内に設けられている液体タンク。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の液体タンクであって、
前記液体収容室と前記出口室とが連通する部分は、少なくとも該出口室側では上方に向けて開口して設けられている液体タンク。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れかに記載の液体タンクと、
前記出口室と前記噴射ヘッドとを接続し、該噴射ヘッドに液体を輸送する輸送管と
を備える液体供給システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4の何れかに記載の液体タンクと、
前記出口室と前記噴射ヘッドとを接続し、該噴射ヘッドに液体を輸送する輸送管と、
前記液体を噴射する噴射ヘッドと
を備える液体噴射システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−107268(P2013−107268A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253726(P2011−253726)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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