液体吐出ヘッド
【課題】インク供給口4から供給されたインクを吐出する際に、インク流れへの抵抗の増加を抑えつつ、サテライトを小さくしないようにインクを吐出する記録ヘッド1を提供すること。
【解決手段】本発明の記録ヘッド1は、複数の流路17の配列の両側においてインク供給口4が配置され、少なくとも一方の側のインク供給口4は、流路17の配列の全範囲に沿って所定の数のインク供給口4が配置される。そして、一つのインク供給口4は、複数の流路17の配列に沿って長さを有し、複数の流路17それぞれの一方の側と他方の側との両方からインクが供給されるようにされている。
【解決手段】本発明の記録ヘッド1は、複数の流路17の配列の両側においてインク供給口4が配置され、少なくとも一方の側のインク供給口4は、流路17の配列の全範囲に沿って所定の数のインク供給口4が配置される。そして、一つのインク供給口4は、複数の流路17の配列に沿って長さを有し、複数の流路17それぞれの一方の側と他方の側との両方からインクが供給されるようにされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出エネルギー発生素子にエネルギーを供給して液体にエネルギーを与え、吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に用いられているインクジェット記録装置における液体吐出ヘッドとしての記録ヘッドにおいては、オリフィスプレートと液体供給口等が形成された基板とが貼り合わされて形成されたものが多く製造されている。このような記録ヘッドの構造を、図11(a)、(b)に示す。図11(a)には、従来の液体吐出ヘッド501の平面図が示されており、図11(b)には、従来の液体吐出ヘッド501における図11(a)のA−A’線に沿う断面図が示されている。この形式の記録ヘッドにおいては、基板503とオリフィスプレート502とが貼り合わされることで、それらの間の空間の一部に、共通液室504が形成されている。基板503には、基板を貫通するように液体供給口505が形成されており、その液体供給口505は共通液室504に連通している。また、共通液室504に連通して液体流路507が延びており、液体流路507における共通液室504と逆側の端部には、圧力室508が形成されている。オリフィスプレート502には、圧力室508に連通して吐出口506が形成されている。吐出口506に対応した位置には、圧力室508内の液体に吐出エネルギーを供給するための吐出エネルギー発生素子としてのヒータ509が配置されている。液体供給口505を介して共通液室504に供給された液体は、液体流路507を介して圧力室508に供給され、圧力室508内でヒータ509によって液体にエネルギーが供給されて吐出口506から液体が吐出される。
【0003】
図11(a)、(b)に示される記録ヘッド501では、液体は液体供給口505から吐出口506へ一方向にのみ供給される。
【0004】
このような記録ヘッド501が用いられて、液体が吐出されて記録が行われる場合、ヒータ509によって発生される気泡は共通液室504から液体供給口505に向かう方向に偏って成長する。従って、吐出される液体はその方向に力を受けながら吐出される。このとき、吐出される液体の尾引きの部分が共通液室504方向に引っ張られながらちぎれるので、いわゆるサテライトが小さく形成され、それが記録媒体に着弾せずプリンタ筐体内部で浮遊するミストとなり易い。
【0005】
また、サテライトが浮遊ミスト化せず記録媒体に着弾する場合でも、質量の小さいサテライトは気流による影響を受け易く、気流の影響で飛翔方向が変動し易い。その結果、その結果、サテライトの記録媒体上での着弾位置が変動し濃度ムラが発生し易い。
【0006】
また、サテライトが共通液室504方向に力を受けて吐出すると、主滴と異なる飛翔方向となるため、記録ヘッドを記録媒体上を往復スキャンさせて記録を行う場合には、往路と復路で主滴とサテライトの重なり方が変化し濃度ムラが発生し易い。
【0007】
以上のようにサテライト部分が小さくなることに対する対策としては、特許文献1及び特許文献2に開示されているものがある。図12(a)は、特許文献1に開示されている記録ヘッドの構成部品を分解してそれぞれを示した斜視図である。図12(b)は、その構成部品が組み立てられた記録ヘッドにおける要部である吐出口の周辺の断面図である。また、図13(a)は、特許文献2に開示されている記録ヘッドの要部を拡大して破断した断面図である。図13(b)は、図13(a)に示される記録ヘッドの断面図である。
【0008】
上記の特許文献1、2においては、インク供給口に導かれたインクをさらに吐出方向へ導き、そこから吐出方向に対して直交する方向にインクを導き、そこでヒータによって液体に熱エネルギーを与えている。吐出口に対して液体を供給するための通路は吐出口の両側部に形成され、吐出される液体は吐出口の両側部から吐出口へ供給されているためにインクの吐出の際に気泡の成長に影響を与えるようなインク流れの偏りが抑えられている。これにより、吐出の際に液滴に対して偏った力を与えることが抑えられている。
【0009】
その結果、気泡はヒータを中心に略対称に成長し、略対称に収縮する。そのため、吐出するインクの尾引きは真っ直ぐで短く太いものとなり易い。その結果、液滴形成過程で尾引きが分裂して形成されるサテライトは大きくなり易く、液滴の飛翔方向も、吐出口形成面に対してほぼ直交した吐出方向に真っ直ぐに吐出される。さらに、このときの主滴部分の飛翔方向も同様に吐出口形成面に対してほぼ直交した吐出方向に真っ直ぐなものとなる。このように、液体を吐出する際に発生するサテライトが大きくなるので、サテライトの着弾位置が気流の影響を受け難くなって安定化し、高速記録や小液滴による記録の際にも濃度ムラが発生し難くなる。また、サテライトが大きくなるので、記録媒体への到達率が上がり、記録媒体に着弾しないでプリンタ筐体内で浮遊するミストが減るので、プリンタ本体内部や紙面の汚れが減少する上、電気基板やエンコーダが故障し難くなる。サテライトと主滴が共に吐出口形成面にほぼ直行する方向に真っ直ぐに吐出されると、記録動作時の往路と復路とで主滴とサテライトとの着弾位置のずれが小さくなるので、往復記録動作時に濃度差が発生し難くなる。これにより、記録媒体上に得られる画像において濃度ムラが発生し難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭60−206653号公報
【特許文献2】米国特許公報第6660175号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1の方法によると、貯蔵槽に一旦貯留されているインクが供給管によってさらにインクの吐出方向に導かれているが、導かれたインクは、インク流路における吐出口の列方向の中央部付近に連通しているのみである。従って、インク流路並びの中央部に位置する共通液室内のインクについては吐出されるか、あるいは吸引回復によって吸い出されることになるので、共通液室に留まったままとはならずに記録ヘッドから排出される。しかしながら、供給管から離れた部位に位置する共通液室内インクについては、吸引回復を行ったとしても、インク流れが生じ難いので吸引されないままそこに残り易い。従って、その部位には気泡が溜まり易く、その気泡がインクの吐出に影響を及ぼし吐出特性が変動し易くなり、良好な吐出状態を安定的に維持するのが困難になり易い。
【0012】
また、特許文献2の方法によると、インク供給口に導かれたインクが、基板とオリフィスプレートとの間に配置された層に孔が形成され、その孔を通ってインクがさらに吐出方向に導かれている。しかし、その孔を通って供給されることがインクの流れの抵抗となる。この抵抗は、孔の大きさが小さい程大きくなり、また、孔の内部における流路の長さが長い程大きくなる。この抵抗が大きくなると、インクの再充填速度(以下、リフィル速度)が遅くなり、液滴の繰り返し吐出周波数(以下、駆動周波数)が低くなる。これによって、記録装置におけるスループットが低下する。
【0013】
このインクの流れの抵抗に関する対策として、孔の径を大きくすること、及び孔の形成された層の厚みを薄くすることが考えられる。インクの通る孔の径を大きくすることで、インクの流れの抵抗を低減させることが可能となる。これにより、記録装置におけるスループットが向上する。しかし、孔の径を大きくすると圧力室自体が大きくなるため、吐出口間の距離が大きくなり、吐出される液滴の間隔が大きくなる。従って、記録ヘッド上の吐出口の密度が小さくなるので、吐出された液滴による解像度が低下することになり、記録装置によるスループットが結局抑えられることになる。また、孔によって形成される流路を短くするために孔の形成されている層の厚みを薄くすることについては、これを極端に薄くすると記録ヘッドの必要強度が保てなくなる。また、この層を介して拡散し放熱される熱量が低下することから、ヒータで発生した熱を逃がすことができずに、ヒータ部の昇温が大きくなってしまう。従って、記録ヘッドの昇温を抑えるために駆動周波数を上げることができず、やはりスループットを高くできない。
【0014】
そこで、本発明の目的は上記の事情に鑑み、共通液室内の泡溜まりを防止しながら、高密度なノズル配置と高い駆動周波数で液滴を安定的に吐出し、記録媒体に主滴とサテライトを安定的に着弾させる記録ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子が所定の方向に配列されるエネルギー発生素子列と、複数の前記エネルギー発生素子列に液体を供給する貫通孔からなる複数の供給口が前記エネルギー発生素子列に沿って配列される供給口列と、前記エネルギー発生素子列に電力を供給するための配線と、が形成される基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、前記供給口列に含まれる互いに隣接する前記供給口の間に前記配線が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、共通液室内の溜まりを防止しながら、高密度なノズル配置と高い駆動周波数で液滴を安定的に吐出し、記録媒体に主滴とサテライトを安定的に着弾させる液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本発明の第一実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図2】(a)は本発明の第二実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図3】(a)は本発明の第三実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図4】(a)は本発明の第四実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図5】(a)は本発明の第五実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図6】(a)は本発明の第六実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図7】(a)は本発明の第七実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図8】(a)は本発明の第八実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図9】(a)は本発明の第九実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図10】(a)は本発明の第十実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図11】(a)は従来の記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図12】(a)は従来の記録ヘッドの別の例の部品それぞれの斜視図であり、(b)は(a)における記録ヘッドが組み立てられた際の断面図である。
