液体収納容器

【課題】 外形や容量等を大きくしなくても液体吐出手段への液体の供給能力を向上させることができる液体収納容器を提供する。
【解決手段】 インクタンク10は、インクを一時的に保持する連続多孔質弾性部材32を収納した負圧発生部材収納室34と、負圧発生部材収納室34との間が隔壁38で仕切られており、負圧発生部材収納室34に供給されるインクを収容する液体収納室36と、液体収納室36の底壁10Bに隣接する位置から負圧部材収納室34の上部に連通した連通部を構成する第1、第2連通部44,45および連通溝43と、負圧部材収納室34内のインクをインクジェットヘッド22hに供給するために負圧部材収納室34の底部に形成されたインク供給口14Aと、液体収納室36内を大気中に連通させる大気連通口12とを有している。負圧部材収納室34は連通部43,44,45とインク供給口14Aとを除いて実質的に密閉されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドに供給されるインク等の液体を貯蔵する交換型の液体収納容器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出用液体収納容器であるインクジェット記録用のインクタンクとして、少なくともインク供給口と大気連通口との少なくとも2つの開口部を有する交換型インクタンクが知られている。そのようなインクタンクでは、インクタンク内のインクがインク供給口を通して液体吐出手段である記録ヘッドに供給される。また、インクタンクの内部が大気連通口を介して大気と連通していて、その大気連通口を通してインクタンク内に大気が供給される。
【0003】
上記のインク供給口および大気連通口の2つの開口部を有するインクタンクに要求されることとしては、まず、記録時に記録ヘッドに対してインク切れを伴わずに安定的にインクを供給できること、そして、非記録時には温度や圧力等のさまざまな環境条件の変化においてもインクの漏れや供給性能の低下を確実に防止できることが挙げられる。
【0004】
このような目的を達成するための好適な例として、特許文献1に記載された吐出用液体収納容器がある。その吐出用液体収納容器には、負圧発生部材を収納した第1室(負圧発生部材収納室)と、第1室に供給するためのインクを収納した第2室(液体収納室)とが備えられている。第1室内に収納された負圧発生部材としては多孔質の材料からなるものが用いられ、その負圧発生部材にインクが吸収されることで負圧発生部材の内部にインクが保持される。第1室と第2室とは両者の底部に設けられた連通部を介して互いに連通しており、その連通部を通して第2室から第1室へとインクが供給され、第1室へと供給されたインクが負圧発生部材によって保持される。第1室を構成する部材の上部には、第1室内を大気と連通させるための大気連通部が形成されており、一方、第2室は、第1室との連通部を除いて実質的に密閉されている。また、第1室を構成する部材の底部には、液体吐出手段である記録ヘッド部に第1室内のインクを供給するための液体供給部が形成され、その液体供給部を介して第1室の底部に記録ヘッド部が接続されている。
【0005】
また、上記のような負圧発生部材収納室と液体収納室を有するインクタンクをさらに改良したものとして、特許文献2に開示されたものがある。特許文献2に記載された吐出用液体収納容器では、負圧発生部材収納室内で負圧発生部材により保持されたインクの消費に伴って負圧発生部材収納室から液体収納室に大気を導入する大気導入路に負圧発生部材が配置されている。ここで、負圧発生部材収納室内のインクが消費されるのに従って、大気導入路に構成された毛管力発生部の毛管力に打ち勝って負圧発生部材収納室内の大気が連通路を通して液体収納室に入り込む。この時に、液体収納室内のインクが大気の代わりに負圧発生部材収納室内に供給される、いわゆる気液交換が行われる。
【0006】
吐出用液体の消費中の大半はこの気液交換が連続的に行われ、負圧発生部材内の発生負圧はこの大気導入路の毛管力発生部の毛管力により決定される。従って、この特許文献2の吐出用液体収納容器では、上記の毛管力を所定の値に設定することにより、発生負圧をほぼ一定に制御することを可能にし、負圧特性の安定化を図っている。
【0007】
上述したような、負圧発生部材収納室と液体収納室を有するインクタンクのインク供給性能においては、特許文献3に開示されているように、記録ヘッドに対してインクを正常に供給するために、インクタンク内における負圧のバランスが重要なファクターとなる。この負圧のバランスによって負圧発生部材内の気液界面の高さが維持されつつ、インクの供給動作が正常に行われる。さらに、この、インクタンク内における負圧のバランスは、負圧発生部材の毛管力、圧力損失、負圧発生部材収納室と液体収納室との連通部の圧力(負圧)、および、インク供給口(インク誘導部材である圧接体)から連通部までの距離といったパラメータで規定される。
