説明

液体タンク、液体残量検出システム、及び液体残量検出方法

【課題】周辺環境に左右されることなく、液体(例えば、燃料電池の液体燃料として使用するメタノール)の残量の検出精度を向上できるようにする。
【解決手段】メタノールを貯留した燃料容器部11と、燃料容器部11内に平行に設けられ、メタノールと接触するように配置された2つの電極15と、燃料容器部11に貯留されているメタノールの温度を検出するための温度センサ13と、燃料容器部11に貯留されているメタノールの液面に対する電極15の姿勢を検出するための加速度センサ14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留する液体の残量を検出可能な液体タンク、液体残量検出システム、及び液体残量検出方法に係るものである。そして、詳しくは、液体の残量の検出精度を向上できるようにした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ等の携帯型電子機器は、高機能化や多機能化にともなって消費電力が増加する傾向にある。そのため、これらの携帯型電子機器の電源として、貯留した液体を燃料として使用し、エネルギ密度や出力密度の向上が見込める燃料電池が注目されている。
【0003】
燃料電池では、アノード側に供給された液体燃料が酸化され、カソード側に空気又は酸素が供給されて酸素が還元される。そして、液体燃料が持っている化学エネルギが効率良く電気エネルギに変換され、その電気エネルギを取り出して利用する。そのため、燃料電池は、液体燃料を補給し続けることにより、充電しなくても電源として使い続けることができる。
【0004】
このような燃料電池において、携帯型電子機器の電源となる可能性が最も高いのは、プロトン伝導性高分子膜を電解質とする固体高分子型燃料電池(PEFC)である。その中でも、メタノールを改質することなく燃料に用いるダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)は、燃料のメタノールを低濃度又は高濃度の水溶液としてアノード側に供給するものである。そして、供給されたメタノールは、アノード側の触媒層で二酸化炭素に酸化される。また、この際に生じた水素イオンは、アノードとカソードとの間に挟持されたプロトン伝導性高分子電解質膜を通ってカソード側に移動し、カソード側の触媒層で酸素と反応して水を生成する。
【0005】
このように、ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)は、液体燃料であるメタノールをアノード側に供給して発電する。また、メタノールは、例えば、燃料電池本体に対して着脱可能な燃料カートリッジに貯留されていたり、燃料電池システムに内蔵された燃料タンクに貯留されている。そのため、通常は、メタノールの残量を検出する残量検出手段を備えている。そして、残量検出手段によってメタノールが無くなったことが検出された場合には、燃料電池本体からその燃料カートリッジを取り外し、新しい(メタノールが貯留された)燃料カートリッジに交換したり、燃料タンクに直接補給したりしている。
【0006】
ここで、メタノール等の液体燃料の残量検出手段として、燃料カートリッジを装着する装着スペースの側面に沿って所定の間隔で複数本の電極を配置し、電極間の静電容量を検出回路によって検出し、検出回路から出力される信号を演算して残量データとして送出するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−40836号公報
【0007】
また、液体燃料が封入された燃料カートリッジの内周面に沿って、相互に近接し、かつ平行に配設された2本の導体を備え、導体間の電気抵抗値を測定し、この電気抵抗値を導体が液体燃料と接触する部分の長さに変換することで、残量を算出するようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2004−93409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の技術では、残量の検出精度が低下するおそれがある。すなわち、電極間の距離が大きくなると静電容量が小さくなるので、液体燃料の残量の変化に対する静電容量の変化も小さくなる。そのため、電極間の距離を小さくしておきたいが、電極間に挿入する燃料カートリッジの形状や大きさ等により、あまり距離を縮めることはできない。すると、残量の検出精度が低下してしまう。
【0009】
一方、特許文献2に記載の技術によれば、導体間の距離を小さくすることもできる。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、別の理由によって残量の検出精度を向上できない。すなわち、メタノール等の液体燃料の比誘電率は、温度によって変化する。そのため、外気温や燃料電池本体から発生する熱等の周辺環境によって比誘電率が異なることとなり、それが残量の検出結果に悪影響を及ぼすという問題がある。なお、このような液体燃料の温度による特性変化(比誘電率等の変化)から生じる問題は、上記の特許文献1の技術にも存在する。
【0010】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、周辺環境に左右されることなく、液体(例えば、燃料電池の液体燃料)の残量の検出精度を向上できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の解決手段により、上述の課題を解決する。
