説明

液体充填装置

【課題】 容器に充填する液体の乱流を抑制して、泡立ちの発生を防止しつつ液体充填をする。
【解決手段】貯液タンク30内の液体31は、液体供給管40,充填ノズル部10の流路12及び充填ノズル15を介して、容器3に充填される。充填開始時には液弁13が全開となり充填終了時には液弁13が全閉となる。充填期間において、流量可変手段100は、液体31の液量を充填初期では小流量としその後の期間では大流量とする流量制御をする。流量可変手段100の下流側に配置した整流用縮流路200では、液体31の液流を絞り込むことにより乱流を抑制する。このため乱流成分が抑制された液体31が、充填ノズル15を介して容器3に充填されるため、泡立ちの発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の液体を容器に充填する液体充填装置に関するものである。更に詳述すると、液体を容器に充填していくときに、泡立ちの発生をより確実に抑制することができるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
飲料工場において、飲料等の液体を、ペットボトルやビンや缶などの容器に自動的に充填するには、液体充填装置が用いられる。
【0003】
ここで液体充填装置を含む充填システムの一例を、平面図である図13を参照しつつ説明する。なお、図13では、各機器を概略的に示している。
【0004】
図13において、01は供給コンベア、02は転送ホイール、03は液体充填装置、04は転送ホイール、05はキャッパ、06は排出ホイール、07は排出コンベアである。このシステムでは、容器(例えばペットボトル)を把持しつつ搬送することができるように、転送ホイール02、液体充填装置03、転送ホイール04、キャッパ05、排出ホイール06のそれぞれには、外周部分に円周方向に沿い等間隔でホルダを備えている。これにより、転送ホイール02〜排出ホイール06は回転しつつ、容器を把持して搬送し受け渡しするようになっている。
【0005】
このため、供給コンベア01により搬送されてきた容器は、位置Aにて転送ホイール02のホルダにより把持されて、位置Aから位置Bにまで搬送される。位置Bでは、容器は転送ホイール02から液体充填装置03に受け渡され液体充填装置03のホルダで把持されて位置Bから位置Cにまで搬送される。位置Bから位置Cにまで搬送される際に、液体充填装置03に備えた充填ノズルを介して容器には液体が充填される。
【0006】
更に、容器は位置Cにて液体充填装置03から転送ホイール04に、位置Dにて転送ホイール04からキャッパ05に、位置Eにてキャッパ05から排出ホイール06に、位置Fにて排出ホイール06から排出コンベア07に受け渡されて搬送される。キャッパ05では、容器に蓋をするキャッピングが行われる。
【0007】
液体充填装置03では、旋回テーブルの外周部分に、円周方向に沿い等間隔に充填ノズル部(液弁や充填ノズルを有している)及びホルダが配置されている。更に、旋回テーブルの上方位置には、この旋回テーブルと一体となって同期回転する貯液タンク(フィラボール)が配置されている。このフィラボールに貯留している飲料は、液体供給管を介して各充填ノズル部に供給されるようになっている。
【0008】
そして、ホルダにより容器を把持して位置Bから位置Cに搬送する間において、容器への充填量を計測しつつ、充填ノズル部から容器に飲料を充填している。なお、容器への充填量は、容器に流入する飲料の流量を計測したり、容器に充填した飲料の重量を計測したりすることにより行っている。
【0009】
ここで従来の液体充填装置の一例を、図14を参照しつつ説明する。
図14に示す液体充填装置1では、旋回テーブル2が旋回軸心Cを中心として水平面内で回転する。この旋回テーブル2の外周縁には、周方向に沿い等間隔に、複数の充填ノズル部10と複数のホルダ20が配置されている。
旋回テーブル2の上方位置には、貯液タンク(フィラボール)30が配置されている。この貯液タンク20は、旋回テーブル2と一体となって同期回転する。
そして、貯液タンク30と各充填ノズル部10は、液体供給管40により接続されている。
【0010】
充填ノズル部10の本体ブロック11の中心部分には流路12が形成されており、この流路12内には液弁13が配置されている。この液弁13はロッド14を介してエアシリンダ50に連結されている。そして、エアシリンダ50の上下方向駆動により液弁13が上下方向(垂直方向)に移動し開弁・閉弁動作が行われるようになっている。つまり、流路12の下部に弁座12aが形成されており、液弁13が下方移動して弁座12aに当接することにより閉弁となり液体31の流通を遮断し、液弁13が上方移動して弁座12aから離れることにより開弁となり液体31を流通させる。
