液体吐出ヘッド及び電気配線基板
【課題】 電気配線基板の、電気接点群が複数設けられた領域の、複数の吐出口の配設方向に関する幅を小さくし、且つ各電気接点群の着脱時における作業性を維持、向上させることが可能な液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】 液体吐出ヘッドには、記録素子1102と、記録素子1102を駆動するための駆動回路基板2100と、を電気的に接続する電気配線基板1300が設けられている。電気配線基板1300に設けられた複数の第一の電気接点群は、該複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、複数の吐出口1105が配設された配設方向及び該配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に、複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ装着されている。
【解決手段】 液体吐出ヘッドには、記録素子1102と、記録素子1102を駆動するための駆動回路基板2100と、を電気的に接続する電気配線基板1300が設けられている。電気配線基板1300に設けられた複数の第一の電気接点群は、該複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、複数の吐出口1105が配設された配設方向及び該配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に、複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ装着されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド、及び液体吐出ヘッドに用いられる電気配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして代表的なインクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」とも称する)は、インクを吐出する吐出口と、吐出口からインクを吐出するためのエネルギーを発生する記録素子と、を備えた記録素子基板を有している。また、記録ヘッドは、記録素子に供給するための電源や、記録素子を駆動するための信号を、外部から供給するために、記録素子基板に電気的に接続される電気配線基板を有している。
【0003】
ここで、画質を向上させるために、記録素子基板を駆動するための信号の数を増やすと、電気配線基板内の配線の数が多くなる。また、記録媒体の幅と同程度の印字幅を有するフルライン型の記録ヘッド(特許文献1)は、印字幅に対応させるために、記録素子基板の数が多くなる場合があり、このような場合においても、電気配線基板内の配線の数が多くなる。
【0004】
このように配線の数が多くなると、電気配線基板に設けられる外部との電気接点の数が増え、それを一つにまとめた場合には、コネクタ(電気接点群)の着脱時には、その着脱に必要な挿抜力が大きくなり、また記録ヘッドに加わる負荷が大きくなる恐れがある。そこで、特許文献1に記載の発明は、電気配線基板の外部との電気接点を複数備えたコネクタ(サブ基板60の雄コネクタ61)を、複数に分割し、記録ヘッドの長手方向、すなわち複数の吐出口が配設される配設方向に沿って設ける構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−62097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のコネクタを有する電気配線基板において、狭い領域内に複数のコネクタを配置すると、隣接するコネクタ同士が近接するように配置されるため、コネクタの着脱時において使用できるスペースが限られてしまい、その作業性が低下する恐れがある。一方で、その作業性の低下を防ぐためには、吐出口の配設方向に関して、隣接するコネクタ同士を十分に離して配置し、コネクタの着脱時におけるスペースを確保することが望ましい。しかし、この場合には、電気配線基板の複数のコネクタが設けられたコネクタ領域の、複数の吐出口の配設方向に関する幅が大きくなる恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、電気配線基板の、複数の電気接点群が設けられた領域の、複数の吐出口の配設方向に関する幅を小さくし、且つ各電気接点群の着脱時における作業性を維持、向上させることが可能な液体吐出ヘッド及び電気配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体吐出ヘッドは、複数配設された、液体を吐出する吐出口と、複数の前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーをそれぞれ発生する複数の記録素子と、を有する記録素子基板と、該記録素子基板と、前記複数の記録素子を駆動するための回路を有する駆動回路基板と、を電気的に接続する電気配線基板であって、前記複数の吐出口が配設された配設方向に沿って設けられた、前記駆動回路基板との電気的接続のための複数の電気接点、を備えた第一の電気接点群を複数有する前記電気配線基板と、を有し、複数の前記第一の電気接点群は、前記駆動回路基板と電気的に接続された複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ着脱可能であり、前記複数の第一の電気接点群は、該複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、前記配設方向及び該配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に、前記複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ装着されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電気配線基板は、液体を吐出する吐出口を複数と、複数の前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーをそれぞれ発生する複数の記録素子と、を備える記録素子基板と、前記複数の記録素子を駆動するための回路を有する駆動回路基板と、を電気的に接続する電気配線基板であって、内部に前記記録素子基板を配するための開口部と、該開口部の長手方向に沿って設けられた、前記駆動回路基板との電気的接続のための複数の電気接点、を備えた第一の電気接点群の複数と、を有し、複数の前記第一の電気接点群は、前記駆動回路基板と電気的に接続された複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ着脱可能であり、前記複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、前記長手方向及び該長手方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電気配線基板の電気接点群が複数設けられた領域の、複数の吐出口の配設方向に関する幅を小さくし、且つ各電気接点群の着脱時における作業性を維持、向上させることが可能な液体吐出ヘッド及び電気配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用可能な記録ヘッドを説明するための図であり、(a)は記録ヘッドの外観斜視図、(b)は記録ヘッドの下面図、(c)は、記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】記録素子ユニットの分解斜視図である。
【図3】記録素子基板を説明するための図であり、(a)は記録素子基板の外観斜視図、(b)は図3(a)のA−A断面図である。
【図4】ベースプレートを説明するための図であり、(a)は記録素子基板が配置される面を含む外観斜視図、(b)はインク流入口及び流出口が設けられた面を含む外観斜視図、(c)は記録素子基板が配置される面から見た、内部のインク流路を透過させて示した平面図である。
【図5】電気配線基板を説明するための図であり、(a)は電気配線基板の外観斜視図、(b)はその配線レイアウトの模式図である。
【図6】支持部材A、Bを示す外観斜視図である。
【図7】インク供給部材を示す外観斜視図である。
【図8】駆動回路基板ユニットを示す分解斜視図である。
【図9】記録素子ユニットと駆動回路基板ユニットとが結合された状態を示す斜視図である。
【図10】記録装置の構成を説明するための図である。
【図11】本発明を適用可能な記録ヘッドが装着された状態の記録装置を示す図であり、(a)は図9のX方向から見た平面図、(b)は図11(a)のB−B断面を含む平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を適用可能な液体吐出ヘッドとして代表的なインクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」と称す)を例に説明する。図1から図11は、記録ヘッド、及びこれが装着されるインクジェット記録装置(以下、「記録装置」と称す)の構成を説明するための図である。
【0013】
本発明を適用可能な記録ヘッド100の構成を図1に示す。記録ヘッド100は、使用が想定される紙などの記録シートの最大幅に対応する範囲にわたって、吐出口を有する記録素子基板1100が配置されており、記録ヘッド100を走査せず、高速の記録が可能なフルライン型の記録ヘッド100である。
【0014】
図1(c)に示すように、記録ヘッド100は、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000とからなり、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000は、互いに機械的および電気的に着脱可能に結合される。
【0015】
(記録素子ユニット)
記録素子ユニット1000の分解斜視図を図2に示す。記録素子ユニット1000は、複数の記録素子基板1100、ベースプレート1200、2つの支持部材1400、1405、2つのインク供給部材1500、電気配線基板1300、2つのサイドプレート1600、1650から構成されている。
【0016】
複数の記録素子基板1100は、基材としてのベースプレート1200上に、ベースプレート1200の長手方向に関して千鳥状に精度よく配設されている。2つの支持部材1400、1405と、2つのインク供給部材1500は、ベースプレート1200の長手方向に関する両端に固定される。電気配線基板1300は、ベースプレート1200に接着固定され、電気配線基板1300の短手方向の両端は折り曲げられている。
【0017】
次に、記録素子ユニット1000の構成をより詳細に説明する。
【0018】
