説明

液体取出装置および流体除去方法

【課題】混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制する。
【解決手段】液体取出装置20は、収容部450と、濾過取出部452とを備える。収容部450は混合物および超臨界流体を収容する。混合物は固体成分と液体成分とを含む。濾過取出部452は、収容部450内の混合物を濾過することにより、混合物から液体成分の一部を取出す。液体取出装置20は加圧部をさらに備える。加圧部は、濾過取出部452が混合物を濾過する際に混合物へ圧力を加えるよう濾過取出部452を加圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体取出装置および流体除去方法に関し、特に、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できる液体取出装置および流体除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ナノ粒子の製造方法を開示する。この方法は、分散液の溶媒を超臨界流体に置換する工程と、その超臨界流体を気化させる工程とを有する。この分散液は、粒子が溶媒中に分散されているものである。この超臨界流体は、常温常圧で気体である。特許文献1に開示された方法によれば、工業的に有用な乾燥したナノ粒子を製造できる。また、特許文献1に開示された方法によれば、次に述べる効果も得られる。第1の効果は、ナノ粒子を従来よりもよく洗浄できるという効果である。第2の効果は、ナノ粒子を従来よりもよく乾燥できるという効果である。第3の効果は、乾燥中のナノ粒子が外部に暴露されることを防止できるという効果である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−160518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示され方法には、超臨界流体への置換の際に多くのエネルギを消費するという問題点がある。本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。その目的とするところは、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できる液体取出装置および流体除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面を参照し本発明の液体取出装置を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためであって内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、液体取出装置20は混合物から液体成分の一部を取出す。混合物は固体成分と液体成分とを含む。液体取出装置20は、収容部450と、濾過取出部452と、加圧部182とを備える。収容部450は混合物および超臨界流体を収容する。濾過取出部452は、収容部450内の混合物を濾過することにより、混合物から液体成分の一部を取出す。加圧部182は、濾過取出部452が混合物を濾過する際に混合物へ圧力を加える。
【0007】
物質を超臨界流体にするためには多くのエネルギを必要とする。液体成分を超臨界流体に置換するためにはその液体成分の量に応じた超臨界流体が必要である。液体成分の量に応じた超臨界流体が必要であるということは、液体成分の量に応じた多くのエネルギが必要であるということである。これが、多くのエネルギを消費する原因である。濾過取出部452が液体成分の一部を超臨界流体への置換前に混合物から取出すことで、そうしない場合に比べ、超臨界流体によって置換される液体成分の量を少なくすることができる。取り出される液体成分の量は特に限定されない。例えば、その量は、液体成分が取り出された後の混合物中の固体成分に凝集が起きない程度の量であってもよい。超臨界流体によって置換される液体成分の量が少なくなると、超臨界流体を生成するために消費されるエネルギの量も少なくなる。混合物から液体成分を取出す際、濾過取出部452が混合物へ圧力を加えておくと、濾過取出部452が圧力を加えない場合に比べ、次に述べる効果が生じる。その効果とは、濾過後に混合物中に残った液体成分を超臨界流体に置換する際、その超臨界流体が一度超臨界流体でなくなってから再度超臨界状態となるために必要なエネルギを少なくできるという効果である。収容部450内の圧力が超臨界流体の圧力を下回っていれば、収容部450内に超臨界流体を流入させた際、超臨界流体の圧力が低下する。圧力が低下すると超臨界流体が気体になることがある。この気体を再度超臨界流体にするためには、少なくともその気体に圧力を加える必要がある。収容部450内の圧力が低ければ低いほど、その気体を再度超臨界流体にするためには大きな圧力を追加する必要がある。濾過取出部452が混合物へ圧力を加えておくと、濾過取出部452が圧力を加えない場合に比べ、収容部450内の平均圧力を高くすることができる。収容部450内の平均圧力が高ければ、その気体を再度超臨界流体にするために追加しなければならない圧力は小さくなる。場合によっては、収容部450内に入った超臨界流体が気体とならないこともある。追加する圧力が小さければ、その圧力追加のためのエネルギも小さくなる。超臨界流体を生成するためのエネルギと圧力追加のためのエネルギとの消費を抑制できるので、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できる。
【0008】
また、上述した濾過取出部452が、濾過材462と、再混入防止部466とを有していることが望ましい。濾過材462は収容部450内の混合物を濾過する。再混入防止部466は濾過液が混合物へ再混入することを防止する。濾過液は濾過材462によって混合物から取出された液体成分である。
【0009】
混合物への濾過液の再混入を再混入防止部466が防止することにより、濾過液が混合物へ容易に再混入する場合に比べ、濾過後の混合物の量を少なくできる。これにより、消費エネルギを抑制できる。
【0010】
もしくは、上述した再混入防止部466が排出管510と弁512,514,516,518とを有することが望ましい。排出管510は濾過液を収容部450の外へ排出する。弁512,514,516,518は排出管510に接続される。
【0011】
排出管510が濾過液を収容部450の外へ排出することにより、濾過液が排出されない場合に比べ、濾過液が混合物に再混入する可能性は低下する。濾過液が超臨界流体へ混入する可能性も低下する。超臨界流体には溶解度があるので、濾過液が超臨界流体に混入することは、液体成分の置換のために必要な超臨界流体の量が多くなることを意味する。超臨界流体の量が多くなる可能性が低下することは、消費エネルギの損失が抑えられる可能性が高まることを意味する。また、弁512,514,516,518が排出管510に接続されることにより、弁512,514,516,518が接続されていない場合に比べ、混合物中の液体成分の置換の際、収容部450内の平均圧力が高い状態を容易に維持できる。これにより、収容部450内の平均圧力が高い状態を容易に維持できるので、超臨界流体だった気体を再度超臨界流体にするために追加しなければならない圧力を小さくできる。追加する圧力を小さくできるので、その圧力追加のためのエネルギを小さくできる。その結果、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できる。
【0012】
もしくは、上述した濾過取出部452が区画部材460をさらに有することが望ましい。区画部材460には濾過材462が取付けられる。区画部材460は収容部450内で移動できる。区画部材460は収容部450内を混合物が収容される空間と混合物の浸入が抑えられる空間とに区画する。この場合、加圧部182が、区画部材460に力を加えることにより、濾過取出部452を介して混合物へ圧力を加える。
【0013】
濾過取出部452が区画部材460を有していると、そうでない場合に比べ、混合物から濾過液を取出した後、混合物の体積を抑えることができる。混合物の体積を抑えることができると、置換の際、超臨界流体の量を抑えることができる。その結果、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できる。
【0014】
もしくは、上述した収容部450が筒状部480を有していることが望ましい。この場合、区画部材460は筒状部480の内周面に沿って収容部450内をスライドする。
【0015】
本発明の他の局面に従うと、流体除去方法は、置換工程S332と、気化工程S340とを備える。置換工程S332は、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する工程である。混合物は固体成分と液体成分とを含む。気化工程S340は超臨界流体を気化させる工程である。流体除去方法は取出工程S324をさらに備える。取出工程S324は、置換工程S332に先立ち、混合物から液体成分の一部を取出す工程である。