【0008】
以上説明した形態においては、水頭圧利用、負圧利用のいずれの形態においても、インクタンクは,インクがなくなり次第、新品に交換されるのが一般的である。
【0009】
一方、記録量が比較的大きい装置に搭載される場合の液体の補充という観点から、このような装置においては、インクを保持する大容量のタンク(以下「大型タンク」と称する)が設置されるとともに、インクタンクと記録ヘッドとが一体的に装着されたヘッドカートリッジがキャリッジ上に装着される。そして、キャリッジを所定の位置に移動させて、大型タンクにヘッドカートリッジのインクタンク(以下、「タンク部」と称する)を接続することによりインクがタンク部に補充される。これは、いわゆるピットイン方式と呼ばれるタイプのインク供給方式として知られている。
【0010】
本出願人による、例えば特許文献4においては、このようなピットイン方式を用いつつも、キャリッジ上に装着されるインクタンク(タンク部)を利用するという簡単な構成によるインク供給方式(ピットイン方式)および記録装置が提案されている。
【特許文献1】特許第2684508号公報
【特許文献2】特開平10−193634号公報
【特許文献3】特開平11−10906号公報
【特許文献4】特開平9−234881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のようにインクタンク内の負圧のバランスを規定するパラメータのうちの圧力損失は、基本的に供給流量(流速)で左右されるものであり、ある流速で設計されたインクタンクでは、インクジェット記録装置の記録速度を上げるために記録ヘッドのノズル数を増やしたり、インクの吐出周波数を上げたりして、インクの流速を増やそうとすると、負圧発生部材中の気液界面がインクタンク内底部の液体収納室と負圧発生部材収納室との連通部の高さまで低下して液体収納室から負圧発生部材収納室へのインク供給が不能になり、インクの供給不良が発生してしまう可能性があった。その結果、記録ヘッドではインク切れが生じたり、記録画像等に「かすれ」が生じたりするおそれがある。
【0012】
この問題点を解決しようとする場合、1つの解決手段としては、負圧発生部材収納室と液体収納室との連通部からインク供給口(インク誘導部材である圧接体)までの距離を小さくして、その連通部をインク供給口に近づけるという方法がある。このような方法をとった場合、特許文献2に記載されているように大型化された容器であっても、安定した負圧条件を維持しつつ、負圧発生部材を高くしてもインク漏れをしない構造をとる必要がある。ここで、負圧発生部材を高くした際に、負圧発生部材における液位上昇を抑制してインク漏れをしないようにするためには、特許文献2に記載されているように負圧発生部材収納室の底面積を大きくとることが望ましい。しかし、限られた全体の容積の中でインクタンクの幅が同一である条件下では、負圧発生部材収納室の底面積を大きくとると、結局、負圧発生部材収納室の容積を大きくとることになり、その結果、液体収納室の容積が小さくなってしまい、インクタンクの全体の容積が減ってしまう。このように、供給流量が増えるのに、インク容量を減らすのでは、インクタンクの交換頻度が増えてしまい、インクジェット記録装置における記録の高速化の目的が達成されなくなってしまうという問題点がある。
【0013】
また、供給量の増加に伴い、負圧発生部材の幅を増してその断面積を増やし、実質的に圧力損失を増やさない方法もあるが、インクタンクの幅も拡大する必要があり、これではインクジェット記録装置の設計変更が必要になる。
【0014】
したがって、本発明の目的は、外形や容量等を大きくしなくても液体吐出手段への液体の供給能力を向上させることができる液体収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の液体収納容器は、液体を一時的に保持する負圧発生部材を収納した負圧発生部材収納室と、該負圧発生部材収納室との間が隔壁で仕切られており、前記負圧発生部材収納室に供給される液体を収容する液体収納室と、該液体収納室内の底壁に隣接する位置から前記負圧部材収納室の上部に連通した連通部と、液体を吐出する液体吐出手段に前記負圧部材収納室内の液体を供給するために前記負圧部材収納室の底部に形成された供給口と、前記液体収納室内を大気中に連通させる大気連通口と、を有し、前記負圧部材収納室は前記連通部と前記供給口とを除いて実質的に密閉されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液体収納容器によれば、外形や容量等を大きくしなくても液体吐出手段への液体の供給能力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は本発明の液体収納容器の第1の実施形態を示す断面図、図2は図1に示した液体収納容器の連通部を拡大して示す斜視図である。