【図13】(a)は従来のさらに別の例の記録ヘッドを破断した斜視図であり、(b)は(a)における記録ヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一実施形態)
以下、本発明を実施するための第一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明の液体吐出ヘッドとしての記録ヘッド1の平面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。本実施形態の記録ヘッド1は、基板2にオリフィスプレート3が接合されて形成されている。図1(a)に、オリフィスプレート3の平面図を示す。
【0020】
基板2には、記録ヘッド1にインクを導入するために基板2を裏面から表面に貫通して液体供給口としてのインク供給口4が形成されている。インク供給口4の内部にインクが供給されて記録ヘッド1の内部にインクが導入される際には、インク供給口4における基板2の裏面から表面に向かう方向にインクが供給される。本実施形態では、図1(a)のA−A’線に沿ってインク供給口4が三つ形成されている。そして、基板2とオリフィスプレート3が接合されることで、それらの間に共通液室5が画成される。共通液室5にはインク供給口4が連通しており、共通液室5におけるインク供給口4と共通液室5とが連通している部分のことを液体供給口連通部としてのインク供給口連通部6とする。本実施形態では、共通液室5に連通したインク供給口4は、一方向に長く形成されて、そのインク供給口4が複数列状に配列されている。基板2には、共通液室5に面するように、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子としてのヒータ9が配置されている。本実施形態では、ヒータ9は、通電に応じて発熱する電気熱変換素子である。そして、オリフィスプレート3には、ヒータ9に対向して、共通液室5の内部に貯留されたインクを、外部に吐出可能なように共通液室5と記録ヘッド1の外部とが連通する吐出口7が形成されている。吐出口7は、複数形成されて所定方向に列をなして形成されている。本実施形態では、吐出口7はインク供給口4の延びている方向と同じ方向に複数配列され、図1(a)のA−A’線に沿って二列に配列されている。共通液室5と吐出口7とが連通している部分のことを吐出口連通部8とする。そして、本実施形態では図1(a)のA−A’線に沿う断面において、三つのインク供給口連通部6の間に二つの吐出口連通部8が形成されている。
【0021】
本実施形態では、二列の吐出口7に対応して、二列のヒータ9が基板2に埋め込まれ、吐出口7に対向して配置されている。そして、隣接するインク供給口4の間で、それぞれのインク供給口4の縁部10から、そのインク供給口4に最も近い位置にある吐出口7の縁部11までの距離が等しい。すなわち、吐出口7を中心に、吐出口7からインク供給口4までのインクの流路が対称に形成されている。
【0022】
複数の流路17の配列の両側においてインク供給口4が配置され、少なくとも一方の側のインク供給口4は、流路17の配列の全範囲に沿って所定の数が配置される。また、圧力室14に接続されている流路17のうち、少なくとも一方の流路17は、共通液室5を介して、インク供給口4に接続されている。本実施形態では、圧力室14に接続されている流路17の両方が、共通液室5を介して、インク供給口4に接続されている。ここで、インク供給口が配置される所定の数は、吐出口の配列の方向に沿って、一つのインク供給口が配置されても良いし、後述するようにインク供給口が複数に分割されて配置されても良い。そして、インク供給口4は、流路17の配列方向に亘って複数の流路17が連通するように配置され、複数の流路17の配列に沿って長さを有している。本実施形態においては、配列された複数の流路17と略同じ長さを有する連続したインク供給口4が三つ配置されている。この三つのインク供給口4によって二つの流路17の列が挟まれた構成となっている。このように、インク供給口4が配置されているので、複数の流路17においてはそれぞれの一方の側と他方の側との両方からインクが供給されることになる。
【0023】
本実施形態では、インク供給口4の延びる方向と同じ方向に並べられて配列されている吐出口7のそれぞれの間には、隔壁12が形成されている。これによって、吐出口7及びヒータ9が、隔壁12によってインク供給口4の延びる方向に対して区切られた流路17の内部に配置されることになる。従って、後述するヒータ9によって発生される気泡の膨張によって、効率的に液滴が吐出されることになる。また、吐出口7が並べられている吐出口列の両側部には、複数の円柱状のノズルフィルタ13が配置されている。これによって、吐出口7及びヒータ9の周囲に、インク中に含まれるゴミ等の異物が入り込むことによってインクの吐出に影響を及ぼすことを抑えることができる。また、ノズルフィルタ13が荷重を支持することで記録ヘッド1の強度が向上されている。ここで、基板2、オリフィスプレート3及び隔壁12によって囲まれ、吐出口7に隣接する領域を圧力室14とする。圧力室14は、共通液室5に連通して、インク供給口連通部6の間に挟まれて形成されている。そして、圧力室14に対して対向する位置に複数の流路17が接続されている。そして、インク供給口4を介して複数の流路17のそれぞれに供給されたインクが、ヒータ9の駆動に伴って外部に吐出される。
【0024】
次に、インクが吐出される際の記録ヘッド1の動作について説明する。
【0025】
ヒータ9に通電すると、電気エネルギーが熱に変換されてヒータ9が発熱する。これにより、ヒータ9に面した圧力室14の内部でヒータ9上に位置したインクが膜沸騰し、気泡が生じる。圧力室14の内部で気泡が生じる際に圧力が発生するので圧力室14内部のインクは発生した圧力によってヒータ9の上方に位置したインクは吐出口7の方へ押され、インクが吐出口7から吐出される。吐出口7から吐出されたインクは、記録媒体における所定位置に着弾することになる。
【0026】
このとき、共通液室5における圧力室14内部に貯留されたインクがヒータ9の駆動によって吐出されると共に、インク供給口4から共通液室5の内部にインクが供給される。インク供給口4からインク供給口連通部6を通って共通液室5の内部に入り込んだインクは、ノズルフィルタ13の間を通って圧力室14の内部に入り、吐出口連通部8を通り、吐出口7から吐出される。ここで、共通液室5を介して圧力室14にインクを供給するインク供給口4は吐出口7の両側部に形成されている。従って、吐出口7へは、圧力室14を挟む両者のインク供給口4からインクが供給され、つまり、流路17における一方の側と他方の側との両方からインクが供給されることになる。これにより、吐出口7に供給されるインクの流れが一方向からのみに偏らず、吐出口7へインクがバランス良く供給されることになる。
【0027】
また、本実施形態では、隣接するインク供給口4同士で、それぞれのインク供給口4の縁部10から、そのインク供給口4に最も近い位置にある吐出口7の縁部11までの距離が等しく形成されている。そして、吐出口7を中心に、インク供給口4までのインクの流路が対称的に形成されている。従って、インク供給口4から圧力室14に供給される際のインク流れの損失等の条件は、隣り合うインク供給口4同士で略変わらないので、それぞれのインク供給口4から吐出口7に供給されるインクは略等しい。よって、気泡が成長する際に、吐出口7に供給されるインクの流量が隣り合うインク供給口4同士で略等しいので、気泡の成長が偏ってしまうことが抑えられる。
【0028】
また、収縮の際にも気泡が偏らずに、ヒータ9の中心に向かってバランス良く収縮することになる。
【0029】
気泡が偏らずにバランス良く成長、収縮を行うことから、吐出するインクの尾引きは太く真っ直ぐなものとなる。その結果、液滴形成過程で尾引きが分裂して形成されるサテライトは大きくなり、サテライトの飛翔方向も吐出口形成面に対してほぼ直交して吐出方向に真っ直ぐに吐出される。このとき複数のサテライトの飛翔方向が一致しているため近接しているサテライト同士は合体し更に大きなサテライトになる。また、このときの主滴部分の飛翔方向も同様に吐出口形成面に対してほぼ直交した吐出口形成面15に直交する吐出方向に真っ直ぐなものとなる。
【0030】
上述のようにサテライトが大きくなると、サテライトの着弾位置が気流の影響を受け難くなり、高速記録や小液滴による記録の際にも濃度差が生じ難くなり、その結果、画像に濃度ムラが発生し難くなる。また、サテライトが大きくなると記録媒体へのサテライトの到達率が上がり、記録ヘッドと記録媒体との間で浮遊するミストが減る。その結果、プリンタ本体内部に浮遊ミストが付着することによる紙面の汚れが減少する上、電気基板やエンコーダが故障し難くなる。また、サテライトと主滴が共に吐出口形成面に略直行する方向に真っ直ぐに吐出されると、記録動作時の往路と復路とで主滴とサテライトとの着弾位置のずれが小さくなるので、往復記録動作時に濃度差が発生し難くなる。
【0031】
また、特許文献2ではインクは孔を通って吐出口の形成された流路にインクが供給されていた。これに対して、本実施形態では、開口面積の大きなインク供給口を通って吐出口の形成された流路にインクが供給されている。従って、インクが吐出口に供給され、吐出口から吐出されるまでに、インクの流れへの抵抗が小さく済む。これにより、インクのリフィル速度が向上し、これに伴ってインクを吐出する際の駆動周波数が高くなり、記録装置によるスループットが向上する。
