説明

液体供給装置及び液体供給方法

【課題】使用時に広い作業スペースを確保することができるとともに、設置安定性の高い液体供給装置を提供すること。
【解決手段】液体を収容するための液体用容器と、上記液体用容器を所定の空間内に吊り下げるための吊り下げ機構と、上記所定の空間内に吊り下げられた上記液体用容器に収容された液体を流すための液体供給管と、上記液体供給管に流された液体を所定量吐出させるための液体吐出機構とを備えることを特徴とする液体供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給装置及び液体供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手指洗浄用の洗剤や、食器洗浄用の洗剤、消毒殺菌剤等の液体を保管し、保管された液体を必要に応じて所定量供給することを目的として、液体を収容するための液体用容器と、液体用容器に収容された液体を吐出するための液体吐出機構とを備えた液体供給装置が種々知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、液体吐出機構として押下ポンプを採用した押下ポンプ式液体供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−286498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の押下ポンプ式液体供給装置を使用した場合には、流し台等の作業台の作業スペースが狭くなるという問題がある。
また、押下ポンプ式液体供給装置の設置安定性が低いという問題がある。
その理由について、以下に図面を用いて説明する。
【0006】
図9は、従来の押下ポンプ式液体供給装置を作業台に設置した状態を模式的に示す斜視図である。
【0007】
図9に示したように、特許文献1に記載の押下ポンプ式液体供給装置100は、略円筒形状の液体用容器200と、液体用容器200の開口部に取り付けられたポンプ300とからなる。
【0008】
ポンプ300は、吐出口311を有し、上下方向に運動可能な押下部材310と、押下部材310を押し下げることにより液体を吸上げ可能な吸上げ機構320と、吸上げ機構320の下部と一方の端部が接続し、液体用容器200内に収容された液体400に他方の端部が浸漬するように構成された吸上げパイプ330とからなる。
押下部材310、吸上げ機構320及び吸上げパイプ330の内部には、吐出口311から吸上げパイプ330の液体浸漬側の端部まで連通する液体流路が形成されている。
【0009】
押下ポンプ式液体供給装置100を使用する場合には、まず、押下ポンプ式液体供給装置100を流し台500の上に設置する。
次に、押下部材310を押し下げる。これにより、吸上げ機構320が作動し、液体用容器200内に収容された液体400が吸上げパイプ330及び吸上げ機構320を通じて吐出口311から所定量吐出される。
【0010】
このように、押下ポンプ式液体供給装置100では、液体400を吐出させるのに押下部材310を押し下げる必要があり、押下ポンプ式液体供給装置100を安定した流し台500に設置して使用する必要がある。
そのため、押下ポンプ式液体供給装置100の設置により、流し台500の作業スペースが狭くなるという問題がある。また、その結果、食器洗浄等の作業効率が低下することが懸念される。
特に、食品製造業等に使用される業務用の液体供給装置としては、大量の液体を収容した大型の液体供給装置を使用する傾向にあり、この問題は特に顕著である。
【0011】
また、押下部材を押し下げる際に過剰な力が加えられた場合には、押下ポンプ式液体供給装置が倒れたり、元の位置から移動して作業台から落下したりするおそれがある。
傾斜面や凹凸面となった水平でない作業台に押下ポンプ式液体供給装置を設置した場合には、押下ポンプ式液体供給装置が不安定になって倒れたり、作業台から落下したりするおそれもある。
このように、押下ポンプ式液体供給装置では、設置安定性が低いという問題がある。
そして、押下ポンプ式液体供給装置が倒れたり、作業台から落下したりした場合には、液体用容器内に収納された液体が外部に漏れることがあり、食器等の作業対象物の汚染が引き起こされることが懸念される。
【0012】
そのため、使用時に広い作業スペースを確保することができるとともに、設置安定性の高い液体供給装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、従来の押下ポンプ式液体供給装置とは全く異なる技術的思想に基づき、液体用容器を所定の空間内に吊り下げるための吊り下げ機構を採用することにより、使用時に広い作業スペースを確保することができるとともに、設置安定性の高い液体供給装置とすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明の液体供給装置は、液体を収容するための液体用容器と、上記液体用容器を所定の空間内に吊り下げるための吊り下げ機構と、上記所定の空間内に吊り下げられた上記液体用容器に収容された液体を流すための液体供給管と、上記液体供給管に流された液体を所定量吐出させるための液体吐出機構とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の液体供給装置では、使用時に広い作業スペースを確保することができる。
また、設置安定性の高い液体供給装置とすることができる。
以下、本発明の液体供給装置について、図面を用いて詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明の液体供給装置の一例を模式的に示す一部切り欠き斜視図である。
なお、図1では、液体供給装置の内部の構成の理解のために、下記する液体用容器10、蓋11b及び連結部材17の一部を切り欠いている。
【0017】
図1に示す液体供給装置1は、液体用容器10と、吊り下げ機構11と、液体供給管12と、液体吐出機構13とからなる。
図1に示した液体供給装置1では、供給管保持部16と、液体入りパウチ15が載置されたメッシュ14とを有する液体用容器10を使用しているが、メッシュ14、液体入りパウチ15及び供給管保持部16については、本発明の液体供給装置1に設けられてなくともよく、後述の第一実施形態で詳しく説明することとする。
【0018】
はじめに、液体用容器10について説明する。
液体用容器10の形状は、底面部10aと、側面部10bと、上面部に相当する部分が開放されてなる開口部10cとを有する有底円筒形状である。底面部10aの形状は、液体供給管12側が凸となった半球状である。
また、底面部10aには、底面部10aを貫通する円形の流出口10dが形成されている。流出口10dに隣接する箇所には、底面部10aから突出した接続部10eが形成されており、接続部10eには、下記する連結部材17を接続することができるようになっている。
このような構成を有する液体用容器10では、底面部10aを下側にして液体用容器10を設置し、開口部10cから液体を流し入れると、液体用容器10内に液体が収容される。
【0019】
次に、吊り下げ機構11について説明する。
吊り下げ機構11は、吊り下げ用部材11a及び蓋11bから構成されており、吊り下げ用部材11aの両端部が蓋11bに各々結合している。
【0020】
吊り下げ用部材11aは、合成樹脂や金属等の材質からなる半円状の線材であって、液体供給装置1全体の重量が負荷されても破損しない程度の強度を有している。
【0021】
蓋11bは、合成樹脂や金属等の材質からなり、円盤状の底板と底板の周縁部から立設された側板とからなる有底円筒形状を有している。また、その内径は、液体用容器10の側面部10bの外径と同一である。
【0022】
液体供給管12について説明する。
液体供給管12は、内部を液体が流通可能であって、合成樹脂等からなり柔軟性を有している。また、液体供給管12は、長さ方向中央付近で2本に分岐している。
以下、液体供給管12のうち、液体用容器10に接続する側の端部から分岐するまでの管を元管12aともいい、分岐した一方の管を第一の分岐管12bともいい、分岐した他方の管を第二の分岐管12cともいう。
【0023】
液体吐出機構13について説明する。
液体吐出機構13は、例えば、ローラークランプ、コック、ポンプ、スプレーガン等からなり、未操作時には液体の流出を停止させ、操作時には所定量の液体を吐出することができる。ここでは、ローラークランプ13Aとポンプ13Bとを使用している。
【0024】
