説明

液体分注装置

【課題】簡単な機構を採用して小型化を実現すると共に、ノズル間隔を任意寸法に高精度に調節できるようにする。
【解決手段】平行に対向配置された第1ガイド軸4及び第2ガイド軸5と、各ガイド軸にそれぞれ案内される複数のノズル保持体6〜13と、各ノズル保持体を、それぞれに保持される各ノズル6A〜13Aが各ガイド軸毎に交互に配列された状態で、各軸方向に移動させる駆動手段とを備えた液体分注装置において、第1ガイド軸4に案内される各ノズル保持体6〜9は、第1保持体6が基準位置に固定され、且つ、隣接間隔をそれぞれ同一に維持する第1リンク機構15により連結され、第2ガイド軸5に案内される各ノズル保持体10〜13は、隣接間隔をそれぞれ前記第1リンク機構と同一に維持する第2リンク機構16により連結され、且つ、第2リンク機構の1箇所が、前記基準位置の反対側に固定された位置規制手段により、軸方向の動きが規制されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体分注装置に関し、特に搭載された複数の分注ノズルの間隔を任意に変更する機構を備えた液体分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DNA鑑定や血液検査等の医療分野における検体検査、あるいは化学的、生物学的な種々の試料分析において、試験管内の液体状の検体(試料)を吸収採取(以下、分取という)すると共に、分取された検体をマイクロプレート等の容器の検査用凹部に所定量分注する分注システムが用いられている。この分注システムには、複数の検体を同時に分取、分注するためにノズルを複数(例えば、8つ)備えた分注ヘッドが備えられている。
【0003】
ところで、検体を採取する試験管の径寸法と、分注先の検査用凹部の径寸法とは異なることが多く、この場合は当然に隣り合う試験管同士のピッチ(間隔)と、隣り合う検査用凹部同士のピッチとが異なっていることになる。そこで、分注ヘッドでは、例えば検体を試験管から分取する時や分取された検体を検査用凹部への分注する時等に対応できるように、ノズル同士のピッチ(間隔)が変更自在となっている。
【0004】
具体的には、例えば特許文献1には、図11に示すものが開示されている。図中、分注ヘッド300は、水平且つ平行に近接配置された2本のガイドレール310、310と、各ガイドレール310に摺動自在に配設された複数のスライダ320と、各スライダ320に設けられ、検体の分取及び分注を行なうノズル330と、各ガイドレール310に沿って伸縮自在な間隔規制手段340と、両ガイドレール310、310に摺動自在に設けられ、間隔規制手段340に伸縮動作を付勢する伸縮動作付勢手段350とを備えている。
【0005】
このうち、間隔規制手段340は、各ガイドレール310に設けられた複数(例えば、4つ)のスライダ320を一様に連結すると共に、各スライダ320に交差部にて回動自在に連結されたX字状の単位リンクの連結体である。又、間隔規制手段340は、その先端部が伸縮動作付勢手段350に固定されている。
【0006】
そして、伸縮動作付勢手段350が、例えばガイドレール310に沿って右方向に移動することで間隔規制手段340の連結体が伸長して、連結体の各単位リンクが接続されたスライダ320が同方向に移動し、ノズル330のピッチを拡げる。一方、左方向に移動することで間隔規制手段340の連結体が縮まって、連結体の各単位リンクが接続されたスライダ320が同方向に移動し、ノズル330のピッチを狭めるようになっている。
【0007】
又、特許文献2には、図12に示すような複数のベルト420、430を用いることにより、ノズルのピッチを変更自在とした分注ヘッド400が開示されている。
【0008】
具体的には、この分注ヘッド400は、複数(例えば、5つ)のノズル(図示略)の各々が取り付けられた取付台410と、前記取付台410のうち中央の取取付台411の左右に設けられた左側及び右側取付台412、413が固定された第1ベルト420と、前記取付台410のうち左右両端部に設けられた左端及び右端取付台414、415が固定された第2ベルト430と、第1ベルト420及び第2ベルト430とを回転駆動させる駆動源440とを備えて構成されている。