【0019】
液体収納容器であるインクタンク10の内部には、隔壁38によって互いに仕切られた第1収納室34および第2収納室36が形成されている。第1収納室34は負圧発生部材としての連続多孔質弾性部材32を収納する負圧発生部材収納室であり、第2収納室36は吐出用液体であるインクを直接収納する液体収納室である。
【0020】
インクタンク10を構成する部材の上壁10Uには、第2収納室36内と連通した大気連通口12が形成されていて、その大気連通口12を通して第2収納室36の上部が大気と連通している。また、第1収納室34の下部は液体供給口14Aに連通している。液体供給口14Aには、液体吐出手段であるインクジェットヘッド22hがインク通路筒17を介して接続される。第1収納室34内のインクは、液体供給口14Aおよびインク通路筒17の内部を通してインクジェットヘッド22hに供給される。第1収納室34と第2収納室36とを隔てる隔壁38の上部には連通部44,45および連通溝43が形成されており、第1収納室34と第2収納室36とは第1連通部44、第2連通部45、および連通溝43で構成される連通部を通して連通している。第2収納室36は第1収納室34に連通する上記連通部43,44,45および大気連通口12を除いて実質的に密閉されており、第1収納室34は上記連通部43,44,45および液体供給口14Aを除いて実質的に密閉されている。
【0021】
第1収納室34を画定するインクタンク10の上壁10U、すなわち上壁10Uにおける第1収納室34に対応する部分には、上壁10Uの下面から第1収納室34の内部に向かって突出する複数個のリブ42が上壁10Uと一体に成形されている。それぞれのリブ42の先端部は、第1収納室34内に圧縮された状態で収納された連続多孔質弾性部材32に当接している。これにより、第1収納室34内における上壁10Uと連続多孔質弾性部材32の上面との間にエアバッファ室47が形成されている。
【0022】
第2収納室36から第1収納室34にインクを供給する連通部を構成する第1連通部44および連通溝43は、インクタンク10の上壁10Uに成形されている。連通溝43の上部はフィルムシール39で覆われており、これによりインク通路が形成されている。
【0023】
図1に示す実施形態では、インクタンク10の長手方向の内寸法L01が約63mm、高さ方向の内寸法h01が約35mm、第1収納室34の長手方向の内寸法L02が約24〜38mm、隔壁38の連続多孔質弾性部材32側の側面から庄接体46の隔壁38側の側面までの距離L1が約10〜26mmである。そして、インクタンク10全体にわたって外壁の基本的な肉厚は約2mmである。なお、第1収納室34内の底面における液体供給口14Aの周りには、インクタンク10の底壁10Bの容器内側底面から内方に突出する環状の段部14Cが設けられている。その段部14Cの寸法としては、高さh23が0.3〜0.4mmであり、幅L3が1.5〜3mmである。第2収納室36から第1収納室34に液体を供給する配管の寸法としては、インクタンク10の第2収納室36における底壁10Bの容器内側の底面から第2連通部45の先端41までの高さh41が約1mmであり、第2連通部45の内径は約φ0.7mm〜φ2mmである。第2収納室36内において隔壁38の側面から第2連通部45までの距離L05は約0〜25mmである。第1収納室34の第1連通部44は連続多孔質弾性部材32の上面から第1連通部44の先端40までの高さh40が約1mm〜3mmであり、第1連通部44の内径は約φ0.7mm〜φ2mmである。第1収納室34内において隔壁38の側面から第1連通部44までの距離L06は約2〜10mmであり、インクタンク上壁10Uの連通溝43の長さは、概ねL05、L06、および隔壁38の厚さを積算した値になる。連通溝43の深さh42は約0.5〜2mmであり、幅L07(不図示)は約0.5〜2mmである。第2収納室36の上壁10Uの大気連通口12の径は約5〜10mmである。
【0024】
第2収納室36の上壁10Uに設けられた大気連通口12に、通気性、防水性および撥水性を備えた気液分離部材としてのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)多孔質膜13Aを覆い被せることで、第2収納室36内のインクが大気連通口12から外部に漏れることを防ぎつつ、大気中の気体を大気連通口12から第2収納室36内に取り入れることができる。
