液体ポンプ及びこれを備えたインクジェットプリンタ
【課題】一つの駆動源で複数の液体を同時に送液することが可能な長寿命の液体ポンプ及びこれを備えたインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】液体ポンプ15は、少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部27と、液体貯蔵部27の各々の液体貯留室を連通する連結手段28と、連結手段28と連通し、液体貯蔵部27の液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段29と、液体貯蔵部27の液体貯留室に液体を流入させるための流入弁25を有する流入管23と、液体貯蔵部27の液体貯留室の液体を排出させるための排出弁36を有する流出管37と、液体貯蔵部27の液体貯留室内の液体の液面の高さに応じて当該液体貯留室内の液体の量を調整する流路抵抗可変手段である液面調整機構39とを備えている。
【解決手段】液体ポンプ15は、少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部27と、液体貯蔵部27の各々の液体貯留室を連通する連結手段28と、連結手段28と連通し、液体貯蔵部27の液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段29と、液体貯蔵部27の液体貯留室に液体を流入させるための流入弁25を有する流入管23と、液体貯蔵部27の液体貯留室の液体を排出させるための排出弁36を有する流出管37と、液体貯蔵部27の液体貯留室内の液体の液面の高さに応じて当該液体貯留室内の液体の量を調整する流路抵抗可変手段である液面調整機構39とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ポンプ及びこれを備えたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置において、インク供給、インク循環、および廃液を行うために液体ポンプを使用することは一般的であり、この液体ポンプには、さまざまな種類のものが使用されている。
【0003】
近年では、高画質な画像を記録するためにインクジェット記録装置1台あたりに使用されるインクの種類は増える傾向にある。
したがって、使用されるインクを液体ポンプで送液する際に、液体ポンプと同数の、つまりインクの種類と同数の、液体ポンプの動力源を設けることは、装置の大型化に繋がるだけでなくコスト面においても高価となってしまう。
【0004】
そこで、動力源を比較的簡単に一つにできるポンプ(液体ポンプ)が、特許文献1に開示されている。
図16は、特許文献1のプリンタにおけるインク系を示した概略図であり、図17は、特許文献1におけるポンプの構成を示した図である。図16よりインク系は、インクヘッド301と、インクヘッド回復ユニット78と、サブタンク307と、インクポンプ331と、インク袋310aと、廃インク吸収体310bと、図中矢印方向にインクが流れるような圧力関係になったときのみインクを流すことが可能な一方向弁326及び327と、で構成されている。
【0005】
また、ポンプ331は、図17に示すように、1つの駆動源であるモータP13と、インク供給用ポンプ部P16と、廃インク回収ポンプ部P18と、で構成されている。インク供給用ポンプ部P16と廃インク回収ポンプ部P18には、チューブP20をつぶすためのローラP17が取り付けられている。また、インク供給用ポンプ部P16は、モータP13と直結したポンプシャフトP15に正逆両方向に回転可能に固定され、廃インク回収ポンプ部P18は、ワンウェイクラッチP21を内蔵しており、モータP13が逆回転したときのみ回転可能となっている。特許文献1のポンプは、上記のようなチューブポンプ以外にもギアポンプ等で構成してもよい。
【0006】
このようにして、モータP13が正回転したときには、インクをインク袋310aから一方向弁327を経てサブタンク307に供給し、逆回転したときにはインクをサブタンク307から一方向弁326を経てヘッド301へ供給すると同時に、回復系ユニット78内の廃インクを廃インク吸収体310bに回収するという動作が行われる。
【0007】
図16は、プリンタの一色に関してのインク系を説明しているが、使用色が増えた場合は、図18に示すように使用色に対応したポンプ部の連結数を増やしていけば、一つの駆動源で何種類もの色に対応することが可能となる仕組みとなっている。
【特許文献1】特開2002−307724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1のようなポンプは、使用インク色が増えても、駆動源は1個のままで、理論上は無限にポンプ部を増やしていくことができる。
ところが、特許文献1で使用されているポンプ部は、チューブポンプ、およびギアポンプで構成されており、近年のインクジェット記録装置に求められる高寿命、高信頼性という点で、下記のような欠点がある。
【0009】
すなわち、チューブポンプは、インクを内蔵したチューブP20の外部をローラP17によってしごく事によってインクを送液している。この構造において、チューブP20が破れたりしないためには、チューブP20には非常に高い柔軟性と、耐薬品性が要求されてくる。
【0010】
しかし、高寿命という点でそのような高い柔軟性と耐薬品性を満たすものは、なかなか存在しないのが現状であり、仮にあったとしても、非常に高価なものになってしまう等の問題が発生する。
【0011】
また、チューブポンプが破損したときの状態は、上記のようにチューブP20が破れて内蔵のインクが外部に漏れてしまうというものであるため、このようなことが発生しても、インクが装置外部に漏れないような構造が必要となり、コスト的なマイナス面が発生する。
【0012】
また、ギアポンプにおいては、回転して擦れあうギア部から、削り粉等が出てしまうと、削り粉等がインクに混入し、インクヘッドのインク吐出不良の原因となってしまう。したがって、ギアポンプをポンプ部として使用するには、ギア部の材質をかなり吟味し、さらにインクの使用にはフィルタ等を介して行う等のことが必要になってしまう。
【0013】
また、上記のポンプ以外にも、空圧で動作するダイヤフラムポンプ等は、比較的複数個のポンプ部を連結することが容易ではあるが、インクに接液する振動薄膜部の柔軟性、耐薬品性において、上記のチューブポンプと同様の欠点がある。
【0014】
そこで本発明は、上記の課題を解決するために、一つの駆動源で複数の液体を同時に送液することが可能な長寿命の液体ポンプ及びこれを備えたインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の液体ポンプは、少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部と、液体貯蔵部の各々の液体貯留室を連通する連結手段と、連結手段と連通し、液体貯蔵部の液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段と、液体貯蔵部の液体貯留室に前記液体を流入させるための流入弁を有する流入管と、液体貯蔵部の液体貯留室の液体を排出させるための排出弁を有する流出管と、液体貯蔵部の液体貯留室内の液体の液面の高さに応じて、当該液体貯留室内に貯留される液体の量を調整する流路抵抗可変手段と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のインクジェットプリンタは、上記の液体ポンプと、該液体ポンプから供給されたインクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録部を有することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の液体ポンプは、少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部と、液体貯蔵部の少なくとも1つの液体貯留室に当該液体貯留室内の液体の液面高さを検出する液面検出手段と、液体貯蔵部の各々の液体貯留室を連通する連結手段と、液体貯留室内を大気開放するための大気開放手段と、連結手段と連通し、液体貯蔵部の液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段と、圧力調整手段の液体貯留に対する圧力を検出する圧力検出手段と、液体貯蔵部の液体貯留室に液体を流入させるための流入弁を有する流入管と、液体貯蔵部の液体貯留室の液体を排出させるための排出弁を有する流出管と、液体貯蔵部の液体貯留室の液体の液面の高さに応じて当該液体貯留室内に貯留される液体の量を調整する流路抵抗可変手段と、少なくとも液面検出手段と大気開放手段と圧力検出手段とを制御するコントロール手段と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のインクジェットプリンタは、上記の液体ポンプと、該液体ポンプから供給されたインクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一つの駆動源で複数の液体を同時に送液することが可能な長寿命の液体ポンプ及びこれを備えたインクジェットプリンタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタのインク経路の構成図である。このインクジェットプリンタにはシアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色のインク液2−1、2−2、2−3、2−4を夫々収容する複数のインクタンク1−1、1−2、1−3、1−4が設けられている。
【0021】
尚、図1ではシアン(C)インクに対するインク経路のみを示しているが、その他の色のインク経路についても同様である。
図1において、インクタンク1−1〜1−4には、開放弁3を設けたインク経路管4が接続されている。このインク経路管4は、湾曲して下方に配置され、下端口を上部サブインクタンク5内のインク液2−1−1〜2−4−1に浸している。
【0022】
上部サブインクタンク5には、上記インクタンク1−1〜1−4から供給されるインク液2−1〜2−4が一定量に達したことを検知するセンサ6が装着されている。また、上部サブインクタンク5には、一端側を上部サブインクタンク5内のインク液2−1−1〜2−4−1に浸して接続し、他端側をインク分配器7に接続するチューブ8が設けられている。
【0023】
さらに、上部サブインクタンク5には、一端側を上部サブインクタンク5内のインク液2−1−1〜2−4−1に浸すことなく接続し、他端側を共通気室9に接続するチューブ10が設けられている。共通気室9には、この内部を大気に開放することが可能な開放弁21が設置されている。
【0024】
インク分配器7にはインクジェット方式の複数のインクヘッド11(図1には2個のみ示し他は図示を省略している)が接続され、画像記録部を形成している。複数のインクヘッド11は、インクヘッド11の下方に搬送される画像形成媒体の幅方向に、その画像形成媒体の幅以上の範囲で、各色ごとに、図1の紙面奥行き方向に千鳥状に延在して配置されている。
【0025】
このインクヘッド11の下面には、複数のノズルが例えば2列に配列されている。このインクヘッド11は、下方に搬送される画像形成媒体に対して複数のノズルからインク液を吐出し、画像記録を行っている。
【0026】
複数のインクヘッド11内部に入ったインク液の中で、ノズルから吐出されなかったインク液は、再びインクヘッド11外部に出て、インク集積器12に集められる。そして、チューブ14を通り下部サブインクタンク13に導かれる。
【0027】
下部サブインクタンク13には、インク供給量調節器17が配置された一端側を下部サブタンク13内のインク液2−1−2〜2−4−2に浸して接続し、他端側を液体ポンプ15に接続するチューブ16が設けられている。
【0028】
インク供給量調節器17は、液体ポンプ15によって吸い上げられるインク液の量を下部サブインクタンク13のインク液面の高さによって自己調整するものである。
また、下部サブインクタンク13には、一端側を下部サブインクタンク13内のインク液2−1−2〜2−4−2に浸すことなく接続し、他端側を圧力調整共通気室18に接続するチューブ19が設けられている。
【0029】
圧力調整共通気室18には、この内部を大気に開放することが可能な開放弁20が圧力調整共通気室18−1側に設置されている。また、異常時でも、サブインクタンク13内のインク液の進入がそのラビリンス構造でさえぎられる圧力調整共通気室18−2側には、圧力調整機構22が設置されている。
【0030】
この圧力調整機構22は、ベローズ形状部22−1と、錘部22−2と、アーム22−3とで構成されている。アーム22−3によって錘部22−2を上下動させることでベローズ形状部22−1は伸縮する。尚、ベローズ形状部22−1のバネ定数は極めて小さい値で作られている。これにより、ベローズ形状部22−1が伸縮することで圧力調整共通気室18内の圧力を調整している。つまり、圧力調整共通気室18は、チューブ19を介して下部サブインクタンク13と連通しているため下部サブインクタンク13内の圧力を調整している。
【0031】
