説明

液体処理装置

【課題】 水に添加する金属素材を安定して研削すること。
【解決手段】 筐体1の内部に軸体2をもうけ、この軸体2に対して回転可能且つ軸方向に移動自在に回転水車5を設ける。回転水車5には砥石3を取り付ける。また、筐体1には周方向には固定しているが軸方向に移動可能な水流案内板6を設ける。水流案内板6には複数の斜めの穴19が設けられる。砥石3の下流にはマグネシウムの棒体4がはいちされる。筐体1に水を入れると穴19から水が噴出して羽根18に当たり、回転水車5が砥石3と共に回転する。また水圧で回転水車5が棒体4に付勢される。これにより、棒体4の端部が砥石3により研削され、研削されたマグネシウムの微粉末が水に混合され、水が改質される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れのある水道や添加剤を添加する必要のある液体が流れる配管等に適用される液体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に記載の還元水製造装置が知られている。この特許文献1に係る還元水製造装置は、流れのある水中に水素イオン化傾向が大きい金属を没し、金属イオンを溶出させて水を還元水に変えるものであって、水流で回転する回転体が備えられ、当該回転体には固定状態に設けられたマグネシウム(Mg)の表面を削る研削部材が設けられると共に、この還元水製造装置の下流側にフィルタを設けた構成である。
【0003】
水流を利用して回転体を回転させることにより、マグネシウムの表面が研削部材で常に削られて微粉末が形成され、この微粉末が水流に攪拌されて酸素や他の溶存化合物質と化学反応を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2007−125461
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の還元水製造装置では、研削部材を金属に常に押し当てることができないため、金属素材を安定して研削できないという問題点があった。そこで、この発明は係る問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体処理装置は、液体の入口と出口とを有する筐体と、筐体内を通る液体を受ける羽根を有し、筐体の軸方向に設けた軸体に対して回転可能及び当該軸体に沿って自由移動可能に設けた回転水車と、前記回転水車に取り付けた研削部材と、筐体の前記研削部材の下流に固定された金属素材とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、筐体内を液体が通る液体の流れを羽根が受けて回転水車が軸方向に押された状態で回転する。研削部材はこの回転水車に取り付けてあるので、回転水車と共に軸体方向に移動し回転する。これにより、研削部材がその下流に設けた金属素材を研削してこれにより生じた金属の微粉末が液体に混合され、液体を構成する元素と化学反応を生じる。このように、水圧により金属素材に対して研削部材が付勢された状態で回転するので、金属素材の表面を安定して研削できる。
【0008】
本発明の液体処理装置は、液体の入口と出口とを有する円筒状の筐体と、筐体の液体の通路に設けられると共に当該筐体の軸方向に対して斜めの流路が複数形成され、且つ、筐体の周方向に固定された水流案内板と、水流案内板の流路を通って噴出した液体を受ける羽根を有し、筐体の軸方向に設けた軸体に対して回転可能及び当該軸体に沿って自由移動可能に設けた回転水車と、回転水車に取り付けた研削部材と、筐体の前記研削部材の下流に固定された金属素材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明では、水流案内板の流路を液体が通ることにより筐体内で斜めの過流が生じる。この液体の流れを羽根が受けて回転水車が軸方向に押された状態で回転する。研削部材はこの回転水車に取り付けてあるので、回転水車と共に軸体方向に移動し回転する。これにより、研削部材がその下流に設けた金属素材を研削してこれにより生じた金属の微粉末が液体に混合され、液体を構成する元素と化学反応を生じる。このように、水圧により金属素材に対して研削部材が付勢された状態で回転するので、金属素材表面を安定して研削できる。
【0010】
本発明の液体処理装置は、上記発明において、更に、前記水流案内板は、筐体との間に設けたガイド部により筐体の軸方向に自由移動可能であることを特徴とする。
【0011】
水流案内板が軸方向に自由移動可能であるため、水圧によって流れ方向に移動する。このため、前記回転水車との間隔が一定に保たれるので、最適な状態で流路から噴出した液体を回転水車に当てることができる。
