説明

液体充填機構

【課題】 簡易な構造で、各機器にて流出する液体を溜めて機器の外へ排出することができる液体充填機構を提供することにある。
【解決手段】 容器を洗浄するリンサ1と、洗浄された容器に液体を充填するフィラ2と、液体が充填された容器に蓋をするキャッパ3とを有し、リンサ1、フィラ2およびキャッパ3における回転部である円筒1a,液タンク13および円筒16と、円筒1a,液タンク13および円筒16を駆動する減速機との間にドレインパン19,20,21を配置して、リンサ1,フィラ2およびキャッパ3にて流出した液体をドレインパン19,20,21で溜めて機器の外へ排出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料などの液体を容器に充填する液体充填機構に関し、特に液体充填機構の機器にて流出する液体を溜める構造に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料などの液体を容器に充填する液体充填機構は、容器を搬入する搬入コンベアと、搬入コンベアにより搬入された容器を洗浄するリンサと、洗浄された容器に液体を充填するフィラと、液体が充填された容器に蓋を取り付けるキャッパと、蓋が取り付けられた容器を搬出する搬出コンベアと、各機器間で容器を転送する転送ホイールとを有する。これら機器は、回転する回転部と、回転部を駆動する駆動部とをそれぞれ有し、回転部が駆動テーブルの上に配置される一方、駆動部が駆動テーブルの下に配置されている。
【0003】
駆動テーブルの天井板には、上方に延びる側壁を設けてドレインパンのようにし、このドレインパンには液体を排出するドレイン口が形成されている。また、駆動テーブルの天井板には、下方に延びる側壁が設けられて、箱状になっている。駆動テーブルを上述したような形状にすることにより、容器を洗浄したときの洗浄液、容器を殺菌するための液体、フィラの充填バルブを洗浄したときの洗浄液などは、駆動テーブルの天井板の上に落ち、ドレイン口を通って機器の外へ排出されている。
【0004】
飲料などの液体を容器に充填する充填機のバルブを洗浄する装置として、充填機のバルブ洗浄装置が知られている(特許文献1を参照)。充填機のバルブ洗浄装置は、充填機の洗浄作業中に所定回転範囲内の充填バルブより流出する洗浄液を受けて回収するドレインパンを備えている。
【0005】
【特許文献1】特許第2761116号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した駆動テーブルは、各機器により高さが異なるため、この駆動テーブルの天井板に形成されたドレインパンも高さが異なり、隣接するドレインパン同士を結合することができないため、この部分から水漏れが発生してしまうおそれがあった。
また、ドレインパンから液体が漏れると、駆動テーブルの中に直接漏れ、漏れた液体が駆動部にかかってしまうおそれがあるという問題があった。
【0007】
また、特許文献1に記載の充填機のバルブ洗浄装置では、充填バルブから流出する洗浄液を溜めて機器の外へ排出することができるものの、他の装置から流出する洗浄液体などを溜めて機器の外へ排出することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、前述した問題に鑑み提案されたもので、簡易な構造で、各機器にて流出する液体を溜めて機器の外へ排出することができる液体充填機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決する第1の発明に係る液体充填機構は、容器を洗浄する洗浄手段と、洗浄された容器に液体を充填する充填手段と、液体が充填された容器に蓋をする蓋取付手段とを有し、前記洗浄手段、前記充填手段および前記蓋取付手段における回転部と、前記回転部を駆動する駆動部との間に液体を溜めて排出する液溜め手段を配置したことを特徴とする。
【0010】
上述した課題を解決する第2の発明に係る液体充填機構は、第1の発明に記載された液体充填機構であって、前記洗浄手段に配置された前記液溜め手段を、底板と、前記底板の周囲から上方に延びる側壁と、前記側壁の上部を覆う天井板とで形成する一方、前記充填手段および前記蓋取付手段のそれぞれに配置された前記液溜め手段を、底板と、前記底板の周囲から上方に延びる側壁とで形成することを特徴とする。
【0011】
上述した課題を解決する第3の発明に係る液体充填機構は、第2の発明に記載された液体充填機構であって、前記液溜め手段の底板を、前記駆動部が配置される駆動テーブルの天井板との間に空間を設けて配置することを特徴とする。
【0012】
上述した課題を解決する第4の発明に係る液体充填機構は、第2の発明または第3の発明に記載された液体充填機構であって、前記液溜め手段の側壁を透明にすることを特徴とする。
【0013】
上述した課題を解決する第5の発明に係る液体充填機構は、第1の発明乃至第4の発明の何れかに記載された液体充填機構であって、前記洗浄手段、前記充填手段および前記蓋取付手段における前記液溜め手段が一体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明に係る液体充填機構によれば、洗浄手段、充填手段および蓋取付手段にて流出した液体を液溜め手段に溜めて、この液溜め手段に形成されるドレイン口から溜まった液体を機器の外側に排出することができる。
【0015】
第2の発明に係る液体充填機構によれば、第1の発明に記載の液体充填機構と同様な作用効果を奏する他、洗浄手段にて飛び散った液体を効率良く液溜め手段に集めて、機器の外側に排出することができる。
