説明

液体充填包装装置

【課題】 チューブ状に成形されたチューブ状包材内の充填液の液面レベルを精度よく制御すると共に、充填液の吹き上げや液不足を防止することができる液体充填包装装置を提供すること。
【解決手段】 サーボモータ16によって駆動する流量調整弁14を具備する充填管12と、流量調整弁14の上流側に設けられた、充填液タンクから供給される充填液の圧力を検出する圧力センサー18と、チューブ状包材B内に充填された充填液に浮かべられた、マグネットを具備するフロート20と、マグネットを具備するフロート20の上下動に伴う磁気の強弱の変化を検出する磁気センサー22と、圧力センサー18及び磁気センサー22の検出結果に基づき、サーボモータ16を制御して流量調整弁14の開閉量を調整する制御手段24とを備えた液体充填包装装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ状に成形されたチューブ状包材内の充填液の液面レベルを精度よく制御することができる液体充填包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、チューブ状包材内に充填された充填液に浮かべられたマグネットを具備するフロートと、該マグネットの上下動に伴う磁気の強弱の変化を電気信号に変えて出力する磁気センサーと、磁気センサーの出力信号に基づいて制御されるエアー駆動の流量調整弁を備えた液体充填包装装置が提案されている。(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】実開平1−82102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の液体充填包装装置は、流量調整弁がエアー駆動であるために開閉の精度が悪いという問題があった。また、充填液タンクからの給液圧力が一定範囲以上変動すると、液面レベルの制御が不能となり、充填液の吹き上げや液不足が生じるという問題があった。特に、充填液の吹き上げが生じた場合には、装置自体の殺菌を改めて行う必要があり復旧に時間がかかる等、非常に大きな問題であった。
【0005】
本発明の課題は、チューブ状に成形されたチューブ状包材内の充填液の液面レベルを精度よく制御すると共に、充填液の吹き上げや液不足を防止することができる液体充填包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、流量調整弁をサーボモータで駆動すると共に、充填液の液面レベルを検出するフロート位置情報に加えて、充填液タンクから送られる充填液の圧力情報に基づき、流動調整弁を制御することにより、上記課題を解決することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(1)包材の長手方向両端部をシールしてチューブ状に成形すると共に該チューブ状包材内に充填液を充填し、充填液が充填されたチューブ状包材をほぼ容器1個に相当する長さ分だけ下方に送りながら、チューブ状包材の長手方向と直交する方向にシールして包装する液体充填包装装置であって、
サーボモータによって駆動する流量調整弁を具備する充填管と、
前記流量調整弁の上流側に設けられた、充填液タンクから供給される充填液の圧力を検出する圧力センサーと、
前記チューブ状包材内に充填された充填液に浮かべられた、マグネットを具備するフロートと、
該マグネットを具備するフロートの上下動に伴う磁気の強弱の変化を検出する磁気センサーと、
前記圧力センサー及び磁気センサーの検出結果に基づき、前記サーボモータを制御して流量調整弁の開閉量を調整する制御手段と、
を備えたことを特徴とする液体充填包装装置に関する。
【0008】
また本発明は、(2)制御手段が、圧力センサーの検出結果から決定した流量調整弁の開閉範囲と、磁気センサーの検出結果からフロートが目標位置となるようPID演算により算出した流量調整弁の開閉割合の値とに基づき、サーボモータを制御して流量調整弁の開閉量を調整する手段であることを特徴とする上記(1)記載の液体充填包装装置や、(3)充填液タンクと、該充填液タンクに連通した複数の上記(1)又は(2)記載の液体充填包装装置とを備えたことを特徴とする液体充填包装機に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体充填包装装置によれば、チューブ状に成形されたチューブ状包材内の充填液の液面レベルを精度よく制御することができる。