まず、記録素子基板1100の構成を図3(a)、(b)に示す。記録素子基板1100は、シリコン基板1108と吐出口プレート1110からなる。
【0019】
シリコン基板1108の厚さは、例えば0.5〜1mm程度である。シリコン基板1108には、シリコン基板1108の長手方向に延びた長溝状のインク供給口1101が形成されている。また、インク供給口1101の両側には、インクを吐出するためのエネルギーを発生する記録素子としてのヒーターなどの電気熱変換素子1102が、それぞれ1列ずつ千鳥状に配列されている。電気熱変換素子1102、及び電気熱変換素子1102と電気的に接続されるアルミニウム等の電気配線(不図示)は、成膜技術により形成されている。また、記録素子基板1100の長手方向の両端部には、電気配線基板1300と電気的に接続される電極1103が設けられている。
【0020】
シリコン基板1108の上には、樹脂材料からなる吐出口プレート1110が設けられており、吐出口プレート1110には、電気熱変換素子1102に対応したインク流路1104及び吐出口1105がフォトリソグラフィー技術により形成されている。吐出口1105は、電気熱変換素子1102と対向するように設けられている。すなわち、吐出口1105は、記録素子基板1100の長手方向に沿って配設されている。電気熱変換素子1102を駆動することより気泡を発生させて、インク供給口1101から供給されたインクを吐出口1105から吐出させる。
【0021】
なお、本実施形態において、記録素子基板1100は、複数の吐出口1105が、記録ヘッド100の長手方向すなわち、ベースプレート1200の長手方向に沿って配設されるように、ベースプレート1200に対して記録素子基板1100を配置している。したがって、本実施形態では、記録ヘッド100の長手方向と、複数の吐出口1105の配設方向とが一致している。
【0022】
次に、ベースプレート1200の構成を図4(a)〜(c)に示す。ベースプレート1200は、酸化アルミニウム(Al2O3;以下、アルミナと称する)で形成されたアルミナグリーンシートを複数積層し、焼成することで形成されている。アルミナグリーンシートの厚さは、例えば0.5〜1mm程度であり、これらが積層されたベースプレート1200の厚さは10mm程度である。ベースプレート1200には、記録素子基板1100のインク供給口1101にインクを供給するインク供給スリット1210と、インクタンク(不図示)からインク供給スリット1210にインクを供給するインク流路1220が形成されている。
【0023】
本実施形態では、ベースプレート1200の材料としてアルミナを用いたが、材料はこれに限られることない。ベースプレート1200の材料は、記録素子基板1100の、ベースプレート1200と接する部材の材料の線膨張率と同程度の線膨張率を有し、且つその材料の熱伝導率と同程度、もしくは同程度以上の熱伝導率を有する材料であればよい。ベースプレート1200の材料の例としては、シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などが挙げられる。
【0024】
電気配線基板1300の構成を図5に示す。電気配線基板1300は、記録装置3000から送られる電気熱変換素子1102を駆動する信号、及び電気熱変換素子1102を駆動する電力を、記録素子基板1100に供給するための部材である。電気配線基板1300は、樹脂フィルム上に配線パターンが形成されたフレキシブル配線基板である。また、電気配線基板1300は、内部に記録素子基板1100を組み込むための複数の開口部1330を有しており、複数の開口部1330の両端には、記録素子基板1100の電極1103に対応する電極端子1340が形成されている。電気配線基板1300は、ベースプレート1200の、インク供給スリット1210が形成された面に接着され、固定される。
【0025】
電気配線基板1300の内部には、電気熱変換素子1102を駆動する信号を伝送するための信号系配線1311と、電気熱変換素子1102に電力を供給するための電源系配線1321と、が配されている。また、電気配線基板1300の一端には、その外部と信号系配線1311とを電気的に接続するための信号用電気接点が、複数の吐出口1105が配設される配設方向に沿って複数配設された、信号系配線コネクタ1310(信号用電気接点群)が形成されている。同様に、電気配線基板1300の一端には、その外部と電源系配線1321とを電気的に接続するための電源用電気接点が、複数の吐出口1105の配設方向に沿って複数配設された、電源系配線コネクタ1320(電源用電気接点群)が形成されている。ここで、電気配線基板1300に設けられた、駆動回路基板2100との電気的接続のためのコネクタ(本実施形態では、信号系配線コネクタ1310及び電源系配線コネクタ1320)を、第一の電気接点群とする。電気配線基板1300に設けられた配線及びコネクタの配置については、後に詳細に説明する。
【0026】
電気配線基板1300と電気熱変換素子1102とは、例えば、記録素子基板1100の電極1103と電気配線基板1300の電極端子1340とを、金ワイヤー(不図示)を用いたワイヤーボンディング技術により接合することで、電気的に接続される。そして記録素子基板1100の電極1103、電気配線基板1300の電極端子1340、及びワイヤーは、封止剤により被覆され、インクによる腐食や外的衝撃から保護される。
【0027】
支持部材A1400、支持部材B1405の構成を図6に示す。二つの支持部材1400、1405は、記録ヘッド100を保持、固定するための部材であり、ベースプレ−ト1200の長手方向の両端にそれぞれ固定される。各支持部材1400、1405には、記録ヘッド100を記録装置3000に装着した際に、記録装置3000に設けられた位置決めピン3430(図11参照)と嵌合する位置決め穴A1410、位置決め穴B1415が形成されている。二つの位置決め穴1410、1415は、記録ヘッド100の短手方向(図9に示すX方向)及び記録ヘッド100の長手方向(図9に示すY方向)に関して、記録ヘッド100を適正な位置に装着するためのものである。支持部材A1400の位置決め穴A1410は丸穴、支持部材B1405の位置決め穴B1415は長穴になっている。また、記録ヘッド100を記録装置3000に装着した際に、記録ヘッド100を支持するヘッドホルダ3400(図11参照)につきあたる、位置決め部1430が形成されている。この位置決め部1430は、記録シートと記録素子基板1100の吐出口1105が設けられた側の面との間隔を一定に保持するため部材である。
【0028】
さらに、支持部材1400、1405は、インク供給部材1500が収まるような形状となっており、インク供給部材1500は、記録装置3000に対してインク供給部材の接続部1510のみが接触している(図11参照)。これにより、記録ヘッド100を記録装置3000から着脱する際に、インク供給部材1500に外力が加わることによるインク供給部材1500の変形が発生する恐れを低減させている。
【0029】
図2を用いて、サイドプレートA1600、サイドプレートB1650の構成を説明する。二つのサイドプレート1600、1650は、記録ヘッド100の側面を覆う薄い板状の部材である。サイドプレートA1600は、棒状のベースバ−A1601に板状の側板1610が取り付けられた構成を有している。サイドプレートB1650は、電気配線基板1300の電源系配線コネクタ1320の周囲を固定するための板状の配線基板固定部1655が一体的に形成された棒状のベースバ−B1651に、板状の側板1610が取り付けられた構成を有している。二つのサイドプレート1600、1650は、電気配線基板1300の、記録素子ユニット1000の長手方向の側面に配される部分の表面を覆うように設けられ、二つの支持部材1400、1405に固定される。
【0030】
インク供給部材1500の構成を図7に示す。インク供給部材1500は、記録装置3000側の接続ユニット3410(図11(a)参照)と接続され、記録装置3000から記録素子ユニット1000にインクを供給する部材である。インク供給部材1500は、例えば樹脂材料で形成されており、記録装置3000に接続される二つの接続部1510、ベースプレート1200に接続される二つの開口部1520が設けられている。なお、記録装置3000と記録素子ユニット1000の間で、インクを循環させるために、接続部1510及び開口部1520は、それぞれ二つずつ設けられている。また、インク供給部材1500の内部には、接続部1510と開口部1520とをつなぐインク流路(不図示)が設けられており、インク流路の途中には、インク中に混入された異物や気泡を取り除くためのフィルター(不図示)が配置されている。そして、接続部1510には、記録装置3000のインク供給パイプと接合するためのジョイントゴムが装着されており、接続部1510は、記録装置3000の接続ユニット3410に接続される。また、開口部1520がベースプレート1200の端部付近に形成されたインク流入口1230、流出口1240(図4参照)と連通するように、インク供給部材1500はベースプレート1200に対して位置決めされる。
【0031】
(駆動制御基板ユニット)
図8は駆動回路基板ユニット2000の斜視図であり、カバー2300をはずした状態を示している。駆動回路基板ユニット2000の内部には、記録ヘッド100の駆動を制御するための駆動回路基板2100が基板ホルダ2200に固定されている。
【0032】
駆動回路基板2100には、記録装置3000と電気的に接続するための、信号系配線コネクタ2140及び電源系配線コネクタ2150が設けられている。また、記録素子ユニット1000と電気的に接続するための、信号系配線コネクタ2110及び電源系配線コネクタ2120が設けられている。
【0033】
駆動回路基板2100に設けられた駆動制御回路において、記録装置3000から信号系配線コネクタ2140を介して入力される信号から、所定の電気熱変換素子1102を駆動する駆動制御信号が生成される。この駆動制御信号は、信号系配線コネクタ2110を介して記録素子ユニット1000に送られる。また、駆動回路基板2100において、電源系配線コネクタ2150を介して入力される電圧から、電気熱変換素子1102に加える電圧に変換されて、電源系配線コネクタ2120を介して記録素子ユニット1000へと送られる。
【0034】
駆動回路基板ユニット2000は、記録素子ユニット1000の電気熱変換素子1102が設けられた吐出面とは反対側の面に取り付けられる。具体的には、駆動回路基板ユニット2000は、記録素子ユニット1000の長手方向に関する両端に設けられた支持部材1400、1405の上に保持され、ヘッド固定ボルト1450(図11参照)でネジ止めされて固定される。
【0035】
