説明

液体供給装置及び液体カートリッジ

【課題】液体カートリッジ及びカートリッジ装着部の構成を簡略化しつつ、ユーザの装着動作を簡便にする。
【解決手段】インク供給装置5の複数のカートリッジ装着部22は、供給口の位置がそれぞれ異なる複数のインクカートリッジ6を装着可能である。各カートリッジ装着部22は、複数のインクカートリッジ6の供給口と対応する複数の接続口25a〜25dを有している。複数の接続口25a〜25dは、それぞれ独立した供給流路26a〜26dと接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を供給する液体供給装置及び液体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な技術分野において、複数種類の液体カートリッジをそれぞれ装着可能な複数のカートリッジ装着部を有し、カートリッジ装着部に装着された液体カートリッジから種々の対象に対して液体を供給する液体供給装置が広く知られている。例えば、特許文献1に記載の液体供給装置において、複数のカートリッジ装着部には、接続口がそれぞれ1つずつ設けられており、複数種類の液体カートリッジの装着位置が決まっている。そして、複数種類の液体カートリッジは、供給口の位置が同じである。これでは、誤装着が生じるおそれがあるため、誤装着を防止する工夫が必要であり、この液体供給装置において、複数種類の液体カートリッジには、装着時にカートリッジ装着部と対向する面に、種類によって異なる形状の係合案内部がそれぞれ形成されている。また、複数のカートリッジ装着部には、複数種類の液体カートリッジの係合案内部に対応した形状の係合受け部がそれぞれ形成されている。各カートリッジ装着部は、そのカートリッジ装着部に形成された係合受け部が対応する特定の係合案内部が形成された液体カートリッジのみを装着可能となっており、誤装着を防止している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−54007号公報(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の液体供給装置においては、複数のカートリッジ装着部に対して装着したい液体カートリッジの装着位置を確認する必要があり、ユーザの装着動作が面倒であった。また、誤装着を防止するためのカートリッジ装着部及び液体カートリッジの構成が複雑であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、液体カートリッジ及びカートリッジ装着部の構成を簡略化しつつ、ユーザの装着動作を簡便にした液体供給装置及び液体カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体供給装置は、それぞれ異なる位置に供給口が設けられた複数種類の液体カートリッジと、前記複数種類の液体カートリッジを装着可能な複数のカートリッジ装着部を備えており、各カートリッジ装着部は、前記複数種類の液体カートリッジの供給口とそれぞれ対応する複数の接続口を有しており、前記複数の接続口は、複数の供給流路とそれぞれ接続されており、各液体カートリッジは、前記カートリッジ装着部に装着された際に前記複数の接続口のうちこの液体カートリッジの供給口に対応する接続口以外の接続口と対向する位置に配置されたゴムを有しており、前記カートリッジ装着部に装着された前記液体カートリッジの前記ゴムは、対向する前記接続口を封止する。
また、本発明の液体カートリッジは、供給口の位置がそれぞれ異なる複数種類の液体カートリッジを装着可能な複数のカートリッジ装着部を備えており、各カートリッジ装着部は、前記複数種類の液体カートリッジの供給口とそれぞれ対応する複数の接続口を有しており、前記複数の接続口は、複数の供給流路とそれぞれ接続されている液体供給装置に装着される液体カートリッジであって、前記カートリッジ装着部に装着された際に、前記複数の接続口のうちのいずれか1つに対向する位置に設けられた供給口と、前記カートリッジ装着部に装着された際に、前記複数の接続口のうち前記供給口に対向する接続口以外の接続口と対向する位置に配置されたゴムとを有しており、前記カートリッジ装着部に装着された際に、前記ゴムが対向する前記接続口を封止する。
【0007】
