説明

液体モールドされたファイバベースの複合物の補強のための高多孔性中間層

【課題】液体モールドに適した耐衝撃性複合材料のプレフォーム材料を製造する材料及び方法の提供。
【解決手段】不織、スパンレース、またはメッシュ生地を有する中間層は複合材料を製造するための液体モールドプロセスで使用するためのプレフォームを生成するために一方向に並んだ補強ファイバのケン縮のない層間に導入される。中間層材料は注入後、マトリックス樹脂とは別の相として維持され、プレフォームの硬化後、衝撃による局部化された割れが伝播するのに必要なエネルギ量を増加することによって耐衝撃性が増加される。補強ファイバに溶融結合される中間層材料を有する構造は他の製造及びプレフォーム方法と比較して改良されたファイバ整列を通して改良された機械的性能を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一方向に並んだファイバの層から作られた硬化された複合物に関し、特に本発明は改良された強度を有する硬化された物体を得るために多層プレフォームを伴って高い多孔性の軽量材料を使用する。
【背景技術】
【0002】
一方向に並んだ補強ファイバの交番層から作られた高性能の複合材料は高強度と軽量の有効な組合せを有する。このようにしてこれらはそのような特性が臨界的である航空宇宙産業及び他の産業でその用途を見出している。通常、複合材料は多数の交番層を積層することにより処理され、隣接層は異なる角度の一方向に並んだファイバを有する。このような単一方向のファイバの幾つかの層を集積する実質的な効果は疑似等方性または1以上の特定の方向で非常に大きな強度を有する複合材料を提供することである。
【0003】
このような複合材料はプレプレグまたはプレフォームとして生成されることができる。プレプレグでは、樹脂で浸漬または含浸された一方向に並んだファイバの層は複合材料から生成される部品の形状に積層される。その後、積層された部品は樹脂を硬化し完成した複合部品を得るために加熱される。プレフォーム方法では、一方向に並んだ強化ファイバまたは編み込まれた、組み込まれた、または縦編のファイバの層がこれらがプレプレグで積層される方法に類似して積層される。しかしながら、プレフォーム方法では、層は乾燥して積層される。その後、積層材料は液体モールドプロセスで樹脂を浸され、モールドされた部品はプレプレグの場合のように樹脂を硬化するために加熱される。
【0004】
補強ファイバの交番層または薄層は特に特定のファイバ方向で整列する方向で、より大きな強度でプレプレグ又はプレフォームプロセスから製造される複合物体を提供する。したがって、例えば航空機の翼または胴体のような非常に高強度の軽量部品が生成されることができる。強度、剛性、または耐衝撃性を与える補強ファイバの交番薄層は主として硬化される樹脂の特性により決定される。耐衝撃性または剛性にされた樹脂はこれらが衝撃からの損傷に対して抵抗力があるので好ましい。このような複合材料が単一の部片として作られるので、例えば(例えばツールの落下、フォークリフト又は他のビークルからの)地上メンテナンス時の衝撃から生じる損傷はその部片全体の置換を必要とする可能性がある。さらに複合材料の衝撃による損傷は通常は裸眼では可視ではないので、このような主要な耐力構造が衝撃後および非破壊的な技術を使用しての検出前にそれらの全体の設計負荷を支持することができることが重要である。
【0005】
プレプレグでは、樹脂、典型的にはエポキシベースの配合が熱可塑性材料の粒子を通常の樹脂に付加することにより強化されることができる。これらの熱可塑性粒子はマトリックス樹脂中で可溶であり、エポキシ樹脂中で溶解することができるか、可溶性ではなくプレプレグ動作期間中(例えば米国特許第5,028,478号明細書を参照)に各層の表面に置かれることができる。硬化時に、硬化されるエポキシマトリックス中の熱可塑性樹脂は部品を通してひびが伝わることを制限する役目を行う。プレフォーム材料は樹脂の注入前にステッチされ、剛性とひびに対する抵抗を与えるように硬化する。ステッチの1つの欠点は特にステッチ密度が増加するときの平面上の機械的特性が減少することである。硬化前に熱可塑性材料の粒子を樹脂へ適用するプレプレグ方法はプレフォーム物体の処理に使用される液体モールドプロセスに直接適用することができない。液体モールドプロセスの樹脂の注入では、可溶性の熱可塑性物質はマトリックス樹脂の溶融流動粘度を許容できない程度に増加させる傾向があり、一方不溶性の熱可塑性強化粒子はプレフォームにより濾過される傾向があり、したがってプレフォームのプライ間に均等に位置させることができない。
【0006】
幾つかの従来開発された積層プロダクトは液体モールドプロセス期間中に液体樹脂の流動を阻止しないように補強ファイバの層間に十分な浸透性の熱可塑性層を使用している。このようなプロセスに固有の1つの欠点は、補強ファイバと熱可塑性樹脂層の交番層から作られるプレフォームが樹脂注入期間中に、安定性が完全ではない可能性があることである。結果として、補強ファイバおよび熱可塑性樹脂層は液体モールドプロセス期間中に移動またはシフトする傾向がある。このような移動又はシフトは樹脂注入前に層を共にステッチすることにより緩和されることができる。前述のプロセスに関する別の欠点はこれが主に手作業による積層動作には効率的であるが、大型の航空機の部品の製造または広幅物の連続的な製造に望まれるような自動積層動作には効率的ではないことである。
【0007】
補強ファイバが相互に相対的な配向方向で固く保持されるプレフォームプロセスにより作られるモールド物体を提供することが望まれている。さらに、これらから航空機の翼等の大型の部品を製造するのに実現可能な幅および長さでこのようなプレフォーム物体を作成するプロセスを提供することが望まれている。
【発明の開示】
【発明の要約】
【0008】
1実施形態では、本発明は一方向に並んだファイバの補強層から作られる多軸のプレフォームを提供する。熱可塑性ファイバの不織、スパンレース、またはメッシュ生地から作られる不織の中間層が間に配置され、補強層に融着結合されるかステッチされる。多軸のプレフォームは液体モールドプロセスで使用され、それによって樹脂がプレフォームに注入され、その後、樹脂をゲル化し硬化するように加熱される。中間層は液体モールド動作期間中に樹脂の流動を許容するように浸透可能である。特定の実施形態では中間層材料は好ましくは両側で一方向に並んだ層の少なくとも1つに溶融結合される。層はさらにニット糸と共に保持される。溶融結合された中間層はファイバで補強された複合材料を生成するための樹脂の注入及びその後の樹脂を硬化する期間中、一方向に並んだファイバをその位置に保持する。1実施形態では、一方向に並んだファイバは炭素ファイバから作られる。中間層を構成する材料は硬化時に樹脂との適合性について選択される。1実施形態では、樹脂はエポキシ樹脂であり、中間層ファイバはポリアミドから作られる。
【0009】
本発明はまた補強層間に配置された不織中間層を有する一方向に並んだファイバの補強層から作られた多軸ファイバの製造方法を提供する。その方法は乾燥した一方向に並んだテープを生成するために熱可塑性ファイバから作られた中間層材料を一方向に並んだ乾燥したファイバの片側又は両側に融着結合する動作を含んでいる。その後プレフォームが一方向に並んだファイバの少なくとも1つの他の層または薄層を有するテープを多軸ファイバの縦糸方向から約−90度と+90度の間の角度に置くことにより一方向に並んだテープから形成されることができる。
【0010】
1実施形態では、交番する一方向に並んだファイバは複数の乾燥した一方向に並んだテープからプレフォームを形成することにより与えられる。プレフォームの層は好ましくは共にステッチされる。ファイバ補強された複合材料はこのようなプレフォームをモールドし、液体モールドプロセスで熱硬化性樹脂をそのプレフォームにモールド注入することにより処理される。
【0011】
多軸ファイバ中の一方向に並んだファイバの薄層は疑似等方性または直交異方性パターンで配置されることができる。そのパターンは完成した部品の所望の厚さを実現するために必要とされるように反復されることができる。反復されたパターンは一定であってもよく、またはプレフォームを横切って変化されることができる。反復されたパターンがプレフォームを横切って変化される場合、局部的に異なる厚さは多層を共にステッチし、タフトし、溶融結合するように加熱することによって位置を機械的に保持されることができる。その代わりに、業界で知られているような局部化された「接着付与剤」がプレフォーム部片の位置を機械的に保持するために使用されることができる。