【0012】
本発明の液体処理装置は、上記発明において、前記金属素材はマグネシウムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように、前記金属素材をマグネシウムとすれば、液体処理装置に塩素を含む水道水を流すことで、塩素を除去し、水素を含む機能水に変えることができる。
また、この液体処理装置100に水を通すことで水素過飽和の水が得られると共に、塩素と反応して塩化マグネシウム、水酸化マグネシウムを生じさせ、水から塩素を除去すると共に、水の反応により水道水が改質された水で入浴することで様々な健康上、美容上の効果が得られる。
さらに、液体処理装置200は、入口連結部11から水が羽根218に直接当たるもので、効率よく回転できる。
さらにまた、液体処理装置300は、管K・Kの間に取り付けるジョイント部J内に設け、水車306の羽根306aに垂直に当たる(流水)ため、より効率よく回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る液体処理装置を示す組立図である。
【図2】 図1に示した液体処理装置の断面図である。
【図3】 液体処理装置の動作を示す説明図である。
【図4】 液体処理装置の動作を示す説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態2に係る液体処理装置を示す組立図である。
【図6】 この発明の実施の形態3に係る液体処理装置を示す組立図である。
【図7】 液体処理装置の取り付けを示す説明図である。
【図8】 液体処理装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、この発明の実施の形態1に係る液体処理装置を示す組立図である。図2は、図1に示した液体処理装置の断面図である。この液体処理装置100は、円筒状の筐体1と、筐体1内の中心軸方向に設けた軸体2と、中心に前記軸体2を通すことで筐体1内において回転可能に設けた円盤状の砥石3と、前記軸体2と平行に設けられた砥石3の下流に配置されると共に当該砥石3に対して当接可能に設けた純マグネシウムからなる棒体4と、前記砥石3を取り付け可能であり前記軸体2を中心に通して回転可能に設けた回転水車5と、水流を一方向に渦状回転させる複数の流路7を形成した水流案内板6とを備えている。
【実施の形態1】
【0016】
前記筐体1は、水道管に連結する入口連結部11及び出口連結部12を備えている。筐体1は、前記砥石3、棒体4、回転水車5及び水流案内板6を内設する筒体13と、当該筒体13に対して螺合する入口側の蓋体14及び出口側の蓋体15とからなる。前記軸体2の一端は、筐体1の径方向に設けた梁状の支持部16により支持されている。支持部16は、筒体13の端縁から軸方向に延出した足16a、16bの頂部の間に渡って設けられる。前記砥石3派は、回転水車5のホルダ部17に保持されており且つ回転水車5と共に軸体2に沿って当該軸体方向に移動可能となる。砥石3及び回転水車5の位置は、棒体4の長さにより規制される。
【0017】
砥石3の直径は筒体13の内径よりも小さく、これにより砥石3と筒体13の内面との間に必要量の水が流れるだけの間隔を設けられる。砥石3の粗さは、研削する棒体4の材料や水に混入する微粉末の大きさ等により決定する。砥石3は、例えば、アルミナ系砥粒や炭化珪素系砥粒を粘土、フェノール系樹脂等で結合してなる。また、棒体4を研削できれば、と石3ではなく、炭素鋼やチタン等からなる回転ヤスリを用いても良い。前期回転水車5には、複数の羽根18が周方向に設けられている。この羽根18は、円板に複数のスリットを径方向に設けて構成される。
【0018】
前記水流案内板6は、前記筒体13の内部に配置され、突起部22により周方向に回転しないように固定される。また、水流案内板6は、前記入口側からの水を筒体周方向に渦状に流すため、筐体1の軸方向に対して斜めの穴19(流路7)を円板部材20に複数設けている。また、水流案内板6の外側には突起部22が設けられる。この突起部22は、筒体13の内面に軸方向に平行に形成した溝23にスライド可能に嵌る。これにより、水流案内板6は、筒体13の周方向に対して固定されるが、筒体13の軸方向に対しては前記溝23によりガイドされて移動可能となる。即ち水流案内板6は、突起部22と溝23によりガイド部24がけいせいされ、筒体13の軸方向に移動可能となる。回転水車5と水流案内板6との間には、当該回転水車5及び水流案内板6との間隔を一定に保つためのスリーブ24が配置される。
【0019】