本発明の液体供給装置によると、各カートリッジ装着部に複数種類の液体カートリッジの供給口にそれぞれ対応する複数の接続口が形成されている。そのため、複数種類の液体カートリッジを複数のカートリッジ装着部のどの位置に装着しても、液体カートリッジの供給口は、液体カートリッジの種類に対応した接続口と連通し、供給流路に液体を供給することができる。このように、複数種類の液体カートリッジの装着位置が不問となり、ユーザの装着動作が簡便となる。また、誤装着を防止するための構成を液体カートリッジやカートリッジ装着部に設けることが不要となり、液体カートリッジ及びカートリッジ装着部の構成を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0008】
各カートリッジ装着部に複数種類の液体カートリッジの供給口にそれぞれ対応する複数の接続口が形成されているため、複数種類の液体カートリッジの装着位置が不問となり、ユーザの装着動作が簡便となる。また、装着位置が不問であることで、誤装着を防止するための構成を液体カートリッジやカートリッジ装着部に設けることが不要となり、液体カートリッジ及びカートリッジ装着部の構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略平面図である。
【図2】インク供給装置の概略斜視図である。
【図3】インク供給装置を上から見たときの平面図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】図2のB−B線断面図である。
【図6】インクカートリッジの縦断面図である。
【図7】変形例1におけるインクジェットカートリッジの縦断面図である。
【図8】変形例2における図5相当の図である。
【図9】変形例3における図5相当の図である。
【図10】変形例4における図2相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、インクジェットヘッドから記録用紙に対してインクを噴射することにより、記録用紙に所望の文字や画像などを記録(印刷)するプリンタに、本発明を適用したものである。
【0011】
まず、プリンタ1の概略構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略平面図である。図1に示すように、プリンタ1は、一方向に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3及びサブタンク4と、インクを貯留するインクカートリッジ6(液体カートリッジ)を着脱自在に装着可能なインク供給装置5(液体供給装置)などを備えている。
【0012】
プリンタ1には、水平な一方向(図1の左右方向:走査方向)に平行に延びるとともに、走査方向と直交する紙送り方向に間隔を空けて配置された2本のガイドフレーム17a、17bが設けられており、これら2本のガイドフレーム17a、17bにキャリッジ2が取り付けられている。そして、キャリッジ2は、2本のガイドフレーム17a、17bによって案内されつつ、キャリッジ駆動機構12によって走査方向に往復駆動される。キャリッジ駆動機構12は、キャリッジ2に連結された無端ベルト18と、無端ベルト18を走行させるキャリッジ駆動モータ19を含んでいる。そして、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18が走行駆動されたときに、キャリッジ2が、無端ベルト18の走行に伴って走査方向に往復移動するようになっている。
【0013】
キャリッジ2には、インクジェットヘッド3と4つのサブタンク4が搭載されている。4つのサブタンク4は、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクにそれぞれ対応しており、走査方向に並べて配置され、これら4つのサブタンク4の下方にはインクジェットヘッド3が設けられている。各サブタンク4は、インクカートリッジ6から供給されたインクを一時貯留する。また、4つのサブタンク4の一方端部にはチューブジョイント21が一体的に設けられており、4つのサブタンク4は、チューブジョイント21に連結された4本の可撓性のチューブ11をそれぞれ介して、インク供給装置5に接続されている。一方、4つのサブタンク4の他方端部は、インクジェットヘッド3の上面に設けられたインク供給口(図示省略)に接続されている。これにより、インク供給装置5に装着されたインクカートリッジ6からチューブ11を介して供給されたインクが、サブタンク4で一時貯留され、さらに、サブタンク4内のインクはインクジェットヘッド3へ供給される。
【0014】