本発明の請求項1に記載の発明は、液体を貯留する液体容器部と、前記液体容器部内に平行に設けられ、液体と直接的又は間接的に接触するように配置された複数の電極と、前記液体容器部に貯留されている液体の温度を検出するための温度検出手段と、前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出するための姿勢検出手段とを有する液体タンクである。
【0012】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、液体を貯留する液体容器部と、前記液体容器部内に平行に設けられ、液体と直接的又は間接的に接触するように配置された複数の電極と、前記電極に接続された電源と、前記液体容器部に貯留されている液体の温度を検出するための温度検出手段と、前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出するための姿勢検出手段と、前記電極間の電圧及び前記温度検出手段の温度検出結果に基づいて、前記液体容器部内の液体の残量を演算する残量演算手段と、前記姿勢検出手段の姿勢検出結果が液体の残量の検出に適しているときに、前記残量演算手段によって演算された液体の残量を取得する残量取得手段とを有する液体残量検出システムである。
【0013】
さらにまた、本発明の請求項9に記載の発明は、液体容器部内の液体に直接的又は間接的に接触させた複数の平板形状の電極間の電圧を検出する電圧検出工程と、前記液体容器部に貯留されている液体の温度を検出する温度検出工程と、前記電圧検出工程によって検出された前記電極間の電圧及び前記温度検出工程によって検出された液体の温度に基づいて、前記液体容器部に貯留されている液体の残量を演算する残量演算工程と、前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出する姿勢検出工程と、前記姿勢検出工程によって液体の液面が前記電極の平板表面に対して法線方向になったことが検出されたときに、前記残量演算工程によって演算された液体の残量を取得する残量取得工程とを含む液体残量検出方法である。
【0014】
(作用)
上記の請求項1、請求項7、及び請求項9に記載の発明は、液体と直接的又は間接的に接触するように配置された複数の電極間の電圧及び液体の温度の検出結果に基づいて、液体容器部内の液体の残量を演算する。そして、液体の液面に対する電極の姿勢が液体の残量の検出に適しているときに、演算された液体の残量を取得する。そのため、液体の残量を取得する際に、液体の温度や電極の姿勢が考慮される。
【発明の効果】
【0015】
上記の発明によれば、液体に直接的又は間接的に接触させた電極間の電圧から液体の残量を取得する際に、液体の温度や電極の姿勢が考慮されるので、周辺環境や液体タンクの傾き等によって残量の取得結果が悪影響を受けない。そのため、液体の残量の検出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態では、燃料電池用の液体燃料の残量を検出するものとし、本発明の液体タンクとして、燃料電池本体に対して着脱可能に形成され、燃料電池本体に供給する液体燃料を貯留した燃料カートリッジ10を例に挙げて説明する。
図1は、第1実施形態の燃料カートリッジ10を示す斜視図及び断面図である。
図1(a)に示すように、第1実施形態の燃料カートリッジ10は、燃料容器部11(本発明における液体容器部に相当するもの)と、燃料供給口12(本発明における液体供給口に相当するもの)と、温度センサ13(本発明における温度検出手段に相当するもの)と、加速度センサ14(本発明における姿勢検出手段に相当するもの)とを有している。
【0017】
燃料容器部11は、液体燃料であるメタノールを貯留するための密閉性の高い空間である。そして、燃料容器部11の外形は、後述する燃料電池本体60(図示せず)に対して着脱可能な直方体に形成されている。また、図1(b)に示すように、燃料容器部11の内部には、平板形状の2つの電極15が平行に設けられている。
【0018】
電極15は、カーボンを含む材料や、コバルト(Co)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等、表面に不導体皮膜を生成する物質によって形成されたものである。また、アルマイト処理を施したアルミニウム(Al)等、表面を酸化皮膜処理した金属を使用することもできる。さらにまた、金(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)等、材料の酸化電位が、後述する燃料電池本体60(図示せず)の発電によって発生する副生成物(例えば、蟻酸等)の酸化電位より貴なる導体、半導体を使用することもできる。さらに、カチオン性不純物(ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)等)となり得る物質を除く導体、半導体であってもよい。なお、一般的には、電極15は、非常に薄い絶縁膜(メタノール等の液体燃料によって侵されず、かつ誘電率が低い材質のもの)でコーティングされる。これは、電極15が液体燃料を劣化させたり、液体燃料中の不純物によって電極15の電圧が悪影響を受けることを回避するためである。
【0019】
このような電極15は、メタノールの残量を検出するためのものであり、メタノールと接触する(電極15がコーティングされている場合には、メタノールと間接的に接触し、そうでない場合には、メタノールと直接的に接触する)ように配置されている。そのため、電極15によって燃料容器部11内のメタノールが無くなったことが検出された場合には、後述する燃料電池本体60(図示せず)からその燃料カートリッジ10を取り外し、新しい(メタノールが貯留された)燃料カートリッジ10に交換することができる。
