説明

液体分散ポリマー組成物、それらの調製およびそれらの使用

【課題】分散ポリマー相、連続担体相および界面活性剤を含む液体分散ポリマー組成物、それらの調製、並びにこれらの液体分散ポリマー組成物の、水性または水性/有機組成物を増粘する微粒子増粘系を調製するための使用、を提供する。
【解決手段】シリコーンポリマー液および水中油滴型界面活性剤に分散された、親水性、水溶性または膨潤性ポリマー、好ましくはアクリルベースのポリマーの微粒子を含む液体分散ポリマー組成物。該組成物は、水性または水性/有機組成物を増粘するための微粒子増粘系を調製するのに、特にパーソナルケアおよび医薬配合物に使用するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、分散ポリマー相、連続担体相および界面活性剤を含む液体分散ポリマー組成物、それらの調製、並びにこれらの液体分散ポリマー組成物の、水性または水性/有機組成物を増粘する微粒子増粘系を調製するための使用に関する。より詳しくは、シリコーンポリマー液担体相および水中油滴型界面活性剤に分散された、親水性、水溶性または膨潤性ポリマー、好ましくはアクリルベースのポリマーの微粒子を含む液体分散ポリマー組成物、それらの調製、並びにこれら液体分散ポリマー組成物の、水性または/有機組成物を増粘するための微粒子増粘系を調製するための使用、特にパーソナルケアおよび医薬配合物においての使用に関する。
【0002】
増粘剤は、化粧品および医薬配合物などのパーソナルケア配合物に広く使用され、美しさ、製品施用および活性原料の懸濁および移送に影響を及ぼす。ポリマー型増粘剤は、長年、この目的に使用されている。使用されているポリマー型増粘剤の種類は、グアーなどの天然ゴムから、ヒドロキシエチルセルロースなどの修飾天然物質を経て、ポリアクリル酸ベースのCarbomers(登録商標)などの合成増粘剤までの範囲である。
【0003】
チバスペシャルティケミカルズ社より入手できる、液体分散ポリマーのSalcare(登録商標)の範囲は、疎水性担体媒体中での微粒子のアクリルベースのポリマー型増粘剤の範囲である。Salcare(登録商標)SC91は、活性化界面活性剤としてのPPG−1トリデセス−6と共に、アクリル酸ナトリウムポリマーおよび鉱油担体をベースとするアニオン性増粘剤である。Salcare(登録商標)SC92は、ポリクオタニウム32および鉱油を含む、カチオン性コポリマー増粘剤およびコンディショナーである。Salcare(登録商標)SC95およびSalcare(登録商標)SC96は、カチオン性ホモポリマー増粘剤およびコンディショナーである。Salcare(登録商標)SC95は、PPG−1トリデセス−6と共に、鉱油中にポリクオタニウム37を含む。Salcare(登録商標)SC96は、PPG−1トリデセス−6と共に、プロピレングリコールジカプリレートジカプレート中にポリクオタニウム37を含む。
【0004】
上記の親水性アクリルポリマーの小さな球状の微粒子は、荷電がアニオン性であれカチオン性であれ、0.1〜2ミクロンの範囲の代表的な粒子サイズを有し、平均粒子サイズは0.5〜1.0ミクロンの範囲である。ポリマー微粒子は、好ましくは、水溶性ビニル付加モノマーが油中水滴型重合経路を使用して重合される方法により製造される。
【0005】
水系中で任意の上記の液体分散ポリマーを撹拌すると、活性化界面活性剤は、疎水性担体を、水中油滴型エマルジョンに変換する。用語「活性化界面活性剤」は、疎水性担体の水中油滴型エマルジョンへの変換を活性化する界面活性剤を意味する。同時に、親水性ポリマーは、水に曝露すると膨張するが、溶解せず、円滑で迅速な粘度の増加をもたらす。典型的には、ポリマー粒子は膨潤して、直径が2.5〜5ミクロンの範囲の典型的な粒子サイズを有するポリマー粒子を含む微粒子増粘系を与える。水分子は、浸透作用により小ポリマー粒子中に移動するので、ポリマー粒子が経験する浸透効果は、系中に存在する、水と電解質との平衡である。従って、高い電解質レベルは、ポリマー粒子の膨潤を減少させる。
【0006】
微粒子増粘系は、偽塑性レオロジープロフィルを有し、これは低いずり速度で(例えば製品を立てた場合に起こる速度)良好な安定性および懸濁特性、並びに、高いずり速度で低い見かけ粘度を与え、これは優れた摩擦特性に対応する。
【0007】