【0012】
大型のプレフォーム材料を製造する通常の方法は補強層間に配置されて少なくともそれらの1つに溶融結合される不織中間層を有して一方向に並んだファイバの補強層を含んでいる多軸ファイバを生成するように変更されることができる。1方法では、複数のトウが最初に一方向に並んだファイバの補強層を生成するために1組のピンを横切って引っ張られる。中間層材料は補強層間に位置するように導入され、一方向に並んだファイバの層は多層積層体を形成するために共に編まれる。中間層材料は全ての層を相互に溶融結合させずに加熱によって個々の補強層に取り付けられることができる。
【0013】
ファイバ補強された複合材料はプレフォームをモールドし、複数の液体モールドプロセスで熱硬化性樹脂をプレフォームに注入することにより生成されることができる。本発明で使用されることのできる液体モールドプロセスは、真空発生圧力差を使用して樹脂がプレフォームに注入される真空補助樹脂トランスファーモールド(VARTM)を含んでいるが、それに限定されるものではない。別の方法は樹脂が圧力下で閉モールドのプレフォームに注入される樹脂トランスファーモールド(RTM)である。第3の方法は半固体樹脂がプレフォームの下又は上部に置かれ、適切な型押しが部品上に置かれ、樹脂を溶融しプレフォームへ注入するために部品がバッグおよびオートクレーブ成形処理される樹脂膜注入(RFI)である。RFI方法は米国特許第4,311,661号明細書に記載され、その開示は参考文献としてこの明細書に含まれている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は詳細な説明および添付図面からより十分に理解されるであろう。
種々の実施形態の以下の説明は本質的に単なる例示であり、本発明の開示、その応用又は使用に限定されることを意図してはいない。
本発明の第1の特徴では、補強用の一方向に並んだファイバ及び不織中間層の交番層から作られる多軸ファイバが準備される。不織中間層は熱可塑性ファイバの不織、スパンレース、またはメッシュ生地で構成されている。中間層は間に配置され、強化層に編込み−ステッチされている。1実施形態では、熱可塑性中間層は少なくとも1つの補強用の一方向に並んだファイバ層へ融着で結合されている。このような多軸ファイバは12インチ−300インチ(38.48cm−762cm)幅のプレフォームを生成するために多くのプロセスにより製造することができる。
【0015】
別の特徴では、ファイバで補強された複合材料は前述したような多軸プレフォームをモールドし、液体モールドプロセスでプレフォームに熱硬化性樹脂を注入することにより生成される。プレフォームの注入後、コンポーネントはモールド中で樹脂をゲル化し硬化するために加熱される。
【0016】
1つの好ましい実施形態では、一方向に並んだファイバはカーボンファイバから作られる。一方向に並んだファイバの他の例はガラスファイバ及び鉱物ファイバを含んでいるがそれに限定されない。一方向に並んだファイバのこのような層は通常積層プロセスにより処理され、ここで一方向に並んだカーボンファイバは所望の幅に広げられ、その後前述したように熱及び圧力下で熱可塑性中間層に溶融結合されるファイバの多数のスプールを含んでいるクリールから巻き取られる。
【0017】
中間層は熱可塑性ファイバの不織、スパンレース、またはメッシュ生地から作られる。熱可塑性ファイバはファイバ補強される複合材料を形成するために使用される熱硬化性樹脂と適合可能な任意のタイプのファイバから選択されることができる。例えば中間層の熱可塑性ファイバはポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレン、硫化物、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサーケトン、ポリアリールアミド、ポリケトン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンテレフタラートからなるグループから選択されることができる。
【0018】
1実施形態では、熱可塑性ファイバは2以上の材料から作られる、例えば2以上の材料は異なるファイバを機械的に混合することにより処理されることができ、これらは不織、スパンレース、またはメッシュ生地の生成に使用される。2以上の材料は中間層ファイバを生成するために2成分ファイバ、3成分ファイバまたはより高次の成分のファイバを形成するために使用されることができる。2成分ファイバの限定ではない例が図1に概略的に示されている。図1の(a)は例えばファイバ材料Aとファイバ材料Bの共有押出しにより製造されるファイバを断面で示している。このようなファイバは2つの出口を有するスピナレットにより生成されることができる。図1の(b)は4つのスピナレットによる押出しにより生成されるような材料AとBから作られる2成分ファイバを示している。同様に図1の(c)は8つのスピナレットから紡がれる2成分ファイバを示している。好ましい実施形態では2成分ファイバは図1の(d)に示されているようなコアシースファイバの形態で使用される。コアシースファイバでは、図1の(d)でBとして示されているように1つのタイプのファイバ材料がコアとして押出され、図1の(d)でAとして示されているように別のタイプのファイバ材料がシースとして押出される。
【0019】
図1に示されているような2成分ファイバおよび3以上の成分を含んでいる他のファイバは多数の通常の手順により生成されることができる。さらに図1のファイバは円形の断面で概略的に示されているが、他の断面形状が使用されることができることが認識されよう。
【0020】
中間層材料は1つの材料のシースと別の材料のコアを含んでいる2成分ファイバから作られることができる。特定の実施形態では、シースはポリウレタンから作られ、コアはポリアミドから作られることができる。
【0021】
中間層を形成するファイバは約1乃至100ミクロン、より好ましくは10乃至75ミクロン、さらに好ましくは10乃至30ミクロンの直径を有することができる。熱可塑性ファイバは約乃至15ミクロンの直径を有することができる。
【0022】
中間層材料は広範囲の面密度を有することができる。面密度は例えばボーイング検査方法BSS 7260にしたがった衝撃後の圧縮検査により証明されたように所望の耐衝撃性を与えるために必要な量にしたがって選択されることができる。所望の耐衝撃性レベルは特定の衝突エネルギレベルを仮定すると部品単位に基づいて決定される。1実施形態では、中間層材料は1−50グラム/平方メートルの面密度を有する。別の実施形態では、中間層の面密度は約2−15グラム/平方メートルである。
【0023】
中間層材料は不織ファイバであってもよい。不織ファイバは連続的に紡がれ熱的に結合される連続的なファイバから生成される。これらのファイバは広範囲の供給源、主として衣類産業で市販されている。好ましいファイバは通常衣類で使用されるファイバよりも低い面重量を有する。
【0024】
別の実施形態では、中間層はスパンレースファイバである。スパンレースファイバは連続的に紡がれ機械的に結合された連続ファイバから処理される。これらのファイバは広範囲の供給源、主として衣類産業により市販されている。不織ファイバに関して、好ましいスパンレースされたファイバは通常衣類で普通に使用されるファイバよりも低い面重量を有する。
【0025】
別の実施形態では、中間層はメッシュ生地で構成されている。メッシュ構造は縦糸及び横糸方向で単位インチ当り0.5乃至15の糸を含んでいる。
【0026】
多軸プレフォームは補強層間に配置され少なくとも1つの補強層に溶融結合される中間層を有する複数の補強層を有している。一方向に並んだファイバの4以上の補強層を有する多軸プレフォームを使用することが好ましい。別の実施形態では、プレフォームは一方向に並んだファイバから2乃至16の層を有する。
【0027】
薄層は疑似等方性パターンで置かれることができる。疑似等方性パターンはファイバの平面の等方性材料を近似するものである。例えば疑似等方性の0/+45/90/−45パターンに薄層を重ねて置くことが可能である。例示として、別の疑似等方性パターンは+45/0/−45/90および−45/0/+45/90を含むことができる。別の疑似等方性パターンは0/+60/−60である。
【0028】