下部サブインクタンク13内のインク液2−1−2〜2−4−2は、液体ポンプ15によって強制的にチューブ16を介して吸い上げられ、更にチューブ24を介して上部サブインクタンク5に再度供給される。
(第1の実施の形態)
図2は、上記インクジェットプリンタのインク経路の構成において、第1の実施の形態としての、下部サブインクタンク13からインク液を強制的に吸い上げ、上部サブインクタンク5へインク液を供給する液体ポンプ15の外観斜視図である。図3は、図2に示す液体ポンプ15における液体貯蔵部27の図面手前側の壁を透視し、内部構造を示す図である。図4は、図2に示すピストン機構部29と気室連絡部材28を拡大し一部を切り欠いて内部構造を示す図である。図5は、図3の液体貯蔵部27の液体貯留室を1個のみ拡大して構成を詳しく示す図である。図6は、図5の流出管37の下端部の構成を詳しく示す図である。
【0032】
図2及び図3に示すように、液体ポンプ15は、液体貯蔵部27と、液面調整機構39と、流入管23と、流入管23に設けられた流入弁25と、流出管37と、流出管37に設けられた流出弁36と、液体貯蔵部27内部の分割された各液体貯留室に連通する気室連絡部材28と、この気室連絡部材28に連結されたピストン機構部29と、このピストン機構部29を駆動する回転駆動源であるクランク部32及びモータ33を備えている。尚、ピストン機構部29とクランク部32とモータ33とで圧力調整手段を構成している。
【0033】
流入管23は、一端側をチューブ16と接続し、他端側を液体貯蔵部27内のインク液に浸されるように液体貯蔵部27と接続している。流入管23に設けられたインク流入弁25は、チューブ16を介して下部サブインクタンク13から汲み上げられたインク液2−1−2〜2−4−2を図2の矢印26方向にのみ流すことが可能な一方向弁である。流入弁25を通過したインク液は、液体貯蔵部27内へと送られる。
【0034】
また、流出管37は、一端側をチューブ24と接続し、他端側を液体貯蔵部27内のインク液に浸されるように液体貯蔵部27と接続している。なお、流出管37の他端側は、図6に示すように、下端部37−1は閉じられており、側面部にインク液取込口としてインク流出口37−2が形成されている。流出管37に設けられた排出弁36は、液体貯蔵部27内のインク液2−1−3〜2−4−3を図2の矢印35方向にのみ流すことが可能な一方向弁である。排出弁36を通過したインク液は、チューブ24を介して上部サブインクタンク5へと送られる。
【0035】
液体貯蔵部27内は、図3に示すように、インク液の種類毎に部屋が分かれて、それぞれ液体貯留室27−1〜27−4を形成している。液体貯留室27−1〜27−4は、それぞれインク液2−1−3〜2−4−3を貯留し、このインク液面上部に気室27−1−1〜27−4−1を形成している。液体貯留室27−1〜27−4(気室27−1−1〜27−4−1)は、連結手段である気室連絡部材28で繋がっている。また、この気室連絡部材28は、液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内部の圧力を正圧から負圧に、負圧から正圧に交互に変化させることが可能なピストン機構部29に繋がっている。このため、ピストン機構部29から気室連絡部材28を介して液体貯留室27−1〜27−4までは密閉構造となっている。つまり、外気から空気を取り入れることはないので液体ポンプ15内の空気量は変化することがない。
【0036】
ピストン機構部29は、図4に示すように、シリンダ部30とピストン部31とで構成されている。モータ33により、クランク部32を駆動させることでピストン部31を両方向矢印34で示すように往復運動させる。これにより液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内部を、同じ圧力で加圧したり、減圧したりすることができる。すなわち、ピストン部31を両方向矢印34の上方向へ駆動させると気室連絡部材28を介して液体貯留室27−1〜27−4内部の圧力は加圧(正圧)され、ピストン部31を両方向矢印34の下方向へ駆動させると気室連絡部材28を介して液体貯留室27−1〜27−4内部の圧力は減圧(負圧)される。
【0037】
それぞれの液体貯留室27−1〜27−4内部には、流路抵抗可変手段であるインク液面調整機構39が設けられている。インク液面調整機構39は、図5に示すように、流出管37側面部に形成されたインク流出口37−2と液面追従部材38とで構成されている。液面追従部材38は、本実施の形態ではフロート38−1であり、流出管37に摺動可能に嵌合されている。尚、図5は、液体貯留室27−1内を拡大したものであるが、他の液体貯留室27−2〜27−4についても同様な構成である。
【0038】
前述したように、流出管37の他端側は液体貯蔵部27(液体貯留室27−1)内のインク液2−1−3に浸されているが、具体的には少なくともインク流出口37−2がインク液2−1−3に浸されている。インク流出口37−2は、液体貯留室27−1内のインク液2−1−3を取り込み、上部サブインクタンク5へと送り出す。
【0039】
フロート38−1は、液体貯留室27−1内のインク液2−1−3に浮かび、インク液面の高さに追従して移動する。その際、フロート38−1はインク液面の高さに応じて、インク流出口37−2から取り込むインク液2−1−3の量を調整する。つまり、インク液面が下がるとフロート38−1は液面高さに追従して下がり、インク流出口37−2の一部又は全部を覆うことでインクに対するインク流出口37−2の開口面積を小さくし、流出管37内に取り込むインク液の量を少なくする。逆に、インク液面が上がるとフロート38−1はインク液面に追従して上がり、インク液面が下がった時と比べ、インク液に対するインク流出口37−2の開口面積が大きくなり、流出管37内に取り込むインク液の量が多くなる。このようにして液体貯留室27−1内のインク液面の高さ制御を行なっている。
【0040】
図2乃至図4に示すピストン機構部29によって、液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内部が加圧されると、インク液2−1−3〜2−4−3は、インク流出口37−2から流出管37内に取り込まれ、排出弁36及びチューブ24を通って、図1に示す上部サブインクタンク5へと押し出される。
【0041】
また、ピストン機構部29によって、液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内部が減圧されると、図1に示す下部サブタンク13から、インク液2−1−2〜2−4−2が、チューブ16及び流入弁25を通って、液体貯蔵部27内へと取り込まれる。
【0042】
次に、この画像記録装置のインク経路の動作を再び図1を用いて説明する。
図1の上部サブインクタンク5内のインク液2−1−1〜2−4−1は、上部サブインクタンク5内のセンサ6によって液面の高さを監視されている。そして、インク液2−1−1〜2−4−1の液面をセンサ6が検知しないと、開放弁3が開き、インクタンク1−1〜1−4からインク液2−1〜2−4が上部サブインクタンク5に供給される。
【0043】
このインク経路を除いた部分のインク液の動きは、前述した如く、上部サブインクタンク5→インクヘッド11→下部サブインクタンク13→液体ポンプ15→上部サブインクタンク5といったように、循環を繰り返すよう構成されている。
【0044】
一般的に、インクジェットヘッドのノズルは負圧に保たれている。これによって、ノズルには、内部方向に凹む曲面(メニスカス)が形成され、正常な印字動作ができるように構成されている。
【0045】
本インク経路は、インク液を前述した如く循環させながら、ノズルにおける負圧を作るために、以下のような構成をとっている。
インクヘッド11のノズルと、それより上方の上部サブインクタンク5のインク液面までとの間に距離Aを持たせ、開放弁21を開放することによって、上部サブインクタンク5内を大気開放にする。これにより、インクヘッド11には一定の正圧力がかかる。
【0046】
さらに下部サブインクタンク13のインク液面と、インクヘッド11のノズルとの間に距離Bを持たせ、開放弁20をあけた状態で圧力調整機構22の、ベローズ形状部22−1および錘部22−2をアーム22−3で持ち上げ、開放弁20を閉じた後、アーム22−3を下げることで下部サブインクタンク13内の圧力を一定の負圧にする。これにより、インクヘッド11に一定の負圧がかかる。
【0047】
下部サブインクタンク13内の負圧力は、錘22−2の重さを変えることによって可変である。この負圧力と、インクヘッド11と上部サブインクタンク5のインク液面との距離Aによる正圧力とのバランスをとることで、インクヘッド11のノズルにおいて、所定の負圧を発生させることが可能となる。これと共に、インク液が上部サブインクタンク5から、インクヘッド11内部を通過して、下部サブインクタンク13に流れることが可能になる。
【0048】
尚、上記距離Bは、インク液を循環させていないとき、一方の開放弁21を大気に対して閉じ、他方の開放弁20を大気に対して開放した際、インクヘッド11のノズルに正常なメニスカスが形成できるように、その距離が設定されている。
【0049】
液体ポンプ15は、下部サブインクタンク13に流れたインク液を再び上部サブインクタンク5に戻すために設置されている。
尚、液体ポンプ15にインク液を供給するチューブ16の一端側は、下部サブインクタンク13内のインク液に浸されているが、この一端側には前述したインク液面調整機構39と同様な構成をしたインク供給量調整機構17が設けられている。このインク供給量調整機構17により下部サブインクタンク13内のインク液面の高さ制御を行なっている。
【0050】
液体ポンプ15は、前述した図2乃至図6のように構成されており、ピストン機構部29によって液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4が負圧になると、下部サブインクタンク13からインク液を吸い上げ、逆に正圧になると上部サブインクタンクにインク液を送り出すように構成されている。
【0051】
ここで、上記動作を繰り返す際、図2及び図3に示した各液体貯留室27−1〜27−4毎に設けられた一方向弁である流入弁25及び排出弁36が仮に全て同じもので構成されたとしても、抵抗値の微小な違いから、各液体貯留室27−1〜27−4内の圧力を一定の負圧にしたとき吸い上げられるインク量と、各液体貯留室27−1〜27−4内の圧力を一定の正圧にしたときに排出されるインク量には、液体貯留室毎に若干の違いが生じる。
【0052】
このように液体貯蔵部27に対して流入又は排出されるインク量がインク毎に若干の違いが生じる現象が続くと、液体貯蔵部27の各液体貯留室のインク液面は、ある色は高く、ある色は低いといった状態になり、これがさらに続くと、気室連絡部材28を通じて、他の色と混色してしまう事も発生する。
【0053】
このような状態を回避するために、図5に示したような液面調整機構39を液体貯蔵部27の各液体貯留室内に設置する。
これによって、液面が高くなってくると、フロート38−1がこれに追従して上昇し、これに伴ってインク流出口37が広くなり、排出するインク量を多くすることが可能となる。
【0054】
逆に液面が低下すると、フロート38−1がこれに追従して下降し、これに伴ってインク流出口37が狭くなり、排出するインク量を少なくすることが可能となる。
上記液面調整機構39が、液体貯蔵部27の全ての液体貯留室27−1〜27−4に設置されることにより、流入弁25及び排出弁36の特性に関わらず、各液体貯留室内のインク液面の高さを同じ高さにしようとする働きが生じ、その際、前述したように液体ポンプ15内の空気量は変わらないため、液体貯留室27−1〜27−4内のインク液面は全て同じ高さを保ちながら、ポンプとして作動することが可能となる。
【0055】
以上のような構成を持たせることにより、一つの圧力調整手段で複数色のインクを同時に送液することが可能な、長寿命の液体ポンプを提供することが可能となる。
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。以下にいくつかの変形例を示す。
(第1の実施の形態の変形例1)
図7は、第1の実施の形態の変形例1として、図2乃至図4に示した圧力調整手段の他の例を示す図である。本例の圧力調整手段は、図7に示すように、ベローズ40と、カム41と、不図示のモータとで構成されている。不図示のモータによりカム41を駆動させることで、ベローズ40を矢印42の方向に押し上げる。カムの通過後はベローズ40のもつ弾性で矢印43方向に戻る。この動作によって各液体貯留室27−1〜27−4内を同じ圧力で加圧したり、減圧したりすることができる。このように構成してもよい。
(第1の実施の形態の変形例2)
図8(a),(b) は、第1の実施の形態の変形例2としての液面調整機構の他の例の構成及び動作を示す図である。上述した第一の実施の形態では、液面調整機構39は液面追従部材38としてフロート38−1と、インク液取込口として流出管37の側面部に設けられたインク流出口37−2とで構成していた。本変形例では、液面調整機構39は、液面追従部材38をフロート38−1と流出口蓋部38−2とフロートストッパ38−3と回動アーム38−4とで構成し、インク液取込口(インク流出口37−2)を流出管37の下端部37−1に設けた点が前述した第一の実施形態と異なる。
【0056】
