説明

液体保持具

【課題】人や物に液体を直接つけなくても液体の効能を使用者に与えることができる液体保持具を提供する。
【解決手段】液体保持具1は、シート部2Aと、シート部2Aと一体的に成形されると共に香水3を内包する複数の突起部2Bとで構成された保持シート2と、保持シート2の突起部2Bが破損して放出された香水3が接触できる位置即ち各突起部2Bに対応する位置に配置されると共に、香水3が浸透可能な素材で構成された複数の試香紙4と、壁部材6の間に保持シート2の突起部2Bが配置された、平板状の第1のカバー部材5と、保持シート2の各突起部2Bに対応する位置に保持シート2(突起部2B)に向けて屈曲可能に設けられた複数の押圧片8を有する平板状の第2のカバー部材7とを備える。突起部2Bは、人が指で挟んで持つ力では破損しないが、この力より大きな力が加えられると破損するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体保持具に関する。詳しくは、例えば香水を保持するカード形状の液体保持具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
香水は、本来、宗教的な用途や薬用として使用されていたが、その後、楽しみや嗜みとして使用されるようになった。
そして、香水は通常、ボトルなどに入れられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図5に示すような香水ボトルが記載されている。即ち、図5の右側に示されている香水ボトル101は、図5の中央に分割してさらに示されているケーシング102と、図5の左側に完全状態で示されている放出口104を有する透明な内側容器103とを備える。また、香水が充填された内側容器103の放出口104は、基礎体105を貫通して挿入されている吸水管106の形式で形成されている。また、吸水管106の外側末端にはスプレーヘッド107が取付けられており、これが、内側容器103内に充填された香水を放出するための作動装置として機能する。
また、内側容器103内に充填された香水を使用し終わった後、ネジ117を外した後で、内側容器103をケーシング102から取外し、同様な構造の内側容器103あるいは別の構造の内側容器103に交換できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011−506001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、香水は、肌に直接つけたり、衣服に直接つけたりして楽しまれているが、肌や衣服に香水を直接つけ続けていると、シミが発生してしまっていた。特に、香水を使い続けていると、嗅覚が香水の香りに順応するので、香水をつけ過ぎてしまっていた。
【0006】
そこで、肌や衣服に香水を直接つける代わりに、試香紙やハンカチなどに香水をしみ込ませて香りを楽しむことも考えられるが、従来の香水ボトルは、所定の大きさを有しているので、持ち運ぶ場合でも服のポケットには入れ難かった。
また、仮に香水を持ち運ぶとしても、ミニボトルやアトマイザーに移し替える必要があり、移し替える作業が煩わしかった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、人や物に液体を直接つけなくても液体の効能を使用者に与えることができる液体保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の液体保持具は、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、該保持部材から放出された前記液体が接触できる位置に配置されると共に、前記液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備える。
【0009】
ここで、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材によって、例えば使用者は指で保持部材を挟んでやや強く押すだけで、保持部材を破損させて液体を放出させることができる。
【0010】
なお、ここで言う「所定の力」とは、保持部材を指で挟んで持つときの挟む力より大きい力を意味する。
また、ここで言う「液体」には、基体に浸透可能である限り、様々な粘性を有する液体が含まれ、半液体も含まれる。
【0011】
また、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体によって、液体、例えば香水を保持する保持部材を外出先で破損させて香水を放出させ、基体に香水を浸透させて香りを楽しむことができる。