別の実施形態では、薄層は直交異方性のパターンで重ねられることができる。直交異方性では実質的な結果が丁度説明したような疑似等方性パターンのように平面上で疑似等方性ではないようなファイバまたはユニットを有している。直交異方性パターンの1例は44%が0゜、22%が+45゜、22%が−45゜、12%が90゜のファイバを有するパターンである。この例では、疑似等方性(25/50/25)の積層よりも大きい(0゜方向に沿った)縦方向の強度と低い(±45方向の)せん断強度と(90゜方向の)横断的強度が実現される。結果的な集積薄層は疑似等方性積層と比較して0゜方向で高い強度と厚さを提供するが、(±45゜層により提供される)低いせん断強度と厚さを提供する。対応してこの例では、90゜方向の強度は準方性の積層よりも低い。用語「直交異方性」はこの分野ではよく理解されている。例えば0゜ファイバは平面(即ち疑似等方性)特性で平衡された平均値を生じない任意の他のパターンと同様に直交異方性である。
【0029】
前述したように、4つのセットで積層を準備することが普通である。所望する場合には、4つの積層のパターンは所望の厚さを得るために反復されることができる。所望される厚さを集積することが望ましいとき、鏡像の薄層積層体が上昇された温度で樹脂を硬化した後に発生する熱的応力による硬化後の屈曲およびねじれを阻止するために使用される。このような場合、全体的な積層は平衡された積層のグループから構成され、または代わりに積層を平衡させるように重ねられる。この実施方法はこの分野では普通の方法であり、平坦な部品の製造を確実にし、未知および/または温度に敏感な構造を有する部品を含んだ潜在的な不整合を防止するために行われる。
【0030】
熱可塑性ファイバから作られる中間層は一方向に並んだファイバ層に溶融結合されることができ、その一方向に並んだファイル層間にそれらが配置される。このような溶融結合は(その後の)液体モールドプロセス期間である樹脂をモールドに注入する期間中、一方向に並んだファイバの配向方向の位置を維持するように作用する。さらに多軸プレフォームが樹脂の注入及び硬化期間中にファイバ層を一体に保持するため糸で編まれ縫われることができる。別の実施形態では、縦編みされた多軸ファイバは強化層間の熱可塑性中間層と共に補強層を編−ステッチさせることにより組み立てられることができる。編み糸または縫い糸はポリエステル−ポリアリーレート(例えばVectran(商標名))、ポリアラミド(例えばKevlar(商標名))、ポリベンゾオキサゾール(例えばZylon(商標名))、ビスコース(例えばRayon(商標名))、アクリル、ポリアミド、炭素、ファイバガラスを含んでいるがそれらに限定されない種々の材料から選択されることができる。所望される場合、編みまたは縫合わせるステップは多軸プレフォームの初期積層後に実行される。同じ種類の糸は前述したようにステッチまたはタフトによって位置および局部的に異なる厚さを機械的に保持するために使用される。
【0031】
図2は本発明の液体モールドプロセスで使用される複合材料の多軸プレフォームの1実施形態を示している。図2では熱可塑性ファイバから作られる中間層6は一方向に並んだファイバの補強ファイバ層2間に配置されている。少なくとも幾つかの中間層は隣接する補強ファイバ層に溶融結合される。縫合糸8はプレフォーム層を共に保持するために使用されることができる。
【0032】
別の実施形態では、多軸の縦編みファイバが与えられ、ここでは熱可塑性中間層は0度の層にのみ溶融結合され、0度ではない層および他の中間層は縫い糸を使用して0度の層に取付けられている。この例では、0度の層だけが溶融結合されている。例示として、1例の積層体は全体的なアセンブリが共に編まれている+45゜ファイバに溶融結合されない熱可塑性(TP)中間層、0゜層/0゜ファイバの上部に溶融結合されるTP中間層、0゜層/−45゜ファイバの下部に溶融結合されるTP中間層、90゜ファイバに溶融結合されないTP中間層である。
【0033】
0度の層は通常主要な負荷支持方向として使用される。熱可塑性中間層を溶融結合することにより0度の層を安定化することによって、結果的にモールドされた部分の強度は他の方向に溶融結合する必要なく増加される。この実施形態では他の方向は必ずしも0度の層のようには強化される必要はなく、他の層は通常、結合されていない中間層材料が存在することによりモールド部品の耐衝撃抵抗性を大きくするのに貢献している。
【0034】
別の実施形態では、中間層材料は乾燥した一方向に並んだテープを生成するために一方向に並んだ乾燥ファイバの片側又は両側に溶融結合されることができる。図3の(a)はこのようなプロセスを示している。中間層材料から作られるベール(veil)12はロール13から与えられ、一方向に並んだ乾燥ファイバ14に積層される。ベール12はファイバ14へ溶融結合されて例えば加熱されたローラー16間を通過して一方向に並んだファイバに溶融結合されたベール材料を有するファイバ18を生成する。ファイバ18は乾燥した一方向に並んだテープの形態で与えられることができる。図3の(b)は一方向に並んだ乾燥ファイバ14の両側に溶融結合された中間層材料12を有するファイバ18の構造の詳細を示している。別の実施形態では、ベール材料12は一方向に並んだファイバ14の片側にのみ溶融結合されることができる。しかしながら、より容易な処理能力でテープを生成するために一方向に並んだ乾燥ファイバの両側上に中間層材料を溶融結合することが好ましい。
【0035】
例示的な実施形態では、中間層材料は一方向に並んだ乾燥ファイバに強力に結合されている。本発明を限定するものではない例示として、中間層の熱可塑性ファイバの一方向に並んだファイバに対する高度の溶融結合が存在する。高度の溶融結合を得るために、好ましくは中間層で30重量%を超えるファイバが溶融結合が実行される温度よりも低い溶融温度を有する重合体材料から作られ、それによって30%を超えるファイバがプロセス期間中に溶融結合される。高度の溶融結合の他の実施形態では、40%を超える、特に50%を超えるファイバが溶融結合期間中に溶融される。さらに別の説明では、中間層において50%を超える、60%を超える、または75%の重量%を超える熱可塑性ファイバが高程度の溶融結合を得るために(例えば以下説明するような加熱されたローラーを使用することにより実行される)溶融結合が行われる温度よりも低い温度の溶融温度を有する重合体材料から作られる。
【0036】
種々の実施形態では、90重量%を超えるか、本質的に全部である中間層材料のファイバが加熱結合の行われる温度よりも低い温度で溶解する材料から作られる。1実施形態では、材料が溶融結合プロセスにより圧縮されるか汚されない限り、可能な限り100%に近いファイバが一方向に並んだ乾燥ファイバに溶融結合される。中間層の不所望な圧縮または汚れを防止しながら所望される高レベルの結合を得るために適切な溶融結合パラメータが選択される。
【0037】
乾燥した一方向に並んだテープ18はHexcelによる米国特許第6,585,842号明細書(EP0972102/WO9844183に等しい)に開示されているような連続プロセスで多軸プレフォームを組み立てるために使用されることができ、その説明はここでは参考文献として組み込まれる。Hexcelの特許に記載されているプロセスでは、一方向に並んだ乾燥テープは多軸の積層を生成するために移動ベッドに沿って導入される。Hexcelの特許は幾つかの一方向に並んだ織布が異なる方向で積層された後にリンクされる方法を記載している。少なくとも1つの一方向に並んだ織布には他の織布で積層される前の操作のために接着手段が与えられる。Hexcelの特許では、接着手段は例えば物理的なからみ合い、化学的接着剤により、または一方向に並んだ織布のファイバ間に接着を設けるために熱によって溶融されることができるステッチフィラメントを織布に与えることにより行われる。
【0038】
1特徴では、本発明は積層される前の操作のために良好な接着を一方向に並んだ織布に与える。その接着は一方向に並んだファイバの層に溶融結合されるスパンレース、不織またはメッシュ生地により与えられる。乾燥した一方向に並んだテープは図3に示されているプロセスによって処理されることができる。
【0039】
プレフォームの製造プロセスは図4に概略的に示されている。図4の方法では、一方向に並んだテープは一方向に並んだテープロール51上と縦方向ロール53上に与えられる。縦方向ロール53は所望の幅を実現するため一方向に並んだファイバの複数のロールを保持することができる。テープロール51は移動コンベア54上にファイバの4つのプライを配置する積層装置57とテープ送出ヘッド55に関連される。積層装置は4層のプレフォーム材料の集積の所望パターンに対応して、縦方向に関して複数の角度で配置される。全部で4つの層が置かれた後、ファイバは編み装置56を通過し、巻取りスプール58により巻き取られる。
