説明

液体トナー濃度計測装置および電子写真印刷装置

【課題】液体に存在する気泡の影響なく高精度の計測を行うこと。
【解決手段】主流路2と、前記主流路2に液体トナーを流通させる液体トナーポンプ133と、前記主流路2の一部を水平または下方に下流側を向けて配置する主流路案内部3と、水平または上方に下流側を向けて主流路案内部3の最上部に設けられた気泡分離部4と、主流路案内部3の下流側で主流路2に設けられており液体トナーのトナー濃度を計測する濃度センサ151と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の濃度などを計測する場合に、液体に存在する気泡の影響なく高精度の計測を行う液体トナー濃度計測装置、および前記液体トナー濃度計測装置が適用される電子写真印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載の液体現像装置は、現像液濃度を正確に測定することを目的としている。この液体現像装置は、現像液を収容した現像液容器から現像液を現像部へ導く供給経路と、現像部から現像液を現像液容器に排出する排出経路と、排出経路途中に設けられ、現像液を現像部へ流通させる現像液供給手段とを備えた液体現像装置であって、供給経路途中に下方へ曲る濃度検出経路と、これに並列なバイパス経路を設け、濃度検出経路途中には現像液の濃度を検出する濃度検出手段を配設すると共に、バイパス経路は濃度検出経路よりも上方に位置させた構成とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−314031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の液体現像装置では、濃度検出経路は、導入部が立ち下がり、水平部を経て導出部が立ち上がる曲折構造であり、バイパス部は、濃度検出経路の導入部と導出部との間に配置されている。この構成では、立ち下がる配置の導入部において下方に向けて液体が流れ、当該液体に混在する気泡は、主にバイパス部に導入されるが、下方への流れに乗って水平部に至るものもある。即ち、濃度検出経路に気泡が混入するおそれがある。この結果、濃度検出経路に配設された濃度検出手段に気泡が至り、この気泡の影響で液体の濃度を高精度で計測することが困難となる。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するものであり、液体に存在する気泡の影響なく高精度の計測を行うことのできる液体トナー濃度計測装置および電子写真印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の液体トナー濃度計測装置は、主流路と、前記主流路に液体トナーを流通させる送出部と、前記主流路の一部を水平または下方に下流側を向けて配置する主流路案内部と、水平または上方に下流側を向けて前記主流路案内部の最上部に設けられた気泡分離部と、前記主流路案内部の下流側で前記主流路に設けられており前記液体トナーのトナー濃度を計測する濃度計測部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この液体トナー濃度計測装置によれば、主流路案内部により主流路の一部が水平または下方に下流側を向けて配置され、かつ気泡分離部が主流路案内部の最上部から水平または上方(斜め上方を含む)に下流側を向けて設けられていることから、液体トナーに含まれる気泡は、自身の浮力によって気泡分離部に導かれ、液体トナーのみが主流路案内部から下流側の主流路に導かれる。即ち、濃度計測部を設けた主流路には、気泡を含んでいない液体トナーが導かれるため、液体トナーのトナー濃度を高精度に計測することができる。
【0008】
また、本発明の液体トナー濃度計測装置は、前記主流路案内部および前記気泡分離部を多段に複数配置することを特徴とする。
【0009】
この液体トナー濃度計測装置によれば、前段の主流路案内部および気泡分離部により主流路の液体トナーから気泡が分離され、その後、後段の主流路案内部および気泡分離部により主流路の液体トナーから気泡がさらに分離される。このため、濃度計測部を設けた主流路には、より気泡を含んでいない液体トナーが導かれるため、液体トナーのトナー濃度を高精度に計測する効果を顕著に得ることができる。
【0010】
また、本発明の液体トナー濃度計測装置では、前記主流路は、前記主流路案内部および前記気泡分離部に至り上方に下流側を向けて配置されていることを特徴とする。
【0011】
この液体トナー濃度計測装置によれば、液体トナーに含まれる気泡は、主流路案内部および気泡分離部に至る以前に、自身の浮力によって主流路内の上部に集まり、より気泡分離部側に導かれ易くなる。この結果、液体トナーのトナー濃度を高精度に計測する効果を顕著に得ることができる。
【0012】
また、本発明の液体トナー濃度計測装置は、前記気泡分離部の内径を、前記主流路案内部の内径よりも大きくすることを特徴とする。
【0013】
この液体トナー濃度計測装置によれば、気泡分離部側への液体トナーの流量が増すため、液体トナーに含まれる気泡を、より気泡分離部側に導き易くすることができる。この結果、液体トナーのトナー濃度を高精度に計測する効果を顕著に得ることができる。
【0014】
また、本発明の液体トナー濃度計測装置では、前記気泡分離部は、前記濃度計測部の下流側にて前記主流路に接続されることを特徴とする。
【0015】
この液体トナー濃度計測装置によれば、気泡分離部側に導かれた液体トナーをトナー濃度計測後の工程に供するため、液体トナーを有効に利用することができる。
【0016】
また、本発明の液体トナー濃度計測装置では、前記気泡分離部は、前記主流部に流通される前記液体トナーを溜める容器に接続されることを特徴とする。
【0017】
この液体トナー濃度計測装置によれば、気泡が混入する液体トナーを容器に戻すことで、気泡がトナー濃度計測後の工程に至ることがない。このため、気泡がトナー濃度計測後の工程に影響を及ぼすおそれがある場合に適している。
【0018】
また、本発明の液体トナー濃度計測装置では、前記気泡分離部は、大気に開放されることを特徴とする。
【0019】
この液体トナー濃度計測装置によれば、気泡がトナー濃度計測後の工程に至ることがない。このため、気泡がトナー濃度計測後の工程に影響を及ぼすおそれがある場合に適している。
【0020】