前記棒体4は、砥石3の下流に配置される。具体的には、棒体4は前記支持部16にその一端が固定され、他端が前記砥石3に対抗する。前記支持部16には、棒体4を挿入する穴21が設けられており、この穴21に棒体4を挿入することで磨耗した棒体4の交換が可能となる。また、支持部16には、2つの穴21が設けられているので棒体4を追加できる。棒体4の材料は、マグネシウム材である。
【0020】
次に、この液体処理装置100の動作について説明する。図3及び図4は、液体処理装置の動作を示す説明図である。例えば、筐体1の入口連結部11に水道管を接続し、出口連結部12に風呂の蛇口を接続する。水道水には殺菌のため一定量の塩素が含まれている。入口連結部11から水道水を流すと、水は、水流案内板6の斜めの流路7を通って噴出し、当該筒体13内で渦流を生じさせる。この渦となった水流は、回転水流5の羽根18に当たり、当該回転水車5を前記砥石3と共に回転させる。
【0021】
また、回転水車5及び砥石3は、図3に示すように、水の流れの方向に回転しながら押され、棒体4の端部に付勢される。これにより、棒体4の端部が砥石3により研削され、研削されたマグネシウムの微粉末が混合される。一方、回転水車5を回転させた水は、砥石3と筐体1との間を通って渦状となって出口に至る。マグネシウム粉末は、渦状の水により水中で十分に攪拌され、水道水に含まれる塩素(HCI)と反応して塩化マグネシウム(MgCl)及び水素(H)となる(式1)。また、水と反応して水酸化マグネシウム(Mg(OH))及び水素となる(式2)。
【0022】
Mg+2HCl→MgCl+H↑・・・・・(1)
Mg+2HO→Mg(OH)+H↑・・・・(2)
【0023】
ここで、砥石3による研削により棒体4が磨耗しても、図4に示すように、回転水車5及び砥石3が水圧で移動するので、砥石3が棒体4に安定して当接される。また、水流案内板6は、スリーブ24により回転水車5との距離を一定に保ちつつ溝23に沿って移動する。このため、流路7から噴出した水は、最適な状態で羽根18に当てられるので、砥石3の回転は棒体4が磨耗しても変わることがない。
【0024】
また、この液体処理装置100では、棒体4が消耗するまで性能が維持される。更に、水圧でマグネシウムの棒体4を研削する構造であるため電気を使わなくて済む。なお、上記液体処理装置100の下流には、マグネシウムの微粉末を回収するフィルタを設けても良い(図示省略)。このフィルタは、活性炭粒等の炭素材を主材料とするものを使用するのが好ましい。電位差がつくので金属が酸化しやすくなるためである。
【0025】
また、上記実施の形態1では棒体4としてマグネシウムを用いたがこれに限定されるものではない。例えば、水素よりイオン化傾向が大きい鉄(Fe)、アルミニウム(AI)、亜鉛(Zn)等、及びそれらの合金を用いることができる。
また、水道水以外の液体も処理の対象にできる。この場合、例えば、当該液体を構成する元素の酸素及び溶存化学物質が化学反応を生じる。なお、上記同様、電位差をつけるために炭素材からなるフィルタを下流に設けるのが好ましい。
【0026】
また、支持部16に対して固定する棒体4の直径(断面積)により、水に混入する微粉末の量が決まる。このため、微粉末の量を多くするには、棒体4の径方向(研削方向)の断面積を変えればよい。例えば、径が異なる棒体4を用意しておき、適宜交換しても良いし、図1に示したように、支持体16に棒体4を固定する穴21を複数設け、棒体4の本数により合計の断面積を増減しても良い。
【実施の形態2】
【0027】
図5は、この発明の実施の形態2に係る液体処理装置を示す組立図である。この液体処理装置200は、上記実施の形態1に係る液体処理装置100と略同様の構成であるが、水流案内板6を省略し、回転水車205の羽根18をフィン状にした点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様であるからその説明を省略する。
【0028】
この液体処理装置200は、回転水車205の羽根218がフィン状となっており、軸体2に回転可能且つ軸方向移動可能に挿入される。この液体処理装置では、入口連結部11からの水が羽根218に直接当たることで、回転水車205と共に砥石3が水の流れ方向に移動して棒体4に付勢される。そして、砥石3の回転により棒体4を研削する。以上の構成においても、砥石3が棒体4に安定して当接される。また、この液体処理装置200は構造が簡単である。
【0029】
また、上記入口連結部11及び出口連結部12の内径は、必要な流量を確保するため、蓋体14、15と同径まで大きくすることができる(図示省略)。
【実施の形態3】
【0030】