【0025】
次に、上述した本実施形態のインクタンク10の動作原理について、図1を参照して説明する。インクタンク10は、インクジェットヘッド22hと接続された状態で、液体吐出記録装置であるインクジェット記録装置のキャリッジ(不図示)に搭載される。
【0026】
図1に示すように、インク通路筒17がインク供給筒14内に進入するように押し込まれた状態、すなわちインクタンク10がインクジェット記録装置のキャリッジの所定位置に装着された状態で、インクジェット記録装置による記録動作を行うと、インクジェットヘッド22hからインクが吐出されることによりインクタンク10内のインクが減少し、インクタンク10内にインク吸引力(負圧)が生じる。
【0027】
第1収納室34内の連続多孔質弾性部材32中に充分な量のインクが含浸されているときは、連続多孔質弾性部材32中のインクが消費され、連続多孔質弾性部材32内のインクの上面が低下する。すなわち、連続多孔質弾性部材32の内部における液体と空気との界面である気液界面が下がり、その結果としてインク吸引力(負圧)の大きさが増大する。このときに発生する負圧の大きさは、連続多孔質弾性部材32中のインクの消費量によって決まる。
【0028】
さらにインクの消費が進むと、第1収納室34内の負圧が大きくなり、その負圧の圧力によるサイフォンの原理によって、インクが、インクを直接に収納する第2収納室36から、第1連通部44、第2連通部45および連通溝43からなる連通部を通って、第1収納室34に供給される。第1収納室34に供給されたインクは、連続多孔質弾性部材32の毛管力によって連続多孔質弾性部材32内に吸い上げられる。このとき、気液界面の高さは、連続多孔質弾性部材32内の負圧バランスが保たれる高さに維持される。第2収納室36から第1収納室34にインクが供給されると、次は第2収納室36が負圧になるので、気体が大気連通口12から第2収納室36内に供給される。
【0029】
インクジェット記録装置による記録動作や、インクジェットヘッド22hのノズルからインクを強制的に吸引排出させてヘッド22hの機能を回復させる回復動作などによってインクタンク10内のインクが消費されている間は、上述の動作が連続的に行われることで、第2収納室36内のインクが連通部43,44,45を通って第1収納室34内の連続多孔質弾性部材32に供給される。
【0030】
上述してきたように、本実施形態のインクタンク10は、第1収納室34と第2収納室36とがインクタンク10の下部において連通しておらず、第2収納室36から第1収納室34へのインク供給はインクタンク10の上部を通る上記の連通部43,44,45を介して行われるように構成されている。そのため、インクジェットヘッド22hによる記録の高速化を図るために、例えばインクジェットヘッド22hの吐出ノズルの数を増やしたり、あるいはヘッド22hからのインク吐出量を増やしたり、さらにヘッド22hの吐出周波数を上げたりすることによって、インクタンクからヘッド22hへのインクの流量が増え、連続多孔質弾性部材32内の気液界面がインクタンク10の底部近くまで下がった場合であっても、第2収納室36(液体収納室)から第1収納室34(負圧発生部材収納室)へのインク供給が不能になってヘッド22hからインク液体をできなくなるということが防止される。
【0031】
第1連通部44、第2連通部45および連通溝43からなる連通部の長さや断面積などの寸法は、インクタンク10内に発生しうる負圧の大きさに応じて適宜設定することができる。そのため、インクタンク10の外形形状や基本的な構造を変えずに、寸法が適宜設定された上記通路を内部に設けるだけで、本実施形態のインクタンク10を従来のインクジェット記録装置でも十分に使用することが可能である。従って、インクタンクの外形形状の違いによるインクタンクの種類を増やさずに、従来のインクタンクを本実施形態のものに置き換えることも可能であることから、インクタンクの生産装置をインクタンクの種類数に応じて複数用意する必要がなく、ひいてはインクタンクのコストダウンを図ることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