また、本発明の液体トナー濃度計測装置では、前記送出部を、前記主流路案内部および前記気泡分離部の上流側に配置することを特徴とする。
【0021】
この液体トナー濃度計測装置によれば、濃度計測部に向かって圧力を掛けることになるので、気泡が圧縮されて小さくなる。この結果、大きい気泡では濃度が下がっているように誤って計測するおそれがあるが、気泡を小さくすることで濃度計測への影響を低減することができる。
【0022】
上述の目的を達成するために、本発明の電子写真印刷装置は、被印刷物を1枚ずつ供給可能な給紙装置と、該給紙装置から供給された前記被印刷物に対して液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写する印刷装置と、前記被印刷物に転写されたトナー画像を加熱して定着させる定着装置と、該定着装置によりトナー画像が定着された前記被印刷物を排紙する排紙装置と、を備える電子写真印刷装置において、前記印刷装置に供給する液体トナーのトナー濃度を計測する態様で、上述のいずれか一つに記載の液体トナー濃度計測装置を適用することを特徴とする。
【0023】
この電子写真印刷装置によれば、液体トナーのトナー濃度を高精度で管理された状態で印刷を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、液体に存在する気泡の影響なく高精度の計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る電子写真印刷装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る電子写真印刷装置における印刷装置の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る電子写真印刷装置における印刷装置の印刷ユニットを示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る電子写真印刷装置における液体トナーの供給経路および回収経路を表す概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る液体トナー濃度計測装置の概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る液体トナー濃度計測装置における要部の概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る液体トナー濃度計測装置における要部の概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る液体トナー濃度計測装置における要部の概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る液体トナー濃度計測装置における要部の概略図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係る他の液体トナー濃度計測装置の概略図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る他の液体トナー濃度計測装置の概略図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態に係る他の液体トナー濃度計測装置の概略図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態に係る他の液体トナー濃度計測装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る電子写真印刷装置の概略図であり、図2は、本実施の形態に係る電子写真印刷装置における印刷装置の概略図であり、図3は、本実施の形態に係る電子写真印刷装置における印刷装置の印刷ユニットを示す概略図であり、図4は、本発明の実施の形態に係る電子写真印刷装置における液体トナーの供給経路および回収経路を表す概略図である。
【0028】
本実施の形態において、図1に示すように、電子写真印刷装置10は、液体現像電子写真方式の両面および片面印刷機であって、給紙装置11、印刷装置12、定着装置13、搬送装置14、排紙装置15とから構成されている。
【0029】
給紙装置11は、上下一対の給紙ユニット11a,11bを有しており、この各給紙ユニット11a,11bは、それぞれ給紙台21a,21bと、給紙機構としてのセパレータ装置22a,22bとを有している。給紙台21a,21bは、印刷シート(被印刷物)Sを上下に積み重ねて載置するものであり、セパレータ装置22a,22bは、給紙台21a,21b上に積み重ねられた多数の印刷シートSを上から順に1枚ずつ吸着して前方へ送り出すものである。この場合、給紙台21a,21bは、セパレータ装置22a,22bが印刷シートSとほぼ一定の高さの位置関係を維持できるように、印刷シートSの供給に対応して上下に移動可能となっている。
【0030】
印刷装置12は、K(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)のプロセスカラー印刷を行うことが可能となっている。この場合、印刷装置12は、図1および図2に示すように、給紙装置11から供給された印刷シートSに対して、液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写するものである。即ち、この印刷装置12は、バックアップローラ31(二次転写体)と、中間転写体(一次転写体)32と、各色に対応した4つの印刷ユニット33,34,35,36とを有している。
【0031】
バックアップローラ31と中間転写体32は、同じ外径(周長)を有するローラであり、対接した状態で矢印方向に同期駆動可能となっており、この対接部分に所定の圧力に設定されたニップ部(転写位置)が設定されている。このバックアップローラ31は、外周部に周方向に等間隔でグリッパ31aが設けられている。このグリッパ31aは、給紙装置11から供給された印刷シートSの先端部を把持することができ、バックアップローラ31が回転することで、把持した印刷シートSをニップ部に導くことができる。一方、中間転写体32は、外周面に、例えば、ウレタン系導電性ゴムからなるブランケットが装着されて構成されており、電圧制御または電流制御のバイアスが印加されている。
【0032】