フロート38−1は、インク液面の変動によって上下動する。フロート38−1の上下動に連動して回転アーム38−4は、回動支持軸50を支点にしてシーソー状に回動する。流出口蓋部38−2は、回動アーム38−4のフロート38−1との連結部とは反対側の端部に形成されている。
【0057】
図8(a) に示すようにインク液面が高いときは、フロート38−1は、例えば液体貯留室の上部から垂下されたフロートストッパ38−3に当接して浮上を抑止されている。この状態では、流出管37のインク流出口37−2と流出口蓋部38−2との距離が最も遠く、インク液の排出量が多い。
【0058】
そして、インク液面が下がってくると、流出管37のインク流出口37−2と流出口蓋部38−2との距離が短くなり、排出量が減るようになる。図8(b) に示すように、インク液面が大きく下がると、フロート38−1が最低位置まで下がり、これに連動して流出口蓋部38−2が最高位置まで時計回りに回動して、流出管37のインク流出口37−2をほぼ塞ぐにように動作する。尚、流出口蓋部38−2が最高位置まで回動した際、インク流出口37−2を完全に塞がないため、インク流出口37−2には、溝が設けられている。これにより、流出口蓋部38−2がインク流出口37−2を塞いだとしても溝から少量のインク液を上部サブインクタンクへと送り出すことができる。すなわち、インク液面が上がってくると、流出管37のインク流出口37−2と流出口蓋部38−2の距離が遠くなって排出量が多くなり、逆にインク液面が下がってくると、流出管37のインク流出口37−2と排出口蓋部38−2の距離が近くなって排出量が少なくなり、第一の実施の形態の場合と同様の働きを行うこととなる。
(第1の実施の形態の変形例3)
図9(a),(b) は、第1の実施の形態の変形例3としての液面調整機構の更なる他の例の構成及び動作を示す図である。
【0059】
本変形例の液面調整機構は、図9(a),(b) に示すように、第一の実施の形態と同様にインク液取込口として流出管37の側面にインク流出口37−2が形成されている。
そして、変形例2と同様に液面追従部材38として、フロート38−1、フロートストッパ38−3、回動アーム38−4が配設されている。
【0060】
ただし、本変形例では、回動アーム38−4のフロート38−1との連結部とは反対側の端部に、垂直方向に立設する流出口蓋部38−2−1が形成されている。
図9(a) に示すようにインク液面が高いときは、フロート38−1は、例えば液体貯留室の上部から垂下されたフロートストッパ38−3に当接して浮上を抑止されている。この状態では、流出管37のインク流出口37−2は流出口蓋部流出口蓋部38−2−1から全面が開放されており、インク液の排出量が多い。
【0061】
そして、インク液面が下がってくると、流出管37のインク流出口37が徐々に流出口蓋部38−2−1により塞がれて、インク排出量が少なくなる。
更に図9(b) に示すように、インク液面が大きく下がると、フロート38−1が最低位置まで下がり、これに連動して流出口蓋部流出口蓋部38−2−1が最高位置まで上に回動して、流出管37のインク流出口37をほぼ完全に塞ぐにように動作する。
【0062】
すなわち、インク液面が上がってくると、流出管37のインク流出口37を開放する方向へ流出口蓋部流出口蓋部38−2−1が移動してインク排出量が増え、逆にインク液面が下がってくると、流出管37のインク流出口37を塞ぐ方向へ流出口蓋部38−2−1が移動して、インク排出量が減って、第一の実施の形態の場合と同様の働きを行うこととなる。
(第2の実施の形態)
上記の如く構成された液体ポンプを、さらに長期間にわたって使用できるようにするには、液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内の空気がインク液体に溶け込んで、液体貯留室27−1〜27−4の空気量が少しずつ減っていく場合、又はインクに溶け込んでいた空気が出てきて液体貯留室27−1〜27−4の空気量が少しずつ増えていく場合等のことまで考える必要性が出てくる。
【0063】
通常であれば、このような場合、全ての液体貯留室に液面検知機構を設置し、インクの液面が正常であるか否かを監視しながら、インク液面の高さを制御している。
しかし、本発明においては、常にそれぞれの液体貯留室27−1〜27−4のインク液面の高さは同じであるように構成されているので、液体貯留室27−1〜27−4のうち、いずれか1つのインク液面を監視することにより、全ての液体貯留室のインク液面を監視することが可能となる。
【0064】
この構成について、以下、第2の実施の形態として説明する。
図10は、第2の実施の形態における液体ポンプの構成を示す斜視図である。図10に示すように、本例の液体ポンプ15−2は、液体貯留室内のインク液の液面を検出する液面検出手段であるインク液面検出機構44と、液体貯留室内を大気開放するための大気開放手段である電磁弁45と、圧力調整手段の液体貯留室に対する圧力を検出するクランク位置センサ46を備えている。
【0065】
図11は、第2の実施の形態における液体ポンプのインク液面検出機構44の構成を拡大して示す図である。尚、本実施の形態では、液体貯蔵部27の液体貯留室27−4にインク液面検出機構44が設けられている。
【0066】
図11に示すように、インク液面検出機構44は、液体貯蔵部27内の液体貯留室27−4に連通する気室連通部47及び48と、これら気室連通部47及び48をつなぐ撥水性の良い透明チューブ49を備えている。尚、気室連通部47は、液体貯留室27−4の気室27−4−1と連通しており、気室連通部48は、液体貯留室27−4内のインク液2−4−3と連通している。
【0067】
上記の透明チューブ49には液体貯留室27−4内のインクが出入り自由に入り込んでおり、これにより、液体貯蔵部27内の液体貯留室27−4と同じインク液面高さを、外部から目視することができるように構成されている。
【0068】
そして、透明チューブ49の上下に、透明チューブ49を挟むように、2個の光透過型センサ53及び54が設置されている。
これにより、液体貯留室27−4内のインク液面が高くなったときは、上の光透過型センサ53で高くなったインク液面を検知し、インク液面が低くなったときは、下の光透過型センサ54で低くなったインク液面を検知できるように構成されている。
【0069】
また、図10に示す電磁弁45は、通常は閉じられており、大気と液体貯蔵部27を遮断している。そして、上記光透過型センサ53又は54の検知信号を受けとった際に、不図示のコントローラ部の指示によって、電磁弁45を開閉するよう構成されている。
【0070】
さらに、図10に示すクランク位置センサ46は、クランク部32の位置を検知して、その検知信号を上記のコントローラ部に送信する。コントローラ部は、この検知信号に基づいて、図4に示したシリンダ部30内におけるピストン部31の位置を確認する。
【0071】
これにより、コントローラ部は、液体貯蔵部27の各液体貯留室27−1〜27−4に対して、加圧しているか、減圧しているかを認識することができる。
上記構成において、インク液面検出機構44が液体貯留室27−4内のインク液面が、設定された高さより高いことが認識した場合は、クランク位置センサ46によって液体貯蔵部27内の圧力を減圧していると認識したタイミングで、コントローラ部は、電磁弁45を大気に対して開放させる。この動作によって、外部の空気が気室連絡部材28を介して液体貯蔵部27内に入る。
【0072】
そして、ピストン部31が加圧動作に移る前に電磁弁45を閉めることによって、液体貯蔵部27内部に空気が充填される。これにより、全ての液体貯留室27−1〜27−4のインク液面が下がっていくこととなる。
【0073】
また、逆に、インク液面検出機構44が液体貯留室27−4内のインク液面が、設定された高さより低いことが認識した場合は、クランク位置センサ46によって液体貯蔵部27内の圧力を加圧している認識したタイミングで、コントローラ部は、電磁弁45を大気に対して開放させる。この動作によって、液体貯蔵部27内部の空気が気室連絡部材28を介して外部に排出される。
【0074】
そして、ピストン部31が減圧動作に移る前に電磁弁45を閉めることによって、液体貯蔵部27内部の空気量は減少する。これにより、全ての液体貯留室27−1〜27−4のインク液面が上がっていくこととなる。
【0075】
以上のようにして、本実施の形態では、液体貯留室27−4にインク液面検出機構44を設け、当該液体貯留室27−4のインク液面高さのみを監視するだけで、全ての液体貯留室のインク液面を管理することが可能となる。尚、インク液面検出機構44は、液体貯留室27−4に限らず、液体貯蔵部27内のいずれか一つの液体貯留室に設けても同様な効果を得ることができる。
【0076】
これにより、上述したような長期間使用することによって発生する液体貯蔵部27内部の空気量の変動にも対応できる非常に長寿命な液体ポンプを構成することが可能になる。
なお、上記構成による液面検知方法は、インクを直接、光透過型センサで確認するという構成を取っているが、通常このような検知方法であると、インクの色によって、認識できたり、できなかったりするといった不具合が発生する。
【0077】
特に昨今の、赤外光を使用する光透過型センサでは、マゼンタ(赤色系)のインクは、ほとんど認識できないといった現象が発生する。
しかし、本発明においては、マゼンタインク以外の一番認識しやすい色の液体貯留室にインク液面検出機構を設置すれば、上記の問題は解決されてしまうといった利点もある。
【0078】
また、上記インク液面検出機構は、より安価で効率の良い機構を提案すべく、安価な光透過型センサを用いた液面検知を例として示したが、ごく一般的に使用される電流検知、磁気検知等によるインク液面検出機構でも充分代用は可能である。この場合は、インク液の色に関わらず、液体貯蔵部27内のいずれか一つの液体貯留室にインク液面検出機構を設けることで、全ての液体貯留室のインク液面を管理することができる。
(第3の実施の形態)
ところで、第1の実施の形態、および第2の実施の形態においては、液面調整機構39を、排出弁36を有する流出管37に設置したが、流入弁25を有する流入管23に設置しても上記同様の機能が得られる。
【0079】
これについて、第3の実施の形態として以下に説明する。
図12は、第3の実施の形態における液体ポンプの構成を示す斜視図である。図12に示すように、本例の液体ポンプ15−3は、流入弁25を有する流入管23に液面調整機構39を設置している。尚、その他の構成は、第2の実施の形態の場合と同様である。
【0080】
図13は、上記第3実施の形態における液体ポンプ15−3の液面調整機構39の構成を拡大して示す図である。
図13に示すように、液面調整機構39は、液面追従部材38として液体に浮くことが可能なフロート60と、インク液取入れ口として流入管23に設けられたインク流入口23−1とで構成されている。フロート60は、流入管23に摺動可能に嵌合されている。
【0081】
インク流入口23−1は、インクの液面に連動して上下するフロート60の動きによって、そのインク流入口23−1の開口面積を変化させる。
すなわち、インクの液面が高いときは、フロート60が上昇することにより、インク流入口23−1の開口面積が狭くなり、下部サブインクタンクからのインク流入量が少なくなる。そして、インク液面が低いときは、フロート60が下降することにより、インク流入口23−1の開口面積が広くなり、下部サブインクタンクからのインク流入量が多くなる。
【0082】
また、この構成を取るときは、インクがフロート60の上方から流れてくるため、このインクが、フロート60上で固着しないように、図13に示すように、フロート60の上面にはテーパを形成して、フロート60の上面にインクが溜まらないように構成してある。
【0083】
このような構成を液体貯蔵部27内の全ての液体貯留室27−1〜27−4に設置することにより、インク液面は全ての液体貯留室27−1〜27−4で同じ高さになろうという動作を行う。これにより、液体ポンプ15−3は、長時間にわたってポンプとしての動作を続けることが可能となる。
(第4の実施の形態)
図14は、第4の実施の形態における液面調整機構の構成を示す図である。尚、図14には、形状は異なるが、図1乃至図13に示した構成と同一構成又は同一機能部分には、図1乃至図13に示したと同一の番号を付与して示している。
【0084】
また、本例において、第1〜第3の実施形態までに示した流出管37は、液体貯蔵部27に上方から接続していたが、下方から接続されるように構成されている。つまり、流出管37は、流入管23と同様に液体貯蔵部27の底部と接続されている。
【0085】
図14において、流出管37の上端部には、液体貯留室のインク液に浸された円筒状のガイド部56が形成されている。
このガイド部56の円筒状の周面には、液体貯留室内のインク液がガイド部56の筒内に出入り自由となるように縦方向にスリットが形成されている。これにより、ガイド部56の円筒状の内外のインク液面は常に同一の高さに維持されている。
【0086】
また、ガイド部56の円筒内部に支持されるフロート55は、球状で構成されている。このフロート55は、ガイド部56の円筒内部のインク液面すなわち液体貯留室内のインク液面の高さに連動して上下する。ガイド部56は、フロート55がインク液面の高さに応じて上下動した際、その上下動の軌道上から外さないためのガイドである。尚、その他の構成は、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0087】