【0012】
また、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体によって、仮に意図せずに保持部材が破損して液体が放出されたとしても、基体が液体を吸収するので、液体保持具以外の物に液体が及ぶことはない。
【0013】
また、本発明の液体保持具は、所定の間隔で複数の壁部材が設けられると共に、壁部材の間に保持部材が配置された第1のカバー部材と、保持部材に対応する位置に保持部材に向けて屈曲可能に設けられた押圧片を有する第2のカバー部材とを備え、基体は、保持部材と押圧片との間に配置されたものとすることができる。
【0014】
この場合、壁部材によって、保持部材が壁部材と壁部材の間に配置されているので、保持部材に所定の力以上の力を加えて潰す際に、保持部材が壁部材に阻まれて逃げにくい。
また、壁部材を設けることによって、保持部材を配置しやすくなる。
また、壁部材によって、保持部材から放出された液体が、壁部材に阻まれて壁部材の外へ漏れにくくなる。
【0015】
また、本発明の液体保持具において、第1のカバー部材と第2のカバー部材が互いに着脱可能に結合され、保持部材は着脱可能に配置された場合、保持部材を、第1のカバー部材と第2のカバー部材で挟んで、第1のカバー部材と第2のカバー部材を嵌合させるだけで本発明の液体保持具を製造できるので、量産が容易である。
【0016】
また、この場合、液体を使い切っても、第1のカバー部材と第2のカバー部材を分離して、中身の保持部材を、新しい保持部材に取替え、再び第1のカバー部材と第2のカバー部材を嵌合させるだけで、再び液体保持具として使用できるので、資源の節約となる。
【0017】
また、本発明の液体保持具において、保持部材と押圧片との間の空間において、基体が存在する領域と基体が存在しない領域とがある場合、基体がクッション性のあるものであっても、基体が存在しない領域において押圧片が直接、保持部材に力を加えることができる。
【0018】
また、本発明の液体保持具において、基体は、所定の孔が形成されており、保持部材は、孔の内部に配置されたものとすることができる。また、このとき、複数の保持部材がそれぞれ、基体に並べて形成された複数の孔それぞれの内部に配置されており、各保持部材に内包された液体は互いに同じであるものとすることができる。
【0019】
この場合、保持部材が、基体の孔の内部に配置されているので、保持部材が基体の表面に表出せず、本発明の液体保持具を持ち運んでいる時でも、保持部材が他の物に当たって破損し難くなる。
【0020】
また、複数の保持部材がそれぞれ、基体に並べて形成された複数の孔それぞれの内部に配置されており、各保持部材に内包された液体は互いに同じなので、保持部材を破損させた数で、液体の放出量を把握することができる。
【0021】
また、本発明の液体保持具において、基体は、一の孔と他の孔との間の領域に、非浸透性の仕切部材を有する場合、一の孔の内部に配置された保持部材と、他の孔の内部に配置された保持部材とがそれぞれ破損して、液体が基体に浸透しても、互いの液体が混ざることはない。
【0022】
また、本発明の液体保持具において、基体は、液体と接触した場合に変色する素材で構成された場合、液体が放出されているかどうかを把握し易くなる。
【0023】
また、本発明の液体保持具において、基体は、基体の孔から基体の側面部まで延びると共に側面部に開口部を形成する溝部を有する場合、孔が外気に通じているので、使用者は、液体例えば香水の香りを開口部から直接受けることができる。
【0024】
また、このとき、基体の側面部に形成された開口部は、塑性的に圧潰可能である場合、使用者は、液体例えば香水の香りを抑えたいときに、開口部を指で潰すだけで、香りを抑えることができる。
【0025】
また、本発明の液体保持具において、基体は平板状である場合、表裏面へ、絵柄や文字などを印刷しやすくなり、また、液体が香水であれば、団扇のように扇ぐことで、衣服や肌などに、ほのかな香りを付けることが可能となる。
【0026】
また、本発明の液体保持具において、液体は香水であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る液体保持具は、人や物に液体を直接つけなくても液体の効能を使用者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の液体保持具の第1の実施態様を示す概略分解図である。
【図2】図1の液体保持具の概略断面図である。
【図3】本発明の液体保持具の第2の実施態様を示す概略分解図である。
【図4】図3の液体保持具の概略部分断面図である。