前記したように、上記のSalcare(登録商標)液体分散ポリマーの連続的有機担体相は、少なくとも一部はシリコーンポリマー液によってもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の要約
1つの態様において、本発明は、分散ポリマー相としての親水性、水溶性または膨潤性ポリマー、連続有機担体相としてのシリコーンポリマー液、および水中油滴型界面活性剤を含む、液体分散ポリマー組成物を提供し、ここでポリマーは、0.1〜2ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する微粒子の形態である。
【0009】
典型的には、液体分散ポリマー組成物は、各々組成物の全重量に基づいて、
(a)35重量%〜65重量%のポリマー、
(b)20重量%〜50重量%のシリコーンポリマー液、および
(c)5重量%〜25重量%の界面活性剤または界面活性剤混合物、
を含む。
【0010】
有利には、親水性ポリマー(a)は、水に膨潤性である、すなわち、それは十分に架橋して膨潤するが、水に溶解しない。好ましくは、それはアクリルベースである。また、それは好ましくは、アニオン性またはカチオン性である。
【0011】
シリコーンポリマー液(b)は、化粧品産業に周知であり、毛髪および皮膚用配合物において、長年使用されている。それらは特に皮膚や毛髪における美感の故に、またヘアケア用途において用いたときにそれらが与えるつやの故に鉱油よりも好ましい。本発明の製品は、種々のイオン系にわたって適合性をもたらし、また他のどのような液体分散ポリマーによってももたらされることのない、ある水準の配合物汎用性シリコーン技術を用いてを与える。
【0012】
好ましくは、界面活性剤混合物は、膨潤性ポリマー(a)の微粒子の製造に有用な界面活性剤、およびその後の水中油滴型微粒子増粘エマルジョン用の活性化剤として働く少なくとも1つの界面活性剤の両方を含む。水中油滴型増粘エマルジョン用のこの活性化界面活性剤は、組成物の1.0重量%〜10.0重量%、好ましくは組成物の2.0重量%〜8.0重量%を含む。好ましくは、活性化界面活性剤は、一般に7を越えるHLBを有する、非イオン性の水中油滴型乳化剤である。この種類の適切な乳化剤は、当業者に周知である。エトキシル化アルコールが好ましい。
【0013】
さらに、組成物は、その本質的な特性に影響を及ぼさない、少量の他の成分を含みうる。典型的には、これらの他の成分は、各々約3重量%までの水および揮発性有機溶媒、並びに、水溶性または膨潤性ポリマーの調製から残った少量の他の成分を含みうる。
【0014】
有利には、組成物は、各々組成物の全重量に基づいて、
(a)40重量%〜60重量%のポリマー、ここでポリマーはアニオン性またはカチオン性であり、かつ水膨潤性であり、
(b)25重量%〜45重量%のシリコーンポリマー液、および
(c)8重量%〜20重量%の界面活性剤または界面活性剤混合物、
を含む。
【0015】
特に好ましい組成物は、各々組成物の全重量に基づいて、
(a)45重量%〜58重量%のポリマー、ここでポリマーはアニオン性またはカチオン性であり、かつ水膨潤性であり、
(b)30重量%〜40重量%のシリコーンポリマー液、および
(c)10重量%〜18重量%の界面活性剤の混合物、
を含む。
【0016】
非常に特に好ましい組成物は、各々組成物の全重量に基づいて、
(a)45重量%〜58重量%の水膨潤性ポリマー、ここでポリマーはアニオン性であり、
(b)32重量%〜38重量%のシリコーンポリマー液、
(c)12重量%〜18重量%の界面活性剤の混合物、
を含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、
(a)0.1重量%〜8重量%、好ましくは1重量%〜6重量%の上記の液体分散ポリマー組成物、
(b)0.1重量%〜70重量%、好ましくは2重量%〜35重量%の追加の成分、例えばパーソナルケア成分、例えば化粧用または医薬的賦形剤および/または有効成分および
(c)45%〜99%の水または水と低級アルコールなどの水混和性有機溶媒との混合物、
を含む、増粘水性または水含有組成物、特にパーソナルケア配合物、の提供である。
【0018】
このような低級アルコールとして、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ジ−イソプロピルアルコールおよび他の公知の低級アルコールが挙げられる。
【0019】
これらの組成物は、ローション、クリーム、膏薬、ゲル、乳剤、スプレー、フォームまたは軟膏の形態でありうる。