【0040】
参考文献とされているHexcelの特許は異なる方向で一方向に並んだファイバシートを重畳することにより多軸ファイバシートを生成する載置機械を提供し、この機械は、
多軸シートを前進させ、形成される多軸シートを支持する支持手段と前進方向に支持手段を駆動する駆動手段とを具備している装置と、
前進方向と平行な方向で縦方向の一方向に並んだファイバのシートを供給する供給手段と、
連続的な一方向に並んだファイバのシートに直交する載置装置を供給する供給手段と、シートの自由端部を保持するための移動把持ヘッドと、前進方向に関して選択された角度で横断方向に対して平行にシートの連続的なセグメントを載置し把持ヘッドを駆動する手段とを具備する載置手段とをそれぞれ含んでいる複数の直交する載置装置と、
重畳された一方向に並んだファイバのシートを共に結合し、前進方向で支持手段から下流に位置されている結合手段とを具備しており、その機械では、
各直交する載置装置は切断手段を含み、
さらに、連続的なサイクルを行うための手段が設けられており、その手段は連続的なサイクルにおいて各直交する載置装置において把持ヘッドにより一方向に並んだファイバのシートの自由端部を把持し、一方向に並んだファイバのシートのセグメントを引き出すために把持ヘッドを移動し、一方向に並んだファイバのシートの引き出されたセグメントを切断し、支持手段上に一方向に並んだファイバのシートの切断セグメントを載置するように構成されている。
【0041】
このような機械の利点は横断方向に含まれる相対的に広い幅の一方向に並んだファイバのシートを載置することを可能にすることである。
【0042】
重畳された一方向に並んだファイバのシートは種々の方法、例えば縫合、編合、針縫により、または例えば接着剤の噴霧による接着、或いはシート間に熱可融性または熱接着膜または糸を挿入することによって結合されることができる。恐らく一方向に並んだファイバのシート内で接着を行うために使用されている結合剤はシートを相互に結合するために再活性化されることができる。
【0043】
不連続なフィラメントから作られる一方向に並んだファイバのシート又は条帯を形成する動作は連続的なフィラメントのシート20aを得るために連続的なフィラメントのトウを拡げる動作を含んでいることも有効である。これは伸張およびバースティング装置21(図5)に巻き取られる。伸張およびバースティング技術それ自体はよく知られている。これはv>v>vであるようにそれぞれの速度v、v、vで駆動される幾つかの連続的な駆動ロールの対、例えば21a、21b、21c間にシートを通過させることにより行われる。速度を増加させてシートを牽引することにより、連続的なフィラメントは破れる。ロール対の間、特に21aと21bの間の距離はバースティングパターンを決定し、即ちバーストフィラメント平均の長さを決定する。
【0044】
伸張及びバースティング後、シート20'aは伸張されるが、その重量(単位面積当り)はシート20aと比較して非常に減少される。不連続なフィラメントから作られる伸張されたシート20’aは随意選択的に他の類似のシート20'b乃至20’eと並べられるか又は部分的にそれらとオーバーラップし、その後前述の適度のマット手段により、例えば圧力下での水の噴射或いは針縫い装置35による針縫を受けさせることによりコヒーレントに作られる。
【0045】
結果的なシート30はシートがその接着性を失うことなく、さらにその重量(単位面積当り)を減少するために幅を広くされることができる。この広くすることができる能力は使用される接着技術(水噴射または針縫)により与えられる。
【0046】
広くすることは例えばコヒーレントなシート30をリール40上に保存する前に湾曲したロール37の1以上の対を通過させることにより行われることができる。
【0047】
シートはリール40に巻かれた後、例えば多軸シートを形成するために収納リールから巻き取られるとき広くされることができることが観察される。
【0048】
トウを拡張することによる一方向に並んだファイバのシートを得るための他の既知の技術、例えばRhone Poulenc Fibresの文献FR-A-2 581 085およびFR-A-2 581 086も使用されることができ、これらの両文献は本発明で参考文献とされている。これらの文献では、拡張するトウはロールに巻き取られ、そのロールは生産ラインに沿って配置され、周囲にスパイクが設けられている弾性的な細長い素子を含んでいる。ロールと接触しているそのパスの一部では、トウはスパイク上に結合され、ロール軸に平行に延在する弾性素子により拡張される。
【0049】
[多軸シートの生成]
複数の一方向に並んだファイバのシートから連続的な多軸シートを形成するのに適した本発明の1実施形態を構成する載置機械を示した図6Aと6Bを参照し、少なくとも1つの一方向に並んだファイバのシートは前述の方法により得ることができる。
【0050】
示されている例では、多軸シート50はそれぞれ縦方向0゜、+60゜、−60゜の角度を有する3つの一方向に並んだファイバのシート30a、30b、30cから構成されている。0゜のシート(シート30a)、即ち「主」シートは前述の方法により得られ、リール40aから巻き戻されたコヒーレントな一方向に並んだファイバのシートである。+60゜(シート30b)と−60゜(シート30c)の横断シートも前述の方法により得られ、それぞれのリール40bと40cから巻き戻された一方向に並んだファイバのシートである。使用される一方向に並んだファイバのシートは必ずしも同じ幅をもつ必要はない。したがってこの例では横断シート30bと30cは両者とも縦方向シート30aの幅よりも小さい同じ幅を有している。通常、シートは一般的に主シート(0゜)の幅よりも小さい幅である。
【0051】
0゜のシートに関して横断シートの形成する角度は+60゜と−60゜以外であることができ、例えばこれらは+45゜または−45゜であってもよく、より一般的にはこれらは反対の符合であることが好ましいが、必ずしも等しくなくてもよいことが認められている。3以上の横断シートが例えば90゜でシートを付加するかおよび/または縦方向に関して反対の角度を形成する少なくとも1つの他のシート対を付加することにより0゜シートと重畳されることができることも認められている。
【0052】
図6Aに示されているように、多軸シート50はモータ47により駆動される駆動ロール46および偏向ロール48(図6B)を通過するコンベア44のエンドレスベルト42の水平上部セグメントにより構成される支持体上に形成されている。ベルト42の幅はシート50の幅よりも狭く、それによってシートはベルト42の両側42aと42bから僅かに突出することが認められる。
【0053】
シートは+60゜の並べられたセグメント30bをベルト42へ引き出し、その後その上に0゜で配向されているシート30aを配置し、−60゜で配向されているシート30cのその並べられたセグメントを引き入れることにより作られることができる。0゜シートが横断シート間に位置され、それによって対称的な特性をシート50へ与える多軸シート50を形成することができることは有効な特性である。このことはシート30aの本質的な接着性により可能にされる。
【0054】
さらに有効に、0゜における一方向に並んだファイバのシートは前述の方法により得られるように、比較的大きい幅であり、5cmより小さくはなく、好ましくは少なくとも10cmであり、したがって実質幅の多軸シートを作ることを可能にする。
【0055】
シート30bと30cの連続的なセグメントの引出し、切断、載置を行う装置60は同じであるので、シート30cに関連される装置だけを説明する。
【0056】
シート30cはそのシート30cの自由端部を保持できる少なくとも1つのクランプを有する把持ヘッド70によってリール40cから解かれる。
【0057】
シート30cは縦方向シートの幅をカバーするのに十分な長さにわたってコンベアベルト42のエッジ42aから引出される。したがって引き出されたセグメントは切断装置80によりコンベアベルトのエッジ42a上に位置されるシート30aのエッジにおいて縦方向に切断される。同様に、シート30cの切断セグメントは先に引き出されたセグメントと、既に載置されているシート30aと30bに関してコンベアベルト上のその位置を保持するために丁度切断された端部により固定される。
【0058】