この構成において、インク液面の下降によって球状のフロート55が降下すると、流出管37をほぼ塞ぐように構成されている。すなわちインク液面の下降によって球状のフロート55が降下すると、上部サブインクタンク5へ送り出されるインク量が少なくなる。
【0088】
また、インク液面の上昇によって球状のフロート55が上昇すると、流出管37は、フロート55によって塞がれないため上部サブインクタンク5へ送り出されるインク量は増えることとなる。
(第5の実施の形態)
図15は、第5の実施の形態における液面調整機構の構成を示す図である。尚、この図15も、形状は異なるが、図1乃至図13に示した構成と同一構成又は同一機能部分には、図1乃至図13に示したと同一の番号を付与して示している。
【0089】
また、本例においても、第1〜第3の実施形態までに示した流出管37は、液体貯蔵部27に上方から接続していたが、下方から接続されるように構成されている。つまり、流出管37は、流入管23と同様に液体貯蔵部27の底部と接続されている。
【0090】
図15に示すように、流入管23及び流出管37の上端は、一体成形され図縦分割筒体57を形成している。この縦分割筒体57部分には、図12及び図13に示したとものと同様のフロート60が摺動可能に嵌合されている。
【0091】
縦分割筒体57は、縦方向に分割された2つの部屋に分かれている。2つの部屋のうち一方は、液体貯留室27−1内にインクを導く流入管23に対応する部屋である。
また、2つの部屋のうちの他方は、液体貯留室27−1からインク液を送り出す流出管37に対応する部屋である。
【0092】
流出管37に対応する部屋には、インク液を液体貯留室からチューブ24に流出させるインク流出口37−2が形成されており、流入管23に対応する部屋には、インク液をチューブ16から液体貯留室へ流入させるためのインク流入口23−1が形成されている。
【0093】
つまり、本例の液面調整機構は、第一の実施の形態の液面調整機構の機能と、第3の実施の形態における液面調整機構の機能とを合わせ持った構成となっている。
縦分割筒体57の2つの部屋にそれぞれ形成されたインク流出口37−2及びインク流入口23−1を、フロート60がインク液面の高さに応じて開口面積を広くしたり狭くしたりすることにより、第1及び第3の実施の形態で説明したと同様の機能を同時に得られる。つまり、インク液面が下がると、それに追従してフロート60が下がり、インク流出口37−2の開口面積を小さくし、上部サブインクタンクへのインク液の流出量を少なくする。これと同時に、インク流入口23−1の開口面積は大きくなるので、下部サブインクタンクからのインク液の流入量は多くなる。逆に、インク液面が上がると、それに追従してフロート60は上がり、インク流出口37−2の開口面積を大きくし、上部サブインクタンクへのインク液の流出量を多くする。これと同時に、インク流入口23−1の開口面積は小さくなるので、下部サブインクタンクからのインク液の流入量は少なくなる。
【0094】
これにより、液体貯留室の体積、すなわち液体貯蔵部27全体の体積を狭く(小さく)することが可能となる。
なお、本発明は、複数種類のインク液を1つの圧力調整手段で同時に送り出す液体ポンプについて説明してきたが、インク液に限らず、様々な液体についても用いることは可能である。また、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタのインク経路の構成図である。
【図2】インクジェットプリンタのインク経路の構成において第1の実施の形態として下部サブインクタンクからインク液を強制的に吸い上げる液体ポンプの外観斜視図である。
【図3】図2に示す液体ポンプの液体貯蔵部の図面手前側の壁を透視して内部の構造を示す図である。
【図4】図3に示す液体ポンプのピストン機構部と気室連絡部材を拡大し一部切り欠いて内部の構造を示す図である。
【図5】図4に示す液体貯留室部分を1個のみ拡大して構成を詳しく示す図である。
【図6】図5に示す流出管の下端部の構成を詳しく示す図である。
【図7】第1の実施の形態の変形例1としての圧力調整手段の他の例を示す図である。
【図8】(a),(b) は第1の実施の形態の変形例2としての液面調整機構の他の例の構成及び動作を示す図である。
【図9】(a),(b) は第1の実施の形態の変形例3としての液面調整機構の更なる他の例の構成及び動作を示す図である。
【図10】第2の実施の形態における液体ポンプの構成を示す斜視図である。
【図11】第2の実施の形態における液体ポンプのセンサ部の構成を拡大して示す図である。
【図12】第3の実施の形態における液体ポンプの構成を示す斜視図である。
【図13】第3実施の形態における液体ポンプの液面調整機構の構成を拡大して示す図である。
【図14】第4の実施の形態における液面調整機構の構成を示す図である。
【図15】第5の実施の形態における液面調整機構の構成を示す図である。
【図16】従来技術のプリンタにおけるインク系を示す概略図である。
【図17】従来技術のポンプの構造を示す図である。
【図18】従来技術のポンプの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1−1 インクタンク(シアン)
1−2 インクタンク(ブラック)
1−3 インクタンク(マゼンタ)
1−4 インクタンク(イエロー)
2−1、2−1−1、2−1−2、2−1−3 インク液(シアン)
2−2 2−2−1、2−2−2、2−2−3 インク液(ブラック)
2−3 2−3−1、2−3−2、2−3−3 インク液(マゼンタ)
2−4 2−4−1、2−4−2、2−4−3 インク液(イエロー)
3 開放弁
4 インク経路管
5 上部サブインクタンク
6 センサ
7 インク分配器
8 チューブ
9 共通気室
10 チューブ
11 インクヘッド
12 インク集積器
13 下部サブインクタンク
14 チューブ
15、15−2、15−3、15−4、15−5 液体ポンプ
16 チューブ
17 インク供給量調節器
18 圧力調整共通気室
19 チューブ
20 開放弁
21 開放弁
22 圧力調整機構
22−1 ベローズ形状部
22−2 錘部
22−3 アーム
23 流入管
23−1 インク流入口
24 チューブ
25 流入弁
27 液体貯蔵部
27−1、27−2、27−3、27−4 液体貯留室
27−1−1、27−2−1、27−3−1、27−4−1 気室
28 気室連絡部材
29 ピストン機構部
30 シリンダ部
31 ピストン部
32 クランク部
33 モータ
36 排出弁
37 流出管
37−1 下端部
37−2 インク流出口
38 液面追従部材
38−1 フロート 38−2 38−2−1 流出口蓋部
38−3 フロートストッパ
38−4 回動アーム
39 液面調整機構
40 ベローズ
41 カム
44 インク液面検出機構
45 電磁弁
46 クランク位置センサ
47、48 気室連通部
49 透明チューブ
50 回動支持軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ポンプ及びこれを備えたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置において、インク供給、インク循環、および廃液を行うために液体ポンプを使用することは一般的であり、この液体ポンプには、さまざまな種類のものが使用されている。
【0003】
近年では、高画質な画像を記録するためにインクジェット記録装置1台あたりに使用されるインクの種類は増える傾向にある。
したがって、使用されるインクを液体ポンプで送液する際に、液体ポンプと同数の、つまりインクの種類と同数の、液体ポンプの動力源を設けることは、装置の大型化に繋がるだけでなくコスト面においても高価となってしまう。
【0004】
そこで、動力源を比較的簡単に一つにできるポンプ(液体ポンプ)が、特許文献1に開示されている。
図16は、特許文献1のプリンタにおけるインク系を示した概略図であり、図17は、特許文献1におけるポンプの構成を示した図である。図16よりインク系は、インクヘッド301と、インクヘッド回復ユニット78と、サブタンク307と、インクポンプ331と、インク袋310aと、廃インク吸収体310bと、図中矢印方向にインクが流れるような圧力関係になったときのみインクを流すことが可能な一方向弁326及び327と、で構成されている。
【0005】
また、ポンプ331は、図17に示すように、1つの駆動源であるモータP13と、インク供給用ポンプ部P16と、廃インク回収ポンプ部P18と、で構成されている。インク供給用ポンプ部P16と廃インク回収ポンプ部P18には、チューブP20をつぶすためのローラP17が取り付けられている。また、インク供給用ポンプ部P16は、モータP13と直結したポンプシャフトP15に正逆両方向に回転可能に固定され、廃インク回収ポンプ部P18は、ワンウェイクラッチP21を内蔵しており、モータP13が逆回転したときのみ回転可能となっている。特許文献1のポンプは、上記のようなチューブポンプ以外にもギアポンプ等で構成してもよい。
【0006】
このようにして、モータP13が正回転したときには、インクをインク袋310aから一方向弁327を経てサブタンク307に供給し、逆回転したときにはインクをサブタンク307から一方向弁326を経てヘッド301へ供給すると同時に、回復系ユニット78内の廃インクを廃インク吸収体310bに回収するという動作が行われる。
【0007】
図16は、プリンタの一色に関してのインク系を説明しているが、使用色が増えた場合は、図18に示すように使用色に対応したポンプ部の連結数を増やしていけば、一つの駆動源で何種類もの色に対応することが可能となる仕組みとなっている。
【特許文献1】特開2002−307724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1のようなポンプは、使用インク色が増えても、駆動源は1個のままで、理論上は無限にポンプ部を増やしていくことができる。
ところが、特許文献1で使用されているポンプ部は、チューブポンプ、およびギアポンプで構成されており、近年のインクジェット記録装置に求められる高寿命、高信頼性という点で、下記のような欠点がある。
【0009】
すなわち、チューブポンプは、インクを内蔵したチューブP20の外部をローラP17によってしごく事によってインクを送液している。この構造において、チューブP20が破れたりしないためには、チューブP20には非常に高い柔軟性と、耐薬品性が要求されてくる。
【0010】
しかし、高寿命という点でそのような高い柔軟性と耐薬品性を満たすものは、なかなか存在しないのが現状であり、仮にあったとしても、非常に高価なものになってしまう等の問題が発生する。
【0011】
また、チューブポンプが破損したときの状態は、上記のようにチューブP20が破れて内蔵のインクが外部に漏れてしまうというものであるため、このようなことが発生しても、インクが装置外部に漏れないような構造が必要となり、コスト的なマイナス面が発生する。
【0012】
また、ギアポンプにおいては、回転して擦れあうギア部から、削り粉等が出てしまうと、削り粉等がインクに混入し、インクヘッドのインク吐出不良の原因となってしまう。したがって、ギアポンプをポンプ部として使用するには、ギア部の材質をかなり吟味し、さらにインクの使用にはフィルタ等を介して行う等のことが必要になってしまう。
【0013】
また、上記のポンプ以外にも、空圧で動作するダイヤフラムポンプ等は、比較的複数個のポンプ部を連結することが容易ではあるが、インクに接液する振動薄膜部の柔軟性、耐薬品性において、上記のチューブポンプと同様の欠点がある。
【0014】
そこで本発明は、上記の課題を解決するために、一つの駆動源で複数の液体を同時に送液することが可能な長寿命の液体ポンプ及びこれを備えたインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の液体ポンプは、少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部と、液体貯蔵部の各々の液体貯留室を連通する連結手段と、連結手段と連通し、液体貯蔵部の液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段と、液体貯蔵部の液体貯留室に前記液体を流入させるための流入弁を有する流入管と、液体貯蔵部の液体貯留室の液体を排出させるための排出弁を有する流出管と、液体貯蔵部の液体貯留室内の液体の液面の高さに応じて、当該液体貯留室内に貯留される液体の量を調整する流路抵抗可変手段と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のインクジェットプリンタは、上記の液体ポンプと、該液体ポンプから供給されたインクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録部を有することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の液体ポンプは、少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部と、液体貯蔵部の少なくとも1つの液体貯留室に当該液体貯留室内の液体の液面高さを検出する液面検出手段と、液体貯蔵部の各々の液体貯留室を連通する連結手段と、液体貯留室内を大気開放するための大気開放手段と、連結手段と連通し、液体貯蔵部の液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段と、圧力調整手段の液体貯留に対する圧力を検出する圧力検出手段と、液体貯蔵部の液体貯留室に液体を流入させるための流入弁を有する流入管と、液体貯蔵部の液体貯留室の液体を排出させるための排出弁を有する流出管と、液体貯蔵部の液体貯留室の液体の液面の高さに応じて当該液体貯留室内に貯留される液体の量を調整する流路抵抗可変手段と、少なくとも液面検出手段と大気開放手段と圧力検出手段とを制御するコントロール手段と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のインクジェットプリンタは、上記の液体ポンプと、該液体ポンプから供給されたインクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一つの駆動源で複数の液体を同時に送液することが可能な長寿命の液体ポンプ及びこれを備えたインクジェットプリンタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタのインク経路の構成図である。このインクジェットプリンタにはシアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色のインク液2−1、2−2、2−3、2−4を夫々収容する複数のインクタンク1−1、1−2、1−3、1−4が設けられている。