【0020】
燃料供給口12は、燃料容器部11に貯留されているメタノールを供給するための出口であり、燃料容器部11の一側面に形成されている。そして、燃料供給口12からメタノールが勝手に流出しないように、内側に開閉弁12a(図1(b)参照)が設けられている。そのため、燃料カートリッジ10の輸送、保管、販売時等において、燃料容器部11内のメタノールが外部に漏れ出すことはない。
【0021】
温度センサ13は、燃料容器部11に貯留されているメタノールの温度を検出するためのものであり、燃料容器部11の外側面に取り付けられている。すなわち、燃料容器部11の周辺の雰囲気温度を検出することにより、燃料容器部11内のメタノールの温度を取得する。なお、温度センサ13は、燃料容器部11内に取り付けてもよい。
【0022】
加速度センサ14は、燃料容器部11の姿勢を検出するためのものであり、燃料容器部11の上面に取り付けられている。一方、電極15は、燃料容器部11内の底面から天井面に向けて真っ直ぐに立設されている。そのため、加速度センサ14が検出可能な加速度方向の1軸は、電極15の平板表面に対して法線方向(図1(b)に示す矢印の方向)となる。なお、このように設定する1軸は、加速度センサ14が3軸を検出できるものであれば、その中の1軸であり、1軸しか検出できないものであれば、その1軸とする。また、加速度センサ14は、燃料容器部11内の天井面に取り付けてもよい。
【0023】
図2は、本発明の液体残量検出システムを備える第1実施形態の燃料電池システム110を示す概念図である。
第1実施形態の燃料電池システム110は、メタノールを燃料として用いるダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)である。そして、図2に示すように、燃料カートリッジ10及び燃料電池本体60を備えており、燃料カートリッジ10から燃料電池本体60にメタノールが供給されるようになっている。
【0024】
また、燃料電池本体60は、発電装置61と、制御装置62と、燃料供給ポンプ63と、補助電池64と、残量演算回路65(本発明における残量演算手段及び残量取得手段を構成するもの)とを有している。さらにまた、燃料電池本体60は、燃料カートリッジ10からの燃料受入れ口66(本発明における液体受入れ口に相当するもの)、燃料カートリッジ10との電気接点部67を有している。
【0025】
発電装置61は、メタノールが有する化学エネルギによって電力を発生させるものである。すなわち、発電装置61は、プロトン伝導性高分子電解質膜の両面にアノード側の燃料電極とカソード側の酸素電極とが接合された膜−電極接合体(MEA)を備えている。そして、燃料電極は、導電性多孔質支持体の表面に酸化触媒層が形成されたものであり、酸素電極は、導電性多孔質支持体の表面に還元触媒層が形成されたものとなっている。なお、導電性多孔質支持体としては、例えば、カーボンシートやカーボンクロス等が用いられる。また、酸化触媒層及び還元触媒層は、例えば、触媒である白金等とプロトン伝導体との混合物によって形成される。
【0026】
このような膜−電極接合体(MEA)の燃料電極には、メタノールが供給され、酸素電極には、酸素又は空気が供給される。そして、アノード側の燃料電極に供給されたメタノールは、酸化触媒層で二酸化炭素に酸化される。また、この際に、電子(e−)が分離した水素イオン(プロトン:H+)が発生し、生じた水素イオンがプロトン伝導性高分子電解質膜を通ってカソード側に移動するとともに、燃料電極から電子(e−)が取り出されて負荷へ供給される。さらにまた、負荷を経由した電子(e−)及びプロトン伝導性高分子電解質膜を通過した水素イオン(プロトン:H+)は、酸素電極の還元触媒層で酸素と反応して水を生成する。
【0027】
このように、発電装置61は、電気化学反応によって電力を発生し、電力以外の副産物は、基本的に水のみとなる。そして、負荷に供給される起電力は、発電装置61の燃料電極に供給されるメタノールの量に依存する。そのため、制御装置62によって燃料供給ポンプ63を制御し、メタノールの供給量を調節することにより、電力を任意に発生させることができる。
【0028】
ここで、メタノールは、燃料カートリッジ10から供給される。すなわち、燃料容器部11(図1参照)を含む燃料カートリッジ10の全体は、燃料電池本体60に対して着脱可能に形成されている。そして、燃料容器部11にメタノールが貯留されており、燃料カートリッジ10を燃料電池本体60に装着すると、燃料供給口12と燃料受入れ口66とが対応し、燃料供給口12の開閉弁12a(図1(b)参照)が開く。
【0029】
この状態で、補助電池64の電力によって燃料供給ポンプ63が駆動される。すると、燃料カートリッジ10のメタノールが燃料供給口12及び燃料受入れ口66を通って燃料電池本体60の発電装置61に供給されることとなる。なお、補助電池64は、例えば、リチウムポリマ電池等の二次電池であり、発電装置61によって発生する電力の一部が供給され、蓄積されるようになっている。
【0030】
また、燃料電池本体60に装着されている燃料カートリッジ10のメタノールが無くなった場合には、その燃料カートリッジ10を取り外し、新しい(メタノールが貯留された)燃料カートリッジ10を装着すればよい。すると、新しい燃料カートリッジ10から燃料電池本体60にメタノールが補給されるので、その後も発電装置61による発電を続けることが可能となる。