【0032】
吸引回復時には、吐出口7がキャッピングされ、そこに負圧がかけられることで圧力室14の内部に貯留されているインクが吸引される。そして、本実施形態では、インク供給口4の長手方向の長さは、配列された吐出口7の列の長さに略等しく形成されている。従って、吸引回復時にはそれぞれの吐出口7から一様に吸引されることにより、圧力室14あるいはインク供給口4の列全体に亘ってインクの流れを発生させることが可能となる。従って、共通液室5の全体に亘って、圧力室14の内部の一部に、除去されないインクが残って留まり続けることを防ぐことができる。これにより、吸引及びその後のインクの再充填によって、共通液室5内の全体に亘ってインクがリフレッシュされ、共通液室5内に泡が溜まり難くなる。その結果、適正な吐出を安定的に維持することが可能となる。これに対して特許文献1の記録ヘッドでは、吐出口の形成されたインク流路に対して供給管が中央部でのみインクを供給することから、共通液室5内の流れが不均一になり、共通液室5内に泡が溜まってしまい適正な吐出が維持困難になるという問題があった。
【0033】
また、圧力室14が流路の外部にあるので吐出口7を高密度に配置して高解像度の記録を維持することが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態では、インク供給口4の長さと吐出口7の列の長さとを略等しくしたが、インク供給口4の長さが吐出口7の列の長さよりも長く形成されても構わない。また、本実施形態では、インク供給口4は、A−A’線に沿って三列が形成されることとしたが、記録ヘッド1に形成されるインク供給口4の列の数としては、三列に限定されず、四列以上であっても良いし、二列であっても良い。
【0035】
(第二実施形態)
次に、図2(a)、(b)を用いて、第二実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0036】
図2(a)は、第二実施形態における記録ヘッド21の平面図である。また、図2(b)は、図2(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0037】
上記第一実施形態の記録ヘッド1では、三列のインク供給口の全ては、吐出口の列が延びている方向と同じ方向に延び、長手方向の全体に亘って連続して形成されている。これに対して、第二実施形態の記録ヘッド21は、インク供給口24が、長手方向に複数に分割されて形成されている。
【0038】
第一実施形態では、図1のA−A’線に沿って三列に配置されたインク供給口のうち、外側に配置されている二つのインク供給口について、長手方向の全体に亘って連続したインク供給口4を配置している。従って、中央の列に配置されているヒータ9に電力を供給するための配線は、外側に配置されているインク供給口4を迂回しながら開口部とヒータの間に配置せざるを得ない。そのため、吐出口及びこれに対応するヒータの数が多くなると、それに伴い配線の占める面積が大きくなる。これにより、吐出口とインク供給口との距離が離れることになり、基板が大きくなることで記録ヘッドの製造にかかるコストが高くなる虞がある。
【0039】
これに対して、第二実施形態における記録ヘッド21によれば、複数の流路17の配列の両側に配置されたインク供給口のうち、少なくとも一方の側のインク供給口は、吐出口7が配列されている方向に複数に分割されて配置されている。本実施形態では、インク供給口24が流路17の配列されている方向に三つに分割されている。本実施形態では、インク供給口24が配置される所定の数は三つとされているが、三つに限定されず、四つ以上であっても良い。その際、複数のインク供給口のうちの一つのインク供給口は、吐出口7の配列の方向に沿って二つ以上の複数の流路17に沿って形成される。
【0040】
本実施形態の記録ヘッド21によれば、インク供給口24が流路の配列されている方向に対して複数に分割されているので、分割されたインク供給口24の間に、ヒータ9に電力を供給するための配線を通すことが可能となる。配線を配置するのにインク供給口を迂回しなくても良くなるので、配線を配置するためのスペースを小さくすることができる。また、これによってヒータとインク供給口との距離を近付けることができる。その結果、基板2を小さくでき、記録ヘッド21の製造にかかるコストを低減させることが可能となる。
【0041】
また、記録ヘッドでは、基板2に配置されたヒータ9の駆動によって発生した熱の一部が基板2の中を介して記録ヘッド1の外部に拡散する。しかし、第一実施形態の記録ヘッド1では、吐出口7に対応した位置に配置されているヒータ9が長手方向に連続した長いインク供給口4で挟まれているために、ヒータ9の列の中央部で発生した熱はインク供給口4を迂回して拡散させなければならない。これにより、インク供給口4の長手方向に直交する方向への熱の拡散量は少ない。従って、配列されているヒータ9の両端部の周辺から発せられる熱に関しては、インク供給口4の長手方向に拡散することで冷却されるが、ヒータ9の列の中央部から発せられる熱に関してはあまり拡散されず、中央部の周辺が比較的高温となることがある。
【0042】
これに対して、本実施形態の記録ヘッド21によれば、複数に分割されたインク供給口24の間を通って熱の拡散が可能となり、ヒータ9の列の中央部から発せられる熱もインク供給口24の間を通って記録ヘッド21の外部に放熱されて冷却される。従って、ヒータ9の周囲における基板2上の温度分布の位置による差が小さくなる。その結果、吐出口7の列方向に対して吐出量分布が均一となり、吐出口7ごとの濃度差が小さくなる。従って、記録ヘッド21を用いた記録によって得られる画像での濃度ムラが発生し難くなる。
【0043】
なお、本実施形態では、三列のインク供給口が配置された記録ヘッドについて説明したが、本発明の記録ヘッドはこれに限定されない。外側に位置するインク供給口が吐出口の列が延びている方向に複数に分割されていれば、三列以上のインク供給口が配置された記録ヘッドが用いられても良い。また、分割したインク供給口の分割数を三つとしたが、これに限定されず、四つ以上であっても良く、二つであっても良い。
【0044】
(第三実施形態)
次に、図3(a)、(b)を用いて、第三実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態及び第二実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
図3(a)は、第三実施形態における記録ヘッド31の平面図である。また、図3(b)は、図3(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0046】
上記第一実施形態では、三列のインク供給口の全てが吐出口の列が延びている方向と同じ方向に延び、長手方向の全体に亘って連続して形成されていることとした。また、上記第二実施形態では、複数のインク供給口のうち外側に配置されているものについては複数に分割され、中央部に位置しているものについては長手方向の全体に亘って連続して形成されていることとした。これに対して、第三実施形態の記録ヘッド31では、吐出口の列が延びている方向に対して直交する方向に並べられている複数のインク供給口のうち、全てのインク供給口について、吐出口の列が延びている方向に複数に分割されることとした。
【0047】
これにより、吐出口に対応した位置に配列されているヒータの列の中央部から発せられる熱を、複数に分割されたインク供給口の間の部分を通して熱を拡散することができ、そこから外部に放熱することができるようになる。これにより、さらにヒータの列の中央部周辺の温度上昇を抑えることができるので、ヒータの列の周辺における温度分布の差を小さく抑えることができる。その結果、吐出口ごとのインクの吐出量の差を小さく抑えることができ、得られる画像における濃度の差を小さく抑えることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、三列の分割されたインク供給口が配置された記録ヘッドについて説明したが、本発明の記録ヘッドはこれに限定されない。分割されたインク供給口は四列以上であっても良いし、二列であっても良い。
【0049】
(第四実施形態)
次に、図4(a)、(b)を用いて、第四実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第三実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0050】
図4(a)は、第四実施形態における記録ヘッド41の平面図である。また、図4(b)は、図4(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0051】
上記第一実施形態ないし第三実施形態においては、記録ヘッドにおける吐出口の列が並べられている方向の略全体に亘って形成されている比較的大きなインク供給口が形成されている。これに対して、本実施形態の記録ヘッド41では、共通液室45から外側に向かって延びている流路46が形成されている。そして、複数の流路46の配列の両側に配置されたインク供給口のうち、一方の側のインク供給口24は、共通液室45に連通するように形成されている。また、複数の流路46の配列の両側に配置されたインク供給口のうち、他方の側に形成された流路内インク供給口44は、流路46内に連通するように形成されている。
【0052】
本実施形態では、共通液室45と連通してインク供給口の配列方向に対して直交する方向に延びた流路46が形成されている。そして、流路46に対して連通するように、流路内インク供給口44が形成されている。ここで、共通液室45とインク流路17とが連通した部分を流路連通部49とし、流路内インク供給口44と流路46とが連通した部分を流路内インク供給口連通部47とする。本実施形態では、流路連通部49と、流路内インク供給口連通部47との間の空間に、流路46と連通するように吐出口7が形成されている。そして、流路46と吐出口7とが連通する部分を吐出口連通部48とする。本実施形態では、流路46に連通するように形成された流路内インク供給口44が流路46の外側のほぼ端部で連通しており、吐出口7は、流路46の外側端部よりも内側の部分で流路46と連通している。
【0053】
本実施形態の記録ヘッド41によれば、ヒータ9の駆動によって発生する気泡の成長を妨げない構造とすると共に、流路46と連通した流路内インク供給口44の開口面積を狭く形成することができるようになる。従って、その分基板2の面積を小さくすることができる。これにより、その分記録ヘッド41の製造コストを低減することができる。
