説明

液体仕上げ剤組成物

【課題】繊維製品に対して、従来の柔軟剤と略同等の柔軟化効果を発揮するだけでなく、特に化繊に対する帯電防止性を向上させた液体仕上げ剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)シリコーン化合物、(B)カチオン性を有する水溶性高分子、及び(C)両性界面活性剤又は半極性界面活性剤を含有する液体仕上げ剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品に使用するのに好適な液体仕上げ剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維に直接噴霧塗布する各種スプレータイプの繊維製品仕上げ剤や洗濯時に使用する柔軟仕上げ剤など、繊維製品用液体仕上げ剤は今や家庭に不可欠な製品となっており、近年は柔軟性などの基本性能だけでなく、消臭防臭性や抗菌性などの付加価値を持たせた製品も要求されてきている。
柔軟仕上げ剤としては、従来4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤や3級アミン塩型カチオン界面活性剤を基剤としたものが主流であったが、両親媒性物質である界面活性剤ではなく、シリコーンとカチオン性高分子化合物を主基剤として用いた組成物も提案されている。これら柔軟仕上げ剤の中には、帯電防止性が不足している場合がある。
4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を基剤とした柔軟仕上げ剤組成物においては、これにアニオン性界面活性剤もしくは水溶性アニオン性高分子を併用して帯電防止性を向上する試みは従来から行われている(特許文献1)。
しかしながら、シリコーンとカチオン性高分子化合物を主基材とした柔軟仕上げ剤組成物については、特に湿度が低い場合において、帯電防止性が不充分となる場合があった。本件出願人は既に1種以上のシリコーン化合物とカチオン性高分子化合物とを併用した柔軟剤組成物を幾つか提案しているが、それらは、透明な液体組成物、容器への固着性の少なさ、透明容器に入れても変退色しないこと、防臭消臭性などを提供することを目的とするものである。(特許文献2〜5)一方、シリコーン化合物とカチオン性高分子化合物に加えて、水に対する溶解度が1質量%以下である疎水性化合物を併用することにより、好ましい風合いを付与する処理剤組成物も提案されているが(特許文献6)、該疎水性化合物として具体的に開示されている化合物はアニオン性を有するものではない。
そこで、本発明者らは、シリコーンとカチオン性高分子化合物を主基剤とし、繊維製品用柔軟剤に通常要求されるレベルの柔軟効果は維持しつつも、化繊に対する帯電防止性を強化した繊維製品用液体仕上げ剤組成物を開発するに至った。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−291999号公報(ライオン)
【特許文献2】国際公開第2004/025017パンフレット(ライオン)
【特許文献3】特開2004−131895号公報(ライオン)
【特許文献4】特開2004−131896号公報(ライオン)
【特許文献5】特開2005−187973号公報(ライオン)
【特許文献6】特開2006−342459号公報(花王)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は繊維製品に対して、従来の柔軟剤と略同等の柔軟化効果を発揮するだけでなく、特に化繊に対する帯電防止性を向上させた液体仕上げ剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが鋭意検討した結果、シリコーン化合物及びカチオン性を有する水溶性高分子を、両性界面活性剤又は半極性界面活性剤と併用することにより、上記目的を達成できるとの知見を得た。
すなわち、本発明は、(A)シリコーン化合物、(B)カチオン性を有する水溶性高分子、及び(C)両性界面活性剤又は半極性界面活性剤を含有する液体仕上げ剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物は、従来の柔軟剤と同等以上の柔軟化効果を発揮するだけでなく、化繊製品に対してはより優れた帯電防止性を付与する効果を有する。本発明の組成物は、特に化繊に対する優れた滑り性も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[(A)成分:シリコーン化合物]
本発明の(A)成分は、繊維製品処理に一般的に使用されているシリコーン化合物である。このシリコーン化合物は、繊維製品に吸着したときに、滑り性を付与することが可能である。繊維製品処理に一般的に使用されているシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
このシリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。さらに、後述する(B)成分による(A)成分のシリコーン化合物を繊維へ吸着させる効果を高め、滑り性を高める点から、(A)成分のシリコーン化合物は、非イオン性であることが好ましく、より好ましい例としては、ジメチルシリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン及び、アミノ変性シリコーンが挙げられる。
【0008】
このなかでも特に好ましいシリコーン化合物として、液体仕上げ剤組成物を透明にし、商品価値を高めることができる等の観点から、ポリエーテル変性シリコーンを挙げることができる。このシリコーンは、ポリエーテル基を有しないジメチルシリコーンに比べ、キシミ感が少なく良好な滑り性を有するとともに、透明な仕上げ剤組成物を得るのに好適である。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1〜3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられる。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mは10〜10000、好ましくは100〜300、Nは1〜1000、好ましくは1〜100、かつM>Nであることが好ましく、aは2〜100、好ましくは2〜50、bは0〜50、好ましくは0〜10が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
上記一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばポリオキシアルキレンアリルエーテル等の、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを白金触媒下、付加反応させることにより製造することができる。従って、ポリエーテル変性シリコーン中には未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、保管条件によっては高次に架橋して不溶性の析出物を生成する場合があるので、ポリエーテル変性シリコーン中の存在量として30ppm以下(Si−Hの量として)で存在していることが好ましい。