【図5】従来の香水ボトルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の液体保持具の第1の実施態様を示す概略分解図である。また、図2は、図1の液体保持具の概略断面図である。
【0030】
図1及び図2に示す第1の実施態様において、本発明の液体保持具1は、シート部2Aと、シート部2Aと一体的に成形されると共に香水3を内包する複数(8つ)の突起部2Bとで構成されたビニール製の保持シート(保持部材の一例である。)2を備える。
また、内包された香水3は互いに同じものである。
【0031】
ここで、保持シート2、特に突起部2Bは、人が指で挟んで持つ力では破損しないが、この力より大きな力が加えられると破損するよう構成されている。
【0032】
また、本発明の液体保持具1は、保持シート2の突起部2Bが破損して放出された香水3が接触できる位置即ち保持シート2の各突起部2Bに対応する位置に配置されると共に、香水3が浸透可能な素材で構成された複数の試香紙(基体の一例である。)4を備える。
【0033】
また、本発明の液体保持具1は、所定の間隔で複数の壁部材6が設けられると共に、壁部材6と壁部材6の間に保持シート2の突起部2Bが配置された、平板状の第1のカバー部材5を備える。
【0034】
また、本発明の液体保持具1は、保持シート2の各突起部2Bに対応する位置に保持シート2(突起部2B)に向けて屈曲可能に設けられた複数の押圧片8を有する、平板状の第2のカバー部材7を備える。
【0035】
ここで、押圧片8は、第2のカバー部材7の表面に一部を残して略円弧状のスリットを設けることで形成されており、スリットが設けられていない部分を軸にして屈曲できるようになっている。
【0036】
また、試香紙4は、保持シート2と押圧片8との間に配置される。
【0037】
また、第1のカバー部材5の四隅には、結合棒9が取付けられている。また、第2のカバー部材7の四隅には、図示していないが結合棒9が挿入される穴が設けられており、第1のカバー部材5と第2のカバー部材7は互いに着脱可能に結合される。
【0038】
また、保持シート2は、第1のカバー部材5と第2のカバー部材7に挟まれて配置されるので、着脱可能に配置されることになる。
【0039】
また、図2に示すように、保持シート2と押圧片8との間の空間において、試香紙4が存在する領域と試香紙4が存在しない領域とがあり、試香紙4が存在しない領域に向けて、押圧片8には針部10が取付けられている。
【0040】
本発明の液体保持具1の使用者は、保持シート2の突起部2Bに内包された香水3の香りを楽しむために、図2に示すように指で押圧片8を押す。
【0041】
押された押圧片8は、保持シート2に向けて屈曲し、保持シート2の突起部2Bに当たって所定の力以上の力を保持シート2の突起部2Bに加える。このとき、保持シート2と押圧片8との間の空間において、試香紙4が存在しない領域に向けて、押圧片8には針部10が取付けられているので、針部10が直接、保持シート2の突起部2Bの位置に突き刺さり、保持シート2の突起部2Bが破損して、香水3が放出される。
【0042】
また、試香紙4が、突起部2Bに対応する位置に配置されているので、放出された香水3は、試香紙4に浸み込む。
そして、試香紙4に浸み込んだ香水3の香りは、押圧片8を形成するために設けられたスリットも含めた、押圧片8が屈曲して生じた孔を通って外気へ拡散する。
【0043】
ここで、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも第1のカバー部材と第2のカバー部材を備えていなくてもよいし、保持部材として、シート部と複数の突起部を有する保持シートを用いなくてもよい。
例えば、壁部材6の間に、香水を内包した球状の保持部材(例えばマイクロカプセル)を個別に配置することもできる。
【0044】
しかし、本発明の液体保持具が、第1のカバー部材と第2のカバー部材を備えていれば、保持部材を、第1のカバー部材と第2のカバー部材で挟んで、第1のカバー部材と第2のカバー部材を嵌合させるだけで本発明の液体保持具を製造できるので、量産が容易であり、好ましい。
【0045】
また、本発明の液体保持具が、第1のカバー部材と第2のカバー部材を備えていれば、本発明の液体保持具を持ち運んでいる時でも、保持部材が他の物に直接当たって破損することを防止できるので好ましい。
【0046】
さらに、シート部と複数の突起部を有する保持シートを用いていれば、液体(香水)を使い切っても、第1のカバー部材と第2のカバー部材を分離して、中身の保持シートを、新しい保持シートに取替えるだけでよいので、複数の香水の一括交換が容易であり、また、再び第1のカバー部材と第2のカバー部材を嵌合させるだけで、再び液体保持具として使用できるので、資源の節約となり好ましい。