【0016】
置換工程S332に先立ち取出工程S324において混合物から液体成分の一部を取出すことで、そうしない場合に比べ、超臨界流体によって置換される液体成分の量を少なくすることができる。取り出される液体成分の量は特に限定されない。例えば、その量は、液体成分が取り出された後の混合物中の固体成分に凝集が起きない程度の量であってもよい。超臨界流体によって置換される液体成分の量を少なくできるので、超臨界流体を生成するために消費されるエネルギの量を少なくできる。
【0017】
また、上述した取出工程S324が、装置20内で混合物へ圧力を加えながら混合物から液体成分の一部を取出す工程であることが望ましい。この場合、置換工程S332が、装置20内で液体成分を超臨界流体に置換する段階を有する。
【0018】
混合物から液体成分を取出す際、装置20内で混合物へ圧力を加えておき、かつ、装置20内で液体成分を超臨界流体に置換すると、そうしない場合に比べ、次に述べる効果が生じる。その効果とは、置換工程S332において、その超臨界流体が一度超臨界流体でなくなってから再度超臨界状態となるために必要なエネルギを少なくできるという効果である。装置20内の圧力が超臨界流体の圧力を下回っていれば、装置20内に超臨界流体を流入させた際、超臨界流体の圧力が低下する。圧力が低下すると超臨界流体が気体になることがある。この気体を再度超臨界流体にするためには、少なくともその気体に圧力を加える必要がある。装置20内の圧力が低ければ低いほど、その気体を再度超臨界流体にするためには大きな圧力を追加する必要がある。混合物へ予め圧力を加えておくと、予め圧力を加えない場合に比べ、装置20内の平均圧力を高くすることができる。装置20内の平均圧力が高ければ、超臨界流体だった気体を再度超臨界流体にするために追加しなければならない圧力は小さくなる。場合によっては、収容部450内に入った超臨界流体が気体とならないこともある。追加する圧力が小さければ、その圧力追加のためのエネルギも小さくなる。超臨界流体を生成するためのエネルギの消費と圧力追加のためのエネルギの消費とを抑えられるので、固体成分と液体成分とを含む混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態にかかる流体除去システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる液体取出装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるシリンダユニットの断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる原料受入ユニットの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる精製水供給ユニットと洗浄液供給ユニットとの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる排水一次受入ユニットの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる二酸化炭素供給装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態にかかる二酸化炭素再生装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態にかかる洗浄液再生装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態にかかる製品受入ユニットの構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態にかかる排水二次受入ユニットとの構成を示す図である。
【図12】本発明の実施形態にかかる流体除去方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
〈流体除去システムの構成の説明〉
図1を参照しつつ、本実施形態にかかる流体除去システムの構成を説明する。本実施形態にかかる流体除去システムは、液体取出装置20と、原料受入ユニット22と、精製水供給ユニット24と、洗浄液供給ユニット26と、排水一次受入ユニット28と、二酸化炭素供給装置30と、二酸化炭素再生装置32と、洗浄液再生装置34と、チラーユニット36と、製品受入ユニット38と、排水二次受入ユニット40とを備える。
【0023】
本実施形態における混合物とは、固体成分と液体成分とが混じったものを言う。固体成分の例には、粒子がある。液体成分の例には、水溶液がある。ただし、固体成分および液体成分は特に限定されるものではない。本実施形態における液体取出装置20は混合物から液体成分の一部を取出す装置である。本実施形態の場合、濾過によりその混合物から液体成分が取出される。原料受入ユニット22は、図示しない周知の水熱合成装置から混合物を受入れる。原料受入ユニット22は、その混合物を上澄み部分とそうでない部分とに分離させるユニットでもある。その上澄み部分は排水二次受入ユニット40に排出される。これにより、上澄み部分が排出されることに伴って、混合物の液体成分の一部はその混合物から取除かれることとなる。上澄み部分が取除かれた混合物は原料受入ユニット22によって液体取出装置20に供給される。精製水供給ユニット24は精製水を液体取出装置20へ供給する。また、精製水供給ユニット24は液体取出装置20から排出された精製水を受入れる。洗浄液供給ユニット26は液体取出装置20へ洗浄液を供給する。本実施形態の場合、この洗浄液はエタノールである。排水一次受入ユニット28は液体取出装置20から排出された使用済み洗浄液と排水とを受入れる。排水一次受入ユニット28は洗浄液を洗浄液再生装置34に排出する。排水一次受入ユニット28は図示しない流路を介して排水を排水二次受入ユニット40に排出する。二酸化炭素供給装置30は二酸化炭素を加熱と加圧とにより超臨界状態にする。二酸化炭素供給装置30は超臨界状態になった二酸化炭素を液体取出装置20へ供給する。二酸化炭素再生装置32は二酸化炭素から液体分を取除く。この二酸化炭素は液体取出装置20から排出されたものである。液体分が取除かれた二酸化炭素は二酸化炭素供給装置30へ供給される。洗浄液再生装置34は使用済み洗浄液から不純物を取除く。本実施形態の場合、不純物は水とヘキシルアミンとを含む。不純物が取除かれた洗浄液は洗浄液供給ユニット26に供給される。洗浄液再生装置34は不純物を排水二次受入ユニット40に排出する。チラーユニット36は冷水を供給する。チラーユニット36の具体的構造は周知である。したがってここではその詳細な説明を繰返さない。製品受入ユニット38は固体成分を受入れる。この固体成分は液体取出装置20から供給されたものである。本実施形態の場合にはこの固体成分が製品となる。排水二次受入ユニット40は、原料受入ユニット22から排出された上澄み液と、排水一次受入ユニット28から排出された排水と、洗浄液再生装置34から排出された水およびヘキシルアミン(水とヘキシルアミンとは2層に分離している。下層が水である。上層がヘキシルアミンである。)とを受入れる。排水二次受入ユニット40はそれらの排水および不純物からヘキシルアミンを抽出する。
【0024】
〈液体取出装置の構造の説明〉
図2を参照しつつ、本実施形態にかかる液体取出装置20について説明する。本実施形態にかかる液体取出装置20は、シリンダユニット180と、加圧ポンプ182と、精製水供給路逆止弁184と、精製水供給路開閉弁186と、精製水排出路開閉弁188と、精製水排出路逆止弁190と、二酸化炭素排出路開閉弁192と、圧力トランスミッタ194と、二酸化炭素排出路減圧弁196と、二酸化炭素排気弁198と、二酸化炭素用ニードルバルブ200とを有する。
【0025】