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、A、B、h、及びiは平均重合度であり、Rはアルキル基を表し、R’は水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Aは5〜10000、Bは2〜10000であることが好ましく、hは2〜100、iは0〜50が好ましい。Rとしては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R’としては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
上記一般式(II)で表される線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。
このようなポリエーテル変性シリコーンは、側鎖のポリオキシアルキレン鎖が長く、ポリシロキサン鎖の重合度が大きいものほど粘度が高くなるので、製造時の作業性改善及び水性組成物への配合を容易にするために、水溶性有機溶剤とのプレミックスの形で配合に供することが好ましい。該水溶性有機溶剤としては、エタノール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
【0013】
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンオイルの具体的な例としては、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY16−850、BY22−008、SF8416、SF8421、SH200C−1000CS、F8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0014】
本発明で用いる(A)成分のシリコーン化合物は、25℃における動粘度が100〜100,000,000mm2/sであるのが好ましく、1,000〜10,000,000mm2/sであるのがより好ましい。動粘度が上記範囲にあることにより、繊維製品に良好な柔軟性を付与することができる。
本発明で用いる(A)成分のシリコーン化合物の配合量は特に限定されないが、柔軟性、滑り性、組成物の粘度の点から、組成物の全質量をベースとして、3〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは6〜20質量%である。これにより、柔軟性、滑り性などの効果を優秀なものとすることができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる。
【0015】
[(B)成分:カチオン性を有する水溶性高分子化合物]
本発明において、(B)成分は、(A)成分のシリコーン化合物及び(C)成分のアニオン性界面活性剤との複合体を形成し、繊維製品表面への(A)及び(C)の吸着量を増大させ、繊維製品に対する滑り性と帯電防止性とを向上することができる。
本発明において用いることのできるカチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、水に溶解させたときに化合物全体として正に帯電するものである。つまり、カチオン性を有する水溶性高分子化合物を構成するモノマーとしては、カチオン性基のみを有するカチオン性モノマーだけでなく、アニオン性基のみを有するアニオン性モノマーもノニオン性基のみを有するノニオン性モノマーも利用できるが、化合物の荷電の総和が正であるものである。(B)成分としては、アミノ基、アミン基、第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性高分子化合物が好ましい。尚、本発明において、水溶性高分子とは25℃の水100gに対し、高分子化合物1.0gを加えたときに、その液が濁らず透明であるものをいう。
【0016】
本発明で用いるカチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、カチオン性モノマーのみから構成される重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの2元共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーの2元共重合体、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの3元共重合体などを挙げることができる。各高分子化合物を構成するモノマーは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。アニオン性基としては、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。
【0017】
(B)成分の水溶性高分子は、ゲルパーメーションクロマトグラフィ(GPC)法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜500,000である。これにより粘度の上昇を抑えて使用性を優秀なものとすることが可能となる。
【0018】
(B)成分の例としては、MERQUAT100(NALCO社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550 JL5(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280、MERQUAT295(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードMGP(ライオン製)、レオガードKGP(ライオン製)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905(BASF社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(BASF社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318(クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
このうち、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化ポリビニルアルコールが好ましい。
シリコーンの付与する滑り性や柔軟性などの風合いを妨げない観点から、(B)成分単独で吸着した時に繊維に対してあまり剛性を与えないものが好ましい。
【0019】
本発明における(B)成分として特に好ましい特に好ましい高分子としては、下記一般式(IV)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子である。この高分子の構造単位は、通常、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で表わされる。また、一般式(V)の構造単位と一般式(VI)の構造単位が共に含まれていてもよい。
【0020】
【化3】