電気配線基板1300の信号系配線コネクタ1310は、開口を有する駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110に対して挿入されることで、記録素子ユニット1000と駆動回路基板2100とが電気的に接続される(図9参照)。また、電気配線基板1300側の電源系配線コネクタ1320と、駆動回路基板2100側の電源系配線コネクタ2120とは、電源配線基板130とは別体の、電気配線部材としてのワイヤーハーネス2130を介して電気的に接続されている。電源系配線コネクタ1320、2120は開口を有しており、ワイヤーハーネス2130が両コネクタに挿入されている。ここで、電気配線基板1300の信号系配線コネクタ1310及び電源系配線コネクタ1320は、第二の電気接点群に対して着脱可能である。すなわち、本実施形態における第二の電気接点群は、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110、及び電源系配線コネクタ1320に挿入される側のワイヤーハーネス2130の端部である。
【0036】
図1に示すように、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000とが結合され、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000との間はほぼ隙間がない状態となる。
【0037】
(インクジェット記録装置)
本実施形態の記録装置3000の構成を図10に示す。記録装置3000は、長尺のフルライン型の記録ヘッド100を用いて、記録媒体としての記録シート3200を搬送方向(図9に示すX方向)に連続搬送しながら記録を行うラインプリンタである。記録装置3000は、ロール状に巻かれた記録シート3200を保持するホルダ(不図示)、記録シート3200を所定速度でX方向へ搬送する搬送機構3300、記録シート3200に対して記録ヘッド100を用いて記録を行う記録部3100を備えている。なお、記録シート3200は連続したロールシートに限らず、カットシートであってもよい。更に、記録装置3000は、記録ヘッド100に供給するためのインクを収容するインクタンク(不図示)を備えている。記録部3100は、異なるインク色にそれぞれ対応した複数の記録ヘッド100を備えている。本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四色に対応した四つの記録ヘッド100としているが、色の数や色の種類はこれに限定されない。
【0038】
記録ヘッド100が装着された状態の記録装置3000を図11に示す。記録ヘッド100の長手方向に関する両端部に設けられた接続部1510と、記録装置3000の接続ユニット3410とが接続されており、この接続された部分において、記録ヘッド100へのインクの導入、記録ヘッド100からのインクの導出が行われる。各色のインクはインクタンクからそれぞれインクチューブ3420を介して、記録ヘッド100に供給される。
【0039】
接続部1510より記録ヘッド100の長手方向に関する内側に配置された位置決め穴1410、1415(図6参照)が、ヘッドホルダ3400の位置決めピン3430と嵌合されている。また、記録ヘッド100の位置決め部1430がヘッドホルダ3400に突きあてられることにより、記録ヘッド100の記録装置3000に対する位置決めがなされている。記録ヘッド100の両端に設けられた支持部材1400、1405が、ヘッド固定ボルト1450でそれぞれ記録装置3000に固定され、保持されている。
【0040】
(第一の実施形態)
本発明の特徴部分である、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000との電気接続部の構成について説明する。なお、電気配線基板1300側のコネクタ領域1301とは、電気配線基板1300のうち、信号系配線コネクタ1310及び電源系配線コネクタ1320が設けられた領域であり、図5(b)の破線で囲った領域を示す。
【0041】
(電気配線基板)
図5(a)は電気配線基板1300の斜視図、図5(b)は電気配線基板1300の配線レイアウトを説明するために、一部の配線を透過させて示した図である。
【0042】
記録ヘッド100の信号系配線1311は、信号の波形の乱れや信号に対するノイズの影響を減らすため、各々の記録素子基板1100から信号系配線コネクタ1310までの配線の長さが短いほど好ましい。また、一部の信号は差動伝送されるために、各々の記録素子基板1100に対して等長で配線する必要がある。よって、信号系配線コネクタ1310を、吐出口1105の配設方向に関する電気配線基板1300の略中央部に配置している。また、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110を、駆動回路基板2100の下部に設ける(図9参照)ことで、信号系配線コネクタ1310から開口部1330までの間隔V1(図5(b)参照)をできる限り小さくしている。信号系配線1311は、複数の開口部1330の間を通るようにして、信号系配線コネクタ1310に引き回している。
【0043】
電源系配線1321は、各々の記録素子基板1100に対する抵抗値をなるべく小さく、かつ一定範囲内の抵抗値とするのが好ましい。上述したように、電気配線基板1300は、信号系配線1311を等長で配線するため、信号系配線コネクタ1310を吐出口1105の配設方向に関する中央部に配置している。この電気配線基板1300に対して、信号系配線コネクタ1310が配設方向に関する二つの電源系配線コネクタ1320の間に設けられるように、電源系配線コネクタ1320を一つずつ配置している。また、電源系配線1321の幅を可能な限り太くし、複数の開口部1330の外周を囲うようにして引き回している。電源系配線コネクタ1320は、吐出口1105の配設方向に関するコネクタ領域1301の寸法H、及び電源系配線コネクタ1320から開口部1330までの間隔V2(ともに図5(b)参照)が可能な限り小さくなるように、配置されている。コネクタ領域1301の寸法Hを小さくすることで、空いたスペースにインク供給部材1500を配置することができ(図1(c)参照)、記録素子ユニット1000の長手方向に関する幅を小さくすることができる。
【0044】
また、上述したように、信号系配線コネクタ1310と電源系配線コネクタ1320とを分けて設け、信号系配線1311と高電圧が印加される電源系配線1321とを分離させている。これにより、信号系配線1311と電源系配線1321とを混在させて配置する場合よりも、信号系配線1311と電源系配線1321とが近接する領域が少なく、信号系配線1311が電源系配線1321によるノイズの影響を受けにくい構成となる。
【0045】
また、図1(c)に示すように、電気配線基板1300のコネクタ領域1301は、記録ヘッド100の短手方向に関する幅内に収まるよう、電気配線基板1300の、ベースプレート1200の側面に配される部分に対し、X方向(図9参照)に折り曲げられている。このような構成であるので、電気配線基板1300によって、記録ヘッド100の短手方向に関する幅が大きくなる恐れを防いでいる。したがって、図10に示したように、複数の記録ヘッド100を並べて使用する際には、記録ヘッド100同士の間隔がコネクタ領域1301によって制約されることがなく、この間隔を任意に設定することが可能である。記録ヘッド100同士の間隔を小さくすることにより、記録ヘッド100に対して記録シート3200を平行に保つ領域を小さくできるため、記録シートの搬送精度の向上や紙ジャムの恐れの低減が可能であり、高品位な記録が可能となる。
【0046】
(駆動回路基板)
図9は、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000とが結合された状態を示す斜視図であり、駆動回路基板ユニット2000のカバー2300を外した状態である。駆動回路基板2100には、図9に示すように、記録装置3000と電気的に接続するための信号系配線コネクタ2140及び電源系配線コネクタ2150(第四の電気接点群)を、使用状態における重力方向に関する基板の最上部に配置している。また、駆動回路基板2100に設けられた、駆動回路基板2100とワイヤーハーネス2130との電気的接続のための電源系配線コネクタ2120(第三の電気接点群)を、基板の上部に配置している。駆動制御回路(不図示)を駆動回路基板2100の中央部に形成しており、信号系配線コネクタ2110を可能な限り基板の下部に配置している。また、ワイヤーハーネス2130が基板ホルダ2200の側面を通るように固定することで、駆動回路基板2100に実装されるIC等の部品と干渉する恐れを低減させる構成とした。
【0047】
信号系配線コネクタ2110が駆動回路基板2100の下部に配置されているために、電気配線基板1300の信号系配線1311を短くすることができる。また、電源系配線コネクタ2120及び2150を、駆動回路基板2100の上部で互いに近接するように設け、ワイヤーハーネス2130を介して記録素子ユニット1000と駆動回路基板2100とを電気的に接続している。これにより、駆動回路基板2100の内部に形成される電源系配線を短くすることができ、信号系配線が電源系配線からノイズを受ける恐れを低減することが可能である。
【0048】
(電気配線基板のコネクタの配置構成)
本実施形態においては、電気配線基板1300の三つのコネクタ(信号系配線コネクタ1310、電源系配線コネクタ1320)が、それぞれの長さ成分が複数の吐出口1105の配設方向に沿うように設けられている。また、各コネクタ間の間隔を小さくすることで、配設方向に関するコネクタ領域1301の寸法H(図5(b)参照)を小さくしている。更に、隣接する信号系配線コネクタ1310と電源系配線コネクタ1320とが、吐出口1105の配設方向及び配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に装着されている。本実施形態では、電源系配線コネクタ1320から開口部1330までの間隔が、信号系配線コネクタ1310から開口部1330までの間隔より短く、コネクタ領域1301の形状が凸形状になっている。
【0049】
このように、電気配線基板のコネクタ領域1301では、隣接する信号系配線コネクタ1310と電源系配線コネクタ1320とを、吐出口1105の配設方向及び配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に配置している。すなわち、配設方向に関する信号系配線コネクタ1310の両側には、電源系配線コネクタ1320が配されていない。そのため、信号系配線コネクタ1310の駆動回路基板2100に対する着脱時において、着脱に必要なスペースを確保することができ、容易に着脱を行うことが可能である。したがって、インク供給部材1500などを配置するためのスペースを確保するために、吐出口1105の配設方向に関するコネクタ領域1301の幅を小さくしても、コネクタの着脱時における作業性の低減を抑制することができる。また、信号系配線コネクタ1310の両側に障害となる部材がないので、信号系配線コネクタ1310と、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110との位置決めを容易、且つ確実に行うことができる。
