説明

液体吐出ヘッド及びそれを用いた記録装置

【課題】 液体供給路を構成する液体導入路と液室のうち、液室で発生する気泡が記録に与える影響を低減する。
【解決手段】 液体導入路の下端よりも液室の上端が、鉛直方向に関して上方に位置し、その液室の上端と液体導入路の下端との差が、液室の短手方向の長さ(液室幅W)の半分よりも大きいことを特徴とする液体供給路とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出する液体吐出ヘッド及びそれを備える記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドとして、インクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)が知られている。記録ヘッドにはインク等の液体を吐出するための記録素子基板が備えられており、インクタンクに保持・貯留されたインクがインク供給路を介して記録素子基板に供給されることで記録が行われる。
【0003】
複数種類のインクが用いられるカラープリンタでは、複数種類のインクが供給される記録素子基板が記録ヘッドに搭載される。近年、ますますプリンタの低価格化が進んでおり、特にコストの高い記録素子基板について、基板面積を縮小する努力がなされている。
【0004】
図12に示すように記録素子基板H1101には複数の吐出口列H1108(1つのインク供給口に対応する吐出口群を1列の吐出口列とする)が所定の間隔で設けられている。これら吐出口列の間隔(各色間)を短くすることで、記録素子基板の面積増大にともなうコストの上昇を抑えている。また、吐出口列H1108に対応して、各インク供給口H1102が形成されている。
【0005】
記録素子基板に形成されたインク供給口にインクが供給されるまでの流れを、インクを保持・貯留するインクタンクを一体に備えた記録ヘッドを例として説明する。特許文献1に開示されているインクタンク一体型の記録ヘッドの外観図を図14(a)に、その内部構造を図14(b)に示す。
【0006】
インクタンク一体型で複数種類のインクを供給可能な記録ヘッドH1000は、図14(b)に示すようにインクを保持するための複数のインク収容部H2001〜H2003を有する。図15は記録ヘッドH1000の断面図であり、図16はインク供給路の形状を説明するための図である。
【0007】
図16(b)に示すインク供給路S01〜S03のうち、インク供給路S01の形状を説明するため、インク供給路S01で切断したインクタンクH1500の断面の斜視図を図15(a)に、及びその断面の斜視図の一部分を拡大した図を図15(b)に示す。図15(a)、(b)に示すように、インク収容部H2001に収容されるインクは、フィルターH1701を介してインク導入路H2101を通り、液室H2201を通ってインク供給口H1102に到達する。このようにして、液室からインク供給口を介して、複数の吐出口に共通にインクが供給される。なお、図16(a)に示すように、本明細書において「インク供給路」とは液体導入路としての「インク導入路」及び「液室」で構成される部分をいい、インク導入路と液室との接続部分を連通部Cとする。
【0008】
ここで、記録素子基板とインク供給路との関係について説明する。図12で説明したように、記録素子基板H1101には各吐出口列H1108に対応してインク供給口H1102が設けられている。図16(b)は記録ヘッドH1000に対応するインク供給路S01〜S03、及び記録素子基板H1101を表した図である。図16(b)に示すように、これらインク供給路の一部である液室H2201〜H2203は各インク供給口H1102に対応して並列に配された構造となっている。したがって、図16(c)に示すように、少なくとも内側のインク供給路S01の液室幅Wは、前述したように各色間の距離が短いために、一般にインク供給口の幅W’(図12)に合わせて決定され、0.6〜0.8mm程度となっている。
【0009】
一方、インク供給路等のインク中には、インクに溶け込んだ気体(溶存気体)や、樹脂等で形成されるインクタンクを透過して外部から入る気体が存在することが知られている。これらの気体が気泡として液室内で発生した場合、液室よりもy方向に幅の広いインク導入路に気泡が連通して抜けきるまで、液室に気泡が長時間残留する場合や、液室に気泡が留まったままとなる場合があった。これは、液室幅Wが狭いために液室において気泡が移動しにくいことが原因である。このように、液室に気泡が長時間残留、滞留した場合には、記録に悪影響を与えることがあった。
【0010】
このような場合には、例えば、記録ヘッドの吐出口形成面にキャップと称される部材を接合させ、キャップ内をポンプ等で減圧することによって吸引力を作用させ、気泡を除去すること(吸引回復)が一般的に行われている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−015733号公報
【特許文献2】特開2003−080738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、吸引回復により液室に残存した気泡を低減することは可能であるが、従来の記録ヘッドでは吸引回復を頻繁に行う必要があり、吸引回復の度に記録に寄与しないインクが消費されるという問題点があった。