更に、本体ブロック11の下端には充填ノズル15が配置されている。
【0011】
ホルダ20は旋回テーブル2に固定されており、容器3を保持し、保持した容器3を充填ノズル部10の充填ノズル15の下方位置に保持する。
【0012】
貯液タンク30の内部には、容器3に充填すべき液体(飲料)31が貯留されている。また貯液タンク30の内部のうち、貯留している液体31の上側の空間には、充填する液体31の種類に応じた気体が貯えられている。
【0013】
液体供給管40は、その上端が貯液タンク30に連通しており、その下端が充填ノズル部10の流路12に連通して、貯液タンク30と充填ノズル部10とを接続している。この液体供給管40には、電磁流量計41が介装されている。
【0014】
なお、炭酸飲料などを充填する場合には、容器3内に対して気体を供給・排出するための気体給排気構造を必要とするが、ここでは、その構造は省略している。
【0015】
かかる構成となっている液体充填装置1では、エアシリンダ50により液弁13を上方に移動させて開弁状態になると、貯液タンク30内の液体31が、液体供給管40及び充填ノズル部10の流路12を通り、充填ノズル15を介して、ホルダ20で保持された容器3内に充填される。このとき電磁流量計41にて充填流量を計測し、計測した充填流量が予め決めた規定量になったら、エアシリンダ50により液弁13を下方移動させて閉弁状態にする。
【0016】
容器3に液体31を充填する際には、充填ノズル15から液体31が容器3の底面に向かって自然落下していく。このように液体31が自然落下して容器3の底面に衝突すると、液体31が周囲の気体を巻き込んで泡立ってしまう。このようにして泡立ちが発生すると、液体31を容器3に充填するのに時間がかかり、生産効率が低下するという問題が発生する。
【0017】
そこで、充填の初期期間では容器3に充填する流量を抑え、その後の期間で流量を増加させるようにすることが案出された(特許文献1,2参照)。例えば、充填初期期間では50cc/秒の流量で液体充填をし、その後の期間で150cc/秒の流量で液体充填をし、最終的に充填量が規定量に達したら閉弁して充填を終了する。
【0018】
このように流量制御をするためには、充填初期では液弁13の開度を小さくし、その後の期間で液弁13の開度を大きくすればよい。このように、泡立ちが生じやすい初期期間では、より少ない流量で充填をし、その後に、流量を増加させて液体を充填することにより、泡立ちを防止して充填時間の短縮を図ることができる。
【0019】
なお、図14に示す液体充填装置1では、液体31の流通・遮断をする弁として液弁13を採用しこの液弁13の開度を調整して流量調整をしていたが、開度が2段となるダイヤフラム弁を充填ノズル部10に備えて、流量調整をする従来技術も存在した。
【0020】
【特許文献1】特開平8−85593号公報
【特許文献2】特開2004−217246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで図14に示す従来技術では、充填ノズル部10に備えた液弁13の開度調整をすることにより、容器3に充填する液体31の流量を制御していたため、充填ノズル15から容器3に流入していく液の流れに乱れが生じることがあった。即ち、流量制御による流量変化に起因して液流に乱流が発生することがあった。この液流の乱れにより、液体31が気体を巻き込み気泡が発生する可能性があった。
かかる現象は、液弁13の代わりに、開度が2段となるダイヤフラム弁を充填ノズル部10に備えたものでも発生していた。
【0022】
つまり、充填ノズル15に近い位置(上流側の近い位置)で弁の開度調整が行われるため、充填ノズル15から容器3内に自然落下していく液体31の流れが、乱れのない層流にならず、乱流成分が含まれてしまい、この乱流により気体巻き込みをして気泡発生が誘発されることがあった。
【0023】
本発明は、上記従来技術に鑑み、気泡発生を防止するために充填ノズルから容器に充填していく液体の流量を変化させる(充填初期期間では少ない流量とし、その後の期間では流量を増大させる)際に、液体の流れに生じた乱れを抑制するように液体を整流し、この整流により乱流を抑制して層流になった液体を、容器に流入させて充填することができる液体充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決する本発明の構成は、
液体が貯留される貯液タンクと、
前記貯液タンクから供給された前記液体を充填ノズルを介して容器に流入させると共に、容器に流入させる液体の流通・遮断をする弁機構を備えた充填ノズル部と、
前記貯液タンクの液体を前記充填ノズル部に供給する液体供給管と、