【0047】
また、必ずしも保持シートのシート部と突起部が同一の素材で構成されていなくてもよく、互いに異なる素材で構成されていてもよい。また、必ずしも複数の突起部を設けなくてもよく、突起部は1つでもよい。
また、基体として必ずしも試香紙を用いなくてもよく、例えば綿を用いることもできる。
【0048】
また、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも保持部材と押圧片との間の空間において、基体(試香紙)が存在する領域と基体が存在しない領域とがあるようにしなくてもよい。
【0049】
しかし、保持部材と押圧片との間の空間において、基体が存在する領域と基体が存在しない領域とがあれば、基体がクッション性を有し、基体を介してでは保持部材に力を加え難くても、基体が存在しない領域において押圧片が直接、保持部材に力を加えることができるので好ましい。
【0050】
なお、保持部材と押圧片との間の空間において、基体が存在する領域と基体が存在しない領域とがあれば、必ずしも、基体が存在しない領域に向けて、押圧片に針部を取付けなくてもよい。
また、保持部材と押圧片との間の空間を基体が占めてしまい、押圧片が必ず基体を介して保持部材を押す場合、押圧片に針部を取付けることが好ましい。
【0051】
また、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも第1のカバー部材に所定の間隔で複数の壁部材を設けなくてもよい。
【0052】
しかし、所定の間隔で複数の壁部材を設けていれば、保持部材が壁部材と壁部材の間に配置されているので、保持部材に所定の力以上の力を加えて潰す際に、保持部材が壁部材に阻まれて逃げ難いうえに、保持部材を配置しやすくなり、さらに、保持部材から放出された液体が、壁部材に阻まれて壁部材の外へ漏れにくくなり、好ましい。
【0053】
また、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも保持部材に内包された液体は互いに同じでなくてもよい。
【0054】
しかし、保持部材に内包された液体が互いに同じであれば、保持部材を破損させた数で、液体の放出量を把握することができるので好ましい。特に液体が香水であれば、香水の継続使用により嗅覚が香水に順応してしまい、香水の適量が判らなくなっても、客観的に使用者にとっての適量を把握できて好ましい。
【0055】
図3は、本発明の液体保持具の第2の実施態様を示す概略分解図である。また、図4は、図3の液体保持具の概略部分断面図である。
【0056】
図3及び図4に示す第2の実施態様において、本発明の液体保持具1は、香水3を内包すると共に、所定の力以上で破損する複数(3つ)の樹脂製のマイクロカプセル(保持部材の一例)11を備える。
また、内包された香水3は互いに同じものである。
【0057】
ここで、マイクロカプセル11は、人が指で挟んで持つ力では破損しないが、この力より大きな力が加えられると破損するよう構成されている。
【0058】
また、本発明の液体保持具1は、マイクロカプセル11が破損して放出された香水3が接触できる位置即ち並べて形成された複数(3つ)の孔4Aそれぞれの内部にマイクロカプセル11がそれぞれ配置されると共に、香水3が浸透可能な素材で構成された試香紙4を備える。
また、孔4Aは、マイクロカプセル11が内部に配置できる程度の径を有する。
【0059】
また、試香紙4は、一の孔と他の孔との間の領域に、非浸透性の仕切部材4Bを有する。
また、試香紙4は、香水3と接触した場合に変色する素材で構成されている。
【0060】
また、試香紙4は、試香紙4の孔4Aから試香紙4の側面部まで延びると共に側面部に開口部4Cを形成する溝部4Dを有する。
また、試香紙4の側面部に形成された開口部4Cは、塑性的に圧潰可能である。
【0061】
また、本発明の液体保持具1は、試香紙4の両面に積層された印刷紙12を備える。また、印刷紙12には、試香紙4の複数の孔4Aそれぞれに対応する位置に、複数(3つ)の孔12Aがそれぞれ形成されている。また、印刷紙12には、例えば、会社の広告が印刷されていたり、「香りのいわれ」についての文章が印刷されていたりする。
【0062】
また、本発明の液体保持具1は、印刷紙12に積層された透明フィルムシート13を備える。
【0063】
本発明の液体保持具1の使用者は、マイクロカプセル11に内包された香水3の香りを楽しむために、図4に示すように、最も外側に積層された透明フィルムシート13を介して、指でマイクロカプセル11を押し潰す。
【0064】