【0050】
一方、電源系配線コネクタ1320においても、配設方向に関する電源系配線コネクタ1320の両側には、信号系配線コネクタ1310が配されておらず、相手側が可撓性を有するワイヤーハーネス2130であるため、位置決めや着脱が容易である。また、電気配線基板1300は、電源系配線コネクタ1320の近傍において、サイドプレートB1650と一体的に形成された配線基板固定部1655(配線基板固定部材)にネジ固定されている(図1(c)参照)。そして、前述したように、サイドプレートB1650は、記録素子ユニット1000の二つの支持部材1400、1405に固定されている(図9参照)。したがって、電気配線基板1300は、サイドプレートB1650を介して、支持部材1400、1405に対して連結されている状態である。また、ベースプレート1200は、その長手方向に関する両端が、二つの支持部材1400、1405に固定されている。そのため、電源系配線コネクタ1320の着脱作業時に力がかかったとしても、その力は支持部材1400が受けるため、ベースプレート1200の変形の恐れを低減することができる。
【0051】
なお、ワイヤーハーネス2130を設けずに、ワイヤーハーネス2130の替わりとなる部分を電気配線基板1300に一体的に形成することも可能である。しかし、この場合は、駆動回路基板2100の上方に位置する電源系配線コネクタ2120まで電気配線基板1300を伸ばすこととなるため、電気配線基板1300が大型化してしまう。これにより、記録ヘッド100の組立て作業中に記録素子ユニット1000を搬送する際などに、電気配線基板1300を扱いにくくなるなどの恐れが生じる。本実施形態のように、別部品としてワイヤーハーネス2130を設けることで、このような恐れを低減することが可能である。また、フレキシブル配線基板で配線を形成するよりもワイヤーハーネスを用いた方が個々の配線を太く形成することができ、容易に配線抵抗を小さくすることができるため好ましい。
【0052】
また、信号系配線1311は、ワイヤーハーネス等の別部材を介して接続すると、差動インピーダンスの不連続箇所が増え、信号品質が劣化する恐れがある。そのため、電気配線基板1300側の信号系配線コネクタ1310と、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110とが直接接続される構成となっている。そのため、信号系配線コネクタ1310が設けられる位置は、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ1310を設ける位置によって決定される。一方で、電源系配線1321は、ワイヤーハーネス等の別部材を介して接続することが可能である。そこで、電源系配線コネクタ1320から開口部1330までの間隔が、信号系配線コネクタ1310から開口部1330までの間隔より短くなるように、電源系配線コネクタ1320を設けている。これにより、コネクタ領域1301の、ベースプレート1200に固定される前の状態における電気配線基板1300の短手方向に関する寸法を小さくすることができる。
【0053】
電気配線基板1300側の信号系配線コネクタ1310は、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110に対して、図9中のX方向に挿入されている。また、ワイヤーハーネス2130は、電気配線基板1300側の電源系配線コネクタ1320に対して、−Z方向に差し込まれている。このように、隣接するコネクタの着脱方向が異なっている(本実施形態では90度)ために、コネクタを着脱する際に、隣接するコネクタ部分に不用意な力が加わる恐れを低減している。
【0054】
本実施形態においては、信号系配線コネクタ1310と電源系配線コネクタ1320とを設けたように、配線の種類毎にコネクタを分けた場合を示した。しかし、着脱時の作業性の観点からは、配線の種類ごとに分けて設ける必要はない。すなわち、複数のコネクタに分割して設ける場合において、隣接するコネクタ同士が、複数の吐出口1105の配設方向及び配設方向に直交する方向に関して互いに異なる様に配される構成とすればよい。また、電源系配線コネクタ1320が二箇所に分かれている場合を示したが、一箇所にまとまっている構成であっても良い。更に、本実施形態では、電源系配線コネクタ1320が信号系配線コネクタ1310よりも、開口部1330からの間隔が短い構成であるが、着脱時の作業性の観点からは、この構成に限定されない。本実施形態では、二つの電源系配線コネクタ1320は、吐出口1105の配設方向に関して重なるように設けられている。しかし、電源系配線コネクタ1320を複数設ける場合においては、コネクタの着脱性を損なわない位置であれば、コネクタの位置はこれに限ることはない。また、コネクタの形態も実施形態中で説明したものに限ることはなく、任意に選択されていて良い。
【0055】
また、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000との電気接続構成として説明を行ったが、記録素子ユニット1000を、記録装置3000に直接取り付けて電気的接続を行う場合も、本実施形態の構成を適用できる。
【0056】
なお、本実施形態の記録ヘッド100は、複数の記録素子基板1100を吐出口1105の配設方向に関して千鳥状に配列しているが、記録素子基板1100の配列の仕方は特に限定されない。また、複数でなく、1枚の記録素子基板のみで構成されていてもよい。
【0057】
以上説明したとおり、本発明によれば、複数の吐出口の配設方向に関する電気配線基板のコネクタ領域の寸法を小さくし、且つコネクタの着脱時における作業性が良好な記録ヘッドを提供することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 インクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
1100 記録素子基板
1102 電気熱変換素子(記録素子)
1105 吐出口
1300 電気配線基板
1310 信号系配線コネクタ
1320 電源系配線コネクタ
2100 駆動回路基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド、及び液体吐出ヘッドに用いられる電気配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして代表的なインクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」とも称する)は、インクを吐出する吐出口と、吐出口からインクを吐出するためのエネルギーを発生する記録素子と、を備えた記録素子基板を有している。また、記録ヘッドは、記録素子に供給するための電源や、記録素子を駆動するための信号を、外部から供給するために、記録素子基板に電気的に接続される電気配線基板を有している。
【0003】
ここで、画質を向上させるために、記録素子基板を駆動するための信号の数を増やすと、電気配線基板内の配線の数が多くなる。また、記録媒体の幅と同程度の印字幅を有するフルライン型の記録ヘッド(特許文献1)は、印字幅に対応させるために、記録素子基板の数が多くなる場合があり、このような場合においても、電気配線基板内の配線の数が多くなる。
【0004】
このように配線の数が多くなると、電気配線基板に設けられる外部との電気接点の数が増え、それを一つにまとめた場合には、コネクタ(電気接点群)の着脱時には、その着脱に必要な挿抜力が大きくなり、また記録ヘッドに加わる負荷が大きくなる恐れがある。そこで、特許文献1に記載の発明は、電気配線基板の外部との電気接点を複数備えたコネクタ(サブ基板60の雄コネクタ61)を、複数に分割し、記録ヘッドの長手方向、すなわち複数の吐出口が配設される配設方向に沿って設ける構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−62097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のコネクタを有する電気配線基板において、狭い領域内に複数のコネクタを配置すると、隣接するコネクタ同士が近接するように配置されるため、コネクタの着脱時において使用できるスペースが限られてしまい、その作業性が低下する恐れがある。一方で、その作業性の低下を防ぐためには、吐出口の配設方向に関して、隣接するコネクタ同士を十分に離して配置し、コネクタの着脱時におけるスペースを確保することが望ましい。しかし、この場合には、電気配線基板の複数のコネクタが設けられたコネクタ領域の、複数の吐出口の配設方向に関する幅が大きくなる恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、電気配線基板の、複数の電気接点群が設けられた領域の、複数の吐出口の配設方向に関する幅を小さくし、且つ各電気接点群の着脱時における作業性を維持、向上させることが可能な液体吐出ヘッド及び電気配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体吐出ヘッドは、複数配設された、液体を吐出する吐出口と、複数の前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーをそれぞれ発生する複数の記録素子と、を有する記録素子基板と、該記録素子基板と、前記複数の記録素子を駆動するための回路を有する駆動回路基板と、を電気的に接続する電気配線基板であって、前記複数の吐出口が配設された配設方向に沿って設けられた、前記駆動回路基板との電気的接続のための複数の電気接点、を備えた第一の電気接点群を複数有する前記電気配線基板と、を有し、複数の前記第一の電気接点群は、前記駆動回路基板と電気的に接続された複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ着脱可能であり、前記複数の第一の電気接点群は、該複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、前記配設方向及び該配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に、前記複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ装着されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電気配線基板は、液体を吐出する吐出口を複数と、複数の前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーをそれぞれ発生する複数の記録素子と、を備える記録素子基板と、前記複数の記録素子を駆動するための回路を有する駆動回路基板と、を電気的に接続する電気配線基板であって、内部に前記記録素子基板を配するための開口部と、該開口部の長手方向に沿って設けられた、前記駆動回路基板との電気的接続のための複数の電気接点、を備えた第一の電気接点群の複数と、を有し、複数の前記第一の電気接点群は、前記駆動回路基板と電気的に接続された複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ着脱可能であり、前記複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、前記長手方向及び該長手方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電気配線基板の電気接点群が複数設けられた領域の、複数の吐出口の配設方向に関する幅を小さくし、且つ各電気接点群の着脱時における作業性を維持、向上させることが可能な液体吐出ヘッド及び電気配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用可能な記録ヘッドを説明するための図であり、(a)は記録ヘッドの外観斜視図、(b)は記録ヘッドの下面図、(c)は、記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】記録素子ユニットの分解斜視図である。