【0020】
追加の成分は、水中油滴型の増粘水性エマルジョンの一部を形成しうる任意の成分でありうる。化粧成分の非制限的な例として、抗微生物剤(トリクロサン(登録商標)、ファルネソール(登録商標));皮膚コンディショニング剤および皮膚柔軟剤、例えばラノリンおよびその誘導体;エスラル、例えばイソプロピルプロピオネート、デシルオレエート、イソプロピルイソステアレート、トリオクタノイン、トリイソステアリン、ミリスチルプロピオネート;脂肪族アルコール;スクワレン;シリコーン、例えばシクロメチコーン、ジメチコーン、ジメチコーンコポリオール;アセトアミドモノエタノールアミン;ジメチルポリシロキサン;保湿剤、例えばアロエベラ、バリヤークリーム、皮膚軟化剤、αおよびβヒドロキシ酸、例えば乳酸およびグリコール酸;アラントインおよびビスアボロールのような抗炎症剤;UV日焼け止め剤、例えばパラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、およびメトキシケイ皮酸オクチル、「サンレス」タンニング剤、ホワイトニング剤、昆虫忌避剤、精油、例えばパチョリ油、ペパーミント油、ローズマリー油、シトロネラ油、ティーツリー油、オレンジまたはレモン油、セダー油およびビャクダン油、ビタミン、着色料および色素;ヘアコンディショナー、例えばアモジメチコーン、シクロメチコーン、パンテノール、ラウラミドジエタノールアミン、ラウラミンオキシドおよびシルクプロテイン;香水成分;毛髪染剤および漂白剤、並びに保存剤、例えばメチル−、エチル−、プロピル−パラベンおよびイミダゾリジニル尿素が挙げられる。
【0021】
医薬的に有効な成分は広く変化し得、皮膚または毛髪への局所施用を意図するの全ての治療剤、特に皮膚のかゆみ、刺痛、大はがれ、炎症または感染、火傷、およびヒトまたは他の哺乳動物の頭皮毛髪減少を処置する物質を含む。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、上記の0.1重量%〜8重量%、好ましくは1重量%〜6重量%の液体分散ポリマーを、0.1重量%〜70重量%の少なくとも1つの治療剤および/または賦形剤を含む水性または水性/有機組成物に混合することを含む、治療用ローション、クリーム、膏薬、ゲルまたは軟膏の調製法を提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、上記に定義した組成物を、処置の必要なヒトまたは他の哺乳動物の皮膚、顔、または頭皮に施用することを含む、皮膚の局所処置法を提供することである。処置の種類は、組成物中に溶解または懸濁する有効成分に依存する。例えば、組成物は、保護クリーム等の顔用クリーム、保湿クリーム、ローションまたは乳剤、洗浄料または化粧水、ハンドおよびボディ乳剤またはローション、UV−AおよびUV−Bに対する日焼け止め剤を含むボディスプレー、クリーム、ローションまたは乳剤、「太陽要らずの」日焼けクリーム、ローションまたはスプレー、皮膚漂白クリーム、ローションまたはスプレー、脱毛クリーム、ヘアコンディショニングクリーム、ローションまたはシャンプー、毛髪染剤クリームまたはローション、髭剃り前または後クリーム、ローション、ジェルまたはバーム、消毒クリーム、ローション、軟膏またはゲル、日焼けに対するアフターサン適用剤としての鎮痛クリーム、ローションまたはスプレー等を含みうる。
【0024】
本発明の他の態様は、以下の議論および実施例から明らかとなろう。実施例は単に本発明のある態様を説明するものであり、それに限定されるものではない。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明に使用した親水性、水膨潤性のアクリルベースの液体分散ポリマー組成物は、アニオン性でもカチオン性でもよい。前記ポリマーは、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。それらは、水溶性のアニオン性またはカチオン性モノマーである1種またはそれ以上のモノエチレン性不飽和モノマーからか、あるいは、アニオン性とカチオン性モノマーから構成されうるか、または、アニオン性および/もしくはカチオン性モノマーの混合物と少量の非イオン性モノマーから構成されうる、主としてアニオン性またはカチオン性のモノマーブレンドから形成される。
【0026】