【0009】
このうち、第1ベルト420は、駆動源440の駆動軸441に固定された第1駆動プーリ442と、従動プーリ443、444とに巻き掛けられていると共に、支持プーリ445によって下面が支持されている。この第1ベルト420には、従動プーリ443、444間にて上側に位置するベルト部分(ベルトの行き側部分)に右側取付台413が固定されていると共に、下側に位置するベルト部分(ベルトの戻り側部分)に左側取付台412が固定されている。
【0010】
又、第2ベルト430は、第1ベルト420と同様に、駆動源440の駆動軸441に固定された第2駆動プーリ446と従動プーリ443、444とに巻き掛けられていると共に、支持プーリ445によって下面が支持され、従動プーリ443、444間にて上側に位置するベルト部分に右端取付台415が固定されていると共に、下側に位置するベルト部分に左端取付台414が固定されている。
【0011】
なお、取付台410の各々は、ブラケット450を介してそれぞれのベルト420、430に固定されている。
【0012】
そして、第1駆動プーリ442の直径は、第2駆動プーリ446の直径の略半分(整数倍の比率)に設定されており、駆動軸441が所定角度回転することで、基準位置に固定された中央の取付台411を中心として第1及び第2ベルト420、430に固定された取付台412〜415が略等間隔を保ちながら接近及び離間するようになっている。
【0013】
従って、駆動軸411が右方向に回転することで、第1及び第2ベルト420、430は右方向に回転して、中央の取付台411と右側取付台413と右端取付台415とを各々等間隔に保ちながら右側及び右端取付台413、415を右方向に移動させるとともに、中央の取付台411と左側取付台412と左端取付台414とを各々等間隔に保ちながら左側及び左端取付台412、414を左方向に移動させる。
【0014】
一方、駆動軸411が左方向に回転することで、第1及び第2ベルト420、430は左方向に回転して、中央の取付台411と右側取付台413と右端取付台415とを各々等間隔に保ちながら右側及び右端取付台413、415を左方向に移動させると共に、中央の取付台411と左側取付台412と左端取付第414とを各々等間隔に保ちながら左側及び左端取付台412、414を右方向に移動させる。
【0015】
【特許文献1】特開平11−160328号公報
【特許文献2】特開平9−318636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1の分注ヘッドでは、ノズルのピッチを変更するために、間隔規制手段340や伸縮動作付勢手段350の複雑化をもたらしている。部品の持つ精度のバラツキは、部品点数の増加により精度悪化を引き起こし、ノズルの間隔が略等間隔となるようにノズルを位置決めすることが難しく、その精度を高めることができないという問題があった。
【0017】
又、特許文献2の分注ヘッドでは、長尺の第1ベルトと第2ベルトを使用し、各ベルトにノズル取付台を連結しているため、ノズルの間隔が略等間隔になるようにノズルを位置決めするのが困難で、その精度を高めることができなかった。
【0018】
又、ベルトが長いと分注ヘッドが大型化するため、例えば検体の検査時等に試験管の載置場所からマイクロプレートの載置場所まで図示しない水平駆動機構によって水平移動する際の分注ヘッドの移動範囲となる空間部分が大きくなって、分注システムの寸法をコンパクトにすることができなかった。
【0019】
更に、分注ヘッドの重量も大きくなってしまうため、分注ヘッドを移動する時の分注システムのXY位置精度を確保するために、XY駆動装置の大型化や重量の増加の原因となることから、駆動モータの大型化を来し、コンパクトで安価な装置を提供することができなかった、等の問題がある。