【図3】記録素子基板を説明するための図であり、(a)は記録素子基板の外観斜視図、(b)は図3(a)のA−A断面図である。
【図4】ベースプレートを説明するための図であり、(a)は記録素子基板が配置される面を含む外観斜視図、(b)はインク流入口及び流出口が設けられた面を含む外観斜視図、(c)は記録素子基板が配置される面から見た、内部のインク流路を透過させて示した平面図である。
【図5】電気配線基板を説明するための図であり、(a)は電気配線基板の外観斜視図、(b)はその配線レイアウトの模式図である。
【図6】支持部材A、Bを示す外観斜視図である。
【図7】インク供給部材を示す外観斜視図である。
【図8】駆動回路基板ユニットを示す分解斜視図である。
【図9】記録素子ユニットと駆動回路基板ユニットとが結合された状態を示す斜視図である。
【図10】記録装置の構成を説明するための図である。
【図11】本発明を適用可能な記録ヘッドが装着された状態の記録装置を示す図であり、(a)は図9のX方向から見た平面図、(b)は図11(a)のB−B断面を含む平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を適用可能な液体吐出ヘッドとして代表的なインクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」と称す)を例に説明する。図1から図11は、記録ヘッド、及びこれが装着されるインクジェット記録装置(以下、「記録装置」と称す)の構成を説明するための図である。
【0013】
本発明を適用可能な記録ヘッド100の構成を図1に示す。記録ヘッド100は、使用が想定される紙などの記録シートの最大幅に対応する範囲にわたって、吐出口を有する記録素子基板1100が配置されており、記録ヘッド100を走査せず、高速の記録が可能なフルライン型の記録ヘッド100である。
【0014】
図1(c)に示すように、記録ヘッド100は、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000とからなり、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000は、互いに機械的および電気的に着脱可能に結合される。
【0015】
(記録素子ユニット)
記録素子ユニット1000の分解斜視図を図2に示す。記録素子ユニット1000は、複数の記録素子基板1100、ベースプレート1200、2つの支持部材1400、1405、2つのインク供給部材1500、電気配線基板1300、2つのサイドプレート1600、1650から構成されている。
【0016】
複数の記録素子基板1100は、基材としてのベースプレート1200上に、ベースプレート1200の長手方向に関して千鳥状に精度よく配設されている。2つの支持部材1400、1405と、2つのインク供給部材1500は、ベースプレート1200の長手方向に関する両端に固定される。電気配線基板1300は、ベースプレート1200に接着固定され、電気配線基板1300の短手方向の両端は折り曲げられている。
【0017】
次に、記録素子ユニット1000の構成をより詳細に説明する。
【0018】
まず、記録素子基板1100の構成を図3(a)、(b)に示す。記録素子基板1100は、シリコン基板1108と吐出口プレート1110からなる。
【0019】
シリコン基板1108の厚さは、例えば0.5〜1mm程度である。シリコン基板1108には、シリコン基板1108の長手方向に延びた長溝状のインク供給口1101が形成されている。また、インク供給口1101の両側には、インクを吐出するためのエネルギーを発生する記録素子としてのヒーターなどの電気熱変換素子1102が、それぞれ1列ずつ千鳥状に配列されている。電気熱変換素子1102、及び電気熱変換素子1102と電気的に接続されるアルミニウム等の電気配線(不図示)は、成膜技術により形成されている。また、記録素子基板1100の長手方向の両端部には、電気配線基板1300と電気的に接続される電極1103が設けられている。
【0020】
シリコン基板1108の上には、樹脂材料からなる吐出口プレート1110が設けられており、吐出口プレート1110には、電気熱変換素子1102に対応したインク流路1104及び吐出口1105がフォトリソグラフィー技術により形成されている。吐出口1105は、電気熱変換素子1102と対向するように設けられている。すなわち、吐出口1105は、記録素子基板1100の長手方向に沿って配設されている。電気熱変換素子1102を駆動することより気泡を発生させて、インク供給口1101から供給されたインクを吐出口1105から吐出させる。
【0021】
なお、本実施形態において、記録素子基板1100は、複数の吐出口1105が、記録ヘッド100の長手方向すなわち、ベースプレート1200の長手方向に沿って配設されるように、ベースプレート1200に対して記録素子基板1100を配置している。したがって、本実施形態では、記録ヘッド100の長手方向と、複数の吐出口1105の配設方向とが一致している。
【0022】
次に、ベースプレート1200の構成を図4(a)〜(c)に示す。ベースプレート1200は、酸化アルミニウム(Al2O3;以下、アルミナと称する)で形成されたアルミナグリーンシートを複数積層し、焼成することで形成されている。アルミナグリーンシートの厚さは、例えば0.5〜1mm程度であり、これらが積層されたベースプレート1200の厚さは10mm程度である。ベースプレート1200には、記録素子基板1100のインク供給口1101にインクを供給するインク供給スリット1210と、インクタンク(不図示)からインク供給スリット1210にインクを供給するインク流路1220が形成されている。
【0023】
本実施形態では、ベースプレート1200の材料としてアルミナを用いたが、材料はこれに限られることない。ベースプレート1200の材料は、記録素子基板1100の、ベースプレート1200と接する部材の材料の線膨張率と同程度の線膨張率を有し、且つその材料の熱伝導率と同程度、もしくは同程度以上の熱伝導率を有する材料であればよい。ベースプレート1200の材料の例としては、シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などが挙げられる。
【0024】
電気配線基板1300の構成を図5に示す。電気配線基板1300は、記録装置3000から送られる電気熱変換素子1102を駆動する信号、及び電気熱変換素子1102を駆動する電力を、記録素子基板1100に供給するための部材である。電気配線基板1300は、樹脂フィルム上に配線パターンが形成されたフレキシブル配線基板である。また、電気配線基板1300は、内部に記録素子基板1100を組み込むための複数の開口部1330を有しており、複数の開口部1330の両端には、記録素子基板1100の電極1103に対応する電極端子1340が形成されている。電気配線基板1300は、ベースプレート1200の、インク供給スリット1210が形成された面に接着され、固定される。
【0025】
電気配線基板1300の内部には、電気熱変換素子1102を駆動する信号を伝送するための信号系配線1311と、電気熱変換素子1102に電力を供給するための電源系配線1321と、が配されている。また、電気配線基板1300の一端には、その外部と信号系配線1311とを電気的に接続するための信号用電気接点が、複数の吐出口1105が配設される配設方向に沿って複数配設された、信号系配線コネクタ1310(信号用電気接点群)が形成されている。同様に、電気配線基板1300の一端には、その外部と電源系配線1321とを電気的に接続するための電源用電気接点が、複数の吐出口1105の配設方向に沿って複数配設された、電源系配線コネクタ1320(電源用電気接点群)が形成されている。ここで、電気配線基板1300に設けられた、駆動回路基板2100との電気的接続のためのコネクタ(本実施形態では、信号系配線コネクタ1310及び電源系配線コネクタ1320)を、第一の電気接点群とする。電気配線基板1300に設けられた配線及びコネクタの配置については、後に詳細に説明する。
【0026】
電気配線基板1300と電気熱変換素子1102とは、例えば、記録素子基板1100の電極1103と電気配線基板1300の電極端子1340とを、金ワイヤー(不図示)を用いたワイヤーボンディング技術により接合することで、電気的に接続される。そして記録素子基板1100の電極1103、電気配線基板1300の電極端子1340、及びワイヤーは、封止剤により被覆され、インクによる腐食や外的衝撃から保護される。
【0027】
支持部材A1400、支持部材B1405の構成を図6に示す。二つの支持部材1400、1405は、記録ヘッド100を保持、固定するための部材であり、ベースプレ−ト1200の長手方向の両端にそれぞれ固定される。各支持部材1400、1405には、記録ヘッド100を記録装置3000に装着した際に、記録装置3000に設けられた位置決めピン3430(図11参照)と嵌合する位置決め穴A1410、位置決め穴B1415が形成されている。二つの位置決め穴1410、1415は、記録ヘッド100の短手方向(図9に示すX方向)及び記録ヘッド100の長手方向(図9に示すY方向)に関して、記録ヘッド100を適正な位置に装着するためのものである。支持部材A1400の位置決め穴A1410は丸穴、支持部材B1405の位置決め穴B1415は長穴になっている。また、記録ヘッド100を記録装置3000に装着した際に、記録ヘッド100を支持するヘッドホルダ3400(図11参照)につきあたる、位置決め部1430が形成されている。この位置決め部1430は、記録シートと記録素子基板1100の吐出口1105が設けられた側の面との間隔を一定に保持するため部材である。