シリンダユニット180は、原料受入ユニット22から供給された混合物に対し洗浄処理と乾燥処理とを行う。その構造は後述される。加圧ポンプ182はシリンダユニット180に対して精製水を供給する。本実施形態において、この精製水は、伝達流体として用いられる。本実施形態における伝達流体とは、後述する区画部材460へ圧力を伝達するための流体のことである。精製水供給路逆止弁184は精製水供給ユニット24からシリンダユニット180へ至る流路に設けられている。精製水供給路逆止弁184は流れが逆流することを防ぐ。これにより、その流路では精製水供給ユニット24からシリンダユニット180へ向かって精製水が流れる。精製水供給路開閉弁186も精製水供給ユニット24からシリンダユニット180へ至る流路に設けられている。精製水供給路開閉弁186はその流路を開閉する。精製水排出路開閉弁188はシリンダユニット180から精製水供給ユニット24へ至る流路に設けられている。精製水排出路開閉弁188はその流路を開閉する。精製水排出路逆止弁190もシリンダユニット180から精製水供給ユニット24へ至る流路に設けられている。精製水排出路逆止弁190は流れが逆流することを防ぐ。これにより、その流路ではシリンダユニット180から精製水供給ユニット24へ向かって精製水が流れる。二酸化炭素排出路開閉弁192はシリンダユニット180から二酸化炭素再生装置32へ至る流路に設けられている。二酸化炭素排出路開閉弁192はその流路を開閉する。圧力トランスミッタ194は、その流路の圧力ひいてはシリンダユニット180内の圧力を検知する。二酸化炭素排出路減圧弁196は二酸化炭素排出路開閉弁192を通過した二酸化炭素の圧力を低下させる。二酸化炭素排気弁198はシリンダユニット180から液体取出装置20の外へ至る流路に設けられている。二酸化炭素排気弁198はその流路を開閉する。二酸化炭素用ニードルバルブ200もその流路に設けられている。二酸化炭素用ニードルバルブ200は二酸化炭素排気弁198が開いた時の二酸化炭素の放出量を調整する。
【0026】
図3は本実施形態にかかるシリンダユニット180の断面図である。図3を参照しつつ、本実施形態にかかるシリンダユニット180の構造を説明する。本実施形態にかかるシリンダユニット180は、収容部450と、濾過取出部452と、伝達流体管454と、混合物管456と、二酸化炭素供給管458と、二酸化炭素排出管459とを備える。収容部450は、上述した混合物と精製水と洗浄液とを収容する。収容部450は、混合物の濾過後、その混合物と共に超臨界流体を収容する。本実施形態において、その超臨界流体は超臨界状態の二酸化炭素である。濾過取出部452は、収容部450内の混合物を濾過するものである。これにより、濾過取出部452は、その混合物から液体成分を取出すこととなる。また、濾過取出部452は、固体成分を収容部450内に残留させることとなる。また、濾過取出部452は、収容部450の中を流体室470と混合物室472とに区切る。流体室470は精製水が出入りする空間である。流体室470には、漏れを除けば、混合物が入ることはない。すなわち、流体室470は、混合物の浸入が抑えられる空間である。混合物室472は混合物と超臨界流体とが出入りする空間である。混合物室472には、洗浄のために洗浄液(すなわち、本実施形態の場合にはエタノール)も出入りする。伝達流体管454は流体室470と連通する。精製水は伝達流体管454を通過して流体室470に流入したり流体室470から流出したりする。混合物管456は混合物室472と連通する。混合流体は混合物管456を通過して混合物室472に流入する。二酸化炭素供給管458は混合物室472と連通する。超臨界状態の二酸化炭素は二酸化炭素供給管458を通過して混合物室472に流入する。二酸化炭素排出管459は、液体成分を超臨界流体に置換する際に、混合物室472と連通する。また、二酸化炭素排出管459は二酸化炭素排出路開閉弁192に連通する。これにより、液体成分を超臨界流体に置換する際に、超臨界状態の二酸化炭素は二酸化炭素排出管459を通過して混合物室472から流出する。
【0027】
収容部450は、筒状部480と、プラグ482と、密封リング484とを有する。本実施形態にかかる筒状部480は断面が円形の部材である。この筒状部480は底部490と口部492とを有する。底部490には混合物路494と二酸化炭素流入路496とが設けられている。上述した混合物管456は混合物路494を介して混合物室472と連通する。つまり、混合物路494から混合物が出入りする。上述した二酸化炭素供給管458は二酸化炭素流入路496を介して混合物室472と連通する。つまり、二酸化炭素流入路496から超臨界状態の二酸化炭素が流入する。また、筒状部480には二酸化炭素排出路498が設けられている。上述した二酸化炭素排出管459は二酸化炭素排出路498を介して収容部450内部と連通する。つまり、二酸化炭素排出路498から超臨界状態の二酸化炭素が流出する。プラグ482は、筒状部480の口部492の奥に挿入される。プラグ482の中心には管スライド孔500が設けられている。後述する排出管510はその管スライド孔500を貫通する。その管スライド孔500にはシール502が形成されている。そのシール502があるので、管スライド孔500の内周面と排出管510の外周面との隙間からの漏液が抑えられている。また、プラグ482には、伝達流体路504も設けられている。上述した伝達流体管454は伝達流体路504を介して流体室470と連通する。つまり、伝達流体路504から精製水が出入りする。密封リング484は環状の部材である。伝達流体管454と排出管510とはその中を貫通する。密封リング484の外周面にはおねじが形成されている。筒状部480の口部492の内周面にはめねじが形成されている。プラグ482が収容されている状態で密封リング484のおねじを筒状部480の口部492の内周面のめねじにねじ込むことにより、密封リング484は筒状部480に取付けられる。このような構造となっているので、排出管510は収容部450を貫通することとなる。
【0028】
濾過取出部452は、区画部材460と、濾過材462と、保護材464と、再混入防止部466とを有する。区画部材460には濾過材462が取付けられる。区画部材460は筒状部480の内周面に沿って収容部450内をスライドする。濾過取出部452のうち区画部材460が収容部450内を流体室470と混合物室472とに区画する。濾過材462は収容部450内の混合物を濾過する。濾過材462そのものの材質および構造は周知である。したがって、ここではその詳細な説明は繰返さない。保護材464は濾過材462が後述するマグネチックスターラ回転子600によって損傷を受けることを防ぐ。本実施形態の場合、保護材464の中央部分に孔が設けられている。混合物はその孔を通って濾過取出部452の中に入る。再混入防止部466は濾過液が混合物に再混入することを防止する。
【0029】
再混入防止部466は、排出管510と、洗浄液供給路逆止弁512と、洗浄液供給路開閉弁514と、排水排出路開閉弁516と、排水排出路逆止弁518とを有する。排出管510は濾過液を収容部450の外へ排出する。排出管510は区画部材460に取付けられている。これにより、排出管510は、区画部材460と共に移動することとなる。排出管510は濾過材462と区画部材460との隙間に連通している。これにより、濾過材462を通過した濾過液は排出管510内に入る。排出管510はその濾過液を通過させる。洗浄液供給路逆止弁512は洗浄液供給ユニット26からシリンダユニット180へ至る流路に設けられる。洗浄液供給路逆止弁512はその流路における流れが逆流することを防ぐ。これにより、その流路では洗浄液供給ユニット26からシリンダユニット180へ向かって洗浄液が流れる。洗浄液供給路開閉弁514も洗浄液供給ユニット26からシリンダユニット180へ至る流路に設けられる。洗浄液供給路開閉弁514はその流路を開閉する。排水排出路開閉弁516はシリンダユニット180から排水一次受入ユニット28へ至る流路に設けられる。排水排出路開閉弁516はその流路を開閉する。排水排出路逆止弁518もシリンダユニット180から排水一次受入ユニット28へ至る流路に設けられる。排水排出路逆止弁518はその流路における流れが逆流することを防ぐ。これにより、その流路ではシリンダユニット180から排水一次受入ユニット28へ向かって排水が流れる。洗浄液供給路逆止弁512と、洗浄液供給路開閉弁514と、排水排出路開閉弁516と、排水排出路逆止弁518とは排出管510に接続されている。これらが設けられていることにより、収容部450内の平均圧力が高い状態を維持できる。
【0030】
なお、排出管510にはしるし520が取付けられている。また、密封リング484にはブラケット530が取付けられている。ブラケット530に第1近接センサ540と第2近接センサ542と第3近接センサ544とが取付けられている。第1近接センサ540と第2近接センサ542と第3近接センサ544とが排出管510のしるし520を検知することにより、収容部450内部における濾過取出部452の位置を検知することができる。本実施形態の場合、第3近接センサ544の位置は第1近接センサ540と第2近接センサ542との間である限り任意に設定可能である。
【0031】
なお、本実施形態の場合、シリンダユニット180内には、マグネチックスターラ回転子600が収容されている。マグネチックスターラ回転子600が収容されているのは、混合物が含む固体成分の沈殿を防止するためである。また、本実施形態の場合、シリンダユニット180は、図示しない2つの圧力センサを有する。それらの圧力センサの一方は流体室470内部の圧力を検知する。それらの圧力センサの他方は混合物室472内部の圧力を検知する。
【0032】
〈原料受入ユニットの構造の説明〉
