説明

液体分析装置および液体分析方法

【課題】安価で安全な分析を自動的に行い、分析結果をリアルタイムに出力できる液体分析装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、液体分析装置は、試料と、前記試料中の特定のイオンと選択的に反応して、前記試料を発色させる試薬とを混合するための検査槽を備える。さらに、前記液体分析装置は、前記検査槽内の前記試料と前記試薬とを撹拌する撹拌装置を備える。さらに、前記液体分析装置は、前記検査槽内の前記試料の色を検知する色別センサを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体分析装置および液体分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場排水の放流の際には、その水質が基準値内であることを確認するための分析が行われる。この際、分析項目の一部は作業者による手分析によるため、放流作業は手動で行わなければならない。将来的に排水の自動放流を実現するためには、リアルタイムで分析を行い、分析結果をアウトプットできる分析装置が必要となる。
【0003】
自動水質分析装置としては、発色させた試料を可視光線、近紫外線、近赤外線などの光の透過率で分析する吸光度法によるものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−301606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の自動水質分析装置は、分析データをリアルタイムでモニタリングできるが、装置の本体価格やランニングコストなどのコストパフォーマンスが悪いという問題がある。さらには、重金属などの有害物質を含む消耗品を使用する場合があり、安全性や環境保護の観点から、廃棄物の処分が難しいという問題がある。さらには、試料や試薬の供給機構や排出機構が複雑で、装置の保守性が悪いという問題がある。
【0006】
一方、簡易分析方法であるパックテストは、高価な分析装置や有害な試薬などを用いずに実施することができるが、自動分析ができない上、分析データをリアルタイムでモニタリングできない。
【0007】
そこで、本発明は、安価で安全な分析を自動的に行い、分析結果をリアルタイムに出力できる液体分析装置および液体分析方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一の実施形態による液体分析装置は、試料と、前記試料中の特定のイオンと選択的に反応して、前記試料を発色させる試薬とを混合するための検査槽を備える。さらに、前記液体分析装置は、前記検査槽内の前記試料と前記試薬とを撹拌する撹拌装置を備える。さらに、前記液体分析装置は、前記検査槽内の前記試料の色を検知する色別センサを備える。
【0009】
また、別の実施形態による液体分析方法では、試料と、前記試料中の特定のイオンと選択的に反応して、前記試料を発色させる試薬とを検査槽内で混合する。さらに、前記液体分析方法では、前記検査槽内の前記試料と前記試薬を撹拌装置により撹拌する。さらに、前記液体分析方法では、前記検査槽内の前記試料の色を色別センサにより検知する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態の自動水質分析装置の構成を示すシステム構成図である。
【図2】第1実施形態の自動水質分析装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態の自動水質分析装置の構成を示すシステム構成図である。
【図4】第3実施形態における自動水質分析処理を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の自動水質分析装置の構成を示すシステム構成図である。
【0013】
図1の自動水質分析装置は、検査槽1と、試料水タンク2と、試薬タンク3と、水道水取水口4と、廃液タンク5を備えている。
【0014】
検査槽1は、試料水タンク2から注入される試料水と、試薬タンク3から投入される試薬とを混合して、分析を行うための容器である。
【0015】
試料水タンク2は、試料水を溜めるためのタンクである。試料水は、例えば工場排水である。本実施形態の試料水タンク2は、排水貯留槽から工場排水を取水して、この排水を一時的に溜めるために使用される。
【0016】
試料水タンク2は、検査槽1よりも高い場所に位置しており、試料水バルブ21、22が設けられた流路で検査槽1につながっている。試料水バルブ21、22は、2つのバルブ21、22の間の体積が1.5ccとなる間隔で設置されている。
【0017】
試薬タンク3は、試薬を溜めるためのタンクである。本実施形態で使用する試薬は、試料水中の特定のイオンと選択的に反応して、試料水を発色させる発色剤である。このような発色剤の例としては、亜鉛イオンと選択的に反応する1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトールの粉末などが挙げられる。この発色剤を使用することで、試料水中に亜鉛イオンが含まれているか否かを検査することができる。