【0012】
その問題を解決する方法として、液室の気泡の存在が記録に悪影響を与えにくいように、液室幅Wを広くすることで液室に気泡が残留しにくいようにし、吸引回復の頻度を低減する方法が考えられる。しかしながら、図16(b)に示したように液室はインク供給口H1102に対応して並列に配されており、少なくとも内側にある液室は両側に他のインクの液室が存在するため、液室幅W(図16(c))を広げることが困難である。ここで各インク供給口間の距離を大きくし、液室幅Wを広くすることも考えられるが、記録素子基板の面積が増大しコストが上昇してしまうため、望ましくない。
【0013】
一方、液室における気泡の発生及び成長について詳しく検討したところ、気泡は図17(a)〜(f)に表すような挙動を示すことが分かった。すなわち、図17(a)液室の端部で気泡が発生し、図17(b)〜(d)気泡は端部に留まったまま成長を続け、図17(e)振動などをきっかけに、連通部Cへ向けて一気に移動し、図17(f)連通部Cでインク流がほぼ閉塞状態となることが明らかになった。なお、振動は記録ヘッドを装着する際や、インクタンクを装着する際に起こる。
【0014】
このような問題を解決するために、連通部Cでインク流が閉塞状態とならないように、連通部Cにおけるx方向の長さCx(図16(a))を長くすることが考えられる。しかしながら、図16(b)、(c)に示すようにインク供給路S01〜S03の位置関係による制限などにより、内側のインク供給路S01におけるCxの長さを十分に確保できない場合があった。
【0015】
そこで本発明の目的は、液室で気泡が発生した場合でも、安定して記録を行うことが可能なインクジェット記録ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するための複数の吐出口と、該複数の吐出口に共通に液体を供給するための液室と、該液室に液体を導入するための液体導入路と、を備え、
該液体吐出ヘッドが使用される状態において、鉛直方向に関して、前記液室の上方に前記液体導入路が位置し、
前記液室は鉛直方向に垂直な面に関して細長の断面形状を有し、
前記細長の断面形状の短手方向に関して、前記液体導入路の長さが前記液室の長さより大きく、
前記細長の断面形状の長手方向に関して、前記液体導入路の前記液室との連通部の長さが前記液室の長さより小さく、かつ、前記短手方向に関する前記液室の長さより大きく、
鉛直方向に関して、前記液室の上端が前記液体導入路の下端より上方に位置し、
鉛直方向に関する前記液室の上端と前記液体導入路の下端との間隔が、前記液室の長さWの半分より大きいことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成を用いれば、液体導入路と液室との連通部において、気泡が連通しやすく、気泡が液室から液体導入路へ移動しやすいため、液室の気泡が記録に与える影響を小さくし、安定して記録することが可能なインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の構成について図面を参照して説明する。
【0019】
図10から図12は、本発明に係る液体吐出ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッドを説明するための説明図である。以下、これらの図面を参照して各構成要素について説明する。
【0020】
なお、本明細書において「記録」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、広く記録媒体上に画像、模様、パターンなどを形成する場合、または媒体の加工を行う場合をも包含する。
【0021】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革などのインクを受容可能な物をも含むものである。
【0022】
さらに、「インク」(「液体」と記述する場合もある)とは、上記「記録」の定義と同様に広く解釈されるべきである。つまり、「インク」は記録媒体に付与されることによって、画像、模様、パターンなどの形成または記録媒体の加工あるいはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固や不溶化など)に供され得る液体を含む。したがって本明細書で言う「インク」とは、記録に関して用いることが可能なあらゆる液体を包含している。
【0023】
<液体吐出ヘッド>
本発明を適用可能な液体吐出ヘッドは、電気信号に応じてインク等の液体に膜沸騰を生じさせるための電気熱変換体を用いたインクジェット記録ヘッド(記録ヘッド)である。なお、電気熱変換体はインク吐出口と対向するように配置されている。
【0024】
本発明の適用が可能な記録ヘッドH1001の分解斜視図を図10に示す。記録ヘッドH1001は、インクタンク一体型のものであって、複数種類のインク、例えばカラーインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク)を充填可能な形態を有する。
【0025】