変形またはほつれなしにシート30cを切断するために、膜又はテープ92のセグメントの形態の局部的な補強が、切断される各位置でシート30cの各面上に固着される。膜92は例えば接着剤、熱接着剤、高周波数溶接、超音波溶接や装置90により固着されることができる。例えば熱接着剤により接着されることができるポリエチレン膜が使用される。補強膜がシート30cの1つの表面上だけに固着されることができることが観察される。
【0059】
把持ヘッド70はビーム66の滑動路64で滑動するブロック62により支持される。1例では、ブロック62は可逆モータ69により滑動路64で駆動されるエンドレスケーブル68上に固定される。ビーム66はリール40cと、さらにシートのセグメントの切断および載置を行い、補強膜を所定の位置に配置するための装置80および90を支持する。
【0060】
ヘッド70と装置80および90が構成される態様の詳細な説明については後述する。把持ヘッドはビーム66に関する装置80と90のようにブロック62に関して取付けられたスイベルであってもよいことが観察される。結果として縦方向(0゜)に関して配置された横断シートにより形成される角度は、ビーム66の配向を適切に調節し、ヘッド60とビーム66に関する装置80および90の位置を調節することにより容易に変更されることができる。ヘッド70と装置80、90の動作は制御装置100により制御され、これらは制御装置100に対してビーム66に沿って走向するケーブル102の束によって接続されている。
【0061】
コンベア44が静止している間、各シート30bと30cのセグメントは引き出され、切断され、載置され、固着される。その後、コンベアは縦方向(0゜)で測定されるときシート30bと30cの寸法に等しい長さにわたって前進させられ、そのプロセスは反復される。コンベア44の各前進時に、縦方向のシートの同じ長さが巻き戻される。
【0062】
重畳後、シート30a、30b、30cは共に結合される。図6Bに示されている例では、この結合はコンベア44を離れるときに多軸シート50の幅全体を横切って延在する針板52により針縫により行われる。針縫中、シート50は例えばポリプロピレンにより作られたベースフェルト52bを支持するプレート52aにより支持され、シートに対して針は損傷されることなく貫通できる。針縫による結合は特に針縫により悪影響を受けやすくない不連続のフィラメントまたは連続的なフィラメントから構成されているシートに特に適している。
【0063】
ファイバの不連続なウェブは多軸シートに対して横断方向で導入されるように針によって取られ、したがってそれを結合するのに適している不連続なファイバを供給するように、針縫の直前に多軸シートに与えられることができる。
【0064】
針縫後、補強膜92の一部を支持する多軸シート50の末端ゾーンはシートの両側に位置されている回転切断ホイール56により切断されることにより除去されることができる。結果的な多軸シートはコンベア44の断続的な前進と同期してモータ59により駆動されるリール58に巻かれることができる。
【0065】
高度に概略的な方法で、熱接着により補強膜92を所定位置に配置するための装置90の詳細を示している図7を参照する。
【0066】
各膜92はそれぞれの収納リール92aから引き出され、2つのリール93aと93bの間を通過し、そのリームの一方(例えば93a)は両リール93aに共通であることができる駆動モータ(図示せず)に結合されている。2つのクランプ96はアクチュエイタ96aの制御下で開閉され、空気アクチュエイタ99の同じシリンダに取付けられているロッド98の端部に固定されている。2つのロッド98はそれぞれリール40cから引出されたときにシート30cのパスの上および下に延在し、それらはシートの幅よりも長い長さである。
【0067】
2つの加熱プレス97はシート30cのパスの片側に配置されている。背面ブレード94bと協動する2つのブレード94aはアクチュエイタ(図示せず)の制御下で膜92を切断することができるようにリール93aと93bの対から下流に配置される。
【0068】
補強膜92を所定の位置に配置するサイクルは図8の(a)乃至(c)に示されているように以下説明する動作を含んでいる。
【0069】
それらの最も進んだ位置でクランプ96を搭載するロッド98で開始して、アクチュエイタ99に隣接するエッジから反対のシート30cのエッジを越えて、膜92はそれらの自由端部が、開位置にあるクランプ96と十分に結合されるまでリール93aと93bにより前進される(図8の(a))。駆動ホイール93aは適切なセンサの使用により、膜92の端部がクランプ96中にあるという検出に応答して、または膜が予め定められた長さを前進した後に停止されることができる。
【0070】
クランプ96はアクチュエイタ96aの制御下で閉じられ、リール93aはクラッチを解放され、アクチュエイタ99はロッド98を引き込み、膜92をアクチュエイタ99と同じ側面上のシート30cのエッジを越えて引っ張るように制御される(図8の(b))。
【0071】
加熱プレス97は前記セグメントを熱接着により固着するように前記シートの各面上に位置されている膜92のセグメントに対してシート30cの一方の側面に適用される。プレス97が適用されると直ぐに、クランプ96は開かれ、ブレード94aは膜92を切断するように付勢され、それによって熱接着期間中に膜のブレードセグメントを解放する(図8の(c))。
【0072】
プレス97が後退され、シート30cが前進された後、ロッド98は再度アクチュエイタ99により前進された位置へ配置され、膜の載置サイクルはその後反復されることができる。
【0073】
把持ヘッド70と横断シートのセグメントを切断および固着するための装置80の1実施形態を高度の概略的な方法でより詳細に示している図9および10を参照する。把持ヘッド70はシート30cの自由端部を保持する2つの素子71aと71bを有するクランプ71を具備している。クランプ71の開閉は上部素子71a上に作用するアクチュエイタ72の制御下である。さらにクランプ71はコンベアベルト42の平面に近い位置と、ブロック62に固定されクランプ71を支持する別のアクチュエイタ73の制御下で前記平面から離れる位置との間で移動可能である。
【0074】
シート30cが引き出される側面に位置されるコンベアベルト42のエッジ42aの付近には、クランプの形態の誘導装置74が位置されている。このクランプはコンベアベルト42の平面から離れた高い位置と、実質的に前記平面に位置される低い位置との間でアクチュエイタ75aの制御下で可動である上部素子74aを具備している。クランプ74はさらに実質的にコンベアベルト42の平面に位置される低い位置と、前記平面から離れた高い位置との間でアクチュエイタ75bの制御下で可動である下部素子74bを具備している。
【0075】
切断装置80はコンベアベルト42の平面の下に位置されている支持体82上に取付けられたブレード81を具備している。支持体82はアクチュエイタ84の制御下でベルト42のエッジ42aに沿って滑動できる。加圧装置85はシートのセグメントが切断される間にシート30cを支持体86へ加圧するようにコンベアベルト42の平面よりも上に配置されている。圧力の付加と加圧装置85の後退はアクチュエイタ87により制御される。支持体87と加圧装置85はそれぞれブレード81を通過するためのスロット85aと86aを有している。
【0076】
加圧装置85と支持体86はコンベアベルトの側面42a上に構成された多軸シート50のエッジに対してクランプすることができる加熱プレスを構成するように加熱素子でもある。アクチュエイタ89の制御下の2つの類似の素子88から構成される加熱プレスはコンベアベルトの対向側面42b上に設けられることができる。
【0077】
コンベアベルト42の幅は切断装置80に対する側部42aと随意選択的な加熱プレス88に対する側部42b上で必要とされるスペースを残すように、構成されている多軸シート50の幅よりも小さい。
【0078】
横断シート30cの引き込み、切断、固着のサイクルは図11の(a)乃至(c)に示されているように次のような動作を含んでいる。
【0079】
コンベアベルト42の側部42a付近のシート30cの自由端部は高い位置でクランプ74によりその素子74aと74bにより把持される。把持ヘッド70は高い位置にそのクランプ71を有し、コンベアベルトの側部42a上のそのストロークの端部に位置される。この位置で、クランプ71はシート30cの端部を把持するためにアクチュエイタ72により閉じられることができる(図11の(a))。
【0080】
クランプ74はその下部素子74bを下げることにより開かれ、ブロック62はクランプ71をそのストロークの他の端部へ、コンベアベルト42の側面42bを少し越えて動かすようにモータ69により動かされる(図11の(b))。