上述した各部材から構成される液体供給装置1では、液体用容器10の開口部10c近傍に蓋11bが嵌め込まれることにより、液体用容器10に吊り下げ機構11が取り付けられている。
また、接続部10eと元管12aの端部とが、連結部材17を介して連結されることにより、液体用容器10に液体供給管12が取り付けられている。
液体供給管12の第一の分岐管12bにはローラークランプ13Aが取り付けられており、第二の分岐管12cの先端にはポンプ13Bが接続されている。
【0025】
液体供給装置1を使用する場合には、液体用容器10に液体400を収容した後、例えば、作業台近傍の壁510に取り付けられた棒状の引っ掛け部材520等に、吊り下げ用部材11aを引っ掛ける。
これにより、液体用容器10を作業台近傍の所定の空間内に吊り下げることができる。
【0026】
このように、本発明の液体供給装置を使用すると、液体が収容された液体用容器を作業台近傍の所定の空間内に吊り下げておくことができる。そのため、作業台に液体供給装置を設置せずとも、所定量の液体を供給することができる。
従って、作業台を空けておくことが可能となり、使用時に広い作業スペースが確保される。
また、作業台に設置する必要がないので、従来の押下ポンプ式液体供給装置のように、使用時に液体供給装置が作業台上で倒れたり、元の位置から移動して作業台から落下したりするおそれがない。さらに、作業台が水平でなくとも、液体供給装置を作業場所に設置することができる。
それゆえ、設置安定性の高い液体供給装置とすることができる。
【0027】
また、上述したように、上記液体供給管は、複数本に分岐しており、各上記液体供給管にはそれぞれ異なる種類の液体吐出機構が設けられていることが望ましい。
このような液体供給装置では、例えば、吐出量の異なる複数種類の液体吐出機構を使用することにより、必要とされる液体量に応じて液体吐出機構を使い分けることができる。そのため、一つの液体供給装置で少量の液体供給を行うことも、大量の液体供給を行うこともできる。
また、液体供給管の分岐の数に応じて、複数の作業者で液体供給装置を同時に使用することができる。
なお、本発明でいう少量とは、例えば、0.1〜5.0ml/分のことをいい、大量とは、5.0〜1000.0ml/分のことをいう。
【0028】
上述したように、上記液体吐出機構としては、上記液体供給管に取り付けられたローラークランプを少なくとも1つ備えていることが望ましい。
液体吐出機構がローラークランプであると、片手で操作することにより液体を連続的に吐出させることができるし、液体を精度よく供給することもできる。
【0029】
また、上記液体吐出機構としては、上記液体供給管の先端に接続されたコック、ポンプ又はスプレーガンのうちの少なくとも1種を備えていることが望ましい。
液体吐出機構がコックであると、コックをひねることにより連続的に液体を吐出させることができる。また、液体吐出機構がポンプであると、液体を断続的に供給することができる。液体吐出機構がスプレーガンであると、トリガーを引くことにより液体を断続的に吐出させることができるし、先端部に形成された噴射孔の形状によっては、霧状等の任意の形状に液体を吐出させることもできる。
【0030】
上述したように、上記液体供給管は2本に分岐しており、うち1本の液体供給管にはローラークランプが取り付けられており、もう1本の液体供給管の先端にはポンプが接続されていることが望ましい。
ローラークランプを使用すると、片手で操作することにより液体を連続的に吐出させることができるし、液体を精度よく供給することもできる。また、ポンプを使用すると、液体を断続的に供給することができる。そのため、必要とされる液体量に応じて、ローラークランプとポンプとを使い分けることができる。
【0031】
また、上記吊り下げ機構としては、上記液体用容器に取り付けられた吊り下げ用部材を備えることが望ましい。
その具体例としては、図1に示した吊り下げ機構11において、蓋11bを含まずに、吊り下げ用部材11aのみから構成されている吊り下げ機構が挙げられる。
この場合には、吊り下げ用部材11aの両端部を液体用容器10の側面部10b等に各々結合させることにより、液体用容器10に吊り下げ機構を取り付ければよい。
このような吊り下げ機構であっても、上述した引っ掛け部材等に吊り下げ用部材を引っ掛けることにより、液体用容器を所定の空間内に吊り下げることができる。
【0032】
また、上記吊り下げ機構としては、上記液体用容器に着脱可能なベルト及び上記ベルトに引っ掛けることのできるS字フックを備えるものであってもよく、その場合、上記液体用容器は上記ベルトを通す通し穴を備えていることが望ましい。
このような吊り下げ機構であっても、液体用容器を所定の空間内に吊り下げることができる。具体的には、液体用容器の通し穴にベルトを通すことにより、液体用容器にベルトを着設し、上記ベルトをS字フックで引っ掛ける。そして、S字フックを作業台近傍の壁に取り付けられた引っ掛け部材等に引っ掛ける。これにより、液体用容器を所定の空間内に吊り下げることができる。
【0033】
上述したように、上記液体用容器は、上記液体供給管を上記液体用容器の側面部に保持する供給管保持部を備えていることが望ましい。
液体用容器に供給管保持部が備え付けられていると、液体供給装置の不使用時には、供給管保持部で液体供給管を保持することにより、液体供給管をコンパクトに収納することができる。
【0034】
また、液体供給装置は、液体が貯蔵されており液体注ぎ口を備えている液体貯蔵容器を、上記液体注ぎ口を下方に向けて上記液体用容器に液体を注ぐことのできる位置で保持するための液体貯蔵容器保持機構をさらに備えていることが望ましい。
このような液体貯蔵容器保持機構を備えていると、液体貯蔵容器をその注ぎ口を下方に向けて液体貯蔵容器保持機構に保持させるだけで液体用容器に液体を注ぐことができるため、液体を液体用容器に収容させる際の作業性を高めることができる。
また、液体貯蔵容器内に液体を残すことなく液体用容器に液体を注ぐことができる。
【0035】
上記液体貯蔵容器保持機構は、上記吊り下げ機構と一体化しており、液体貯蔵容器引っ掛け部を備えていることが望ましい。
また、上記液体用容器は、その上面に開閉可能な蓋を備えており、上記液体貯蔵容器保持機構は、上記液体用容器の蓋の内側に形成された、V字状に対向する1対の部材であることが望ましい。
また、上記液体貯蔵容器保持機構は、上記液体用容器内に設けられた、上記液体供給管側が凸であり、底面に穴が空いたすり鉢状の部材であることが望ましい。
これらの各液体貯蔵容器保持機構の詳細については、後述する第三実施形態で説明する。
【0036】
上述したように、上記液体供給装置においては、上記液体用容器の蓋と吊り下げ用部材とを備えた上記吊り下げ機構が上記液体用容器に接続されており、上記液体用容器内に、上記液体用容器内の領域を上記吊り下げ機構側の領域と上記液体供給管側の領域とに区切るメッシュが設けられていることが望ましい。
蓋を備えた吊り下げ機構が液体用容器に接続されていると、液体用容器内に異物が入りにくく、異物による液体の汚染を防止することができる。
また、液体用容器内に上記メッシュが設けられていると、液体用容器に液体を容易に収容することができる。例えば、開口が形成された液体入りパウチをメッシュ上に置くことにより、液体用容器の液体供給管側の領域に液体を落下させて液体用容器に液体を収容することができる。液体が落下し尽くした空のパウチは、メッシュから引き上げるだけで容易に回収できる。
【0037】
上記メッシュの形状は、上記液体供給管側が凸であるすり鉢状であることが望ましい。
液体供給管側が凸であるすり鉢状のメッシュであると、液体入りパウチをメッシュ上に安定して置くことができる。
【0038】
また、上記液体用容器内には、液体が収容されており、上記液体用容器には、蓋が取り付けられており、上記蓋には上記液体供給管が接続されていることが望ましい。
このような実施形態であっても、本発明の作用効果を好適に享受することができる。
その詳細については、後述する第二実施形態で説明する。
【0039】
その場合、上記蓋には圧抜き管が接続されており、上記圧抜き管の一端は上記液体用容器の外で開放されており、上記圧抜き管の他端は上記液体用容器内で、上記液体用容器の底部近傍に位置していることが望ましい。
なお、本明細書において、液体用容器の底部近傍とは、溶剤が収容された液体用容器の底部を上向きにした際に、圧抜き管の他端が液体の液面よりも上に位置する部位のことをいう。
液体用容器に蓋が取り付けられていて液体用容器が密閉されていると、圧抜き管を蓋に接続しないで液体を吐出させた場合には、吐出させた液体の体積に応じて液体用容器がへこんで変形することがある。