また、記録ヘッドH1001は、少なくとも記録素子基板H1101、電気配線部材としての電気配線シートH1301、インク貯留部材としてのインクタンクH1501で構成されている。
【0026】
他に、4種類のインクを充填可能な記録ヘッドH1002は、図11に示すようにインクタンクH1502の内部形状が異なる以外は、記録ヘッドH1001と同様の形態を有する。よって、図11において、図10と同一符号を付したもの説明を省略する。
【0027】
図12は、記録素子基板H1101の構成を説明するための図で、一部破断して示す斜視図である。記録素子基板H1101は、インク供給口H1102、電気熱変換体H1103、電気配線、電極部H1104等が形成されたシリコン基板H1110と、そのシリコン基板上にインク流路壁H1106や吐出口H1107とから構成される。なお、インク流路壁H1106や吐出口H1107は、シリコン基板上に樹脂材料でフォトリソグラフィ技術によって形成される。電気熱変換体H1103を駆動するための電気信号や電力を供給するための電極部H1104にはAu等からなるバンプH1105が形成される。
【0028】
図12に示すように3種類のインクを吐出可能な記録素子基板H1101では、例えばシアン、マゼンタ、イエロー用の3個のインク供給口H1102が並列して形成される。それぞれのインク供給口H1102を挟んでその両側に電気熱変換体H1103と吐出口H1107とが一列に並んで設けられる。
【0029】
また、4種類のインクを吐出可能な記録素子基板(不図示)では、記録素子基板H1101と同様に、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック用の4個のインク供給口が並列して形成される。
【0030】
図10に示す電気配線シートH1301は、記録素子基板H1101に対してインクを吐出するための電気信号等を印加する電気信号経路を形成するものであり、ポリイミドのベース基材上に銅箔の配線パターンを形成することで構成されている。
【0031】
さらに、電気配線シートH1301には、本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1302が形成されている。
【0032】
図10に示す液体貯留部材としてのインクタンクは、樹脂を成形することにより形成されている。樹脂材料には、インクタンクH1501の剛性を向上させるためにガラスフィラーを5〜40%混入した樹脂材料を使用することが望ましい。
【0033】
インクタンクH1501に設けられているインク供給路の下流部には、記録素子基板H1101に形成されたインク供給口H1102にインクが連通するように、記録素子基板H1101がインクタンクH1501に対して位置精度良く接着固定される。
【0034】
また、記録素子基板H1101周囲の平面には、電気配線シートH1301の一部の裏面が接着剤により接着固定される。記録素子基板H1101と電気配線シートH1301との電気接続部分は、封止剤により封止されることによりインクによる腐食や外的衝撃から保護されている。さらに電気配線シートH1301の未接着部は折り曲げられ、インクタンクH1501において液室H2201〜H2203が形成されている面にほぼ直交した側面に熱カシメもしくは接着等で固定される。
【0035】
インクタンクH1501から記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給路の具体的な構成については、後述する実施例において詳細に説明する。
【0036】
<<本発明のメカニズム>>
具体的な実施例を説明する前に、液体で満たされたインク供給路の液室内に発生した気泡が、連通部においてどのような挙動を示すのかについて説明し、その後、本発明のメカニズムについて模式図を用いて説明する。説明を簡単にするため、インク供給路が、直方体形状のインク導入路及び直方体形状の液室で構成される場合について、比較例の構成を参照して説明する。
【0037】
本明細書において、インク供給路は、インク導入路と液室との接続部においてインクが連通する構成であり、記録ヘッドが使用される状態において、液室の鉛直上方(z方向)にインク導入路が位置する構成となっている。また、鉛直方向に垂直な面に関して、液室は細長の断面形状を有しており、その断面形状の長手方向をx方向、短手方向をy方向とする。
【0038】
まず、x方向について連通部Cの長さCxより短い長さの気泡が液室に発生してから、インク導入路に抜けるまでの挙動を、図1(a)〜(c)を用いて説明する。
【0039】
図1(a)のJ−J断面図に示すように、液室幅Wが狭いために気泡が液室の壁で挟まれて扁平な形状となる場合、液室の壁に接していない気泡の端部の断面はほぼ半円の形状をとり、その曲率半径rbは、液室幅W(y方向の長さ)で律則すると考えられる。したがって、気泡端部の断面の曲率半径rbは、rb=W/2と近似することができる。これについての詳しい説明は後に述べる。
【0040】
次に、気泡にかかる力について説明する。気泡には鉛直上方(z方向)に液体と気体との密度差による浮力が働き、鉛直下方には、気泡の移動を妨げる力が働く。この気泡の移動を妨げる力は、気泡が液室の壁に接していることに起因する力であり、この力を付着力とする。付着力は液体の表面張力や液室幅W、気泡の液室の壁との接触面積などに依存すると考えられる。すなわち、液体の表面張力が大きい場合、液室の幅が短い場合、接触面積が大きい場合に付着力は増大すると考えられる。