【0018】
試薬タンク3は、試料水タンク2と同様に、検査槽1よりも高い場所に位置しており、試薬バルブ23、24が設けられた流路で検査槽1につながっている。試薬バルブ23、24は、2つのバルブ23、24の間の体積が0.3〜0.5ccとなる間隔で設置されている。
【0019】
水道水取水口4は、検査槽1内に水道水を注入するための取水口である。水道水は、例えば、検査槽1を洗浄するための洗浄水として使用される。水道水取水口4は、水道水バルブ25が設けられた流路で検査槽1につながっている。
【0020】
廃液タンク5は、分析後の試料水および試薬や、使用後の洗浄水を排出するためのタンクである。廃液タンク5は、検査槽1よりも低い場所に位置しており、廃液バルブ26が設けられた流路で検査槽1とつながっている。
【0021】
図1の自動水質分析装置はさらに、撹拌装置の例である撹拌機構11と、色別センサ12と、制御装置の例であるPLC(Programmable Logic Controller)13と、表示装置の例である表示灯14とを備えている。
【0022】
撹拌機構11は、検査槽1内の試料水と試薬を撹拌する機構である。撹拌機構11は、検査槽1を支持する回転テーブル11aと、歯車11bを介して回転テーブル11aを回転させるモータ11cとを備えている。回転テーブル11aの回転により、試料水と試薬が撹拌される。回転テーブル11aには、検査槽1と廃液タンク5とをつなぐ経路を通すための穴11dが設けられている。
【0023】
色別センサ12は、検査槽1内の試料水の色を検知し、検知結果を保持する信号を出力するセンサである。この出力信号は、PLC13へと供給される。本実施形態では、検査槽1が、アクリル樹脂などの透明部材で形成されており、色別センサ12は、そのセンサヘッドを検査槽1の側壁に向けて設置されている。よって、色別センサ12は、検査槽1内の試料水の色を、検査槽1の側壁を介して検知する。
【0024】
なお、検査槽1は、その一部分だけが透明部材で形成されていてもよい。この場合、色別センサ12は、センサヘッドを透明部材に向けて設置する。また、検査槽1は、非透明部材で形成されていてもよい。この場合、色別センサ12は例えば、検査槽1の上方に、センサヘッドを下向きにして設置する。
【0025】
色別センサ12は、色を数値で表現して出力するセンサである。例えば、白を検知した場合には指示値0を出力し、赤を検知した場合には指示値1000を出力し、白と赤の中間色を検知した場合には、その赤身具合に応じて0から1000の指示値を出力する、といった具合である。
【0026】
本実施形態では、水質亜鉛濃度を分析するために、亜鉛濃度5mg/Lの赤の指示値を1000、白の指示値を0として、色別センサ12に登録する。また、赤から黄までの色に3段階の閾値を設定し、これらの閾値を色別センサ12に予め登録しておく。これらの閾値は例えば、亜鉛濃度2mg/Lの濃橙の指示値である600と、亜鉛濃度1mg/Lの橙の指示値である300と、亜鉛濃度0.2mg/Lの薄橙の指示値である60に設定される。
【0027】
この場合、色別センサ12は、検査槽1内の試料水の赤身具合に応じて、指示値そのものに代えて、1から4の数値を保持するデジタル信号を出力する。例えば、試料水の色の指示値が、閾値60と閾値300との間の200であれば、数値「2」を保持する信号が出力される。また、試料水の色の指示値が、閾値300と閾値600との間の400であれば、数値「3」を保持する信号が出力される。
【0028】
PLC13は、自動水質分析装置の動作を制御する装置である。PLC13は例えば、バルブ21〜26の開閉や、撹拌機構11のオン/オフ、表示灯14への表示処理などを制御する。PLC13は、種々の情報処理を行うPLC部13aと、信号を入力するための入力ユニット13bと、信号を出力するための出力ユニット13cを備えている。PLC13の動作の詳細については、図2を参照して説明する。
【0029】
図2は、図1の自動水質分析装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0030】
まず、バルブ21〜26のうち、試料水バルブ21のみを開き、試料水タンク2から試料水バルブ22上に試料水を溜める。次に、試料水バルブ21を閉め、試料水バルブ22を開くことで、検査槽1内に一定量の試料水を注入する(ステップS1)。その後、試料水バルブ22を閉じる。
【0031】
次に、撹拌機構11の回転テーブル11aを、60〜100rpmの正転動作および逆転動作で、それぞれ5〜10秒間2回ずつ作動させる(ステップS2)。次に、廃液バルブ26を開き、検査槽1内の試料水を廃液タンク5に排出する。このようにして、検査槽1の共洗いを行う(ステップS3)。その後、廃液バルブ26を閉じる。