【0054】
なお、本実施形態では流路46に連通する流路内インク供給口44と中央部のインク供給口24とによってインクが供給される構成としたが、流路46内部に二つの流路内インク供給口44が連通するように形成されその間に吐出口が形成される構成も考えられる。しかし、特許文献2の構成のように流路46に連通する二つの流路内インク供給口47によって挟まれた吐出口7からインクを吐出することとした場合、高解像度のノズル配置を実現しようとすると、流路内インク供給口47の開口面積が小さくなってしまう。この場合、インクを流路46内部の圧力室14に供給するのに、開口面積が小さく抵抗の大きい流路内インク供給口47を通って供給されなければならず、インクの吐出後圧力室内にインクをリフィルさせるリフィル速度が低下してしまう。これにより、駆動周波数が低下してしまうので、記録ヘッド41によるスループットが低下してしまう。一方、流抵抗を低減するためにインク供給口44の開口面積を大きくするとノズル解像度を低密度化せざるを得ず、ノズルの高密度化と高リフィル周波数の両立が困難であった。
【0055】
そのため、本実施形態のように、吐出口を挟んで形成されるインク供給口は二つ共に流路46に連通するのではなく、そのうち一方が流路46に連通し、他方は共通液室に連通し複数の流路46に沿って比較的大きく形成されている方が好ましい。この構成によってノズルを高密度に配置しながらインクのリフィル時におけるインクの流れる流路の抵抗が大きくならず、リフィル速度の低減を抑えることができる。
【0056】
(第五実施形態)
次に、図5(a)、(b)を用いて、第五実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第四実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図5(a)は、第五実施形態における記録ヘッド51の平面図である。また、図5(b)は、図5(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0058】
上記第三実施形態では、吐出口の列の延びている方向に複数に分割されたインク供給口4が三列形成されている構成に関して説明した。第五実施形態の記録ヘッド51は、三列のインク供給口4に加えて、その両側部の外側に一列ずつ分割されたインク供給口24が共通液室5に連通して形成されている。また、それらのインク供給口24の間には、吐出口7及びそれに対応した位置にヒータ9が配置されている。そして、本実施形態の記録ヘッド51における最も外側に形成されている吐出口7は、径が小さく形成されることで、内側に形成されている吐出口7よりも吐出量が少なくなるように形成されている。異なる吐出量の吐出口が形成されることで、記録の際に吐出される液滴の量を調節することが可能となり、高品位な画像の記録を行うことができる。また、記録の高速化を図ることもできる。
【0059】
このように、本発明の記録ヘッドは、インク供給口は三列に限定されず、四列以上の数であっても良い。また、インク供給口の間に形成される吐出口も二列でなくとも良く、三列以上であっても良い。また、吐出口の大きさも一様でなくとも良く、所望の吐出量に応じて吐出口の大きさを変化させても良い。
【0060】
(第六実施形態)
次に、図6(a)、(b)を用いて、第六実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第五実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0061】
図6(a)は、第六実施形態における記録ヘッド61の平面図である。また、図6(b)は、図6(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0062】
上記第三実施形態では、吐出口の列の延びている方向に複数に分割されたインク供給口4が三列形成されている構成に関して説明した。第六実施形態の記録ヘッド61はこれに加えて、共通液室67の外側の一部に、一旦共通液室67の外側に向かう方向に延び、そこから再び共通液室67に戻るように延びて共通液室67と連通する液体通路としてのインク通路62が形成されている。そして、インク通路62の一部に吐出口65が形成され、インク通路62と吐出口65とが連通する吐出口連通部66がそこに形成されている。吐出口65に対応した位置にはヒータ9が配置されており、そこに圧力室14が形成されている。本実施形態では、インク通路は、共通液室67の外縁の一部に、共通液室67が外側に向かって突出することで凹部63が形成されており、その凹部63の内部に隔壁64が配置されることで、凹部63の内部にインク通路62が形成されている。
【0063】
本実施形態の記録ヘッド61によれば、気泡の成長が制限されないようにするために圧力室14の外側にインク供給口を形成しなくても良いので、その分記録ヘッド61が拡大されなくても良い。従って、記録ヘッド61における基板の大型化を抑えることができるので、記録ヘッド61における製造コストを抑えることができる。
【0064】
また、本実施形態の記録ヘッド61では、インク通路62に形成された最も外側の吐出口65が、インク供給口24の間に形成された内側の吐出口列における吐出口7よりも径が小さく形成され、外側の吐出口65から吐出される吐出量が少なく形成されている。これにより、記録の際に吐出される液滴の量を調節することが可能となり、高品位な画像の記録を行うことができる。また、記録の高速化を図ることもできる。
【0065】
(第七実施形態)
次に、図7(a)、(b)を用いて、第七実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第六実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
図7(a)は、第七実施形態における記録ヘッド71の平面図である。また、図7(b)は、図7(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0067】
上記第三実施形態では、吐出口の列の延びている方向に複数に分割されたインク供給口4が三列形成されている構成に関して説明した。第七実施形態の記録ヘッド71はこれに加えて、複数の吐出口72は、吐出量の異なる大吐出量吐出口73と、大吐出量吐出口73よりも吐出される液体の吐出量が相対的に小さく形成されている小吐出量吐出口74とを有して形成されている。そして、それらの大吐出量吐出口73と小吐出量吐出口74とが列の延びている方向に交互に配列されているように形成されている。従って、本実施形態の記録ヘッド71によれば、吐出口を増加させずに記録の際に吐出される液滴の量を調節することが可能となり、記録ヘッドを大型化せずに低コストに高品位な画像の記録を行うことができる。また、記録の高速化を図ることもできる。
【0068】
(第八実施形態)
次に、図8(a)、(b)を用いて、第八実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第七実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0069】
図8(a)は、第八実施形態における記録ヘッド81の平面図である。また、図8(b)は、図8(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0070】
上記第三実施形態では、吐出口の列の延びている方向に複数に分割されたインク供給口4が三列形成されている構成に関して説明した。第八実施形態の記録ヘッド81は、これに加えて、オリフィスプレート3と基板2との間に、共通液室5から基板2の外周方向に向かって延在する液体通路としてのインク通路82が基板2の外周部に形成されている。そして、インク通路82の外側の端部に近接した位置でインク通路82に連通するようにオリフィスプレートに液体通路内吐出口としてのインク通路内吐出口83が形成されている。基板2には、インク通路内吐出口83に面するように、液体通路内吐出エネルギー発生素子としてのインク通路内ヒータ89が配置されている。
【0071】
本実施形態では、共通液室5の外側に突出して延びたインク流路82が形成され、インク流路82の最も外側の端部にインク通路内吐出口83が形成されている。また、インク通路内吐出口83に対応した位置にはインク通路内ヒータ89が配置されており、これによって、インク通路82の最も外側の端部に圧力室14が形成されている。基板2の外周部に形成された圧力室14は、インク流路82の最も外側の端部に形成されているので、インク流路82が圧力室14に接続されている接続部を除いて、三方がインク流路82を画成する壁面によって囲まれた構成となっている。そして、インク通路82の最も外側には、インク供給口24に挟まれている内側の吐出口7よりも径が小さい小吐出量吐出口としてのインク通路内吐出口83が形成されている。このように、インク通路82内に形成されたインク通路内吐出口83によるインクの吐出量が、インク供給口の間に形成されている内側の吐出口7よりも少なくなるように設定されている。
【0072】
本発明は、共通液室5におけるインク供給口に連通した部分の間にインク流路が形成され、そこで吐出口と連通することでヒータによって発生される気泡の成長を制限することなくインクを吐出するものである。ところが、本実施形態で外側に配置されているインク通路内吐出口83は、インク通路82の最も外側の端部に形成されており、インク通路82の外側端部の壁面によってヒータにより発生された気泡の成長が制限されることが考えられる。しかしながら、径が小さく形成され、吐出量が小さく設定されているインク通路内吐出口83は、比較的吐出量の多い内側の吐出口7よりも、気泡の成長が制限されることに対する液滴への影響が小さい。このように、吐出量の少ない吐出口では、気泡の成長が妨げられることによる影響が小さいので、インク通路の端部にヒータ及び吐出口が形成されても良い。吐出口から吐出されるインクの吐出量に応じて、吐出口が、インク供給口の間に形成されたり、インク流路の端部に形成されたりしても良い。
【0073】
本実施形態のように、最も外側に形成されている吐出口をインク通路82の端部に形成することで、最も外側の吐出口の外側にインク供給口が形成されなくても良いので、基板2の大型化を抑えることができ、記録ヘッドの製造コストを抑えることができる。
【0074】
(第九実施形態)