また、充填液タンクからの給液圧力の変動にも対応でき、使用圧力範囲が大幅に広がり、充填液の吹き上げや液不足を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の液体充填包装装置としては、包材の長手方向両端部をシールしてチューブ状に成形すると共に該チューブ状包材内に充填液を充填し、充填液が充填されたチューブ状包材をほぼ容器1個に相当する長さ分だけ下方に送りながら、チューブ状包材の長手方向と直交する方向にシールして包装する液体充填包装装置であって、サーボモータによって駆動する流量調整弁を具備する充填管と、前記流量調整弁の上流側に設けられた、充填液タンクから供給される充填液の圧力を検出する圧力センサーと、前記チューブ状包材内に充填された充填液に浮かべられた、マグネットを具備するフロートと、該マグネットを具備するフロートの上下動に伴う磁気の強弱の変化を検出する磁気センサーと、前記圧力センサー及び磁気センサーの検出結果に基づき、前記サーボモータを制御して流量調整弁の開閉量を調整する制御手段とを備えた液体充填包装装置であれば特に制限されるものではなく、例えば、ジュース、牛乳等を充填包装する装置を好適に例示することができ、ケチャップ、マヨネーズ等のペーストを充填包装する装置も本発明に包含される。
【0011】
本発明の液体充填包装装置は、流量調整弁をサーボモータで駆動すると共に、充填液の液面レベルを検出するフロート位置情報、及び充填液タンクから送られる充填液の圧力情報に基づき、流動調整弁を制御するので、例えば、充填液タンクから供給される充填液の給液圧力の不慮の変動や、充填液タンク内の充填液残量の変化に伴う給液圧力の変動や、充填液タンクからポンプにより充填液を供給する場合の給液圧力の圧力変動に対応することができ、液面レベルを所望のレベルに保持することができる。
【0012】
また、本発明の液体充填包装装置は、1つの充填液タンクに複数の装置が接続される場合特に有用である。例えば、充填液タンクに対して3台の液体充填包装装置が接続されている場合、そのうちの1台をストップすると運転中の他の2台の給液圧力が瞬間的に上昇するが、本発明の液体充填包装装置はこれに対応して流量調整弁の調整を行うので、他の2台は、液面のレベルが安定して保持される。
【0013】
制御手段は、上記のように、圧力センサー及び磁気センサーの検出結果に基づき、前記サーボモータを制御して流量調整弁の開閉量を調整する手段であるが、圧力センサーの検出結果から決定した流量調整弁の開閉範囲と、磁気センサーの検出結果からフロートが目標位置となるようPID演算により算出された流量調整弁の開閉割合の値とに基づき、サーボモータを制御して流量調整弁の開閉量を調整する手段であることが好ましい。すなわち、制御手段は、圧力センサーの検出した圧力情報に応じて、流量調整弁の開閉量の最小・最大を定め、流量調整弁の開閉範囲を決定する。これにより、チューブ状包材内へ充填される充填液の流量が所定範囲で制御されることになる。なお、この圧力情報と開閉範囲(最小・最大)の関係のデータは予め制御手段に蓄積されていることが好ましい。また、磁気センサーが検出したフロート位置情報に応じて、フロートが目標位置となるようPID演算を行い、前記圧力センサーの検出結果から決定した流量調整弁の開閉範囲のうち、どの程度流量調整弁を開けばよいのかを算出し、この結果に基づき、流量制御弁を駆動するサーボモータに指令を出す。
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。図1は、本発明の液体充填包装装置の一例を示す概略図であり、図2は、本発明の液体充填包装装置の制御方法を説明する図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の一例である液体充填包装装置10は、充填管12の先方部分を包囲するように包材Aの長手方向両端部をシールしてチューブ状包材Bとすると共にチューブ状包材B内に充填液を充填し、充填液が充填されたチューブ状包材Bをほぼ容器1個に相当する長さ分だけ下方に送りながら、チューブ状包材Bの長手方向と直交する方向にシールして包装する装置である。
【0016】
充填管12には、充填液の流量を調整する流量調整弁14が設けられており、かかる流量調整弁14はサーボモータ16によって駆動する。サーボモータ16によって流量調整弁14を開閉する機構については、例えば、特開平10−194390号公報に詳細に記載されている。また、流量調整弁14の上流側(充填液タンク(不図示)と流量調整弁14との間)には、充填液タンクから供給される充填液の圧力を検出する圧力センサー18が設けられている。
【0017】
また、マグネットを具備するフロート20が、充填管12の先端部を包囲するように上下方向に移動可能に設けられ、チューブ状包材B内に充填された充填液に浮かべられている。このフロート20の近傍には、フロート20のマグネットの上下動に伴う磁気の強弱の変化を検出し、電気信号として出力する磁気センサー22が設けられている。
【0018】
さらに、液体充填包装装置10は、圧力センサー18及び磁気センサー22の検出結果に基づき、サーボモータ16を制御して流量調整弁14の開閉量を調整する制御手段24を備えている。