しかしながら、上記圧抜き管が蓋に接続されていると、吐出させた液体の体積に応じて、液体用容器の外部から内部へ圧抜き管を通じて空気が供給されるので、液体用容器の変形を防止することができる。
【0040】
本発明の液体供給方法は、上述した本発明の液体供給装置を用いて液体を供給する液体供給方法であって、上記液体用容器内に液体が収容された上記液体供給装置を準備する工程と、上記吊り下げ機構を用いて所定の空間内に上記液体用容器を吊り下げる工程と、上記液体吐出機構を操作して所定量の液体を吐出させる工程とを含むことを特徴とする。
本発明の液体供給方法では、吊り下げ機構を用いて所定の空間内に液体用容器を吊り下げた状態で所定量の液体を吐出させることができる。そのため、作業台を空けておくことが可能であり、広い作業スペースを確保することができる。従って、食器洗浄作業等の作業効率が低下しにくい。
また、液体用容器が吊り下げられているので、使用時に液体用容器(液体供給装置)が作業台上で倒れたり、作業台から落下したりするおそれがなく、操作毎に確実に液体を吐出させることができる。
【0041】
上記液体供給方法で用いる上記液体供給装置では、上記液体供給管が複数本に分岐しており、各上記液体供給管にはそれぞれ異なる種類の液体吐出機構が設けられており、上記異なる種類の液体吐出機構を使い分けることによって、少量の液体供給及び大量の液体供給を一つの液体供給装置で行うことが望ましい。
このような液体供給方法では、必要に応じて適量の液体を即座に供給することができる。
【0042】
上記液体供給方法で用いる上記液体供給装置では、上記吊り下げ機構が上記液体用容器に着脱可能なベルト及び上記ベルトに引っ掛けることのできるS字フックを備えており、上記液体用容器が上記ベルトを通す通し穴を備えており、上記液体供給方法では、上記ベルトを上記通し穴に通して上記液体用容器にベルトを取り付け、上記ベルトに引っ掛けた上記S字フックを用いて所定の空間内に上記液体用容器を吊り下げることが望ましい。
【0043】
上記液体供給方法で用いる上記液体供給装置では、上記液体用容器内に、液体が貯蔵されており液体注ぎ口を備えている液体貯蔵容器を、上記液体注ぎ口を下方に向けて上記液体用容器に液体を注ぐことのできる位置で保持するための液体貯蔵容器保持機構が設けられており、液体用容器に液体が収容された上記液体供給装置を準備する工程は、液体が貯蔵されており液体注ぎ口を備えている液体貯蔵容器を準備する工程と、上記液体貯蔵容器を、その液体注ぎ口を下方に向けて上記液体貯蔵容器保持機構に保持させることによって、上記液体貯蔵容器内の液体を上記液体用容器内に注ぐ工程とを含むことが望ましい。
上記工程を経ることにより、液体貯蔵容器をその注ぎ口を下方に向けて液体貯蔵容器保持機構に保持させるだけで液体用容器に液体を注ぐことができるため、液体を液体用容器に収容させる際の作業性を高めることができる。
また、液体貯蔵容器内に液体を残すことなく液体用容器に液体を注ぐことができる。
【0044】
上記液体供給方法で用いる上記液体供給装置において、上記液体用容器内には、上記液体用容器内の領域を上記吊り下げ機構側の領域と上記液体供給管側の領域とに区切るメッシュが設けられていることが望ましく、液体用容器に液体が収容された上記液体供給装置を準備する工程は、液体入りパウチに開口を形成する工程と、上記開口を形成した液体入りパウチを上記液体用容器内の上記メッシュ上に置くことによって、上記液体入りパウチ内の液体を上記液体用容器内の上記液体供給管側の領域に落下させる工程とを含むことが望ましい。
上記工程を経ることにより、液体用容器に液体を容易に収容することができる。
液体が落下し尽くした空のパウチは、メッシュから引き上げるだけで容易に回収できる。
【0045】
上記液体供給方法で用いる上記液体供給装置において、上記液体用容器には蓋が取り付けられており、上記蓋には上記液体供給管が接続されていることが望ましく、液体用容器に液体が収容された上記液体供給装置を準備する工程は、液体が予め収容された液体用容器を準備する工程と、上記蓋を上記液体用容器に取り付ける工程とを含んでいることが望ましい。
【発明の効果】
【0046】
本発明の液体供給装置は、使用時に広い作業スペースを確保することができる。また、液体供給装置の設置安定性が高い。
本発明の液体供給方法では、所定量の液体を吐出させることができる。また、液体を吐出させても、食器洗浄作業等の作業効率が低下しにくい。さらに、液体供給装置が作業台上で倒れたり、元の位置から移動して作業台から落下したりするおそれがなく、操作毎に確実に液体を吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の液体供給装置の一例を模式的に示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【図4】液体入りパウチを用いて液体を液体用容器内に注ぐ様子の一例を模式的に示す斜視図である。
【図5】別の形状の液体入りパウチを用いて液体を液体用容器内に注ぐ様子の一例を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【図9】従来の押下ポンプ式液体供給装置を作業台に設置した状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(第一実施形態)
以下、本発明の液体供給装置及び液体供給方法の一実施形態である第一実施形態について説明する。
【0049】
はじめに、本実施形態の液体供給装置について説明する。
本実施形態の液体供給装置は、図1に示した液体供給装置1と同様の構成を有しており、液体用容器10と、吊り下げ機構11と、液体供給管12と、液体吐出機構13とからなる。
従って、本実施形態の液体供給装置は、液体用容器を作業台近傍の所定の空間内に吊り下げて使用することが可能であり、広い作業スペースを確保することができる。また、液体供給装置が作業台上で倒れたり、元の位置から移動して作業台から落下したりするおそれがなく、設置安定性の高い液体供給装置とすることができる。
以下の説明では、図1を参照しつつ、本実施形態の液体供給装置について説明することとするが、上述した本発明の液体供給装置の説明と重複する事項については説明を省略する。
【0050】
液体用容器10の底面部10a及び側面部10bの肉厚は、0.3〜5.0mmである。
底面部10a及び側面部10bの肉厚が、0.3mm未満であると、液体用容器10の強度が低くなり、液体を入れた際に破損する場合がある。また、底面部10a及び側面部10bの肉厚が、5.0mmを超えると、液体用容器10の嵩が張る割に内容積が少なくなり、収容することができる液体量が少なくなる場合がある。
【0051】
液体用容器10の側面部10bの内径は、50.0〜250.0mmであり、外径は、50.6〜260.0mmである。
液体用容器10の深さは、60.0〜400.0mmである。なお、液体用容器10の深さとは、液体用容器10に上面部があると仮定した場合における、上面部から底面部10aの最深部までの最短距離のことをいう。また、液体用容器10の内容積は、200.0〜5000.0mlである。流出口10dの直径は、3.0〜50.0mmである。
【0052】
なお、液体用容器10の形状は、上述した有底円筒形状に限定されず、底面部及び側面部を有し、上面部に相当する部分が開放されてなる開口部を有する有底多角柱形状であってもよい。有底多角柱形状としては、例えば、有底四角柱形状、有底三角柱形状、有底四角錘形状、有底三角錘形状又はその組み合わせ等の形状が挙げられる。
また、底面部の形状については、上述した液体供給管側が凸となった半球状に限定されず、平坦状であってもよいが、液体供給管側が凸となった半球状であることが好ましい。
上記半球状であると、底面部の最深部に流出口を形成することによって、流出口から液体が流出しやすくなり、液体用容器内に液体が残りにくくなるからである。
【0053】
吊り下げ用部材11aの長さは、100.0〜500.0mmであり、直径は、0.5〜4.0mmである。
なお、吊り下げ用部材11aとしては、半円状の線材に限られず、紐、バンド、クサリ等であってもよい。
【0054】
蓋11bの内径は、50.6〜260.0mmであり、液体用容器10の側面部10bの外径と同一であり、外径は、55.6〜265.0mmである。蓋11bの高さは、10.0〜50.0mmである。
【0055】