バックアップローラ31は、中間転写体32に対して、上述したニップ部にて、所定の圧力、例えば、1〜13kg/cm程度で圧力を加えるように配設されている。そのため、印刷シートSは、バックアップローラ31により搬送されるとき、中間転写体32との間に形成されたニップ部を通過するとき、所定のニップ圧が付与される。また、バックアップローラ31は、例えば、−1000V程度の転写バイアス(電圧制御の場合)が印加されている。そのため、バックアップローラ31のバイアス電圧(約−1000V)と、中間転写体32のバイアス電圧との差により、後述する液体トナーをバックアップローラ31側へ吸引する力を与え、中間転写体32から印刷シートSへの液体トナーの静電転写を促進することができる。
【0033】
各印刷ユニット33,34,35,36は、中間転写体32の周囲にその回転方向に沿って並設されており、使用する液体トナーの色が異なるだけで、その構成は同様のものとなっている。そのため、以下では、印刷ユニット33について詳細に説明する。
【0034】
印刷ユニット33は、図3に示すように、図示しない制御装置から送信された画像データに基づいて、感光ドラム41上に静電潜像を形成し、この静電潜像に対応する位置に液体トナーを供給し、感光ドラム41に形成された液体トナーの画像を中間転写体32に転写するものである。
【0035】
ここで、液体トナーは、熱可塑性素材樹脂と顔料などにより形成される粒子状のトナーが液体状のキャリア中に分散されて配合されたものであり、ここでは、キャリアとして、石油系の溶剤(例えば、非極性、パラフィン系溶剤として、ミネラルオイルなど)に、平均粒径1〜3μm程度の粒子状のトナーが重量比で10〜40パーセント程度含有されたものを液体トナーとして用いている。トナー粘度は、10〜100cp(センチポワーズ)であるが、10〜80cpの粘度範囲であるものがより好適である。以下に説明する液体トナー濃度計測装置1は、液体トナーに含まれる気泡Bを分離するものである。上記粘度範囲よりも粘度が低く比較的濃度の薄い液体トナーの場合は、自然の状態でも気泡Bは消えるが、上記粘度範囲の液体トナーは、比較的濃度が濃く、自然の状態では気泡Bは無くならない。よって、このような粘度範囲の液体トナーを適用する場合に、本実施の形態の液体トナー濃度計測装置1はより顕著な効果を得ることが可能である。
【0036】
この印刷ユニット33は、感光ドラム(感光体)41、クリーニングユニット42、除電器43、帯電装置44、露光装置45、現像装置46を有して構成されている。感光ドラム41は、周面にアモルファスシリコン(a−Si)もしくは感光性ポリマー(有機感光体)などの感光剤を含んで形成された感光層が形成されている。この感光ドラム41は、中間転写体32との間でニップ部をもって対接しており、感光ドラム41上の液体トナーを中間転写体32側に転写可能となっている。
【0037】
感光ドラム41は、その周囲にこの感光ドラム41の回転方向に沿ってその上流側から、クリーニングユニット42、除電器43、帯電装置44、露光装置45、現像装置46がそれぞれ順に感光ドラム41の表面に形成される感光層に対向して配設されている。
【0038】
クリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを有して構成されており、感光ドラム41の周面に残存している液体トナーを除去して図示しないトナー回収路に排出することができる。即ち、クリーニングブレード42aは、弾性材料で形成された矩形状の板体であり、先端部が感光ドラム41の周面に接触するように支持されており、感光ドラム41の周面の液体トナーを掻き取ることができる。
【0039】
除電器43は、感光ドラム41の感光層に残留する電荷を消去する機能を有している。帯電装置44は、コロトロン型あるいはスコロトロン型などの非接触型放電方式の帯電器が、感光ドラム41の周方向に沿って複数配設されて構成されており、感光ドラム41の感光層を一様に、例えば、500V程度に帯電させる機能を有している。
【0040】
露光装置45は、感光ドラム41の軸方向に沿って発光体(例えば、LED)を棒状に配列した発光装置(LEDアレイ)により構成されており、制御装置から送られてくる画像データに基づいて、各LEDを発光させるようになっている。即ち、帯電装置44により一様に帯電されている感光ドラム41の感光層の表面に露光装置45からの光が照射されることで、光の照射部分では感光層の帯電が解除され、感光層に画像データに基づいた静電潜像を形成することができる。なお、発光装置としては、LEDアレイの代わりに、画像データに基づいて半導体レーザーなどを走査して静電潜像を形成するように構成してもよい。
【0041】
現像装置46は、トナー貯留部51、アニロックスローラ52、均しローラ53、現像ローラ54、トナー帯電器55、トナー回収ユニット56,57を有して構成されており、感光ドラム41の静電潜像が形成された部分に液体トナーを転写可能となっている。
【0042】
トナー貯留部51には、液体トナーが貯留されており、アニロックスローラ52の一部が液体トナーに浸されるように、液体トナーが供給、排出可能となっている。このアニロックスローラ52は、例えば、金属製のローラであって、その周面に液体トナーを所望の膜厚で供給するのに適した凹部(セル)が全面にわたって形成されている。このアニロックスローラ52は、感光ドラム41と共に回転駆動可能である。
【0043】
均しローラ53は、例えば、導電性ゴム(ウレタンゴム)で形成されており、アニロックスローラ52と現像ローラ54との間に配設され、周面がこのアニロックスローラ52および現像ローラ54に接している。また、均しローラ53は、アニロックスローラ52との接点において互いの周面が同じ方向に進む向きに回転可能となっている。
【0044】
現像ローラ54は、例えば、導電性ゴムで形成されており、感光ドラム41と接してニップ部を形成するように配設されており、感光ドラム41の周面と現像ローラ54の周面とが同じ方向に進む向きに回転可能となっている。更に、現像ローラ54は、周面の速度が感光ドラム41の周面の速度と同じ速度に設定されている。また、トナー帯電器55は、現像ローラ54上の液体トナーを一様に帯電させる機能を有している。
【0045】