【0081】
クランプ71は既にシート30bと30aを支持しているコンベアベルト42に対してシート30cのセグメントを加圧するようにクランプ74の上部素子74aのように下げられる。加圧装置85は支持体86に対してシート30cを加圧するようにアクチュエイタ87により下げられる。ブレード81はその後シート30cを切断するために縦方向に移動される(図11(c))。シート30cは補強膜92が固着されている位置で切断され、補強膜を載置し横断シートを切断するための装置80、90間の距離はシート30cの横断前進距離、即ち切断されるシート30のセグメントの長さに等しい。
【0082】
加熱素子85と86は補強膜92の切断部をコンベアベルト42の側部42a上に位置されている多軸シートのエッジに接着させ、それによってシート30cの切断セグメントの位置をこの側面上で固着するのに必要な熱を発生するように制御する。切断後にシート30cの自由端部に取付けられた状態である他の膜部分92を加熱プレス88により多軸シート50の他の側面に接着させることができる。結果として、シート30cの各切断セグメントはその成形期間中に多軸シートの残りに関して位置に保持される。これは多軸シートが最終的に固着される前に、コンベアベルト42の前進期間中に横断シートのセグメントの不適時の転移を防止する。
【0083】
クランプ71はその後、コンベアベルトの側部42a方向に戻される前に、開かれその高い位置に戻され、クランプ74はシート30cの自由端部を所望の位置で把持ヘッドに与えるようにその高い位置に戻される。
【0084】
前述した載置機械は多軸シートが形成されている間に、多軸シートの不連続な前進で動作する。生産処理能力を増加し、結合が縫合または編合により行われるときに重畳された一方向に並んだファイバのシートを共に結合するための手段の動作との適合性を改良するために、載置機械を連続的な前進により動作させることが好ましい。
【0085】
このため(図12)、横断シートの切断セグメントは、形成され連続的に前進する多軸シート50上へ連続的に与えられる転送装置104により保持される。転送装置104はコンベアベルト42のいずれかの側部上の前進方向に平行に移動可能なブロック106a、106bにより支持される2対のクランプ104a、104bを有している。このためブロック106aと106bはモータ110により駆動される駆動ホイール108aと108bと2つの偏向ホイール112aと112bの上を通過するエンドレスケーブル上に固定される。2対の加熱プレッサホイール114aと114bは横断シートのセグメントをそれが載置されるとすぐに、膜92の熱接着によりシートのセグメントの端部に固着する役目を行う。
【0086】
横断シートの各セグメントは切断装置80がビーム66により搬送されシートの切断セグメントを固着するための加熱プレスが設けられていない点を除いて、図6AとBに示されている機械と類似している交差載置装置60により引き出され切断される。
【0087】
載置は各セグメントがクランプ104aと104bにより交差載置装置によって解除されるとすぐに、それを交差載置装置により、および切断セグメントを把持することにより、引出しおよび切断することにより実行される。これらは切断セグメントを先に載置されたセグメントと所望の位置に接触させる(隣接又はオーバーラップ)ために決定された速度でモータ110により同期的に動かされる。その後クランプ104a、104bはその後に続くシートの切断セグメントを送るためにそれらの初期位置に戻される。
【0088】
別の実施形態では、また生産処理能力を増加する目的で、横断シートの連続的なセグメントを引出し、切断し、載置する各交差載置装置は閉ループでパスに沿って移動される複数の把持ヘッドを有する。その結果として、1つの把持ヘッドが戻され、別の把持ヘッドが動作中であるようにすることができる。
【0089】
図13の(a)乃至(d)は横断シートのセグメントの引出し、切断、固着の連続的な動作を示している。
【0090】
交差載置装置は、これがベルト又は鎖を使用してエンドレス運搬装置76上に設けられている複数の、例えば2つの把持ヘッド70と70を有する点で図6A乃至図11の(c)の交差載置装置と異なっている。運搬装置76はそれに平行で、載置される横断シート30cの載置方向でコンベアベルト42の上に延在するその下部および上部の長さを有する。運搬装置76はコンベアベルト42の両側に位置されている駆動ホイール76aと帰還ホイール76b上を通過する。ヘッド70は運搬装置76の対向位置に設けられている。
【0091】
各ヘッド70.sub.1と70.sub.2はアクチュエイタ78の端部に固定されているシュー77を有する。把持ヘッドとシート33cの自由端部の間の接続は帰還パスの端部近くの運搬装置76の上部の長さの部分上に位置されている接着ノズル79によりシュー77へ噴霧された接着剤により行われる。
【0092】
図13の(a)乃至(d)の交差載置装置もまた、シートに垂直に駆動されるアクチュエイタ手段の制御下ではなく、ピボット取付けを使用することにより加圧装置85が与えられ後退される点で図6のA乃至11の(c)と異なっている。加圧装置85は蝶番リンク85cにより支持体85bに接続される。蝶番リンク85cはブレード81の上方の前部位置と把持ヘッドの通過が明白にされている後部位置との間で円形のアークに沿って加圧装置85を動かすようにモータ部材(図示せず)により駆動される。支持体85bはアクチュエイタ85eの駆動下でシート50の平面の上方の上げ位置とシート50と実質的なレベルの下げ位置との間で可動である。図9乃至11(c)の誘導装置74は不必要であることが認められる。動作は以下のように行われる。
【0093】
高位置の支持体85bと、後部位置の加圧装置85と、接着剤が噴霧される把持ヘッド70がシート30cの自由端部と接触することから開始する(図13の(a))。
【0094】
加圧装置85はリンク85cにより上昇され、運搬装置76はシート30cの自由端部がシート50上でコンベアベルト42の側面42b方向に動かされるように駆動される(図13の(b))。
【0095】
シート30cの自由端部が所定位置に来たとき、運搬装置76は停止され、加圧装置85はその前方方向位置に傾斜され、それによってシート30cを把持ヘッド70と加圧装置85との間で引張状態に保持する(図13の(c))。
【0096】
その後、ヘッド70のアクチュエイタ85eとアクチュエイタ78はシート30cをシート50へ加圧するように制御される(図13の(d))。セグメントはスロット85aを通過するブレード81により切断される。同様に、切断セグメントのエッジは熱プレスを構成する加圧装置85および支持体86によって、加熱素子88上のヘッド701からの圧力により接着される。図9の実施形態とは異なって、単一の加熱素子88が設けられることが観察される。同時に接着剤はノズル79によりヘッド70上へ噴霧される。その後、ヘッド70は上昇され、新しい載置サイクルがヘッド70を使用して開始できるように運搬装置76は再度駆動される。
【0097】
前述したように、多軸シートの一方又は双方の縦方向のエッジに沿った熱接着によって一時的に横断シートセグメントの端部を固着する動作が行われ、その末端部はその後除去される。
【0098】
別の実施形態では、横断シートセグメントの一時的な固定はコンベアベルトのエッジ42aおよび42bに沿ったスパイク49の2つの縦列により行われることができる(図14)。横断シートセグメントはこれらがクランプ71、74を下げるか、または図12の転送装置によってコンベアベルト42に対して加圧されるときスパイク49の端部で結合される。
【0099】
別の実施形態では、横断シートの連続的なセグメントは相互に隣接するのではなく、部分的にオーバーラップして配置されることができる(図15)。オーバーラップの程度はその位置に動かされる2つの連続的な横断シートセグメント間のコンベア44の速度を調節することによって調節される。このような部分的なオーバーラップは横断シートセグメントエッジをエッジに配置するとき遭遇する可能性がある難点を避けることを可能にする。このような状態では、軽量の横断シートが図5に示されているように拡張された後に得られることができるので使用される。
【0100】
連続的なセグメントを引き出すことにより横断シートを載置する前述の方法は本発明の好ましい構成を構成するが、特に横断シートが比較的小さい幅であるときには他の載置技術を使用する可能性は除外されない。