【0031】
しかし、燃料カートリッジ10のメタノール残量を正確に把握できなければ、燃料カートリッジ10の交換タイミングがずれてしまう。そして、その交換が必要以上に早かった場合には、メタノールを無駄にすることとなり、遅かった場合には、予期せずに発電が停止することとなる。
【0032】
そこで、第1実施形態の燃料電池システム110は、メタノールの残量を正確に把握できるように、温度センサ13、加速度センサ14、電極15、及び残量演算回路65を有している。すなわち、燃料カートリッジ10の内部には、メタノールと接触するように平行に設けられた2つの平板形状の電極15が配置されている。また、燃料電池本体60側の残量演算回路65は、2つの電極15間の静電容量からメタノールの残量を取得するためのものである。そして、正確な残量を取得するため、温度センサ13によってメタノールの温度による特性変化(静電容量の変化)に対応できるようにし、加速度センサ14によってメタノールの液面に対する電極15の姿勢を検出できるようにしている。なお、燃料カートリッジ10と燃料電池本体60とは、電極構成部16及び電気接点部67によって接続される。
【0033】
図3は、第1実施形態の燃料カートリッジ10における温度センサ13の役割を示す説明図である。
図3(a)に示すように、燃料容器部11の側面には、温度センサ13が取り付けられている。また、燃料容器部11の内部には、メタノールと接触するようにして、2つの平板形状の電極15が平行に設けられている。なお、メタノールは、燃料容器部11の内面と電極15の側面との隙間を通って燃料供給口12(図1参照)に向かう。
【0034】
ここで、電極15は、燃料容器部11内の底面からほぼ天井面まで立設されている。そのため、2つの電極15間には、空気とメタノールとが存在する。そして、空気の比誘電率をε1、メタノールの比誘電率をε2とし、それぞれの電極15との接触面積をS1、S2としたとき、電極15間の距離がdであれば、その間の静電容量Cは、空気で満たされた領域の静電容量C(air) とメタノールで満たされた領域の静電容量C(meth)との和で表される。すなわち、
C=C(air) +C(meth)=ε0ε1S1/d+ε0ε2S2/d・・・(式1)
(ただし、ε0は、真空の比誘電率)
により、静電容量Cが求められる。
【0035】
したがって、例えば、電極15の面積S=30mm(高さ)×5mm(幅)、d=1mm、ε1=1、ε2=32.25(メタノール100% 20℃)の第1実施形態の燃料カートリッジ10であれば、メタノールの液面高さが0mmのとき、C≒0pFとなり、液面高さが30mmのとき、C≒43pFとなる。なお、液面高さの変化にともなう静電容量Cの変化の検出精度を高めるため、電極15間の距離dは、表面張力の影響を受けない範囲で狭くする。具体的には、3mm以下が好ましく、特に、1mm(第1実施形態の燃料カートリッジ10)とすることが好ましい。
【0036】
しかし、メタノールの比誘電率ε2は、その温度によって変化する。すなわち、同じ100%濃度のメタノールを液体燃料として用いても、図3(b)に示すように、メタノールの温度によって液面高さと静電容量Cとの関係が変化するので、このままでは正確な液面高さを取得できない。そのため、第1実施形態の燃料カートリッジ10では、燃料容器部11に貯留されているメタノールの温度による特性変化(比誘電率ε2の変化)に対応するために、温度センサ13によって周辺の雰囲気温度(メタノールの温度)を検出するようにしている。
【0037】
図4は、第1実施形態の燃料カートリッジ10における加速度センサ14の役割を示す説明図である。
上述したように、電極15間の静電容量Cからメタノールの液面高さを求めることができるが、上記の式1が成り立つのは、メタノールの液面が電極15の平板表面に対して垂直な場合(図3(a)参照)のみである。
【0038】
したがって、図4(a)に示すように、燃料容器部11が傾いていれば、メタノールの液面が電極15の平板表面に対して斜めになってしまうので、上記の式1を適用することができない。また、図4(b)に示すように、燃料容器部11が横倒しの状態であれば、メタノールの液面が電極15の平板表面に対して平行になるので、下記の式2を適用しなければならない。すなわち、
C=1/(d1/ε0ε1S+d2/ε0ε2S)・・・(式2)
となる。
【0039】
そこで、第1実施形態の燃料カートリッジ10では、加速度センサ14によってメタノールの液面に対する電極15の姿勢を検出するようにしている。すなわち、図3(a)に示すように、メタノールの液面が電極15の平板表面に対して法線方向になったこと(垂直な方向の加速度の出力=0)を検出することで、上記の式1が適用できるようにしている。なお、メタノールの液面が電極15と平行になったことを加速度センサ14で検出し、上記の式2を適用するようにしてもよい。また、加速度センサ14として、3軸等、1軸以上の検出が可能なものを用いれば、出力=0ではなく、2軸又は3軸からの出力を演算処理することにより、メタノールの液面に対する電極15の姿勢(垂直又は平行)を検出することも可能である。
【0040】
図5は、第1実施形態の燃料電池システム110におけるメタノール残量の演算部分を示す回路図である。
図5に示すように、燃料カートリッジ10を燃料電池本体60に装着すると、燃料カートリッジ10内でメタノールと接触している電極15が燃料電池本体60の残量演算回路65に接続される。
【0041】
ここで、2つの電極15間に高周波信号を印加したとき、電極15間の静電容量がCであれば、インピーダンスZは、