インクジェットヘッド3の下面には、図示しない複数のノズルが形成されている。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、図示しない搬送機構により紙送り方向(図1の下方)に搬送される記録用紙Pに向けて、サブタンク4から供給されたインクを複数のノズルからそれぞれ噴射する。これにより、記録用紙Pに所望の文字や画像などが記録される。
【0015】
インク供給装置5は、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ6を着脱自在に装着可能な4つのカートリッジ装着部22を有するホルダ10からなる。
【0016】
このインク供給装置5について図2〜5を参照して詳細に説明する。図2は、インク供給装置の概略斜視図である。図3は、インク供給装置を上から見たときの平面図である。図4は、図2のA−A線断面図である。図5は、図2のB−B線断面図である。
【0017】
図2〜図5に示すように、インク供給装置5のホルダ10は、装着されたインクカートリッジ6内のインクをチューブ11を介してサブタンク4に供給する直方体形状の底壁10aと、底壁10aのX方向(紙送り方向)両端部から鉛直方向上向きに立設した2つの側壁10bとを有している。これら底壁10aと2つの側壁10bは、インクカートリッジ6をY方向(走査方向)に4つ並べて装着可能な4つのカートリッジ装着部22を構成している。
【0018】
底壁10aは、上面から鉛直方向上向きに突出した複数の円筒部材23と、内部に形成された4つの供給流路26a〜26dとを有している。
【0019】
円筒部材23は、中空の内部が流路となっており、その先端は、鉛直方向上向きに開口し、インクカートリッジ6の後述する供給口38aと接続可能な接続口25となっている。複数の円筒部材23は、X方向に4つ並んでおり、その列がY方向に4列並べて配置されている。なお、本実施形態においては、複数の円筒部材23の接続口25は、X方向に関する位置に応じて、色の異なる異種のインクが供給されることから、図3の上方から順に接続口25a〜25dとする。つまり、底壁10aには、X方向に4つ並んだ接続口25a〜25dの列が、Y方向に4列並べて形成されている。このX方向に4つ並んだ接続口25a〜25dは、1つのカートリッジ装着部22に対応している。そして、このX方向に4つ並んだ接続口25a〜25dの列はY方向に4列並んで、Y方向に並ぶ4つのカートリッジ装着部22に対応している。このように、各カートリッジ装着部22には、4つの接続口25a〜25dが配置されている。また、4つのカートリッジ装着部22は、マトリックス状に複数の接続口25が配置されたコンパクトな構成となっている。
【0020】
供給流路26は、底壁10aの内部において、同種のインクが供給されるY方向に並んだ4つの流路が連通して、Y方向に延在した1つの流路を構成しており、チューブ11に接続されている。供給流路26を構成する4つの流路は、X方向に関する位置が同じであり、Y方向に並んだ4つの円筒部材23内の流路とそれぞれ接続されている。そして、このような供給流路26が、X方向に4つ並べて配置されている。なお、本実施形態においては、4つの供給流路26は、図3の上方から順に供給流路26a〜26dとする。したがって、4つの供給流路26a〜26dは、4つの接続口25a〜25dにそれぞれ対応する円筒部材23とX方向に関する位置がそれぞれ同じになっており、4つのチューブ11にそれぞれ接続されている。
【0021】
このように、1つのカートリッジ装着部22のX方向に4つ並んだ異種の接続口25a〜25dは、それぞれが形成された円筒部材23を介して独立の4つの供給流路26a〜26dにそれぞれ接続されている。また、異なるカートリッジ装着部22間で、X方向に関して同じ位置にある、Y方向に4つ並んだ同種の接続口25は、それぞれが形成された円筒部材23を介して1つの供給流路26に接続されている。具体的には、一例として、図5に示すように、図2の左方から3番目のY方向に4つ並んだ接続口25cは、1つの供給流路26cに接続され、対応するチューブ11に接続されている。その他のY方向に4つ並んだ接続口25も、1つの供給流路26に接続され、対応するチューブ11に接続されている。このように、各カートリッジ装着部22に配置された4つの接続口25a〜25dは、4色のインクに対応した4つのチューブ11にそれぞれ連通している。
【0022】
これにより、1つのカートリッジ装着部22に対応するX方向に並んだ4つの接続口25a〜25dにそれぞれ供給されるインクは、独立した4つの供給流路26a〜26dをそれぞれ介して、4つのチューブ11にそれぞれ流れる。