図1等に示した第1の実施形態のインクタンク10では、細長い形状の第2連通部45がインクタンク10の上壁10Uから下方に延びるように上壁10Uと一体的に成形された構成になっているので、その作製には高度な成形・金型技術が必要とされる。そこで、本実施形態のインクタンク10では、第1の実施形態における第2連通部45を図3に示すようにチューブ配管48に変更した構成としている。この構成によれば、上壁10Uの下面側に凸状に短く形成された第2連通部45にチューブ配管48を装着することで、第1の実施形態の第2連通部45(図1)と同様の構成を得ることができ、高度な成形・金型技術によらずとも第1の実施形態のインクタンクと同様の機能を得ることが可能である。
【0033】
本実施形態では、インクタンク10の上壁10Uの第2収納室36における容器内側底面から第2連通部45の先端41までの高さh43が約3mmであり、第2連通部45の内径は約φ0.7mm〜φ2mmである。また、第2収納室36において隔壁38の側面から第2連通部45までの距離L05(図3では不図示、図1を参照)は約5〜30mmである。また、連続多孔質弾性部材32の上面から第1連通部44の先端40までの高さh40は約1mm〜3mmであり、第1連通部44の内径は約φ0.7mm〜φ2mmである。第1収納室34において隔壁38の側面から第1連通部44までの距離L06は約2〜10mmであり、インクタンク上壁10Uの連通溝43の長さはL05、L06、および離壁38の厚さを積算した値になる。連通溝43の深さh42は約0.5〜2mm、幅L07(不図示)は約0.5〜2mmである。第2収納室36において上壁10Uに形成されている大気連通口12の径は約5〜10mmである。チューブ配管48の内径は0.5mm〜1.8mmで、チューブ配管48の先端から底壁10Bまでの距離は1mmである。
【0034】
(第3の実施形態)
図1に示した第1の実施形態のインクタンク10では、第2収納室36の上壁10Uに形成された大気連通口12にPTFE多孔質膜13Aを覆い被せるために、大気連通口12の周囲にPTFE多孔質膜13Aを接着や溶着等で接合する工程が必要である。
【0035】
これに対し、図4に示す本実施形態のインクタンク10には、大気連通口12に差し込むことでこれを塞ぐ大気連通口キャップ13Bが備えられている。このキャップ13Bは、インクタンク10がインクジェット記録装置による記録動作時には大気連通口12から取り外されて大気連通口12を大気に連通させ、それ以外の時は大気連通口12に挿入されて大気連通口12を塞ぎ、インクがインクタンク10内から大気連通口12を通って漏れ出すのを防ぐ。
【0036】
大気連通口12が着脱自在な大気連通口キャップ13Bで塞がれている本実施形態のインクタンク10は、図5に示す構成を備えたインクジェット記録装置において、いわゆるピットイン方式でインクを補充することが可能である。以下に、そのインクジェット記録装置の構成とインク補充動作について説明する。
【0037】
図5に示すインクジェット記録装置は、不図示の駆動手段によってガイド軸75,76に沿って紙面に対して垂直な方向に往復移動するキャリッジ79を備えている。キャリッジ79の下部にはインクジェットヘッド22hが備えられており、インクタンク10が図5に示すようにキャリッジ79に搭載されると、インクタンク10とヘッド22hとがインク通路筒17を介して連通するようになっている。インクジェット記録装置は、ヘッド22hに記録信号を入力してヘッド22hからインクを吐出させながらキャリッジ79を上記方向に往復移動させる動作と、不図示の搬送手段によって記録用紙77を上記方向に対して交わる方向(図5では紙面の左右方向)に搬送する動作とを繰り返すことで、記録用紙77に文字や画像等を記録する。
【0038】
さらに、このインクジェット記録装置は、インクタンク10の大気連通口キャップ13Bを把持するクランプ74と、インクタンク10の大気連通口12を通じてインクタンク10内にインクを補充するニードル50とを備えている。ニードル50は、途中に供給ポンプ70が設けられたチューブ75を介して補充容器71に接続されている。補充容器71の内部には補充用のインクが収容されており、そのインクは供給ポンプ70によって汲み上げられてニードル50からインクタンク10に供給される。クランプ74とニードル50とはそれぞれ昇降機構80,81を介して支持部90に支持されており、その支持部90は、モータ72、ギア73および駆動伝達部74で構成された移動機構によって図示左右方向に移動させられるようになっている。
【0039】
また、インクジェット記録装置には、ヘッド22hの回復動作を行う回復キャップ78がキャリッジ79の往復移動による記録可能領域の外に設けられている。ヘッド22hが回復キャップ78に対向する位置までキャリッジ79を移動させ、その位置で回復キャップ78がヘッド22hをキャッピングすることで、ヘッド22hの回復動作が行われる。なお、上述したクランプ74やニードル50は、図5に示すようにヘッド22hが回復キャップ78に対向する位置で動作する。