次に、図9(a)、(b)を用いて、第九実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第八実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0075】
図9(a)は、第九実施形態における記録ヘッド91の平面図である。また、図9(b)は、図9(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0076】
上記第八実施形態における記録ヘッドは、共通液室5の外側に同じ長さだけ突出したインク通路が形成され、そのインク通路の外側の端部に吐出口が形成されることとした。これに加えて本実施形態の記録ヘッド91では、インク通路内吐出口が、吐出される液体の吐出量の異なる複数種類のインク通路内吐出口を有することとした。具体的には、共通液室5の外側に突出した長さの異なる複数のインク通路92が千鳥状に形成され、このインク流路92の最も外側の端部には、吐出口が形成されている。そして、突出した長さの短い短インク通路93の最も外側の端部には、記録ヘッド91の中で最も径の小さい小吐出量吐出口94が形成されている。そして、突出した長さの長い長インク流路95の最も外側の端部には、小吐出量吐出口94よりも径が大きく、内側のインク供給口24に挟まれて形成されている吐出口である大吐出量吐出口96よりも径が小さく形成された中吐出量吐出口97が形成されている。このように、インク吐出量の異なる複数種類の吐出口が形成されることで、記録の際に吐出される液滴の量をより細かく調節することが可能となり、さらに高品位な画像の記録を行うことができる。また、さらなる記録の高速化を図ることもできる。
【0077】
また、吐出口を千鳥状に配列することで、吐出口の密度を高く保ったまま複数種類の吐出量の吐出口を形成しているので、画像の品質を高めるに際して基板2の大型化を抑えることができ、記録ヘッドの製造コストを抑えることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、吐出口から吐出されるインクの吐出量に応じて径の異なる三種類の吐出口が形成されることとしたが、吐出口の種類は三種類に限定されず、四種類以上であっても良い。また、それに応じてインク流路の長さを変化させても良い。
【0079】
(第十実施形態)
次に、図10(a)、(b)を用いて、第十実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第九実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
図10(a)は、第十実施形態における記録ヘッド101の平面図である。また、図10(b)は、図10(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0081】
上記第七実施形態における記録ヘッドは、吐出口が、径の大きく形成された大吐出量吐出口と、径の小さく形成されて小吐出量吐出口とを有しており、それらが列の延びている方向に交互に配置されて形成されていることとした。これらの大吐出量吐出口及び小吐出量吐出口は、隔壁によってそれらの間を区画され、隔壁によって挟まれて区画された空間が圧力室として作用している。これに加えて本実施形態の記録ヘッド101では、複数の吐出口にそれぞれ対応した複数の流路17のうち、一部の流路が、流路の一方の側が塞がれて三方が囲まれるように画成された片側供給液体流路としての片側供給インク流路104であることとした。そして、片側供給インク流路104に連通するように、片側供給液体流路内吐出口としての片側供給インク流路内吐出口102が形成されている。本実施形態では、片側供給インク流路104内に形成された片側供給インク流路内吐出口102は、両側が開放されて両方向にインクの流通可能な流路17内に形成されている吐出口7とは、吐出されるインクの吐出量が異なる。本実施形態では、片側供給インク流路内吐出口102は、流路17内に形成されている吐出口7よりも径が小さく、吐出されるインクの吐出量が少なく設定されている。片側供給インク流路104では、片側供給インク流路内吐出口102を挟む隔壁103の一方の側の端部を連結すし、これによって片側供給インク流路内吐出口102の外側の三方が隔壁103によって囲まれている。
【0082】
上述したように、吐出量の小さい吐出口では、ヒータの駆動によって発生される気泡の成長が妨げられることへの影響が小さい。従って、本実施形態における片側供給インク流路内吐出口102の三方が隔壁103によって囲まれることとしても、インクが吐出されることで得られる画像の品質の低下は少なく、サテライトの発生は許容範囲内に収まることになる。また、隔壁103が片側供給インク流路内吐出口102の一方の側の端部で連結されることにより、基板2とオリフィスプレート3との間で隔壁103を介して接着される接着面積を増加させることができる。また、隔壁103が基板2とオリフィスプレート3との間でそれらを支持する支持面積を増加させることができる。これにより、オリフィスプレート3が基板2から離間することを抑えることができる。また、これらの間に比較的大きな空間である共通液室5が画成されていることにより、比較的強度の低い部分を隔壁103によって支持することで強度を向上させることができ、記録ヘッド101の信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0083】
1、21、31、41、51、61、71、81、91、101 記録ヘッド
2 基板
3 オリフィスプレート
4、24 インク供給口
5、45、67 共通液室
6 インク供給口連通部
7 吐出口
8 吐出口連通部
9 ヒータ
62 インク通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出エネルギー発生素子にエネルギーを供給して液体にエネルギーを与え、吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に用いられているインクジェット記録装置における液体吐出ヘッドとしての記録ヘッドにおいては、オリフィスプレートと液体供給口等が形成された基板とが貼り合わされて形成されたものが多く製造されている。このような記録ヘッドの構造を、図11(a)、(b)に示す。図11(a)には、従来の液体吐出ヘッド501の平面図が示されており、図11(b)には、従来の液体吐出ヘッド501における図11(a)のA−A’線に沿う断面図が示されている。この形式の記録ヘッドにおいては、基板503とオリフィスプレート502とが貼り合わされることで、それらの間の空間の一部に、共通液室504が形成されている。基板503には、基板を貫通するように液体供給口505が形成されており、その液体供給口505は共通液室504に連通している。また、共通液室504に連通して液体流路507が延びており、液体流路507における共通液室504と逆側の端部には、圧力室508が形成されている。オリフィスプレート502には、圧力室508に連通して吐出口506が形成されている。吐出口506に対応した位置には、圧力室508内の液体に吐出エネルギーを供給するための吐出エネルギー発生素子としてのヒータ509が配置されている。液体供給口505を介して共通液室504に供給された液体は、液体流路507を介して圧力室508に供給され、圧力室508内でヒータ509によって液体にエネルギーが供給されて吐出口506から液体が吐出される。
【0003】
図11(a)、(b)に示される記録ヘッド501では、液体は液体供給口505から吐出口506へ一方向にのみ供給される。
【0004】
このような記録ヘッド501が用いられて、液体が吐出されて記録が行われる場合、ヒータ509によって発生される気泡は共通液室504から液体供給口505に向かう方向に偏って成長する。従って、吐出される液体はその方向に力を受けながら吐出される。このとき、吐出される液体の尾引きの部分が共通液室504方向に引っ張られながらちぎれるので、いわゆるサテライトが小さく形成され、それが記録媒体に着弾せずプリンタ筐体内部で浮遊するミストとなり易い。
【0005】
また、サテライトが浮遊ミスト化せず記録媒体に着弾する場合でも、質量の小さいサテライトは気流による影響を受け易く、気流の影響で飛翔方向が変動し易い。その結果、その結果、サテライトの記録媒体上での着弾位置が変動し濃度ムラが発生し易い。
【0006】
また、サテライトが共通液室504方向に力を受けて吐出すると、主滴と異なる飛翔方向となるため、記録ヘッドを記録媒体上を往復スキャンさせて記録を行う場合には、往路と復路で主滴とサテライトの重なり方が変化し濃度ムラが発生し易い。
【0007】
以上のようにサテライト部分が小さくなることに対する対策としては、特許文献1及び特許文献2に開示されているものがある。図12(a)は、特許文献1に開示されている記録ヘッドの構成部品を分解してそれぞれを示した斜視図である。図12(b)は、その構成部品が組み立てられた記録ヘッドにおける要部である吐出口の周辺の断面図である。また、図13(a)は、特許文献2に開示されている記録ヘッドの要部を拡大して破断した断面図である。図13(b)は、図13(a)に示される記録ヘッドの断面図である。
【0008】
上記の特許文献1、2においては、インク供給口に導かれたインクをさらに吐出方向へ導き、そこから吐出方向に対して直交する方向にインクを導き、そこでヒータによって液体に熱エネルギーを与えている。吐出口に対して液体を供給するための通路は吐出口の両側部に形成され、吐出される液体は吐出口の両側部から吐出口へ供給されているためにインクの吐出の際に気泡の成長に影響を与えるようなインク流れの偏りが抑えられている。これにより、吐出の際に液滴に対して偏った力を与えることが抑えられている。
【0009】
その結果、気泡はヒータを中心に略対称に成長し、略対称に収縮する。そのため、吐出するインクの尾引きは真っ直ぐで短く太いものとなり易い。その結果、液滴形成過程で尾引きが分裂して形成されるサテライトは大きくなり易く、液滴の飛翔方向も、吐出口形成面に対してほぼ直交した吐出方向に真っ直ぐに吐出される。さらに、このときの主滴部分の飛翔方向も同様に吐出口形成面に対してほぼ直交した吐出方向に真っ直ぐなものとなる。このように、液体を吐出する際に発生するサテライトが大きくなるので、サテライトの着弾位置が気流の影響を受け難くなって安定化し、高速記録や小液滴による記録の際にも濃度ムラが発生し難くなる。また、サテライトが大きくなるので、記録媒体への到達率が上がり、記録媒体に着弾しないでプリンタ筐体内で浮遊するミストが減るので、プリンタ本体内部や紙面の汚れが減少する上、電気基板やエンコーダが故障し難くなる。サテライトと主滴が共に吐出口形成面にほぼ直行する方向に真っ直ぐに吐出されると、記録動作時の往路と復路とで主滴とサテライトとの着弾位置のずれが小さくなるので、往復記録動作時に濃度差が発生し難くなる。これにより、記録媒体上に得られる画像において濃度ムラが発生し難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭60−206653号公報