【0023】
次に、インクカートリッジ6について図6を参照して説明する。図6は、インクカートリッジの縦断面図である。なお、4色のインクがそれぞれ貯留された4つのインクカートリッジ6は、後述する供給口38aの位置が異なるだけで、その他の構成については同様であるため、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ6の構成について説明し、残りの3色のインクがそれぞれ貯留されたインクカートリッジ6の構成については供給口38aの違いについてのみ説明する。
【0024】
図6に示すように、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ6は、中空の直方体状であり、インクを貯留するインク貯留室33が形成されたカートリッジ本体30を有している。カートリッジ本体30の上壁30aには、大気連通孔34が形成されており、底壁30bには、一方向に並び、カートリッジ装着部22の4つの接続口25a〜25dにそれぞれ対応した4つの連通孔35a〜35dが形成されている。3つの連通孔35a〜35cには、インク貯留室33側からシール部材であるゴム37が貼り付けられている。残りの1つの連通孔35dには、インク貯留室33側から孔である供給口38aが形成されたゴム38が貼り付けられている。3つの連通孔35a〜35cは、ゴム37によりインク貯留室33内のインクが流れ出さないように封止されている。残り1つの連通孔35dは、インクカートリッジ6がカートリッジ装着部22に装着されると、ゴム38の供給口38aからインク貯留室33内のインクが流れ出し、装着されていないときにはインク貯留室33内のインクが流れ出さないように図示しないバルブ機構などの封止手段によって封止可能となっている。
【0025】
ブラック以外の残りの3色のインクがそれぞれ貯留されたインクカートリッジ6は、インク貯留室33に貯留されたインクの色ごとに4つの連通孔35a〜35dのうちゴム38が貼り付けられている連通孔35が異なっている。また、ゴム38が貼り付けられた連通孔35以外の残りの3つの連通孔35には、ゴム37が貼り付けられている。このように、4色のインクがそれぞれ貯留されたインクカートリッジ6は、インク貯留室33内に貯留されたインクの色ごとにカートリッジ装着部22に装着されたときに、インクが流れ出す位置が一方向にずれて異なっている。
【0026】
ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ6を、供給口38aを鉛直方向下向きにした状態でカートリッジ装着部22に装着すると、インクカートリッジ6の一方向に並んだ4つの連通孔35の内周面及びゴム37、38からなる凹部が、X方向に並んだ4つの円筒部材23の底壁10aから突出した部分と嵌合する。
【0027】
そして、カートリッジ装着部22の3つの接続口25a〜25cが、インクカートリッジ6の連通孔35a〜35cに貼り付けられたゴム37と当接し、3つの接続口25a〜25cは封止される。また、カートリッジ装着部22の残りの接続口25dは、インクカートリッジ6の連通孔35dに貼り付けられたゴム38と当接するが、このとき、図示しない封止手段によるゴム38の供給口38aの封止が解除され、連通孔35dと連通し、インク貯留室33内のインクは接続口25dを介して供給流路26dに流れ出す。そして、供給流路26dに流れ出したブラックのインクは、対応するチューブ11を介してサブタンク4に供給される。
【0028】
これは、ブラック以外の残り3色のインクがそれぞれ貯留されたインクカートリッジ6をカートリッジ装着部22に装着したときにも同様であり、インク貯留室33に貯留されたインクの色に対応してゴム38が貼り付けられた連通孔35のみが、対応する接続口25と連通し、インク貯留室33内のインクはその対応する接続口25を介して供給流路26に流れ出し、対応するチューブ11を介してサブタンク4に供給される。このように、X方向に並ぶ複数の接続口25a〜25cの、インクカートリッジ6に対する並び順は、カートリッジ装着部22同士で同じになっている。
【0029】
