説明

液体口腔用組成物

【課題】歯の汚れ付着防止効果だけでなく、歯に光沢を付与し光沢を維持できる液体口腔用組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)フィチン酸又はその塩 0.05〜2質量%、
(B)プルラン 0.5〜3質量%、
(C)水 80〜98質量%
を含有する液体口腔用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の着色は、歯石や歯垢、歯の表面に種々の着色物が付着することによって生じる。このような歯の表面の着色物を除去する手段として、研磨除去等の物理手段以外に、液状化リン酸カルシウム系化合物を含有する口腔用組成物によりエナメル質の再石灰化を促進する技術が知られている(特許文献1)。また、液体口腔用組成物であって歯の着色防止効果を得ようとする組成物として、歯の着色防止効果を向上するポリリン酸又はその塩とアシルタウリン塩を含有し、pHが7〜9である組成物(特許文献2)が報告されている。
【0003】
さらに、歯に光沢を付与できる組成物として、フィチン酸を含有し、pHが5.5〜6.5である組成物が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−319224号公報
【特許文献2】特開2009−51734号公報
【特許文献3】特開2010−150225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の口腔用組成物は、エナメル質表面をアパタイトにより補修して歯を健常化するものであり、汚れ付着防止効果を目的とするものではない。また、特許文献2に記載の液体口腔用組成物は、汚れ防止効果について記載されているが、その実効感には課題がある。一方、特許文献3に記載の口腔用組成物では、歯の表面の固形物を除去し、光沢を付与する効果は記載されているが、さらに汚れ付着防止効果、光沢を維持する液体口腔用組成物が求められている。
本発明の課題は、歯の汚れ付着防止効果だけでなく、歯に光沢を付与し光沢を維持できる液体口腔用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、液体口腔用組成物に配合する、歯の表面に膜を形成し汚れ付着防止効果を奏する成分を探索したところ、プルランに歯の光沢改善作用があることを見出した。そしてさらに検討したところ、プルランとフィチン酸とを一定量の範囲で併用すれば、歯の表面の汚れ付着防止効果及び歯の光沢向上と光沢維持効果に優れ、かつ味及び使用感の良好な液体口腔用組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)フィチン酸又はその塩 0.05〜2質量%、
(B)プルラン 0.5〜3質量%、
(C)水 80〜98質量%
を含有する液体口腔用組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記液体口腔用組成物を口腔内に適用することを特徴とする歯の表面の汚れ付着防止方法、歯の光沢向上方法及び歯の光沢維持方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体口腔用組成物を用いれば、フィチン酸又はその塩とプルランとの併用により、歯の表面への着色物の付着防止効果による美白効果に加えて、歯の表面に光沢を付与し光沢を維持するため、適用後の歯の美白効果を顕著に実感できる。また、口腔への適用時の味が良好で、ベタツキなどがなく使用感が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液体口腔用組成物は、(A)フィチン酸又はその塩を0.05〜2質量%、(B)プルランを0.5〜3質量%、及び(C)水を80〜98質量%含有するものである。
【0011】
(A)フィチン酸は、別名myo−イノシトール6リン酸ともいい、リン酸化合物である。
その塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等が挙げられ、味、匂いの観点からアルカリ金属塩が好ましい。
【0012】
(A)フィチン酸又はその塩は、汚れ付着防止効果、光沢付与と光沢維持効果及び味の点から、本発明の液体口腔用組成物中に0.05〜2質量%含有し、さらに0.05〜1.5質量%含有するのが好ましく、特に0.1〜1.5質量%含有するのが好ましい。
【0013】
(B)プルランは、グルコースのみからなる多糖類の一種であり、マルトトリオースがα−1,6結合で繰り返し鎖状に結合した構造を有する。プルランは、でんぷんから黒酵母の一種であるAureobasidum pullulansを培養することにより、菌体外に生産される中性単純多糖として得られる。
【0014】
(B)プルランは、汚れ付着防止効果、光沢付与と光沢維持効果及び味の点から、本発明の液体口腔用組成物中に0.5〜3質量%含有し、さらに0.5〜2質量%含有するのが好ましく、特に0.5〜1.5質量%含有するのが好ましい。
【0015】