ポリマーは、好都合には、疎水性液体、すなわち、水との混和性が十分に低いので、逆相重合に非水性相として使用できる液体中で、適切なモノマーの逆相エマルジョン重合により、0.1〜2ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する微粒子の形態で得られうる。液体は、ポリマーが合成されるような温度範囲中では(例えば15〜100℃)、ポリマーまたはモノマー(これからポリマーが形成される)に対して実質的に溶媒和効果を有してはならない。なぜなら、溶媒和媒体は、逆相エマルジョン重合に不適当であるからである。同様に、モノマーまたはモノマーブレンドは、逆相重合の実施を可能とするためには水溶性でなければならない。
【0027】
適切なアニオン性モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。アクリル酸は、最も好ましいアニオン性モノマーである。好ましくは、カルボン酸基は、少なくとも50%、有利には65〜85%であり、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩、特にナトリウム塩の形態である。
【0028】
適切なカチオン性モノマーは、ジアリルジアルキルモノマー、例えばジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含むが、好ましくはカチオン性モノマーは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートまたはアクリルアミドである。ポリマーは遊離塩基の形態でありうるが、特にそれがカチオン性アクリルアミドまたはメタクリルアミドである場合、それは好ましくは酸付加または第四級アンモニウム塩の形態、例えば塩化(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムである。
【0029】
モノマーがカチオン性アクリルアミドまたはメタクリルアミドである場合、ジアルキルアミノアルキル基は、一般に、ジアルキルアミノプロピルまたはジアルキルアミノイソプロピル基である。モノマーがカチオン性アクリレートまたはメタクリルレートである場合、ジアルキルアミノアルキル基は、一般に、ジアルキルアミノエチル基である。
【0030】
カチオン性モノマーが、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸塩または第四級アンモニウム塩、最も好ましくはジメチルアミノエチルメタクリレートであることが通常好ましい。通常、それは、塩化メチル第四級アンモニウム塩として存在する。
【0031】
適切な非イオン性モノマーとして、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−ビニルピロリドンおよび水溶性ヒドロキシ置換アクリル酸またはメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0032】
カチオン性ブレンドを使用する場合、カチオン性モノマーの量は、好ましくは、ブレンドの50重量%より多く、そして通常は、ブレンドの少なくとも70重量%または少なくとも80重量%である。好ましいカチオン性ポリマーは、もっぱらカチオン性モノマーから形成される。
【0033】
アニオン性ブレンドを使用する場合、アニオン性モノマーの量は、好ましくは、ブレンドの60重量%より多く、そして通常は、ブレンドの少なくとも80重量%である。好ましいアニオン性ポリマーは、もっぱらアニオン性モノマーから形成される。
【0034】
液体分散ポリマー組成物は、有利には、少量の適切な架橋剤、例えば多官能性ビニル付加モノマーを、重合混合物に添加することにより架橋される。好ましくは、水溶性架橋剤を使用する。
【0035】
ジ−、トリ−またはテトラエチレン性不飽和物質を含む、モノマーまたはモノマーブレンド中に可溶性である任意の慣用のエチレン性不飽和架橋剤または多エチレン性不飽和架橋剤を使用できる。好ましいのは、ジエチレン性不飽和化合物、例えばメチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリルアミド、トリアリルアンモニウム塩、ビニルオキシエチレンアクリレートまたはメタクリレート等である。メチレンビスアクリルアミドは最も好ましい架橋剤である。
【0036】