また、蓋11bの内側の側板部分には、雄ねじ構造が形成されており、液体用容器10の側面部10bのうちで、蓋11bの内側の側板部分と接触する部位10f(以下、単に蓋取付部位ともいう)には、上記雄ねじ構造に対応する形状の雌ねじ構造が形成されている。
図1に示した状態では、蓋11bが蓋取付部位10fに螺合している。そのため、蓋11bは、蓋取付部位10fから外れにくく、蓋11bと蓋取付部位10fとの間からは、液体400が漏れない。
また、蓋11bが取り付けられていることにより、液体用容器10内には、異物が入りにくく、異物により液体400が汚染されにくい。
【0056】
なお、吊り下げ機構11としては、後述の第二実施形態で用いるS字フックとベルトとからなる吊り下げ機構を使用してもよい。この場合には、液体用容器10の側面部10bに通し穴を設け、当該通し穴にベルトを通した後、S字フックでベルトを引っ掛けることにより、液体用容器10に吊り下げ機構を取り付ければよい。
【0057】
液体供給管12(12a、12b及び12c)の外径は、3.0〜30.0mmであり、内径は、1.0〜28.0mmである。
液体供給管12の内径が、1.0〜28.0mmであると、液体供給管12内を液体400が適度な流速で流れるので、液体吐出機構13の操作により、適量の液体400が即座に供給される。
一方、液体供給管12の内径が、1.0mm未満であると、液体供給管12内を流れる液体400の流速が遅くなり、適量の液体400を吐出させるのに時間を要することがある。また、内径が、28.0mmを超えると、液体供給管12内を流れる液体400の流速が速くなりすぎて、液体400が余分に吐出されてしまうことがある。
【0058】
液体供給管12は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン等の合成樹脂、天然ゴム、シリコンゴム等からなる。これらの材質から構成された液体供給管12は柔軟性を有しており、不使用時には束ねて収納しておくことができる。
液体供給管12は柔軟性を有しているので、連結部材17を使用せずに液体供給管12を接続部10eに接続してもよい。この場合には、液体供給管12の内径を押し広げつつ、接続部10eに液体供給管12をねじ込むことにより、液体供給管12を接続部10eに接続すればよい。
【0059】
液体供給管12は、第一の分岐管12b及び第二の分岐管12cに分岐しており、第一の分岐管12bにはローラークランプ13Aが取り付けられており、第二の分岐管12cの先端にはポンプ13Bが接続されている。
【0060】
ローラークランプ13Aは、第一の分岐管12bを挿通可能な溝状の供給管通路が形成されたハウジング13aと、ハウジング13aに取り付けられ、供給管通路上を閉側端部から開側端部まで回転移動可能なローラー13bとを備えている。供給管通路には、閉側端部から開側端部まで溝の深さに傾斜が設けられている。
そのため、供給管通路の閉側端部にローラー13bが位置する場合には、ローラー13bの外周部と供給管通路との間に空間がほとんど形成されないが、ローラー13bを開側端部に回転移動させるにつれ、ローラー13bの外周部と供給管通路との間の空間が徐々に広がり、ローラー13bが開側端部まで移動した状態では、ローラー13bの外周部と供給管通路との間に第一の分岐管12bの外径程度の充分な空間が形成されることになる。
【0061】
このようなローラークランプ13Aを使用する場合には、第一の分岐管12bを供給管通路に挿通し、ローラー13bの外周部と供給管通路との間に第一の分岐管12bを挟む。そして、供給管通路の閉側端部から開側端部までローラー13bを回転移動させる。
供給管通路の閉側端部では、ローラー13bの外周部と供給管通路との間の空間が狭く、第一の分岐管12bが押しつぶされて液体400の吐出が停止する。
しかしながら、ローラー13bを開側端部に回転移動させるにつれ、ローラー13bの外周部と供給管通路との間の空間が徐々に広がり、押しつぶされた状態の第一の分岐管12bが次第に開放されて液体400の流量が上昇する。
そして、ローラー13bが開側端部まで移動しきった状態では、ローラー13bの外周部と供給管通路との間に充分な空間が形成されるので、液体400の最大流量が確保される。
【0062】
次に、第二の分岐管12cの先端に取り付けられたポンプ13Bについて説明する。
ポンプ13Bは、第一及び第二の逆止弁を内部に有するシリンダー13cとピストン13dとからなり、シリンダー13cの吸入口は第一の逆止弁を介して第二の分岐管12cに連結しており、シリンダー13cの吐出口は第二の逆止弁を介してノズル13eに連結している。第一の逆止弁は、第二の分岐管12cからシリンダー13c内に液体400を移送可能であるが、逆方向への液体400の移送は防止可能である。また、第二の逆止弁は、シリンダー13cからノズル13eに液体400を移送可能であるが、逆方向への液体400の移送を防止可能である。
従って、ピストン13dを引くと第二の分岐管12cからシリンダー13cに液体400が吸入され、ピストン13dを押すと吸入された液体400がノズル13eに圧送され、ノズル13eから吐出される。
【0063】
ポンプ13Bでは、シリンダー13c内に所定量の液体400を溜め込んでおくことができるので、液体400を断続的に供給するのに適している。
また、内容積の異なるシリンダーを種々選択することにより、液体の吐出量を調整してもよい。ポンプの内容積(吐出量)は、0.1〜5.0mlである。
【0064】
なお、液体吐出機構13としては、上述したローラークランプ及びポンプに限定されず、スプレーガン又はコック、ストッパーであってもよい。
スプレーガンを使用すると、トリガーを引くことにより、噴射孔から液体を断続的に吐出させることができる。また、噴射孔の形状によっては、霧状等の任意の形状に液体を吐出させることもできる。
また、コックを使用すると、コックをひねることにより連続的に液体を吐出させることができる。
【0065】
また、液体供給管12は、3本以上に分岐していてもよいし、分岐していなくともよい。
液体供給管12が複数本に分岐している場合、分岐管ごとに内径が異なっていてもよく、全て同じ内径であってもよい。但し、分岐管ごとにそれぞれ異なる種類の液体吐出機構を取り付ける場合には、分岐管ごとに内径が異なっていることが好ましい。
少量の液体を吐出させるための液体吐出機構を取り付ける場合には、内径が小さい分岐管を使用することにより、精度よく少量の液体を吐出させることができる。
一方、大量の液体を吐出させるための液体吐出機構を接続する場合には、内径が大きい分岐管を使用することにより、大量の液体を素早く吐出させることができる。
【0066】
本実施形態の液体供給装置1では、液体用容器10の側面部10bに、供給管保持部16が取り付けられている。
供給管保持部16は、J字形状であって、金属や合成樹脂等の材質からなる。
液体供給装置1の不使用時には、供給管保持部16に液体供給管12を引っ掛けることにより、供給管保持部16で液体供給管12を保持することができる。これにより、液体供給管12をコンパクトに収納することができる。
【0067】
本実施形態の液体供給装置1では、液体用容器10内に、液体用容器10内の領域を吊り下げ機構11側の領域と液体供給管12側の領域とに区切るメッシュ14が設けられている。
メッシュ14は、所定の間隔で網目が形成された、伸縮可能な金網、合成繊維網、樹脂網等からなり、すり鉢状の形状を有している。
また、メッシュ14を平面視した場合の直径(以下、単に直径ともいう)は、液体用容器10の側面部10bの内径より若干大きい。
なお、メッシュ14の形状については、すり鉢状に限られず、例えば、平板状、半球状等であってもよい。
【0068】
メッシュ14を液体用容器10内に設置する場合には、液体用容器10の開口部10cから液体用容器10内の所定の深さまで、液体供給管12側が凸となる向きでメッシュ14を押し込んでいく。メッシュ14は、ある程度伸縮可能であり、液体用容器10の側面部10bの内径と同一径まで直径が縮んだ状態で押し込まれてゆくが、メッシュ14を停止させると、メッシュ14自身の復元力によりその位置でメッシュ14が固定される。
このようにして、液体供給管12側が凸となるように、液体用容器10内にメッシュ14を設置する。この状態では、メッシュ14により、液体用容器10内の領域が吊り下げ機構11側の領域と液体供給管12側の領域とに区切られる。
なお、メッシュ14を固定しやすいように、液体用容器10内の側面部10bの所定の位置に留め具を取り付けておいてもよい。
【0069】
続いて、本実施形態の液体供給方法について説明する。