【0021】
尚、図1ではシアン(C)インクに対するインク経路のみを示しているが、その他の色のインク経路についても同様である。
図1において、インクタンク1−1〜1−4には、開放弁3を設けたインク経路管4が接続されている。このインク経路管4は、湾曲して下方に配置され、下端口を上部サブインクタンク5内のインク液2−1−1〜2−4−1に浸している。
【0022】
上部サブインクタンク5には、上記インクタンク1−1〜1−4から供給されるインク液2−1〜2−4が一定量に達したことを検知するセンサ6が装着されている。また、上部サブインクタンク5には、一端側を上部サブインクタンク5内のインク液2−1−1〜2−4−1に浸して接続し、他端側をインク分配器7に接続するチューブ8が設けられている。
【0023】
さらに、上部サブインクタンク5には、一端側を上部サブインクタンク5内のインク液2−1−1〜2−4−1に浸すことなく接続し、他端側を共通気室9に接続するチューブ10が設けられている。共通気室9には、この内部を大気に開放することが可能な開放弁21が設置されている。
【0024】
インク分配器7にはインクジェット方式の複数のインクヘッド11(図1には2個のみ示し他は図示を省略している)が接続され、画像記録部を形成している。複数のインクヘッド11は、インクヘッド11の下方に搬送される画像形成媒体の幅方向に、その画像形成媒体の幅以上の範囲で、各色ごとに、図1の紙面奥行き方向に千鳥状に延在して配置されている。
【0025】
このインクヘッド11の下面には、複数のノズルが例えば2列に配列されている。このインクヘッド11は、下方に搬送される画像形成媒体に対して複数のノズルからインク液を吐出し、画像記録を行っている。
【0026】
複数のインクヘッド11内部に入ったインク液の中で、ノズルから吐出されなかったインク液は、再びインクヘッド11外部に出て、インク集積器12に集められる。そして、チューブ14を通り下部サブインクタンク13に導かれる。
【0027】
下部サブインクタンク13には、インク供給量調節器17が配置された一端側を下部サブタンク13内のインク液2−1−2〜2−4−2に浸して接続し、他端側を液体ポンプ15に接続するチューブ16が設けられている。
【0028】
インク供給量調節器17は、液体ポンプ15によって吸い上げられるインク液の量を下部サブインクタンク13のインク液面の高さによって自己調整するものである。
また、下部サブインクタンク13には、一端側を下部サブインクタンク13内のインク液2−1−2〜2−4−2に浸すことなく接続し、他端側を圧力調整共通気室18に接続するチューブ19が設けられている。
【0029】
圧力調整共通気室18には、この内部を大気に開放することが可能な開放弁20が圧力調整共通気室18−1側に設置されている。また、異常時でも、サブインクタンク13内のインク液の進入がそのラビリンス構造でさえぎられる圧力調整共通気室18−2側には、圧力調整機構22が設置されている。
【0030】
この圧力調整機構22は、ベローズ形状部22−1と、錘部22−2と、アーム22−3とで構成されている。アーム22−3によって錘部22−2を上下動させることでベローズ形状部22−1は伸縮する。尚、ベローズ形状部22−1のバネ定数は極めて小さい値で作られている。これにより、ベローズ形状部22−1が伸縮することで圧力調整共通気室18内の圧力を調整している。つまり、圧力調整共通気室18は、チューブ19を介して下部サブインクタンク13と連通しているため下部サブインクタンク13内の圧力を調整している。
【0031】
下部サブインクタンク13内のインク液2−1−2〜2−4−2は、液体ポンプ15によって強制的にチューブ16を介して吸い上げられ、更にチューブ24を介して上部サブインクタンク5に再度供給される。
(第1の実施の形態)
図2は、上記インクジェットプリンタのインク経路の構成において、第1の実施の形態としての、下部サブインクタンク13からインク液を強制的に吸い上げ、上部サブインクタンク5へインク液を供給する液体ポンプ15の外観斜視図である。図3は、図2に示す液体ポンプ15における液体貯蔵部27の図面手前側の壁を透視し、内部構造を示す図である。図4は、図2に示すピストン機構部29と気室連絡部材28を拡大し一部を切り欠いて内部構造を示す図である。図5は、図3の液体貯蔵部27の液体貯留室を1個のみ拡大して構成を詳しく示す図である。図6は、図5の流出管37の下端部の構成を詳しく示す図である。
【0032】
図2及び図3に示すように、液体ポンプ15は、液体貯蔵部27と、液面調整機構39と、流入管23と、流入管23に設けられた流入弁25と、流出管37と、流出管37に設けられた流出弁36と、液体貯蔵部27内部の分割された各液体貯留室に連通する気室連絡部材28と、この気室連絡部材28に連結されたピストン機構部29と、このピストン機構部29を駆動する回転駆動源であるクランク部32及びモータ33を備えている。尚、ピストン機構部29とクランク部32とモータ33とで圧力調整手段を構成している。
【0033】
流入管23は、一端側をチューブ16と接続し、他端側を液体貯蔵部27内のインク液に浸されるように液体貯蔵部27と接続している。流入管23に設けられたインク流入弁25は、チューブ16を介して下部サブインクタンク13から汲み上げられたインク液2−1−2〜2−4−2を図2の矢印26方向にのみ流すことが可能な一方向弁である。流入弁25を通過したインク液は、液体貯蔵部27内へと送られる。
【0034】
また、流出管37は、一端側をチューブ24と接続し、他端側を液体貯蔵部27内のインク液に浸されるように液体貯蔵部27と接続している。なお、流出管37の他端側は、図6に示すように、下端部37−1は閉じられており、側面部にインク液取込口としてインク流出口37−2が形成されている。流出管37に設けられた排出弁36は、液体貯蔵部27内のインク液2−1−3〜2−4−3を図2の矢印35方向にのみ流すことが可能な一方向弁である。排出弁36を通過したインク液は、チューブ24を介して上部サブインクタンク5へと送られる。
【0035】
液体貯蔵部27内は、図3に示すように、インク液の種類毎に部屋が分かれて、それぞれ液体貯留室27−1〜27−4を形成している。液体貯留室27−1〜27−4は、それぞれインク液2−1−3〜2−4−3を貯留し、このインク液面上部に気室27−1−1〜27−4−1を形成している。液体貯留室27−1〜27−4(気室27−1−1〜27−4−1)は、連結手段である気室連絡部材28で繋がっている。また、この気室連絡部材28は、液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内部の圧力を正圧から負圧に、負圧から正圧に交互に変化させることが可能なピストン機構部29に繋がっている。このため、ピストン機構部29から気室連絡部材28を介して液体貯留室27−1〜27−4までは密閉構造となっている。つまり、外気から空気を取り入れることはないので液体ポンプ15内の空気量は変化することがない。
【0036】
ピストン機構部29は、図4に示すように、シリンダ部30とピストン部31とで構成されている。モータ33により、クランク部32を駆動させることでピストン部31を両方向矢印34で示すように往復運動させる。これにより液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内部を、同じ圧力で加圧したり、減圧したりすることができる。すなわち、ピストン部31を両方向矢印34の上方向へ駆動させると気室連絡部材28を介して液体貯留室27−1〜27−4内部の圧力は加圧(正圧)され、ピストン部31を両方向矢印34の下方向へ駆動させると気室連絡部材28を介して液体貯留室27−1〜27−4内部の圧力は減圧(負圧)される。
【0037】
それぞれの液体貯留室27−1〜27−4内部には、流路抵抗可変手段であるインク液面調整機構39が設けられている。インク液面調整機構39は、図5に示すように、流出管37側面部に形成されたインク流出口37−2と液面追従部材38とで構成されている。液面追従部材38は、本実施の形態ではフロート38−1であり、流出管37に摺動可能に嵌合されている。尚、図5は、液体貯留室27−1内を拡大したものであるが、他の液体貯留室27−2〜27−4についても同様な構成である。
【0038】
前述したように、流出管37の他端側は液体貯蔵部27(液体貯留室27−1)内のインク液2−1−3に浸されているが、具体的には少なくともインク流出口37−2がインク液2−1−3に浸されている。インク流出口37−2は、液体貯留室27−1内のインク液2−1−3を取り込み、上部サブインクタンク5へと送り出す。
【0039】
フロート38−1は、液体貯留室27−1内のインク液2−1−3に浮かび、インク液面の高さに追従して移動する。その際、フロート38−1はインク液面の高さに応じて、インク流出口37−2から取り込むインク液2−1−3の量を調整する。つまり、インク液面が下がるとフロート38−1は液面高さに追従して下がり、インク流出口37−2の一部又は全部を覆うことでインクに対するインク流出口37−2の開口面積を小さくし、流出管37内に取り込むインク液の量を少なくする。逆に、インク液面が上がるとフロート38−1はインク液面に追従して上がり、インク液面が下がった時と比べ、インク液に対するインク流出口37−2の開口面積が大きくなり、流出管37内に取り込むインク液の量が多くなる。このようにして液体貯留室27−1内のインク液面の高さ制御を行なっている。
【0040】
図2乃至図4に示すピストン機構部29によって、液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内部が加圧されると、インク液2−1−3〜2−4−3は、インク流出口37−2から流出管37内に取り込まれ、排出弁36及びチューブ24を通って、図1に示す上部サブインクタンク5へと押し出される。
【0041】
また、ピストン機構部29によって、液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内部が減圧されると、図1に示す下部サブタンク13から、インク液2−1−2〜2−4−2が、チューブ16及び流入弁25を通って、液体貯蔵部27内へと取り込まれる。
【0042】
次に、この画像記録装置のインク経路の動作を再び図1を用いて説明する。
図1の上部サブインクタンク5内のインク液2−1−1〜2−4−1は、上部サブインクタンク5内のセンサ6によって液面の高さを監視されている。そして、インク液2−1−1〜2−4−1の液面をセンサ6が検知しないと、開放弁3が開き、インクタンク1−1〜1−4からインク液2−1〜2−4が上部サブインクタンク5に供給される。
【0043】
このインク経路を除いた部分のインク液の動きは、前述した如く、上部サブインクタンク5→インクヘッド11→下部サブインクタンク13→液体ポンプ15→上部サブインクタンク5といったように、循環を繰り返すよう構成されている。
【0044】
一般的に、インクジェットヘッドのノズルは負圧に保たれている。これによって、ノズルには、内部方向に凹む曲面(メニスカス)が形成され、正常な印字動作ができるように構成されている。
【0045】
本インク経路は、インク液を前述した如く循環させながら、ノズルにおける負圧を作るために、以下のような構成をとっている。
インクヘッド11のノズルと、それより上方の上部サブインクタンク5のインク液面までとの間に距離Aを持たせ、開放弁21を開放することによって、上部サブインクタンク5内を大気開放にする。これにより、インクヘッド11には一定の正圧力がかかる。
【0046】