【0021】
【化4】

【0022】
式中、c及びdは各々平均重合度であり、各々6〜30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜6000、さらに好ましくは30〜3000の範囲である。
このような高分子の例としては、MERQUAT100(Nalco社)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業)、MERQUAT550(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
本発明の(B)成分としては、上記のカチオン性を有する水溶性高分子化合物1種類を単独で用いてもよいし、混合物として用いることもできる。
【0023】
(B)成分の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲のものとするのが好ましく、例えば、組成物の全質量をベースとして、0.1〜30質量%とするのがよく、さらに好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%とするのがよい。(B)成分の配合量をこのような範囲のものとすることにより、シリコーン及びアニオン性界面活性剤の吸着促進効果が高まり、滑り性や柔軟性、帯電防止性を十分なものとすることが可能となり、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0024】
本発明の繊維製品用液体仕上げ剤組成物中において、(A)成分:(B)成分の質量比は、99:1〜1:99の範囲内であるのが好ましい。より好ましくは99:1〜50:50の範囲である。このような範囲内の比とすることにより、ポリエステルサテン等の化繊に対する滑り性や帯電防止性並びに化繊と綿に対する柔軟性をより優れたものとすることができる。尚、(A)成分と(B)成分との割合がこの範囲内にあることにより、シリコーンの繊維への吸着性を良好なものとすることができる。
【0025】
[(C)成分:両性界面活性剤又は半極性界面活性剤]
本発明において、(C)成分は、主に帯電防止性とを向上させるのに寄与する。
本発明において用いられる半極性界面活性剤としては、例えば、下記一般式(VII)で表されるアルキルジメチルアミンオキシド(アルキル基の炭素数:8〜16)、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド(アルキル基の炭素数:8〜16)等があげられる。
【0026】
【化5】

【0027】
〔式中、R1は炭素数8〜20の炭化水素基で、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、ヒドロキシル基のような置換基を任意に含んでもよい。またアミド基、エステル基又はエーテル基等の連結基をその鎖中に有していてもよい。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜3、R2及びR3は、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、−(Cn2nO)mH基(式中、n=2〜4、m=1〜3)から選ばれる。〕
この中で好ましいのは、帯電防止効果の点からアルキル又はアルケニルジメチルアミンオキシド、及びアルキル又はアルケニルアミドプロピルジメチルアミンオキシドである。さらに、炭素数10〜14の飽和もしくは不飽和脂肪酸から誘導されるアルキル又はアルケニルジメチルアミンオキシド、及び炭素数10〜14の飽和もしくは不飽和脂肪酸から誘導されるアルキル又はアルケニルアミドプロピルジメチルアミンオキシドが好ましい。
【0028】
(両性界面活性剤)
本発明において用いられる両性界面活性剤としては、下記一般式(IX)で示される両性界面活性剤があげられる。
【0029】
【化6】