液体処理装置300は、液体(水や温水)が流れる管内に設けるもので、支持本体301の側いた301aと、スプリング302sを装着した取付筒302を水平方向に突設した側板301b間の中心位置に回転軸303をベアリング303a・303aにて固定してなるもので、この回転軸303にマグネシウムによる棒体305…を突設した円盤状の取付板304と、回転する羽根306a…を形設した水車306と、この水車306に固着した砥石307を連設し、取付板304を取付筒302に挿入(回転しない)し、スプリング302sにて押圧(内側)するよう構成してある。
また、側板301aと側板301bは連結軸308(4本)にて連結固定してある。
【0031】
この液体処理装置300は、液体(水や温水等)が流れる管K内に取り付けるもので、管Kのジョイント部J内に、液体処理装置300の水車306の羽根306aの下部に流水Rが当たる位置(連結軸303より下方)に流水口309aを形設した流水板309を側板301a・301bの前面間に当接して固定(固定方法は特に限定しない)する。
つぎに、側板301a・301bの後面に吐水口310aを形設した吐水板310を当接して固定(固定方法は特に限定しない)する。
この状態で、管K間のジョイント部Jにボルト・ナットBNにて固定して取り付ける。
【0032】
作動例として、管K内の流水Rが流水板309の流水口309aより入り込んだ水Mは下部の羽根306aに順次当たり、吐水口310aより吐水Tするものである。
このとき、水車306が回転すると同時に砥石307が回転し、スプリング302sにて取付板304を押圧(内側)することにより棒体305が押圧(内側)され、先端面が砥石307にて微粉末化され、吐水Tに混合されるものである。
なお、棒体305の交換はジョイント部Jより取り外して行うものである。
【符号の説明】
【0033】
100−−−液体処理装置
1 −−−筐体
2 −−−軸体
3 −−−砥石
4 −−−棒体
5 −−−回転水車
6 −−−水流案内板
13 −−−筒体
14、15−蓋体
16 −−−支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の入口と出口とを有する筐体と、筐体内を通る液体を受ける羽を有し、筐体の軸方向に設けた軸体に対して回転可能及び当該軸体に沿って自由移動可能に設けた回転水車と、前記回転水車に取り付けた研削部材と、筐体の前記研削部材の下流に固定された棒体とを備えたことを特徴とする液体処理装置。
【請求項2】
液体の入口と出口とを有する円筒状の筐体と、筐体の液体の通路に設けられると共に当該筐体の軸方向に対して斜めの流路が複数形成され、且つ、筐体の周方向に固定された水流案内板と、水流案内板の流路を通って噴出した液体を受ける羽根を有し、筐体の軸方向に設けた軸体に対して回転可能及び当該軸体に沿って自由移動可能に設けた回転水車と、回転水車に取り付けた研削部材と、筐体の前記研磨部材の下流に固定された棒材とを備えたことを特徴とする液体処理装置。
【請求項3】
さらに、前記水流案内板は、筐体との間に設けたガイド部により筐体の軸方向に自由移動可能であることを特徴とする請求項2記載の液体処理装置。
【請求項4】
液体が流れる管内に設けるもので、支持本体内の回転軸に、棒体を突設した取付板と、回転する水車と、水車に固着した砥石を連設すると共に、取付板は回転せず、スプリングで砥石に押圧するよう構成してなることを特徴とする液体処理装置。
【請求項5】
支持本体の、水車前面垂直位置に、液体が流入する流入口を形設した流入板を設けてなることを特徴とする請求項4記載の液体処理装置。
【請求項6】
流入口が、連結軸より下方に位置させてなることを特徴とする請求項4又は5記載の液体処理装置。
【請求項7】
支持本体に、流入した液体を吐出する吐水口を設けたことを特徴とする請求項4、5又は6記載の液体処理装置。
【請求項8】
液体が、水あるいは湯水であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の液体処理装置。
【請求項9】
前記棒体はマグネシウムであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の液体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−143743(P2012−143743A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221353(P2011−221353)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(504151594)株式会社友鉄ランド (6)