そして、押し潰されたマイクロカプセル11から香水3が放出され、放出された香水3は、マイクロカプセル11の周囲にある試香紙4に浸み込む。そして、試香紙4に浸み込んだ香水3の香りは、溝部4Dを通って外部へ拡散したり、透明フィルムシート13などが積層されていない、試香紙4の側面部から外気へ拡散したりする。
【0065】
ここで、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも基体(試香紙)に孔が形成されなくてもよく、また、保持部材(マイクロカプセル)が孔の内部に配置されていなくてもよい。
【0066】
しかし、保持部材が、基体の孔の内部に配置されていれば、保持部材が基体の表面に表出せず、本発明の液体保持具を持ち運んでいる時でも、保持部材が他の物に当たって破損し難くなるので好ましい。
【0067】
また、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも基体は、一の孔と他の孔との間の領域に、非浸透性の仕切部材を有していなくてもよい。
【0068】
しかし、基体が、一の孔と他の孔との間の領域に、非浸透性の仕切部材を有していれば、一の孔の内部に配置された保持部材と、他の孔の内部に配置された保持部材とがそれぞれ破損して、液体が基体に浸透しても、互いの液体が混ざることはないので、液体を混ぜたくないときには好ましい。
【0069】
また、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも基体は、液体と接触した場合に変色する素材で構成されていなくてもよい。
【0070】
しかし、基体が、液体と接触した場合に変色する素材で構成されていれば、液体が放出されているかどうかを把握し易くなるので好ましい。
【0071】
また、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも基体は、基体の孔から基体の側面部まで延びると共に側面部に開口部を形成する溝部を有していなくてもよい。
【0072】
しかし、基体が、基体の孔から基体の側面部まで延びると共に側面部に開口部を形成する溝部を有していれば、孔が外気に通じているので、使用者は、液体例えば香水の香りを開口部から直接受けることができ、好ましい。
【0073】
また、本発明の液体保持具が、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備えるのであれば、必ずしも基体の側面部に形成された開口部は、塑性的に圧潰可能でなくてもよい。
【0074】
しかし、基体の側面部に形成された開口部が、塑性的に圧潰可能であれば、使用者は、液体例えば香水の香りを抑えたいときに、開口部を指で潰すだけで、香りを抑えることができるので、途中で香りを抑えたいときには好ましい。
【0075】
また、第1の実施態様及び第2の実施態様において、液体の例として香水を挙げて説明したが、必ずしも香水でなくてもよく、例えば喘息用の薬剤であってもよい。
【0076】
また、第1の実施態様及び第2の実施態様において、本発明の液体保持具は平板状であるが、必ずしも平板状でなくてもよく、例えば棒状であってもよい。棒状の場合、保持部材を潰しやすい。
【0077】
また、第1の実施態様及び第2の実施態様において、本発明の液体保持具は、平面視した場合にカード形状であるが、必ずしもカード形状でなくてもよく、例えば平面視した場合にキャラクターの形状であってもよい。
【0078】
また、孔を複数形成しているが、孔は1つでもよく、その1つの孔の内部に1つのマイクロカプセルを配置するようにしてもよい。
【0079】
以上のように、本発明の液体保持具は、液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材を備えるので、使用者は指で保持部材を挟んでやや強く押すだけで、保持部材を破損させて液体を放出させることができる。
【0080】
また、本発明の液体保持具は、保持部材から放出された液体が接触できる位置に配置されると共に、液体が浸透可能な素材で構成された基体を備えているので、液体、例えば香水を保持する保持部材を外出先で破損させて香水を放出させ、基体に香水を浸透させて香りを楽しむことができる。
【0081】
従って、本発明の液体保持具は、使用者が指で保持部材を挟んでやや強く押すだけで、人や物に液体を直接つけなくても液体の効能を使用者に与えることができる。
【0082】
また、香水入りのミニボトルをポケットやカバンに入れていると、ミニボトルが破損したときにポケットやカバンに香水がかかってしまうが、本発明の液体保持具であれば、保持部材から放出された香水が接触できる位置に配置されると共に、香水が浸透可能な素材で構成された基体が香水を吸収するので、ポケットやカバンなどに本発明の液体保持具を入れておいても、ポケットやカバンなどに香水がかかることはない。