【0028】
さらに、支持部材1400、1405は、インク供給部材1500が収まるような形状となっており、インク供給部材1500は、記録装置3000に対してインク供給部材の接続部1510のみが接触している(図11参照)。これにより、記録ヘッド100を記録装置3000から着脱する際に、インク供給部材1500に外力が加わることによるインク供給部材1500の変形が発生する恐れを低減させている。
【0029】
図2を用いて、サイドプレートA1600、サイドプレートB1650の構成を説明する。二つのサイドプレート1600、1650は、記録ヘッド100の側面を覆う薄い板状の部材である。サイドプレートA1600は、棒状のベースバ−A1601に板状の側板1610が取り付けられた構成を有している。サイドプレートB1650は、電気配線基板1300の電源系配線コネクタ1320の周囲を固定するための板状の配線基板固定部1655が一体的に形成された棒状のベースバ−B1651に、板状の側板1610が取り付けられた構成を有している。二つのサイドプレート1600、1650は、電気配線基板1300の、記録素子ユニット1000の長手方向の側面に配される部分の表面を覆うように設けられ、二つの支持部材1400、1405に固定される。
【0030】
インク供給部材1500の構成を図7に示す。インク供給部材1500は、記録装置3000側の接続ユニット3410(図11(a)参照)と接続され、記録装置3000から記録素子ユニット1000にインクを供給する部材である。インク供給部材1500は、例えば樹脂材料で形成されており、記録装置3000に接続される二つの接続部1510、ベースプレート1200に接続される二つの開口部1520が設けられている。なお、記録装置3000と記録素子ユニット1000の間で、インクを循環させるために、接続部1510及び開口部1520は、それぞれ二つずつ設けられている。また、インク供給部材1500の内部には、接続部1510と開口部1520とをつなぐインク流路(不図示)が設けられており、インク流路の途中には、インク中に混入された異物や気泡を取り除くためのフィルター(不図示)が配置されている。そして、接続部1510には、記録装置3000のインク供給パイプと接合するためのジョイントゴムが装着されており、接続部1510は、記録装置3000の接続ユニット3410に接続される。また、開口部1520がベースプレート1200の端部付近に形成されたインク流入口1230、流出口1240(図4参照)と連通するように、インク供給部材1500はベースプレート1200に対して位置決めされる。
【0031】
(駆動制御基板ユニット)
図8は駆動回路基板ユニット2000の斜視図であり、カバー2300をはずした状態を示している。駆動回路基板ユニット2000の内部には、記録ヘッド100の駆動を制御するための駆動回路基板2100が基板ホルダ2200に固定されている。
【0032】
駆動回路基板2100には、記録装置3000と電気的に接続するための、信号系配線コネクタ2140及び電源系配線コネクタ2150が設けられている。また、記録素子ユニット1000と電気的に接続するための、信号系配線コネクタ2110及び電源系配線コネクタ2120が設けられている。
【0033】
駆動回路基板2100に設けられた駆動制御回路において、記録装置3000から信号系配線コネクタ2140を介して入力される信号から、所定の電気熱変換素子1102を駆動する駆動制御信号が生成される。この駆動制御信号は、信号系配線コネクタ2110を介して記録素子ユニット1000に送られる。また、駆動回路基板2100において、電源系配線コネクタ2150を介して入力される電圧から、電気熱変換素子1102に加える電圧に変換されて、電源系配線コネクタ2120を介して記録素子ユニット1000へと送られる。
【0034】
駆動回路基板ユニット2000は、記録素子ユニット1000の電気熱変換素子1102が設けられた吐出面とは反対側の面に取り付けられる。具体的には、駆動回路基板ユニット2000は、記録素子ユニット1000の長手方向に関する両端に設けられた支持部材1400、1405の上に保持され、ヘッド固定ボルト1450(図11参照)でネジ止めされて固定される。
【0035】
電気配線基板1300の信号系配線コネクタ1310は、開口を有する駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110に対して挿入されることで、記録素子ユニット1000と駆動回路基板2100とが電気的に接続される(図9参照)。また、電気配線基板1300側の電源系配線コネクタ1320と、駆動回路基板2100側の電源系配線コネクタ2120とは、電源配線基板130とは別体の、電気配線部材としてのワイヤーハーネス2130を介して電気的に接続されている。電源系配線コネクタ1320、2120は開口を有しており、ワイヤーハーネス2130が両コネクタに挿入されている。ここで、電気配線基板1300の信号系配線コネクタ1310及び電源系配線コネクタ1320は、第二の電気接点群に対して着脱可能である。すなわち、本実施形態における第二の電気接点群は、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110、及び電源系配線コネクタ1320に挿入される側のワイヤーハーネス2130の端部である。
【0036】
図1に示すように、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000とが結合され、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000との間はほぼ隙間がない状態となる。
【0037】
(インクジェット記録装置)
本実施形態の記録装置3000の構成を図10に示す。記録装置3000は、長尺のフルライン型の記録ヘッド100を用いて、記録媒体としての記録シート3200を搬送方向(図9に示すX方向)に連続搬送しながら記録を行うラインプリンタである。記録装置3000は、ロール状に巻かれた記録シート3200を保持するホルダ(不図示)、記録シート3200を所定速度でX方向へ搬送する搬送機構3300、記録シート3200に対して記録ヘッド100を用いて記録を行う記録部3100を備えている。なお、記録シート3200は連続したロールシートに限らず、カットシートであってもよい。更に、記録装置3000は、記録ヘッド100に供給するためのインクを収容するインクタンク(不図示)を備えている。記録部3100は、異なるインク色にそれぞれ対応した複数の記録ヘッド100を備えている。本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四色に対応した四つの記録ヘッド100としているが、色の数や色の種類はこれに限定されない。
【0038】
記録ヘッド100が装着された状態の記録装置3000を図11に示す。記録ヘッド100の長手方向に関する両端部に設けられた接続部1510と、記録装置3000の接続ユニット3410とが接続されており、この接続された部分において、記録ヘッド100へのインクの導入、記録ヘッド100からのインクの導出が行われる。各色のインクはインクタンクからそれぞれインクチューブ3420を介して、記録ヘッド100に供給される。
【0039】
接続部1510より記録ヘッド100の長手方向に関する内側に配置された位置決め穴1410、1415(図6参照)が、ヘッドホルダ3400の位置決めピン3430と嵌合されている。また、記録ヘッド100の位置決め部1430がヘッドホルダ3400に突きあてられることにより、記録ヘッド100の記録装置3000に対する位置決めがなされている。記録ヘッド100の両端に設けられた支持部材1400、1405が、ヘッド固定ボルト1450でそれぞれ記録装置3000に固定され、保持されている。
【0040】
(第一の実施形態)
本発明の特徴部分である、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000との電気接続部の構成について説明する。なお、電気配線基板1300側のコネクタ領域1301とは、電気配線基板1300のうち、信号系配線コネクタ1310及び電源系配線コネクタ1320が設けられた領域であり、図5(b)の破線で囲った領域を示す。
【0041】
(電気配線基板)
図5(a)は電気配線基板1300の斜視図、図5(b)は電気配線基板1300の配線レイアウトを説明するために、一部の配線を透過させて示した図である。
【0042】
記録ヘッド100の信号系配線1311は、信号の波形の乱れや信号に対するノイズの影響を減らすため、各々の記録素子基板1100から信号系配線コネクタ1310までの配線の長さが短いほど好ましい。また、一部の信号は差動伝送されるために、各々の記録素子基板1100に対して等長で配線する必要がある。よって、信号系配線コネクタ1310を、吐出口1105の配設方向に関する電気配線基板1300の略中央部に配置している。また、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110を、駆動回路基板2100の下部に設ける(図9参照)ことで、信号系配線コネクタ1310から開口部1330までの間隔V1(図5(b)参照)をできる限り小さくしている。信号系配線1311は、複数の開口部1330の間を通るようにして、信号系配線コネクタ1310に引き回している。
【0043】
電源系配線1321は、各々の記録素子基板1100に対する抵抗値をなるべく小さく、かつ一定範囲内の抵抗値とするのが好ましい。上述したように、電気配線基板1300は、信号系配線1311を等長で配線するため、信号系配線コネクタ1310を吐出口1105の配設方向に関する中央部に配置している。この電気配線基板1300に対して、信号系配線コネクタ1310が配設方向に関する二つの電源系配線コネクタ1320の間に設けられるように、電源系配線コネクタ1320を一つずつ配置している。また、電源系配線1321の幅を可能な限り太くし、複数の開口部1330の外周を囲うようにして引き回している。電源系配線コネクタ1320は、吐出口1105の配設方向に関するコネクタ領域1301の寸法H、及び電源系配線コネクタ1320から開口部1330までの間隔V2(ともに図5(b)参照)が可能な限り小さくなるように、配置されている。コネクタ領域1301の寸法Hを小さくすることで、空いたスペースにインク供給部材1500を配置することができ(図1(c)参照)、記録素子ユニット1000の長手方向に関する幅を小さくすることができる。
【0044】
