説明

液体化粧料

【課題】塗布部を具備した液体塗布具に充填して化粧に供するのに適した液体化粧料であって、特に、目元周辺のアイメイクアップに好適な液体化粧料を提供する。
【解決手段】着色剤と、水と、皮膜形成剤と、還元物である糖類から選ばれる少なくとも1種類とを含有することを特徴とする液体化粧料。この液体化粧料は、塗布部を具備した液体塗布具、例えば、中綿に液体化粧料を吸蔵させる中綿式容器を有する液体塗布具、若しくはコレクター式容器を有する液体塗布具、もしくは繰出して液体化粧料を吐出される容器を有する液体塗布具に充填して使用に供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系アイライナー化粧料などに好適な液体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水系アイライナー化粧料は、耐水性、耐摩擦性に優れたものが望まれ、その主要原料である皮膜形成樹脂について種々検討されており、樹脂含有量を多くするなどとして、耐水性、耐摩擦性に優れていると、その優れた性能に相反し、塗布部が乾燥し易く、また一度乾燥固化した塗布部は正常に復帰しないなどの課題がある。
【0003】
一方、従来の液状化粧料には、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリンなどの水溶性有機溶剤が保湿剤として用いられている。また、尿素は、塗布部の乾燥防止のための保湿助剤として使用されている。
しかしながら、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールなど水溶性有機溶剤を使用すると、保湿性が不充分なため、塗布部の耐乾燥性が低下し、塗布跡のかすれを生じ、また、塗布部が乾燥した場合に、キャップをしておいても復元しにくい等の課題がある。また、保湿性の良いグリセリンを用いるか、または、上記の水溶性有機溶剤を充分に用い、塗布部の保湿性を向上させた場合、皮膚に塗布した状態での塗布跡乾燥性が悪く、例えば、アイライナーなどでは塗布跡の転写を起こすなどの課題がある。
【0004】
他方、塗布部の耐乾燥性、塗布部の乾燥復元性を改良した液状化粧料として、保湿剤としてフィブロインタンパク質加水分解物を用いる液状化粧料(例えば、特許文献1参照)や、アミノ酸やアミノ酸誘導体を添加して、塗布部の耐乾燥性や吐出性を向上させる液状組成物(例えば、特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1及び2の液状化粧料は、未だ十分な塗布部の耐乾燥性、塗布部の乾燥復元性、描線の固着性が得られていないのが現状であり、更なる改善が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−157234号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開平5−295292号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、液体化粧料を内蔵する容器を使用した場合、塗布部の耐乾燥性、塗布部の乾燥復元性、描線の固着性及びpH安定性に優れる液体化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について、鋭意検討した結果、少なくとも着色剤と、水と、皮膜形成剤を含有する液体化粧料に、特定の糖類から選ばれる少なくとも1種類を含有することなどにより、上記目的の液体化粧料が得られることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 着色剤と、水と、皮膜形成剤と、還元物である糖類から選ばれる少なくとも1種類とを含有することを特徴とする液体化粧料。
(2) 前記還元物である糖類の含有量が、液体化粧料全量に対して、0.1〜10質量%含有してなることを特徴とする液体化粧料。
(3) EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が2〜300mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体化粧料。
(4) 塗布部を具備した液体塗布具に充填されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の液体化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塗布部の耐乾燥性、塗布部の乾燥復元性、描線の固着性及びpH安定性に優れる水系アイライナー化粧料などに好適な液体化粧料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の液体化粧料を充填する液体塗布具の一例を示す部分断面の説明図である。
【図2】本発明の液体化粧料を充填する液体塗布具の他例を示す部分断面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の液体化粧料は、着色剤と、水と、皮膜形成剤と、還元物である糖類から選ばれる少なくとも1種類とを含有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明に用いる着色剤としては、水溶性染料および顔料の、いずれも化粧品に使用できるものであれば用いることができる。また、それぞれを単独または2種以上混合して用いても差し支えない。
