説明

液体化粧料塗布体の製造方法

【課題】液体化粧料塗布体において、複雑な形状の塗布部を、簡易且つ正確に、しかも安価に製造することができるようにする。
【解決手段】刷毛部分14aと取付部分15aとからなる塗布部片13aにおいて、隣り合わせとなる二つの塗布部片13a、13aの端縁間を折曲自在となるヒンジ部17により連結して平面状に展開してなる成形体18を一体に成形するとともに、該成形体18のヒンジ部17を中心に折曲して塗布部片13aを折り畳むことによって塗布部13とするものであるので、簡易且つ正確に、しかも安価に塗布部を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複雑な形状の刷毛部と取付部とからなる塗布部を一体に保持する液体化粧料塗布体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体化粧料の一つであるマスカラを塗布する化粧用塗布具には、柄の先端部の平坦面に、中央とこの両側の3列からなる多数のブラシ毛を柄と一体に成形してなるものがある。そして、該化粧用塗布具では、柄及びブラシ毛を金型により一体成形してなるものであるため、該化粧用塗布具は簡易且つ正確に、しかも安価に製造できるものである(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記化粧用塗布具を化粧料容器を構成するキャップに固持するものとすると、キャップに対する化粧用塗布具の嵌合強度を重視して硬い材料を使用すると、柄とともに一体成形されるブラシ毛の柔軟性が不足し、また逆にブラシ毛の柔軟性を重視して柔軟な材料を使用すると、キャップに対する化粧用塗布具の嵌合強度が不足し、該化粧用塗布具がキャップから脱落してしまうおそれがある。
【0004】
また、上記化粧用塗布具においては、柄の先端部の平坦面に一体成形するブラシ毛は、柄を成形する半周型部及び側面型部に対して一体に固持されるブラシ毛形成型部により成形されるものである。そのため、金型作成は容易となるものであるが、成形時には上述のように柄を成形する半周型部及び側面型部に対してブラシ毛を成形するブラシ毛形成型部は一体に固持されるものであるので、製品を取り出す際にはブラシ毛は金型から引き抜くものとなって、ブラシ毛の形状が直立上又は直線状に限られてしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4252791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、マスカラ等の液体化粧料を塗布する液体化粧料塗布体において、複雑な形状である塗布部を、簡易、且つ正確に、しかも安価に製造することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴として、
塗布部と、該塗布部を先端に保持する軸部とから構成されるものであって、
刷毛部分と取付部分とからなる塗布部片を、該取付部分を折曲自在となるヒンジ部により複数連結してなる平面状の成形体を一体成形し、
該成形体において、塗布部片を複数連結してなるヒンジ部を中心に折曲して塗布部片を折り畳むことで刷毛部と取付部とからなる塗布部とし、
該塗布部を軸部において一体に保持させるものである。
【0008】
具体的には、第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、
上記塗布部片を複数連結してなる折曲自在となるヒンジ部を、隣り合わせとなる塗布部片の取付部分間に形成するものとし、
また、同様に第1の特徴を踏まえて、第3の特徴として、
上記塗布部片を複数連結してなる折曲自在となるヒンジ部を、背中合わせとなる塗布部片において相対する取付部分間に形成するものである。
【0009】
そのため、塗布部の刷毛部の形状が複雑であっても、該塗布部は単純な形状の刷毛部分と取付部分とからなる塗布部片を、隣り合わせとなる塗布部片の取付部分間又は背中合わせとなる塗布部片において相対する取付部分間に形成されるヒンジ部により複数連結して平面状に展開された成形体をヒンジ部を中心に折曲して該塗布部片を折り畳むものとするので、液体化粧料塗布体を軸部とともに構成し、複雑な形状の刷毛部を有する塗布部を、簡易、且つ正確に、しかも安価に製造することができるものである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、液体化粧料塗布体の塗布部が、刷毛部分と取付部分とからなり、隣り合わせとなる塗布部片の取付部分間又は背中合わせとなる塗布部片において相対する取付部分間をヒンジ部によって複数連結してなる成形体を該ヒンジ部を中心に折曲して塗布部片を折り畳むものとすることから、塗布部の有する刷毛部が複雑な形状であっても単純な形状の刷毛部分と取付部分とからなる塗布部片に展開されて一体成形することができるので、簡易、且つ正確に、しかも安価に塗布部を製造することができる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体を具える液体化粧料塗布容器の拡大断面図である。