【特許文献2】米国特許公報第6660175号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1の方法によると、貯蔵槽に一旦貯留されているインクが供給管によってさらにインクの吐出方向に導かれているが、導かれたインクは、インク流路における吐出口の列方向の中央部付近に連通しているのみである。従って、インク流路並びの中央部に位置する共通液室内のインクについては吐出されるか、あるいは吸引回復によって吸い出されることになるので、共通液室に留まったままとはならずに記録ヘッドから排出される。しかしながら、供給管から離れた部位に位置する共通液室内インクについては、吸引回復を行ったとしても、インク流れが生じ難いので吸引されないままそこに残り易い。従って、その部位には気泡が溜まり易く、その気泡がインクの吐出に影響を及ぼし吐出特性が変動し易くなり、良好な吐出状態を安定的に維持するのが困難になり易い。
【0012】
また、特許文献2の方法によると、インク供給口に導かれたインクが、基板とオリフィスプレートとの間に配置された層に孔が形成され、その孔を通ってインクがさらに吐出方向に導かれている。しかし、その孔を通って供給されることがインクの流れの抵抗となる。この抵抗は、孔の大きさが小さい程大きくなり、また、孔の内部における流路の長さが長い程大きくなる。この抵抗が大きくなると、インクの再充填速度(以下、リフィル速度)が遅くなり、液滴の繰り返し吐出周波数(以下、駆動周波数)が低くなる。これによって、記録装置におけるスループットが低下する。
【0013】
このインクの流れの抵抗に関する対策として、孔の径を大きくすること、及び孔の形成された層の厚みを薄くすることが考えられる。インクの通る孔の径を大きくすることで、インクの流れの抵抗を低減させることが可能となる。これにより、記録装置におけるスループットが向上する。しかし、孔の径を大きくすると圧力室自体が大きくなるため、吐出口間の距離が大きくなり、吐出される液滴の間隔が大きくなる。従って、記録ヘッド上の吐出口の密度が小さくなるので、吐出された液滴による解像度が低下することになり、記録装置によるスループットが結局抑えられることになる。また、孔によって形成される流路を短くするために孔の形成されている層の厚みを薄くすることについては、これを極端に薄くすると記録ヘッドの必要強度が保てなくなる。また、この層を介して拡散し放熱される熱量が低下することから、ヒータで発生した熱を逃がすことができずに、ヒータ部の昇温が大きくなってしまう。従って、記録ヘッドの昇温を抑えるために駆動周波数を上げることができず、やはりスループットを高くできない。
【0014】
そこで、本発明の目的は上記の事情に鑑み、共通液室内の泡溜まりを防止しながら、高密度なノズル配置と高い駆動周波数で液滴を安定的に吐出し、記録媒体に主滴とサテライトを安定的に着弾させる記録ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子が所定の方向に配列されるエネルギー発生素子列と、複数の前記エネルギー発生素子列に液体を供給する貫通孔からなる複数の供給口が前記エネルギー発生素子列に沿って配列される供給口列と、前記エネルギー発生素子列に電力を供給するための配線と、が形成される基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、前記供給口列に含まれる互いに隣接する前記供給口の間に前記配線が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、共通液室内の溜まりを防止しながら、高密度なノズル配置と高い駆動周波数で液滴を安定的に吐出し、記録媒体に主滴とサテライトを安定的に着弾させる液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本発明の第一実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図2】(a)は本発明の第二実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図3】(a)は本発明の第三実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図4】(a)は本発明の第四実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図5】(a)は本発明の第五実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図6】(a)は本発明の第六実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図7】(a)は本発明の第七実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図8】(a)は本発明の第八実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図9】(a)は本発明の第九実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図10】(a)は本発明の第十実施形態に係る記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図11】(a)は従来の記録ヘッドの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図12】(a)は従来の記録ヘッドの別の例の部品それぞれの斜視図であり、(b)は(a)における記録ヘッドが組み立てられた際の断面図である。
【図13】(a)は従来のさらに別の例の記録ヘッドを破断した斜視図であり、(b)は(a)における記録ヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一実施形態)
以下、本発明を実施するための第一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明の液体吐出ヘッドとしての記録ヘッド1の平面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。本実施形態の記録ヘッド1は、基板2にオリフィスプレート3が接合されて形成されている。図1(a)に、オリフィスプレート3の平面図を示す。
【0020】
基板2には、記録ヘッド1にインクを導入するために基板2を裏面から表面に貫通して液体供給口としてのインク供給口4が形成されている。インク供給口4の内部にインクが供給されて記録ヘッド1の内部にインクが導入される際には、インク供給口4における基板2の裏面から表面に向かう方向にインクが供給される。本実施形態では、図1(a)のA−A’線に沿ってインク供給口4が三つ形成されている。そして、基板2とオリフィスプレート3が接合されることで、それらの間に共通液室5が画成される。共通液室5にはインク供給口4が連通しており、共通液室5におけるインク供給口4と共通液室5とが連通している部分のことを液体供給口連通部としてのインク供給口連通部6とする。本実施形態では、共通液室5に連通したインク供給口4は、一方向に長く形成されて、そのインク供給口4が複数列状に配列されている。基板2には、共通液室5に面するように、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子としてのヒータ9が配置されている。本実施形態では、ヒータ9は、通電に応じて発熱する電気熱変換素子である。そして、オリフィスプレート3には、ヒータ9に対向して、共通液室5の内部に貯留されたインクを、外部に吐出可能なように共通液室5と記録ヘッド1の外部とが連通する吐出口7が形成されている。吐出口7は、複数形成されて所定方向に列をなして形成されている。本実施形態では、吐出口7はインク供給口4の延びている方向と同じ方向に複数配列され、図1(a)のA−A’線に沿って二列に配列されている。共通液室5と吐出口7とが連通している部分のことを吐出口連通部8とする。そして、本実施形態では図1(a)のA−A’線に沿う断面において、三つのインク供給口連通部6の間に二つの吐出口連通部8が形成されている。
【0021】
本実施形態では、二列の吐出口7に対応して、二列のヒータ9が基板2に埋め込まれ、吐出口7に対向して配置されている。そして、隣接するインク供給口4の間で、それぞれのインク供給口4の縁部10から、そのインク供給口4に最も近い位置にある吐出口7の縁部11までの距離が等しい。すなわち、吐出口7を中心に、吐出口7からインク供給口4までのインクの流路が対称に形成されている。
【0022】
複数の流路17の配列の両側においてインク供給口4が配置され、少なくとも一方の側のインク供給口4は、流路17の配列の全範囲に沿って所定の数が配置される。また、圧力室14に接続されている流路17のうち、少なくとも一方の流路17は、共通液室5を介して、インク供給口4に接続されている。本実施形態では、圧力室14に接続されている流路17の両方が、共通液室5を介して、インク供給口4に接続されている。ここで、インク供給口が配置される所定の数は、吐出口の配列の方向に沿って、一つのインク供給口が配置されても良いし、後述するようにインク供給口が複数に分割されて配置されても良い。そして、インク供給口4は、流路17の配列方向に亘って複数の流路17が連通するように配置され、複数の流路17の配列に沿って長さを有している。本実施形態においては、配列された複数の流路17と略同じ長さを有する連続したインク供給口4が三つ配置されている。この三つのインク供給口4によって二つの流路17の列が挟まれた構成となっている。このように、インク供給口4が配置されているので、複数の流路17においてはそれぞれの一方の側と他方の側との両方からインクが供給されることになる。
【0023】