【0030】
〔式中、R8は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、Yは−SO3-又は−SO4-又は−COO-を示し、R1、R2及びR3は、上記一般式(VII)に示すものと同じものを示す。〕
例えば、アルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、N−アルキルアミノ酸、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等があげられる。この中で好ましいのは、帯電防止効果の点から炭素数10〜14の飽和もしくは不飽和脂肪酸から誘導されるアルキル又はアルケニルベタイン、炭素数10〜14の飽和もしくは不飽和脂肪酸から誘導されるアルキル又はアルケニルヒドロキシスルホベタイン、及び炭素数10〜14の飽和もしくは不飽和脂肪酸から誘導されるアルキル又はアルケニルアミドプロピルベタイン、炭素数10〜14の飽和もしくは不飽和脂肪酸から誘導されるアルキル又はアルケニルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインである。
本発明の液体仕上げ剤組成物における(C)成分の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量を基準にして、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%である。(C)成分の配合量が0.1%未満であると、帯電防止効果が不十分な場合があり、30%を越えると、低温安定性が悪化する場合がある。
【0031】
[任意成分(D):アニオン性界面活性剤]
さらに、本発明の液体仕上げ剤組成物には帯電防止性をさらに向上させるために、アニオン性界面活性剤を配合することができる。
(D)成分としては、例えば以下の(1)〜(12)に示すものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖または分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LASまたはABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩またはアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)アルキレンオキサイドを平均1〜6モル付加した、炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテル硫酸塩または炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテル硫酸塩(AES);ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
【0032】
(6)アルキレンオキサイドを平均3〜30モル付加した、炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルフェニルエーテル硫酸塩または炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルフェニルエーテル硫酸塩;ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレン
オキサイドのいずれか、またはEOとPOとが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(7)アルキレンオキサイドを平均0.5〜10モル付加した、炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテルカルボン酸塩または炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテルカルボン酸塩;ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはEOとPOとが混在したもの(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
【0033】
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)α−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩。好ましくは、炭素数8〜20(好ましくは12〜18)の飽和もしくは不飽和のα−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩が挙げられる。
(10)長鎖モノアルキルリン酸塩、長鎖ジアルキルリン酸塩、または長鎖セスキアルキルリン酸塩。
(11)ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンジアルキルリン酸塩、またはポリオキシエチレンセスキアルキルリン酸塩。
(12)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩。好ましくは、炭素数12〜18の不飽和脂肪酸塩もしくは該不飽和脂肪酸塩と飽和脂肪酸塩との混合物。
【0034】
上記の(D)成分の内、化繊に対する滑り性と帯電防止性の付与効果の点から、(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖または分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LASまたはABS)、(5)炭素数10〜14のアルキル/又はアルケニルエーテル硫酸塩、(9)α−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩。好ましくは、炭素数8〜20(好ましくは12〜18)の飽和もしくは不飽和のα−スルホ脂肪酸塩またはそのエステル塩及び(12)炭素数12〜18の不飽和高級脂肪酸塩/又は該不飽和脂肪酸塩と飽和脂肪酸塩との混合物が好ましい。
上記の(D)成分は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等として用いることができる。なかでも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0035】
[(B):(D)荷電モル比]
本発明の組成物が(D)成分を含有する場合、(B)成分と(D)成分とを、(B)成分の正味の正荷電モル数と(D)成分の正味の負荷電モル数との比である「荷電モル比」が、(B):(D)=1.0:0.1〜1.0:1.0、好ましくは1.0:0.2〜1.0:0.8となる割合で添加するのが好ましい。荷電モル比が上記範囲内にあると、特に綿に対する柔軟性を維持しつつ、特に化繊に対して優れた滑り性及び帯電防止性を発揮できる。
(B)成分は、その構成単位としてカチオン性モノマーだけでなく、アニオン性モノマー及びノニオン性モノマーも含んでいてもよいが、(B)成分全体としての正荷電モル数はカチオン性モノマーに着目し、以下の式(1)に基づき、モノマー1、モノマー2、・・・モノマーiに対応する荷電モル数の和を算出することにより求める。

正荷電モル数=Wc×(Mc1×Pc1/Y1+Mc2×Pc2/Y2+・・・+Mci×Pci/Yi)・・・・・(1)

(Wc:組成物中の(B)成分の配合量(質量%)
Ma1:(B)成分中のモノマー1の重合比率(質量%)、Ma2:(B)成分中のモノマー2の重合比率(質量%)、・・・Mai:(B)成分中のモノマーiの重合比率(質量%)
Pa1:モノマー1中のカチオン性基数、Pa2:モノマー2中のカチオン性基数、・・・Pai:モノマーi中のカチオン性基数、
1:モノマー1の分子量、Y2:モノマー1の分子量、・・・Yi:モノマーiの分子量)
ここで、「カチオン性基数」とは、1単量体中のカチオン性基の個数を意味する。
(D)成分の負荷電モル数は、以下の式(2)で求められる。

負荷電モル数=Wa/Xa (2)