【0040】
次に、クランプ74による大気連通口キャップ13Bの着脱動作について説明する。
【0041】
大気連通口キャップ13Bを取り外す際には、まず、インクタンク10を装着したキャリッジ79を上記位置まで移動させる。次に、クランプ74が大気連通口キャップ13Bの上方に位置するように、移動機構によって支持部90を移動させる。次に、クランプ74が大気連通口キャップ13Bを把持することができる高さまでクランプ74を昇降機構80によって下降させ、クランプ74を作動させて大気連通口キャップ13Bを把持する。そして、そのままクランプ74を昇降機構80によって上昇させることで、インクタンク10から大気連通口キャップ13Bが取り外される。これによりインクタンク10の大気連通口12が開放され、ヘッド22hによる記録動作を行うことが可能になる。
【0042】
その後、インクジェット記録装置の使用を終了するような場合には、それまでクランプ74が把持した状態になっている大気連通口キャップ13Bが、上記とは逆の動作によってインクタンク10の大気連通口12に装着される。この装着動作は、例えばユーザがインクジェット記録装置の電源スイッチをオフにしたときにインクジェット記録装置が機能を停止する一連のシーケンスにおいて行われる。
【0043】
続いて、ニードル50によるインク補充動作について説明する。インクタンク10にインクを補充する際には、上述したようにしてクランプ74によって大気連通口キャップ13Bが取り外されている状態のときに、キャリッジ79を図5に示す上記位置まで移動させる。次に、ニードル50が大気連通口12の上方に位置するように、移動機構によって支持部90を移動させる。次に、ニードル50が大気連通口12を通じてインクタンク10の第2収納室36内に挿入される高さまでニードル50を昇降機構81によって下降させる。そして、その状態で供給ポンプ70を作動させ、補充容器71からインクタンク10内にインクを供給する。インクの補充を終えたら供給ポンプ70を停止し、ニードル50を昇降機構81によって上昇させてニードル50をインクタンク10内から抜く。インク補充動作は以上の動作によって行われる。
【0044】
上記の大気連通口キャップ13Bの着脱動作とインク補充動作とにおける各構成の一連の動作は、インクジェット記録装置に備えられた不図示の制御部によって制御されて実行される。
【0045】
なお、ニードル50の外径は大気連通口12の内径よりも小さいので、ニードル50が大気連通口12を通ってインクタンク10内に挿入されているときにニードル50が大気連通口12を塞ぐことはない。したがって、ニードル50からインクタンク10の第2収納室36内にインクが補充される際には第2収納室36内の気体は大気連通口12を通って外に排出されるので、インク補充によって第2収納室36内の圧力が増大することはない。そのため、インク補充動作中に第1収納室34内の圧力が変動することもないので、インク補充動作中は連続多孔質弾性部材32内の気液界面の高さも維持される。したがって、インク補充動作によってインクタンク10からインクジェットヘッド22hへのインク供給に何ら不都合が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の液体収納容器の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示した液体収納容器の連通部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の液体収納容器の第2の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の液体収納容器の第3の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置による、インクタンクへのインク補充動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0047】
10 インクタンク
12 大気連通口
14A 液体供給口
32 連続多孔質弾性部材(負圧発生部材)
34 第1収納室(負圧発生部材収納室)
36 第2収納室(液体収納室)
38 隔壁
43 連通溝
44 第1連通部
45 第2連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を一時的に保持する負圧発生部材を収納した負圧発生部材収納室と、
該負圧発生部材収納室との間が隔壁で仕切られており、前記負圧発生部材収納室に供給される液体を収容する液体収納室と、
該液体収納室内の底壁に隣接する位置から前記負圧部材収納室の上部に連通した連通部と、