さらに下部サブインクタンク13のインク液面と、インクヘッド11のノズルとの間に距離Bを持たせ、開放弁20をあけた状態で圧力調整機構22の、ベローズ形状部22−1および錘部22−2をアーム22−3で持ち上げ、開放弁20を閉じた後、アーム22−3を下げることで下部サブインクタンク13内の圧力を一定の負圧にする。これにより、インクヘッド11に一定の負圧がかかる。
【0047】
下部サブインクタンク13内の負圧力は、錘22−2の重さを変えることによって可変である。この負圧力と、インクヘッド11と上部サブインクタンク5のインク液面との距離Aによる正圧力とのバランスをとることで、インクヘッド11のノズルにおいて、所定の負圧を発生させることが可能となる。これと共に、インク液が上部サブインクタンク5から、インクヘッド11内部を通過して、下部サブインクタンク13に流れることが可能になる。
【0048】
尚、上記距離Bは、インク液を循環させていないとき、一方の開放弁21を大気に対して閉じ、他方の開放弁20を大気に対して開放した際、インクヘッド11のノズルに正常なメニスカスが形成できるように、その距離が設定されている。
【0049】
液体ポンプ15は、下部サブインクタンク13に流れたインク液を再び上部サブインクタンク5に戻すために設置されている。
尚、液体ポンプ15にインク液を供給するチューブ16の一端側は、下部サブインクタンク13内のインク液に浸されているが、この一端側には前述したインク液面調整機構39と同様な構成をしたインク供給量調整機構17が設けられている。このインク供給量調整機構17により下部サブインクタンク13内のインク液面の高さ制御を行なっている。
【0050】
液体ポンプ15は、前述した図2乃至図6のように構成されており、ピストン機構部29によって液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4が負圧になると、下部サブインクタンク13からインク液を吸い上げ、逆に正圧になると上部サブインクタンクにインク液を送り出すように構成されている。
【0051】
ここで、上記動作を繰り返す際、図2及び図3に示した各液体貯留室27−1〜27−4毎に設けられた一方向弁である流入弁25及び排出弁36が仮に全て同じもので構成されたとしても、抵抗値の微小な違いから、各液体貯留室27−1〜27−4内の圧力を一定の負圧にしたとき吸い上げられるインク量と、各液体貯留室27−1〜27−4内の圧力を一定の正圧にしたときに排出されるインク量には、液体貯留室毎に若干の違いが生じる。
【0052】
このように液体貯蔵部27に対して流入又は排出されるインク量がインク毎に若干の違いが生じる現象が続くと、液体貯蔵部27の各液体貯留室のインク液面は、ある色は高く、ある色は低いといった状態になり、これがさらに続くと、気室連絡部材28を通じて、他の色と混色してしまう事も発生する。
【0053】
このような状態を回避するために、図5に示したような液面調整機構39を液体貯蔵部27の各液体貯留室内に設置する。
これによって、液面が高くなってくると、フロート38−1がこれに追従して上昇し、これに伴ってインク流出口37が広くなり、排出するインク量を多くすることが可能となる。
【0054】
逆に液面が低下すると、フロート38−1がこれに追従して下降し、これに伴ってインク流出口37が狭くなり、排出するインク量を少なくすることが可能となる。
上記液面調整機構39が、液体貯蔵部27の全ての液体貯留室27−1〜27−4に設置されることにより、流入弁25及び排出弁36の特性に関わらず、各液体貯留室内のインク液面の高さを同じ高さにしようとする働きが生じ、その際、前述したように液体ポンプ15内の空気量は変わらないため、液体貯留室27−1〜27−4内のインク液面は全て同じ高さを保ちながら、ポンプとして作動することが可能となる。
【0055】
以上のような構成を持たせることにより、一つの圧力調整手段で複数色のインクを同時に送液することが可能な、長寿命の液体ポンプを提供することが可能となる。
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。以下にいくつかの変形例を示す。
(第1の実施の形態の変形例1)
図7は、第1の実施の形態の変形例1として、図2乃至図4に示した圧力調整手段の他の例を示す図である。本例の圧力調整手段は、図7に示すように、ベローズ40と、カム41と、不図示のモータとで構成されている。不図示のモータによりカム41を駆動させることで、ベローズ40を矢印42の方向に押し上げる。カムの通過後はベローズ40のもつ弾性で矢印43方向に戻る。この動作によって各液体貯留室27−1〜27−4内を同じ圧力で加圧したり、減圧したりすることができる。このように構成してもよい。
(第1の実施の形態の変形例2)
図8(a),(b) は、第1の実施の形態の変形例2としての液面調整機構の他の例の構成及び動作を示す図である。上述した第一の実施の形態では、液面調整機構39は液面追従部材38としてフロート38−1と、インク液取込口として流出管37の側面部に設けられたインク流出口37−2とで構成していた。本変形例では、液面調整機構39は、液面追従部材38をフロート38−1と流出口蓋部38−2とフロートストッパ38−3と回動アーム38−4とで構成し、インク液取込口(インク流出口37−2)を流出管37の下端部37−1に設けた点が前述した第一の実施形態と異なる。
【0056】
フロート38−1は、インク液面の変動によって上下動する。フロート38−1の上下動に連動して回転アーム38−4は、回動支持軸50を支点にしてシーソー状に回動する。流出口蓋部38−2は、回動アーム38−4のフロート38−1との連結部とは反対側の端部に形成されている。
【0057】
図8(a) に示すようにインク液面が高いときは、フロート38−1は、例えば液体貯留室の上部から垂下されたフロートストッパ38−3に当接して浮上を抑止されている。この状態では、流出管37のインク流出口37−2と流出口蓋部38−2との距離が最も遠く、インク液の排出量が多い。
【0058】
そして、インク液面が下がってくると、流出管37のインク流出口37−2と流出口蓋部38−2との距離が短くなり、排出量が減るようになる。図8(b) に示すように、インク液面が大きく下がると、フロート38−1が最低位置まで下がり、これに連動して流出口蓋部38−2が最高位置まで時計回りに回動して、流出管37のインク流出口37−2をほぼ塞ぐにように動作する。尚、流出口蓋部38−2が最高位置まで回動した際、インク流出口37−2を完全に塞がないため、インク流出口37−2には、溝が設けられている。これにより、流出口蓋部38−2がインク流出口37−2を塞いだとしても溝から少量のインク液を上部サブインクタンクへと送り出すことができる。すなわち、インク液面が上がってくると、流出管37のインク流出口37−2と流出口蓋部38−2の距離が遠くなって排出量が多くなり、逆にインク液面が下がってくると、流出管37のインク流出口37−2と排出口蓋部38−2の距離が近くなって排出量が少なくなり、第一の実施の形態の場合と同様の働きを行うこととなる。
(第1の実施の形態の変形例3)
図9(a),(b) は、第1の実施の形態の変形例3としての液面調整機構の更なる他の例の構成及び動作を示す図である。
【0059】
本変形例の液面調整機構は、図9(a),(b) に示すように、第一の実施の形態と同様にインク液取込口として流出管37の側面にインク流出口37−2が形成されている。
そして、変形例2と同様に液面追従部材38として、フロート38−1、フロートストッパ38−3、回動アーム38−4が配設されている。
【0060】
ただし、本変形例では、回動アーム38−4のフロート38−1との連結部とは反対側の端部に、垂直方向に立設する流出口蓋部38−2−1が形成されている。
図9(a) に示すようにインク液面が高いときは、フロート38−1は、例えば液体貯留室の上部から垂下されたフロートストッパ38−3に当接して浮上を抑止されている。この状態では、流出管37のインク流出口37−2は流出口蓋部流出口蓋部38−2−1から全面が開放されており、インク液の排出量が多い。
【0061】
そして、インク液面が下がってくると、流出管37のインク流出口37が徐々に流出口蓋部38−2−1により塞がれて、インク排出量が少なくなる。
更に図9(b) に示すように、インク液面が大きく下がると、フロート38−1が最低位置まで下がり、これに連動して流出口蓋部流出口蓋部38−2−1が最高位置まで上に回動して、流出管37のインク流出口37をほぼ完全に塞ぐにように動作する。
【0062】
すなわち、インク液面が上がってくると、流出管37のインク流出口37を開放する方向へ流出口蓋部流出口蓋部38−2−1が移動してインク排出量が増え、逆にインク液面が下がってくると、流出管37のインク流出口37を塞ぐ方向へ流出口蓋部38−2−1が移動して、インク排出量が減って、第一の実施の形態の場合と同様の働きを行うこととなる。
(第2の実施の形態)
上記の如く構成された液体ポンプを、さらに長期間にわたって使用できるようにするには、液体貯蔵部27の液体貯留室27−1〜27−4内の空気がインク液体に溶け込んで、液体貯留室27−1〜27−4の空気量が少しずつ減っていく場合、又はインクに溶け込んでいた空気が出てきて液体貯留室27−1〜27−4の空気量が少しずつ増えていく場合等のことまで考える必要性が出てくる。
【0063】
通常であれば、このような場合、全ての液体貯留室に液面検知機構を設置し、インクの液面が正常であるか否かを監視しながら、インク液面の高さを制御している。
しかし、本発明においては、常にそれぞれの液体貯留室27−1〜27−4のインク液面の高さは同じであるように構成されているので、液体貯留室27−1〜27−4のうち、いずれか1つのインク液面を監視することにより、全ての液体貯留室のインク液面を監視することが可能となる。
【0064】
この構成について、以下、第2の実施の形態として説明する。
図10は、第2の実施の形態における液体ポンプの構成を示す斜視図である。図10に示すように、本例の液体ポンプ15−2は、液体貯留室内のインク液の液面を検出する液面検出手段であるインク液面検出機構44と、液体貯留室内を大気開放するための大気開放手段である電磁弁45と、圧力調整手段の液体貯留室に対する圧力を検出するクランク位置センサ46を備えている。
【0065】
図11は、第2の実施の形態における液体ポンプのインク液面検出機構44の構成を拡大して示す図である。尚、本実施の形態では、液体貯蔵部27の液体貯留室27−4にインク液面検出機構44が設けられている。
【0066】
図11に示すように、インク液面検出機構44は、液体貯蔵部27内の液体貯留室27−4に連通する気室連通部47及び48と、これら気室連通部47及び48をつなぐ撥水性の良い透明チューブ49を備えている。尚、気室連通部47は、液体貯留室27−4の気室27−4−1と連通しており、気室連通部48は、液体貯留室27−4内のインク液2−4−3と連通している。
【0067】
上記の透明チューブ49には液体貯留室27−4内のインクが出入り自由に入り込んでおり、これにより、液体貯蔵部27内の液体貯留室27−4と同じインク液面高さを、外部から目視することができるように構成されている。
【0068】
そして、透明チューブ49の上下に、透明チューブ49を挟むように、2個の光透過型センサ53及び54が設置されている。
これにより、液体貯留室27−4内のインク液面が高くなったときは、上の光透過型センサ53で高くなったインク液面を検知し、インク液面が低くなったときは、下の光透過型センサ54で低くなったインク液面を検知できるように構成されている。
【0069】
また、図10に示す電磁弁45は、通常は閉じられており、大気と液体貯蔵部27を遮断している。そして、上記光透過型センサ53又は54の検知信号を受けとった際に、不図示のコントローラ部の指示によって、電磁弁45を開閉するよう構成されている。
【0070】
さらに、図10に示すクランク位置センサ46は、クランク部32の位置を検知して、その検知信号を上記のコントローラ部に送信する。コントローラ部は、この検知信号に基づいて、図4に示したシリンダ部30内におけるピストン部31の位置を確認する。
【0071】
これにより、コントローラ部は、液体貯蔵部27の各液体貯留室27−1〜27−4に対して、加圧しているか、減圧しているかを認識することができる。
上記構成において、インク液面検出機構44が液体貯留室27−4内のインク液面が、設定された高さより高いことが認識した場合は、クランク位置センサ46によって液体貯蔵部27内の圧力を減圧していると認識したタイミングで、コントローラ部は、電磁弁45を大気に対して開放させる。この動作によって、外部の空気が気室連絡部材28を介して液体貯蔵部27内に入る。
【0072】
そして、ピストン部31が加圧動作に移る前に電磁弁45を閉めることによって、液体貯蔵部27内部に空気が充填される。これにより、全ての液体貯留室27−1〜27−4のインク液面が下がっていくこととなる。
【0073】
また、逆に、インク液面検出機構44が液体貯留室27−4内のインク液面が、設定された高さより低いことが認識した場合は、クランク位置センサ46によって液体貯蔵部27内の圧力を加圧している認識したタイミングで、コントローラ部は、電磁弁45を大気に対して開放させる。この動作によって、液体貯蔵部27内部の空気が気室連絡部材28を介して外部に排出される。
【0074】
そして、ピストン部31が減圧動作に移る前に電磁弁45を閉めることによって、液体貯蔵部27内部の空気量は減少する。これにより、全ての液体貯留室27−1〜27−4のインク液面が上がっていくこととなる。