【0016】
第3の発明に係る液体充填機構によれば、第2の発明に記載の液体充填機構と同様な作用効果を奏する他、液溜め手段と駆動テーブルの天井板との間には空間があるので、駆動テーブルにおける結露が無くなる。
【0017】
第4の発明に係る液体充填機構によれば、第2の発明および第3の発明に記載の液体充填機構と同様な作用効果を奏する他、洗浄手段、充填手段および蓋取付手段の運転状態を外側から目視にて確認することができるので、保守性が向上する。
【0018】
第5の発明に係る液体充填機構によれば、第1の発明乃至第4の発明に記載の液体充填機構と同様な作用効果を奏する他、洗浄手段、充填手段および蓋取付手段から流出した液体を一箇所に集めて容易に機器の外側に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明に係る液体充填機構を実施するための最良の形態を実施例に基づき具体的に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施例に係る液体充填機機構の斜視図であり、図2は、その正面図である。
【0021】
図1および図2に示すように、本発明の第1の実施例に係る液体充填機構40は、搬入された容器を洗浄する洗浄手段であるリンサ1と、リンサ1により洗浄された容器に液体を充填する充填手段であるフィラ2と、液体が充填された容器に蓋をする蓋取付手段であるキャッパ3と、リンサ1とフィラ2、およびフィラ2とキャッパ3との間で容器を転送する転送手段である転送ホイール5,6,7,8とを有する。搬入コンベヤ10によりリンサ1へ容器を搬入し、搬出コンベヤ11により蓋が取り付けられた容器を搬出している。搬入コンベヤ10とリンサ1、およびキャッパ3と搬出コンベヤ11との間にも、容器を転送する転送ホイール4,9が設けられている。
【0022】
リンサ1は、回転する回転部である円筒1aと、円筒1aの外周に設けられ、容器を把持する把持手段(図示せず)と、把持した容器に洗浄液を注入する注入手段(図示せず)とを有し、容器に洗浄液が注入されると、把持手段の上部が支点となり回転し、洗浄液が容器の内側全体に接触することにより容器内が洗浄される。円筒1aは駆動テーブル12の上に配置される一方、円筒1aを駆動する駆動部である減速機24が駆動テーブル12の下に配置されている。
【0023】
フィラ2は、充填する液体を溜め、回転する円筒状の液タンク13と、液タンク13の外周下部に設けられ、容器を把持する把持手段(図示せず)と、把持した容器に液体を充填する充填手段である充填ノズル(図示せず)とを有する。液タンク13が駆動テーブル14の上に配置される一方、液タンク13の回転を駆動する駆動部である減速機25が駆動テーブル14の下に配置されている。なお、フィラ13を制御する制御装置15が液タンク13の中心に配置されている。液タンク13は、フィラ2における回転部である。
【0024】
キャッパ3は、回転する回転部である円筒16と、この円筒16の外周に設けられ、容器を把持する把持手段(図示せず)と、把持した容器に蓋をする蓋付手段(図示せず)とを有する。円筒16が駆動テーブル17の上に配置される一方、円筒16の回転を駆動する駆動部である減速機26が駆動テーブル17の下に配置されている。
【0025】
転送ホイール4,5,6,7,8,9は、回転する回転部である円盤状のホイール4a,5a,6a,7a,8a,9aと、ホイール4a,5a,6a,7a,8a,9aの外周に設けられた容器を把持する把持手段(図示せず)とを有する。ホイール4a,9aが駆動テーブル18の上に配置される一方、転送ホイール4,9の回転を駆動する駆動部である減速機27,28が駆動テーブル18の下に配置されている。同様に、ホイール5a,6a,7a,8aが駆動テーブル18の上に配置される一方、転送ホイール5,6,7,8の回転を駆動する駆動部である減速機(図示せず)も駆動テーブル18の下に配置されている。
【0026】
なお、減速機24,25,26,27,28は、ラインシャフト29を介してモータ30に連結されている。
【0027】
液体を溜める液溜め手段であるドレインパン19,20,21,22は、駆動テーブル12とリンサ1の円筒1aとの間、駆動テーブル14とフィラ2の液タンク13との間、駆動テーブル17とキャッパ3の円筒16との間、および駆動テーブル18と転送ホイール4,5,6,7,8のホイール4a,5a,6a,7a,8aとの間にそれぞれ設けられている。ドレインパン22は、ドレインパン19,20,21よりも上方に配置されており、ドレインパン22に溜まった液体は、ドレイン口または、ドレインパン19,20,21に流れるようになっている。
【0028】
ドレインパン19,20,21,22は、底板19a,20a,21a,22aと、底板19a,20a,21a,22aの周囲から上方に延びる側壁19b,20b,21b,22bとでそれぞれ形成されている。底板19a,20a,21a,22aには、液体を排出するドレイン口(図示せず)が形成されている。ただし、リンサ1に配置されるドレインパン19には、側壁19bの上部を覆う天井板19cが設けられている。
【0029】
ドレインパン19,20,21,22と駆動テーブル12,14,17,18の天井板12a,14a,17a,18aと間には空間23を設けて配置されている。このようにドレインパン19,20,21,22を配置することにより、ドレインパン19,20,21,22から液体が漏れても容易に目視により確認することができる。また、空間23があるので、駆動テーブル12,14,17,18における結露が無くなる。