架橋剤の量は、一般に、百万部(乾燥重量)のモノマーあたり、100〜10,000重量部の架橋剤の範囲である。最も好ましくは、それは、カチオン性またはアニオン性モノマーについて、500〜2000ppm、特に500〜900ppm程度である。最適量は、慣用的な実験により決定できる。
【0037】
本発明に使用するに特に好ましいポリマーは、Salcare(登録商標)SC91およびSalcare(登録商標)ASTに分散されたアニオン性ポリマー、並びに、Salcare(登録商標)SC92、Salcare(登録商標)SC95およびSalcare(登録商標)SC96液体分散ポリマーに分散されたカチオン性ポリマーである。
【0038】
親水性ポリマーは、疎水性液相における、親水性モノマー、好ましくは1種またはそれ以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートモノマーの逆相エマルジョン重合により調製される。逆相エマルジョン重合は周知の技術であり、これは、例えば米国特許第4,628,078号に記載され、この開示は参照としてその全体が組み込まれる。
【0039】
即時型液体分散ポリマー組成物の調製用の連続相は、少なくとも一部は、シリコーンポリマー液によりもたらされる。液体分散ポリマー組成物は、主に、化粧用または医薬的な目的のために意図されているため、化粧用および/または医薬的に許容され、逆相重合における連続相として有用なほど十分に疎水性である、シリコーンポリマー液が、好ましくは、連続相として使用される。多くのこのような物質が知られており、市販で入手できる。そのようなシリコーンポリマー液として、シクロメチコーン、ジメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチコーン等が挙げられ、それらの混合物を包含する。フェニルトリメチコーンが好ましい。
【0040】
重合に使用される疎水性液体相の量は、満足しうる逆相エマルジョン媒体を提供する必要性により主に決定される。これは、一般に、1重量部(乾燥重量)の親水性ポリマーあたり、少なくとも0.5重量部のシリコーンポリマー液であろう。シリコーンポリマー液中により多い量の微粒子を有する、例えば、シリコーンポリマー液中に1.2〜約1.7重量部(乾燥重量)の親水性ポリマーを有する、液体分散ポリマー組成物を得るために、並びに、プロセシングを容易にするために、揮発性の不活性疎水性溶媒を使用することが得策である。適切な不活性疎水性溶媒として、炭化水素およびハロゲン化炭化水素が挙げられる。1つの特に好ましい炭化水素混合物は、ExxonのIsopar G(登録商標)である。簡便には、乾燥重量を基準にして、1部の親水性ポリマーあたり、1〜2部、好ましくは1.3〜1.9部の揮発性で不活性の疎水性溶媒を使用する。
【0041】
ポリマーは、慣用的な逆相エマルジョン手順により、すなわち、所望により金属イオン封鎖剤および架橋性エチレン性不飽和モノマーを含む、1重量部(乾燥重量)の少なくとも1種の水性エチレン性不飽和モノマーを、少なくとも一部は液体疎水性シリコーンポリマー液を含み、約0.1〜0.2部の少なくとも1種の9.0未満のHLB値を有する慣用の油中水滴型乳化剤および場合により0.5〜0.10.0部のポリマー型安定化界面活性剤を含む、約1〜3重量部の疎水性液体に、激しく撹拌しながら添加して、実質的に安定で必要な微細粒子サイズのエマルジョンを形成することにより調製する。適切な油中水滴型乳化剤は当業者に周知である。ソルビタンエステルが好ましい。ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ナトリウム塩が適切な金属イオン封鎖剤である。エチレン性不飽和モノマーは、ジエチレン性または多エチレン性不飽和でありうる。
【0042】
反応混合物を窒素でパージし、重合を、慣用のフリーラジカル源の添加により開始させる。適切な重合開始剤は当業者に周知である。典型的なフリーラジカル形成触媒として、過酸素化合物、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム、過酸化カプリリル、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、過酸化ペラルゴニル、クメンヒドロペルオキシド、ジペルフタル酸t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート等、並びに、アゾ触媒、例えばアゾジイソブチロニトリルが挙げられる。他の有用な触媒は、重金属活性化触媒系である。好ましい重合開始剤種類は、レドックス開始対である。開始後、適切な温度および撹拌条件を、モノマーからポリマーへの変換が実質的に完了するまで維持する。適切な条件は当業者には周知である。