を備えた液体充填装置において、
前記液体供給管に、この液体供給管内を流れる前記液体の流量を可変にする流量可変手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
また本発明の構成は、
液体が貯留される貯液タンクと、
前記貯液タンクから供給された前記液体を充填ノズルを介して容器に流入させると共に、容器に流入させる液体の流通・遮断をする弁機構を備えた充填ノズル部と、
前記貯液タンクの液体を前記充填ノズル部に供給する液体供給管と、
を備えた液体充填装置において、
前記液体供給管に備えられており、前記容器に液体を充填する際に、充填開始から予め決めた期間である充填の初期期間では前記液体供給管内を流れる前記液体の流量を予め決めた小流量とし、前記充填初期期間が経過した後の期間では前記液体供給管内を流れる前記液体の流量を前記小流量よりも増加させる流量可変手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
また本発明の構成は、
前記液体供給管のうち前記流量可変手段と前記充填ノズル部との間の位置に、前記液体供給管内を流れる前記液体の液流の径を絞り込むことにより液体に生じている乱流を抑制する整流用縮流路を備えたことを特徴とする。
【0027】
また本発明の構成は、
前記液体供給管のうち前記貯液タンクと前記流量可変手段との間の位置に、前記容器に充填していく液体の液量を計測する流量計を備え、
前記液体供給管のうち前記流量計と前記流量可変手段との間の位置に、前記液体供給管内を流れる前記液体の液流の径を絞り込むことにより液体に生じている乱流を抑制する整流用縮流路を備えたことを特徴とする。
【0028】
また本発明の構成は、
前記整流用縮流路は、テーパ縮流管または円孔板または楕円ベルマウスであることを特徴とする。
【0029】
また本発明の構成は、
前記流量可変手段は、前記液体供給管に介装された流量制御弁と、この流量制御弁を駆動してその弁開度を調整する弁駆動部とで構成されていることを特徴とする。
【0030】
また本発明の構成は、
前記流量制御弁には、弁部分が全閉状態であっても弁部分を迂回して前記液体を流通させるバイパス流路が形成されていることを特徴とする。
このバイパス流路に整流構造、例えば前述の楕円ベルマウス構造やテーパ縮流管構造を組み合わせても良い。
【0031】
また本発明の構成は、
前記流量制御弁は、ダイヤフラム弁を有するダイヤフラム弁部または、スプール弁であることを特徴とする。
【0032】
また本発明の構成は、
前記弁駆動部は、エアシリンダまたは電動駆動装置であることを特徴とする。
【0033】
また本発明の構成は、
前記容器に充填する前記液体の液量を計測するため、液体が充填された容器の重量を計測する重量計測装置が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、液体供給管に流量可変手段を備えたので、充填ノズル部から離れた(上流側に離れた)部分で流量制御をすることができる。このため、流量制御に起因して液体の液流に生ずる乱流の影響が、充填ノズル部に達するまでに減衰する。この結果、容器に充填する液体に含まれる乱流が抑制され、充填の際に容器内での泡立ちを防止して短時間での充填が可能になる。
【0035】
更に、整流用縮流路を液体供給管に備え、この整流用縮流路にて乱流を積極的に抑制するようにしたので、容器に充填する液体に含まれる乱流が更に積極的に抑制され、充填の際に容器内での泡立ちをより確実に防止してより短時間での充填が可能になる。
特に、流量可変手段にて、充填初期期間では液体流量を小流量としその後の期間では流体流量を大流量とする場合には、小流量での液体の液流に発生した乱流を、整流用縮流路にて抑制するようにしたので、泡立ちの発生し易い充填初期での泡立ちの発生を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に本発明の実施の形態を実施例に基づき詳細に説明する。なお図14に示す従来の液体充填装置1と同様な構成部分については、説明を省略ないし簡略化し、本発明にとって新規な部分を中心に説明をする。
【実施例1】
【0037】
図1は本発明の実施例1に係る液体充填装置1Aを示す。この液体充填装置1Aでは、液体供給管40に、電磁流量計41と流量可変手段100と整流用縮流路200が配置されている。貯液タンク30側を上流側、充填ノズル部10側を下流側とすると、液体供給管40には、上流側から下流側に向かって、電磁流量計41と流量可変手段100と整流用縮流路200が、この順に並んで配置されている。
【0038】
流量可変手段100は、液体供給管40内を流れる液体31の流量を調整する流量制御弁110と、この流量制御弁110の開度を調整する弁駆動部120とで構成されている。