本実施形態では、インク供給口4の延びる方向と同じ方向に並べられて配列されている吐出口7のそれぞれの間には、隔壁12が形成されている。これによって、吐出口7及びヒータ9が、隔壁12によってインク供給口4の延びる方向に対して区切られた流路17の内部に配置されることになる。従って、後述するヒータ9によって発生される気泡の膨張によって、効率的に液滴が吐出されることになる。また、吐出口7が並べられている吐出口列の両側部には、複数の円柱状のノズルフィルタ13が配置されている。これによって、吐出口7及びヒータ9の周囲に、インク中に含まれるゴミ等の異物が入り込むことによってインクの吐出に影響を及ぼすことを抑えることができる。また、ノズルフィルタ13が荷重を支持することで記録ヘッド1の強度が向上されている。ここで、基板2、オリフィスプレート3及び隔壁12によって囲まれ、吐出口7に隣接する領域を圧力室14とする。圧力室14は、共通液室5に連通して、インク供給口連通部6の間に挟まれて形成されている。そして、圧力室14に対して対向する位置に複数の流路17が接続されている。そして、インク供給口4を介して複数の流路17のそれぞれに供給されたインクが、ヒータ9の駆動に伴って外部に吐出される。
【0024】
次に、インクが吐出される際の記録ヘッド1の動作について説明する。
【0025】
ヒータ9に通電すると、電気エネルギーが熱に変換されてヒータ9が発熱する。これにより、ヒータ9に面した圧力室14の内部でヒータ9上に位置したインクが膜沸騰し、気泡が生じる。圧力室14の内部で気泡が生じる際に圧力が発生するので圧力室14内部のインクは発生した圧力によってヒータ9の上方に位置したインクは吐出口7の方へ押され、インクが吐出口7から吐出される。吐出口7から吐出されたインクは、記録媒体における所定位置に着弾することになる。
【0026】
このとき、共通液室5における圧力室14内部に貯留されたインクがヒータ9の駆動によって吐出されると共に、インク供給口4から共通液室5の内部にインクが供給される。インク供給口4からインク供給口連通部6を通って共通液室5の内部に入り込んだインクは、ノズルフィルタ13の間を通って圧力室14の内部に入り、吐出口連通部8を通り、吐出口7から吐出される。ここで、共通液室5を介して圧力室14にインクを供給するインク供給口4は吐出口7の両側部に形成されている。従って、吐出口7へは、圧力室14を挟む両者のインク供給口4からインクが供給され、つまり、流路17における一方の側と他方の側との両方からインクが供給されることになる。これにより、吐出口7に供給されるインクの流れが一方向からのみに偏らず、吐出口7へインクがバランス良く供給されることになる。
【0027】
また、本実施形態では、隣接するインク供給口4同士で、それぞれのインク供給口4の縁部10から、そのインク供給口4に最も近い位置にある吐出口7の縁部11までの距離が等しく形成されている。そして、吐出口7を中心に、インク供給口4までのインクの流路が対称的に形成されている。従って、インク供給口4から圧力室14に供給される際のインク流れの損失等の条件は、隣り合うインク供給口4同士で略変わらないので、それぞれのインク供給口4から吐出口7に供給されるインクは略等しい。よって、気泡が成長する際に、吐出口7に供給されるインクの流量が隣り合うインク供給口4同士で略等しいので、気泡の成長が偏ってしまうことが抑えられる。
【0028】
また、収縮の際にも気泡が偏らずに、ヒータ9の中心に向かってバランス良く収縮することになる。
【0029】
気泡が偏らずにバランス良く成長、収縮を行うことから、吐出するインクの尾引きは太く真っ直ぐなものとなる。その結果、液滴形成過程で尾引きが分裂して形成されるサテライトは大きくなり、サテライトの飛翔方向も吐出口形成面に対してほぼ直交して吐出方向に真っ直ぐに吐出される。このとき複数のサテライトの飛翔方向が一致しているため近接しているサテライト同士は合体し更に大きなサテライトになる。また、このときの主滴部分の飛翔方向も同様に吐出口形成面に対してほぼ直交した吐出口形成面15に直交する吐出方向に真っ直ぐなものとなる。
【0030】
上述のようにサテライトが大きくなると、サテライトの着弾位置が気流の影響を受け難くなり、高速記録や小液滴による記録の際にも濃度差が生じ難くなり、その結果、画像に濃度ムラが発生し難くなる。また、サテライトが大きくなると記録媒体へのサテライトの到達率が上がり、記録ヘッドと記録媒体との間で浮遊するミストが減る。その結果、プリンタ本体内部に浮遊ミストが付着することによる紙面の汚れが減少する上、電気基板やエンコーダが故障し難くなる。また、サテライトと主滴が共に吐出口形成面に略直行する方向に真っ直ぐに吐出されると、記録動作時の往路と復路とで主滴とサテライトとの着弾位置のずれが小さくなるので、往復記録動作時に濃度差が発生し難くなる。
【0031】
また、特許文献2ではインクは孔を通って吐出口の形成された流路にインクが供給されていた。これに対して、本実施形態では、開口面積の大きなインク供給口を通って吐出口の形成された流路にインクが供給されている。従って、インクが吐出口に供給され、吐出口から吐出されるまでに、インクの流れへの抵抗が小さく済む。これにより、インクのリフィル速度が向上し、これに伴ってインクを吐出する際の駆動周波数が高くなり、記録装置によるスループットが向上する。
【0032】
吸引回復時には、吐出口7がキャッピングされ、そこに負圧がかけられることで圧力室14の内部に貯留されているインクが吸引される。そして、本実施形態では、インク供給口4の長手方向の長さは、配列された吐出口7の列の長さに略等しく形成されている。従って、吸引回復時にはそれぞれの吐出口7から一様に吸引されることにより、圧力室14あるいはインク供給口4の列全体に亘ってインクの流れを発生させることが可能となる。従って、共通液室5の全体に亘って、圧力室14の内部の一部に、除去されないインクが残って留まり続けることを防ぐことができる。これにより、吸引及びその後のインクの再充填によって、共通液室5内の全体に亘ってインクがリフレッシュされ、共通液室5内に泡が溜まり難くなる。その結果、適正な吐出を安定的に維持することが可能となる。これに対して特許文献1の記録ヘッドでは、吐出口の形成されたインク流路に対して供給管が中央部でのみインクを供給することから、共通液室5内の流れが不均一になり、共通液室5内に泡が溜まってしまい適正な吐出が維持困難になるという問題があった。
【0033】
また、圧力室14が流路の外部にあるので吐出口7を高密度に配置して高解像度の記録を維持することが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態では、インク供給口4の長さと吐出口7の列の長さとを略等しくしたが、インク供給口4の長さが吐出口7の列の長さよりも長く形成されても構わない。また、本実施形態では、インク供給口4は、A−A’線に沿って三列が形成されることとしたが、記録ヘッド1に形成されるインク供給口4の列の数としては、三列に限定されず、四列以上であっても良いし、二列であっても良い。
【0035】
(第二実施形態)
次に、図2(a)、(b)を用いて、第二実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0036】
図2(a)は、第二実施形態における記録ヘッド21の平面図である。また、図2(b)は、図2(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0037】
上記第一実施形態の記録ヘッド1では、三列のインク供給口の全ては、吐出口の列が延びている方向と同じ方向に延び、長手方向の全体に亘って連続して形成されている。これに対して、第二実施形態の記録ヘッド21は、インク供給口24が、長手方向に複数に分割されて形成されている。
【0038】
第一実施形態では、図1のA−A’線に沿って三列に配置されたインク供給口のうち、外側に配置されている二つのインク供給口について、長手方向の全体に亘って連続したインク供給口4を配置している。従って、中央の列に配置されているヒータ9に電力を供給するための配線は、外側に配置されているインク供給口4を迂回しながら開口部とヒータの間に配置せざるを得ない。そのため、吐出口及びこれに対応するヒータの数が多くなると、それに伴い配線の占める面積が大きくなる。これにより、吐出口とインク供給口との距離が離れることになり、基板が大きくなることで記録ヘッドの製造にかかるコストが高くなる虞がある。
【0039】
これに対して、第二実施形態における記録ヘッド21によれば、複数の流路17の配列の両側に配置されたインク供給口のうち、少なくとも一方の側のインク供給口は、吐出口7が配列されている方向に複数に分割されて配置されている。本実施形態では、インク供給口24が流路17の配列されている方向に三つに分割されている。本実施形態では、インク供給口24が配置される所定の数は三つとされているが、三つに限定されず、四つ以上であっても良い。その際、複数のインク供給口のうちの一つのインク供給口は、吐出口7の配列の方向に沿って二つ以上の複数の流路17に沿って形成される。
【0040】
本実施形態の記録ヘッド21によれば、インク供給口24が流路の配列されている方向に対して複数に分割されているので、分割されたインク供給口24の間に、ヒータ9に電力を供給するための配線を通すことが可能となる。配線を配置するのにインク供給口を迂回しなくても良くなるので、配線を配置するためのスペースを小さくすることができる。また、これによってヒータとインク供給口との距離を近付けることができる。その結果、基板2を小さくでき、記録ヘッド21の製造にかかるコストを低減させることが可能となる。
【0041】
また、記録ヘッドでは、基板2に配置されたヒータ9の駆動によって発生した熱の一部が基板2の中を介して記録ヘッド1の外部に拡散する。しかし、第一実施形態の記録ヘッド1では、吐出口7に対応した位置に配置されているヒータ9が長手方向に連続した長いインク供給口4で挟まれているために、ヒータ9の列の中央部で発生した熱はインク供給口4を迂回して拡散させなければならない。これにより、インク供給口4の長手方向に直交する方向への熱の拡散量は少ない。従って、配列されているヒータ9の両端部の周辺から発せられる熱に関しては、インク供給口4の長手方向に拡散することで冷却されるが、ヒータ9の列の中央部から発せられる熱に関してはあまり拡散されず、中央部の周辺が比較的高温となることがある。
【0042】
これに対して、本実施形態の記録ヘッド21によれば、複数に分割されたインク供給口24の間を通って熱の拡散が可能となり、ヒータ9の列の中央部から発せられる熱もインク供給口24の間を通って記録ヘッド21の外部に放熱されて冷却される。従って、ヒータ9の周囲における基板2上の温度分布の位置による差が小さくなる。その結果、吐出口7の列方向に対して吐出量分布が均一となり、吐出口7ごとの濃度差が小さくなる。従って、記録ヘッド21を用いた記録によって得られる画像での濃度ムラが発生し難くなる。
【0043】