液体を吐出する液体吐出手段に前記負圧部材収納室内の液体を供給するために前記負圧部材収納室の底部に形成された供給口と、
前記液体収納室内を大気中に連通させる大気連通口と、
を有し、
前記負圧部材収納室は前記連通部と前記供給口とを除いて実質的に密閉されている液体収納容器。
【請求項2】
前記連通部は、前記液体収納容器の上壁から前記負圧発生部材収納室内を前記負圧発生部材の上面との間に所定の間隔をおいた位置まで延びている第1連通部と、前記上壁から前記液体収納室内を前記液体収納容器の底壁に隣接する位置まで延びている第2連通部と、前記第1連通部の上端と前記第2連通部の上端とを互いに連通させるように前記上壁の上面に形成された連通溝とで構成されている、請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記連通溝がシート部材で覆われている、請求項2に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記大気連通口に気液分離部材が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記気液分離部材は撥水処理がなされている、請求項4に記載の液体収納容器。
【請求項6】
前記大気連通口に着脱可能なキャップ部材が取り付けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体収納容器。
【請求項7】
記録を行う記録媒体を搬送する搬送手段と、
請求項6に記載の液体収納容器と、該液体収納容器から供給される液体を吐出する液体吐出手段とを搭載し、前記搬送手段による前記記録媒体の搬送方向に対して交わる方向に移動可能なキャリッジと、
を有する記録装置において、
前記液体収納容器の大気連通口に取り付けられているキャップ部材を把持するクランプおよび該クランプを昇降させるクランプ昇降手段を有するキャップ部材着脱機構と、
前記液体収納容器に補充する液体を収容する補充容器、該補充容器に接続されたニードル、該ニードルを昇降させるニードル昇降手段、および前記補充容器から前記ニードルに液体を送るポンプを有する液体補充機構と、
前記キャップ部材着脱機構および前記液体補充機構を、所定の位置に配置されたキャリッジの上方に移動させる移動機構と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の記録装置における、液体収納容器への液体補充方法であって、
前記液体収納容器を搭載した前記キャリッジを所定の位置に配置させる工程と、
前記液体収納容器の大気連通口に取り付けられている前記キャップ部材を前記キャップ部材着脱機構によって取り外す工程と、
前記液体補充機構によって、前記大気連通口を通じて前記液体収納容器内に液体を補充する工程と、
を有することを特徴とする液体収納容器への液体補充方法。
【請求項9】
前記キャップ部材を前記キャップ部材着脱機構によって取り外す工程は、
前記移動機構によって前記キャップ部材着脱機構を移動させて、前記クランプを前記キャリッジに搭載された前記液体収納容器に取り付けられている前記キャップ部材の上方へ配置させる工程と、
前記クランプが前記キャップ部材を把持することが可能な高さまで前記クランプを前記クランプ昇降手段によって下降させる工程と、
前記クランプで前記キャップ部材を把持する工程と、
前記キャップ部材を把持した前記クランプを前記クランプ昇降手段によって上昇させる工程と、
を含む、請求項8に記載の液体収納容器への液体補充方法。
【請求項10】
前記液体収納容器内に液体を補充する工程は、
前記移動機構によって前記液体補充機構を移動させて、前記ニードルを前記液体収納容器の前記キャップ部材が取り外されて開口した前記大気連通口の上方へ配置させる工程と、
前記ニードルを前記ニードル昇降手段によって下降させ、前記ニードルを前記大気連通口を通じて前記液体収納容器内に挿入させる工程と、
前記ポンプを作動させて前記補充容器内の液体を前記液体収納容器内に供給する工程と、
前記ニードルを前記ニードル昇降手段によって上昇させ、前記ニードルを前記液体収納容器内から抜き去る工程と、
を含む、請求項8または9に記載の液体収納容器への液体補充方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−44214(P2006−44214A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301676(P2004−301676)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】