【0039】
流量制御弁110としては、ダイヤフラム弁やスプール弁などを採用することができ、弁駆動部120としてはエアシリンダや電動モータなどを採用することができる。
【0040】
この流量制御弁110や弁駆動部120の具体的な構成例は後述するが、弁駆動部120により流量制御弁110の開度調整をして、少なくとも2段階の開度(小開度と大開度)にすることができるようになっている。このため、流量制御弁110の開度が小開度になっているときには、液体供給管40内を流れる液体31の流量が小流量(例えば50cc/秒)となり、流量制御弁110の開度が大開度になっているときには、液体供給管40内を流れる液体31の流量が大流量(例えば150cc/秒)となる(図2参照)。
【0041】
整流用縮流路200としては、テーパ縮流管(レデューサ)や、円孔板(オリフィス)や楕円ベルマウスなどを採用することができる。その具体的な構成例は後述するが、この整流用縮流路200は、液体供給管40を通して貯液タンク30から充填ノズル10に供給される液体31の液流の太さ(径)を絞り込むことにより、液体31の液流に生じている乱流を抑制するという整流効果を発揮するものである。したがって、液体31が整流用縮流路200を通過する際に液流が絞り込まれて整流されることにより、整流用縮流路200から出てきた液流は層流となり乱流成分が抑制されたものとなる。
【0042】
他の部分の構成は、図14に示す液体充填装置1と同様になっている。即ち、旋回テーブル2の外周縁には充填ノズル部10とホルダ20が配置されており、旋回テーブル2と一体となって同期回転する貯液タンク30が旋回テーブル2の上方に配置されており、貯液タンク30と充填ノズル部10とは液体供給管40により接続されている。
【0043】
なお、本実施例1では、エアシリンダ50により駆動される液弁13は、開弁と閉弁の動作(全開と全閉の2値動作)を行うのみで、開度調整は行わない。つまり、液弁13と弁座12aによりなる弁機構は、容器3に流入させる液体31の流通と遮断の動作(ON,OFF動作)を行うものであり、容器3に流入させる液体31の流量制御をするものではない。
【0044】
次に、上記構成となっている液体充填装置1Aによる充填動作を説明する。なお各部の動作は、図示しない制御装置により自動制御されている。
【0045】
まずホルダ20により容器3を支持し、容器3の上端開口を充填ノズル15の直下に位置させる。このとき、液弁13は弁座12aに接触して閉弁状態になっている。
【0046】
この状態でエアシリンダ50を駆動して、液弁13を上方移動して、液弁13を全開状態にする。そうすると、貯液タンク30内の液体31が、液体供給管40及び充填ノズル部10の流路12を通り、充填ノズル15を介して、ホルダ20で保持された容器3内に流入・充填される。
【0047】
このとき電磁流量計41にて充填流量を計測しており、計測した充填流量が予め決めた規定量に達したら、エアシリンダ50により液弁13を下方移動させて閉弁状態にする。これにより容器3への液体31の流入が遮断され、規定量の液体31が容器3に充填される。
【0048】
流量可変手段100は、充填の初期期間(充填開始から予め決めた期間)では流量制御弁110が小開度となり、その後の期間(初期期間が経過した後の期間)では流量制御弁110が大開度となるように流量制御をする。このため、図2に示すように、充填の初期期間(第1段階)では容器3に充填される液体31の流量が小流量(例えば50cc/秒)となり、その後の期間(予め決めた充填初期期間が経過した後の期間、つまり第2段階)では、容器3に充填される液体31の流量が大流量(例えば150cc/秒)となる。
【0049】
このように、泡立ちが生じやすい初期期間では、より少ない流量で充填をし、その後に、流量を増加させて液体31を充填することにより、泡立ちを防止して充填時間の短縮を図ることができる。つまり、容器3に充填する液体31の流量を、2段階制御するため、泡立ちの発生を抑制することができる。
【0050】
ところで、流量可変手段100により液体31の流量を変化(例えば50cc/秒から150cc/秒に変化)させると、流量制御弁110を通過した液体31の液流には乱れが発生してしまう。しかし、乱流成分を有する液体31は整流用縮流路200を通過する際に、その液流の太さ(径)が絞られて整流されるため、乱流が抑制されて殆ど層流となる。この結果、整流用縮流路200を通過した液体31は、殆ど乱流成分を持たない層流となり、このように整流された液体31が、流路12及び充填ノズル15を介して容器3に充填される。
【0051】