【図2】図2(イ)は本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体を固持するキャップの正面図、同図(ロ)は本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体を固持するキャップの側面図、同図(ハ)は本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体を固持するキャップの断面図である。
【図3】図3(イ)〜(ニ)は、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体を固持するキャップの製造工程を示す模式図である。
【図4】図4(イ)〜(ニ)は、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体における塗布部の製造工程を示す正面図及び側面図である。
【図5】図5(ホ)〜(チ)は、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体における塗布部の製造工程を示す正面図及び側面図である。
【図6】図6(イ)〜(ヘ)は、本願発明の実施例2である液体化粧料塗布体における塗布部の製造工程を示す正面図及び側面図である。
【図7】図7(ト)〜(リ)は、本願発明の実施例2である液体化粧料塗布体における塗布部の製造工程を示す正面図及び側面図である。
【図8】図8は本願発明の実施例3である液体化粧料塗布体における塗布部の製造工程を示す正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
液体化粧料塗布体を軸部とともに構成する複雑な形状の刷毛部を有する塗布部を、簡易且つ正確に、しかも安価に製造できるようにするために、刷毛部分と取付部分とからなる複数の塗布部片において、隣り合わせとなる塗布部片の取付部分間又は背中合わせとなる塗布部片において相対する取付部分間をヒンジ部によって複数連結して平面状に展開するように一体成形される成形体を、該ヒンジ部を中心に折曲して該塗布部片を折り畳むようにすることで実現した。
【実施例1】
【0013】
図1において示すのは、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体11を具える液体化粧料塗布容器1である。そして、該液体化粧料塗布容器1は、その内部でマスカラ3を貯留するとともに、その開口部4内下端では、後述する本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体11を構成する軸部12及び塗布部13のの表面に過剰に付着したマスカラ3を拭去するシゴキ5を内装するとともに、その外周面に雄ネジ部6を螺設してなる塗布容器本体2と、その開口部8の内周面では、前記塗布容器本体2の開口部4先端を封止してなるパッキン9を固持するとともに、前記塗布容器本体2の開口部4の外周面に螺設する雄ネジ部6と螺合する雌ネジ部10を配設するものであって、本願発明の実施例1である軸部12と塗布部13とからなる液体化粧料塗布体11を固持してなるキャップ7とから構成されるものである。
【0014】
すなわち、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布体11は、後端の根元部12aをキャップ7内に固持されるとともに、先端側面に凹陥部12bを溝状に穿設する軸部12と、マスカラ3を睫毛に直接付着させる刷毛部14と、該凹陥部12b内に挿嵌し係止することで一体に保持される取付部15とからなる塗布部13とから構成されているものである。
なお、該塗布部13の裏側においては、複数本の睫毛をまとめながら厚くマスカラを塗布して異なる仕上がりを得ることができるように鋸歯部12cが一体に形成されている(図2参照)。
【0015】
そして、前記液体化粧料塗布体1は、図3において示すようにして製造されるものである。
まず、刷毛部14を複数で形成することとなる一列の刷毛部分14aと、取付部15を複数で形成するとともに、両端に係止部16、16を形成することとなる係止部分16a、16aを有する取付部分15aとからなる二つの塗布部片13a、13aを、隣り合わせとなる塗布部片13a、13aの取付部分15aの端縁に突設される係止部分16a、16a間に形成され、折曲自在となるヒンジ部17により並列的に連結して平面状に展開してなる成形体18を一体に成形するものである〔同図(イ)参照〕。
さらに、該成形体18において、二つの塗布部片13a、13aを並列的に連結するヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで刷毛部14と取付部15とからなる塗布部13を形成するものである。
その上で、該塗布部13の取付部15を、キャップ7に固持された軸部12の先端側面に穿設する凹陥部12b内に挿嵌して係止部16、16を係止させ一体に保持させるものである〔同図(ロ)参照〕。
その結果、キャップ7に固持される軸部12と、該軸部12の先端側面の凹陥部12b内に一体に保持される二列状の刷毛部分14a、14aからなる塗布部13とから構成される液体化粧料塗布体1になるものである〔同図(ハ)参照〕。
【0016】