【0043】
次いで、水および任意の揮発性溶媒を、逆相エマルジョンから、例えば減圧下での蒸留により除去し、シリコーンポリマー液中に分散された2ミクロン未満のサイズのポリマー粒子の実質的に無水で安定な分散液を作成する。
【0044】
組成物の重量に基づいて、約1.0重量%〜10.0重量%、好ましくは2重量%〜8重量%の、一般に7を越えるHLBを有する、非イオン性水中油滴型乳化剤を、蒸留完了後に加える。この種類の適切な乳化剤は当業者に周知である。エトキシル化アルコールが好ましい。
【0045】
本発明のさらなる特徴は、適切なポリマー型安定化界面活性剤を、蒸留プロセスの間、エマルジョンの完全性を維持するための、および、分散物が水溶性または膨潤性分散ポリマーの微粒子を高レベルで含んでいたとしても、最終の液体ポリマー分散物が自由に流動する液体となるための、プロセシング補助剤として使用することである。
【0046】
有利には、1重量部(乾燥重量)のエチレン性不飽和モノマーあたり、0.5〜10.0部、好ましくは1.0〜6.0部のこの界面活性剤を使用する。
【0047】
好ましいポリマー型界面活性剤は、アルキル(メタ)アクリレートとアミノ官能性モノマーとのコポリマーであり、これは以下のようにして調製される。
【0048】
アルキル(メタ)アクリレート、アミノ官能性モノマーおよび適当な油溶性熱的開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を不活性溶媒、例えば、Isopar G(登録商標)のような、脂肪族または芳香族炭化水素溶媒に溶解する。この混合物を、更に溶媒および熱的開始剤を含有する容器に、80〜90℃の反応温度で2〜6時間かけて供給する。反応は、冷却しそして排出する前に、この温度で更に2時間維持する。
【0049】
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、どのような適当なアルキル基であってもよいが、C8〜C22の基が好ましい。
【0050】
アミノ官能性モノマーは、一般式(1)のものである。
(1) CH2=CRC(=O)−R12NR34
Rは水素またはC1〜C4アルキルであり、
1は酸素または窒素であり、
2はC1〜C4アルキルであり、
3は水素またはC1〜C10アルキルであり、
4はC1〜C10アルキルである。
【0051】
アルキル(メタ)アクリレート:アミノ官能性モノマーの比は、モル基準で、0.5〜8.0:1の間でありうる。好ましくは、0.75〜6.0:1の間、最も好ましくは、1.0〜4.0:1の間である。
【0052】
分子量は、当業者に周知である慣用のクロマトグラフィー法で決定しうる。典型的な分子量は、10,000〜60,000の範囲であり、最も典型的には、15,000〜40,000の範囲でありうる。
【0053】
液体分散ポリマーを水性系中で撹拌すると、非イオン性界面活性剤は、疎水性担体を、水中油滴型エマルジョンに変換する。同時に、親水性ポリマーは、水に曝露すると膨張し、その結果、円滑で迅速に粘度は増加する。典型的には、ポリマー粒子は膨潤して、直径が2.5〜5.0ミクロンの範囲の典型的な粒子サイズを有するポリマー粒子を含む微粒子増粘系を与える。
【0054】
本発明の液体分散組成物は、0.1重量%〜8.0重量%、好ましくは1重量%〜6重量%の濃度で、水性または水性/有機配合物に対して効果的な増粘を与える、微粒子増粘系を提供する。しかし、さらに、それらは、液体分散ポリマーの増粘効果を、シリコーンポリマー液の利点と共に、兼ね備える。
【0055】
液体分散ポリマー組成物は、多種多様のパーソナルケア有効成分および補助物質と適合性がある。該ポリマーが使用されうる典型的な配合物例として以下が挙げられる。
【0056】
ケア用、洗浄用、消臭用および脱毛用のクリーム、ローション、乳剤およびスプレーのような全ての種類の顔およびボディエマルジョン;着色化粧品、例えば液体ファウンデーション、液体アイシャドウ、液体頬紅、口紅および水性マスカラ;パック、リップクリーム、ボディウオッシュのようなスキンケア組成物、全ての種類のシェービング製品;ハンドソープ、棒状石鹸および液体石鹸を包含するスキンケア配合物。
【0057】