このように、乱流成分が抑制された層流となった液体31が容器3に充填されるため、容器3内での泡立ちが更に抑制されて、充填時間の更なる短縮を図ることができる。
【0052】
なお、流量可変手段100において、流量制御弁110を小開度から大開度に開度変化させる応答性は、液体31の種類に応じて最適に調整する。この調整量によっても、液体31に生じる乱流の発生を抑制することができる。
【実施例2】
【0053】
図3は本発明の実施例2に係る液体充填装置1Bを示す。この液体充填装置1Bでは、液体供給管40に、第1の整流用縮流路200のみならず、第2の整流用縮流路250も配置している。整流用縮流路200は、流量可変手段100と充填ノズル部10との間に備えられているが、整流用縮流路250は、電磁流量計41と流量可変手段100との間に備えられている。
【0054】
実施例2では、流量制御弁110の弁開度が変化することにより生じた液流の乱れが、上流側の電磁流量計41に悪影響(流量計測誤差)を与えないように、整流用縮流路250により液流を整流し乱れを抑制しているのである。
このため、電磁流量計41による流量計測を正確に行うことができる。
【0055】
なお、第1の整流用縮流路200を無くし、第2の整流用縮流路250のみを設けるだけでも、液流の乱れに起因する電磁流量計41への悪影響の防止と、充填ノズル15から容器3に充填される液体31の液流の乱れの抑制をすることが可能である。
【0056】
<整流用縮流路の各種具体的構成例>
ここで、整流用縮流路200(並びに250)の各種の具体例を説明する。整流用縮流路200,250としては、図4に示すようなテーパ縮流管(レデューサ)201や、図5に示すような円孔板202や、図6に示すような楕円ベルマウス203などを採用することができる。
【0057】
図4に示すテーパ縮流管201は、その上流側に径が漸減するテーパ面201aを有しており、テーパ面201aにて液体31の液流の太さを絞り込むことにより、液体31の液流に生じている乱流を抑制するという整流効果を発揮する。
【0058】
図5に示す円孔板202は、その上流側から下流側に向かって貫通する複数の孔(オリフィス)202aを有しており、孔202aにて液体31の液流の太さを絞り込むことにより、液体31の液流に生じている乱流を抑制するという整流効果を発揮する。
【0059】
図6に示す楕円ベルマウス203は、その上流側に径が漸減するテーパ面203aを有しており、テーパ面203aにて液体31の液流の太さを絞り込むことにより、液体31の液流に生じている乱流を抑制するという整流効果を発揮する。
【0060】
なお整流用縮流路200,250としては、図4〜図6に示すものに限らず、液体31の液流の太さを絞り込むことにより、液体31の液流に生じている乱流を抑制するという整流効果を発揮するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0061】
<流量可変手段の各種の具体的構成例>
次に流量可変手段100の各種の具体的を説明する。
【0062】
図7に示す流量可変手段100Aは、ダイヤフラム弁部111と、エアシリンダ部121とを連結して構成している。
【0063】
ダイヤフラム弁部111のダイヤフラム弁111aは、ロッド111bが閉方向(α方向)や開方向(β方向)に移動することにより、弁管111c内での開度が変化する。
エアシリンダ部121のロッド121aは、ダイヤフラム弁部111のロッド111bに連結している。またロッド121aには、閉方向の弁開度を調整する開度調整ねじ121bと、開方向の弁開度(最大開度)を調整する開度調整ねじ121cが螺合されている。そしてピストン121dにより区画されるシリンダ室121e,121fに対してエアを給排気することによりエアシリンダ121が作動する。
【0064】
エアシリンダ121によりロッド111bを閉方向(α方向)に押していくと、ダイヤフラム弁111aの開度が小さくなる。このとき、閉方向の開度を調整する開度調整ねじ121bの位置を調整しておくことにより、ロッド111bを閉方向(α方向)に押していってもダイヤフラム弁111aは全閉状態にならず、一定の小開度を保持することができる。この小開度を保持することにより、液体31の流量を小流量(例えば50cc/秒)にすることができる。
【0065】
エアシリンダ121によりロッド111bを開方向(β方向)に引いていくと、ダイヤフラム弁111aの開度が大きくなる。このとき、開方向の開度を調整する開度調整ねじ121cの位置を調整しておくことにより、ロッド111bを開方向(β方向)に引いていって全開となったときの開度を調整することができる。本例では、全開時において液体31の流量が規定した大流量(例えば150cc/秒)となるように、開度調整ねじ121cの位置を調整している。