(A)フィチン酸又はその塩と(B)プルランとを併用することにより、優れた汚れ付着防止効果及び光沢維持効果が得られるが、味、使用感等を考慮すると、その合計含有量は、本発明の液体口腔用組成物中に0.55〜4.5質量%が好ましく、さらに0.6〜4質量%が好ましく、特に0.7〜3質量%が好ましい。
【0016】
本発明の液体口腔用組成物は、水を80〜98質量%含有する。水の含有量は、さらに溶解性、使用感の点から80〜95質量%がより好ましく、83〜93質量%であるのがさらに好ましい。
【0017】
本発明の液体口腔用組成物のpHは、汚れ付着防止効果及び光沢付与効果の点から、5〜7が好ましく、さらに5.5〜6.5が好ましい。
【0018】
組成物のpHを上記範囲に調整するには、pH調整剤を用いるのが好ましく、当該pH調整剤としては、フィチン酸及びプルランによる本発明の効果を阻害しないものが好ましく、例えば酢酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸等の有機酸塩、フィチン酸以外のリン酸(例えば、オルトリン酸)、塩酸、硫酸等の無機酸塩、水酸化ナトリウム等の水酸化物、アンモニア又はアンモニア水等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのpH調整剤のうち有機酸及び無機酸(フィチン酸を除く)の含有量は、フィチン酸の効果を阻害しない観点からフィチン酸に対して質量比で25%以下であることが好ましく、さらに20%以下であることが好ましい。
【0019】
本発明の液体口腔用組成物は、多価カチオンの含有量を低く抑えることが好ましい。多価カチオンは、フィチン酸を不溶性にしたり汚れ付着防止効果を低下させるため、当該効果の低下を防止するためである。その含有量はICP発光分析法(ICP発光分析装置:Perkin Elmer社 Optima 5300DV)で測定して多価カチオン合計としてフィチン酸に対して0.1倍モル未満が好ましく、さらに0.02倍モル以下が好ましい。すなわち、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等の多価カチオンを主に供給する剤は配合しないことが望ましく、多価カチオンを実質的にほとんど含まないものが好ましい。
また、カチオン性抗菌剤のほか、ゼオライト、活性炭等の吸着剤はフィチン酸による汚れ付着防止効果を低下させるため、口腔用組成物中に0.001質量%未満であることが好ましく、さらに0.0001質量%以下であることが好ましく、実質的に含まないものが好ましい。
【0020】
本発明の液体口腔用組成物の粘度は、室温25度において1〜10mPa・sであることが好ましく、さらに2〜8mPa・sであることが好ましく、特に2.5〜4mPa・sであることが好ましい。なお、粘度は、室温25度において、例えばSV型粘度計(株式会社エー・アンド・デイ製、型番:SV-10、固有振動数30Hz)にて測定することができる。
【0021】
本発明の液体口腔用組成物は、さらにエリスリトールを含有するものが好ましい。エリスリトールは、光沢付与と使用感の観点から0.1〜15質量%含有するものが好ましく、さらに0.1〜10質量%が好ましく、特に1〜8質量%含有するのが好ましく、味も考慮するとさらに3〜5質量%含有するのが好ましい。
エリスリトールの構造としては、L−エリスリトール、D−エリスリトール、meso−エリスリトールの3種の異性体が存在するが、本発明はこれらいずれの構造も使用できる。エリスリトールとしては、通常入手可能なものを使用でき、例えばブドウ糖を発酵させた後、再結晶して得られる結晶状のエリスリトールが挙げられる。
【0022】
エリスリトール以外の糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、還元パラチノース(三井製糖株式会社 登録商標:パラチニット)、マルチトール、マンニトール、α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトール、α−D−グルコピラノシル−1,6−マンニトール等が挙げられ、これらのうちの1種、2種以上を含有することができる。エリスリトール以外の糖アルコールのうち、20℃において水100gに対して80g以上溶解する高溶解性の糖アルコール、例えばソルビトール、キシリトール、ラクチトール等は、味、使用感の点から、本発明の液体口腔用組成物中に0.1〜15質量%含有することが好ましく、さらに0.1〜10質量%含有することが好ましく、特に1〜10質量%含有することが好ましい。
エリスリトール以外の糖アルコールのうち、20℃において水100gに対して5〜80g溶解する低溶解性の糖アルコール、例えばマンニトール、還元パラチノース、α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトール、α−D−グルコピラノシル−1,6−マンニトール等は、エリスリトールにかえて、又はエリスリトールと併用することが可能であり、特にマンニトール、還元パラチノースが好ましい。エリスリトールとエリスリトール以外の低溶解性の糖アルコールの本発明の液体口腔用組成物における合計の含有量は、溶解性の点から、0.1〜10質量%含有することが好ましく、さらに1〜8質量%が好ましく、特に1〜5質量%が好ましい。