(Wa:組成物中の(D)成分の配合量(質量%)、Xa:(D)成分の分子量)
【0036】
[任意成分:ノニオン性界面活性剤]
さらに、本発明の液体仕上げ剤組成物には組成物の外観を透明に維持するか、或いは乳濁液の状態を安定に保持するために、ノニオン性界面活性剤および水溶性溶剤を配合することができる。
【0037】
ノニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、炭素数8〜20のアルキルアミン、またはアルキルアミドのアルキレンオキシド付加物、炭素数8〜20の飽和または不飽和脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール又はジプロピレングリコールとのモノ、ジ、トリ、テトラエステル体またはそれらの混合物などが挙げられる。中でも、下記一般式(i)で表されるノニオン性界面活性剤が好ましい。
1−T−[(R2O)p−H]q ・・・・・(i)
(式中、R1:炭素数10〜20の炭化水素基、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2:炭素数2又は3のアルキレン基、好ましくはエチレン基。p:平均付加モル数であり2〜100、好ましくは5〜70の整数である。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C24OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C24OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C24OH)−、−CONH−、又は−CON(C24OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0038】
上記一般式(i)の化合物の具体例として、下記一般式(ii)〜(v)で表される化合物を挙げることができる。
1−O−(C24O)r−H ・・・・・(ii)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり2〜100、好ましくは5〜70の整数である。
1−O−(C24O)s(C36O)t−R3 ・・・・・(iii)
(式中、R1:前記と同じ意味、s,t:平均付加モル数で、sは2〜100、好ましくは5〜70の数であり、t:1〜5、好ましくは1〜3、の数である。(C24O)と(C36O)はランダム付加体又はブロック付加体であってもよい。R3:Hもしくは炭素数1〜3のアルキル基。)
例えば、炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、オキシエチレン基が平均30〜70モル付加されたものが特に好ましい。
【0039】
【化7】