【0066】
図7に示す流量可変手段100Aでは、エアシリンダ部121に備えた開度調整ねじ121b,121cの位置調整をすることにより、ダイヤフラム弁111aの開度を2段階開度(小開度と大開度)にすることができる。
【0067】
なお、ダイヤフラム弁111aの開度を複数段にするには、エアシリンダ部121の代わりに、図8に示すエアシリンダ部122を採用することもできる。
【0068】
このエアシリンダ部122は、エアシリンダ123(シリンダ123aとピストン123bとロッド123cとで構成されている)と、エアシリンダ124((シリンダ124aとピストン124bとロッド124cとで構成されている)とを直列接続したものである。そして、ロッド124cがピストン123bを押すようになっている。そしてロッド123cをダイヤフラム弁部111のロッド111bに接続する。
【0069】
このエアシリンダ部122では、ピストン123bが左側端面123dに当接するようにしたときに、ダイヤフラム弁111aが全閉(開度零)となる。
また、図8に示す状態、即ちピストン124bが左側端面124dに当接してロッド124cがピストン123bを押しているため、ピストン123bがシリンダ123aの中間位置に停止しているときに、ダイヤフラム弁111aが小開度となる。
そして、ピストン124bが右側端面124eに、ピストン123bが右側端面123eに当接するようにしたときに、ダイヤフラム弁111bが全開の大開度となる。
【0070】
図9に示す流量可変手段100Bは、ダイヤフラム弁部111と、エアシリンダ部121とを連結して構成している。ただし、エアシリンダ部121の作動により、ダイヤフラム弁111は、全閉(開度零)と全開の2値状態に開閉制御される。
【0071】
更に弁管111cには、弁部分であるダイヤフラム弁111aが全閉となっていても、この全閉状態となっているダイヤフラム弁111aをバイパスして、液体31を上流側から下流側に流すバイパス流路150が形成されている。
このバイパス流路150の径は、ここを流れる液体31の流量が例えば50cc/秒となるような寸法としている。
【0072】
またダイヤフラム弁111aが全開したときに、この全開状態のダイヤフラム弁111aとバイパス流路150を流れる液体31の合計流量が例えば150cc/秒となるように、ダイヤフラム弁111の全開開度を設定している。
【0073】
なお、図10に示すようにバイパス流路150の内周面に雌ねじを形成しておき、外周面に雄ねじを形成したスリーブ管151をねじ込むようにしていてもよい。
スリーブ管151としては、図10に示す内径を有するもののみならず、図11(a)〜(c)に示すような内径の異なる複数種類のスリーブ管151a〜151cを用意しておき、バイパスさせる流量を変更するときには、内径の異なるスリーブ管に取り替えれば、簡単にバイパス流路150での流量変更ができる。
【0074】
図12に示す流量可変手段100Cは、スプール弁112と電動駆動装置122により構成されている。電動駆動装置122によりスプール112aの位置を調整することにより、弁開度を調整することができ、液体31の流量を調整することができる。
【0075】
なおスプール弁112にも、バイパス流路を形成するようにしてもよい。
【0076】
上述した整流用縮流路の各種具体的構成例と、流量可変手段の各種の具体的構成例との組み合わせは、任意に行うことができる。
【0077】
<変形例>
上記実施例では、容器3に充填する充填量を、電磁流量計41により計測していたが、液体31が充填される容器3の重量(容器3とこの容器3に充填された液体31の合計の重量)を計測して、充填量を計測する重量計測装置を用いるようにしてもよい。このように重量計測をして充填量を測定する液体充填装置にも、本発明を適用することができる。
【0078】
また、流量可変手段では、2段階に流量を制御していたが、3段階以上にしてもよく、また連続的に流量変化(流量を漸増)させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例1に係る液体充填装置を示す構成図。
【図2】容器に充填する流量変化を示す特性図。
【図3】本発明の実施例2に係る液体充填装置を示す構成図。
【図4】テーパ縮流管を示す構成図。
【図5】円孔板を示す構成図。
【図6】楕円ベルマウスを示す構成図。
【図7】流量可変手段を示す構成図。
【図8】エアシリンダ部を示す構成図。
【図9】流量可変手段の他の例を示す構成図。
【図10】スリーブ管を挿入したバイパス通路を示す構成図。
【図11】スリーブ管の各種例を示す構成図。
【図12】流量可変手段の他の例を示す構成図。
【図13】液体充填システムの一例の概略を示す構成図。