【0083】
さらに、本発明の液体保持具であれば、複数の突起部や複数のマイクロカプセルに分けて香水が内包されるので、香水入りのミニボトルが破損して放出される香水の量よりも、香水の放出量は圧倒的に少ない。
従って、香水入りのミニボトルよりも、ポケットやカバンを汚し難い。
【0084】
従って、本発明の液体保持具は、肌や衣服にシミをつける心配がなく、携帯性も良い。
また、携帯性が良いので、携帯するために香水をアトマイザーなどに移し替える必要もない。
【0085】
また、本発明の第1の実施態様の液体保持具は、図1及び図2から明らかなように、基体(試香紙)が保持部材(保持シート)の一方側にのみ配置されており、しかも放出された液体(香水)は試香紙に浸み込むので、香水が集中して試香紙に浸み込むことができ、香りの時間を特定することができる。
従って、短期的に集中して香りを楽しみたい場合に、便利である。
【0086】
また、本発明の第2の実施態様の液体保持具は、図3及び図4から明らかなように、基体(試香紙)が保持部材(マイクロカプセル)の周囲に配置されているので、放出された液体(香水)は試香紙に浸み込んで四方に拡がり、香りが長持ちする。
【0087】
また、同じ香水が、複数の突起部に内包されていたり、複数のマイクロカプセルに内包されていたりするので、潰す突起部やマイクロカプセルの数を調整することで、芳香量を調整することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 液体保持具
2 保持シート
2A シート部
2B 突起部
3 香水
4 試香紙
4A 孔
4B 仕切部材
4C 開口部
4D 溝部
5 第1のカバー部材
6 壁部材
7 第2のカバー部材
8 押圧片
9 結合棒
10 針部
11 マイクロカプセル
12 印刷紙
12A 孔
13 透明フィルムシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を内包すると共に、所定の力以上で破損する保持部材と、
該保持部材から放出された前記液体が接触できる位置に配置されると共に、前記液体が浸透可能な素材で構成された基体とを備える
液体保持具。
【請求項2】
所定の間隔で複数の壁部材が設けられると共に、同壁部材の間に前記保持部材が配置された第1のカバー部材と、
前記保持部材に対応する位置に前記保持部材に向けて屈曲可能に設けられた押圧片を有する第2のカバー部材とを備え、
前記基体は、前記保持部材と前記押圧片との間に配置された
請求項1に記載の液体保持具。
【請求項3】
前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材が互いに着脱可能に結合され、
前記保持部材は着脱可能に配置された
請求項2に記載の液体保持具。
【請求項4】
前記保持部材と前記押圧片との間の空間において、前記基体が存在する領域と前記基体が存在しない領域とがある
請求項2または請求項3に記載の液体保持具。
【請求項5】
前記基体は、所定の孔が形成されており、
前記保持部材は、前記孔の内部に配置された
請求項1に記載の液体保持具。
【請求項6】
複数の前記保持部材がそれぞれ、前記基体に並べて形成された複数の孔それぞれの内部に配置されており、
各保持部材に内包された液体は互いに同じである
請求項5に記載の液体保持具。
【請求項7】
前記基体は、一の孔と他の孔との間の領域に、非浸透性の仕切部材を有する
請求項6に記載の液体保持具。
【請求項8】
前記基体は、前記液体と接触した場合に変色する素材で構成された
請求項1〜7のいずれか1つに記載の液体保持具。
【請求項9】
前記基体は、前記基体の孔から前記基体の側面部まで延びると共に同側面部に開口部を形成する溝部を有する
請求項5〜8のいずれか1つに記載の液体保持具。
【請求項10】
前記基体の側面部に形成された前記開口部は、塑性的に圧潰可能である
請求項9に記載の液体保持具。
【請求項11】
前記基体は平板状である
請求項1〜10のいずれか1つに記載の液体保持具。
【請求項12】
前記液体は香水である
請求項1〜11のいずれか1つに記載の液体保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−223492(P2012−223492A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96061(P2011−96061)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(511102516)
【出願人】(511102527)
【出願人】(511102549)