着色剤の具体例を挙げると、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色201号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色205号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、だいだい色201号、だいだい色203号、だいだい色204号、だいだい色205号、だいだい色206号、だいだい色207号、かっ色201号、紫色201号、紫色401号、黒色401号などの染料または顔料が挙げられ、更に上記染料のうち赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、青色1号、青色2号、青色202号、青色205号、だいだい色205号、だいだい色207号、かっ色201号などレーキ化可能なもののバリウム、カルシウム、ジルコニウムもしくはアルミニウムレーキ顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カラミンなどの無機顔料およびカーボンブラックが使用できる。
【0013】
これらの着色剤の含有量は、液状化粧料全量に対して、1〜20質量%(以下、単に「%」という)が好ましく、更に好ましくは、5〜15%である。
この着色剤の含有量が1%未満では、発色が薄くて化粧料として不十分となり、一方、20%を超えると、粘度が高くなり過ぎて、液体塗布具の吐出性に影響がある。
【0014】
本発明に用いる皮膜形成剤(皮膜形成樹脂)は、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらの(炭素数1〜4および炭素数8)アルキルエステル又はその誘導体、スチレン、酢酸ビニルの中の1種又は2種以上のモノマーから選択されてなる単独重合体もしくは共重合体のエマルジョンが挙げられる。好ましくは、その単独重合体もしくは共重合体は、その繰り返し構造中、側鎖として酸性残基を有するものであって、中和(中和剤)によって水に溶解し得るアクリル樹脂、アクリル酸アルキル共重合体が良い。市販品では、ヨドゾールGH800F、ヨドゾールGH34F(AkzoNobel社製)などが挙げられる。
【0015】
これらの皮膜形成剤の含有量は、固形分換算(樹脂分)で液体化粧料全量に対して、2〜20%が好ましく、更に好ましくは、5〜15%である。
この含有量が2%未満では、耐水性能が不十分となり、一方、20%を超えて含有すると液体塗布具の塗布部が乾燥して塗布不能になる不具合が発生する。
【0016】
本発明に用いる糖類は、糖類の還元により化粧料のpHが下がるため、すでに還元されている糖類が望ましい。例えば、ガラクトース、フラクトース、マンノース、アラビノース、ラムノース、リボース、キシロース、ソルボース等の還元物、スクロース、メリビオース、トレハロース、ラクトース、マルトース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース、ラクチュロース、キシロビオース等の還元物、ラクトスクロース、ラフィノース、マルトトトリオース、イソマルトース、パラチノース、ケストース、ゲンチオシルセロビオース等の還元物、マルトテトラオース、ゲンチオシルセロトリオース、ニストース等の還元物、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等の還元物、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、カードラン等の還元物、デンプン、タピオカデンプン、デキストリン、マルチトール、グリコーゲン、セルロース、キチン、カラギーナン、ヒアルロン酸、ペクチン等の還元物の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
【0017】
これらの還元物である糖類は、糖類そのままのものであっても、溶解性等を改善する目的で、その化学構造内の水酸基を、カルボキシル化、エチル化、メチル化、硫酸エステル化等の化学処理を施し、誘導体としたものを使用してもよい。
好ましくは、還元タピオカデンプン、還元デキストリン、還元マルチトールなどの使用が望ましい。
【0018】
これらの還元物である糖類は、いずれも保湿剤として用いものであって、糖類の少なくとも一種類の含有量は、液体化粧料全量に対して、0.5〜10%、好ましくは、2〜5%とすることが望ましい。
この糖類が0.5%未満では、液体塗布具のキャップ開放による塗布具の筆穂、もしくはペン芯の乾燥抑制効果が悪く、一方、10%を超えて含有しても、含有による向上は見られず経済的でない。さらに耐水性に劣り、充分な固着力を得ることができないことがある。
【0019】
本発明の液体化粧料には、更に必要に応じて分散剤を含有することができる。用いる分散剤は、皮膜形成性樹脂からなるものであり、着色剤の分散性を向上させると共に、皮膜形成の樹脂としても機能するものである。