【0023】
また、本発明の液体口腔用組成物には、分散安定性、特に香料などの油性成分の分散性を維持する点から非イオン界面活性剤を配合するのが好ましく、特にHLB10〜18、さらにHLB11〜15の非イオン性界面活性剤を配合するのが好ましい。
【0024】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エタノールアミドなどが挙げられる。このうち、後味の点から、脂肪酸の炭素数が8〜20の脂肪酸エステル類が好ましい。これらの非イオン界面活性剤は1種又は2種以上を組み合せて用いられる。これらの非イオン界面活性剤は、安定性及び後味の点から本発明液体口腔用組成物中に0.1〜1.5質量%含有することが好ましいが、さらに好ましくは0.1〜1.0質量%である。
【0025】
本発明で使用する香料としては、メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、シネオール、チモール、サリチル酸メチル、プレゴン、メントン、ピネン、リモネン、メンチルアセテート等の合成香料の他に、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油等のミント油、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライムなどの柑橘油、ユーカリ、セージ、ローズマリー、タイム、ローレル、バジル、シソ、ベイ、エストラゴン、パセリ、セロリ、コリアンダー等のハーブ油、シナモン、ペッパー、ナツメグ、メース、クローブ、ジンジャー、カルダモン、アニスなどのスパイス油などのような天然精油、アップル、バナナ、メロン、グレープ、ピーチ、ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックカラント、ライチ、スターフルーツ、パッションフルーツ、プラム、パイナップル、マスカットなどのフルーツフレーバーなどを用いることができる。特に、メントール、サリチル酸メチル、スペアミント油、ペパーミント油、バート、シナモン、アニスが好ましい。香料は、液体口腔用組成物中に0.001〜1質量%、さらに0.005〜0.5質量%、特に0.01〜0.4質量%含有するのが好ましい。
【0026】
また、本発明液体口腔用組成物には、エタノール等の低級アルコールを配合することができる。低級アルコールを含む場合にはエタノールが好ましいが、その含有量は液体口腔用組成物中20質量%以下が好ましく、さらに10質量%以下が好ましく、特に8質量%以下が好ましく、0.1質量%以上が好ましい。
【0027】
本発明の液体口腔用組成物中には、これらの成分の他に、湿潤剤、粘結剤、甘味料、殺菌剤や消炎剤等を含有することができる。湿潤剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。これらの多価アルコールはべたつき感を防止し、使用感を良好にする点から、本発明の液体口腔用組成物中の含有量は、0〜10質量%とするのが好ましく、さらに0.1〜5質量%とするのが好ましく、特に0.1〜2質量%とするのが好ましい。
【0028】
(B)プルラン以外の粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸誘導体、カラギーナン、キサンタンガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等の粘結剤が挙げられる。粘度増加による味の低下を防止する点から、液体口腔用組成物中のプルラン以外の粘結剤の含有量は0〜0.1質量%とすることが好ましく、0〜0.05質量%とするか又は含有しないのが好ましい。
【0029】
本発明の液体口腔用組成物は、洗口液、液状歯磨剤、マウスリンス、マウススプレー、うがい薬等として適用できる。
【0030】
本発明の液体口腔用組成物を口腔内に適用すれば、歯の表面の汚れ付着防止効果、歯の光沢向上効果及び歯の光沢維持効果が得られる。このような効果を得るためには、前記液体口腔用組成物を1回5〜20mL使用し、1日1〜6回、口腔内に適用するのが好ましい。口腔内への適用方法としては、組成物を口腔に含み洗口又はリンスするのが好ましく、洗口又はリンス時間は5〜50秒が好ましく、特に10〜40秒が好ましい。また、通常の歯磨き操作の後に本発明の組成物を用いて口腔内を洗口又はリンスするのが特に好ましい。
【実施例】
【0031】
表1及び2に示した処方に従い、透明な液体口腔用組成物を得た。表1及び2中の含有量の単位は質量%である。表1及び2の液体口腔用組成物について、汚れ付着防止効果、光沢付与効果及び味を評価した。その結果も表1及び2に示す。
【0032】
<汚れ付着防止効果>
ハイドロキシアパタイトペレット(HOYA製品APP−100 1cm×1cm)を歯のモデルとして用いた。汚れ付着処理は、ハイドロキシアパタイトペレットを研磨し、液体口腔用組成物、タンパク質溶液(BSA 10000ppm溶液)、紅茶(ティーバッグ6つを300mLの湯で抽出)、人工唾液(20mM HEPES、1.5mM CaCl2、0.9mM KH2PO4)各10mLに順に5分ずつ浸漬させることにより行った。この汚れ付着処理を10サイクル行い、ハイドロキシアパタイトペレットの色彩値b*を歯科用色彩計シェードアイNCC(松風製)で測定した。液体口腔用組成物のかわりにイオン交換水を用いて処理したときのb*を基準に液体口腔用組成物を用いた場合のb*の差を求めた。−Δb*の値が大きいほど汚れ付着防止効果が高いことを意味する。