本実施形態の液体供給方法は、上述した本実施形態の液体供給装置を用いて液体を供給する液体供給方法であって、上記液体用容器内に液体が収容された上記液体供給装置を準備する工程と、上記吊り下げ機構を用いて所定の空間内に上記液体用容器を吊り下げる工程と、上記液体吐出機構を操作して所定量の液体を吐出させる工程とを行う。
【0070】
本実施形態の液体供給方法では、吊り下げ機構を用いることにより、所定の空間内に液体用容器を吊り下げた状態で所定量の液体を吐出させることができる。そのため、作業台を空けておくことが可能であり、広い作業スペースを確保することができる。従って、食器洗浄作業等の作業効率が低下しにくい。
また、液体用容器が吊り下げられているので、液体用容器(液体供給装置)が作業台上で倒れたり、作業台から落下したりするおそれがなく、操作毎に確実に液体を吐出させることができる。
【0071】
以下、本実施形態の液体供給方法について、図1に示す本実施形態の液体供給装置を参照しながら、工程順に説明する。
【0072】
まず、液体用容器10内に液体400が収容された液体供給装置1を準備する工程を行う。
具体的には、次のようにして行う。
液体用容器10内に液体400が収容されていない液体供給装置1を用意し、蓋11bを取り外す。
次に、液体吐出機構13から液体400が流出しないよう液体吐出機構13を閉じた状態で、開口部10cから液体400を液体用容器10内に流し入れる。
これにより、液体用容器10の流出口10dから液体供給管12内に液体400が流れる。
そして、液体供給管12内に流れ込んだ液体400は、液体吐出機構13で停止し、液体供給管12内及び液体用容器10の底面部10aから所定の高さまでの領域が液体400で満たされる。
この状態で、蓋11bを蓋取付部位10fに螺合させることにより、液体用容器10内に液体400が収容された液体供給装置1を準備する。
【0073】
上述した液体供給装置1を準備する工程については、液体入りパウチ15に開口を形成する工程と、開口を形成した液体入りパウチ15を液体用容器10内のメッシュ14上に置くことによって、液体入りパウチ15内の液体を液体用容器10内の液体供給管12側の領域に落下させる工程とを行うことが好ましい。
【0074】
具体的には、液体入りパウチ15にカッター等で切れ目を入れる、又は、一部を切り取ることにより、液体入りパウチ15に開口を形成する。次に、開口した液体入りパウチ15をメッシュ14の上に置く。こうすることで、液体入りパウチ15から液体用容器10の液体供給管12側の領域に液体入りパウチ15の液体が自然に落下して、液体用容器10内に液体400が収容される。
従って、液体用容器10の開口部から液体400を流し入れずとも、液体用容器10内に液体400を容易に収容することができる。
なお、液体入りパウチから液体が全て落下し尽くしたならば、空のパウチをメッシュから引き上げて回収すればよい。
【0075】
次に、上記吊り下げ機構を用いて所定の空間内に上記液体用容器を吊り下げる工程を行う。
具体的には、吊り下げ機構11の吊り下げ用部材11aを、作業台近傍の壁510に取り付けられた棒状の引っ掛け部材520に引っ掛ける。
【0076】
引き続いて、液体吐出機構を操作して所定量の液体を吐出させる工程を行う。
液体吐出機構13としてローラークランプ13Aを使用する場合には、ローラー13bを供給管通路の閉側端部から開側端部へと回転移動させることにより、第一の分岐管12bの端部から液体を連続的に吐出させることができる。
この際、供給管通路の閉側端部から開側端部の間で、ローラー13bの位置を変更することにより、液体の吐出量を精度よく調整することができる。また、ローラー13bを片手で操作することにより、両手で操作せずとも所定量の液体を吐出させることができる。
【0077】
また、液体吐出機構13としてポンプ13Bを使用する場合には、ピストン13dを往復運動することにより、液体を断続的に吐出させることができる。
【0078】
スプレーガンを使用する場合には、トリガーを引くことにより、液体を断続的に吐出させることができるし、コックを使用する場合には、コックをひねることにより、液体を連続的に吐出させることができる。
【0079】
このように、異なる種類の液体吐出機構13を使い分けることによって、少量の液体供給及び大量の液体供給を一つの液体供給装置1で行うことができる。そのため、必要に応じて適量の液体を即座に供給することができる。
なお、液体吐出機構13からの液体400の吐出を停止させると、次回の使用時まで液体用容器10内で残りの液体400が保管される。
【0080】
なお、本実施形態の液体供給装置及び液体供給方法で使用する液体としては、特に限定されず、手指洗浄用の洗剤、食器洗浄用の洗剤等の洗剤や、消毒殺菌剤等の液体であってもよいが、これらの液体のなかでは、特に洗剤が使用に適している。
【0081】
(第二実施形態)
以下、本発明の液体供給装置及び液体供給方法の一実施形態である第二実施形態について説明する。
はじめに、本実施形態の液体供給装置について、図面を用いて説明する。
【0082】
図2は、本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【0083】
図2に示す液体供給装置2は、液体用容器20と、吊り下げ機構21と、液体供給管22と、液体吐出機構23とからなる。
本実施形態の液体供給装置2でも、液体用容器を作業台近傍の所定の空間内に吊り下げて使用することが可能であり、広い作業スペースを確保することができる。また、液体供給装置が作業台上で倒れるおそれ等がなく、設置安定性の高い液体供給装置とすることができる。
【0084】
まず、液体用容器20について説明する。
液体用容器20は、底面部(底部)20a、側面部20b及び上面部20cを有する略直方体状を有している。
【0085】
上面部20cの一部は開口しており、液体を出し入れするための円形の注ぎ口20dが形成されている。注ぎ口20dの内径は、10.0〜80.0mmであり、外径は、10.8〜84.0mmである。
【0086】
また、注ぎ口20dから離れた位置に把手20eが設けられている。
把手20eの両端部は、上面部20cにそれぞれ結合しており、把手20eの中央部は、上面部20cから離間しており、上記中央部と上面部20cとの間には空間が形成されている。そのため、把手20eの中央部を握ることにより、液体用容器20を把持することができる。
なお、本実施形態では、上記空間が下記するベルトを通す通し穴として機能する。
【0087】
底面部20a、側面部20b及び上面部20cの肉厚は、0.4〜2.0mmである。
底面部20a、側面部20b及び上面部20cの肉厚が、0.4mm未満であると、液体用容器20の強度が低くなりすぎて、液体400を入れた際に破損する場合がある。
一方、底面部20a、側面部20b及び上面部20cの肉厚が2.0mmを超えると、液体用容器20の嵩が張る割に内容積が少なくなり、収容することができる液体量が少なくなる場合がある。
液体用容器20の内容積は、300.0〜8000.0mlである。
【0088】
本実施形態の液体供給装置2は、液体用容器20の側面部20bに取り付けられた供給管保持部26を備えている。供給管保持部26の構成については、第一実施形態の供給管保持部16と同様であるので、説明を省略する。
【0089】
次に吊り下げ機構21について説明する。
吊り下げ機構21は、ベルト21aと、2つの湾曲部を有するS字フック21bとから構成されている。
【0090】
ベルト21aは、合成樹脂、皮革、金属等の材質からなり、長さが300.0〜1800.0mm、幅が0.2〜40.0mmである。ベルト21aには、プラグ27aとソケット27bとからなるバックル27が取り付けられている。具体的には、ベルト21aの一方の端部にはプラグ27aが取り付けられており、ベルト21aの他方の端部にはソケット27bが取り付けられている。
図2に示した状態では、プラグ27aとソケット27bとが嵌合しており、ベルト21aの両端部が結合している。なお、プラグ27aとソケット27bとの嵌合を解除することにより、ベルト21aの両端部の結合を解くことができる。
上記バックルについては、シンチバックル、トレンチバックル、スクラブ等であってもよい。
【0091】
S字フック21bは、ステンレス、アルミニウム、鉄、プラスチック又はこれらの複合材等の素材からなり、長さが30.0〜150.0mm、直径が0.4〜4.0mmの線材をS字状に加工することにより形成されている。
なお、吊り下げ機構21については、第一実施形態で述べた線材からなる吊り下げ用部材11aを使用してもよい。
【0092】
注ぎ口20dには、蓋24が取り付けられている。