用いることができる分散剤としては、上記機能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸あるいはこれらのアルキルエステル又は誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドンの中の1種又は2種以上から選択されるものからなる共重合体や、ベタイン型アルキル酸系両性樹脂などが挙げられ、好ましくは、カーボンブラックなどの着色剤の更なる分散性能の点から、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステル又は誘導体中から選ばれる1種と酢酸ビニルとの共重合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステルの1種以上とオクチルアクリルアミドとの共重合体が望ましく、特に好ましくは、更なる分散性能、皮膜形成能の点から、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステルの1種以上とオクチルアクリルアミドとの共重合体である。
これらの分散剤の含有量は、液体化粧料全量に対して、0.5〜5%が好ましく、更に好ましくは、1〜4%である。なお、用いる分散剤も皮膜形成性樹脂からなるものであり、上記皮膜形成剤との相違は、エマルジョン樹脂と、可溶性樹脂の点で異なるものであり、エマルジョン樹脂はモノマーを重合溶媒としての水の中で乳化重合させて得られた水懸濁液である。本発明においては、着色剤、例えば、カーボンブラックの分散において、エマルジョン樹脂よりも可溶性樹脂の方が安定したカーボンブラックの分散液が得られる。これらの点で分別して使用するものである。
【0020】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、水系液体化粧料に通常使用されるキレート剤、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料などを含有することができ、残部は精製水、イオン交換水などの水で調製される。
【0021】
本発明の液体化粧料は、EMD型粘度計による温度25℃、ずり速度76.8S−1での粘度が2〜300mPa・sの範囲とするものであり、特に好ましくは、2mPa・s〜250mPa・sとすることが望ましい。
この粘度値が2mPa・s未満では、粘度が低いため、描線がにじみやすくなり、一方、300mPa・sを超えると、粘度が高いため、使用に際し、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に充填される液体化粧料では液がスムーズに吐出されなくなり、好ましくない。なお、粘度測定条件(後述する実施例等も含む)は、具体的には、トキメック社製、EMD型粘度計標準コーンローター20rpmにおける温度25℃、ずり速度76.8(S−1)で測定した値を意味する。
また、本発明において、アイライナーとしての安全性の点から、液体化粧料のpHを6.5〜8.5となるものが望ましい。
【0022】
このように構成される本発明の液体化粧料は、塗布部を具備した液体塗布具に充填してアイライナー用又はアイブロウ用等に好適な液体化粧料となるものである。
用いることができる塗布部を具備した液体塗布具としては、特に限定されず、アイライナー用又はアイブロウ用である筆穂、ペン芯や、ゴム、エラストマー、または復元性を有する独立気泡体から構成される塗布部となる塗布体を具備し、液体化粧料を充填する容器を有する塗布具であれば、特に限定されないが、本発明の液体化粧料を内蔵する液体塗布具には、中綿に液体化粧料を保持させる中綿式容器からなる液体塗布具、もしくは枚葉体に液体化粧料を保持させるコレクター式容器からなる液体塗布具、もしくは回転繰出部より繰り出して、または、ノック式繰出操作により繰り出して液体化粧料を塗出される化粧容器からなる液体塗布具が挙げられる。
【0023】
中綿式タイプの液体塗布具としては、例えば、図1に示すように、化粧具本体10内に内軸11を有し、該内軸11内には液体化粧料を含浸した中綿等からなる含浸体12が収容され、該含浸体12の先端側には、液体化粧料を塗布するためのペン芯13が設けられており、内軸11の後端に尾栓14が固着される構造のものが挙げられる。なお、15は、内キャップ部16を有するキャップ体である。この形態の液体塗布具Aでは、キャップ15を取り外すことにより使用に供されることとなる。
【0024】
コレクタータイプの直液式の液体塗布具としては、例えば、図2に示すように、液体化粧料20を中綿等に吸蔵させないで直接貯溜する軸体となるタンク部21に充填してなるものが挙げられる。このタンク部21の前部には、タンク部21内の空気が温度上昇等によって膨張した場合にタンク部21から押し出される液体化粧料20をペン先や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保溜する枚葉体(インキ保溜体、コレクター部材)22が内蔵され、コレクター部材22の先端部には塗布体となる筆型のペン先(筆穂)23が設けられた構成となっている。
タンク部21からペン先23への液体化粧料の導出は、コレクター部材22の中心孔に付設されたインキ流路24を設けた中継芯25を介してタンク部21から液体化粧料20をペン先23に導出することにより行われる。
なお、図2中の26,27はホルダー部材であり、28はタンク部21の後部に固着される後部軸体であり、29はインナーキャップを有するキャップである。また、中継芯25を介在させることなく、ペン先23の後部をタンク部21内に直接配置して液体化粧料の導出を行ってもよいものである。この形態の液体化粧料塗布具Bでは、キャップ29を取り外すことにより使用に供されることとなる。
【0025】