【0041】
気泡にかかる力が前述の浮力と付着力のみで、浮力>付着力の場合、例えば、図1(a)に示す位置にある気泡は、液室内を上昇する。そして、気泡が液室の壁に接触している部分(以下、気泡の付着部分とする)が連通部Cに到達する(図1(b))。この気泡の付着部分が連通部Cに達すると、気泡は連通部Cで連通状態となり、y方向について液室より幅の広いインク導入路に移動する(図1(c))。インク導入路側に気泡が移動した分、液室側の気泡が減り、付着部分が減るため、浮力はそのままで付着力が小さくなって行くと考えられる。したがって、いったん気泡の連通が始まれば、液室を移動する時間に比べて、気泡は短時間でインク導入路側に移動することができる。なお、インク導入路側の気泡の浮力が液室側の付着力より大きくなるまでは、気泡は分離しないままインク導入路へ移動を続ける。インク導入路側の気泡が液室側の気泡から分離するか否かは、気泡の大きさなどに依存する。
【0042】
上述したように、気泡は液室の壁に接触しているため、液室において気泡が浮力により上昇する方向に移動する際には、気泡に浮力以外に付着力がかかる。したがって、液室に振動などが与えられない限り、液室の壁に多くの付着部分を有する気泡は非常に遅い速さでしか移動できない。
【0043】
また、液室内部で気泡が発生して成長した場合、液室の体積に対して気泡の体積が占める割合が大きく、液室はインク供給口に近いため、気泡の存在が記録に与える影響が大きい。したがって、気泡を液室からインク導入路へ移動させることが重要となる。
【0044】
ここで、rb=W/2と近似することができる理由について図1(d)を用いて説明する。気泡は、インク等の液体で濡れている液室を、上昇する方向に移動する。よって、少なくとも移動方向の気泡の付着部分は液体で濡れている状態であると考えられる。つまり、気泡は液体の薄膜を介して液室の壁に接していると言える。
【0045】
このように、気泡と接している液室の壁が濡れている状態の場合には、気泡の端部は自由曲面を形成するため、x方向に関して垂直な面の気泡端部の断面は半円形状となり、気泡端部の断面の曲率半径rbは、rb=W/2と近似することができる。なお、図1(e)に示すように、気泡と接している液室の壁が濡れていない状態(気泡が直接、液室の壁に接している状態)の場合は、液体の表面張力や液室の幅に依存して、気泡端部の断面の形状が決まる。この場合、気泡端部の断面の曲率半径は前述の曲率半径rbよりも大きくなるため、気泡の端部(気泡が液室の壁に接触していない部分)は、液室の壁が濡れている場合(図1(d))に比べて小さくなる。また、付着部分が同じ面積であっても、液室の壁が濡れていない方が濡れている方に比べて付着力が増大し、気泡が液室の壁から剥がれにくいことが考えられる。
【0046】
以上、液室内に発生した気泡が連通部においてどのような挙動を示すのかについて説明した。以下、x方向について、連通部Cの長さCxよりも大きい長さを持つ気泡が、連通部Cに到達する場合の気泡の挙動について、本発明の構成と比較例の構成とを対比して説明する。
【0047】
図2に示す本発明のインク供給路、図3に示す比較例のインク供給路を示している。図2(a)、図3(a)にはz方向から見た投影図を、図2(b)、図3(b)にはy方向から見た投影図を示している。図2(c)には、図2(b)のKーK断面及びLーL断面(y軸及びz軸を含む面)を、図3(c)には、図3(b)のMーM断面(y軸及びz軸を含む面)を示している。液室からインク導入路へ向かうときに、y方向について幅が広くなる境界を連通部Cとする。なお、連通部Cは点線で表している。
【0048】
本発明の前提となる構成は、インク導入路と液室との関係が、
(1)x方向について、液室の長さ>連通部Cにおけるインク導入路の長さCx>液室幅W
(2)y方向について、インク導入路の長さ>連通部Cにおける液室の長さ(液室幅W)
となる場合である。
【0049】
なお(1)左辺と中辺との関係式は、連通部Cで気泡によりインク流が閉塞状態となりやすい、という本発明の課題が生ずる場合を表している。また、(1)の中辺と右辺との関係式、及び(2)の関係式を満たせば、少なくともインク導入路のx方向及びy方向の長さを液室幅Wよりも少しでも大きくすることで、液室よりもインク導入路の方が、気泡が移動しやすい構成とすることができる。なお、インク導入路のx方向及びy方向の長さは、気泡が連通部Cで連通してインク導入路側に移動したときに、インク導入路側の気泡の膨張を妨げない程度の長さであれば良い。したがって、インク導入路の構成として、連通部Cから鉛直上方に向かうにつれて、インク導入路のx方向、又はy方向の長さが大きくなって行く構成としても良い。
【0050】
次に、本発明と比較例との違いについて具体的に説明する。
【0051】
本発明(図2)及び比較例(図3)とも、インク供給路をz方向から見た場合に、連通部Cの投影面(図2(a)、図3(a))を有する。一方、x方向から見た場合には、本発明は連通部Cの投影面(図2(c))を有するが、比較例(図3(c))は連通部Cの投影面を有さない。言い換えると、本発明においては、液室の上端はインク導入路の下端よりも鉛直上方に位置する。