従って、導電性を有する現像ローラ54と感光ドラム41とがニップ部で接することにより、現像ローラ54の周面から感光ドラム41の静電潜像が形成された部分へ帯電したトナーを含む液体トナーが転写され、現像が行われる。そして、現像された感光ドラム41の周面上の液体トナーは、ニップ部にて中間転写体32に転写され、この中間転写体32の周面にトナーによる画像を含んだ液体トナー層(トナー画像)を形成することができる。
【0046】
トナー回収ユニット56は、現像ローラ54の周面に残留した液体トナーを除去して回収することができる。また、トナー回収ユニット57は、均しローラ53の周面に残留した液体トナーを除去して回収することができる。このトナー回収ユニット56,57は、両者はほぼ同様の構成をなし、均しローラ53、現像ローラ54から剥離した残留トナーを所定の位置まで搬送して後述するトナータンクに回収するものである。
【0047】
また、図2および図3に示すように、中間転写体32の周囲に、キャリア除去ローラ61,62,63,64が設けられている。キャリア除去ローラ61,62,63,64は、中間転写体32の周囲で、各印刷ユニット33,34,35,36より中間転写体32における回転方向の下流側にその回転方向に沿って並設されており、その構成は同様のものとなっている。そして、キャリア除去ローラ61,62,63,64は、回収ブレード65,66,67,68が設けられている。また、キャリア除去ローラ61,62,63,64は、電源装置により、例えば、−100V程度の転写バイアスが印加されている。そのため、中間転写体32のバイアス電圧と、キャリア除去ローラ61,62,63,64のバイアス電圧との差により、液体トナーを中間転写体32側へ吸引する力を与えている。なお、この場合、中間転写体32を接地(バイアス電圧=0)とし、キャリア除去ローラ61,62,63,64のバイアス電圧との差を発生させてもよい。
【0048】
図1に示すように、定着装置13は、印刷シートSに転写されたトナー画像を加熱し、印刷シートSの上面に転写された液体トナー層(トナー画像)を定着するものである。この定着装置13は、加熱ローラ71、駆動ローラ72、支持ローラ73、無端の搬送ベルト74とから構成されている。従って、印刷シートSが、加熱ローラ71と駆動ローラ72および支持ローラ73に掛け回された搬送ベルト74との間を搬送されるとき、加熱ローラ71により液体トナー層(トナー画像)が加熱されることで、印刷シートSにトナー画像を定着することができる。
【0049】
ところで、上述した給紙装置11と印刷装置12との間には、印刷シートSの第一シート搬送経路S1が設けられている。この第一シート搬送経路S1は、基端部側が2つに分岐して各給紙ユニット11a,11bに接続されており、先端部側がバックアップローラ31と中間転写体32とのニップ部に接続されている。そして、第一シート搬送経路S1は、給紙装置11から印刷装置12までの間に、駆動可能な上下一対の搬送ローラ81が所定間隔で複数設けられている。この場合、各搬送ローラ81の間隔は、印刷シートSにおける搬送方向の長さより短い間隔であり、少なくとも2組の搬送ローラ81が印刷シートSを保持して搬送可能となっている。
【0050】
また、定着装置13と排紙装置15との間には、印刷シートSの第二シート搬送経路S2が設けられており、この第二シート搬送経路S2に搬送装置14が設けられている。この第二シート搬送経路S2は、基端部側が定着装置13に接続され、先端部側が搬送装置14を介して排紙装置15に接続されている。そして、第二シート搬送経路S2は、定着装置13から排紙装置15までの間に、駆動可能な上下一対の搬送ローラ82が所定間隔で複数設けられている。この場合、各搬送ローラ82の間隔は、各搬送ローラ81と同様に、印刷シートSにおける搬送方向の長さより短い間隔であり、少なくとも2組の搬送ローラ82が印刷シートSを保持して搬送可能となっている。
【0051】
この第一シート搬送経路S1と第二シート搬送経路S2における搬送装置14の手前との間には、印刷シートSの表裏を反転させる反転装置91が設けられている。この反転装置91は、スイッチ機構92と、シート切替経路93と、搬送ローラ94と、シート反転経路95と、スイッチバックローラ96と、シート戻し経路97と、搬送ローラ98とを有している。この反転装置91は、両面印刷時に使用するものである。
【0052】
スイッチ機構92は、第二シート搬送経路S2を搬送される印刷シートSを搬送装置14またはシート切替経路93へ切替搬送するものであり、搬送ローラ94はシート切替経路93に供給された印刷シートSをシート反転経路95に供給することができる。このシート反転経路95は、印刷シートSを反転させるものであり、スイッチバックローラ96は、正転および逆転可能であり、シート切替経路93に供給された印刷シートSをシート反転経路95に導き、その後、シート戻し経路97に供給することができる。このシート戻し経路97に供給された印刷シートSは、搬送ローラ98により第一シート搬送経路S1に戻されて再び印刷装置12に供給される。
【0053】
搬送装置14は、第二シート搬送経路S2を搬送中の印刷済の印刷シートSを排紙装置15まで搬送するものであり、循環可能なベルト部材により印刷シートSの下面を支持して水平搬送可能となっている。
【0054】
排紙装置15は、排紙台101と、前後方向位置調整部材102,103と、左右方向位置調整部材104とを有している。即ち、印刷済の印刷シートSが第二シート搬送経路S2に沿って搬送されるとき、搬送装置14は、保持した印刷シートSを排紙装置15の上方で解除して排紙する。このとき、前方向位置調整部材102が作動して印刷シートSの前方位置を位置決めすると共に、後方向位置調整部材103が印刷シートSの後方位置を位置決めする。また、左右方向位置調整部材104が印刷シートSの左右位置を位置決めする。
【0055】
ここで、上述した電子写真印刷装置10における液体トナーの供給経路および回収経路について説明する。図4に示すように、液体トナー供給装置110は、コンクタンク111とキャリアタンク112とを有している。コンクタンク111は、感光ドラム41に導かれる液体トナーよりも高濃度の液体トナーを溜めるための容器である。コンクタンク111は、高濃度の液体トナーの容量が不足すると、ボトルトナー113から高濃度の液体トナーが補充される。キャリアタンク112は、キャリアを溜めるための容器である。キャリアタンク112は、キャリアの容量が不足すると、キャリア缶114からキャリアが補充される。
【0056】