【0020】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、簡単な機構を採用して小型化を実現すると共に、ノズル間隔を任意寸法に高精度に調節することが可能な液体分注装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、平行に対向配置された第1ガイド軸及び第2ガイド軸と、各ガイド軸にそれぞれ案内される複数のノズル保持体と、各ノズル保持体を、それぞれに保持される各ノズルが各ガイド軸毎に交互に配列された状態で、各ガイド軸に沿って移動させる駆動手段とを備えた液体分注装置において、前記第1ガイド軸に案内される各ノズル保持体は、その1つが基準位置に固定され、且つ、隣接間隔をそれぞれ前記第1リンク機構と同一に維持する第1リンク機構により連結され、前記第2ガイド軸に案内される各ノズル保持体は、隣接間隔をそれぞれ同一に維持する第2リンク機構により連結され、且つ、第2リンク機構の1箇所が、前記基準位置の反対側に固定された位置規制手段により、軸方向の動きが規制されているようにしたことにより、前記課題を解決したものである。
【0022】
本発明は、又、前記ノズル保持体に、最小の隣接間隔を規制する間隔規制手段を設けるようにしてもよい。又、前記第1ガイド軸に案内されるノズル保持体の1つを軸方向に移動させる第1駆動軸と、前記第2ガイド軸に案内されるノズル保持体の1つを軸方向に移動させる第2駆動軸が、前記駆動手段により同時駆動されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1ガイド軸に案内される各ノズル保持体は、その1つが基準位置に固定され、且つ、隣接間隔をそれぞれ同一に維持する第1リンク機構により連結され、第2ガイド軸に案内される各ノズル保持体は、隣接間隔をそれぞれ前記第1リンク機構と同一に維持する第2リンク機構により連結され、且つ、第2リンク機構の1箇所が、前記基準位置の反対側の規制手段により、軸方向の動きが規制されているようにしたので、簡単な機構を採用して小型化を実現すると共に、ノズル間隔を任意寸法に高精度に調節することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
本実施形態の分注ヘッド(液体分注装置)は、例えば複数の試験管(図示せず)内の液体状の検体をそれぞれ分取すると共に、分取された各検体をマイクロプレート(図示せず)等の容器の検査用凹部等に所定量ずつ同時に分注可能な分注システム(図示せず)に備えられている。
【0026】
この分注ヘッドは、検体の分取時や分注時等にノズル同士を互いに近接又は離間させるように移動させることにより所望の間隔に調整することができると共に、例えば図示しないXY駆動源により分注システムに対してXY移動(水平移動)自在となっている。
【0027】
図1は分注ヘッドに搭載される1つのノズル保持体を拡大して示す側面図、図2は本発明に係る一実施形態の分注ヘッドを示す平面図、図3はその要部を示す側面図、図4はその前方斜視図、図5はその後方斜視図、図6は分注ヘッドを示す後方斜視図、図7はその要部を示す後方斜視図である。
【0028】
図1のノズル保持体1は、検体等の液体を自動吸引・排出する機構を有するノズル2を所定の位置関係に保持する機能を有している。具体的には、このノズル保持体1では、上部に固定されている駆動モータ1Aによりベルト1Bとプーリ1Cを介して送りねじ1Dを回転させることにより、該ねじ1Dが螺入されている送りナット1Eを固定する保持部1Fが上下動され、これに保持されているノズル2が昇降動作可能になっている。
【0029】
又、このノズル保持体1は、上下2箇所にガイド孔1Gが形成され、この2つの該ガイド孔1Gを介して後述するスライド軸に案内され、軸方向の移動が可能になっており、又、上下のガイド孔1Gの中間位置には、後述する送りねじが挿通される遊嵌孔1Hが形成されている。
【0030】
本実施形態の分注ヘッドは、図1と図2及び図6にその外観の概要を示すように、周囲に位置するフレーム3で全体が支持されていると共に、該フレーム3には対向する位置に平行に配置された第1スライド軸(ガイド軸)4及び第2スライド軸5が、それぞれ固定されている。
【0031】