Z=1/ωC(ω=2πf)・・・(式3)
(ただし、fは、印加信号の周波数)
である。また、電極15間の電圧Vcは、
Vc=Zi(iは、電極15に流す電流値)・・・(式4)
で求められる。
【0042】
実際の残量演算回路65では、電源67によって電圧Vの交流信号が印加されるので、電極15間に発生する電圧Vcは、
Vc=R/(R+Z)×V・・・(式5)
(ただし、Rは、固定抵抗)
となる。そして、一次近似式に置き換えられた電圧Vcとメタノールの液面高さとの関係から、そのときの液面高さを演算できる。なお、電圧Vcは、オペアンプによって増幅され、R2/R1×Vcとなって出力される。
【0043】
このように、メタノールの液面高さを演算するには、メタノールに接触した電極15の静電容量CからインピーダンスZを求める(式3)とともに、電源67によって電極15に電圧Vを印加し、2つの電極15間の電圧Vcを求める(式5)。そして、この電圧Vcをオペアンプによって増幅し、それを検出する(電圧検出工程)。
【0044】
しかし、図3(b)に示すように、メタノールの温度によって特性(液面高さと静電容量Cとの関係)が変化する。すなわち、同じ100%濃度のメタノールを液体燃料として使っていても、電圧検出工程だけでは、正確な液面高さを演算できない。そのため、温度センサ13(図3(a)参照)によってメタノールの温度を検出する(温度検出工程)。
【0045】
図6は、第1実施形態の燃料電池システム110における燃料残量検出方法を示すグラフ及びフローチャートである。
図6(a)に示すように、2つの電極15(図1参照)の間に発生する電圧Vcとメタノールの液面高さとの関係は、メタノールの温度によって変化する。
【0046】
そこで、図1に示す第1実施形態の燃料カートリッジ10では、温度センサ13によって周辺の雰囲気温度(メタノールの温度)を検出する。そして、検出された温度と図6(a)に示すグラフとに基づいて、メタノールの液面高さを特定する。すなわち、温度センサ13の検出温度によってメタノールの液面高さの演算式を変えることで、残量の検出精度を向上させている。
【0047】
具体的には、温度センサ13(図1参照)によって検出されたメタノールの温度がtであるとき、100%濃度のメタノールの比誘電率ε2は、
ε2=−0.158t+35.394・・・(式6)
となる。
【0048】
また、電極15(図1参照)の底辺の長さをa、高さをbとし、メタノールの液面高さをb1とすると、上記の式1より、静電容量Cは、
C=ε0ε1a(b−b1)/d+ε0ε2ab1/d・・・(式7)
である。よって、上記の式3より、インピーダンスZは、
Z=1/2πf(ε0ε1a(b−b1)/d+ε0ε2ab1/d)・・・(式8)
となる。
【0049】
さらにまた、上記の式5及び式8より、
b1=(d/2πfR(V/Vc−1)−ε0ε1ab)/ε0(ε2−ε1)a・・・(式9)
となる。
【0050】
したがって、電圧検出工程によって2つの電極15(図1参照)の間の電圧Vcを検出(残量演算回路65(図5参照)によって増幅された電圧Vcを出力)できる。また、温度検出工程によってメタノールの温度tを検出(温度センサ13(図1参照)によって温度tを検出)すれば、上記の式6から比誘電率ε2を算出できる。そして、この電圧Vc及び比誘電率ε2を上記の式9に代入すれば、そのときのメタノールの液面高さb1が演算できる。
【0051】
さらに、メタノールの残量Mは、電圧検出工程によって検出された電圧Vc及び温度検出工程によって検出されたメタノールの温度t(算出された比誘電率ε2)に基づいて演算できる。すなわち、メタノールの残量Mは、燃料容器部11(図1参照)の底面積Aとメタノールの液面高さb1との積で表されるので、
M=Ab1・・・(式10)
によって演算できる(残量演算工程)。そして、このようなメタノール残量Mの演算は、図5に示すように、燃料カートリッジ10が燃料電池本体60に装着されていれば、常に実行される。なお、メタノール残量Mは、上記の式9及び式10より、電圧Vcの一次近似式として求めることができるので、残量Mの演算に必要な回路が簡素化され、安価にできる。
【0052】
また、図6(b)に示すフローチャートのように、ステップS1におけるメタノールの残量演算とともに、加速度センサ14による加速度の出力(ステップS2)も、常に実行されている。すなわち、ステップS2において、加速度センサ14は、図1に示す燃料容器部11に貯留されているメタノールの液面に対する電極15の姿勢を常に検出している(姿勢検出工程)。
【0053】
ここで、加速度センサ14は、図1に示すように、電極15の平板表面に対して法線方向の加速度を検出するように配置されている。そのため、メタノールの液面が電極15の平板表面に対して法線方向になったときに、加速度センサ14の出力が0となる。そして、図6に示すステップS3において、加速度センサ14の出力が0であるか否かが判断され、出力=0の場合には、ステップS4に入力される。すなわち、ステップS4では、加速度センサ14の出力=0の入力があるか否かが監視されており、その入力があったときに、ステップS5に行ってメタノールの残量データを取得する(残量取得工程)。
【0054】
したがって、メタノールの液面が電極15(図1参照)の平板表面に対して法線方向になったときだけ、残量演算されたメタノールの残量データが取得される。すなわち、第1実施形態の燃料電池システム110(図5参照)における燃料残量検出方法によれば、上記の式9が成り立つ場合だけ、式10によって演算されたメタノールの残量が取得される。その結果、周辺環境や燃料カートリッジ10の傾き(図4参照)等によって残量の演算結果に誤差が生じることはなく、メタノールの残量の検出精度が向上する。