【0032】
次に、試薬バルブ23を開き、試薬タンク3から試薬バルブ24上に試薬を落とす。次に、試薬バルブ23を閉め、試薬バルブ24を開くことで、検査槽1内に1回分の試薬を投入する(ステップS4)。その後、試薬バルブ24を閉じる。
【0033】
次に、試料水バルブ21を開き、試料水タンク2から試料水バルブ22上に試料水を溜める。次に、試料水バルブ21を閉め、試料水バルブ22を開くことで、検査槽1内に1回分の試料水を注入する(ステップS5)。その後、試料水バルブ22を閉じる。
【0034】
次に、撹拌機構11の回転テーブル11aを、60〜100rpmの正転動作および逆転動作で、それぞれ5〜10秒間2回ずつ作動させる(ステップS6)。これにより、試料水と試薬が混合される。
【0035】
次に、反応時間である1分間の経過後に(ステップS7)、色別センサ12が、検査槽1内の試料水の色を、赤から黄(1から4)の4段階で判別する(ステップS8)。この判別結果は、デジタル信号によりPLC13に入力される。
【0036】
次に、この判別結果が正常であれば(ステップS9)、PLC13は、放流操作システムの電磁弁を放流側に切り替え、上述の工場排水を放流する(ステップS10)。このようにして、試料水の自動分析と、工場排水の自動放流が行われる。
【0037】
次に、廃液バルブ26を開き、検査槽1内の試料水と試薬の混合液を、廃液タンク5に排出する(ステップS11)。次に、水道水バルブ25を開き、検査槽1内に水道水を注入する(ステップS12)。
【0038】
次に、撹拌機構11の回転テーブル11aを、60〜100rpmの正転動作および逆転動作で、それぞれ5〜10秒間2回ずつ作動させる(ステップS13)。次に、廃液バルブ26を開き、検査槽1内の水を廃液タンク5に排出する(ステップS14)。本実施形態では、ステップS12〜S14の処理を2回行うことで、検査槽1を洗浄する(ステップS15)。
【0039】
ステップS9において、PLC13は、試料水の色の指示値が60未満、すなわち、色別センサ12からの出力信号の値が「1」の場合には、試料水は正常であると判断する。
【0040】
一方、PLC13は、指示値が60〜300、すなわち、出力信号の値が「2」の場合には、表示灯14に、放流水質に関する警告を表示する(ステップS21)。また、PLC13は、指示値が300〜600、すなわち、出力信号の値が「3」の場合には、表示灯14に、警告よりも重い警報を表示する(ステップS22)。ただし、これらの場合には、警告や警報によって作業者に注意を喚起するにとどめ、工場排水の放流は実施する(ステップS10)。
【0041】
さらに、PLC13は、指示値が600以上、すなわち、出力信号の値が「4」の場合には、放流操作システムの電磁弁を緊急槽への配水側に切り替え、工場排水の放流を禁止する(ステップS23)。このようにして、汚染された工場排水の放流が防止される。
【0042】
なお、PLC13は、色別センサ12からの出力信号の値が「1」の場合には、表示灯14に、放流水質が正常である旨を表示する。また、出力信号の値が「4」の場合には、表示灯14に、放流が禁止された旨を表示する。
【0043】
なお、図2のフローにおけるバルブ21〜26の開閉、撹拌機構11のオン/オフ、表示灯14への表示処理などの処理は、PLC13により制御される。
【0044】
(第1実施形態の効果)
最後に、第1実施形態の効果について説明する。
【0045】
以上のように、本実施形態では、試料水と、この試料水を発色させる試薬を、検査槽1内で混合する。そして、検査槽1内の試料水と試薬を撹拌機構11で自動的に撹拌し、検査槽1内の試料水の色を色別センサ12で自動的に検知する。
【0046】
よって、本実施形態によれば、試料水の分析を、試料水の色の検知という形で自動的に行うことが可能となる。色別センサ12には、比較的価格が安く、有害な試薬を使用する必要もないという利点がある。また、色別センサ12によれば、機構をシンプルに構成できるため、保守性の良い自動水質分析装置を得ることができる。また、試料水を発色させてその色を検知する処理は、試料水と試薬の反応時間や、色の検知に要する時間が比較的短く、短時間で行うことができるため、本実施形態によれば、分析結果をリアルタイムで得ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、試料水バルブ21、22、試薬バルブ23、24、水道水取水口バルブ25、廃液バルブ26の開閉を、PLC13により自動的に制御する。よって、本実施形態によれば、分析の際の試料水の注入、試薬の投入、検査槽1の洗浄、検査槽1からの廃液の排出も自動化することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、PLC13が、色別センサ12からの出力信号に基づいて、工場排水の放流を制御する。よって、本実施形態によれば、工場排水の放流を実施するか禁止するかを、分析結果に応じて自動的に制御することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、PLC13が、色別センサ12からの出力信号に基づいて、表示灯14に警告や警報を表示する。よって、本実施形態によれば、排水放流の自動禁止に到る前に、作業者が、異常の発生源の特定や、排水放流の手動停止を行うための契機を得ることができる。