【0101】
したがって、図16で非常に概略的に示されているように、前述の米国特許第4,677,831号明細書に記載されているのと類似のタイプの技術を使用することが可能である。その技術では横断シート30b、30cの端部は交差載置キャリエジ110上に固定され、そのキャリエジ110は横断シートの方向に平行な移動で往復運動するように駆動される。交差載置キャリエジにより随意選択的に支持されるリール(図示せず)から巻き戻される。交差載置キャリエジのストロークの各端部では、横断シートはその縦の各側面に沿ってコンベアベルト42により送られるスパイク111上を通過することにより回転される。
【0102】
図6Bは針縫により共に結合されている重畳されたシートを示している。他の結合方法が使用されることができる。
【0103】
したがって、図17はコンベア44の直ぐ下流に位置されている装置120によるステッチによる結合を示している。ステッチは通常のように種々の異なる縫合、例えばチェーンステッチ122を使用して行われることができる。例により説明すると、使用される縫合糸124はポリエステル、ガラス、カーボン、アラミド等の糸であることができる。例えばジグザグ編みステッチを使用して編むことにより結合を行うことも可能である。
【0104】
図18は一方向に並んだファイバのシート間に導入された熱融合糸による結合を示している。第1の熱融合糸130はシート30aが載置される前に、交差載置装置131によりシートセグメント30b上に置かれ、第2の熱融合糸132はシートセグメント30cが載置される前に、交差載置装置133によりシートセグメント30a上に置かれる。コンベア44からの直ぐ下流で、多軸シート50は糸130と132を溶かす2つの加熱ロール124の間を通過し、それによって多軸シートの接着を行う。1例では、糸130と132はポリプロピレンで被覆されたガラス糸である。熱融合糸の代わりに、熱融合膜または熱接着膜または糸を使用することが可能である。
【0105】
最後に、図19は接着剤による結合を示している。接着剤を噴霧するための条帯140および142は一方向に並んだファイバのシート30aを載置するためのステーションと、一方向に並んだファイバのシート30cを載置するためのステーションから直ぐ下流でコンベアベルト42を横切って配置される。コンベア44から直ぐ下流で、多軸シート50は2つのロール144の間を通過する。
【0106】
一方向に並んだファイバのシートの接着が熱融合又は熱接着結合剤により得られるとき、一方向に並んだファイバのシート間の結合は結合剤を熱により再活性化することによって得られることもできる。
【0107】
前述したような載置のための種々の方法と機械は、任意の数の重畳されたシートを含む多軸シートを作るように機能する。したがって、少なくとも2つの横断する一方向に並んだファイバのシートを配置することにより縦の一方向に並んだファイバのシート(0゜)をもたない多軸シートを形成することが可能である。この場合、好ましくは、横断シートは少なくとも1対のシートを有し、その方向は随意選択的に90゜の横断シートと共に、縦方向に関して反対の角度である。縦の一方向に並んだファイバのシートが与えられるとき、既に前述したように少なくとも1対の横断シートは縦のシートの両側の面上に、それに関して反対の角度で位置され、この場合に90゜の少なくとも1つの横断シートを付加することも可能である。
【0108】
結果的な多軸シートは例えば重畳されたプライをドレープまたは針縫するよく知られた技術により複合材料部品の補強を行うために使用されることができる。結果的な補強はその後、化学蒸気浸透または(液体状態、例えば樹脂のマトリックス先駆物質で合浸し、その後先駆物質の変換、例えば熱処理する)液体プロセス、またはキャリファクション(califaction)により緻密にされることができる。キャリファクションにより、プレフォームはマトリックスの液体先駆物質中に浸漬され、プレフォームは例えばインダクタコアとの接触またはインダクタコアとの直接結合することにより加熱され、それによって先駆物質はプレフォームと接触するとき蒸発され、プレフォームの多孔内に付着されることによりマトリックスを形成するように浸透されることができる。
【0109】
その代わりに、Hagelの米国特許第5,241,842号明細書またはWunner等の米国特許第6,276,174号明細書(これらの文献はここで参考文献とされている)に記載されている装置は一方向に並んだカーボンファイバのトウを与えることにより多軸プレフォームを処理するために使用されることができる。1又は複数のトウが一方向に並んだファイバの補強層を生成するためにピンを横切って引っ張られる。この実施形態では、中間層材料を一方向に並んだカーボンファイバの層間に導入するための手段が与えられる。中間層材料は無指向性であるので、一方向に並んだカーボンファイバの方向に対してある角度で導入される必要はない。
【0110】
本発明の多軸プレフォームは種々の液体モールドプロセスにより硬化されたファイバ補強複合材料にされることができる。1つの真空補助樹脂トランスファーモールドでは、樹脂は真空下で多軸プレフォームを含むモールドへ導入される。樹脂はプレフォームに注入され、一方向に並んだファイバの層間の中間層を飽和させる。中間層は液体モールド動作期間中に樹脂の流動を許容するために浸透性である材料から作られる。さらに溶融結合された中間層は樹脂注入期間中に一方向に並んだファイバをその位置に保持する。
【0111】
別の方法の樹脂トランスファーモールドでは、樹脂は圧力下で閉じたモールド中に注入される。これらおよびその他の液体モールドプロセスが本発明の硬化されたファイバ補強複合材料を処理するために使用されることができる。
【0112】
前述したようなプロセスのモールドに樹脂を注入するのに続いて、モールドは完成された部品を生成するために樹脂を硬化するように加熱される。加熱期間中、樹脂は複合材料のマトリックスに交差結合を形成するためそれ自体で反応する。加熱の初期期間後、樹脂はゲル化する。ゲル状態で、樹脂はもはや流動しないで固体として作用する。好ましい実施形態では、中間層の熱可塑性ファイバの溶融点よりも低い温度で樹脂をゲル化し、それによってそれらが溶融し補強ファイバ束へ流れることを防止することが重要である。ゲル化後、温度又は硬化は硬化を完了するための最終温度まで上昇されることができる。最終の硬化温度は選択された熱硬化性樹脂の特質および特性に基づいている。航空宇宙級のエポキシ樹脂の場合、ゲル化の後に温度を325゜Fから375゜Fの温度範囲まで上昇させ、硬化を完了するためにこの温度に1乃至6時間保持することが重要である。
【0113】
ファイバのバルク係数を減少させるので、中間層に対する一方向に並んだファイバの高程度の溶融結合が所望される。ファイバはしたがって容積減少動作を要しないオートクレーブ処理された材料に等しいファイバ容積分率を与えるためVARTMのような低圧力注入プロセスに適している。
【0114】
他方で不十分又は部分的な溶融結合は高いバルク係数を生じ、ステッチされる前に積層装置に沿って移動するときファイバを許容可能な安定性を与えず、大部分のファイバを固着する。さらにファイバの十分な溶融結合又は実質的に十分な溶融結合は多数のファイバ層を共に保持するのに必要な編ステッチ量を大巾に減少することを可能にする。減少されたステッチは多数の利点を有する。即ち編み糸からの「寄生的」重量を減らし、ドレープ適性とよりステッチの多さを改良し、編むことにより生じる穴からのファイバに対する悪影響を減らす。
【0115】
[例]
以下に示されている結果は270in−lbの衝撃エネルギを有するBSS 7260タイプII、クラス1衝撃を使用したBMS 8−276(商用の航空機で使用される強化されたプレプレグシステムのボーイング材料仕様)にしたがって作られテストされた衝撃後の圧縮(CAI)パネルについてのものである。
【0116】
試験パネルは以下のように処理された。パネル積層は不織ファイバが溶融結合されているアンカー・レインフォースメンツ社(カリフォルニア州Huntington Beach)から入手できる一方向に並んだファイバを使用した(+45/0/−45/90)3Sである。制御はファイバを共に保持するための熱可塑性横糸ファイバだけを使用した。3つの不織ファイバは0.125、0.250、0.375oz/ydの面積重量でSpunfab社(オハイオ州Cuyahoga Fall)により供給されているものである。使用された3つの材料はPE2900、ポリエステル、VI6010、3元重合体の配合物、PA1008、ポリアミドである。