液体トナー調整装置120は、分散タンク121と、攪拌タンク122を有している。分散タンク121は、トナー貯留部51から回収された液体トナーを溜めるための容器である。攪拌タンク122は、高濃度の液体トナーと、キャリアとの混合液、即ち、液体トナーを溜めるための容器である。分散タンク121内の液体トナーは、例えば、分散タンク121からオーバーフローすることで攪拌タンク122へ導かれる。また、攪拌タンク122は、溜められた液体トナーを攪拌するための攪拌羽根122aを有している。
【0057】
コンクポンプ131は、コンクタンク111と攪拌タンク122とを繋ぐ通路に設けられており、コンクタンク111内の高濃度の液体トナーを攪拌タンク122に導く。キャリアポンプ132は、キャリアタンク112と攪拌タンク122とを繋ぐ通路に設けられており、キャリアタンク112内のキャリアを攪拌タンク122に導く。液体トナーポンプ133は、攪拌タンク122とトナー貯留部51とを繋ぐ通路に設けられており、攪拌タンク122内の液体トナーをトナー貯留部51に導く。回収ポンプ134は、トナー貯留部51と攪拌タンク122とを繋ぐ通路に設けられており、トナー貯留部51内の余剰な液体トナーを攪拌タンク122へ戻す。
【0058】
回収ブレード141は、均しローラ53および現像ローラ54の外周部に接触しており、表面上の余剰な液体トナーを回収する。ここでの余剰な液体トナーとは、感光ドラム41の外周部へ転写されなかった液体トナーである。具体的には、余剰な液体トナーとは、均しローラ53および現像ローラ54の表面上のうち、非画線部にある液体トナーである。回収ポンプ135は、回収ブレード141と分散タンク121とを繋ぐ通路に設けられており、回収ブレード141が回収した液体トナーを分散タンク121へ導く。
【0059】
濃度センサ151は、例えば、攪拌タンク122とトナー貯留部51とを繋ぐ通路に設けられており、トナー貯留部51に導かれる液体トナーのトナー濃度を計測する。本実施の形態において、濃度センサ151は、静電容量方式を採用している。その他、濃度センサ151は、例えば、超音波方式など、非接触で液体トナーのトナー濃度を計測するものを採用することができる。そして、図示しない制御装置は、濃度センサ151から液体トナーのトナー濃度を示す信号を取得し、液体トナーのトナー濃度が所定の濃度(トナーとキャリアとの重量比が例えば10〜40パーセント)になるように、高濃度の液体トナーとキャリアとを混合する。即ち、制御装置は、コンクポンプ131の動作と、キャリアポンプ132の動作とを制御する。
【0060】
なお、コンクタンク111、分散タンク121、攪拌タンク122、コンクポンプ131と、液体トナーポンプ133と、回収ポンプ134と、回収ポンプ135と、回収ブレード141と、濃度センサ151とは、それぞれ、印刷ユニット33,34,35,36ごとに1つずつ設けられる。なお、キャリアタンク112、キャリアポンプ132は、各印刷ユニット33,34,35,36で共用となる。キャリアポンプ132は、キャリアタンク112から、各印刷ユニット用の攪拌タンク122へキャリアを導く。
【0061】
クリーニング装置160は、キャリアノズル161と、キャリアポンプ162と、回収ブレード163とを有している。キャリアノズル161は、中間転写体32の外周面と対向して設けられており、キャリアを吐出して中間転写体32の外周部にキャリアを導く。キャリアポンプ162は、キャリアタンク112とキャリアノズル161とを繋ぐ通路に設けられており、キャリアタンク112内のキャリアをキャリアノズル161へ導く。回収ブレード163は、中間転写体32の外周面と対向して設けられており、キャリアノズル161から吐出されたキャリアによって希釈された液体トナーを回収する。
【0062】
キャリア除去ローラ61,62,63,64は、中間転写体32の外周面に対接して設けられる。キャリア除去ローラ61は、印刷ユニット33より中間転写体32における回転方向の下流側で、この中間転写体32の外周面上の液体トナー(キャリア)の一部を回収する。キャリア除去ローラ62は、印刷ユニット34より中間転写体32における回転方向の下流側で、この中間転写体32の外周面上の液体トナー(キャリア)の一部を回収する。キャリア除去ローラ63は、印刷ユニット35より中間転写体32における回転方向の下流側で、この中間転写体32の外周面上の液体トナー(キャリア)の一部を回収する。キャリア除去ローラ64は、印刷ユニット36より中間転写体32における回転方向の下流側で、この中間転写体32の外周面上の液体トナー(キャリア)の一部を回収する。これにより、キャリア除去ローラ61,62,63,64は、中間転写体32の外周面上の液体トナーを整える。
【0063】
回収ブレード65,66,67,68は、キャリア除去ローラ61,62,63,64の外周面に対向して設けられており、このキャリア除去ローラ61,62,63,64の外周面上のキャリアを回収する。キャリアを回収したキャリア除去ローラ61,62,63,64は、めっき処理が施されているため、表面からキャリアが離れ易くなり、次に中間転写体32の液体トナー(キャリア)の一部を回収するとき、中間転写体32のキャリアを適正に回収可能となる。
【0064】
液体トナー回収装置170は、液体トナー回収ポンプ171,172,173,174,175を有している。液体トナー回収ポンプ171は、回収ブレード163と固形分分離装置180とを繋ぐ通路に設けられる。液体トナー回収ポンプ172,173,174,175は、回収ブレード65,66,67,68が回収したキャリアを固形分分離装置180へ導く。固形分分離装置180は、導かれた液体トナーやキャリアに含まれる固形分としてのトナーと、キャリアとの分離を促進し、含まれるトナーが低減されたキャリアを回収するものである。リサイクルキャリア供給ポンプ181は、含まれるトナーが固形分分離装置180によって低減されたキャリアをキャリアタンク112へ導く。
【0065】
以下、このように構成された本実施の形態の電子写真印刷装置10による印刷作業について説明する。
【0066】
本実施の形態の電子写真印刷装置10において、図1に示すように、給紙装置11では、2つの給紙ユニット11a,11bのうちの一方が作動し、印刷シートSを1枚ずつ送り出す。この給紙装置11から送り出された印刷シートSは、第一シート搬送経路S1にて、複数の搬送ローラ81により印刷装置12まで搬送される。印刷装置12にて、バックアップローラ31は、グリッパ31aの開放状態で印刷シートSの先端部を受け入れ、このグリッパ31aを閉止することで印刷シートSの先端部を把持し、回転することで保持した印刷シートSを搬送する。