【0050】
なお、本実施形態の試料水は工場排水であったが、本実施形態は、工場排水以外の試料にも適用可能である。
【0051】
また、本実施形態では、試料水と試薬を撹拌する撹拌装置として、撹拌機構11を使用したが、撹拌器など、撹拌機構11以外の撹拌装置を使用してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、色別センサ12の出力信号を、4種類の値を保持するデジタル信号としたが、4種類以外の値を保持するデジタル信号としてもよいし、アナログ信号としてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、上述の排水貯留槽内に、工場排水が所定水位を超えると作動するフロートスイッチを設置してもよい。この場合、PLC13は、フロートスイッチからオン信号を受信したことをトリガーとして、排水貯留槽からの取水を開始し、図2に示す分析フローを実施する。このような分析処理によれば、排水貯留槽内に十分な工場排水が溜まるごとに自動的に分析を開始することができるため、分析回数が減り、試薬の節約や廃液の低減を実現することができる。
【0054】
また、本実施形態では、試料水中に亜鉛イオンが含まれているか否かを検査したが、試薬の種類や、色別センサ12で検知する色の種類、色別センサ12の閾値、反応時間のタイマーの設定などを変更すれば、亜鉛以外の物質も検出可能である。亜鉛以外の物質の検出に関しては、第2実施形態でも説明する。
【0055】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の自動水質分析装置の構成を示すシステム構成図である。
【0056】
図3の自動水質分析装置は、第1の試薬タンク3に加え、第2の試薬タンク6を備えている。第2の試薬タンク6は、第1の試薬タンク3と同様に、検査槽1よりも高い場所に位置しており、試薬バルブ27、28が設けられた流路で検査槽1につながっている。試薬バルブ27、28は、試薬バルブ23、24と同様に、2つのバルブ27、28の間の体積が0.3〜0.5ccとなる間隔で設置されており、PLC13によって開閉が制御される。本実施形態では、第1、第2の試薬タンク3、6内の試薬をそれぞれ、試薬X、試薬Yと呼ぶ。
【0057】
第2の試薬タンク6は、例えば、試料水の前処理が必要な場合に、試料水の前処理剤を保管するために使用される。例えば、亜鉛検出では、試料水のpHが4〜11の範囲外の場合に、試料水の中和が必要となるため、第2の試薬タンク6内に希硫酸水溶液や希水酸化ナトリウム水溶液などを保管しておく。
【0058】
また、第2の試薬タンク6は、例えば、試料水内の2種類の物質を検査対象とする場合に使用する。この場合、第1の試薬タンク3内には、第1の物質の検査用の試薬を保管しておき、第2の試薬タンク6内には、第2の物質の検査用の試薬を保管しておく。なお、この場合には、一般に、色別センサ12も、第1の物質の検査用のセンサと、第2の物質の検査用のセンサの2つを用意しておく必要がある。理由は、一般に、色別センサ12で検知する色の種類や、色別センサ12の閾値、反応時間のタイマーの設定などを、第1の物質の検査用と、第2の物質の検査用で別々に設定する必要があるからである。
【0059】
以上のように、本実施形態の自動水質分析装置は、複数の試薬タンク3、6を備えている。よって、本実施形態によれば、試料水の前処理や、複数種類の物質を検査対象とすることが可能となる。なお、本実施形態の自動水質分析装置は、3つ以上の試薬タンクを備えていてもよい。
【0060】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態における自動水質分析処理を説明するためのグラフである。
【0061】
本実施形態では、PLC13が、色別センサ12から出力された値の傾向管理を行う。図4は、PLC13が管理している値の一例を示す。PLC13は、色別センサ12から出力された値を、図4に示すように、時系列順に管理する。
【0062】
PLC13は、これらの値を、例えば表示画面上に表示する。この場合、作業者は例えば、これらの値の傾向から、異常が発生しているか否かを認識し、排水放流が禁止となる前に、異常の発生源の特定作業を開始することができる。これにより、放流禁止の事態を未然に防ぐことが可能となる。
【0063】