また、上述したように、信号系配線コネクタ1310と電源系配線コネクタ1320とを分けて設け、信号系配線1311と高電圧が印加される電源系配線1321とを分離させている。これにより、信号系配線1311と電源系配線1321とを混在させて配置する場合よりも、信号系配線1311と電源系配線1321とが近接する領域が少なく、信号系配線1311が電源系配線1321によるノイズの影響を受けにくい構成となる。
【0045】
また、図1(c)に示すように、電気配線基板1300のコネクタ領域1301は、記録ヘッド100の短手方向に関する幅内に収まるよう、電気配線基板1300の、ベースプレート1200の側面に配される部分に対し、X方向(図9参照)に折り曲げられている。このような構成であるので、電気配線基板1300によって、記録ヘッド100の短手方向に関する幅が大きくなる恐れを防いでいる。したがって、図10に示したように、複数の記録ヘッド100を並べて使用する際には、記録ヘッド100同士の間隔がコネクタ領域1301によって制約されることがなく、この間隔を任意に設定することが可能である。記録ヘッド100同士の間隔を小さくすることにより、記録ヘッド100に対して記録シート3200を平行に保つ領域を小さくできるため、記録シートの搬送精度の向上や紙ジャムの恐れの低減が可能であり、高品位な記録が可能となる。
【0046】
(駆動回路基板)
図9は、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000とが結合された状態を示す斜視図であり、駆動回路基板ユニット2000のカバー2300を外した状態である。駆動回路基板2100には、図9に示すように、記録装置3000と電気的に接続するための信号系配線コネクタ2140及び電源系配線コネクタ2150(第四の電気接点群)を、使用状態における重力方向に関する基板の最上部に配置している。また、駆動回路基板2100に設けられた、駆動回路基板2100とワイヤーハーネス2130との電気的接続のための電源系配線コネクタ2120(第三の電気接点群)を、基板の上部に配置している。駆動制御回路(不図示)を駆動回路基板2100の中央部に形成しており、信号系配線コネクタ2110を可能な限り基板の下部に配置している。また、ワイヤーハーネス2130が基板ホルダ2200の側面を通るように固定することで、駆動回路基板2100に実装されるIC等の部品と干渉する恐れを低減させる構成とした。
【0047】
信号系配線コネクタ2110が駆動回路基板2100の下部に配置されているために、電気配線基板1300の信号系配線1311を短くすることができる。また、電源系配線コネクタ2120及び2150を、駆動回路基板2100の上部で互いに近接するように設け、ワイヤーハーネス2130を介して記録素子ユニット1000と駆動回路基板2100とを電気的に接続している。これにより、駆動回路基板2100の内部に形成される電源系配線を短くすることができ、信号系配線が電源系配線からノイズを受ける恐れを低減することが可能である。
【0048】
(電気配線基板のコネクタの配置構成)
本実施形態においては、電気配線基板1300の三つのコネクタ(信号系配線コネクタ1310、電源系配線コネクタ1320)が、それぞれの長さ成分が複数の吐出口1105の配設方向に沿うように設けられている。また、各コネクタ間の間隔を小さくすることで、配設方向に関するコネクタ領域1301の寸法H(図5(b)参照)を小さくしている。更に、隣接する信号系配線コネクタ1310と電源系配線コネクタ1320とが、吐出口1105の配設方向及び配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に装着されている。本実施形態では、電源系配線コネクタ1320から開口部1330までの間隔が、信号系配線コネクタ1310から開口部1330までの間隔より短く、コネクタ領域1301の形状が凸形状になっている。
【0049】
このように、電気配線基板のコネクタ領域1301では、隣接する信号系配線コネクタ1310と電源系配線コネクタ1320とを、吐出口1105の配設方向及び配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に配置している。すなわち、配設方向に関する信号系配線コネクタ1310の両側には、電源系配線コネクタ1320が配されていない。そのため、信号系配線コネクタ1310の駆動回路基板2100に対する着脱時において、着脱に必要なスペースを確保することができ、容易に着脱を行うことが可能である。したがって、インク供給部材1500などを配置するためのスペースを確保するために、吐出口1105の配設方向に関するコネクタ領域1301の幅を小さくしても、コネクタの着脱時における作業性の低減を抑制することができる。また、信号系配線コネクタ1310の両側に障害となる部材がないので、信号系配線コネクタ1310と、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110との位置決めを容易、且つ確実に行うことができる。
【0050】
一方、電源系配線コネクタ1320においても、配設方向に関する電源系配線コネクタ1320の両側には、信号系配線コネクタ1310が配されておらず、相手側が可撓性を有するワイヤーハーネス2130であるため、位置決めや着脱が容易である。また、電気配線基板1300は、電源系配線コネクタ1320の近傍において、サイドプレートB1650と一体的に形成された配線基板固定部1655(配線基板固定部材)にネジ固定されている(図1(c)参照)。そして、前述したように、サイドプレートB1650は、記録素子ユニット1000の二つの支持部材1400、1405に固定されている(図9参照)。したがって、電気配線基板1300は、サイドプレートB1650を介して、支持部材1400、1405に対して連結されている状態である。また、ベースプレート1200は、その長手方向に関する両端が、二つの支持部材1400、1405に固定されている。そのため、電源系配線コネクタ1320の着脱作業時に力がかかったとしても、その力は支持部材1400が受けるため、ベースプレート1200の変形の恐れを低減することができる。
【0051】
なお、ワイヤーハーネス2130を設けずに、ワイヤーハーネス2130の替わりとなる部分を電気配線基板1300に一体的に形成することも可能である。しかし、この場合は、駆動回路基板2100の上方に位置する電源系配線コネクタ2120まで電気配線基板1300を伸ばすこととなるため、電気配線基板1300が大型化してしまう。これにより、記録ヘッド100の組立て作業中に記録素子ユニット1000を搬送する際などに、電気配線基板1300を扱いにくくなるなどの恐れが生じる。本実施形態のように、別部品としてワイヤーハーネス2130を設けることで、このような恐れを低減することが可能である。また、フレキシブル配線基板で配線を形成するよりもワイヤーハーネスを用いた方が個々の配線を太く形成することができ、容易に配線抵抗を小さくすることができるため好ましい。
【0052】
また、信号系配線1311は、ワイヤーハーネス等の別部材を介して接続すると、差動インピーダンスの不連続箇所が増え、信号品質が劣化する恐れがある。そのため、電気配線基板1300側の信号系配線コネクタ1310と、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110とが直接接続される構成となっている。そのため、信号系配線コネクタ1310が設けられる位置は、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ1310を設ける位置によって決定される。一方で、電源系配線1321は、ワイヤーハーネス等の別部材を介して接続することが可能である。そこで、電源系配線コネクタ1320から開口部1330までの間隔が、信号系配線コネクタ1310から開口部1330までの間隔より短くなるように、電源系配線コネクタ1320を設けている。これにより、コネクタ領域1301の、ベースプレート1200に固定される前の状態における電気配線基板1300の短手方向に関する寸法を小さくすることができる。
【0053】
電気配線基板1300側の信号系配線コネクタ1310は、駆動回路基板2100側の信号系配線コネクタ2110に対して、図9中のX方向に挿入されている。また、ワイヤーハーネス2130は、電気配線基板1300側の電源系配線コネクタ1320に対して、−Z方向に差し込まれている。このように、隣接するコネクタの着脱方向が異なっている(本実施形態では90度)ために、コネクタを着脱する際に、隣接するコネクタ部分に不用意な力が加わる恐れを低減している。
【0054】
本実施形態においては、信号系配線コネクタ1310と電源系配線コネクタ1320とを設けたように、配線の種類毎にコネクタを分けた場合を示した。しかし、着脱時の作業性の観点からは、配線の種類ごとに分けて設ける必要はない。すなわち、複数のコネクタに分割して設ける場合において、隣接するコネクタ同士が、複数の吐出口1105の配設方向及び配設方向に直交する方向に関して互いに異なる様に配される構成とすればよい。また、電源系配線コネクタ1320が二箇所に分かれている場合を示したが、一箇所にまとまっている構成であっても良い。更に、本実施形態では、電源系配線コネクタ1320が信号系配線コネクタ1310よりも、開口部1330からの間隔が短い構成であるが、着脱時の作業性の観点からは、この構成に限定されない。本実施形態では、二つの電源系配線コネクタ1320は、吐出口1105の配設方向に関して重なるように設けられている。しかし、電源系配線コネクタ1320を複数設ける場合においては、コネクタの着脱性を損なわない位置であれば、コネクタの位置はこれに限ることはない。また、コネクタの形態も実施形態中で説明したものに限ることはなく、任意に選択されていて良い。
【0055】
また、記録素子ユニット1000と駆動回路基板ユニット2000との電気接続構成として説明を行ったが、記録素子ユニット1000を、記録装置3000に直接取り付けて電気的接続を行う場合も、本実施形態の構成を適用できる。
【0056】
なお、本実施形態の記録ヘッド100は、複数の記録素子基板1100を吐出口1105の配設方向に関して千鳥状に配列しているが、記録素子基板1100の配列の仕方は特に限定されない。また、複数でなく、1枚の記録素子基板のみで構成されていてもよい。
【0057】
以上説明したとおり、本発明によれば、複数の吐出口の配設方向に関する電気配線基板のコネクタ領域の寸法を小さくし、且つコネクタの着脱時における作業性が良好な記録ヘッドを提供することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 インクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
1100 記録素子基板
1102 電気熱変換素子(記録素子)
1105 吐出口
1300 電気配線基板
1310 信号系配線コネクタ
1320 電源系配線コネクタ