図4は本実施形態にかかる原料受入ユニット22の構成を示す図である。図4を参照しつつ、本実施形態にかかる原料受入ユニット22の構成を説明する。原料受入ユニット22は、原料受入槽210と、撹拌機212と、上澄排出路開閉弁214と、混合物供給ポンプ216と、混合物供給路開閉弁218と、混合物排出路開閉弁220と、混合物レベルセンサ222と、濁度センサ224とを有する。原料受入槽210は原料を一時的に蓄える。本実施形態における「原料」とは上述した混合物のことである。撹拌機212は原料受入槽210内部の上述した混合物を撹拌する。これにより、上澄みが取除かれた後の混合物が撹拌されることとなる。上澄排出路開閉弁214は原料受入槽210から排水二次受入ユニット40へ至る流路に設けられる。上澄排出路開閉弁214はその流路を開閉する。上澄排出路開閉弁214が開いている時、上述した上澄みは排水二次受入ユニット40へ排出されることとなる。混合物供給ポンプ216は上述した混合物(上澄みが取除かれたもの)をシリンダユニット180へ供給する。混合物供給路開閉弁218は混合物供給ポンプ216からシリンダユニット180へ至る流路に設けられる。混合物供給路開閉弁218はその流路を開閉する。混合物排出路開閉弁220は混合物供給ポンプ216から排水二次受入ユニット40へ至る流路に設けられる。混合物排出路開閉弁220はその流路を開閉する。混合物レベルセンサ222は原料受入槽210内部における混合物の量を検知する。濁度センサ224は原料受入槽210のうち、上澄み液の吸込口付近に配置される。濁度センサ224は上澄み液の濁度を検知する。
【0033】
〈精製水供給ユニットの構成の説明〉
図5は本実施形態にかかる精製水供給ユニット24と洗浄液供給ユニット26との構成を示す図である。図5を参照しつつ、精製水供給ユニット24の構成について説明する。精製水供給ユニット24は、精製水貯槽230を有する。精製水貯槽230は精製水を貯える。この精製水がシリンダユニット180へ供給される。
【0034】
〈洗浄液供給ユニットの構成の説明〉
図5を参照しつつ、洗浄液供給ユニット26の構成について説明する。洗浄液供給ユニット26は、洗浄液貯槽240と、洗浄液供給ポンプ242と、供給路切替弁244とを有する。洗浄液貯槽240は洗浄液を貯える。洗浄液供給ポンプ242は原則として洗浄液をシリンダユニット180に供給する。本実施形態にかかる流体除去システムにおいて、洗浄液供給ポンプ242は精製水も供給できる。供給路切替弁244は流路を切替える。この切替えにより、洗浄液供給ポンプ242が供給するものが精製水か洗浄液かが確定する。
【0035】
〈排水一次受入ユニットの構成の説明〉
図6は本実施形態にかかる排水一次受入ユニット28の構成を示す図である。図6を参照しつつ、排水一次受入ユニット28の構成について説明する。排水一次受入ユニット28は、排水貯槽250と、洗浄排水貯槽252と、受入路切替弁254とを有する。排水貯槽250は排水となった精製水を貯える。洗浄排水貯槽252は使用済み洗浄液を貯える。受入路切替弁254は流路を切替える。これにより、シリンダユニット180から排出された液体が排水貯槽250に流入するのか洗浄排水貯槽252に流入するのかが確定する。
【0036】
〈二酸化炭素供給装置の構成の説明〉
図7は本実施形態にかかる二酸化炭素供給装置30の構成を示す図である。図7を参照しつつ、二酸化炭素供給装置30の構成について説明する。二酸化炭素供給装置30は、追加冷却器260と、二酸化炭素供給ポンプ262と、加熱装置264と、二酸化炭素供給路開閉弁266とを有する。追加冷却器260は、二酸化炭素再生装置32から供給された二酸化炭素を冷却する。追加冷却器260が二酸化炭素を冷却するのは、二酸化炭素再生装置32から供給された二酸化炭素が流路の外部から受けた熱を除去する(その結果として二酸化炭素をいったん液化させる)ためである。二酸化炭素供給ポンプ262は二酸化炭素に圧力を加える。加熱装置264は二酸化炭素を加熱する。これにより、二酸化炭素は超臨界状態となる。二酸化炭素供給路開閉弁266は加熱装置264からシリンダユニット180へ至る流路に設けられる。二酸化炭素供給路開閉弁266はこの流路を開閉する。
【0037】
〈二酸化炭素再生装置の構成の説明〉
図8は本実施形態にかかる二酸化炭素再生装置32の構成を示す図である。図8を参照しつつ、二酸化炭素再生装置32の構成について説明する。二酸化炭素再生装置32は、 分離器270と、液化冷却器272と、二酸化炭素回収器274と、二酸化炭素補充路276と、排水用減圧弁278と、排水用開閉弁280と、排水レベルセンサ282とを有する。分離器270は、液体取出装置20から排出された二酸化炭素を排水と気体の二酸化炭素とに分離する。液化冷却器272は分離器270から排出された二酸化炭素を冷却する。これによりその二酸化炭素の少なくとも一部は液化する。二酸化炭素回収器274は、液化冷却器272から排出された二酸化炭素のうち液体のものを回収する。二酸化炭素補充路276はガスボンベ700に予め貯えられている液化二酸化炭素を二酸化炭素回収器274へ供給する。これにより二酸化炭素が補充される。排水用減圧弁278は排水の圧力を減圧する。排水用開閉弁280は分離器270から洗浄液再生装置34へ至る流路に設けられる。排水用開閉弁280はその流路を開閉する。排水レベルセンサ282は分離器270内の排水の水位を検知する。なお、二酸化炭素補充路276は補充路用減圧弁277と補充路開閉弁279とを有する。補充路用減圧弁277はガスボンベ700の圧力を減圧する。補充路開閉弁279は二酸化炭素補充路276を開閉する。
【0038】
〈洗浄液再生装置の構成の説明〉
図9は本実施形態にかかる洗浄液再生装置34の構成を示す図である。図9を参照しつつ、洗浄液再生装置34の構成について説明する。洗浄液再生装置34は、蒸留装置290と、廃熱利用油熱交換器292と、電気熱交換器294と、覗き窓298と、冷水熱交換器300と、冷水路開閉弁302と、排水開閉弁304とを有する。蒸留装置290は排水を蒸留する。上述したとおり、本実施形態にかかる洗浄液はエタノールである。洗浄液がエタノールなので、排水を加熱するとそのエタノールは蒸留されることとなる。これにより洗浄液の再生が可能となる。廃熱利用油熱交換器292は高温の油の熱(この熱は熱源710から発生した廃熱である)を蒸留装置290に供給する。電気熱交換器294は電力から得られた熱を蒸留装置290に供給する。覗き窓298は蒸留によって気化したエタノールの流路を人が覗くためのものである。冷水熱交換器300は気化したエタノールから冷水によって熱を奪う。これによりエタノールは液化する。冷水熱交換器300で利用される冷水はチラーユニット36から供給される。冷水路開閉弁302はエタノールの流路を開閉する。排水開閉弁304は蒸留装置290から排水二次受入ユニット40へ至る流路に設けられる。排水開閉弁304はその流路を開閉する。
【0039】
〈製品受入ユニットの構成の説明〉
図10は本実施形態にかかる製品受入ユニット38の構成を示す図である。図10を参照しつつ、製品受入ユニット38の構成について説明する。製品受入ユニット38は、製品受入槽310と、排気ポンプ312と、リーク弁314と、製品排出路開閉弁316と、製品受入路開閉弁318と、製品レベルセンサ320とを有する。製品受入槽310は製品を一時的に貯える。この製品は製品受入槽310から容器702へ供給される。排気ポンプ312は製品受入槽310から気体を排出する。リーク弁314は製品受入槽310の内部と外部とを連通させる流路に設けられる。リーク弁314はその流路を開閉する。これにより、気圧が低下した製品受入槽310の内部へその外部から大気が流入することとなる。大気が流入するので、製品受入槽310の内部の気圧は大気圧に等しくなる。製品排出路開閉弁316は製品受入槽310から製品の排出口へ至る流路に設けられる。製品排出路開閉弁316はその流路を開閉する。製品受入路開閉弁318はシリンダユニット180から製品受入槽310へ至る流路に設けられる。製品受入路開閉弁318はその流路を開閉する。製品レベルセンサ320は製品受入槽310における製品の量を検知する。
【0040】
〈排水二次受入ユニットの構成の説明〉
図11は本実施形態にかかる排水二次受入ユニット40の構成を示す図である。図11を参照しつつ、排水二次受入ユニット40の構成について説明する。排水二次受入ユニット40は、排水分離槽330と、分離水水路開閉弁332と、有機物貯槽334と、廃水貯槽336と、有機物排出バルブ338とを有する。排水分離槽330は排水を一時的に貯える。その間に排水から有機物(本実施形態の場合にはヘキシルアミン)が上澄みとして分離する(本実施形態の場合にはこの有機物が修飾剤として用いられる)。分離水水路開閉弁332は排水分離槽330から廃水貯槽336に至る流路に設けられる。分離水水路開閉弁332はその流路を開閉する。この流路には上澄みが分離した後の排水が流れる。有機物貯槽334は排水分離槽330において上澄みとして分離した有機物(ヘキシルアミン)を貯える。廃水貯槽336は上澄みが分離した後の排水を貯える。また、廃水貯槽336は原料受入ユニット22から排出された排水も貯える。有機物排出バルブ338は、排水分離槽330から有機物貯槽334に至る流路に設けられる。有機物排出バルブ338はその流路を開閉する。これにより、排水分離槽330に有機物(ヘキシルアミン)が貯まると、排水分離槽330において分離されたその有機物を有機物貯槽334に蓄えることができる。