また、図4に示すP1は、色別センサ12の出力値が、一時的に「3」になった状況を示しており、P2は、色別センサ12の出力値が、継続的に「3」となっている状況を示している。P2の場合には、P1の場合に比べて、何らかの異常が発生しており、近々放流禁止の事態が発生する可能性が高いと考えられる。よって、PLC13は、P2の場合のように出力値「3」が一定期間以上継続している場合には、その事実を表示灯14やその他の表示装置に表示するようにしてもよい。これにより、放流禁止の事態を効果的に防ぐことが可能となる。
【0064】
なお、PCL13は、傾向管理している色別センサ12の出力値を、上記のような表示処理だけでなく、自動水質分析装置の駆動制御に使用してもよい。例えば、色別センサ12の出力値が「4」に到達する前に放流禁止を行いたい場合には、P2の事態が発生した段階で放流禁止となるよう、PCL13を構成してもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態のPLC13は、色別センサ12から出力された値の傾向管理を行う。よって、本実施形態によれば、色別センサ12からの出力値の傾向を反映した表示処理や、自動水質分析装置の駆動制御を行うことが可能となる。
【0066】
以上、第1から第3実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施することができる。また、これらの実施形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことにより、様々な変形例を得ることもできる。これらの形態や変形例は、発明の範囲や要旨に含まれており、特許請求の範囲及びこれに均等な範囲には、これらの形態や変形例が含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1:検査槽、2:試料水タンク、3:試薬タンク、
4:水道水取水口、5:廃液タンク、6:試薬タンク、
11:撹拌機構、12:色別センサ、13:PLC、14:表示灯、
21、22:試料水バルブ、23、24:試薬バルブ、
25:水道水バルブ、26:廃液バルブ、27、28:試薬バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と、前記試料中の特定のイオンと選択的に反応して、前記試料を発色させる試薬とを混合するための検査槽と、
前記検査槽内の前記試料と前記試薬とを撹拌する撹拌装置と、
前記検査槽内の前記試料の色を検知する色別センサと、
を備える液体分析装置。
【請求項2】
さらに、
前記検査槽内に前記試料を供給する流路上に設けられた試料バルブと、
前記検査槽内に前記試薬を供給する流路上に設けられた試薬バルブと、
前記試料バルブと前記試薬バルブの開閉を制御する制御装置と、
を備える請求項1に記載の液体分析装置。
【請求項3】
さらに、前記検査槽内に水道水を供給する流路上に設けられ、前記制御装置により開閉が制御される水道水バルブを備える、
請求項2に記載の液体分析装置。
【請求項4】
さらに、前記検査槽と廃液タンクとをつなぐ流路上に設けられ、前記制御装置により開閉が制御される廃液バルブを備える、
請求項2または3に記載の液体分析装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記色別センサからの出力信号を受信し、前記出力信号から得られた情報を表示装置に表示する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の液体分析装置。
【請求項6】
前記試料は、排水貯留槽から取水された排水であり、
前記制御装置は、前記色別センサからの出力信号を受信し、前記出力信号に基づいて、前記排水の放流を制御する、
請求項2から5のいずれか1項に記載の液体分析装置。
【請求項7】
前記試料は、排水貯留槽から取水された排水であり、
前記制御装置は、前記排水貯留槽内に設置されたフロートスイッチからの出力信号を受信し、前記出力信号に基づいて、前記排水貯留槽からの前記排水の取水を制御する、
請求項2から6のいずれか1項に記載の液体分析装置。
【請求項8】
前記検査槽は、少なくとも一部分が透明部材で形成されており、
前記色別センサは、前記検査槽内の前記試料の色を前記透明部材を介して検知する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の液体分析装置。
【請求項9】
前記検査槽内に供給する試薬を溜めるための複数の試薬タンクを備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の液体分析装置。
【請求項10】
試料と、前記試料中の特定のイオンと選択的に反応して、前記試料を発色させる試薬とを検査槽内で混合し、
前記検査槽内の前記試料と前記試薬を撹拌装置により撹拌し、
前記検査槽内の前記試料の色を色別センサにより検知する、
液体分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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