【図14】従来の液体充填装置を示す構成図。
【符号の説明】
【0080】
1,1A,1B 液体充填装置
2 旋回テーブル
3 容器
10 充填ノズル部
20 ホルダ
30 貯液タンク
31 液体
40 液体供給管
41 電磁流量計
100,100A,100B,100C 流量可変手段
200,250 整流用縮流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留される貯液タンクと、
前記貯液タンクから供給された前記液体を充填ノズルを介して容器に流入させると共に、容器に流入させる液体の流通・遮断をする弁機構を備えた充填ノズル部と、
前記貯液タンクの液体を前記充填ノズル部に供給する液体供給管と、
を備えた液体充填装置において、
前記液体供給管に、この液体供給管内を流れる前記液体の流量を可変にする流量可変手段を備えたことを特徴とする液体充填装置。
【請求項2】
液体が貯留される貯液タンクと、
前記貯液タンクから供給された前記液体を充填ノズルを介して容器に流入させると共に、容器に流入させる液体の流通・遮断をする弁機構を備えた充填ノズル部と、
前記貯液タンクの液体を前記充填ノズル部に供給する液体供給管と、
を備えた液体充填装置において、
前記液体供給管に備えられており、前記容器に液体を充填する際に、充填開始から予め決めた期間である充填の初期期間では前記液体供給管内を流れる前記液体の流量を予め決めた小流量とし、前記充填初期期間が経過した後の期間では前記液体供給管内を流れる前記液体の流量を前記小流量よりも増加させる流量可変手段を備えたことを特徴とする液体充填装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記液体供給管のうち前記流量可変手段と前記充填ノズル部との間の位置に、前記液体供給管内を流れる前記液体の液流の径を絞り込むことにより液体に生じている乱流を抑制する整流用縮流路を備えたことを特徴とする液体充填装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記液体供給管のうち前記貯液タンクと前記流量可変手段との間の位置に、前記容器に充填していく液体の液量を計測する流量計を備え、
前記液体供給管のうち前記流量計と前記流量可変手段との間の位置に、前記液体供給管内を流れる前記液体の液流の径を絞り込むことにより液体に生じている乱流を抑制する整流用縮流路を備えたことを特徴とする液体充填装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、
前記整流用縮流路は、テーパ縮流管または円孔板または楕円ベルマウスであることを特徴とする液体充填装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、
前記流量可変手段は、前記液体供給管に介装された流量制御弁と、この流量制御弁を駆動してその弁開度を調整する弁駆動部とで構成されていることを特徴とする液体充填装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記流量制御弁には、弁部分が全閉状態であっても弁部分を迂回して前記液体を流通させるバイパス流路が形成されていることを特徴とする液体充填装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記流量制御弁は、ダイヤフラム弁を有するダイヤフラム弁部または、スプール弁であることを特徴とする液体充填装置。
【請求項9】
請求項6または請求項7において、
前記弁駆動部は、エアシリンダまたは電動駆動装置であることを特徴とする液体充填装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れか一項において、
前記容器に充填する前記液体の液量を計測するため、液体が充填された容器の重量を計測する重量計測装置が備えられていることを特徴とする液体充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−168777(P2006−168777A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362526(P2004−362526)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年10月20日 株式会社ビバリッジジャパン社発行の「Beverage Japan No.274(Vol.27,No.10)平成16年第10号 通巻274号」に発表
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】