【0041】
〈流体除去方法の説明〉
図12は本実施形態にかかる流体除去方法の手順を示す図である。図12を参照しつつ、本実施形態にかかる流体除去方法について説明する。なお、本実施形態にかかる流体除去システムは制御を必要とする。その制御は手動によるものであってもシーケンサなどによる自動制御であっても手動制御と自動制御との併用であってもよい。以下の説明では、図示しないシーケンサによる自動制御と手動制御との併用を行う場合につき説明する。
【0042】
S320にて、上述した水熱合成装置から原料である混合物が排出される。その混合物は原料受入槽210に流入する。この時、撹拌機212は停止状態とする。混合物の固体成分が沈降するのを待つためである。その後、濁度センサ224が上澄み液の濁度を検知する。濁度センサ224は、検知した濁度を示す信号をシーケンサに送信する。固体成分が沈降した結果その検知された濁度が所定の値を下回っていた場合(上澄み液が澄んでいた場合)、および、混合物の液量が所定の量以上である場合(この場合、濁度は問題とされない)、シーケンサは、上澄排出路開閉弁214が流路を開くようこれを制御する。これにより、上澄み液は廃水貯槽336に排出される。これと並行して、混合物レベルセンサ222は原料受入槽210内部における混合物の液量を検知する。混合物レベルセンサ222は、自らが検知した混合物の液量を示す信号をシーケンサに送信する。
【0043】
S322にて、シーケンサは、精製水排出路開閉弁188が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、精製水供給路開閉弁186が流路を開くようこれを制御する。シーケンサは、二酸化炭素供給路開閉弁266が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、二酸化炭素排出路開閉弁192が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、二酸化炭素排気弁198が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、混合物供給路開閉弁218が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、混合物排出路開閉弁220が流路を開くようこれを制御する。また、シーケンサは、洗浄液供給路開閉弁514が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、排水排出路開閉弁516が流路を開くようこれを制御する。シーケンサは、排水排出路開閉弁516から排水貯槽250までが通じるように受入路切替弁254を制御する。これらの弁が制御されると、シーケンサは、加圧ポンプ182が起動するようこれを制御する。起動した加圧ポンプ182は、精製水貯槽230の精製水をシリンダユニット180の伝達流体管454内に供給する。その精製水は伝達流体管454を経て流体室470内に流入する。これにより、当初は流体室470内部のエア抜きが行われる。その後、濾過取出部452は精製水に押されて筒状部480の底部490方向へ移動する。その後、第1近接センサ540がしるし520を検知すると、第1近接センサ540はそのことを示す信号をシーケンサに送信する。その信号を受信したシーケンサは加圧ポンプ182が停止するようこれを制御する。加圧ポンプ182が停止すると濾過取出部452の動きも止まる。その後、シーケンサは、精製水供給路開閉弁186が流路を閉じるようこれを制御する。精製水供給路開閉弁186が閉じると、シーケンサは、撹拌機212が起動するようこれを制御する。撹拌機212が起動することにより、原料受入槽210内部の混合物は撹拌される。撹拌機212が起動すると、シーケンサは、混合物供給ポンプ216が起動するようこれを制御する。また、シーケンサは、混合物供給路開閉弁218が流路を開くようこれを制御する。また、シーケンサは、混合物排出路開閉弁220が流路を閉じるようこれを制御する。また、シーケンサは、精製水排出路開閉弁188が流路を開くようこれを制御する。混合物供給ポンプ216が起動し、混合物供給路開閉弁218が開き、混合物排出路開閉弁220が閉じ、洗浄液供給路開閉弁514が閉じ、排水排出路開閉弁516が開き、かつ、精製水排出路開閉弁188が開くと、原料受入槽210内の混合物はシリンダユニット180の混合物室472内へ供給される。混合物室472内へ供給された混合物のうち液体成分の一部は、濾過取出部452の濾過材462を通過して排出管510内に移動する。移動したその液体成分は最終的に排水貯槽250に流入する。混合物のうち固体成分は濾過材462に遮られるため混合物室472に残留する。また、濾過取出部452は混合物に押されることで収容部450の内部を移動する。これにより、流体室470内にもともとあった精製水は伝達流体管454を経て流体室470外に流出する。流出した精製水は精製水排出路開閉弁188および精製水排出路逆止弁190を経て精製水貯槽230に戻る。濾過取出部452が収容部450のプラグ482に近づいた結果として第2近接センサ542がしるし520を検知すると、第2近接センサ542はそのことを示す信号をシーケンサに送信する。その信号を受信した後も、ろ過は継続される。混合物レベルセンサ222が所定のレベルに達した時点でシーケンサは排水排出路開閉弁516が流路を閉じるようこれを制御する。なお、混合物供給ポンプ216はその起動から所定の時間が経過するとシーケンサによって停止するよう制御される。また、本実施形態の場合、混合物供給ポンプ216が起動してから停止するまでの間、マグネチックスターラ回転子600は動作しない。混合物中の固体成分の沈降を促すためである。沈降を促すことにより、沈降を促さない場合に比べ、混合物の濾過が容易になる。混合物供給ポンプ216が停止すると、シーケンサは、混合物供給路開閉弁218が流路を閉じるようこれを制御する。
【0044】
S324にて、シーケンサは、精製水排出路開閉弁188が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、加圧ポンプ182が起動するようこれを制御する。シーケンサは、精製水供給路開閉弁186が流路を開くようこれを制御する。精製水供給路開閉弁186が開くと、精製水はシリンダユニット180の伝達流体管454を経て流体室470内に流入する。シーケンサは、排水排出路開閉弁516が流路を開くようこれを制御する。シーケンサは、排水排出路開閉弁516から排水貯槽250までが通じるように受入路切替弁254を制御する。加圧ポンプ182が精製水を供給することによりシリンダユニット180の区画部材460に力が加えられる。力が加えられた濾過取出部452は筒状部480の底部490方向へ移動する。濾過取出部452の移動に伴い、混合物は濾過材462により濾過される。取出された液体成分は排出管510内に移動する。移動したその液体成分は最終的に排水貯槽250に流入する。その濾過により、混合物から液体成分が取出される。その際、濾過取出部452を介して混合物に圧力が加えられる。液体成分が取出されたことにより、混合物室472には固体成分とわずかの液体成分とが残留する。混合物供給ポンプ216が停止してから混合物の濾過が終わるまでの間も、マグネチックスターラ回転子600は停止したままである。混合物の沈降を促すためである。その後、第1近接センサ540がしるし520を検知すると、第1近接センサ540はそのことを示す信号をシーケンサに送信する。その信号を受信したシーケンサは、精製水供給路開閉弁186が流路を閉じるようこれを制御する。また、シーケンサは加圧ポンプ182が停止するようこれを制御する。これにより、混合物の濾過が終了する。この説明から明らかなように、本実施形態において、加圧ポンプ182は、濾過取出部452が混合物を濾過する際に濾過取出部452を介して混合物へ圧力を加えている。
【0045】