【0052】
このような構成の違いにより、x方向について連通部Cにおけるインク導入路の長さCxより大きい幅の気泡が、例えば鉛直方向の下方から連通部Cに到達した場合、比較例の構成と本発明の構成とでは、次のような違いがある。
【0053】
比較例の構成では、図3(b)に示すように液室の上端まで移動した気泡について、x方向について連通部Cよりはみ出した部分の気泡は液室の上端の壁面から垂直抗力を受ける。この状態で気泡にかかる力は、鉛直上方については浮力、鉛直下方については付着力及び垂直抗力がかかり、これらの力は釣り合った状態となる。したがって、比較例の構成では、気泡は連通部Cの近傍で滞留した状態となり、気泡が連通部Cで連通してインク導入路へ移動することは困難である。
【0054】
一方、本発明の構成では、図2(b)に示すように、鉛直下方から連通部Cに向かって気泡が上昇すると、気泡の付着部分が連通部Cに達し、気泡が連通を始める。気泡が連通を始めると、液室側の気泡は液室の上端まで上昇しないで、インク導入路側で気泡は膨張しながら上昇する。したがって、本発明の構成では、Cxよりも大きい長さの気泡が連通部Cに到達したとしても、気泡の連通を促すことができる。また、図2(c)のL−L断面と図3(c)M−M断面のインク連通部分を比較すると、気泡が連通部Cで連通している間、本発明の構成では比較例の構成に比べて連通部Cのインク流が多くなる。このように連通部Cにおける気泡の連通を促すための条件として、連通部Cをx方向から見た場合の投影面のz方向の長さであるCz(液室の上端とインク導入路の下端との間隔)、及び気泡の端部の曲率半径rbについて、
Cz>rb
の関係を満たすことが必要である。前述したように、気泡端部の曲率半径rbは、rb=W/2と近似できるため、Cz>rb=W/2の関係を満たせばよい。すなわち、Czの長さを液室幅Wの半分より大きくすることで、連通部Cで気泡が連通しやすく液室からインク導入路へ移動しやすい構成とすることができる。また、気泡が連通している間も、一定量のインク流を確保することができる。
【0055】
なお、液室がx方向に関して、鉛直上方(z方向)の壁面が液室の端部からインク導入路に向かって傾斜する傾斜面を有している場合について、図4(a)の本発明の構成と、図4(b),(c)の比較例A,Bの構成とを比較して説明する。
【0056】
図4(a)に示すように、傾斜面に沿って気泡が連通部Cに到達した場合でも、Cz>W/2の関係を満たせば本発明の効果を得ることができる。すなわち、図4(a)に示すように、気泡が傾斜角θの傾斜面に沿っているため、気泡の上端部がインク導入路側へ、はみ出すことができる。この際、Cz>W/2の関係を満たせば、少なくとも気泡の付着部分の上端は、連通部Cのうち鉛直方向に垂直な面(鉛直方向の投影面)でインク導入路に連通することができる。一方、図4(b)に示すように、インク導入路のx方向の長さ及び液室が傾斜角θを有する比較例Aの構成では、気泡の上端部がインク導入路側へはみ出すことはできても、必ず気泡の付着部分の上端がインク導入路に到達できるとは限らない。また、比較例の構成において気泡を連通させるには、図5(c)のように傾斜角をθよりも大きいθ’にする必要があり、設計上の制約が大きい。
【0057】
なお、液室が傾斜面を有する場合において、一端のみ傾斜面を有する構成としても良いし、両端に傾斜面を有する構成としても良い。また両端の傾斜面の傾斜角が異なっていても良い。
【0058】
以上説明したように、本発明の構成を用いれば、比較例の構成に比べて気泡が記録に与える影響を小さくすることができる。
【0059】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0060】
実施例1について、図5、図6及び図10を用いて説明する。
【0061】
本実施例では一般的なインクジェット記録ヘッドと同様、図10に示す通り内部にシアン、マゼンタ、イエローのインクを保持するためのインク収容部H2011〜H2013を有している。また、記録素子基板H1101の各インク供給口H1102にインクを導くための独立したインク供給路をそれぞれ備えている。
【0062】
図5(a)は、インクタンクH1501の断面の斜視図(説明を明確にするため、蓋部材H1901等は不図示とする)である。
【0063】
本実施例のインク供給路の形状について詳しく説明するため、図5(a)の一部分の拡大図を図5(b)に示す。同図(b)に示すように一定の幅Wを有する液室H2211と、x方向について液室の長さよりも短く液室幅Wよりも長い長さを有するインク導入路H2111との接続部分を連通部Cとする。本実施例では連通部Cはインク供給口に対向する1面(x軸及びy軸を含む面)、その面に垂直で液室長手方向を向いている2面(x方向に垂直な面)の3面で構成される。
【0064】
図6(a)はインク供給路S11の断面の模式図である。前述した連通部Cを構成する面のうち、インク供給口に対向する面(水平面とする)のx方向の長さをCx1(長さ3.2mm)、液室長手方向(x方向)を向いている2面(垂直面とする)のz方向の長さをCz1(長さ1.4mm)とする。