これら第1、第2スライド軸4、5により図中符号6〜13で示す第1〜第8の8個のノズル保持体がそれぞれ案内されるようになっている。即ち、第1スライド軸4に案内される第1〜第4の各ノズル保持体6〜9と、第2スライド軸5に案内される第5〜第8の各ノズル保持体(以下、単に保持体ともいう)10〜13とを、それぞれに保持されている第1〜第4の各ノズル6A〜9Aと、第5〜第8の各ノズル10A〜13Aとが、交互に配列された状態で、各スライド軸4、5に沿って移動させるパルスモータ(駆動手段)14とを備えている。
【0032】
本実施形態の分注ヘッドについて詳述すると、前記第1スライド軸4及び第2スライド軸5は、それぞれ上下2本で構成されている。又、第1、第2スライド軸4、5にそれぞれ案内される第1〜第8の各保持体6〜13は、前記駆動モータ1Aの配置位置がそれぞれ若干異なっているだけで、基本的な機能は前記図1に示したノズル保持体1と実質的に同一であり、第1〜第8の各ノズル6A〜13Aは全て前記図1に示したノズル2と同一である。
【0033】
次に図4と図5を用いてリンク機構について説明する。
【0034】
第1スライド軸4に案内される第1〜第4保持体6〜9の中で、第1保持体6がフレーム3の所定位置に固定され、他の全ての保持体の動作の基準位置となっている。この第1保持体6以外の第1スライド軸4に案内される第2〜第4の各保持体7〜9は、隣接間隔をそれぞれ同一に維持して伸縮する第1リンク機構15により連結されている。
【0035】
この第1リンク機構15は、回動軸15Aが第1〜第4保持体6〜9にそれぞれ軸支され、第1スライド軸4に沿って伸縮可能に連結された複数のリンク部材により構成されている。
【0036】
又、前記第2スライド軸5に案内される第5〜第8の各保持体10〜13は、隣接間隔をそれぞれ同一に維持する第2リンク機構16により連結されている。
【0037】
この第2リンク機構16は、上記第1リンク機構15と実質的に同一の構成であるが、第5保持体10に連結されているリンク部材が、回動軸16Aより先に更に延長されており、この延長端部に突設されている凸部16Bが、前記基準位置の第一保持体6に対向する側のフレーム3に固定された規制ガイド(位置規制手段)17に形成されている上下方向のガイド孔17Aに案内されることにより、該ガイド孔17Aを基準位置に軸方向の動きが規制されている。
【0038】
この規制ガイド17は、前記図6と後述する図8、図10の背面図から分るように、ガイド孔17Aが前記第1スライド軸4側の基準位置に固定されている第1保持体6のほぼ反対側(裏側)に位置するように、前記フレーム3にねじで固定されている。
【0039】
本実施形態においては、前記第1スライド軸4に案内される保持体の1つを軸方向に移動させる第1送りねじ(駆動軸)18が、上下2つの第1スライド軸4の中間位置に配設されている。同様に、前記第2スライド軸5に案内される保持体の1つを軸方向に移動させる第2送りねじ(駆動軸)19が上下2つの第2スライド軸5の中間位置に配設されている。
【0040】
これら第1送りねじ18と第2送りねじ19の駆動側端部には、それぞれ第1プーリ18Aと第2プーリ19Aが連結され、これら両タイミングプーリ18A、19Aは、前記パルスモータ14のタイミングプーリ14Aにより時計方向・反時計方向に回転送りされるタイミングベルト20を介して同方向に回転可能になっている。
【0041】
又、第1スライド軸4側では、駆動側の第4保持体9にその遊嵌孔(前記図1の1H)に一致するように送りナット21が取付けられており、該送りナット21に螺入され、他の第2、第3保持体7,8では遊嵌孔に挿通されている前記第1送りねじ18が回転することにより、第4保持体9が軸方向に移動される。この第4保持体の移動により、第1リンク機構15を介して連結されている他の第2、第3保持体7,8が連動して軸方向に移動するようになっている。
【0042】
同様に、第2スライド軸5側では、第8保持体13のみに送りナット21Aが取付けられ、第2送りねじ19の回転により該第8保持体13が軸方向に移動されることにより、第2リンク機構16により他の第5、第6、第7保持体10、11、12が連動して軸方向に移動するようになっている。
【0043】
又、第5保持体10は、前記フレーム3に固定されている規制ガイド17により、基準位置にある第1保持体6に対する移動量が、前記第2、第3、第4の各保持体7、8、9の移動量の1/2となるように構成されている。