【0030】
ドレインパン19,20,21,22を上述したような形状にすることにより、容器の殺菌用の液体や、容器を洗浄するときの洗浄液や、充填ノズルを洗浄するための洗浄液などをドレインパン19,20,21,22に溜めて、ドレイン口から機器の外側に排出することができる。リンサ1にて飛び散った液体も効率良くドレインパン19に集めて、機器の外側に排出することができる。また、ドレインパン19,20,21,22の底板19a,20a,21a,22aをドレイン口に向けて傾斜させて、ドレインパン19,20,21,22に溜まった液体を効率良く排出するようにしても良い。このように配置することで、液体の排出性が向上し、溜まった液体に起因する細菌の発生を抑制することができる。
【0031】
ドレインパン19,20,21,22の側壁19b,20b,21b,22bは、透明なアクリル板や強化プラスチックなどで製造されたものであり、開閉可能になっている。よって、各機器の運転状態を外側から目視にて確認することができるので、保守性が向上する。
【実施例2】
【0032】
図3は、本発明の第2の実施例に係る液体充填機機構の正面図である。
第2の実施例に係る液体充填機構は、上述した第1の実施例に係る液体充填機機構のドレインパンの形状を変えたものであり、それ以外は同じ構造を有する。上述した液体充填機構と同一部材には同一符号を付記してその説明を省略する。
【0033】
第2の実施例に係る液体充填機構50では、図3に示すように、リンサ1用、フィラ2用、キャッパ3用および転送ホイール4,9用のドレインパン41が一体になっている。ドレインパン41は、底板41aと、底板41aの周囲から上方に延びる側壁41bとで形成されている。ただし、リンサ1の周りを囲うドレインパン41の側壁41bの上部には天井板41cが配置されている。ドレインパン41の底板41aには、液体を排出するドレイン口(図示せず)が形成されている。ドレインパン41の底板41aと駆動テーブル12,14,17,18の天井板12a,14a,17a,18aの間には、空間42が設けられている。
【0034】
したがって、液体充填機構50によれば、リンサ1、フィラ2、キャッパ3および転送ホイール4,9にて流出した液体を一箇所に集めて容易に機器の外側に排出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、飲料などの液体を容器に充填する液体充填機構に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施例に係る液体充填機構の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る液体充填機構の正面図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る液体充填機構の正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 リンサ
2 フィラ
3 キャッパ
19,20,21,22 ドレインパン
40 液体充填機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を洗浄する洗浄手段と、洗浄された容器に液体を充填する充填手段と、液体が充填された容器に蓋をする蓋取付手段とを有し、
前記洗浄手段、前記充填手段および前記蓋取付手段における回転部と、前記回転部を駆動する駆動部との間に液体を溜めて排出する液溜め手段を配置した
ことを特徴とする液体充填機構。
【請求項2】
請求項1に記載された液体充填機構であって、
前記洗浄手段に配置された前記液溜め手段を、底板と、前記底板の周囲から上方に延びる側壁と、前記側壁の上部を覆う天井板とで形成する一方、前記充填手段および前記蓋取付手段のそれぞれに配置された前記液溜め手段を、底板と、前記底板の周囲から上方に延びる側壁とで形成する
ことを特徴とする液体充填機構。
【請求項3】
請求項2に記載された液体充填機構であって、
前記液溜め手段の底板を、前記駆動部が配置される駆動テーブルの天井板との間に空間を設けて配置する
ことを特徴とする液体充填機構。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載された液体充填機構であって、
前記液溜め手段の側壁を透明にする
ことを特徴とする液体充填機構。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の液体充填機構であって、
前記洗浄手段、前記充填手段および前記蓋取付手段における前記液溜め手段が一体である
ことを特徴とする液体充填機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−160352(P2006−160352A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358395(P2004−358395)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年10月20日 株式会社ビバリッジジャパン社発行の「Beverage Japan No.274(Vol.27,No.10)平成16年第10号 通巻274号」に発表
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】