【0075】
以上のようにして、本実施の形態では、液体貯留室27−4にインク液面検出機構44を設け、当該液体貯留室27−4のインク液面高さのみを監視するだけで、全ての液体貯留室のインク液面を管理することが可能となる。尚、インク液面検出機構44は、液体貯留室27−4に限らず、液体貯蔵部27内のいずれか一つの液体貯留室に設けても同様な効果を得ることができる。
【0076】
これにより、上述したような長期間使用することによって発生する液体貯蔵部27内部の空気量の変動にも対応できる非常に長寿命な液体ポンプを構成することが可能になる。
なお、上記構成による液面検知方法は、インクを直接、光透過型センサで確認するという構成を取っているが、通常このような検知方法であると、インクの色によって、認識できたり、できなかったりするといった不具合が発生する。
【0077】
特に昨今の、赤外光を使用する光透過型センサでは、マゼンタ(赤色系)のインクは、ほとんど認識できないといった現象が発生する。
しかし、本発明においては、マゼンタインク以外の一番認識しやすい色の液体貯留室にインク液面検出機構を設置すれば、上記の問題は解決されてしまうといった利点もある。
【0078】
また、上記インク液面検出機構は、より安価で効率の良い機構を提案すべく、安価な光透過型センサを用いた液面検知を例として示したが、ごく一般的に使用される電流検知、磁気検知等によるインク液面検出機構でも充分代用は可能である。この場合は、インク液の色に関わらず、液体貯蔵部27内のいずれか一つの液体貯留室にインク液面検出機構を設けることで、全ての液体貯留室のインク液面を管理することができる。
(第3の実施の形態)
ところで、第1の実施の形態、および第2の実施の形態においては、液面調整機構39を、排出弁36を有する流出管37に設置したが、流入弁25を有する流入管23に設置しても上記同様の機能が得られる。
【0079】
これについて、第3の実施の形態として以下に説明する。
図12は、第3の実施の形態における液体ポンプの構成を示す斜視図である。図12に示すように、本例の液体ポンプ15−3は、流入弁25を有する流入管23に液面調整機構39を設置している。尚、その他の構成は、第2の実施の形態の場合と同様である。
【0080】
図13は、上記第3実施の形態における液体ポンプ15−3の液面調整機構39の構成を拡大して示す図である。
図13に示すように、液面調整機構39は、液面追従部材38として液体に浮くことが可能なフロート60と、インク液取入れ口として流入管23に設けられたインク流入口23−1とで構成されている。フロート60は、流入管23に摺動可能に嵌合されている。
【0081】
インク流入口23−1は、インクの液面に連動して上下するフロート60の動きによって、そのインク流入口23−1の開口面積を変化させる。
すなわち、インクの液面が高いときは、フロート60が上昇することにより、インク流入口23−1の開口面積が狭くなり、下部サブインクタンクからのインク流入量が少なくなる。そして、インク液面が低いときは、フロート60が下降することにより、インク流入口23−1の開口面積が広くなり、下部サブインクタンクからのインク流入量が多くなる。
【0082】
また、この構成を取るときは、インクがフロート60の上方から流れてくるため、このインクが、フロート60上で固着しないように、図13に示すように、フロート60の上面にはテーパを形成して、フロート60の上面にインクが溜まらないように構成してある。
【0083】
このような構成を液体貯蔵部27内の全ての液体貯留室27−1〜27−4に設置することにより、インク液面は全ての液体貯留室27−1〜27−4で同じ高さになろうという動作を行う。これにより、液体ポンプ15−3は、長時間にわたってポンプとしての動作を続けることが可能となる。
(第4の実施の形態)
図14は、第4の実施の形態における液面調整機構の構成を示す図である。尚、図14には、形状は異なるが、図1乃至図13に示した構成と同一構成又は同一機能部分には、図1乃至図13に示したと同一の番号を付与して示している。
【0084】
また、本例において、第1〜第3の実施形態までに示した流出管37は、液体貯蔵部27に上方から接続していたが、下方から接続されるように構成されている。つまり、流出管37は、流入管23と同様に液体貯蔵部27の底部と接続されている。
【0085】
図14において、流出管37の上端部には、液体貯留室のインク液に浸された円筒状のガイド部56が形成されている。
このガイド部56の円筒状の周面には、液体貯留室内のインク液がガイド部56の筒内に出入り自由となるように縦方向にスリットが形成されている。これにより、ガイド部56の円筒状の内外のインク液面は常に同一の高さに維持されている。
【0086】
また、ガイド部56の円筒内部に支持されるフロート55は、球状で構成されている。このフロート55は、ガイド部56の円筒内部のインク液面すなわち液体貯留室内のインク液面の高さに連動して上下する。ガイド部56は、フロート55がインク液面の高さに応じて上下動した際、その上下動の軌道上から外さないためのガイドである。尚、その他の構成は、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0087】
この構成において、インク液面の下降によって球状のフロート55が降下すると、流出管37をほぼ塞ぐように構成されている。すなわちインク液面の下降によって球状のフロート55が降下すると、上部サブインクタンク5へ送り出されるインク量が少なくなる。
【0088】
また、インク液面の上昇によって球状のフロート55が上昇すると、流出管37は、フロート55によって塞がれないため上部サブインクタンク5へ送り出されるインク量は増えることとなる。
(第5の実施の形態)
図15は、第5の実施の形態における液面調整機構の構成を示す図である。尚、この図15も、形状は異なるが、図1乃至図13に示した構成と同一構成又は同一機能部分には、図1乃至図13に示したと同一の番号を付与して示している。
【0089】
また、本例においても、第1〜第3の実施形態までに示した流出管37は、液体貯蔵部27に上方から接続していたが、下方から接続されるように構成されている。つまり、流出管37は、流入管23と同様に液体貯蔵部27の底部と接続されている。
【0090】
図15に示すように、流入管23及び流出管37の上端は、一体成形され図縦分割筒体57を形成している。この縦分割筒体57部分には、図12及び図13に示したとものと同様のフロート60が摺動可能に嵌合されている。
【0091】
縦分割筒体57は、縦方向に分割された2つの部屋に分かれている。2つの部屋のうち一方は、液体貯留室27−1内にインクを導く流入管23に対応する部屋である。
また、2つの部屋のうちの他方は、液体貯留室27−1からインク液を送り出す流出管37に対応する部屋である。
【0092】
流出管37に対応する部屋には、インク液を液体貯留室からチューブ24に流出させるインク流出口37−2が形成されており、流入管23に対応する部屋には、インク液をチューブ16から液体貯留室へ流入させるためのインク流入口23−1が形成されている。
【0093】
つまり、本例の液面調整機構は、第一の実施の形態の液面調整機構の機能と、第3の実施の形態における液面調整機構の機能とを合わせ持った構成となっている。
縦分割筒体57の2つの部屋にそれぞれ形成されたインク流出口37−2及びインク流入口23−1を、フロート60がインク液面の高さに応じて開口面積を広くしたり狭くしたりすることにより、第1及び第3の実施の形態で説明したと同様の機能を同時に得られる。つまり、インク液面が下がると、それに追従してフロート60が下がり、インク流出口37−2の開口面積を小さくし、上部サブインクタンクへのインク液の流出量を少なくする。これと同時に、インク流入口23−1の開口面積は大きくなるので、下部サブインクタンクからのインク液の流入量は多くなる。逆に、インク液面が上がると、それに追従してフロート60は上がり、インク流出口37−2の開口面積を大きくし、上部サブインクタンクへのインク液の流出量を多くする。これと同時に、インク流入口23−1の開口面積は小さくなるので、下部サブインクタンクからのインク液の流入量は少なくなる。
【0094】
これにより、液体貯留室の体積、すなわち液体貯蔵部27全体の体積を狭く(小さく)することが可能となる。
なお、本発明は、複数種類のインク液を1つの圧力調整手段で同時に送り出す液体ポンプについて説明してきたが、インク液に限らず、様々な液体についても用いることは可能である。また、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタのインク経路の構成図である。
【図2】インクジェットプリンタのインク経路の構成において第1の実施の形態として下部サブインクタンクからインク液を強制的に吸い上げる液体ポンプの外観斜視図である。
【図3】図2に示す液体ポンプの液体貯蔵部の図面手前側の壁を透視して内部の構造を示す図である。
【図4】図3に示す液体ポンプのピストン機構部と気室連絡部材を拡大し一部切り欠いて内部の構造を示す図である。
【図5】図4に示す液体貯留室部分を1個のみ拡大して構成を詳しく示す図である。
【図6】図5に示す流出管の下端部の構成を詳しく示す図である。
【図7】第1の実施の形態の変形例1としての圧力調整手段の他の例を示す図である。
【図8】(a),(b) は第1の実施の形態の変形例2としての液面調整機構の他の例の構成及び動作を示す図である。
【図9】(a),(b) は第1の実施の形態の変形例3としての液面調整機構の更なる他の例の構成及び動作を示す図である。
【図10】第2の実施の形態における液体ポンプの構成を示す斜視図である。
【図11】第2の実施の形態における液体ポンプのセンサ部の構成を拡大して示す図である。
【図12】第3の実施の形態における液体ポンプの構成を示す斜視図である。
【図13】第3実施の形態における液体ポンプの液面調整機構の構成を拡大して示す図である。
【図14】第4の実施の形態における液面調整機構の構成を示す図である。
【図15】第5の実施の形態における液面調整機構の構成を示す図である。
【図16】従来技術のプリンタにおけるインク系を示す概略図である。
【図17】従来技術のポンプの構造を示す図である。
【図18】従来技術のポンプの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1−1 インクタンク(シアン)
1−2 インクタンク(ブラック)
1−3 インクタンク(マゼンタ)
1−4 インクタンク(イエロー)
2−1、2−1−1、2−1−2、2−1−3 インク液(シアン)
2−2 2−2−1、2−2−2、2−2−3 インク液(ブラック)
2−3 2−3−1、2−3−2、2−3−3 インク液(マゼンタ)
2−4 2−4−1、2−4−2、2−4−3 インク液(イエロー)
3 開放弁
4 インク経路管
5 上部サブインクタンク
6 センサ
7 インク分配器
8 チューブ
9 共通気室
10 チューブ
11 インクヘッド
12 インク集積器
13 下部サブインクタンク
14 チューブ
15、15−2、15−3、15−4、15−5 液体ポンプ
16 チューブ
17 インク供給量調節器
18 圧力調整共通気室
19 チューブ
20 開放弁
21 開放弁
22 圧力調整機構
22−1 ベローズ形状部
22−2 錘部
22−3 アーム
23 流入管
23−1 インク流入口
24 チューブ
25 流入弁
27 液体貯蔵部
27−1、27−2、27−3、27−4 液体貯留室
27−1−1、27−2−1、27−3−1、27−4−1 気室
28 気室連絡部材
29 ピストン機構部
30 シリンダ部
31 ピストン部
32 クランク部
33 モータ
36 排出弁
37 流出管
37−1 下端部
37−2 インク流出口
38 液面追従部材
38−1 フロート 38−2 38−2−1 流出口蓋部
38−3 フロートストッパ
38−4 回動アーム
39 液面調整機構
40 ベローズ
41 カム
44 インク液面検出機構
45 電磁弁
46 クランク位置センサ
47、48 気室連通部
49 透明チューブ
50 回動支持軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部と、
前記液体貯蔵部の各々の前記液体貯留室を連通する連結手段と、
前記連結手段と連通し、前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室に前記液体を流入させるための流入弁を有する流入管と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の前記液体を排出させるための排出弁を有する流出管と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室内の前記液体の液面の高さに応じて当該液体貯留室内に貯留される前記液体の量を調整する流路抵抗可変手段と、
を備えていることを特徴とする液体ポンプ。
【請求項2】
前記流入弁は、前記圧力調整手段により前記液体貯留室の内部圧力が負圧になったとき該液体貯留室に前記液体を流入する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項3】