S326にて、シーケンサは、洗浄液供給ポンプ242が起動するようこれを制御する。また、シーケンサは、洗浄液供給路開閉弁514が流路を開くようこれを制御する。また、シーケンサは、排水排出路開閉弁516が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、精製水排出路開閉弁188が流路を開くようこれを制御する。洗浄液供給ポンプ242が起動し、洗浄液供給路開閉弁514が流路を開き、排水排出路開閉弁516が流路を閉じ、かつ、精製水排出路開閉弁188が流路を開くと、洗浄液がシリンダユニット180の排出管510と濾過材462と保護材464とを経て混合物室472内に流入する。これに伴い、濾過取出部452は洗浄液に押されて筒状部480の口部492方向へ移動する。これと同時に、シーケンサは、マグネチックスターラ回転子600が起動するようこれを制御する。これにより、液体成分が取出された後の混合物と洗浄液とが混合される。その後、第3近接センサ544がしるし520を検知すると、第3近接センサ544はそのことを示す信号をシーケンサに送信する。その信号を受信したシーケンサは洗浄液供給ポンプ242が停止するようこれを制御する。洗浄液供給ポンプ242が停止すると、シーケンサは、洗浄液供給路開閉弁514が流路を閉じるようこれを制御する。また、シーケンサは、精製水排出路開閉弁188が流路を閉じるようこれを制御する。その後、マグネチックスターラ回転子600が起動してから所定の時間が経過すると、シーケンサは、マグネチックスターラ回転子600が停止するようこれを制御する。
【0046】
S328にて、シーケンサは、加圧ポンプ182が起動するようこれを制御する。シーケンサは、精製水供給路開閉弁186が流路を開くようこれを制御する。精製水供給路開閉弁186が開くことにより、精製水貯槽230の精製水は、シリンダユニット180の伝達流体管454を経て流体室470内に流入する。シーケンサは、排水排出路開閉弁516が流路を開くようこれを制御する。シーケンサは、排水排出路開閉弁516から洗浄排水貯槽252までが通じるように受入路切替弁254を制御する。これにより、濾過取出部452は精製水に押されて筒状部480の底部490方向へ移動する。濾過取出部452の移動に伴い、濾過材462は、混合物室472内の流体を濾過する。その濾過により、その流体から洗浄液が取出される。取出された洗浄液は排出管510内に移動する。移動したその洗浄液は最終的に洗浄排水貯槽252に流入する。その後、第1近接センサ540がしるし520を検知すると、第1近接センサ540はそのことを示す信号をシーケンサに送信する。その信号を受信したシーケンサは加圧ポンプ182が停止するようこれを制御する。加圧ポンプ182が停止すると、シーケンサは、精製水供給路開閉弁186が流路を閉じるようこれを制御する。これにより、混合物室472内の流体から洗浄液を取出す工程は終了する。この工程により、混合物中の固体成分が洗浄されることとなる。より詳しく述べると、この工程で、固体成分の表面に付着していたヘキシルアミンが洗浄液により除去されたこととなる。
【0047】
S330にて、シーケンサは、洗浄液を混合物室472内へ一旦流入させてから取出すための一連の制御を行う。上述した説明から明らかな通り、この制御は混合物中の固体成分の洗浄を目的としている。そのための具体的な手順はS326およびS328と同様なので、ここではその詳細な説明は繰返さない。本実施形態の場合、その一連の制御の繰返し回数は予め定められている。
【0048】
S332にて、シーケンサは、洗浄液供給路開閉弁514が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、排水排出路開閉弁516が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、精製水供給路開閉弁186を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、二酸化炭素排気弁198が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、混合物排出路開閉弁220が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、製品受入路開閉弁318が流路を閉じるようこれを制御する。シーケンサは、精製水排出路開閉弁188が流路を開くようこれを制御する。シーケンサは、二酸化炭素排出路開閉弁192が流路を開くようこれを制御する。シーケンサは、二酸化炭素供給路開閉弁266が流路を開くようこれを制御する。シーケンサは、チラーユニット36が起動するようこれを制御する。チラーユニット36が起動することにより、液化冷却器272も追加冷却器260も起動する。シーケンサは、補充路開閉弁279が二酸化炭素補充路276を開くようこれを制御する。補充路開閉弁279が二酸化炭素補充路276を開くと、ガスボンベ700内の二酸化炭素は、二酸化炭素補充路276と二酸化炭素回収器274とを経て二酸化炭素供給装置30に流入する。二酸化炭素供給装置30に流入した二酸化炭素は追加冷却器260に入る。追加冷却器260の中で、二酸化炭素は冷却される。二酸化炭素が冷却されるのは、二酸化炭素供給装置30に流入するまでに二酸化炭素が外部から受けた熱を二酸化炭素供給ポンプ262に入る前に一旦取り除き液体状態の二酸化炭素を確実に送液するためである。二酸化炭素が二酸化炭素供給装置30に流入すると、シーケンサは、二酸化炭素供給ポンプ262が起動するようこれを制御する。二酸化炭素供給ポンプ262は、追加冷却器260によって冷却された二酸化炭素に圧力を加える。二酸化炭素供給ポンプ262により圧力を加えられた二酸化炭素は加熱装置264によって加熱される。圧力が加えられ、かつ、加熱されることで、二酸化炭素は超臨界状態となる。超臨界状態となった二酸化炭素すなわち本実施形態における超臨界流体がシリンダユニット180の混合物室472内に流入する。混合物室472内に超臨界流体が流入すると、濾過取出部452は超臨界流体に押されることで収容部450の内部を移動する。これにより、流体室470内にもともとあった精製水は精製水貯槽230に戻る。この時、混合物室472内に残っていた洗浄液の一部とヘキシルアミンの一部とは超臨界流体に溶解する。濾過取出部452が収容部450のプラグ482に近づいた結果として第2近接センサ542がしるし520を検知すると、第2近接センサ542はそのことを示す信号をシーケンサに送信する。その信号を受信したシーケンサは精製水排出路開閉弁188が流路を閉じるようこれを制御する。精製水排出路開閉弁188が閉じた後も、二酸化炭素供給ポンプ262はシリンダユニット180内に超臨界流体を供給する。これにより、混合物室472内の圧力は次第に上昇する。圧力トランスミッタ194は流路の圧力ひいてはシリンダユニット180内の圧力を示す信号を繰り返しシーケンサに送信している。二酸化炭素排出路減圧弁196は水とエタノールとヘキシルアミンとを含む二酸化炭素を減圧する。減圧された二酸化炭素は分離器270に流入する。分離器270の内部において二酸化炭素は気体になる。分離器270の内部において水とエタノールとヘキシルアミンとは液体のままである。これにより分離器270の内部において気体と液体とが分離することとなる。分離した気体(二酸化炭素)は液化冷却器272に流入する。このような状態に達した後、シーケンサは、所定の時間、二酸化炭素供給路開閉弁266が流路を開閉するための制御を続ける。その間、シリンダユニット180内の超臨界流体は少しずつ入替る。洗浄液とヘキシルアミンとは超臨界流体に溶解する。これにより、シリンダユニット180内の水分とヘキシルアミンと洗浄液とが少しずつ固体成分から取除かれる。超臨界流体に溶解した水分とヘキシルアミンと洗浄液とは超臨界流体と共にシリンダユニット180の外に出る。こうして固体成分は洗浄される。同時に固体成分は乾燥する。乾燥した固体成分が製品となる。なお、本実施形態の場合、超臨界流体が入替っている間のシリンダユニット180内の圧力は25メガパスカルである。ただしシリンダユニット180内の圧力は特に限定されるものではない。同様に、加熱装置264が二酸化炭素の温度を何ケルビンまで上昇させるかということは特に限定されるものではない。本実施形態の場合、それは、二酸化炭素が超臨界状態となる313ケルビン(摂氏約40度)である。
【0049】