【0067】
一方、中間転写体32では、各印刷ユニット33,34,35,36により、印刷シートSの第一面に転写されるべき静電画像が形成された感光ドラム41の周面に、対応するK(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)の各色の液体トナーが転写され、感光ドラム41上に画像が現像され、この感光ドラム41の周面に転写された液体トナーが中間転写体32に転写される。そして、バックアップローラ31に保持された印刷シートSが中間転写体32とのニップ部に至ると、ここで、中間転写体32の周面から印刷シートSにおける中間転写体32と接する側の面(第一面)に対して液体トナー(トナー画像)が転写される。
【0068】
そして、第一面に液体トナーが転写された印刷シートSは、定着装置13に搬送され、印刷シートSの上面(第一面)が加熱されることで、この第一面に転写されている液体トナー層(トナー画像)が定着される。
【0069】
第一面に液体トナーが定着された印刷シートSは、第二シート搬送経路S2にて、複数の搬送ローラ82により搬送される。そして、反転装置91により表裏が反転され、第一シート搬送経路S1により再び印刷装置12に搬送される。
【0070】
再び、印刷装置12に搬送された印刷シートSは、前述と同様に、バックアップローラ31のグリッパ31aにより先端部が把持され、このバックアップローラ31により搬送される。中間転写体32では、各印刷ユニット33,34,35,36により、印刷シートSの第二面に転写されるべき静電画像が形成された感光ドラム41の周面に、対応するK(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)の各色の液体トナーが転写され、感光ドラム41上に画像が現像され、この感光ドラム41の周面に転写された液体トナーが中間転写体32に転写される。そして、バックアップローラ31に保持された印刷シートSが中間転写体32とのニップ部に至ると、ここで、中間転写体32の周面から印刷シートSにおける中間転写体32と接する側の面(第二面)に対して液体トナー(トナー画像)が転写される。
【0071】
そして、第二面に液体トナーが転写された印刷シートSは、定着装置13に搬送され、印刷シートSの上面(第二面)が加熱されることで、この第二面に転写されている液体トナー層(トナー画像)が定着される。
【0072】
第一面および第二面に液体トナーが定着された印刷シートSは、第二シート搬送経路S2にて、複数の搬送ローラ82により搬送装置14まで搬送され、この搬送装置14により排紙装置15まで伝送され、この排紙装置15により排紙される。
【0073】
図5は、本実施の形態に係る液体トナー濃度計測装置の概略図であり、図6〜図9は、本実施の形態に係る液体トナー濃度計測装置における要部の概略図である。
【0074】
図5に示すように、本実施の形態の液体トナー濃度計測装置1は、上述した攪拌タンク122と現像装置46のトナー貯留部51とを繋ぐ通路である主流路2を有し、この主流路2に設けた上述の濃度センサ(濃度計測部)151により、液体トナーのトナー濃度を計測するものである。また、主流路2は、当該主流路2に液体トナーを流通させる送出部としての液体トナーポンプ133が設けられている。図5において、液体トナーポンプ133は、攪拌タンク122と濃度センサ151との間で主流路2に配置されている。
【0075】
また、液体トナー濃度計測装置1は、主流路案内部3と、分岐部(気泡分離部)4とをさらに含んでいる。主流路案内部3は、液体トナーポンプ133と濃度センサ151との間の主流路2に設けられ、主流路2の一部を水平より下方に下流側を向けて配置するものである。また、分岐部4は、主流路案内部3における最上部から分岐して設けられ、水平または水平より上方に下流側を向けて配置されている。
【0076】
一例として、主流路案内部3は、図6に示すように、液体トナーポンプ133の下流側で水平に配置された主流路2の一部を、斜め下方に下流側を向けて配置している。なお、主流路2は、主流路案内部3の上流側では、図6において水平に配置されているが、主流路案内部3に至り上方(斜め上方を含む)に下流側を向けて配置されていてもよい。また、主流路2は、主流路案内部3の下流側では、図6において水平に配置されているが、この配置に限定はない。一方、分岐部4は、図6に示すように、主流路案内部3における最上部、即ち、主流路2を斜め下方に下流側を向けた始点部分から分岐し、斜め上方に下流側を向けて配置されている。なお、分岐部4は、図6において斜め上方に下流側を向けて配置されているが、垂直上方に下流側を向けて配置されていてもよい。そして、分岐部4の下流側は、バイパス流路5が接続されている。このバイパス流路5は、図5および図6に示すように、水平または水平より上方(斜め上方および垂直上方を含む)に下流側を向けて配置され、濃度センサ151の下流側にて主流路2に接続されている。
【0077】
また、他の例として、主流路案内部3は、図7に示すように、液体トナーポンプ133の下流側で水平に配置された主流路2の一部を、垂直下方(斜め下方であってもよい)に下流側を向けて配置している。なお、主流路2は、主流路案内部3の下流側では、その配置に限定はない。一方、分岐部4は、図7に示すように、主流路案内部3における最上部、即ち、主流路2を垂直下方(または斜め下方)に下流側を向けた始点部分から分岐し、水平に下流側を向けて配置されている。図7において、分岐部4は、水平な主流路2に対して一連に繋がるように水平に下流側を向けて配置されている。なお、分岐部4は、図7において水平に下流側を向けて配置されているが、斜め上方または垂直上方に下流側を向けて配置されていてもよい。そして、分岐部4の下流側は、バイパス流路5が接続されている。このバイパス流路5は、図5に示すように、水平または水平より上方(斜め上方および垂直上方を含む)に下流側を向けて配置され、濃度センサ151の下流側にて主流路2に接続されている。
【0078】