前記排出弁は、前記圧力調整手段により前記液体貯留室の内部圧力が正圧になったとき該液体貯留室から前記液体を排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項4】
前記液体は、インクであることを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項5】
前記圧力調整手段は、一つの回転駆動源により駆動される一つのピストン機構である、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項6】
前記圧力調整手段は、一つのカム機構により駆動される一つのベローズ機構である、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項7】
前記流路抵抗可変手段は、前記流出管に液面追従部材と液体流出口とを有し、前記液体貯留室内の液体が増加した際、前記液面追従部材が前記液体流出口の開口を大にし、前記液体貯留室内の液体が減少した際、前記液面追従部材が前記液体流出口の開口を小にして前記排出弁へ流れる前記液体の流量を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項8】
前記流路抵抗可変手段は、前記流入管に液面追従部材と液体流入口とを有し、前記液体貯留室内の液体が増加した際、前記液面追従部材が前記液体流入口の開口を小にし、前記液体貯留室内の液体が減少した際、前記液面追従部材が前記液体流出口の開口を大にして、前記流入弁から流れる前記液体の流量を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項9】
前記液面追従部材は、前記流出管、若しくは前記流入管にガイドされるフロートを有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の液体ポンプ。
【請求項10】
前記液面追従部材は、フロートと、フロートストッパと、流出口蓋部と、回転アームとを有し、前記液体貯留室の液体が増加した際、前記フロートが前記フロートストッパと当接することで前記流出口蓋部は前記液体流出口を開口し、前記液体貯留室の液体が減少した際、前記フロートが前記液体貯留室内の液体の液面高さに追従して移動することで前記回転アームが回動し、前記流出口蓋部は前記液体流出口を閉塞する、ことを特徴とする請求項7に記載の液体ポンプ。
【請求項11】
前記液体貯蔵部の少なくとも1つの液体貯留室に当該液体貯留室内の液体の液面高さを検出する液面検出手段を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項12】
少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部と、
前記液体貯蔵部の少なくとも1つの液体貯留室に当該液体貯留室内の液体の液面高さを検出する液面検出手段と、
前記液体貯蔵部の各々の前記液体貯留室を連通する連結手段と、
前記液体貯留室内を大気開放するための大気開放手段と、
前記連結手段と連通し、前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段と、
前記圧力調整手段の前記液体貯留に対する圧力を検出する圧力検出手段と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室に前記液体を流入させるための流入弁を有する流入管と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の前記液体を排出させるための排出弁を有する流出管と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の前記液体の液面の高さに応じて当該液体貯留室内に貯留される前記液体の量を調整する流路抵抗可変手段と、
少なくとも前記液面検出手段と前記大気開放手段と前記圧力検出手段とを制御するコントロール手段と、
を備えていることを特徴とする液体ポンプ。
【請求項13】
前記コントロール部は、前記液面検出手段が前記液体貯留室内の液面が所定以上に上がったことを検知した際、前記圧力検出手段により前記圧力調整手段が前記液体貯留室を負圧にしたタイミングで前記大気開放手段を開放させ、前記圧力調整手段が前記液体貯留室を正圧にしたタイミングで前記大気開放手段を閉じる、ことを特徴とする請求項12に記載の液体ポンプ。
【請求項14】
前記コントロール部は、前記液面検出手段が前記液体貯留室内の液面が所定以下まで下がったことを検知した際、前記圧力検出手段により前記圧力調整手段が前記液体貯留室を正圧にしたタイミングで前記大気開放手段を開放させ、前記圧力調整手段が前記液体貯留室を負圧にしたタイミングで前記大気開放手段を閉じる、ことを特徴とする請求項12に記載の液体ポンプ。
【請求項15】
前記液面検出手段は、透明な部材と赤外光を使用した透過センサとを使用して、直接液面高さを検知する、ことを特徴とした請求項12に記載の液体ポンプ。
【請求項16】
前記液面検出手段は、赤色系以外の液体を貯留する液体貯留室に設置される、ことを特徴とする請求項15に記載の液体ポンプ。
【請求項17】
請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の液体ポンプと、該液体ポンプから供給されたインクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録部を有するインクジェットプリンタ。
【請求項18】
請求項11乃至16の何れか1項に記載の液体ポンプと、該液体ポンプから供給されたインクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録部を有するインクジェットプリンタ。
【請求項1】
少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部と、
前記液体貯蔵部の各々の前記液体貯留室を連通する連結手段と、
前記連結手段と連通し、前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室に前記液体を流入させるための流入弁を有する流入管と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の前記液体を排出させるための排出弁を有する流出管と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室内の前記液体の液面の高さに応じて当該液体貯留室内に貯留される前記液体の量を調整する流路抵抗可変手段と、
を備えていることを特徴とする液体ポンプ。
【請求項2】
前記流入弁は、前記圧力調整手段により前記液体貯留室の内部圧力が負圧になったとき該液体貯留室に前記液体を流入する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項3】
前記排出弁は、前記圧力調整手段により前記液体貯留室の内部圧力が正圧になったとき該液体貯留室から前記液体を排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項4】
前記液体は、インクであることを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項5】
前記圧力調整手段は、一つの回転駆動源により駆動される一つのピストン機構である、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項6】
前記圧力調整手段は、一つのカム機構により駆動される一つのベローズ機構である、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項7】
前記流路抵抗可変手段は、前記流出管に液面追従部材と液体流出口とを有し、前記液体貯留室内の液体が増加した際、前記液面追従部材が前記液体流出口の開口を大にし、前記液体貯留室内の液体が減少した際、前記液面追従部材が前記液体流出口の開口を小にして前記排出弁へ流れる前記液体の流量を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項8】
前記流路抵抗可変手段は、前記流入管に液面追従部材と液体流入口とを有し、前記液体貯留室内の液体が増加した際、前記液面追従部材が前記液体流入口の開口を小にし、前記液体貯留室内の液体が減少した際、前記液面追従部材が前記液体流出口の開口を大にして、前記流入弁から流れる前記液体の流量を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項9】
前記液面追従部材は、前記流出管、若しくは前記流入管にガイドされるフロートを有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の液体ポンプ。
【請求項10】
前記液面追従部材は、フロートと、フロートストッパと、流出口蓋部と、回転アームとを有し、前記液体貯留室の液体が増加した際、前記フロートが前記フロートストッパと当接することで前記流出口蓋部は前記液体流出口を開口し、前記液体貯留室の液体が減少した際、前記フロートが前記液体貯留室内の液体の液面高さに追従して移動することで前記回転アームが回動し、前記流出口蓋部は前記液体流出口を閉塞する、ことを特徴とする請求項7に記載の液体ポンプ。
【請求項11】
前記液体貯蔵部の少なくとも1つの液体貯留室に当該液体貯留室内の液体の液面高さを検出する液面検出手段を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項12】
少なくとも2種類以上の液体を貯留する2つ以上の液体貯留室を有する液体貯蔵部と、
前記液体貯蔵部の少なくとも1つの液体貯留室に当該液体貯留室内の液体の液面高さを検出する液面検出手段と、
前記液体貯蔵部の各々の前記液体貯留室を連通する連結手段と、
前記液体貯留室内を大気開放するための大気開放手段と、
前記連結手段と連通し、前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の内部圧力を負圧又は正圧に交互に切り替える圧力調整手段と、
前記圧力調整手段の前記液体貯留に対する圧力を検出する圧力検出手段と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室に前記液体を流入させるための流入弁を有する流入管と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の前記液体を排出させるための排出弁を有する流出管と、
前記液体貯蔵部の前記液体貯留室の前記液体の液面の高さに応じて当該液体貯留室内に貯留される前記液体の量を調整する流路抵抗可変手段と、
少なくとも前記液面検出手段と前記大気開放手段と前記圧力検出手段とを制御するコントロール手段と、
を備えていることを特徴とする液体ポンプ。
【請求項13】
前記コントロール部は、前記液面検出手段が前記液体貯留室内の液面が所定以上に上がったことを検知した際、前記圧力検出手段により前記圧力調整手段が前記液体貯留室を負圧にしたタイミングで前記大気開放手段を開放させ、前記圧力調整手段が前記液体貯留室を正圧にしたタイミングで前記大気開放手段を閉じる、ことを特徴とする請求項12に記載の液体ポンプ。
【請求項14】
前記コントロール部は、前記液面検出手段が前記液体貯留室内の液面が所定以下まで下がったことを検知した際、前記圧力検出手段により前記圧力調整手段が前記液体貯留室を正圧にしたタイミングで前記大気開放手段を開放させ、前記圧力調整手段が前記液体貯留室を負圧にしたタイミングで前記大気開放手段を閉じる、ことを特徴とする請求項12に記載の液体ポンプ。
【請求項15】
前記液面検出手段は、透明な部材と赤外光を使用した透過センサとを使用して、直接液面高さを検知する、ことを特徴とした請求項12に記載の液体ポンプ。
【請求項16】
前記液面検出手段は、赤色系以外の液体を貯留する液体貯留室に設置される、ことを特徴とする請求項15に記載の液体ポンプ。
【請求項17】
請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の液体ポンプと、該液体ポンプから供給されたインクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録部を有するインクジェットプリンタ。
【請求項18】
請求項11乃至16の何れか1項に記載の液体ポンプと、該液体ポンプから供給されたインクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録部を有するインクジェットプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図10】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図10】
【図13】
【公開番号】特開2008−155603(P2008−155603A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350370(P2006−350370)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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