ところで、上記ヒンジ部17によって並列的に連結する二つの塗布部片13a、13aからなる成形体18において、該ヒンジ部17を中心に折曲して折り畳むことで形成される塗布部13には、そのほかにも図4(イ)〜(ニ)及び図5(ホ)〜(チ)に示すものがある。すなわち、図4(イ)はヒンジ部17によって連結する二つの塗布部片13a、13aにおいて、一方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14a先端を右に傾斜させ、他方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aの先端を左に傾斜させるものであって、ヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで塗布部13の先端は左に傾斜する刷毛部14となる。同図(ロ)はヒンジ部17によって連結する二つの塗布部片13a、13aにおいて、一方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aの先端を左に傾斜させ、他方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aの先端を右に傾斜させるものであって、ヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで塗布部13の先端は右に傾斜する刷毛部14となる。同図(ハ)はヒンジ部17によって連結する二つの塗布部片13a、13aにおいて、両方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14a、14aの先端を右に傾斜させるものであって、ヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで塗布部13側面から見て刷毛部分14aが互いに交差する刷毛部14となる。同図(ニ)はヒンジ部17によって連結する二つの塗布部片13a、13aにおいて、一方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aを全体として逆S字状とし、他方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aを全体としてS字状とするものであって、ヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで塗布部13は全体としてS字状の刷毛部14となる。図5(ホ)はヒンジ部17によって連結する二つの塗布部片13a、13aにおいて、両方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aを逆S字状とするものであって、ヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで塗布部13は側面から見て刷毛部分14aが互いに交差して略8字形状の刷毛部14となる。同図(ヘ)はヒンジ部17によって連結する二つの塗布部片13a、13aにおいて、一方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aを全体として逆S字状としつつ複数折曲させ、他方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aを全体としてS字状としつつ複数折曲するものであって、ヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで塗布部13は全体としてS字状としつつ複数折曲してなる刷毛部14となる。同図(ト)はヒンジ部17によって連結する二つの塗布部片13a、13aにおいて、両方の塗布部片13aの一列の刷毛部分14aは全体として逆S字状にしつつ複数折曲するものであって、ヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで塗布部13は側面から見て互いに交差して略8字形状の刷毛部14となる。そして、同図(チ)はヒンジ部17によって連結する二つの塗布部片13a、13aにおいて、該塗布部片13aの一列の刷毛部分14aは取付部分15aの軸方向から見て、傾斜する直線状、S字状、略S字状とするものであって、ヒンジ部17を中心に折曲して該塗布部片13aを折り畳むことで刷毛部分14aが軸方向から見て互いに交差して、塗布部13は取付部15に沿って略X字状の刷毛部14となる。
【実施例2】
【0017】
本願発明の実施例2である液体化粧料塗布体は、実施例1の液体化粧料塗布体1と同様に、軸部12と塗布部13’とから構成され、該液体化粧料塗布体がキャップ内に一体に固持されている点で共通するものである。
しかしながら、実施例2である液体化粧料塗布体の塗布部13’が、刷毛部分14a’と取付部分15a’とからなる二つの塗布部片13a’、13a’を連結し、折曲自在となるヒンジ部17’が背中合わせとなる塗布部片13a’、13a’において相対する取付部分15a’、15a’間に形成される点で、隣り合わせとなる塗布部片13a、13aの取付部分15a、15a間にヒンジ部17が形成されている実施例1の液体化粧料塗布体1の塗布部13とは相違しているものである。
【0018】
そのため、上記塗布部13’の構造上の相違から、本願発明の実施例2の液体化粧料塗布体の製造は次のようにするものである。