【0055】
図7は、第2実施形態の燃料カートリッジ20を示す断面図である。
図7に示す第2実施形態の燃料カートリッジ20は、第1実施形態の燃料カートリッジ10(図1参照)に対し、電極25の配置及び形状を変えたものである。すなわち、電極25は、図7(a)に示すように、燃料容器部11内において、燃料供給口12と反対側の内面近くに配置されている。
【0056】
このような配置であっても、加速度センサ14は、電極25の平板表面に対して法線方向の加速度を検出するので、第1実施形態の燃料電池システム110(図5参照)と同様の燃料残量検出方法により、正確なメタノール残量を取得できる。なお、電極25は、燃料供給口12に近い側に配置することもできる。
【0057】
また、電極25の形状は、電極25と空間との比率が一定であれば、図7(b)に示すような隙間25aを有する短冊状のものであっても、図7(c)に示すような隙間25bを有する格子状のもの等であってもよい。この場合、燃料容器部11内のメタノールは、隙間25a又は隙間25bを通って燃料供給口12に向かうので、図7(c)に示すように、燃料容器部11の内面と電極25の側面との間を密着固定してもよい。さらにまた、図示はしないが、電極25は、燃料容器部11の内壁面又は燃料容器部11内に設けられた1つ以上の壁面にパターニング形成された電極(例えば、櫛形電極)であってもよい。そして、壁面にパターニング形成された櫛形電極とすれば、毛管現象による残量の検出精度の低下(電極間の距離を小さくすると、毛管現象によって液面上昇や下降が起こりやすくなる)を抑えることができるというメリットがある。
【0058】
図8は、第2実施形態の燃料電池システム120を示す斜視図である。
図8に示す第2実施形態の燃料電池システム120は、第1実施形態の燃料電池システム110(図2参照)に対し、温度センサ13の配置を変えたものである。すなわち、第2実施形態の燃料電池システム120は、温度センサ13が取り付けられていない第3実施形態の燃料カートリッジ30を使用する。そして、この燃料カートリッジ30は、温度センサ13が取り付けられた燃料電池本体70a(図8(a)参照)又は燃料電池本体70b(図8(b)参照)に装着される。
【0059】
このように、温度センサ13は、燃料カートリッジ30側に取り付ける必要はなく、図8(a)に示すように、燃料電池本体70aの外面に取り付けたり、図8(b)に示すように、燃料電池本体70bの内面に取り付けることもできる。そして、このような配置であっても、温度センサ13は、燃料カートリッジ30の周辺の雰囲気温度を検出することにより、その内部に貯留されたメタノールの温度を取得することができる。なお、第2実施形態の燃料電池システム120では、加速度センサ14を燃料カートリッジ30側に残しているが、加速度センサ14も同様に、燃料電池本体70a(70b)側に取り付けてもよい。また、温度センサ13や加速度センサ14を燃料電池本体70a(70b)側に取り付ければ、着脱可能な燃料カートリッジ30ではなく、着脱不能な埋め込み型の燃料タンク(燃料のみを注入するタイプ)にも適用できる。ただし、加速度センサ14は、電極15(図1参照)の平板表面に対して法線方向の加速度を検出するように配置する。
【0060】
図9は、第3実施形態の燃料電池システム130におけるメタノール残量の演算部分を示す回路図である。
図9に示す第3実施形態の燃料電池システム130は、第1実施形態の燃料電池システム110(図5参照)に対し、その温度センサ14(図2参照)等を変えたものである。すなわち、温度センサ14及び固定抵抗R(図5参照)に代えて、第3実施形態の燃料電池システム130では、正特性サーミスタ43(本発明における特性変化相殺手段に相当するもの)を組み込んだ第4実施形態の燃料カートリッジ40を使用する。そして、燃料カートリッジ40を燃料電池本体80に装着すると、電極15だけでなく、正特性サーミスタ43も残量演算回路85(本発明における残量演算手段及び残量取得手段を構成するもの)と接続される。
【0061】
この正特性サーミスタ43は、温度によって抵抗値が変化する素子である。すなわち、正特性サーミスタ43の比誘電率は、温度が高くなると小さくなるので、電源87によって交流信号を印加して得られる抵抗値は、温度が高くなると大きくなる。そして、温度によって変化するメタノールの特性(比誘電率ε2)と同じ変化をする正特性サーミスタ43を使用し、電極15と直列に接続して電極15間の電圧Vcを取得することにより、メタノールの温度による特性変化(比誘電率ε2の変化)を相殺できる。そのため、温度センサ14(図2参照)を省略することが可能となる。
【0062】
このように、正特性サーミスタ43を用いれば、メタノールの温度を取得する必要がなくなり、メタノールの液面高さb1を求める演算式が簡素化される。例えば、20℃における正特性サーミスタ43の抵抗値をPtとすれば、
b1=(d/2πfPt(V/Vc−1)−ε0ε1ab)/ε0(ε2−ε1)a・・・(式11)
となり、第1実施形態の燃料電池システム110(図5参照)における式6の演算が不要となる。なお、上記の式11では、正特性サーミスタ43の抵抗値Pt及びメタノールの比誘電率ε2を20℃の値としているが、正特性サーミスタ43の抵抗値Ptがメタノールの温度による特性変化(比誘電率ε2の変化)を相殺するので、温度が変化しても式11をそのまま適用できる。
【0063】