蓋24は、円盤状の底板と底板の周縁部から立設された側板とからなる有底円筒形状を有している。また、その内径は、10.8〜84.0mmであり、注ぎ口20dの外径と同一であり、外径は、12.8〜86.0mmである。蓋24の高さ(側板の長さ)は、5.0〜30.0mmである。
また、蓋24の内側の側板部分には、雄ねじ構造が形成されており、液体用容器20の上面部20cのうちで、蓋24の内側の側板部分と接触する蓋取付部位20fには、上記雄ねじ構造に対応する形状の雌ねじ構造が形成されている。
図2に示した状態では、蓋24が蓋取付部位20fに螺合している。そのため、蓋24は、蓋取付部位20fから外れにくく、蓋24と蓋取付部位20fとの間からは、液体400が漏れない。
また、蓋24が取り付けられていることにより、液体用容器20内には、異物が入りにくく、異物により液体400が汚染されにくい。
【0093】
蓋24には、液体供給管22を挿通するための第一の貫通孔24aが形成されており、液体吐出機構23を備えた液体供給管22が、第一の貫通孔24aに挿通されることにより蓋24に接続している。
液体供給管22及び液体吐出機構23の構成については、既に述べた第一実施形態の液体供給装置1に係る液体供給管12及び液体吐出機構13の構成と同様であるので、説明を省略する。
なお、ここでは、分岐していない液体供給管22を使用しており、液体吐出機構23としてスプレーガンを使用している。但し、第一実施形態と同様に、液体供給管22は複数本に分岐していてもよく、液体吐出機構23はローラークランプ、ポンプ、コック等であってもよい。
【0094】
また、蓋24には、圧抜き管25を挿通するための第二の貫通孔24bが形成されており、圧抜き管25が、第二の貫通孔24bに挿通されることにより蓋24に接続している。
圧抜き管25については、空気が内部を流通することができるものであれば特に限定されず、例えば、直径(内径)0.1〜5.0mm、長さ5.0〜500.0mmの合成樹脂製の管状体を使用してもよい。
【0095】
上述した各部材から構成される液体供給装置2は、蓋取付部位20fに蓋24が取り付けられている。蓋24には、液体供給管22の一方の端部側が接続されており、液体供給管22の他方の端部には、液体吐出機構23が取り付けられている。
また、蓋24には、圧抜き管25も取り付けられており、圧抜き管25の一端は液体用容器20の外で開放されており、圧抜き管25の他端は上記液体用容器20内の底面部20a近傍に位置している。
液体用容器20の通し穴には、ベルト21aが通されており、ベルト21aは、S字フック21bの一方の湾曲部に引っ掛けられている。これにより、液体用容器20に吊り下げ機構21が着設されている。
なお、吊り下げ機構21として、第一実施形態で述べた線材からなる吊り下げ用部材11aを使用する場合には、吊り下げ用部材11aの両端部をそれぞれ液体用容器20の底面部20a近傍に取り付ければよい。
【0096】
続いて、本実施形態の液体供給方法について説明する。
本実施形態の液体供給方法は、上述した本実施形態の液体供給装置を用いて液体を供給する液体供給方法であって、上記液体用容器内に液体が収容された上記液体供給装置を準備する工程と、上記吊り下げ機構を用いて所定の空間内に上記液体用容器を吊り下げる工程と、上記液体吐出機構を操作して所定量の液体を吐出させる工程とを行う。
【0097】
以下、図2に示す本実施形態の液体供給装置を使用して液体を供給する方法を工程順に説明する。
【0098】
まず、液体用容器20内に液体400が収容された液体供給装置2を準備する工程を行う。
具体的には、液体が予め収容された液体用容器を準備する工程と、蓋を液体用容器に取り付ける工程とを行うことにより、液体用容器20内に液体400が収容された液体供給装置2を準備する。
【0099】
液体が予め収容された液体用容器を準備する工程に関し、液体が予め収容された液体用容器としては、例えば、株式会社ニイタカ製中性洗剤スーパーサラセン(プラスチックボトル充填済み)、同社製アルコール製剤セーフコール等の市販の液体充填済み液体用容器を使用することができる。
【0100】
蓋を液体用容器に取り付ける工程は、次のようにして行う。
まず、準備した液体充填済み液体用容器20の既存の蓋を外す。
そして、液体吐出機構23を備える液体供給管22が第一の貫通孔24aに挿通されており、圧抜き管25が第二の貫通孔24bに挿通された蓋24を用意し、液体用容器20の蓋取付部位20fに蓋24を螺合させる。
【0101】
次に、上記吊り下げ機構を用いて所定の空間内に上記液体用容器を吊り下げる工程を行う。
具体的には、液体用容器20の通し穴にベルト21aを通し、ベルト21aの一方の端部に取り付けられたプラグ27aと、他方の端部に取り付けられたソケット27bとを嵌合させることにより、ベルト21aの両端部を結合してベルト21aを環状にする。これにより、液体用容器20にベルト21aを着設する。その後、S字フック21bの一方の湾曲部に環状のベルト21aを引っ掛ける。
そして、液体用容器20の注ぎ口20dを下側にし、底面部20aを上側にして環状のベルト21aの間に液体用容器20を挟む。
この状態で、S字フック21bの他方の湾曲部を、作業台近傍の壁510間に掛け渡された棒状の引っ掛け部材520に引っ掛ける。
このようにして、吊り下げ機構21を用いて所定の空間内に液体用容器20を吊り下げる。
【0102】
引き続いて、液体吐出機構を操作して所定量の液体を吐出させる工程を行う。
本実施形態では、液体吐出機構23としてスプレーガンを使用しているので、トリガーを引くことにより、液体を断続的に吐出させることができる。
また、圧抜き管25が蓋24に取り付けられているので、吐出させた液体の体積に応じて、液体用容器20の外部から内部へ圧抜き管25を通じて空気が供給される。そのため、液体用容器20がへこんで変形することはない。
なお、液体400を使い切ったならば、プラグ27aとソケット27bとの嵌合を解除することにより、ベルト21aを液体用容器20から取り外せばよい。
【0103】
なお、本実施形態の液体供給装置及び液体供給方法で使用する液体としては、特に限定されず、手指洗浄用の洗剤、食器洗浄用の洗剤等の洗剤や、消毒殺菌剤等の液体であってもよいが、これらの液体のなかでは、特に消毒殺菌剤が使用に適している。
【0104】
(第三実施形態)
以下、本発明の液体供給装置及び液体供給方法の一実施形態である第三実施形態について説明する。
第三実施形態の液体供給装置は、液体が貯蔵されており液体注ぎ口を備えている液体貯蔵容器を、上記液体注ぎ口を下方に向けて上記液体用容器に液体を注ぐことのできる位置で保持するための液体貯蔵容器保持機構をさらに備えている。
第三実施形態に係る液体供給装置は、液体用容器及びその周囲の構成のみが第一実施形態の液体供給装置と異なる。そのため、図3〜8には、第三実施形態に係る液体供給装置における液体用容器及びその周囲の構成のみを示しており、液体供給管や液体吐出機構は省略して示している。
【0105】
図3は、本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図3に示す液体供給装置1001の形状は、吊り下げ機構の形状が異なる他は、図1に示す液体供給装置1の形状と同様である。
液体供給装置1001は、液体用容器1010の上部に吊り下げ用部材1011aを備える吊り下げ機構1011を備えており、吊り下げ機構1011は液体貯蔵容器引っ掛け部1018と一体化した針金からなる。この液体貯蔵容器引っ掛け部1018が液体貯蔵容器保持機構に相当する。
液体貯蔵容器引っ掛け部1018は、下方に伸び先端部が屈曲した2本の棒状部材からなり、液体貯蔵容器を上記2本の棒状部材に引っ掛けることができるようになっている。
【0106】
本実施形態の液体供給装置に使用することができる液体貯蔵容器としては、液体入りパウチが挙げられる。
図4は、液体入りパウチを用いて液体を液体用容器内に注ぐ様子の一例を模式的に示す斜視図である。
図4で使用する液体入りパウチ1015aの形状は、平面視した形状が平行四辺形状であり、鋭角となっている部分の近傍を切り取って開口することによって液体注ぎ口1019aを形成できるようになっている。
図4には液体注ぎ口1019aを形成して液体入りパウチを液体貯蔵容器保持機構に保持させた状態を示している。
【0107】
液体注ぎ口1019aを下方に向け、液体貯蔵容器引っ掛け部1018に液体入りパウチ1015aを引っ掛けて、液体入りパウチ1015aを落下しないように保持させることによって、液体入りパウチ1015aに収容された液体を液体用容器1010内に注ぐことができる。