【0065】
本実施例では液室の端部に発生する気泡を連通部Cに移動させやすくするため、液室が傾斜角θの傾斜面を有している。
【0066】
本実施例における液室幅Wは0.65mmであり、この値からCz1をCz1>0.65/2=0.325mmの関係を満たすように設計した。
【0067】
なお、連通部Cの垂直面の上端について2面の上端をそれぞれ異なる高さにすることも可能であるが、吐出口からインクを吸引する等して吸引回復する際に、上端の高さが異なると気泡が発生する原因となる場合がある。したがって、垂直面の上端の高さについては同じ高さにすることが望ましい。
【0068】
本実施例においては、連通部Cに到達した液室の気泡のx方向の長さが連通部Cのx方向の長さCxより短い場合について説明する。このような場合には、本発明及び比較例の構成ともに、気泡は連通部Cで連通してインク導入路へ移動することは可能である。なお、気泡のx方向の長さが連通部Cのx方向の長さCxより長い場合の本発明の効果は、図2で説明した場合と同様である。
【0069】
本発明と比較例の構成の違いを表したインク供給路の模式図を図6(b)に示す。液室幅Wやテーパ角の大きさが同じであれば、液室における気泡の単位時間あたりの移動距離は本発明及び比較例で同じであるとみなせる。
【0070】
本発明では、連通部Cが水平面だけでなく垂直面も有しているため、水平面におけるz方向への移動分と、垂直面におけるx方向への移動分について、気泡はインク導入路に移動することができる。一方、比較例においては、連通部Cが水平面のみで構成されるので、水平面におけるz方向への移動分のみしか、気泡はインク導入路に移動できない。
【0071】
さらに、連通部Cについて、本発明では2面ある垂直面のうち、一方の垂直面において気泡がインク導入路に連通するため、その気泡の大部分がインク導入路へ移動するまでの間、少なくとももう一方の垂直面、又は水平面においてインクの連通状態が保たれる。一方、比較例においては、連通部Cが水平面のみであるため、気泡が水平面で連通してその気泡の大部分がインク導入路へ移動するまでの間は、水平面におけるインクの連通面積が少なくなる。
【0072】
以上説明した構成により、本実施例では、液室で発生した気泡が連通部Cで連通しやすく、液室からインク導入路に移動しやすいという効果を奏する。さらに、連通部Cを構成するいずれかの面において気泡がインク導入路に連通することで、他の面においてインクの連通状態を保つことができるという効果も奏する。
【0073】
なお、液室の傾斜面の傾斜角をより大きくすることで、液室で発生した気泡が連通部Cに移動しやすく、さらに連通部Cを通過してインク導入路に移動しやすい構成とすることができる。
【実施例2】
【0074】
実施例1の変形例である実施例2について、図7を用いて説明する。
【0075】
実施例2では実施例1と比較して連通部Cにおける垂直面の高さCzが短い場合を示す。図7(a)に示すCz2は0.40mmであり、Czの長さがW/2=0.65/2mm=0.325mmに近い場合である。このような場合であっても、Cz>W/2の関係を満たせば、本発明の効果を得ることが確認できた。なお、Cx2の長さは3.4mmである。このように、Czに比較してCxが長い場合は、連通部Cの水平面において気泡が連通しやすい構成となる。
【0076】
このような構成とすることで、液室で発生した気泡が連通部Cで連通しやすく、液室からインク導入路に移動しやすいという効果を奏する。さらに、実施例1と同様に、連通部Cを構成するいずれかの面において気泡がインク導入路に連通することで、他の面においてインクの連通状態を保つことができるという効果も奏する。
【0077】
以上、内側のインク供給路S21の構造について説明したが、次に他のインク供給路についても図7(b)を参照して具体的に説明する。なお、実施例1のインク供給路についても以下に説明するインク供給路と同様の構成を有する。
【0078】
図10に示したインクタンクH1501内に3つのインク供給路S21〜23を適切に配置した例を図7(b)に示す。このように複数のインク供給路を配置することで、記録ヘッドが大型化することを避けつつ、複数色のインクの供給を可能にしている。
【0079】
外側のインク供給路については、内側のインク供給路よりも設計自由度が高いため、例えば、図7(b)に示すインク供給路S23においては、連通部のx方向の幅Cx’2を長くすることが可能である(最大でx方向の液室の長さと同じ)。また、図7(c)に示すように、液室の壁面の上端の差Cz’2をW/2より大きくすることで、より気泡が連通しやすい構成とすることができる。このような構成とすることで、成長した気泡が連通部に到達したとしても、インクの連通状態を保つことができる。
【実施例3】
【0080】
実施例3について、図8、図9及び図11を用いて説明する。
【0081】
実施例1及び2では3色のインクを吐出可能な記録素子基板を有するインクジェット記録ヘッドの構成について述べたが、実施例3では4色のインクジェット記録ヘッドの場合について述べる。
【0082】