S334にて、二酸化炭素供給路開閉弁266が流路を開閉するための制御を継続した時間が所定の値を超えると、シーケンサは、二酸化炭素供給ポンプ262が停止するようこれを制御する。二酸化炭素供給ポンプ262が停止すると、シーケンサは、二酸化炭素排出路開閉弁192が流路を閉じるよう制御する。シーケンサは、二酸化炭素供給路開閉弁266が流路を閉じるよう制御する。シーケンサは、製品受入路開閉弁318が流路を閉じるよう制御する。シーケンサは、二酸化炭素排気弁198が流路を開くようこれを制御する。二酸化炭素排気弁198が流路を開くとこれを通してシリンダユニット180内の超臨界流体が液体取出装置20の外へ放出される。放出された超臨界流体は気化する。その際、超臨界流体の放出速度は二酸化炭素用ニードルバルブ200で調整する。これにより、超臨界流体をゆっくりと放出することが可能になる。このとき、製品排出路開閉弁316は予め流路を閉じている。シーケンサは、リーク弁314が流路を閉じるよう制御する。シーケンサは、排気ポンプ312をこれが起動するよう制御する。これにより、製品受入槽310内部の真空度は次第に高くなる。すなわち製品受入槽310内部の気圧は次第に低くなる。排気ポンプ312が起動してから所定の時間が経過すると、シーケンサは、製品受入路開閉弁318をこれが開くよう制御する。これにより、シリンダユニット180内の製品が製品受入槽310内に排出される。製品受入槽310内に排出された製品の量は製品レベルセンサ320が検知する。製品レベルセンサ320は、検知した製品の量を示す信号をシーケンサに送信する。シーケンサは、その信号に基づいて製品が製品受入槽310内に十分排出されたか否かを判断する。製品が製品受入槽310内に十分排出されたら、シーケンサは、リーク弁314が流路を開くよう制御する。これによりリーク弁314が開くと、製品受入槽310内の気圧は大気圧に等しくなる。リーク弁314が流路を開いた後、シーケンサは、製品排出路開閉弁316をこれが開くよう制御する。製品排出路開閉弁316が開くと、製品受入槽310内の製品は容器702に排出される。
【0050】
S340にて、分離器270に入った二酸化炭素は気化する。二酸化炭素に溶解していた洗浄液とヘキシルアミンと水とは凝縮する。凝縮した洗浄液と水とヘキシルアミンとは分離器270の底に溜まる。
【0051】
S342にて、排水レベルセンサ282は分離器270内の排水の水位を検知する。排水レベルセンサ282は、検知した水位を示す信号をシーケンサに送信する。シーケンサは、その信号が示す水位が所定の値を超えると、排水用開閉弁280が流路を開くように制御する。排水用開閉弁280が流路を開くと、分離器270内の排水は洗浄液再生装置34に流出する。洗浄液再生装置34は排水を蒸留する。これによりその排水から沸点の低い洗浄液が抽出される。抽出された洗浄液は洗浄液貯槽240に流入する。これによりその洗浄液は再利用可能となる。洗浄液再生装置34には図示しない温度センサが設けられている。その温度センサは排水の温度を継続的に検知している。温度を示す情報をシーケンサに継続的に送信する。蒸留が完了するとその温度センサが検知した温度が上昇し始めるので、シーケンサは、そのような温度上昇に基づいて、蒸留が完了したか否かを判断する。蒸留の終了は、廃熱利用油熱交換器292と電気熱交換器294とをこれらが停止するよう制御することで実現する。なお、洗浄排水貯槽252に溜まった洗浄液も、これと同様に、洗浄液再生装置34にて処理の後に再利用する。
【0052】
S344にて、洗浄液再生装置34には水とヘキシルアミンとの混合物が残留している。作業者は、その混合物が冷めた頃、排水開閉弁304を開く。これにより、洗浄液再生装置34に残っていたその混合物は排水分離槽330に全量排出される。その混合物において、水とヘキシルアミンとは分離する。下層が水である。上層がヘキシルアミンである。両者は比誘電率が異なる。これにより、周知の静電容量式レベル検知センサを用いて混合物の様々な箇所の誘電率を検出することにより、水とヘキシルアミンとの境界部分を検出することができる。シーケンサは、水とヘキシルアミンとが分離した頃、分離水水路開閉弁332が流路を開くようこれを制御する。分離水水路開閉弁332が開いた後、混合物のレベル(排水分離槽330の底から液の表面までの高さ)が所定の高さに低下すると、シーケンサは、分離水水路開閉弁332が流路を閉じるようこれを制御する。これにより、排水分離槽330内の混合物のうち水を廃水貯槽336へ排出できる。この時、上述した静電容量式レベル検知センサが検知している静電容量に基づいて水が排出されたか否かを判断してもよい。このようにして排出された廃水は上述した水熱合成装置に戻してもよい。これにより、その廃水を水熱合成の加熱水として再利用できる。この時、排水分離槽330には水を含んだヘキシルアミンが残る。作業者は、有機物排出バルブ338を開く。これにより、排水分離槽330の上層にあるヘキシルアミンは有機物貯槽334に排出される。排水貯槽250に溜まった排水も同様にして上層に層分離したヘキシルアミンと下層に層分離した水とに分離する。
【0053】
S350にて、分離器270内で気化した二酸化炭素は分離器270を出る。分離器270を出た二酸化炭素は液化冷却器272へ流入する。
【0054】
S352にて、液化冷却器272へ流入した二酸化炭素は冷却される。これによりその二酸化炭素は再度液化する。液化した二酸化炭素は二酸化炭素供給装置30に流入する。これにより、その二酸化炭素は再利用可能となる。
【0055】
〈効果の説明〉
以上のようにして、本実施形態にかかる液体取出装置20によれば、混合物の液体成分を取出すことと濾過の際に混合物に圧力を加えることとによって消費エネルギを抑制できる。
【0056】
また、本実施形態にかかる液体取出装置20によれば、濾過取出部452が、濾過材462と、再混入防止部466とを有しているので、濾過液が混合物へ容易に再混入する場合に比べ、濾過後の混合物の量を少なくできる。これにより、消費エネルギを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態にかかる液体取出装置20によれば、再混入防止部466が排出管510と洗浄液供給路逆止弁512と洗浄液供給路開閉弁514と排水排出路開閉弁516と排水排出路逆止弁518とを有しているので、混合物中の液体成分の置換の際、収容部450内の平均圧力が高い状態を維持できる。その結果、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態にかかる濾過取出部452が区画部材460を有しているので、混合物から濾過液を取出した後、その混合物の体積を抑えることができる。混合物の体積を抑えることができると、置換の際、超臨界流体の量を抑えることができる。その結果、混合物の液体成分を超臨界流体に置換する際の消費エネルギを抑制できる。
【0059】
また、本実施形態にかかる液体取出装置20は、第3近接センサ544を有しているので、その位置を調整することにより、置換に用いる超臨界流体の量を適宜調整できる。これにより、消費エネルギの損失の抑制量を適宜調整できる。
【0060】
また、本実施形態にかかる流体除去システムによれば、濾過に先立ち上澄みを除去するので、濾過に費やすエネルギを少なくできる。
【0061】
また、本実施形態にかかる流体除去方法によれば、混合物の液体成分を取出すことと濾過の際に混合物に圧力を加えることとによって消費エネルギを抑制できる。
【0062】
〈変形例の説明〉
上述した液体取出装置は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。上述した液体取出装置は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0063】
例えば、排出管510に接続される弁は上述したものに限定されない。その弁は、例えば、絞り弁および減圧弁の少なくとも一方であってもよい。排出管510に接続される弁のうち上述したもののいずれかは設けられなくともよい。
【0064】
また、濾過取出部452の構造は上述したものに限定されない。濾過取出部452を駆動するものも上述したような構造のものに限定されない。例えば、濾過取出部452はねじ対偶によって駆動されてもよい。ただし、濾過取出部452を駆動するものは、収容部450の内部へ精製水その他の伝達流体を供給することにより濾過取出部452を介して混合物に圧力を加えるものであることが望ましい。この場合、濾過取出部452は、収容部450の内部を混合物が収容される空間とその流体を収容する空間とに区画するための区画部材を有することが望ましい。なお、言うまでもないことであるが、濾過取出部452へ圧力を伝達する伝達流体は精製水に限定されない。
【0065】
また、混合物へ圧力を加えるための方法は上述したものに限定されない。たとえば、濾過取出部452を固定しておき、収容部450をリンクの運動によって駆動してもよい。この場合、密封リング484は必ずしも必要ではない。この場合、収容部450はリンクの運動によって駆動されるものに限定されない。
【0066】
また、上述した開閉弁の具体的な種類は限定されない。開閉弁の例には、ボールバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブがある。また、開閉弁の例には、電動弁、空動弁(空気を供給することで制御が可能な弁)もある。
【0067】
また、本発明にかかる流体除去システムは、上述したヘキシルアミンに代えて、その他の液状の有機物を除去するものであってもよい。
【0068】