ヘアーコンディショナー、毛染剤(永久的、半永久的および一時的)、スタイリングジェル、ローションおよびクリーム、シャンプー、毛髪緩和剤、ヘアーパーマ液、およびヘアーマスクを包含するヘアケア配合物。
【0058】
日焼けクリーム、ローションおよびスプレー、日焼け止め、日焼け促進剤、アフターサンクリーム、ローションおよびスプレー、並びにサンレスタンニングローションおよびスプレーなどの日焼け配合物。
【0059】
以下の配合物例は、単に、配合の可能性のいくつかの代表的な態様を示し、いかなる限定も意味しない。最も特に好ましい組成物は、液体分散ポリマー中のポリマーが、水膨潤性カチオン性ポリマーの微粒子を含み、またシリコーンポリマー液が、フェニルトリメチコーンであるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
全てのパーセントは配合物の重量によるものである。粘度は、ブルックフィールド粘度計で決定する。
【実施例1】
【0061】
実施例1
常用ヘアーコンディショニング保湿ローション/クリーム
【0062】
【表1】

【0063】
方法
1)ビーカーに1を加え、攪拌を開始し、その後、3、4および5を加え、約5〜10分間よく混合した。次いで、6、7および8を、混合を増進しながら加えた。
【0064】
2)撹拌速度を増加したのち、2をゆっくり加え、粘稠で均一となるまで、約5〜10分間ゆっくり撹拌を続けた。
【0065】
典型的な特性:
外見:滑らかで低粘度のクリーム
粘度:10,000〜20,000cPs
pH:3.5〜4.25
【実施例2】
【0066】
実施例2
一般的な常用ハンドローションおよびボディローション
【0067】
【表2】

【0068】
方法
1)ビーカーに1を加え、攪拌を開始し、その後、2,3および4を加え、約5〜10分間よく混合した。次いで、6、7および8を、混合を増進しながら加えた。
【0069】
2)撹拌速度を増加したのち、5をゆっくり加え、粘稠で均一となるまで、約5〜10分間ゆっくり撹拌を続けた。
【0070】
典型的な特性:
外見:「濃厚な」ローション
粘度:7,500〜10,500cPs
pH:5.5〜7.0
【実施例3】
【0071】
実施例3
アフターサンローション/クリーム
【0072】
【表3】

【0073】
方法
1)ビーカーに1を加え、攪拌を開始し、その後、2,3、4、6および7を加え、約5〜10分間よく混合した。
【0074】
2)撹拌速度を増加したのち、5をゆっくり加え、粘稠で均一となるまで、約5〜10分間ゆっくり撹拌を続けた。
【0075】
典型的な特性:
外見:流動性のローション
粘度:5,00〜8,000cPs
pH:5.0〜6.5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンポリマー液および水中油滴型界面活性剤に分散された、親水性、水溶性または膨潤性ポリマーを含む液体分散ポリマー組成物であって、ポリマーが0.1〜2ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する微粒子の形態である、液体分散ポリマー組成物。
【請求項2】
各々組成物の全重量に基づいて、
(a)35重量%〜65重量%のポリマー、
(b)20重量%〜50重量%のシリコーンポリマー液、および
(c)5重量%〜25重量%の界面活性剤または界面活性剤混合物、
を含む、請求項1に記載の液体分散ポリマー組成物。
【請求項3】
各々組成物の全重量に基づいて、
(a)40重量%〜60重量%のポリマー、ここでポリマーはアニオン性またはカチオン性であり、かつ水膨潤性であり、
(b)25重量%〜45重量%のシリコーンポリマー液、および
(c)8重量%〜20重量%の界面活性剤または界面活性剤混合物、
を含む、請求項1または2に記載の液体分散ポリマー組成物。
【請求項4】
ポリマーが、500〜2000ppmの架橋剤で架橋されているポリクオタリニウム37である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体分散ポリマー組成物。
【請求項5】
親水性ポリマーが、少なくとも1種のシリコーンポリマー液を含む疎水性液相における、1種以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートモノマーの逆相エマルジョン重合により調製される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体分散ポリマー組成物。