【0044】
従って、第6、第7、第8の各保持体11、12、13は、第2、第3、第4の各保持体7、8、9の移動量と同一の移動量を得るためには、第5保持体10の移動量を加算した移動量が必要となる。
【0045】
そのために、第1送りねじ18の第1プーリ18Aは、パルスモータ14のタイミングプーリ14Aと同一径にしてあるが、第2送りねじ19の第2プーリ19Aの径を、両プーリ14A、18Aより小さくしてある。これによって、第1送りねじ18と第2送りねじ19の回転量は、両者のプーリ18A、19Aの径の違いにより、第1送りねじ18に対して、第2送りねじ19の方が回転量が大きくなり、第8保持体13の移動量が大きくなっている。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、前記パルスモータ14に駆動される第1送りねじ18、第2送りねじ19の回転により、それぞれ移動される第1保持体6〜第4保持体9、第5保持体10〜第8保持体13とが千鳥配列に配置されている。これにより、第1ノズル6Aと第2ノズル7Aの間に第5ノズル10Aが、第2ノズル7Aと第3ノズル8Aの間に第6ノズル11Aが、第3ノズル8Aと第4ノズル9Aの間に第7ノズル12Aがそれぞれ同列上に配列されると共に、第8ノズル13Aが第4ノズル9Aの外側に配置された状態で、各ノズルの近接と離間の動作が可能となっている。
【0047】
そして、ノズル間隔を前記図2に示した最大から、図7の後方斜視図と図8の背面図に示す最小までの間で任意に調整することが可能となっている。最大間隔はフォトインターラプタ等の原点センサ22により、最小間隔は各保持体に付設されている規制ピン(間隔規制手段)23により、それぞれ規定されている。因みに、最大ノズル間隔は23mm(各軸上の保持体間隔は46mm)で、最小のノズル間隔は9mm(保持体間隔は18mm)である。
【0048】
次に、本実施形態の作用を説明する。ノズル間隔を前記図7、図8に示した最小寸法から大きくする場合は、ノズルの間隔を広げる方向の時計回りに前記パルスモータ14を回転させることにより、第1送りねじ18、第2送りねじ19は、第4ノズル保持体9、第8ノズル保持体13にそれぞれ付設されている送りナット21、21Aを介して、両保持体9、13をそれぞれ第1スライド軸4、第2スライド軸5上を移動させることになる。
【0049】
第1スライド軸4側の第4保持体9の軸方向の移動により、フレーム3に固定されている第1保持体6を基準にして、該保持体9に連結されている第1リンク機構15の伸長方向の回動により、第3、第2の各保持体8、7が等間隔で移動する。
【0050】
一方、第2スライド軸5側では、第8保持体13の移動により、これに連結されている第2リンク機構16の伸長方向の回動により、第7、第6、第5の各保持体12、11、10が、第1スライド軸4側と同一の等間隔で移動する。
【0051】
これにより、前記図7、図8に示したノズル間隔が最小寸法の状態から、図9、図10にそれぞれ正面図、背面図を示すような、リンク機構が伸びた最大寸法の状態まで任意に変更することが可能となる。
【0052】
又、このノズル間隔が最大の状態から、パルスモータ14を反時計回りの方向に回転することにより、前記図7、図8に示した最小寸法の状態にすることが可能となる。
【0053】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の各効果を得ることができる。
【0054】
(1)第1ノズル保持体6を固定して、保持されている第1ノズル6Aを基準としたことから、試験管やマイクロプレート等のように位置や間隔が変更されることになっても、第1保持体6を基準とすることにより、各ノズルが搭載されている分注ヘッドをXY方向に移動させた際の位置決めが容易になる。
【0055】
(2)ノズル保持体を平行2軸に配列するようにしたため、ノズル数が増えた場合でも、ノズル配列方向のヘッドの全長をコンパクトに構成することができる。
【0056】