このように、本実施形態におけるインク供給装置5の各カートリッジ装着部22には、4色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ6の4つの連通孔35a〜35dに対応する4つの接続口25a〜25dが配置されている。そして、この4つの接続口25a〜25dからそれぞれ供給されたインクは、それぞれ異なる供給流路26及びチューブ11を介して対応する4つのサブタンク4にそれぞれ供給される。X方向に関して同じ位置で、Y方向に並んでそれぞれのカートリッジ装着部22に配置された4つの接続口25には、インクカートリッジ6から同じ色のインクが供給される。そして、Y方向に並んだ4つの接続口25から供給されたインクは、1つの供給流路26及びチューブ11を介して対応するサブタンク4に供給される。
【0030】
したがって、4色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ6は、4つのカートリッジ装着部22に対する装着位置が決められることがなく、任意の位置に装着することができ、どの位置に装着したとしても、インクカートリッジ6の供給口38aはインクカートリッジ6の種類に対応した接続口25と連通し、この接続口25と接続された供給流路26を介して対応するサブタンク4(インクジェットヘッド3)に対してインクを供給することができる。このように、インクカートリッジ6の装着位置が不問となり、ユーザの装着動作が簡便となる。
【0031】
また、仮に、インクカートリッジ6ごとに装着可能なカートリッジ装着部22の位置が決められている場合には、カートリッジ装着部22へのインクカートリッジ6の誤装着を防止するために、インクカートリッジ6及びカートリッジ装着部22に誤装着を防止するための複雑な構成が必要となるが、本実施形態では、インクカートリッジ6のカートリッジ装着部22に対する装着位置は不問であるため、誤装着を防止するための構成をインクカートリッジ6及びカートリッジ装着部22に設けることが不要となり、インクカートリッジ6及びカートリッジ装着部22の構成を簡略化することができる。
【0032】
さらに、同じ色のインクが供給されるY方向に並んだ4つの接続口25は、1つの供給流路26に接続されているため、色ごとの4つの供給流路26を、インクを供給する下流側の接続対象であるサブタンク4(インクジェットヘッド3)にそれぞれ接続するチューブ11は、色ごとの4本で済む。このように、同じ色のインクが供給される4つの接続口25と接続される供給流路26を1つの流路とすることで、サブタンク4(インクジェットヘッド3)への液体供給部の構成を簡素化することができる。
【0033】
また、接続口25が鉛直方向上向きに開口していることで、インクカートリッジ6は底面に供給口38aが形成されることとなり、鉛直方向下向きにインクを供給することができる。そのため、インクカートリッジ6内のインクを残さず最後まで供給することができる。また、ここで、4つのカートリッジ装着部22にそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ6のうち、いずれかのインクカートリッジ6を交換する場合には、まず、交換するインクカートリッジ6をカートリッジ装着部22から取り外し、新たなインクカートリッジ6をカートリッジ装着部22に装着する。このインクカートリッジ6を着脱する際に、カートリッジ装着部22の4つの接続口25a〜25dからはエアが混入しやすい。接続口25からエアが混入してしまうと、このエアが連通した供給流路26に流れ、流路詰まりを起こしてしまうおそれがある。
【0034】
このとき、交換するインクカートリッジ6の供給口38aと接続される接続口25と連通する流路については、インクジェットヘッド3からインクを強制噴射させてエアを除去するパージ動作を行うこともできるが、残りの3つの接続口25と連通する流路についてまでパージ動作を行うと、いずれかのインクカートリッジ6を交換するたびに全てのインクに対応する流路についてパージ動作を行うことになり、インク消費量が増大してしまう。そこで、接続口25が鉛直方向上向きに開口していることで、インクカートリッジ6の交換時などに接続口25からエアが混入しにくい。また、たとえエアが混入したとしても、エアは浮力により上方に移動するため、供給流路26に流れにくくなり、流路詰まりを防止することができる。
【0035】
次に、上述した実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。ただし、上述した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0036】