このように構成される本発明の液体化粧料では、着色剤と、水と、皮膜形成剤と、還元物である糖類から選ばれる少なくとも1種類とを含有することにより、塗布部の耐乾燥性、塗布部の乾燥復元性、描線の固着性及びpH安定性に優れる水系アイライナー化粧料などに好適な液体化粧料が得られるという特有の効果を奏するものとなる。
【実施例】
【0026】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0027】
〔実施例1〜7及び比較例1〜6〕
下記表1に示す配合処方の液体化粧料(配合単位:質量%、全量100質量%)を調製し、各成分を混合し、室温下、3時間撹拌して、表1に示す各液体化粧料を得た。
このようにして得た各液体化粧料について、下記測定方法により粘度、pHを測定すると共に、図1に準拠する筆穂を穂首として取り付けた液体塗布具に充填して試験用サンプルとして、下記各評価方法により、塗布部耐乾燥性、塗布部乾燥復元性、塗布描線の固着性及びpH安定性について評価した。
【0028】
(粘度測定方法)
得られた各液体化粧料について、EMD型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃、標準コーンローター20rpm、ずり速度76.8s−1のときの粘度(初期粘度)を測定した。
(pHの測定方法)
得られた各液体化粧料について、ガラス形pH電極(HORIBA社製)を用いて、液体化粧料の初期pHと、50℃、3ヶ月保存後のpHを測定した。
【0029】
(塗布部耐乾燥性の評価方法)
25℃、65%環境下で液体塗布具のキャップを外して、横向きに放置し、5分後に塗布して、下記評価基準で塗布部耐乾燥性を評価した。
評価基準:
○:描きやすく、充分な濃度がある。
△:多少のかすれ、にじみがあるが、実用域と判断される。
×:かすれ、にじみがあり、不満を感じる。
【0030】
(塗布部乾燥復元性の評価方法)
25℃、65%環境下で液体塗布具のキャップを外した状態で6時間静置後、キャップを装着し、24時間経過後に、紙面に幅1〜2mm、長さ約5cmの線を3本引き、描き具合、描線濃度を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:描きやすく、充分な濃度がある。
△:多少のかすれ、にじみがあるが、実用域と判断される。
×:かすれ、にじみがあり、不満を感じる。
【0031】
(塗布描線の固着性の評価方法)
手の甲に塗布し、10分間乾燥させた後に、流水にあて、指のはらで擦過し、塗布物の落具合を目視にて下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
○:良好(塗布部の剥がれが少なく良好)。
△:普通(部分的に塗布部の剥がれがある)。
×:不良(塗布部がほとんど剥がれてしまう)。
【0032】
(pH安定性)
ガラス形pH電極(HORIBA社製)を用いて、液体化粧料の初期pHと、50℃、3ヶ月保存後のpHを測定し、経時安定性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:良好(pHの変化が少ない)。
×:不良(pHの変化が多い)。
【0033】
【表1】

【0034】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜7の液体化粧料は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、塗布部耐乾燥性、塗布部乾燥復元性、塗布描線の固着性及びpH安定性に優れていることが判明した。
比較例を個別的にみると、比較例1は、還元物である糖類を含有しない場合であり、比較例2は皮膜形成剤を含有しない場合であり、比較例3〜6は、還元物である糖類以外の糖類(タピオカデンプン、デキストリン、マルチトール、シクロデキストリン)を用いた場合であり、これらの場合、塗布部耐乾燥性、塗布部乾燥復元性、塗布描線の固着性、pH安定性の全てを満足することができないことが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
アイライナー用又はアイブロウ用のアイメイクアップ化粧料に好適な液体化粧料が得られる。
【符号の説明】
【0036】
A 液体化粧料塗布具
10 化粧具本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤と、水と、皮膜形成剤と、還元物である糖類から選ばれる少なくとも1種類とを含有することを特徴とする液体化粧料。
【請求項2】
前記還元物である糖類の含有量が、液体化粧料全量に対して、0.1〜10質量%含有してなることを特徴とする液体化粧料。
【請求項3】
EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が2〜300mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体化粧料。
【請求項4】
塗布部を具備した液体塗布具に充填されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の液体化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−246269(P2012−246269A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120736(P2011−120736)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】