2100 駆動回路基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数配設された、液体を吐出する吐出口と、複数の前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーをそれぞれ発生する複数の記録素子と、を有する記録素子基板と、
該記録素子基板と、前記複数の記録素子を駆動するための回路を有する駆動回路基板と、を電気的に接続する電気配線基板であって、前記複数の吐出口が配設された配設方向に沿って設けられた、前記駆動回路基板との電気的接続のための複数の電気接点、を備えた第一の電気接点群を複数有する前記電気配線基板と、
を有し、
複数の前記第一の電気接点群は、前記駆動回路基板と電気的に接続された複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ着脱可能であり、
前記複数の第一の電気接点群は、該複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、前記配設方向及び該配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に、前記複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ装着されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記複数の第一の電気接点群は、前記複数の記録素子を駆動するための信号を供給する信号用電気接点が、前記配設方向に沿って複数配設された信号用電気接点群と、前記複数の記録素子を駆動するための電力を供給する電源用電気接点が、前記配設方向に沿って複数配設された電源用電気接点群と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記信号用電気接点群は、前記配設方向に関する前記電気配線基板の略中央に配されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記電気配線基板は、前記電源用電気接点群を二つ有しており、前記電源用電気接点群、前記信号用電気接点群、及び前記電源用電気接点群が、前記配設方向に沿ってこの順に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記電気配線基板は、内部に前記記録素子基板を配するための開口部を有しており、前記電源用電気接点群と前記開口部との間隔は、前記信号用電気接点群と前記開口部との間隔よりも短いことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記信号用電気接点群の着脱時における着脱方向と、前記電源用電気接点群の着脱時における着脱方向とが異なることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記電源用電気接点群は、前記駆動回路基板とは別体の電気配線部材を介して、前記駆動回路基板に対して電気的に接続されており、
前記駆動回路基板に設けられた、前記電気配線部材との電気的接続のための第三の電気接点群は、前記電源用電気接点群よりも、前記駆動回路基板に設けられ、前記第三の電気接点群に電気的に接続された、前記駆動回路基板の外部との電気的接続のための第四の電気接点群、に近い位置に配されることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドは、前記記録素子基板が配される基材と、前記液体吐出ヘッドが装着される液体吐出装置に対して接続され、前記基材を支持する支持部材と、を有し、
前記電気配線基板は、前記支持部材に連結されていることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記液体吐出ヘッドは、前記電源用電気接点群の近傍で前記電気配線基板を固定する固定部材を有しており、
前記電気配線基板は、前記固定部材を介して前記支持部材に連結されていることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記駆動回路基板を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
液体を吐出する吐出口を複数と、複数の前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーをそれぞれ発生する複数の記録素子と、を備える記録素子基板と、前記複数の記録素子を駆動するための回路を有する駆動回路基板と、を電気的に接続する電気配線基板であって、
内部に前記記録素子基板を配するための開口部と、
該開口部の長手方向に沿って設けられた、前記駆動回路基板との電気的接続のための複数の電気接点、を備えた第一の電気接点群の複数と、
を有し、
複数の前記第一の電気接点群は、前記駆動回路基板と電気的に接続された複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ着脱可能であり、
前記複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、前記長手方向及び該長手方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に配されていることを特徴とする電気配線基板。
【請求項1】
複数配設された、液体を吐出する吐出口と、複数の前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーをそれぞれ発生する複数の記録素子と、を有する記録素子基板と、
該記録素子基板と、前記複数の記録素子を駆動するための回路を有する駆動回路基板と、を電気的に接続する電気配線基板であって、前記複数の吐出口が配設された配設方向に沿って設けられた、前記駆動回路基板との電気的接続のための複数の電気接点、を備えた第一の電気接点群を複数有する前記電気配線基板と、
を有し、
複数の前記第一の電気接点群は、前記駆動回路基板と電気的に接続された複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ着脱可能であり、
前記複数の第一の電気接点群は、該複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、前記配設方向及び該配設方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に、前記複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ装着されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記複数の第一の電気接点群は、前記複数の記録素子を駆動するための信号を供給する信号用電気接点が、前記配設方向に沿って複数配設された信号用電気接点群と、前記複数の記録素子を駆動するための電力を供給する電源用電気接点が、前記配設方向に沿って複数配設された電源用電気接点群と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記信号用電気接点群は、前記配設方向に関する前記電気配線基板の略中央に配されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記電気配線基板は、前記電源用電気接点群を二つ有しており、前記電源用電気接点群、前記信号用電気接点群、及び前記電源用電気接点群が、前記配設方向に沿ってこの順に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記電気配線基板は、内部に前記記録素子基板を配するための開口部を有しており、前記電源用電気接点群と前記開口部との間隔は、前記信号用電気接点群と前記開口部との間隔よりも短いことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記信号用電気接点群の着脱時における着脱方向と、前記電源用電気接点群の着脱時における着脱方向とが異なることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記電源用電気接点群は、前記駆動回路基板とは別体の電気配線部材を介して、前記駆動回路基板に対して電気的に接続されており、
前記駆動回路基板に設けられた、前記電気配線部材との電気的接続のための第三の電気接点群は、前記電源用電気接点群よりも、前記駆動回路基板に設けられ、前記第三の電気接点群に電気的に接続された、前記駆動回路基板の外部との電気的接続のための第四の電気接点群、に近い位置に配されることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドは、前記記録素子基板が配される基材と、前記液体吐出ヘッドが装着される液体吐出装置に対して接続され、前記基材を支持する支持部材と、を有し、
前記電気配線基板は、前記支持部材に連結されていることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記液体吐出ヘッドは、前記電源用電気接点群の近傍で前記電気配線基板を固定する固定部材を有しており、
前記電気配線基板は、前記固定部材を介して前記支持部材に連結されていることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記駆動回路基板を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
液体を吐出する吐出口を複数と、複数の前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーをそれぞれ発生する複数の記録素子と、を備える記録素子基板と、前記複数の記録素子を駆動するための回路を有する駆動回路基板と、を電気的に接続する電気配線基板であって、
内部に前記記録素子基板を配するための開口部と、
該開口部の長手方向に沿って設けられた、前記駆動回路基板との電気的接続のための複数の電気接点、を備えた第一の電気接点群の複数と、
を有し、
複数の前記第一の電気接点群は、前記駆動回路基板と電気的に接続された複数の第二の電気接点群に対してそれぞれ着脱可能であり、
前記複数の第一の電気接点群のうちの隣接する第一の電気接点群が、前記長手方向及び該長手方向に直交する方向に関して互いに重ならない様に配されていることを特徴とする電気配線基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−240522(P2011−240522A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112366(P2010−112366)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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