また、他の例として、主流路案内部3は、図8に示すように、液体トナーポンプ133の下流側で、斜め上方に下流側を向けて配置された主流路2の一部を、垂直下方(斜め下方であってもよい)に下流側を向けて配置している。なお、主流路2は、主流路案内部3の上流側では、図8において斜め上方に下流側を向けて配置されているが、主流路案内部3に至り垂直上方に下流側を向けて配置されていてもよい。また、主流路2は、主流路案内部3の下流側では、その配置に限定はない。一方、分岐部4は、図8に示すように、主流路案内部3における最上部、即ち、主流路2を垂直下方(または斜め下方)に下流側を向けた始点部分から分岐し、斜め上方に下流側を向けて配置されている。図8において、分岐部4は、斜め上方に下流側を向けて配置された主流路2に対して一連に繋がるように斜め上方に下流側を向けて配置されている。なお、分岐部4は、図8において斜め上方に下流側を向けて配置されているが、水平または垂直上方に下流側を向けて配置されていてもよい。そして、分岐部4の下流側は、バイパス流路5が接続されている。このバイパス流路5は、図5に示すように、水平または水平より上方(斜め上方および垂直上方を含む)に下流側を向けて配置され、濃度センサ151の下流側にて主流路2に接続されている。
【0079】
また、他の例として、分岐部4に替えて開放部(気泡分離部)6を備えている。主流路案内部3は、図9に示すように、液体トナーポンプ133の下流側で水平に配置された主流路2の一部を、水平(垂直下方または斜め下方であってもよい)に下流側を向けて配置している。なお、主流路2は、主流路案内部3の下流側では、その配置に限定はない。一方、開放部6は、図9に示すように、主流路案内部3における最上部、即ち、主流路2を水平(または垂直下方や斜め下方)に下流側を向けた始点部分から分岐し、垂直上方(または斜め上方)に下流側を向けて配置されている。そして、開放部6の下流側は、水平または水平より上方(斜め上方および垂直上方を含む)に下流側を向けて配置されて開放されている。ここで、大気に開放する開放部6の立ち上げ高さは、液体トナーポンプ133による送出圧力の影響で液体トナーが溢れ出ない高さとする。
【0080】
攪拌タンク122と現像装置46のトナー貯留部51とを繋ぐ通路である主流路2を有し、この主流路2に設けた上述の濃度センサ(濃度計測部)151により、液体トナーのトナー濃度を計測する場合、攪拌タンク122において液体トナーを攪拌することや、攪拌タンク122に導かれた液体トナーが滴下することによって液体トナー内に気泡Bが発生し、この気泡Bが液体トナーに混入した状態で主流路2に流通することがあり、この気泡Bによって液体トナーのトナー濃度を高精度に計測することができないおそれがある。この点、本実施の形態の液体トナー濃度計測装置1によれば、主流路案内部3により主流路2の一部が下方に下流側を向けて配置され、かつ気泡分離部である分岐部4や開放部6が主流路案内部3の最上部から水平または上方(斜め上方を含む)に下流側を向けて設けられていることから、液体トナーに含まれる気泡Bは、自身の浮力によって分岐部4(開放部6)に導かれ、液体トナーのみが主流路案内部3から下流側の主流路2に導かれる。そして、分岐部4に導かれた気泡Bは、バイパス流路5を経て現像装置46に直接導かれる。また、(開放部6)に導かれた気泡Bは、そのまま大気に開放される。即ち、濃度センサ151を設けた主流路2には、気泡Bを含んでいない液体トナーが導かれるため、液体トナーのトナー濃度を高精度に計測することが可能になる。
【0081】
なお、主流路2は、図5に示すように、液体トナーポンプ133から主流路案内部3および分岐部4(開放部6)に至るまでの距離Aが長いほど、液体トナーに含まれる気泡Bは、自身の浮力によって主流路2内の上部に集まって分岐部4(開放部6)側に導かれるため、距離Aを適宜設定することが好ましい。例えば、気泡Bの大きさや液体トナーの粘度や液体トナーの流速によって多少異なるが、液体トナーポンプ133から主流路案内部3および分岐部4(開放部6)に至るまでに30秒程度の時間をかけることができればよく、そのため距離Aを300mm以上(好ましくは480mm程度)とすることがよい。
【0082】
また、主流路2を、主流路案内部3および分岐部4(開放部6)に至り上方(斜め上方を含む)に下流側を向けて配置すれば、液体トナーに含まれる気泡Bは、主流路案内部3および分岐部4(開放部6)に至る以前に、自身の浮力によって主流路2内の上部に集まり、より分岐部4(開放部6)側に導かれ易くなる。
【0083】
また、バイパス流路5によって分岐部4の下流側を濃度センサ151の下流側にて主流路2に接続することで、分岐部4側に導かれた液体トナーを現像に供するため、液体トナーを有効に利用することが可能である。
【0084】
また、分岐部4(開放部6)の内径を、主流路案内部3の内径よりも大きくすれば、分岐部4(開放部6)側への液体トナーの流量が増すため、液体トナーに含まれる気泡Bを、より分岐部4(開放部6)側に導き易くすることが可能になる。
【0085】
図10は、本実施の形態に係る他の液体トナー濃度計測装置の概略図である。図10に示す液体トナー濃度計測装置1は、図5〜図9で示す主流路案内部3および分岐部4(開放部6)を多段に複数配置したものである。すなわち、液体トナーポンプ133の下流の主流路2に、第一段の主流路案内部3および分岐部4(開放部6)を設け、この第一段の主流路案内部3の下流側の主流路2に、第二段の主流路案内部3および分岐部4(開放部6)を設け、各分岐部4の下流側を各バイパス流路5によって濃度センサ151の下流側にて主流路2に接続する。また、図には明示しないが開放部6の場合は、バイパス流路5を設けず大気に開放する。なお、図には明示しないが、主流路案内部3および分岐部4は、第二段以上を設けてもよい。
【0086】
この液体トナー濃度計測装置1によれば、第一段の主流路案内部3および分岐部4(開放部6)により主流路2の液体トナーから気泡Bが分離され、その後、第二段の主流路案内部3および分岐部4(開放部6)により主流路2の液体トナーから気泡Bがさらに分離される。このため、濃度センサ151を設けた主流路2には、より気泡Bを含んでいない液体トナーが導かれるため、液体トナーのトナー濃度を高精度に計測する効果を顕著に得ることが可能になる。
【0087】
図11は、本実施の形態に係る他の液体トナー濃度計測装置の概略図である。図11に示す液体トナー濃度計測装置1は、図5で示す液体トナー濃度計測装置1に対し、液体トナーポンプ133を濃度センサ151の下流側であって、バイパス流路5が接続された部分の下流側の主流路2に設けたものである。この構成は、図10に示す主流路案内部3および分岐部4を多段に複数配置した液体トナー濃度計測装置1に対して適用してもよい。