本実施形態においては、カートリッジ装着部22の接続口25は、鉛直方向上向きに開口していたが、開口する向きは任意であってもよい(変形例1)。ただし、この場合には、接続口25の開口する向きに応じてインクカートリッジ6の構成を以下のようにするのが好ましい。例えば、カートリッジ装着部22の接続口25が、上述した実施形態と同様の構成で、水平方向に開口しているときを例に挙げてインクカートリッジの構成について図7を参照して説明する。図7は、変形例1におけるインクジェットカートリッジの縦断面図であり、(a)〜(d)はそれぞれ異なる色のインクが貯留されたインクカートリッジである。
【0037】
このとき、図7(a)〜(d)に示すように、それぞれ異なる色のインクが貯留された4つのインクカートリッジ106a〜106dには、装着される状態におけるカートリッジ本体130の上壁130aに大気連通孔134が形成されており、側壁130bに連通孔35a〜35dが形成されている。そして、上述した実施形態と同様に、インクの色ごとに4つの連通孔35a〜35dのうちゴム38が貼り付けられている連通孔35が異なっており、ゴム38が貼り付けられた連通孔35以外の残りの3つの連通孔35には、ゴム37が貼り付けられている。また、4つのインクカートリッジ106a〜106dの内部は、仕切り板131によって2つの空間に分かれており、連通孔35a〜35dが形成されている側壁130bから離れている側の空間にインクが貯留されている。仕切り板131の下端には、貫通孔132が形成されており、貫通孔132とゴム38の供給口38aはチューブ139により接続されている。このように、インクカートリッジ106内のインクが、仕切り板131の下端の貫通孔132からチューブ139を介してゴム38の供給口38aに接続されていることで、インクカートリッジ106の鉛直方向に関するいずれの位置に供給口38aがあったとしても、インクカートリッジ106内のインクを最後まで供給することが可能となる。
【0038】
ここで、4つのカートリッジ装着部22にそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ106のうち、いずれかのインクカートリッジ106を交換する場合に、交換するインクカートリッジ106をカートリッジ装着部22から取り外したときに、インクカートリッジ106が取り外されたカートリッジ装着部22の4つの接続口25a〜25dからはエアが混入しやすく、混入したエアによって流路詰まりを起こしてしまうおそれがある。そこで、混入したエアを下流の流路に流さない、もしくは、除去するために、インク供給装置の構成を以下のようにするのが好ましい(変形例2及び変形例3)。
【0039】
まずは、混入したエアを下流の流路に流さないためのインク供給装置の構成について図8を参照して説明する(変形例2)。図8は、変形例2における図5相当の図であり、(a)は接続口と供給流路が捕捉空間のみで接続されている場合であり、(b)は接続口と供給流路の間の流路の一部に捕捉空間が設けてある場合である。図8(a)に示すように、本変形例においては、上述した実施形態における円筒部材23が、供給流路26に向かうにつれて縮径する筒部材123となっており、その他の構成については上述した実施形態と同様である。筒部材123は、その先端がインクカートリッジの供給口38aと接続され、または、ゴム37によって封止される接続口125となっている。また、接続口125と供給流路26との間の筒部材123内の空間は、エアを捕捉する捕捉空間127となっており、捕捉空間127の出口部分である供給流路26と接続される部分の断面積は、捕捉空間127のインクの流れる方向と直交する方向の断面積よりも小さくなっている。これにより、インクカートリッジを交換する場合に、交換するインクカートリッジをカートリッジ装着部から取り外したときに、接続口125から混入したエアは、筒部材123の捕捉空間127に捕捉される。そして、捕捉空間127の出口部分の流路抵抗は、捕捉空間127内の流路抵抗よりも大きくなっている。そのため、ある接続口125がインクカートリッジの供給口38aと連通し、供給流路26内のインクに流れが生じたときに、それぞれの捕捉空間127内のエアが滞留していたとしても、捕捉空間127の出口部分の流路抵抗が大きいため、エアが供給流路26に流入しにくくなる。このように、供給流路26で合流する前に捕捉空間127でエアを捕捉することで、エアによる流路詰まりを防止することができる。また、図8(b)に示すように、接続口125は、本実施形態と同様であり、それぞれの接続口125から供給流路26までの間に捕捉空間127が設けてあってもよい。
【0040】