なお、上述した混合物が固体成分として微粒子を含む場合、その微粒子は沈殿に長時間を要する。そのような場合、上述した流体除去システムに対して以下の3点の追加変更を行ったものを用いると、超臨界流体によって置換される液体成分の量を少なくできる。その3点のうち1点目は、排出管510から洗浄液供給路開閉弁514および排水排出路開閉弁516までの間に図示しない周知の誘電率検出センサを設けるというものである。2点目は、図示しない微粒子分散液槽を設ける(この微粒子分散液槽は排出管510を介してシリンダユニット180に連通可能)というものである。3点目は、図示しないポンプを設けるなどして微粒子分散液槽から排出管510を介してシリンダユニット180へ液体(この液体は排出管510を介してシリンダユニット180から排出されたものであり、上述した微粒子が分散しているものである)を供給可能となっているというものである。これらの変更を施す場合、原料受入槽210において混合物から上澄みを取除く作業は不要である。以下、この流体除去システムを用いて微粒子を含む混合物の洗浄と乾燥とを行うための方法について説明する。
【0069】
この方法を実施する場合、まず、混合物に添加液を添加する。添加液は、混合物の液体成分とは誘電率が異なり、混合物の液体成分と比重が異なり、かつ、互いに溶けない(混合物の液体成分と添加液とを混合して放置するとそれらが2層に分離する程度に溶解度が低ければよい)ことが必要である。ここでは、添加液としてトルエンを用いた場合について説明する。なお、添加液の量は液体成分の量に比べて少なくする。添加液の量はなるべく少ないことが好ましい。
【0070】
次に、添加液を添加した混合物をシリンダユニット180へ供給する。混合物が供給されたら、そのまま待つ。その間、混合物になるべく振動を与えない。もちろんマグネチックスターラ回転子600による攪拌は実施しない。これにより、混合物中の液体成分と添加液とが2層に分離する。上層は添加液(トルエン)の層である。下層は液体成分(水)の層である。混合物中に分散するような微粒子は上層に集まる。
【0071】
混合物の液体成分が2層に分離したら、その上層(微粒子が分散しているトルエン)が排出管510を通って微粒子分散液槽へ排出されるように濾過取出部452を駆動する。その上層の排出先は上述した微粒子分散液槽である。混合物は2層に分離しているので、まず上層が排出される。下層(水)が排出される直前に濾過取出部452を停止させることで上層のみを微粒子分散液槽へ排出できる。下層が排出される直前に濾過取出部452を停止させ得るのは、排出管510から洗浄液供給路開閉弁514および排水排出路開閉弁516までの間に図示しない周知の誘電率検出センサを設けているためである。この誘電率検出センサは、排出管510を通過している混合物の誘電率を検出している。上層の通過が完了して下層の排出が始まる頃には、誘電率の大きな変化が生じる。これにより、誘電率の大きな変化が生じたら(たとえば、誘電率が所定の閾値を越えたら)混合物の排出を停止させることで上層のみの排出が可能となっている。
【0072】
上層のみをシリンダユニット180から排出したら、シリンダユニット180に残る下槽(水)を排出する。排出先は特に限定されないが、廃水貯槽336はその一例となる。これにより、混合物から液体成分が取出されたことになる。その後、微粒子分散液槽からシリンダユニット180へ上層を戻す。
【0073】
上層が戻ったら、上述したS332以降の工程を実施する。すなわち、上層に対し、超臨界状態の二酸化炭素による洗浄と攪拌とを行う。これにより、微粒子の洗浄および乾燥にあたって液体成分(この場合は水)を取出すこととなる。液体成分を取出し得るので、洗浄と乾燥とに費やすエネルギを減少させることができる。
【符号の説明】
【0074】
20…液体取出装置、
22…原料受入ユニット、
24…精製水供給ユニット、
26…洗浄液供給ユニット、
28…排水一次受入ユニット、
30…二酸化炭素供給装置、
32…二酸化炭素再生装置、
34…洗浄液再生装置、
36…チラーユニット、
38…製品受入ユニット、
40…排水二次受入ユニット、
180…シリンダユニット、
182…加圧ポンプ、
184…精製水供給路逆止弁、
186…精製水供給路開閉弁、
188…精製水排出路開閉弁、
190…精製水排出路逆止弁、
192…二酸化炭素排出路開閉弁、
194…圧力トランスミッタ、
196…二酸化炭素排出路減圧弁、
198…二酸化炭素排気弁、
200…二酸化炭素用ニードルバルブ、
210…原料受入槽、
212…撹拌機、
214…上澄排出路開閉弁、
216…混合物供給ポンプ、
218…混合物供給路開閉弁、
220…混合物排出路開閉弁、
222…混合物レベルセンサ、
224…濁度センサ、
230…精製水貯槽、
240…洗浄液貯槽、
242…洗浄液供給ポンプ、
244…供給路切替弁、
250…排水貯槽、
252…洗浄排水貯槽、
254…受入路切替弁、
260…追加冷却器、
262…二酸化炭素供給ポンプ、
264…加熱装置、
266…二酸化炭素供給路開閉弁、
270…分離器、
272…液化冷却器、
274…二酸化炭素回収器、
276…二酸化炭素補充路、
277…補充路用減圧弁、
278…排水用減圧弁、
279…補充路開閉弁、
280…排水用開閉弁、
282…排水レベルセンサ、
290…蒸留装置、
292…廃熱利用油熱交換器、
294…電気熱交換器、
298…覗き窓、
300…冷水熱交換器、
302…冷水路開閉弁、
304…排水開閉弁、
310…製品受入槽、
312…排気ポンプ、
314…リーク弁、
316…製品排出路開閉弁、
318…製品受入路開閉弁、
320…製品レベルセンサ、
330…排水分離槽、
332…分離水水路開閉弁、
334…有機物貯槽、
336…廃水貯槽、
338…有機物排出バルブ、
450…収容部、
452…濾過取出部、
454…伝達流体管、
456…混合物管、
458…二酸化炭素供給管、
459…二酸化炭素排出管、
460…区画部材、
462…濾過材、
464…保護材、
466…再混入防止部、
470…流体室、
472…混合物室、
480…筒状部、
482…プラグ、
484…密封リング、
490…底部、
492…口部、
494…混合物路、
496…二酸化炭素流入路、
498…二酸化炭素排出路、
500…管スライド孔、
502…シール、
504…伝達流体路、
510…排出管、
512…洗浄液供給路逆止弁、
514…洗浄液供給路開閉弁、
516…排水排出路開閉弁、
518…排水排出路逆止弁、
520…しるし、
530…ブラケット、
540…第1近接センサ、
542…第2近接センサ、
544…第3近接センサ、
600…マグネチックスターラ回転子、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体成分と液体成分とを含む混合物から前記液体成分の一部を取出す液体取出装置であって、
前記混合物および超臨界流体を収容する収容部と、
前記収容部内の前記混合物を濾過することにより、前記混合物から前記液体成分の一部を取出す濾過取出部と、
前記濾過取出部が前記混合物を濾過する際に前記混合物へ圧力を加える加圧部とを備えることを特徴とする液体取出装置。
【請求項2】
前記濾過取出部が、
前記収容部内の前記混合物を濾過する濾過材と、
前記濾過材によって前記混合物から取出された前記液体成分である濾過液が前記混合物に再混入することを防止する再混入防止部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の液体取出装置。
【請求項3】
前記再混入防止部が、
前記濾過液を前記収容部の外へ排出する排出管と、
前記排出管に接続される弁とを有することを特徴とする請求項2に記載の液体取出装置。
【請求項4】
前記濾過取出部が、前記濾過材が取付けられ、前記収容部内で移動でき、かつ、前記収容部内を前記混合物が収容される空間と前記混合物の浸入が抑えられる空間とに区画する区画部材をさらに有し、
前記加圧部が、前記区画部材に力を加えることにより、前記濾過取出部を介して前記混合物へ前記圧力を加えることを特徴とする請求項2に記載の液体取出装置。
【請求項5】
前記収容部が筒状部を有しており、
前記区画部材が、前記筒状部の内周面に沿って前記収容部内をスライドすることを特徴とする請求項4に記載の液体取出装置。
【請求項6】
固体成分と液体成分とを含む混合物の前記液体成分を超臨界流体に置換する置換工程と、
前記超臨界流体を気化させる気化工程とを備える流体除去方法であって、
前記流体除去方法は、前記置換工程に先立ち、前記混合物から前記液体成分の一部を取出す取出工程をさらに備えることを特徴とする流体除去方法。
【請求項7】
前記取出工程が、装置内で前記混合物へ圧力を加えながら前記混合物から前記液体成分の一部を取出す工程であり、
前記置換工程が、前記装置内で前記液体成分を前記超臨界流体に置換する段階を有することを特徴とする請求項6に記載の流体除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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