【0040】
(式中、R1は式(i)について定義したのと同じ意味であり、u及びvは平均付加モル数であり、u+vの合計は2〜60、好ましくは2〜40の数である。
【0041】
ノニオン性界面活性剤の配合量は、組成物の全質量をベースとして、0.05〜10質量%とするのがよく、特に0.25〜8質量%、更に0.5〜5質量%が好ましい。このような下限配合量とすることにより保存安定性の向上効果を十分なものとすることができ、一方、上限以下とすることにより効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに処理時の泡立ちの無さの点からも好ましいものとすることができる。
【0042】
[任意成分:水溶性溶剤]
一方、(A)成分のハンドリング性を向上させるためや、高級アルコールなどの油溶性添加剤の水性液体中への乳化分散性を向上させる等の目的で水溶性溶剤を併用することが好ましい。水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式で表わされる化合物、から選ばれる水溶性溶剤が好ましい。
4−O−(C24O)y−(C36O)z−H
(式中、R4は、炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜50、好ましくは2〜30、zは0〜50、好ましくは0〜20の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C49(C36O)1(C24O)2H]等が挙げられる。
水溶性有機溶剤の配合量は、組成物の全質量をベースとして、0.05〜15質量%とするのがよく、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは3〜8質量%とすることができる。
【0043】
[任意成分:水]
本発明の組成物は、好ましくは水性組成物であり、使用水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができるが、水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、コストも考慮してイオン交換水が最も好ましい。
【0044】
[任意成分:香料組成物]
本発明では、組成物の芳香のために香料を添加することができる。香料としては特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されており、それぞれを引用することにより、本明細書の開示の一部とする。
【0045】
[任意成分:防腐剤]
本発明の液体仕上げ剤組成物には、保存中の防腐性を保つなどの目的で、有機系防腐剤、無機系防腐剤の中から1種又は2種以上を混合して、使用できる。
これらの内から、防腐殺菌効果と保存安定性の観点から、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、イミダゾール・チアゾール系の有機硫黄化合物、安息香酸類、フェノール化合物、カチオン性界面活性剤、が好ましく、これら化合物の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0046】
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、3−イソチアゾロン基を含む有機系防腐剤が好ましい。これらの化合物は、1981年5月5日発行の米国特許第4,265,899号明細書に開示されている。
その例として、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77質量%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23質量%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、ローム・アンド・ハース社のケーソンCG/ICP(約1.5質量%水溶液)、純正化学製のジュンサイド5(約5質量%エチレングリコール溶液)などのジュンサイドシリーズに例示される市販されているものを使用することができる。
【0047】
イミダゾール・チアゾール系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用でき、それらを任意の混合比で使用することができる。このような化合物としては、アビシア社製のプロキセルシリーズ〔BDN(有効分33質量%)、BD20(有効分20質量%)、XL−2(有効分10質量%)、GXL(有効分20質量%)、LV(有効分20質量%)、TN(有効分60質量%)〕、デニサイドBIT・NIPAなどの市販品を用いることができる。
【0048】
安息香酸類及びフェノール化合物の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、3−メチル−3−イソプロピルフェノール、o−フェニルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、レゾルシン、クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどを使用することができる。
【0049】
カチオン系化合物としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウム塩、アルキルフェノキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルフェノキシエチルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、クロルヘキシジングルコン酸塩などが挙げられる。
【0050】
これらの抗菌剤は、組成物に対して0〜10質量%配合されるのが好ましく、更に好ましい配合量は、0.00001〜5質量%、より好ましくは0.00005〜3質量%である。
【0051】
[任意成分:染料]
本発明では、組成物の着色のために染料を添加することができる。染料は特に限定されないが、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノー
ト第22版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されており、それらを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。染料の配合量は、組成物の全質量をベースとして、好ましくは0.005〜25ppm、より好ましくは0.05〜15ppmとすることができる。このような配合量とすることにより、仕上げ剤組成物に適度に着色できる。
【0052】
[任意成分:酸化防止剤]
本発明では、組成物の香いや色調の安定性を向上するため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル社から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、液体仕上げ剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
酸化防止剤は、0.005〜0.5質量%の範囲で使用されることが好ましい。
【0053】
[任意成分:消泡剤、その他添加成分]
本発明の組成物には消泡剤を配合することができる。消泡剤としては、例えば、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられる。消泡剤の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量を基準として、0.05ppm〜0.5質量%とすることができ、さらに好ましくは0.5ppm〜0.05質量%とすることができる。
本発明の組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の家庭用柔軟剤もしくは繊維製品用仕上げ剤に使用されている添加剤を使用することができる。そのような添加剤として、具体的には、カチオン性界面活性剤、植物抽出物、流動パラフィン、高級アルコール、炭化水素、尿素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、後述するpH調整剤と粘度調整剤等が挙げられる。
【0054】
[pHとpH調整剤]
本発明の液体仕上げ剤組成物のpHは特に限定されないが、2〜10の範囲であることが好ましく、3〜7の範囲であることがより好ましい。必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0055】
[粘度と粘度調整剤]
本発明の組成物の粘度は特に限定されないが、洗濯のすすぎ工程ですすぎ水に添加する製品の場合5〜100mPa・s(25℃、TOKIMEC社製B型粘度計、2番ローター)であることが好ましく、一方、トリガースプレー容器やディスペンサー容器などに充填し、繊維製品に直接噴霧して使用する製品の場合は40mPa・s以下であると使用性が良好である。
本発明の液体仕上げ剤組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。これらの水溶性塩類は液体仕上げ剤組成物中に0〜1%程度配合でき、液体仕上げ剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
【0056】
[基本的製造方法]
本発明の液体仕上げ剤組成物は、上記(A)〜(C)成分及び場合により任意成分を含有し、通常、残部は水である。本発明の液体仕上げ剤組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば次のように配合できる。即ち、配合容器に所定量の(A)成分と必要に応じて非水溶性任意成分とを常温で撹拌混合する。次に、得られた混合物を撹拌しながらイオン交換水を添加し、さらに水溶性任意成分を添加した。最後に、撹拌しながら、(C)成分を添加した後、均一になる充分に撹拌混合することにより行うことができる。
【0057】
[対象とする繊維製品]
本発明の組成物を使用する対象の繊維製品としては、特に限定はされないが、例えば、タオル、スポーツウエア、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、等が挙げられる。また、対象とする繊維製品の素材も、特に限定はされないが、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維及びこれら各種繊維の混紡品、混織品、混編品等が挙げられる。
【0058】
[使用方法]
本発明の組成物の使用方法は特に限定されないが、衣料を通常の洗濯を行い、すすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行ったり、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理したり、トリガー容器やディスペンサー容器、エアゾール缶などに充填した本組成物を直接噴霧塗布する方法などが挙げられる。繊維製品の処理はいずれの方法で行ってもよいが、すすぎ処理もしくは浸漬処理する場合の浴比(繊維製品に対する処理液の質量比)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。すすぎ液中の液体仕上げ剤組成物の濃度は、0.001〜0.2質量%で用いられることが好ましく、特に0.01〜0.15質量%が、最善の性能向上効果が得られる。
【実施例】
【0059】
実施例及び比較例の液体仕上げ剤組成物を調製するのに用いた成分を以下に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
【表6】