【0088】
液体トナーポンプ133は、図11に示すように構成してもよいが、液体トナーポンプ133を主流路案内部3および分岐部4(開放部6)の上流側に配置することが好ましい。この液体トナー濃度計測装置1によれば、濃度センサ151に向かって圧力を掛けることになるので、気泡Bが圧縮されて小さくなる。一方、主流路案内部3および分岐部4の下流側に液体トナーポンプ133を配置した場合は、液体トナーを下流側から引っ張る(吸う)ことになり、気泡Bが大きく膨らむことになる。大きい気泡Bでは濃度が下がっているように誤って計測するおそれがあるが、気泡Bを小さくすることで濃度計測への影響を低減することが可能になる。よって、液体トナーポンプ133は、主流路案内部3および分岐部4(開放部6)の上流側に配置することが好ましい。
【0089】
なお、液体トナーポンプ133を濃度センサ151の下流側であって、バイパス流路5が接続された部分の下流側の主流路2に設ければ、主流路案内部3および分岐部4の上流側に液体トナーポンプ133を配置しないため、主流路案内部3および分岐部4の上流側に液体トナーポンプ133を配置した構成と比較して、攪拌タンク122から主流路案内部3および分岐部4までの主流路2の長さを同じくしても上述した距離Aをより長く配置することが可能になる。また、逆に、適した距離Aとしつつ攪拌タンク122から主流路案内部3および分岐部4までの主流路2の長さを短くすることが可能になる。
【0090】
図12および図13は、本実施の形態に係る他の液体トナー濃度計測装置の概略図である。図12に示す液体トナー濃度計測装置1は、図5〜図9で示す液体トナー濃度計測装置1に対し、バイパス流路5を攪拌タンク122に接続したものである。また、図13に示す液体トナー濃度計測装置1は、図10で示す液体トナー濃度計測装置1に対し、各バイパス流路5を攪拌タンク122に接続したものである。
【0091】
この液体トナー濃度計測装置1によれば、気泡Bが混入する液体トナーを攪拌タンク122に戻すことで、気泡Bが現像装置46に至ることがない。このため、気泡Bが現像に影響を及ぼすおそれがある場合に適している。
【0092】
この液体トナー濃度計測装置1によれば、気泡Bが混入する液体トナーが現像装置46に至ることがない。このため、気泡Bが現像に影響を及ぼすおそれがある場合に適している。
【0093】
また、上述した実施の形態に係る液体トナー濃度計測装置1が適用された電子写真印刷装置10によれば、液体トナーのトナー濃度を高精度で管理された状態で印刷を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0094】
1 液体トナー濃度計測装置
2 主流路
3 主流路案内部
4 分岐部(気泡分離部)
5 バイパス流路
6 開放部(気泡分離部)
10 電子写真印刷装置
11 給紙装置
12 印刷装置
13 定着装置
14 搬送装置
15 排紙装置
122 攪拌タンク(容器)
133 液体トナーポンプ(送出部)
151 濃度センサ(濃度計測部)
B 気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流路と、
前記主流路に液体トナーを流通させる送出部と、
前記主流路の一部を水平または下方に下流側を向けて配置する主流路案内部と、
水平または上方に下流側を向けて前記主流路案内部の最上部に設けられた気泡分離部と、
前記主流路案内部の下流側で前記主流路に設けられており前記液体トナーのトナー濃度を計測する濃度計測部と、
を備えることを特徴とする液体トナー濃度計測装置。
【請求項2】
前記主流路案内部および前記気泡分離部を多段に複数配置することを特徴とする請求項1に記載の液体トナー濃度計測装置。
【請求項3】
前記主流路は、前記主流路案内部および前記気泡分離部に至り上方に下流側を向けて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体トナー濃度計測装置。
【請求項4】
前記気泡分離部の内径を、前記主流路案内部の内径よりも大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の液体トナー濃度計測装置。
【請求項5】
前記気泡分離部は、前記濃度計測部の下流側にて前記主流路に接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の液体トナー濃度計測装置。
【請求項6】
前記気泡分離部は、前記主流部に流通される前記液体トナーを溜める容器に接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の液体トナー濃度計測装置。
【請求項7】
前記気泡分離部は、大気に開放されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の液体トナー濃度計測装置。
【請求項8】
前記送出部を、前記主流路案内部および前記気泡分離部の上流側に配置することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の液体トナー濃度計測装置。
【請求項9】
被印刷物を1枚ずつ供給可能な給紙装置と、
該給紙装置から供給された前記被印刷物に対して液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写する印刷装置と、
前記被印刷物に転写されたトナー画像を加熱して定着させる定着装置と、
該定着装置によりトナー画像が定着された前記被印刷物を排紙する排紙装置と、
を備える電子写真印刷装置において、
前記印刷装置に供給する液体トナーのトナー濃度を計測する態様で、請求項1〜8のいずれか一つに記載の液体トナー濃度計測装置を適用することを特徴とする電子写真印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−109245(P2013−109245A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255562(P2011−255562)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】