本実施例では、図11に示す4色のインクを吐出可能な記録ヘッドH1002に適用されるインク供給路について説明する。同図に示す通り、インクタンクH1502は内部にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクを保持するためのインク収容部H2031〜H2034を有している。また、4列の吐出口列が形成された記録素子基板(不図示)の各インク供給口にインクを導くための独立したインク供給路をそれぞれ備えている。
【0083】
図11に示したインクタンクH1502内に4つのインク供給路S31〜34を適切に配置した例を図9(c)に示す。実施例1及び2との主な違いは、内側のインク供給路S31及びS33にある。
【0084】
内側のインク供給路S31の構成について、図8を参照して詳しく説明する。なお、インク供給路S33の構成もほぼ同様であり、同様の効果を奏するので、説明を省略する。
【0085】
図8(a)は、インクタンクH1502の断面の斜視図(説明を明確にするため、蓋部材H1901等は不図示とする)である。
【0086】
本実施例のインク供給路の形状について詳しく説明するため、図8(a)の一部分の拡大図を図8(b)に示す。同図(b)に示すように、本実施例では連通部Cは水平面と垂直面の2面で構成される。
【0087】
図9(a)に示すように、インク供給路S31はインク導入路H2131と液室H2231とで構成される。前述した連通部Cにおける水平面のx方向の長さをCx3(長さ3.1mm)、垂直面のz方向の長さをCz3(長さ1.4mm)とする。
【0088】
例えば、図9(b)に示す位置に気泡が発生した場合、連通部Cに到達した気泡は水平面でインク導入路に連通する。その際、本発明の構成では、気泡が水平面で連通している間、垂直面でインクの連通状態を保つことができる。なお、気泡が垂直面で連通する場合には水平面においてインクの連通状態を保つことができる。一方、比較例においては、水平面のみで構成される連通部Cに気泡が到達した場合、気泡が水平面で連通している間は、インクの連通が少ない状態となる。
【0089】
また、実施例1や2の構成と比較して、本実施例では、液室の傾斜面の傾斜角を大きくしやすい構成であるため、気泡が液室をz方向に移動する速さをより速くすることができ、気泡が連通部Cに到達しやすい構成とすることができる。
【0090】
また、垂直面のz方向の長さCz3が、短い場合でも、Cz3>W/2の条件を満たせば、実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0091】
以上説明したように、連通部Cを2面で構成した場合でも、実施例1及び2と同様に、連通部Cで気泡が連通しやすく、さらに少なくとも1つの面でインクの連通状態を保つことができるという効果を奏する。
【0092】
なお、実施例1〜3において、連通部Cを構成する面として、垂直面、水平面を例に挙げて説明したが、インク導入路と液室とが接続する面は、垂直または水平でなくとも構わない。また、連通部Cを構成する面は2面以上であっても良い。すなわち、連通部Cがx方向から見た投影面、及びz方向から見た投影面を有し、x方向から見た投影面のz方向の長さが、液室幅Wの1/2よりも大きければ良い。
【0093】
なお、連通部Cを通過した気泡は、インク導入路で蓄積されるが、吸引回復ではこの部分に蓄積された気泡は除去されにくい場合がある。よって、インク導入路の体積はインク導入路に気泡が蓄積しても記録に影響を与えにくい程度の大きさにすることが望ましい。
【0094】
<記録装置>
図13は、本発明の記録ヘッドを搭載可能な記録装置の一例であって、内部を概観する模式的上面図である。
【0095】
図13を参照してわかるように、この記録装置は、図10や図11に示した記録ヘッドが位置決めされて交換可能に搭載されるキャリッジ102を有している。
【0096】
キャリッジ102には、記録ヘッドを構成する電気配線シートに設けられている外部信号入力端子を介して各電気熱変換体に電気信号等を伝達するための電気接続部が設けられている。
【0097】
また、キャリッジ102には、蓋部材H1901に設けられた蓋ガイドH1902(図10及び図11)に対応して、装着用ガイドレール(不図示)が設けられている。蓋ガイドH1902を装着用ガイドレールに支持させることで、装着用ガイドレールに沿って記録ヘッドをキャリッジ102に装着させることができる。また記録ヘッドを構成するインクタンクには、キャリッジ102のヘッド装着位置に記録ヘッドを案内するための装着ガイドH1560(図10及び図11)が設けられている。
【0098】
記録ヘッドは、上述した装着ガイドH1560や蓋ガイドH1902、記録ヘッドを記録装置に固定するための係合部H1930(図10及び図11)等により、キャリッジ102の所定位置へ案内されて固定される。
【0099】
キャリッジ102は、主走査方向に延在して装置本体に設置されたガイドシャフト103に沿って往復移動可能に支持されている。記録ヘッドは、吐出口の並び方向(吐出口列方向)がキャリッジ102の走査方向に対して交差する方向になるようにキャリッジ102に搭載される。そして記録ヘッドは、搬送手段としてのピックアップローラ131と搬送ローラ109とにより吐出口と対向する位置にまで搬送された記録媒体108に対して、吐出口列から液体を吐出して記録を行う。