図10は、第4実施形態の燃料電池システム140におけるメタノール残量の演算部分を示す回路図である。
図10に示す第4実施形態の燃料電池システム140は、第1実施形態の燃料電池システム110(図5参照)に対し、その温度センサ14(図2参照)を変えたものである。すなわち、温度センサ14に代えて、第4実施形態の燃料電池システム140では、負特性サーミスタ53(本発明における特性変化相殺手段に相当するもの)を組み込んだ第5実施形態の燃料カートリッジ50を使用する。なお、燃料電池本体60は、第1実施形態の燃料電池システム110と変わらない。
【0064】
この負特性サーミスタ53は、温度上昇にともなって抵抗値が減少する。そして、温度によるメタノールの特性(比誘電率ε2)の変化に対応して抵抗値が変化する負特性サーミスタ53を使用し、電極15と直列に接続して電極15間の電圧Vcを取得することにより、メタノールの温度による特性変化(比誘電率ε2の変化)を相殺できる。そのため、温度センサ14(図2参照)を省略することが可能となる。
【0065】
したがって、負特性サーミスタ53を用いても、メタノールの温度を取得する必要がなくなる。そして、抵抗値がNtの負特性サーミスタ53が接続されている場合、残量演算回路65で電源67の交流信号(電圧V)を印加すると、電極15間に発生する電圧Vcは、
Vc=R/(R+(Z+Nt))×V・・・(式12)
となり、この電圧Vcからメタノールの残量を求めることが可能となる。
【0066】
このように、各実施形態の燃料電池システム110〜140は、メタノールに接触させた電極15(25)間の電圧からメタノールの残量を演算する際に、メタノールの温度や電極15(25)の姿勢が考慮されるので、周辺環境や燃料カートリッジ10〜50の傾き等によって残量の演算結果が悪影響を受けない。そのため、メタノールの残量の検出精度を向上させることができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、以下のような種々の変形等が可能である。すなわち、
(1)上記の実施形態では、燃料電池本体に供給する液体燃料を貯留した燃料カートリッジ10〜50を例に挙げたが、燃料電池用に限らず、可搬型や姿勢の定まっていない装置の液体タンクであれば、すべて適用できる。例えば、潤滑油タンクを有する自転車における潤滑油の残量検出や、ポータブルの電子式蚊とり器の殺虫液の残量検出等にも適用可能である。
【0068】
(2)上記の実施形態では、燃料電池システム110〜140に用いる液体燃料としてメタノールを用いたが、組成に水素を含有する液体燃料であれば、メタノールに限られない。すなわち、エタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、常温・常圧下で気体のジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の炭化水素を液化した燃料を用いることもできる。
【0069】
(3)上記の実施形態では、2つの平板形状の電極15(25)を燃料カートリッジ10〜50内に配置しているが、3つ以上配置してもよい。また、平板形状に限らず、棒形状等であってもよい。さらにまた、燃料電池システムに燃料タンクが内蔵されていれば、その燃料タンク内に配置してもよい。
【0070】
(4)上記の実施形態では、姿勢検出手段として加速度センサ14を用いているが、これに限らず、燃料カートリッジの所定の方向の傾斜の有無や傾斜角度を検出する傾斜検出装置を用いてもよい。また、燃料電池システムが適用される電子機器等の落下対策として用いられているものを姿勢検出手段としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態の燃料カートリッジを示す斜視図及び断面図である。
【図2】第1実施形態の燃料電池システムを示す概念図である。
【図3】第1実施形態の燃料カートリッジにおける温度センサの役割を示す説明図である。
【図4】第1実施形態の燃料カートリッジにおける加速度センサの役割を示す説明図である。
【図5】第1実施形態の燃料電池システムにおけるメタノール残量の演算部分を示す回路図である。
【図6】第1実施形態の燃料電池システムにおける燃料残量検出方法を示すグラフ及びフローチャートである。
【図7】第2実施形態の燃料カートリッジを示す断面図である。
【図8】第2実施形態の燃料電池システムを示す斜視図である。
【図9】第3実施形態の燃料電池システムにおけるメタノール残量の演算部分を示す回路図である。
【図10】第4実施形態の燃料電池システムにおけるメタノール残量の演算部分を示す回路図である。
【符号の説明】
【0072】
10 燃料カートリッジ(液体タンク)
11 燃料容器部(液体容器部)
12 燃料供給口(液体供給口)
13 温度センサ(温度検出手段)
14 加速度センサ(姿勢検出手段)
15 電極
20 燃料カートリッジ(液体タンク)
25 電極
30 燃料カートリッジ(液体タンク)
40 燃料カートリッジ(液体タンク)
43 正特性サーミスタ(特性変化相殺手段)
50 燃料カートリッジ(液体タンク)
53 負特性サーミスタ(特性変化相殺手段)
60 燃料電池本体(本体)
65 残量演算回路(残量演算手段及び残量取得手段)
66 燃料受入れ口(液体受入れ口)
67 電源
70a,70b 燃料電池本体(本体)
80 燃料電池本体(本体)
85 残量演算回路(残量演算手段及び残量取得手段)
87 電源
110 燃料電池システム(燃料残量検出システム)
120 燃料電池システム(燃料残量検出システム)
130 燃料電池システム(燃料残量検出システム)