次に、混入したエアを除去するためのインク供給装置の構成について図9を参照して説明する(変形例3)。図9は、変形例3における図5相当の図である。本変形例においては、供給流路26とチューブ11との接続部にエアバッファ160が設けられているだけで、その他の構成については上述した実施形態と同様である。エアバッファ160は、供給流路26とチューブ11の接続部から上方に分岐しており、その上部においてカートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジと連通する構成となっている。これにより、供給流路26で合流した後においてエアが混入している場合に、そのエアはチューブ11に流れる前に浮力によりエアバッファ160に捕捉される。そして、エアバッファ160に捕捉されたエアは図示しないポンプなどのエア除去手段により吸引されてカートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジに排出される。このように、供給流路26で合流した後にエアバッファ160でエアを捕捉して除去することで、サブタンク4(インクジェットヘッド3)にエアが混入して生じる流路詰まりを防止することができる。なお、エアバッファ160に捕捉されたエアは、インクカートリッジに排出せずに、エア除去手段により大気に排出してもよい。これらの上述した変形例2、3は、変形例1に限らず、上述した実施形態など接続口の開口する向きがいかなる場合においても適用することができる。特に、変形例2において、接続口125が上方に開口する場合には、捕捉空間127が供給流路26よりも上方であるため、浮力によって上方に移動する流路内のエアをより効率的に捕捉することができる。
【0041】
また、本実施形態においては、供給流路26は、カートリッジ装着部22を構成するホルダ10の底壁10a内に形成されていたが、ホルダ10に形成されずに、チューブなどで構成されていてもよい。
【0042】
さらに、本実施形態においては、4つのカートリッジ装着部22に、それぞれ異なる色のインクが貯留された4つのインクカートリッジ6をそれぞれ装着していたが、複数のカートリッジ装着部22に同じ色のインクを貯留するインクカートリッジ6をそれぞれ装着してもよい。例えば、モノクロ印刷であれば、ブラックのインクしか使用しないため、全てのカートリッジ装着部22にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ6を装着してもよい。このとき、装着時に複数のインクカートリッジ6内のインク容量(液面高さ)が異なっていても、供給流路26を介して連通することで、全て同じインク容量となり、1つのインクカートリッジ6内のインクだけが過剰に消費されるようなことはなく、均等にインク消費される。
【0043】
また、全てのカートリッジ装着部22にブラックインクが貯留されたインクカートリッジ6を装着することに限られず、全てのカートリッジ装着部22にイエロー、シアン、マゼンタのうちいずれか1種類のカートリッジ6のみを装着してもよい。さらに、カートリッジ装着部22に、4色のインクのうち、いずれか2種類のインクカートリッジ6を装着してもよく、また、いずれか3種類のインクカートリッジ6を装着してもよい。これにより、カートリッジ装着部22に、消費量の少ないインクを貯留するインクカートリッジ6に比べて、消費量の多いインクを貯留するインクカートリッジ6をより多く装着できるため、インクカートリッジ6を交換する頻度を減らすことができる。
【0044】
加えて、本実施形態におけるインク供給装置5には、複数色のインクカートリッジ6ではなく、図10に示すように、大容量のインクカートリッジ170を装着することも可能である(変形例4)。このとき、インクカートリッジ170の供給口は、カートリッジ装着部22の個数に対応した数であってもよいし、1つであってもよい。
【0045】
また、本実施形態においては、4色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ6に対応してカートリッジ装着部22は4つの接続口25a〜25dを有していたが、接続口の数は、種類の異なるインクカートリッジの数に対応する数であればよく、任意の数であればよい。
【0046】
さらに、本実施形態においては、カートリッジ装着部22の同じ色のインクが供給される接続口25は、供給流路26において1つに合流して、1本のチューブ11を介してサブタンク4と接続されており、サブタンク4との接続部の数(チューブ11の数)は、カートリッジ装着部22に装着される種類の異なるインクカートリッジの数に対応していたが、複数の接続口25とそれぞれ接続される供給流路が連通することなく、それぞれ独立して複数のチューブ11(例えば、本実施形態では、16本のチューブ11)を介してサブタンク4と接続されていてもよい。