【請求項6】
シリコーンポリマー液が、化粧用および/または医薬的に許容されうるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体分散ポリマー組成物。
【請求項7】
(a)0.1重量%〜8重量%の請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体分散ポリマー組成物、
(b)0.1重量%〜70重量%の追加の成分、および
(c)45%〜99%の水または水と水混和性有機溶媒の混合物、
を含む、増粘された水性または含水の組成物。
【請求項8】
ローション、クリーム、膏薬、ゲル、軟膏、乳剤、スプレー、またはフォームの形態である、請求項7に記載の増粘水性または水含有組成物。
【請求項9】
0.1重量%〜8重量%の請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体分散ポリマーを、0.1重量%〜70重量%の少なくとも1種の治療剤および/または賦形剤を含む水性または水性/有機組成物に配合することを含む、治療用ローション、クリーム、膏薬、ジェル、軟膏、乳剤、スプレー、またはフォームの調製方法。
【請求項10】
請求項7または8に記載の組成物を、そのような処置が必要なヒトまたは他の哺乳動物の皮膚、顔、頭皮または毛髪に施用することを含む、皮膚の治療的局所処置方法。
【請求項11】
少なくとも1種のシリコーンポリマー液を含む疎水性液相において親水性モノマーの逆相エマルジョン重合を行うことを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体分散ポリマー組成物の調製方法。
【請求項12】
(a)場合により金属イオン封鎖剤および架橋性エチレン性不飽和モノマーを含む、1重量(乾燥重量)部の親水性エチレン性不飽和モノマーを、液体疎水性シリコーンおよび場合により揮発性不活性疎水性溶媒を含みかつ9.0未満のHLB値を有する少なくとも1種の油中水滴型乳化剤および場合によりポリマー型安定化界面活性剤を含む、約1〜3重量部の疎水性液体に、強力に撹拌しながら添加して、実質的に安定な微細な粒子サイズのエマルジョンを形成し、
(b)不活性雰囲気を用意し、
(c)フリーラジカル開始剤を添加し、
(d)適切な温度および撹拌条件を、モノマーからポリマーへの変換が実質的に完了するまで維持し、
(e)減圧下で逆相エマルジョンから水および任意成分の揮発性溶媒を除去し、シリコーンに分散した2ミクロン未満のサイズのポリマー粒子の実質的に無水で安定な分散液を製造し、そして
(f)組成物の重量に基づいて0.5重量%〜8重量%の、7を越えるHLBを有する非イオン性水中油滴型乳化剤を、シリコーン中のポリマー粒子の分散液に加えること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
親水性エチレン性不飽和モノマーが塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートであり、架橋性エチレン性不飽和モノマーがメチレンビスアクリルアミドであり、シリコーンポリマー液がフェニルトリメチコーンであり、そしてポリマー型安定化界面活性剤が存在する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
ポリマー型安定化界面活性剤が、アルキル(メタ)アクリレートとアミノ官能性モノマーとの反応生成物である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
モル基準で0.5〜8.0:1の間の比での、アルキル(メタ)アクリレートとアミノ官能性モノマーとの反応生成物であるポリマー。

【公開番号】特開2010−43275(P2010−43275A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−230439(P2009−230439)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【分割の表示】特願2002−546594(P2002−546594)の分割
【原出願日】平成13年11月19日(2001.11.19)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】