すなわち、作業者は、液体入りパウチに液体注ぎ口を形成して液体注ぎ口を下方に向けて液体貯蔵容器保持機構に保持させるだけで液体用容器に液体を注ぐことができるため、液体を液体用容器に収容させる際の作業性を高めることができる。
また、パウチ内に液体を残すことなく液体用容器に液体を注ぐことができる。
【0108】
図5は、別の形状の液体入りパウチを用いて液体を液体用容器内に注ぐ様子の一例を模式的に示す斜視図である。
図5で示す液体入りパウチ1015bの形状は、平面視した形状が、短辺と長辺を有する長方形の第1の短辺上の一点を始点とし、上記長方形の第1の長辺上の一点を終点とする線である傾斜線によって上記長方形を切断してなる形状であり、さらに、平面視した形状において他の部位の幅に比べて幅が狭い部位である注ぎ口部を有する形状である。
【0109】
図5に示す液体入りパウチ1015bも、注ぎ口部近傍を切り取って開口することによって液体注ぎ口1019bを形成できるようになっており、図5には液体注ぎ口1019bを形成してパウチを液体貯蔵容器保持機構に保持させた状態を示している。
図4に示す液体入りパウチ1015aを用いる場合と同様に、液体貯蔵容器引っ掛け部1018に液体入りパウチ1015bを引っ掛けて、液体入りパウチ1015bを落下しないように保持させることによって、液体入りパウチ1015bに収容された液体を液体用容器1010内に注ぐことができる。
【0110】
なお、液体貯蔵容器としての液体入りパウチの形状は、上述した形状に限定されるものではなく、液体注ぎ口を形成することができ、液体注ぎ口を下方に向けて液体貯蔵容器保持機構に保持させることのできる形状であればよい。
また、液体貯蔵容器は、液体入りパウチに限定されるものではなく、液体入りのビンやプラスチック容器等であっても良い。
【0111】
図6は、本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図6に示す液体供給装置1101の形状は、吊り下げ機構の形状、特に液体貯蔵容器引っ掛け部の形状が異なる他は、図3に示す液体供給装置1001の形状と同様である。
液体供給装置1101は、液体用容器1110の上部に吊り下げ用部材1111aを備える吊り下げ機構1111を備えており、吊り下げ機構1111は液体貯蔵容器引っ掛け部1118と一体化した針金からなる。
液体貯蔵容器引っ掛け部1118は、平面視した形状がコの字形状となるように折り曲げられた針金の一部分からなる。そして、2つのコの字形状が対向して液体貯蔵容器引っ掛け部1118となっている。
この液体貯蔵容器引っ掛け部1118が液体貯蔵容器保持機構に相当する。
液体貯蔵容器引っ掛け部1118には、図4及び図5に示すようなパウチ(液体貯蔵容器)の液体注ぎ口を下方に向けて、パウチを引っ掛けて保持させることができる。
【0112】
図7は、本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図7に示す液体供給装置1201では、液体用容器1210がその上面に開閉可能な蓋1218aを備えており、蓋1218aの内側には、V字状に対向する1対の部材1218bが形成されている。
このV字状に対向する1対の部材1218bが液体貯蔵容器保持機構に相当する。
上記V字状に対向する部材とは、それぞれがコの字形状である一対の部材であり、蓋1218aを開けた際に上方が広く下方が狭くなるように、蓋の正面から見て斜めに配置されている。
吊り下げ機構1211の形状は図1に示す液体供給装置1における吊り下げ機構の形状と同様である。
【0113】
V字状に対向する1対の部材1218bには、図4及び図5に示すようなパウチ(液体貯蔵容器)の液体注ぎ口を下方に向けて、パウチを引っ掛けて保持させることができる。
【0114】
図8は、本発明の液体供給装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図8に示す液体供給装置1301では、液体用容器1310内に、液体供給管側が凸であり、底面に穴が空いたすり鉢状の部材1318が設けられている。
このすり鉢状の部材1318が液体貯蔵容器保持機構に相当する。
すり鉢状の部材1318は、液体用容器1310と一体形成された部材であってもよく、液体用容器1310の中に別部材として固定された部材であってもよい。
吊り下げ機構1311の形状は図1に示す液体供給装置1における吊り下げ機構の形状と同様である。
【0115】
すり鉢状の部材1318には、図4及び図5に示すようなパウチ(液体貯蔵容器)の液体注ぎ口を下方に向けて、液体注ぎ口をすり鉢状部材の底面の穴に差し込むことによってパウチを保持させることができる。
【0116】
(その他の実施形態)
本発明の液体供給装置において、液体用容器を構成する材質は、収容した液体が漏れないものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の合成樹脂や、ステンレス、アルミニウム等の金属であることが好ましい。これらの材質からなる液体用容器は、強度が高く、かつ、軽量のためである。
なかでも、液体用容器を構成する材質は、上記合成樹脂であることが好ましい。液体用容器が透明又は半透明となり、内部の液体を透かして見ることができるので、蓋を開けずとも、液体量を外部から視認することができるからである。
【0117】
本発明の液体供給装置において、蓋及び蓋取付部位には、雄ねじ構造及び雌ねじ構造が形成されていなくてもよい。
その場合には、蓋と蓋取付部位とを、例えば、粘着テープ、ねじ、ベルト等の固定部材により固定すればよい。
【0118】
本発明の液体供給装置において、吊り下げ機構としては、上述した蓋と吊り下げ部材からなる吊り下げ機構、吊り下げ部材からなる吊り下げ機構、及び、S字フックとベルトとからなる吊り下げ機構の他にも、例えば、クランプ、ヒンジ等の把持部材を使用してもよい。
【0119】
本発明の液体供給装置において、供給管保持部の形状は、上述したJ字形状に限られず、例えば、C字形状、L字形状等の形状であってもよい。
また、供給管保持部は、回転軸を中心として液体供給管を巻き取ることのできるホースリール等であってもよい。
【0120】
上記供給管保持部は、上記液体用容器の側面部に取り付けられた第一の面ファスナーであり、液体供給管の液体吐出機構が設けられた側の端部に、第一の面ファスナーと接着する第二の面ファスナーが取り付けられていることが好ましい。
このような実施形態では、第一の面ファスナーと第二の面ファスナーとを接着することにより、液体供給管を液体用容器の側面部に保持することができる。これにより、液体供給装置の不使用時には、液体供給管を所定の位置にコンパクトに収納することが可能となる。そのため、垂れ下がった液体供給管が作業者にぶつかったりすること等がなく、液体供給管が作業の妨げになることはない。
また、液体吐出機構の吐出口の位置が液体用容器に収容された液体の液面の位置より高くなるように、液体用容器の側面部に液体供給管を保持することが好ましい。仮に、液体吐出機構が破損した場合であっても、液体供給管から液体が流出しつづけることがないからである。
【0121】
本発明の液体供給方法では、作業台近傍の壁に取り付けられた棒状の引っ掛け部材に液体用容器を吊り下げたが、液体用容器を吊り下げる部材については、特に限定されず、キャスター付きのスタンド、ラック、天井に設置したレール等であってもよい。
引っ掛け部材がキャスターつきのスタンドであると、液体用容器を吊り下げた状態で、スタンドごと所定の作業場所まで液体供給装置を移動させることができる。
【0122】
本発明の液体供給装置及び液体供給方法において、使用する液体の種類については特に限定されず、例えば、手指洗浄用の洗剤、食器洗浄用の洗剤、消毒殺菌剤等であってもよい。
【0123】
本発明の液体供給方法において、吐出させる液体量は、特に限定されず、用途等によって適宜選択すればよい。例えば、吐出させる液体量は、0.1〜3000.0ml/分であってもよい。
【0124】
本発明の液体供給方法においては、吐出量の異なる液体吐出機構を備える複数の液体供給装置を使用し、必要に応じて液体供給装置を使い分けることにより、少量の液体供給及び大量の液体供給を行ってもよい。
具体的には、大量の液体供給を行うための液体吐出機構を備える第一の液体供給装置と、少量の液体供給を行うための液体吐出機構を備える第二の液体供給装置とを準備しておき、大量の液体供給を行う場合には、第一の液体供給装置を使用して所定量の液体を吐出させればよく、少量の液体供給を行う場合には、第二の液体供給装置を使用して所定量の液体を吐出させればよい。