(3)ノズル間隔が最小のときの隣接するノズル間の間隔を規制する間隔規制手段を設けたので、最小ノズル間隔の寸法精度を向上することが可能となる。
【0057】
(4)2つのスライド軸により案内される各保持体を、同一のパルスモータにより駆動されるタイミングベルトにより回転される第1、第2の送りねじにより移動されるようにしたので、部品の点数を減少させることによりコンパクト化が可能となり、駆動時のノズル移動精度を向上することができる上に、コストの削減を達成できる。
【0058】
以上本発明について具体的に説明したが、本発明の分注ヘッドは、前記実施形態に示したものに限定されない。
【0059】
例えば、ノズル間最小寸法が9mmである場合を示したが、マイクロプレート等の検査用凹部の寸法に合わせて任意に変更可能であり、又、ノズル間最大寸法も23mm以上であってもよい。
【0060】
又、前記実施形態では、基準位置を第1保持体(第1ノズル)としたが、他の保持体としてもよい。更に、送りナットは第4、第8保持体以外に付設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る一実施形態の分注ヘッドが備えるノズル保持体を示す側面図
【図2】本実施形態の分注ヘッド全体を示す平面図
【図3】本実施形態の分注ヘッドの要部を示す側面図
【図4】本実施形態の分注ヘッドの要部を示す前方斜視図
【図5】本実施形態の分注ヘッドの要部を示す後方斜視図
【図6】本実施形態の分注ヘッド全体を示す後方斜視図
【図7】本実施形態の分注ヘッドの要部を示す他の後方斜視図
【図8】本実施形態の分注ヘッドの要部を示す背面図
【図9】本実施形態の分注ヘッドの要部を示す正面図
【図10】本実施形態の分注ヘッドの要部を示す他の背面図
【図11】従来の分注ヘッドの概要を示す斜視図
【図12】従来の他の分注ヘッドの概要を示す平面図
【符号の説明】
【0062】
1…ノズル保持体
2…ノズル
3…フレーム
4…第1スライド(ガイド)軸
5…第2スライド(ガイド)軸
6〜13…第1〜第8(ノズル)保持体
6A〜13A…第1〜第8ノズル
14…パルスモータ
15…第1リンク機構
16…第2リンク機構
17…規制ガイド(位置規制手段)
17A…ガイド孔
18…第1送りねじ(駆動軸)
19…第2送りねじ(駆動軸)
20…タイミングベルト
21、21A…送りナット
22…原点センサ
23…規制ピン(間隔規制手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に対向配置された第1ガイド軸及び第2ガイド軸と、各ガイド軸にそれぞれ案内される複数のノズル保持体と、各ノズル保持体を、それぞれに保持される各ノズルが各ガイド軸毎に交互に配列された状態で、各軸方向に移動させる駆動手段とを備えた液体分注装置において、
前記第1ガイド軸に案内される各ノズル保持体は、その1つが基準位置に固定され、且つ、隣接間隔をそれぞれ同一に維持する第1リンク機構により連結され、
前記第2ガイド軸に案内される各ノズル保持体は、隣接間隔をそれぞれ前記第1リンク機構と同一に維持する第2リンク機構により連結され、且つ、第2リンク機構の1箇所が、前記基準位置の反対側に固定された位置規制手段により、軸方向の動きが規制されていることを特徴とする液体分注装置。
【請求項2】
前記ノズル保持体に、最小の隣接間隔を規制する間隔規制手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の液体分注装置。
【請求項3】
前記第1ガイド軸に案内されるノズル保持体の1つを軸方向に移動させる第1駆動軸と、前記第2ガイド軸に案内されるノズル保持体の1つを軸方向に移動させる第2駆動軸が、前記駆動手段により同時駆動されることを特徴とする請求項1に記載の液体分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−3339(P2007−3339A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183638(P2005−183638)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】