【0100】
100は回復系機構であり、記録ヘッドの吐出口形成面を保護するために用いられるキャップ部材を有し、記録ヘッドの吐出口からインクを吸引して、記録ヘッドを吐出可能な状態に吸引回復させる動作を行う。キャップ部材は不図示のモータにより吐出口形成面に対し接合/離脱位置に設定可能であって、接合状態において不図示の吸引ポンプ等によりキャップ部材内部に負圧を生じさせることで記録ヘッドの吸引回復動作等が行われる。また、記録装置の非使用時にもキャップ部材を接合状態としておくことで、記録ヘッドの吐出口形成面を保護することができる。
【0101】
なお、記録装置としてキャリッジ102に記録ヘッドが着脱可能に搭載される例を示したが、記録ヘッドを構成する記録素子基板とキャリッジ102とを一体とし、インクタンクのみを着脱可能に搭載する構成としてもよい。
【0102】
また、記録装置としては、インクを吐出して記録を行う一般的なプリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、あるいはこれらの装置の有する機能を複合して備える多機能記録装置等に本発明の記録ヘッドを適用することができる。それらの他、インク以外の液体を吐出して媒体上に図形や模様を描画する装置にも本発明の記録ヘッドを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】気泡の挙動の説明図。
【図2】本発明のインク供給路。
【図3】比較例のインク供給路。
【図4】液室が傾斜面を有する場合のインク供給路。
【図5】実施例1のインクタンクの断面図。
【図6】実施例1の説明図。
【図7】実施例2の説明図。
【図8】実施例3のインクタンクの断面図。
【図9】実施例3の説明図。
【図10】実施例1及び実施例2のインクジェット記録ヘッド。
【図11】実施例3のインクジェット記録ヘッド。
【図12】一般的に用いられる記録素子基板。
【図13】インクジェット記録装置の一例。
【図14】従来のインクジェット記録ヘッド。
【図15】従来のインクタンクの断面図。
【図16】従来のインクタンクにおけるインク供給路。
【図17】気泡の発生及び成長の過程を表した模式図。
【符号の説明】
【0104】
H1001 記録ヘッド
H1101 記録素子基板
H1102 インク供給口
H1107 吐出口
H1501 インクタンク
H2111 インク導入路
H2211 液室
S11 インク供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するための複数の吐出口と、該複数の吐出口に共通に液体を供給するための液室と、該液室に液体を導入するための液体導入路と、を備える液体吐出ヘッドであって、
該液体吐出ヘッドが使用される状態において、鉛直方向に関して、前記液室の上方に前記液体導入路が位置し、
前記液室は鉛直方向に垂直な面に関して細長の断面形状を有し、
前記細長の断面形状の短手方向に関して、前記液体導入路の長さが前記液室の長さより大きく、
前記細長の断面形状の長手方向に関して、前記液体導入路の前記液室との連通部の長さが前記液室の長さより小さく、かつ、前記短手方向に関する前記液室の長さより大きく、
鉛直方向に関して、前記液室の上端が前記液体導入路の下端より上方に位置し、
鉛直方向に関する前記液室の上端と前記液体導入路の下端との間隔が、前記短手方向に関する前記液室の長さの半分より大きいことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記連通部は2面以上の面で構成されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記連通部は、少なくとも前記長手方向に垂直な面を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記連通部は、前記鉛直方向に垂直な面を含むことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記短手方向に関して、液室が一定の長さ有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記液室は、鉛直上方の壁面が前記長手方向に関して、前記液室の端部から前記液体導入路に向かって上方に傾斜する傾斜面を有していることを特徴とする請求項1乃至5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の液体吐出ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送手段とを備え、前記液体吐出ヘッドから液体を吐出して前記記録媒体に記録を行う記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−248328(P2009−248328A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95127(P2008−95127)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】