【0033】
<光沢付与と光沢維持効果>
光沢の測定は、汚れ付着防止効果の測定と同様に、汚れ付着処理を10サイクル行った後に測定した。光沢の測定法としては、偏光を利用した画像解析から表面反射光強度を測定する方法を用いた。評価用画像を撮影する装置として、カメラはデジタル一眼レフカメラNikon D70、レンズはAi AFマイクロ・ニッコール105mm F2.8D、ストロボ発光はワイヤレス・リモート・スピードライトSB-R200(いずれもニコン製)を組合せて設置したものを用いた。スピードライトの発光部及びレンズの前にプラスチック偏光板(エドモンド製)を透過軸が30度交差するように配置して撮影した。撮影画像はAdobe Photoshop CS3(アドビシステム製)を用いてハイライト部分の平均輝度を求めた。輝度は数値が大きいほど光沢が増したことを意味する。
【0034】
<味の評価>
専門パネラー5名に液体口腔用組成物10mLを口に含んで、口腔内を20〜30秒洗口してもらい、以下の基準により評価し、人数が最も多かった評価を表1に示す。
◎:とても良好
○:良好
△:やや不快
×:不快
【0035】
<粘度の測定>
液体口腔用組成物の製造後に、SV型粘度計(株式会社エー・アンド・デイ製、型番:SV-10、固有振動数30Hz)にて、25℃で測定した。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
表1に示すように、プルランと同じく増粘性、付着性、造膜性が知られているポリグルタミン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを、プルランにかえて含有する比較例4、5は、Δb*が1未満であり、目視で汚れ防止効果を認めることができず、輝度については、差を確認できなかった。ヒアルロン酸ナトリウムを含有する比較例3は、粘度が高く液体口腔用組成物として適用することができなかった。これに対して、(A)フィチン酸と(B)プルランとを含有する実施例1は、フィチン酸のみを含有する比較例1、プルランのみを含有する比較例2と比較しても、比較例1と2の組合せ以上のΔb*、Δ輝度の増加が確認され、汚れ付着処理を行っても、汚れ防止効果、光沢付与効果、光沢維持効果が認められた。
【0039】
表2に示すように、(A)フィチン酸又はその塩を0.05〜2質量%、(B)プルランを0.5〜3質量%及び(C)水を80〜98質量%含有する液体口腔用組成物は、優れた汚れ付着防止効果、光沢付与効果、光沢維持効果を有し、さらに味が良好であり使用感も良好であることがわかる。一方、比較例6〜8はプルラン又はフィチン酸の含有量が少ないため、Δb*が1未満であり、Δ輝度も少なく、比較例9、10は、プルランを含有するが、フィチン酸の含有量が多いため、Δb*、Δ輝度が大きい結果を確認できたが、味に問題があり、しかも液体口腔用組成物そのものが着色していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)フィチン酸又はその塩 0.05〜2質量%、
(B)プルラン 0.5〜3質量%、
(C)水 80〜98質量%
を含有する液体口腔用組成物。
【請求項2】
成分(A)及び(B)の合計含有量が0.55〜4.5質量%である請求項1記載の液体口腔用組成物。
【請求項3】
pHが5〜7である請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
【請求項4】
多価カチオンを含有しないか又はフィチン酸に対して0.1倍モル未満含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
【請求項5】
25℃における粘度が1〜10mPa・sである請求項1〜4のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
【請求項6】
さらに、エリスリトールを0.1〜15質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
【請求項7】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)フィチン酸又はその塩 0.05〜2質量%、
(B)プルラン 0.5〜3質量%、
(C)水 80〜98質量%
を含有する液体口腔用組成物を歯に適用する歯の表面の汚れ付着防止、歯の光沢付与又は歯の光沢維持方法。

【公開番号】特開2012−116768(P2012−116768A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265591(P2010−265591)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】