【0066】
【表7】

【0067】
【表8】

【0068】
【表9】

【0069】
【表10】

【0070】
[液体仕上げ剤組成物の調製]
500mLビーカーに所定量の(A)成分と必要に応じて油溶性任意成分とを常温で撹拌混合した。次に、得られた混合物を撹拌しながらイオン交換水と水溶性任意成分とを順次添加した。次に、撹拌しながら、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を順次添加した後、均一になるまで充分に撹拌混合して、400gの液体仕上げ剤組成物を調製した。尚、撹拌にはマグネチックスターラーを用いた。
このようにして得られた液体仕上げ剤組成物の柔軟性及び帯電防止性を、以下のようにして評価した。
【0071】
[柔軟処理及び評価方法]
(1)評価用布の前処理
市販のポリエステルサテン(ポリエステル100%)、ポリエステルジャージ(ポリエステル100%)、および綿タオル(綿100%)を市販衣料用洗剤「トップ」[ライオン社製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)]により家庭用二槽式洗濯機を用いて下記の条件で前処理を行った後、室内で自然乾燥したものを試験布とした。
・前処理条件;洗浄15分(洗剤標準使用量:20g/30L、浴比30倍、45℃の水道水)→脱水5分の行程を2回繰り返した後、注水すすぎ15分→脱水5分の行程を5回繰り返した。
(2)柔軟性の評価
前記(1)の前処理を施した綿タオル1kgを市販衣料用洗剤「トップ」[ライオン社製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤]で15分洗浄し(洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)、ためすすぎ2回目に、実施例及び比較例に示す液体仕上げ剤組成物を水量30リットルに対して10g加えて、繊維製品の仕上げ処理(浴比30倍、25℃の水道水使用、3分)を行った。その後、20℃、40%RHの条件で自然乾燥し、柔軟性の評価を行った。
前記(2)の洗濯行程での処理において仕上げ剤を用いずに処理した綿タオルを対照として専門パネラー10人による柔軟性の官能一対比較を行い、以下に示す評価基準により評価を行った。
<評価基準>
+2:対照よりはっきり良好
+1:対照よりやや良好
0 :対照とほぼ同じ
−1:対照の方がやや良好
−2:対照の方がはっきり良好
<判定基準>
◎:1.5〜2.0点
○:1.0以上〜1.4点
△:0.5〜0.9点
×:0.4点以下
【0072】
(3)帯電防止効果の評価
前記(1)の前処理を施したポリエステルサテン、ポリエステルジャージ、および綿タオルを化繊と綿の質量比が1対1、市販衣料用洗剤「トップ」[ライオン社製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤]で15分洗浄し(洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)、ためすすぎ2回目に、実施例及び比較例に示す液体仕上げ剤組成物を水量30リットルに対して10g加えて、繊維製品の仕上げ処理(浴比30倍、25℃の水道水使用、3分)を行った。その後、家庭用衣類乾燥機(National NH-D45A)を使用して1.5時間乾燥させたときの、静電気発生状況を下記基準で評価した。なお、乾燥終了直後の乾燥機内の温度及び相対湿度は、それぞれ約50℃、約10%であった。比較例3を同条件で処理した布を対照にして、帯電防止効果を次の基準で評価した。
◎:対照よりもはっきりと静電気が発生しない。
○:対照よりもやや静電気が発生しない。
△:対照と同等。
×:対照よりも静電気が発生する。
【0073】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シリコーン化合物、
(B)カチオン性を有する水溶性高分子、及び
(C)両性界面活性剤又は半極性界面活性剤
を含有する液体仕上げ剤組成物。
【請求項2】
さらに、(D)アニオン性界面活性剤を含有する請求項1記載の液体仕上げ剤組成物。
【請求項3】
(B)と(D)との荷電モル比が、(B)/(D)=1.0:0.1〜1.0:1.0である請求項2記載の液体仕上げ剤組成物。
【請求項4】
(C)成分が、炭素数10〜14の飽和もしくは不飽和脂肪酸から誘導される、アルキル又はアルケニルベタイン、アルキル又はアルケニルヒドロキシスルホベタイン 、アルキル又はアルケニルアミドプロピルベタイン及びアルキル又はアルケニルジメチルアミンオキシドからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の液体仕上げ剤組成物。

【公開番号】特開2009−161866(P2009−161866A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339748(P2007−339748)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】