140 燃料電池システム(燃料残量検出システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体容器部と、
前記液体容器部内に平行に設けられ、液体と直接的又は間接的に接触するように配置された複数の電極と、
前記液体容器部に貯留されている液体の温度を検出するための温度検出手段と、
前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出するための姿勢検出手段と
を有する液体タンク。
【請求項2】
液体を貯留する液体容器部と、
前記液体容器部内に平行に設けられ、液体と直接的又は間接的に接触するように配置された複数の電極と、
前記液体容器部に貯留されている液体の温度による特性変化を相殺可能な特性変化相殺手段と、
前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出するための姿勢検出手段と
を有する液体タンク。
【請求項3】
液体を貯留する液体容器部と、
前記液体容器部内に平行に設けられ、液体と直接的又は間接的に接触するように配置された複数の電極と
を有し、
前記液体容器部の外部に設けられた温度検出手段により、前記液体容器部に貯留されている液体の温度を検出可能であり、
前記液体容器部の外部に設けられた姿勢検出手段により、前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出可能である
液体タンク。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体タンクにおいて、
前記液体容器部は、燃料電池用の液体燃料を貯留する
液体タンク。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体タンクにおいて、
前記電極は、前記液体容器部内で液体が流通可能な平板形状であり、
前記姿勢検出手段は、前記電極の平板表面に対して法線方向の加速度を検出するように配置された加速度センサである
液体タンク。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体タンクにおいて、
前記電極は、前記液体容器部の内壁面又は前記液体容器部内に設けられた1つ以上の壁面にパターニング形成された電極であり、
前記姿勢検出手段は、前記電極がパターニング形成された壁面に対して法線方向の加速度を検出するように配置された加速度センサである
液体タンク。
【請求項7】
液体を貯留する液体容器部と、
前記液体容器部内に平行に設けられ、液体と直接的又は間接的に接触するように配置された複数の電極と、
前記電極に接続された電源と、
前記液体容器部に貯留されている液体の温度を検出するための温度検出手段と、
前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出するための姿勢検出手段と、
前記電極間の電圧及び前記温度検出手段の温度検出結果に基づいて、前記液体容器部内の液体の残量を演算する残量演算手段と、
前記姿勢検出手段の姿勢検出結果が液体の残量の検出に適しているときに、前記残量演算手段によって演算された液体の残量を取得する残量取得手段と
を有する液体残量検出システム。
【請求項8】
液体を消費する本体と、
前記本体に対して着脱可能に形成され、前記本体に液体を供給する液体タンクと
を備え、
前記液体タンクは、
液体を貯留した液体容器部と、
前記液体容器部に貯留されている液体を前記本体に供給するための液体供給口と、
前記液体容器部内に平行に設けられ、液体と直接的又は間接的に接触するように配置された複数の電極と
を有し、
前記液体タンク又は前記本体は、
前記液体容器部に貯留されている液体の温度を検出するための温度検出手段と、
前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出するための姿勢検出手段と
を有し、
前記本体は、
前記液体供給口に対応する液体受入れ口と、
前記電極に接続される電源と、
前記電極間の電圧及び前記温度検出手段の温度検出結果に基づいて、前記液体容器部内の液体の残量を演算する残量演算手段と、
前記姿勢検出手段の姿勢検出結果が液体の残量の検出に適しているときに、前記残量演算手段によって演算された液体の残量を取得する残量取得手段と
を有する液体残量検出システム。
【請求項9】
液体容器部内の液体に直接的又は間接的に接触させた複数の平板形状の電極間の電圧を検出する電圧検出工程と、
前記液体容器部に貯留されている液体の温度を検出する温度検出工程と、
前記電圧検出工程によって検出された前記電極間の電圧及び前記温度検出工程によって検出された液体の温度に基づいて、前記液体容器部に貯留されている液体の残量を演算する残量演算工程と、
前記液体容器部に貯留されている液体の液面に対する前記電極の姿勢を検出する姿勢検出工程と、
前記姿勢検出工程によって液体の液面が前記電極の平板表面に対して法線方向になったことが検出されたときに、前記残量演算工程によって演算された液体の残量を取得する残量取得工程と
を含む液体残量検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−295329(P2009−295329A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145786(P2008−145786)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】