まず、刷毛部14’を複数で形成することとなる一列の刷毛部分14a’と、取付部15’を複数で形成するとともに、両端に係止部16’、16’を形成することとなる係止部分16a、16aを有する取付部分15a’とからなる二つの塗布部片13a’、13a’を、背中合わせとなる塗布部片13a’、13a’において相対する取付部分15a’、15a’間に形成され、折曲自在となるヒンジ部17’により連結して平面状に展開してなる成形体18’を一体に成形するものである。
さらに、該成形体18’において、二つの塗布部片13a’、13a’を背中合わせに連結してなるヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで刷毛部14’と取付部15’とからなる塗布部13’を形成するものである。
その上で、該塗布部13’の取付部15’を、キャップ7に固持された軸部12の先端側面に穿設する凹陥部12b内に挿嵌して係止部16’、16’を係止させて一体に保持させるものである。
その結果、キャップ7に固持される軸部12と、該軸部12の先端側面の凹陥部12b内に一体に保持される二列状の刷毛部分14a’、14a’からなる塗布部13’とから構成される液体化粧料塗布体になるものである。
【0019】
ところで、上記ヒンジ部17によって背中合わせに連結された二つの塗布部片13a’、13a’からなる成形体18’において、該ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳んで形成される塗布部13’には、そのほかにも図6(イ)〜(へ)及び図7(ト)〜(チ)に示すものがある。すなわち、図6(イ)はヒンジ部17’によって連結する二つの塗布部片13a’、13a’において、両方の塗布部片13a’、13a’の一列の刷毛部分14a’、14a’を直立させるものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで塗布部13’は直立する刷毛部14’となる。同図(ロ)はヒンジ部17’によって連結する二つの塗布部片13a’、13a’において、一方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’先端を左に傾斜させ、他方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’先端を右に傾斜させるものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで塗布部13’は左に傾斜する刷毛部14’となる。同図(ハ)はヒンジ部17’によって連結する二つの塗布部片13a’、13a’において、一方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’先端を右に傾斜させ、他方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’先端を左に傾斜させるものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで塗布部13’は右に傾斜する刷毛部14’となる。同図(ニ)はヒンジ部17’によって連結する二つの塗布部片13a’、13a’において、両方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’先端を左に傾斜させるものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで塗布部13’は側面から見て刷毛部分14a’が互いに交差する刷毛部14’となる。同図(ホ)はヒンジ部17’によって連結する二つの塗布部片13a’、13a’において、一方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’をS字状とし、他方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’を逆S字状とするものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで塗布部13’はS字状の刷毛部14’となる。同図(ヘ)はヒンジ部17’によって連結される二つの塗布部片13a’、13a’において、両方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’をS字状とするものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲することで塗布部13’は側面から見て逆S字状の刷毛部分14a’が互いに交差して略8字形状の刷毛部14’となる。図7(ト)はヒンジ部17’によって連結する二つの塗布部片13a’、13a’において、一方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’を全体としてS字状にしつつ複数折曲させ、他方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’は全体として逆S字状としつつ複数折曲させるものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで塗布部13’は全体としてS字状としつつ複数折曲する刷毛部14’となる。