【0019】
上記のような制御手段24を備えた液体充填包装装置10の制御方法について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、本発明の液体充填包装装置10を用いて充填開始する際には、まず予備操作として、充填管12内のエアー抜きを実行し〈ステップ1〉、所定の位置までフロート20を上昇させる〈ステップ2〉。
【0020】
続いて、本格的な充填液の充填包装を開始する。充填包装中は、圧力センサー18により、充填液タンクからの給液圧力を検出し、かかる圧力情報に基づき流量調整弁14の開閉量の最大・最小、すなわち流量調整弁14の開閉範囲を決定する〈ステップ3〉。他方、磁気センサー22により、現在のフロート20の位置(磁気の強弱)を検出し、この位置情報からフロート目標位置(例えば、ストローク50%)となるようにPID演算値(開閉割合:(%))を算出する〈ステップ4〉。決定された流量調整弁14の開閉範囲及びPID演算値(弁開閉割合)から、サーボモータ16に指令を出し、流量調整弁14を調整する〈ステップ5〉。充填終了まで、充填包装1回毎に、上記〈ステップ3〉〜〈ステップ5〉を繰り返し、液面レベルを常時一定に保つ。
【0021】
より具体的には、圧力センサー20により、充填液タンクからの給液圧力が100kPaと検出されると、流量調整弁14の開閉量が例えば2.0(最小)〜2.5(最大)mmの範囲と決定される。他方で、磁気センサー22により、現在のフロート20の位置が検出され、PID演算により流量調整弁14の開閉割合が例えば40%と算出される。この両者の結果から、サーボモータ16へ指令を出し、流量調整弁の開閉量を2.2mmに調整する。また、給液圧力が150kPaに変動すると、流量調整弁の開閉量が例えば1.5〜2.0mmの範囲と決定されると共に、他方でPID演算値が同様に算出され、両者の結果から流量調整弁14が調整される。
【0022】
このような制御を行うことにより、充填液タンクからの給液圧力の変動による影響を抑制してチューブ状包材内の液面レベルを一定に保ち、充填液の吹き上げや液不足を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の液体充填包装装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の液体充填包装装置の制御方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0024】
10 液体充填包装装置
12 充填管
14 流量調整弁
16 サーボモータ
18 圧力センサー
20 フロート
22 磁気センサー
24 制御手段
A 包材
B チューブ状包材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材の長手方向両端部をシールしてチューブ状に成形すると共に該チューブ状包材内に充填液を充填し、充填液が充填されたチューブ状包材をほぼ容器1個に相当する長さ分だけ下方に送りながら、チューブ状包材の長手方向と直交する方向にシールして包装する液体充填包装装置であって、
サーボモータによって駆動する流量調整弁を具備する充填管と、
前記流量調整弁の上流側に設けられた、充填液タンクから供給される充填液の圧力を検出する圧力センサーと、
前記チューブ状包材内に充填された充填液に浮かべられた、マグネットを具備するフロートと、
該マグネットを具備するフロートの上下動に伴う磁気の強弱の変化を検出する磁気センサーと、
前記圧力センサー及び磁気センサーの検出結果に基づき、前記サーボモータを制御して流量調整弁の開閉量を調整する制御手段と、
を備えたことを特徴とする液体充填包装装置。
【請求項2】
制御手段が、圧力センサーの検出結果から決定した流量調整弁の開閉範囲と、磁気センサーの検出結果からフロートが目標位置となるようPID演算により算出した流量調整弁の開閉割合の値とに基づき、サーボモータを制御して流量調整弁の開閉量を調整する手段であることを特徴とする請求項1記載の液体充填包装装置。
【請求項3】
充填液タンクと、該充填液タンクに連通した複数の請求項1又は2記載の液体充填包装装置とを備えたことを特徴とする液体充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−126230(P2010−126230A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305223(P2008−305223)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000180298)四国化工機株式会社 (44)
【Fターム(参考)】