【符号の説明】
【0125】
1、2、1001、1101、1201、1301 液体供給装置
10、20、1010、1110、1210、1310 液体用容器
11、21、1011、1111、1211、1311 吊り下げ機構
11a、1011a、1111a 吊り下げ用部材
12、22 液体供給管
13、23 液体吐出機構
1015a、1015b 液体入りパウチ
1018、1118 液体貯蔵容器引っ掛け部(液体貯蔵容器保持機構)
1019a、1019b 液体注ぎ口
1218a 開閉可能な蓋
1218b V字状に対向する1対の部材(液体貯蔵容器保持機構)
1318 すり鉢状の部材(液体貯蔵容器保持機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容するための液体用容器と、
前記液体用容器を所定の空間内に吊り下げるための吊り下げ機構と、
前記所定の空間内に吊り下げられた前記液体用容器に収容された液体を流すための液体供給管と、
前記液体供給管に流された液体を所定量吐出させるための液体吐出機構とを備えることを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記液体供給管は複数本に分岐しており、各前記液体供給管にはそれぞれ異なる種類の液体吐出機構が設けられている請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記液体吐出機構として、前記液体供給管に取り付けられたローラークランプを少なくとも1つ備えている請求項1又は2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記液体吐出機構として、前記液体供給管の先端に接続されたコック、ポンプ又はスプレーガンのうちの少なくとも1種を備えている請求項1〜3のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記液体供給管が2本に分岐しており、うち1本の液体供給管にはローラークランプが取り付けられており、もう1本の液体供給管の先端にはポンプが接続されている請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記吊り下げ機構は、前記液体用容器に取り付けられた吊り下げ用部材を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項7】
前記吊り下げ機構は、前記液体用容器に着脱可能なベルト及び前記ベルトに引っ掛けることのできるS字フックを備えており、
前記液体用容器は、前記ベルトを通す通し穴を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項8】
前記液体用容器は、前記液体供給管を前記液体用容器の側面部に保持する供給管保持部を備えている請求項1〜7のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項9】
液体が貯蔵されており液体注ぎ口を備えている液体貯蔵容器を、前記液体注ぎ口を下方に向けて前記液体用容器に液体を注ぐことのできる位置で保持するための液体貯蔵容器保持機構をさらに備えている請求項1〜8のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項10】
前記液体貯蔵容器保持機構は、前記吊り下げ機構と一体化しており、液体貯蔵容器引っ掛け部を備えている請求項9に記載の液体供給装置。
【請求項11】
前記液体用容器は、その上面に開閉可能な蓋を備えており、前記液体貯蔵容器保持機構は、前記液体用容器の蓋の内側に形成された、V字状に対向する1対の部材である請求項9に記載の液体供給装置。
【請求項12】
前記液体貯蔵容器保持機構は、前記液体用容器内に設けられた、前記液体供給管側が凸であり、底面に穴が空いたすり鉢状の部材である請求項9に記載の液体供給装置。
【請求項13】
前記液体用容器の蓋と吊り下げ用部材とを備えた前記吊り下げ機構が前記液体用容器に接続されており、
前記液体用容器内に、前記液体用容器内の領域を前記吊り下げ機構側の領域と前記液体供給管側の領域とに区切るメッシュが設けられている請求項1〜8のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項14】
前記メッシュの形状が、前記液体供給管側が凸であるすり鉢状である請求項13に記載の液体供給装置。
【請求項15】
前記液体用容器内に液体が収容されており、
前記液体用容器には、蓋が取り付けられており、
前記蓋には、前記液体供給管が接続されている請求項1〜8のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項16】
前記蓋には圧抜き管が接続されており、前記圧抜き管の一端は前記液体用容器の外で開放されており、前記圧抜き管の他端は前記液体用容器内で、前記液体用容器の底部近傍に位置している請求項15に記載の液体供給装置。
【請求項17】
液体供給装置を用いて液体を供給する液体供給方法であって、
前記液体供給装置は、
液体を収容するための液体用容器と、
前記液体用容器を所定の空間内に吊り下げるための吊り下げ機構と、
前記所定の空間内に吊り下げられた前記液体用容器に収容された液体を流すための液体供給管と、
前記液体供給管に流された液体を所定量吐出させるための液体吐出機構とを備えており、
前記液体用容器内に液体が収容された前記液体供給装置を準備する工程と、
前記吊り下げ機構を用いて所定の空間内に前記液体用容器を吊り下げる工程と、
前記液体吐出機構を操作して所定量の液体を吐出させる工程とを含むことを特徴とする液体供給方法。
【請求項18】
前記液体供給管は複数本に分岐しており、各前記液体供給管にはそれぞれ異なる種類の液体吐出機構が設けられており、
前記異なる種類の液体吐出機構を使い分けることによって、少量の液体供給及び大量の液体供給を一つの液体供給装置で行う請求項17に記載の液体供給方法。
【請求項19】
前記吊り下げ機構は、前記液体用容器に着脱可能なベルト及び前記ベルトに引っ掛けることのできるS字フックを備えており、
前記液体用容器は、前記ベルトを通す通し穴を備えており、
前記ベルトを前記通し穴に通して前記液体用容器にベルトを取り付け、前記ベルトに引っ掛けた前記S字フックを用いて所定の空間内に前記液体用容器を吊り下げる請求項17又は18に記載の液体供給方法。
【請求項20】
前記液体用容器内に、液体が貯蔵されており液体注ぎ口を備えている液体貯蔵容器を、前記液体注ぎ口を下方に向けて前記液体用容器に液体を注ぐことのできる位置で保持するための液体貯蔵容器保持機構が設けられており、
液体用容器に液体が収容された前記液体供給装置を準備する工程は、
液体が貯蔵されており液体注ぎ口を備えている液体貯蔵容器を準備する工程と、
前記液体貯蔵容器を、その液体注ぎ口を下方に向けて前記液体貯蔵容器保持機構に保持させることによって、前記液体貯蔵容器内の液体を前記液体用容器内に注ぐ工程とを含む請求項17〜19のいずれかに記載の液体供給方法。
【請求項21】
前記液体用容器内に、前記液体用容器内の領域を前記吊り下げ機構側の領域と前記液体供給管側の領域とに区切るメッシュが設けられており、
液体用容器に液体が収容された前記液体供給装置を準備する工程は、
液体入りパウチに開口を形成する工程と、
前記開口を形成した液体入りパウチを前記液体用容器内の前記メッシュ上に置くことによって、前記液体入りパウチ内の液体を前記液体用容器内の前記液体供給管側の領域に落下させる工程とを含む請求項17〜19のいずれかに記載の液体供給方法。
【請求項22】
前記液体用容器には、蓋が取り付けられており、
前記蓋には、前記液体供給管が接続されており、
液体用容器に液体が収容された前記液体供給装置を準備する工程は、
液体が予め収容された液体用容器を準備する工程と、
前記蓋を前記液体用容器に取り付ける工程とを含む請求項17〜19のいずれかに記載の液体供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−143967(P2011−143967A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88924(P2010−88924)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000190736)株式会社ニイタカ (33)
【Fターム(参考)】