【0117】
幅が13インチ(約33cm)の乾燥した一方向に並んだテープ13は各不織ファイバをT700カーボンファイバ(日本の東京のトーレ社)190g/mを含んでいるテープへ溶融結合することにより処理された。一方向に並んだテープは前述したようにプレプレグと同じ方法で切断され、BMS8−276にしたがって積層された。積層ファイバはApplied Poleramic社(カリフォルニア州Benicia)から入手できるエポキシ樹脂TV−15を使用してVARTM処理された。注入および硬化後、結果的なパネルはBSS7260にしたがって4インチ(約10cm)×6インチ(約15cm)の衝撃検査標本へ機械加工された。衝撃は0.3125インチ(約0.8cm)の球体の鋼のタップを使用して行われた。
【0118】
衝撃後、全ての標本は超音波でC走査で検査された。これらの図では、透過探傷振幅プロットと下部の列は飛行時間応答が準備されたことを示している。衝撃損傷面積はC走査装置上の組込みソフトウェアツールを使用して振幅プロットに示されている中心「穴」から直接計算された。これらの結果は表1に示されている。
【0119】
衝突後の圧縮の強度の結果は表2に示されており、パネルの厚さとプライ当りの厚さは表3に示されている。表1と2はPA1008とVI6010中間層材料に対する衝撃損傷面積の大きな減少と、これらの同じ材料の衝突後の圧縮の強度の大きな増加をそれぞれ示している。表3は中間層の強化概念がプライ当りの厚さにおいて現在販売されているボーイング仕様(BMS8−276)を満たしていることを示している。
【表1】

【0120】
本発明の前述の説明は本質的に単なる例示であり、したがって本発明の説明の要旨から逸脱しない変形はその技術的範囲内であることが意図されている。このような変形変更は本発明の技術的範囲から逸脱するものではなく、特許請求の範囲で規定された技術的範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】熱可塑性ファイバの1実施形態の概略側面図。
【図2】ステッチされたプレフォームを示す図。
【図3】一方向に並んだ乾燥したテープを処理するプロセスを示す図。
【図4】プレフォームを製造するプロセスを示す図。
【図5】不連続的なファイバから構成されているコヒーレントな一方向に並んだファイバのシートの製造および拡張の部分を示す図。
【図6A】本発明の構成の多軸ファイバシートを製造するための載置機械の概略的な全体的平面図。
【図6B】本発明の構成の多軸ファイバシートを製造するための載置機械の概略的な全体的平面図。
【図7】図6Aおよび6Bの機械における局部的な補強膜を所定位置に置くための装置の詳細を示した正面図。
【図8】図7の装置を使用して補強膜を所定の位置に配置する連続的なステップを示す図。
【図9】横断する一方向に並んだファイバのシートをセグメントに切断しカットオフセグメントを固着するための図6A乃至6Bの機械における装置の詳細を示す概略的な側面正面図。
【図10】図9の切断及び固定装置の概略的な端正面図。
【図11】図6Aおよび6Bの機械における横断する一方向に並んだファイバのシートの引出し、切断、固定の連続的なステップを示す図。
【図12】図6Aおよび6Bの載置機械の概略的な図。
【図13】図6Aおよび6Bの載置機械の別の異なる実施形態における横断する一方向に並んだファイバのシートの引出し、切断、固定の連続的なステップを示す図。
【図14】図6Aおよび6Bのような載置機械の横断する一方向に並んだファイバのシートのセグメントの固定についての異なる実行を示す概略図。
【図15】横断する一方向に並んだファイバのシートの載置の異なる実行を示す概略図。
【図16】横断する一方向に並んだファイバのシートが部分的にオーバーラップする載置の異なる実行を示す概略図。
【図17】載置機械において重ねられた一方向に並んだファイバのシートを共に結合する手段の第1の異なる実施形態を示す概略図。
【図18】載置機械において重ねられた一方向に並んだファイバのシートを共に結合する手段の第2の異なる実施形態を示す概略図。
【図19】載置機械において重ねられた一方向に並んだファイバのシートを共に結合する手段の第3の異なる実施形態を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦の方向を有し、補強層間に配置された不織の中間層を有する一方向に並んだファイバの補強層を具備する連続的な多軸プレフォームの製造方法において、
乾燥した一方向に並んだテープを生成するために一方向に並んだ乾燥したファイバの片側又は両側に溶融結合する高い程度の熱可塑性ファイバを有する中間層材料を溶融結合し、
多軸のファイバの縦方向から−90度と+90度の間の角度に一方向に並んだテープの少なくとも4つの薄層を置くことにより一方向に並んだテープから多軸のプレフォームを形成するステップを含み、
製造方法は、縦方向に平行な前進方向に移動する支持体によって薄層を引き出すステップを含んでおり、各薄層は前進方向に関して同じ選択された角度を形成する連続的なセグメントで引き出される方法。
【請求項2】
さらに、テープの薄層をニット糸と共に縫い付けるステップを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項3】
一方向に並んだ乾燥したファイバはカーボンファイバを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項4】
薄層は0/−45/+45/90のパターンで配置される請求項1記載の方法。
【請求項5】
液体モールドプロセスで熱硬化性樹脂をプレフォームに注入するステップを含んでおり、プレフォームは請求項1記載のプロセスにより生成されるファイバ補強複合材料の製造方法。
【請求項6】
間に配置され、補強層に溶融結合されている熱可塑性ファイバの不織、スパンレース、またはメッシュ生地を有する不織中間層を備えた一方向に並んだファイバの補強層を具備している多軸のファイバの製造方法において、
一方向に並んだファイバの補強層を生成するためにピンを横切って1又は複数のトウを引っ張り、
中間層材料を補強層間に位置するように導入し、
編または縫糸を使用して補強層へ中間層材料を編込むステップを含んでいる方法。
【請求項7】
プレフォームをモールドし、液体モールドプロセスでプレフォームに熱硬化性樹脂を注入するステップを含んでおり、プレフォームは請求項6記載のプロセスにより形成される方法。
【請求項8】
異なる方向で複数の一方向に並んだファイバのシートを重畳し、重畳されたシートを共に結合するステップを含んでいる縦方向を有する連続的な多軸ファイバシートの製造方法において、
少なくとも1つの一方向に並んだファイバのシートは高度の溶融結合によって乾燥した一方向に並んだテープを生成するために熱可塑性ファイバを含む中間層材料を一方向に並んだ乾燥ファイバの片側又は両側に溶融結合することにより生成され、30重量%を超える熱可塑性ファイバは溶融結合が実行される温度よりも低い温度の溶融温度を有し、
連続的な多軸シートは多軸シートの縦方向に対して平行な前進方向で移動する支持体によって少なくとも1つの一方向に並んだ横断シートを引き出し、1つ又は各横断する一方向に並んだファイバのシートは前進方向に関して同じ選択された角度を形成する連続的なセグメントで引き出される方法。
【請求項9】
多軸シートは前進方向に関して反対の角度で横断する2つの一方向に並んだファイバのシートを重畳することによって形成される請求項8記載の方法。
【請求項10】
多軸シートは少なくとも2つの一方向に並んだファイバのシートを重畳することによって形成され、一方向に並んだファイバのシートの1つは前進方向に対して平行な方向の縦方向シートである請求項8記載の方法。
【請求項11】
多軸シートは少なくとも3つの一方向に並んだファイバのシートを重畳することにより形成され、一方向に並んだファイバのシートの1つは前進方向に対して平行な方向の縦方向シートであり、少なくとも2つの他の一方向に並んだファイバのシートは縦方向シートの方向に対して異なる角度の方向の横断シートである請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−143218(P2009−143218A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−230177(P2008−230177)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】