【0047】
また、本実施形態においては、インクカートリッジ6の供給口38aがゴム38に形成されていたが、これに限られず、ゴム38に供給口38aが形成されていなくてもよい。この場合には、カートリッジ装着部22の円筒部材23が中空針であって、インクカートリッジ6のゴム37がゴム38の厚さよりも厚く、円筒部材23(中空針)は、ゴム38を貫通するが、ゴム37は貫通しないように構成すればよい。具体的には、貯留されているインクに対応する連通孔35がゴム38で封止されており、それ以外の連通孔35がゴム38よりも厚さが厚いゴム37で封止されている。そして、インクカートリッジ6をカートリッジ装着部22に装着したときに、ゴム38に対応する円筒部材23(中空針)がゴム38を貫通し、インク貯留室33と供給流路26が連通する。一方、ゴム37はゴム38よりも厚いため、円筒部材23(中空針)は、ゴム37を貫通することなく、ゴム37は、依然として連通孔35を封止したままである。これによれば、インクカートリッジ6に供給口38aが形成されていないため、供給口38aを封止する必要がない。また、接続口25は、径の細い中空針の先端に形成されているため、インクカートリッジ6をカートリッジ装着部22から取り外した際に、接続口25からインクが流れ出すことがない。
【0048】
以上説明した実施形態及びその変更形態は、プリンタのインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給装置5に本発明を適用したが、本発明の適用対象はこのようなプリンタに限られず、様々な技術分野で用いられる下流側の装置に対して液体を供給する液体供給装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 プリンタ
3 インクジェットヘッド
5 インク供給装置
6 インクカートリッジ
22 カートリッジ装着部
25a〜25d 接続口
26a〜26d 供給流路
38a 供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給口が設けられた液体カートリッジと、
前記供給口の位置がそれぞれ異なる複数種類の液体カートリッジを装着可能な複数のカートリッジ装着部とを備えており、
各カートリッジ装着部は、前記複数種類の液体カートリッジの供給口とそれぞれ対応する複数の接続口を有しており、
前記複数の接続口は、複数の供給流路とそれぞれ接続されており、
各液体カートリッジは、前記カートリッジ装着部に装着された際に前記複数の接続口のうちこの液体カートリッジの供給口に対応する接続口以外の接続口と対向する位置に配置されたゴムを有しており、
前記カートリッジ装着部に装着された前記液体カートリッジの前記ゴムは、対向する前記接続口を封止することを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
供給口の位置がそれぞれ異なる複数種類の液体カートリッジを装着可能な複数のカートリッジ装着部を備えており、各カートリッジ装着部は、前記複数種類の液体カートリッジの供給口とそれぞれ対応する複数の接続口を有しており、前記複数の接続口は、複数の供給流路とそれぞれ接続されている液体供給装置に装着される液体カートリッジであって、
前記カートリッジ装着部に装着された際に、前記複数の接続口のうちのいずれか1つに対向する位置に設けられた供給口と、
前記カートリッジ装着部に装着された際に、前記複数の接続口のうち前記供給口に対向する接続口以外の接続口と対向する位置に配置されたゴムとを有しており、
前記カートリッジ装着部に装着された際に、前記ゴムが対向する前記接続口を封止することを特徴とする液体カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−99966(P2013−99966A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−34276(P2013−34276)
【出願日】平成25年2月25日(2013.2.25)
【分割の表示】特願2009−293983(P2009−293983)の分割
【原出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】