同図(チ)はヒンジ部17’によって連結する二つの塗布部片13a’、13a’において、両方の塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’は全体としてS字状としつつ複数折曲するものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで塗布部13’は側面から見て刷毛部分14a’が互いに交差して略8字形状の刷毛部14’となる。そして、同図(リ)はヒンジ部17’によって連結する二つの塗布部片13a’、13a’において、該塗布部片13a’の一列の刷毛部分14a’は取付部分15a’の軸方向から見て傾斜する直線状、S字状、略S字状とするものであって、ヒンジ部17’を中心に折曲して該塗布部片13a’を折り畳むことで刷毛部分14a’が互いに交差し、塗布部13’は軸方向から見て略X字状の刷毛部14’となる。
【実施例3】
【0020】
本願発明の実施例3である液体化粧料塗布体は、実施例1の液体化粧料塗布体1と同様に、軸部12と塗布部13”とから構成され、該液体化粧料塗布体がキャップに固持されている点で共通するものである。
しかしながら、実施例3である液体化粧料塗布体の塗布部13”において、該塗布部13”をなす刷毛部分14a’と取付部分15a’とからなる三つの塗布部片13a”、13a”、13a”がT字状にヒンジ部17”によって連結されている点で、二つの隣り合せとなる塗布部片13a、13aの取付部分15a、15a間にヒンジ部17によって連結している実施例1の液体化粧料塗布体1の塗布部13とは相違しているものである。
【0021】
そのため、上記塗布部13”の構造上の相違から、本願発明の実施例3の液体化粧料塗布体の製造は次のようにするものである。
まず、刷毛部14”を複数で形成することとなる一列の刷毛部分14a”と、取付部15”を複数で形成するとともに、両端に係止部16”、16”を形成する係止部分16a”、16a”を有する取付部分15a”とからなる三つの塗布部片13a”、13a”、13a”を、折曲自在となるヒンジ部17”によりT字状に連結して成形体18”を一体に成形するものである。
さらに、該成形体18”において、三つの塗布部片13a”、13a”、13a”の取付部分15a”、15a”、15a”を連結してなるヒンジ部17”を中心に折曲して該塗布部片13a”、13a”、13a”を折り畳むことで刷毛部14”と取付部15”とからなる塗布部13”を形成するものである。
その上で、該塗布部13”の取付部15”を、キャップ7に固持された軸部12の先端側面に穿設する凹陥部12b内に挿嵌して係止部16”、16”を係止させて一体に保持するものである。
その結果、キャップ7に固持される軸部12と、該軸部12の先端側面の凹陥部12b内に挿嵌され、一端に保持される三列状であって、T字状の刷毛部分14a”、14a”、14a”の塗布部13”とからなる液体化粧料塗布体となるものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本願発明は液体化粧料塗布体の複雑な塗布部であっても、簡易且つ正確に製造できるので、化粧料のみならず、部分的な白髪染め等の塗布体にも適用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 液体化粧料塗布容器
2 塗布容器本体
3 マスカラ
4 開口部
5 シゴキ
6 雄ネジ部
7 キャップ
8 開口部
9 パッキン
10 雌ネジ部
11 液体化粧料塗布体
12 軸部
12a 根元部
12b 凹陥部
12c 鋸歯部
13、13’、13” 塗布部
13a、13a’、13a” 塗布部片
14、14’、14” 刷毛部
14a、14a’、14a” 刷毛部分
15、15’、15” 取付部
15a、15a’、15a” 取付部分
16、16’、16” 係止部
16a、16a’、16a” 係止部分
17、17’、17” ヒンジ部
18、18’、18” 成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布部と、該塗布部を先端に保持する軸部とから構成されるものであって、
刷毛部分と取付部分とからなる塗布部片を、該取付部分を折曲自在となるヒンジ部により複数連結してなる平面状の成形体を一体成形し、
該成形体において、塗布部片を複数連結してなるヒンジ部を中心に折曲して塗布部片を折り畳むことで刷毛部と取付部とからなる塗布部とし、
該塗布部を軸部において一体に保持させる
ことを特徴とする液体化粧料塗布体の製造方法。
【請求項2】
上記塗布部片を複数連結してなる折曲自在となるヒンジ部を、隣り合わせとなる塗布部片の取付部分間に形成する
ことを特徴とする請求項1記載の液体化粧料塗布体の製造方法。
【請求項3】
上記塗布部片を複数連結してなる折曲自在となるヒンジ部を、背中合わせとなる塗布部片において相対する取付部分間に形成する
ことを特徴とする請求項1記載の液体化粧料塗布体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−78495(P2013−78495A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220560(P2011−220560)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)