なお、本実施形態では、三列のインク供給口が配置された記録ヘッドについて説明したが、本発明の記録ヘッドはこれに限定されない。外側に位置するインク供給口が吐出口の列が延びている方向に複数に分割されていれば、三列以上のインク供給口が配置された記録ヘッドが用いられても良い。また、分割したインク供給口の分割数を三つとしたが、これに限定されず、四つ以上であっても良く、二つであっても良い。
【0044】
(第三実施形態)
次に、図3(a)、(b)を用いて、第三実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態及び第二実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
図3(a)は、第三実施形態における記録ヘッド31の平面図である。また、図3(b)は、図3(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0046】
上記第一実施形態では、三列のインク供給口の全てが吐出口の列が延びている方向と同じ方向に延び、長手方向の全体に亘って連続して形成されていることとした。また、上記第二実施形態では、複数のインク供給口のうち外側に配置されているものについては複数に分割され、中央部に位置しているものについては長手方向の全体に亘って連続して形成されていることとした。これに対して、第三実施形態の記録ヘッド31では、吐出口の列が延びている方向に対して直交する方向に並べられている複数のインク供給口のうち、全てのインク供給口について、吐出口の列が延びている方向に複数に分割されることとした。
【0047】
これにより、吐出口に対応した位置に配列されているヒータの列の中央部から発せられる熱を、複数に分割されたインク供給口の間の部分を通して熱を拡散することができ、そこから外部に放熱することができるようになる。これにより、さらにヒータの列の中央部周辺の温度上昇を抑えることができるので、ヒータの列の周辺における温度分布の差を小さく抑えることができる。その結果、吐出口ごとのインクの吐出量の差を小さく抑えることができ、得られる画像における濃度の差を小さく抑えることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、三列の分割されたインク供給口が配置された記録ヘッドについて説明したが、本発明の記録ヘッドはこれに限定されない。分割されたインク供給口は四列以上であっても良いし、二列であっても良い。
【0049】
(第四実施形態)
次に、図4(a)、(b)を用いて、第四実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第三実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0050】
図4(a)は、第四実施形態における記録ヘッド41の平面図である。また、図4(b)は、図4(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0051】
上記第一実施形態ないし第三実施形態においては、記録ヘッドにおける吐出口の列が並べられている方向の略全体に亘って形成されている比較的大きなインク供給口が形成されている。これに対して、本実施形態の記録ヘッド41では、共通液室45から外側に向かって延びている流路46が形成されている。そして、複数の流路46の配列の両側に配置されたインク供給口のうち、一方の側のインク供給口24は、共通液室45に連通するように形成されている。また、複数の流路46の配列の両側に配置されたインク供給口のうち、他方の側に形成された流路内インク供給口44は、流路46内に連通するように形成されている。
【0052】
本実施形態では、共通液室45と連通してインク供給口の配列方向に対して直交する方向に延びた流路46が形成されている。そして、流路46に対して連通するように、流路内インク供給口44が形成されている。ここで、共通液室45とインク流路17とが連通した部分を流路連通部49とし、流路内インク供給口44と流路46とが連通した部分を流路内インク供給口連通部47とする。本実施形態では、流路連通部49と、流路内インク供給口連通部47との間の空間に、流路46と連通するように吐出口7が形成されている。そして、流路46と吐出口7とが連通する部分を吐出口連通部48とする。本実施形態では、流路46に連通するように形成された流路内インク供給口44が流路46の外側のほぼ端部で連通しており、吐出口7は、流路46の外側端部よりも内側の部分で流路46と連通している。
【0053】
本実施形態の記録ヘッド41によれば、ヒータ9の駆動によって発生する気泡の成長を妨げない構造とすると共に、流路46と連通した流路内インク供給口44の開口面積を狭く形成することができるようになる。従って、その分基板2の面積を小さくすることができる。これにより、その分記録ヘッド41の製造コストを低減することができる。
【0054】
なお、本実施形態では流路46に連通する流路内インク供給口44と中央部のインク供給口24とによってインクが供給される構成としたが、流路46内部に二つの流路内インク供給口44が連通するように形成されその間に吐出口が形成される構成も考えられる。しかし、特許文献2の構成のように流路46に連通する二つの流路内インク供給口47によって挟まれた吐出口7からインクを吐出することとした場合、高解像度のノズル配置を実現しようとすると、流路内インク供給口47の開口面積が小さくなってしまう。この場合、インクを流路46内部の圧力室14に供給するのに、開口面積が小さく抵抗の大きい流路内インク供給口47を通って供給されなければならず、インクの吐出後圧力室内にインクをリフィルさせるリフィル速度が低下してしまう。これにより、駆動周波数が低下してしまうので、記録ヘッド41によるスループットが低下してしまう。一方、流抵抗を低減するためにインク供給口44の開口面積を大きくするとノズル解像度を低密度化せざるを得ず、ノズルの高密度化と高リフィル周波数の両立が困難であった。
【0055】
そのため、本実施形態のように、吐出口を挟んで形成されるインク供給口は二つ共に流路46に連通するのではなく、そのうち一方が流路46に連通し、他方は共通液室に連通し複数の流路46に沿って比較的大きく形成されている方が好ましい。この構成によってノズルを高密度に配置しながらインクのリフィル時におけるインクの流れる流路の抵抗が大きくならず、リフィル速度の低減を抑えることができる。
【0056】
(第五実施形態)
次に、図5(a)、(b)を用いて、第五実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第四実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図5(a)は、第五実施形態における記録ヘッド51の平面図である。また、図5(b)は、図5(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0058】
上記第三実施形態では、吐出口の列の延びている方向に複数に分割されたインク供給口4が三列形成されている構成に関して説明した。第五実施形態の記録ヘッド51は、三列のインク供給口4に加えて、その両側部の外側に一列ずつ分割されたインク供給口24が共通液室5に連通して形成されている。また、それらのインク供給口24の間には、吐出口7及びそれに対応した位置にヒータ9が配置されている。そして、本実施形態の記録ヘッド51における最も外側に形成されている吐出口7は、径が小さく形成されることで、内側に形成されている吐出口7よりも吐出量が少なくなるように形成されている。異なる吐出量の吐出口が形成されることで、記録の際に吐出される液滴の量を調節することが可能となり、高品位な画像の記録を行うことができる。また、記録の高速化を図ることもできる。
【0059】
このように、本発明の記録ヘッドは、インク供給口は三列に限定されず、四列以上の数であっても良い。また、インク供給口の間に形成される吐出口も二列でなくとも良く、三列以上であっても良い。また、吐出口の大きさも一様でなくとも良く、所望の吐出量に応じて吐出口の大きさを変化させても良い。
【0060】
(第六実施形態)
次に、図6(a)、(b)を用いて、第六実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第五実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0061】
図6(a)は、第六実施形態における記録ヘッド61の平面図である。また、図6(b)は、図6(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0062】
上記第三実施形態では、吐出口の列の延びている方向に複数に分割されたインク供給口4が三列形成されている構成に関して説明した。第六実施形態の記録ヘッド61はこれに加えて、共通液室67の外側の一部に、一旦共通液室67の外側に向かう方向に延び、そこから再び共通液室67に戻るように延びて共通液室67と連通する液体通路としてのインク通路62が形成されている。そして、インク通路62の一部に吐出口65が形成され、インク通路62と吐出口65とが連通する吐出口連通部66がそこに形成されている。吐出口65に対応した位置にはヒータ9が配置されており、そこに圧力室14が形成されている。本実施形態では、インク通路は、共通液室67の外縁の一部に、共通液室67が外側に向かって突出することで凹部63が形成されており、その凹部63の内部に隔壁64が配置されることで、凹部63の内部にインク通路62が形成されている。
【0063】
本実施形態の記録ヘッド61によれば、気泡の成長が制限されないようにするために圧力室14の外側にインク供給口を形成しなくても良いので、その分記録ヘッド61が拡大されなくても良い。従って、記録ヘッド61における基板の大型化を抑えることができるので、記録ヘッド61における製造コストを抑えることができる。
【0064】
また、本実施形態の記録ヘッド61では、インク通路62に形成された最も外側の吐出口65が、インク供給口24の間に形成された内側の吐出口列における吐出口7よりも径が小さく形成され、外側の吐出口65から吐出される吐出量が少なく形成されている。これにより、記録の際に吐出される液滴の量を調節することが可能となり、高品位な画像の記録を行うことができる。また、記録の高速化を図ることもできる。
【0065】
(第七実施形態)
次に、図7(a)、(b)を用いて、第七実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第六実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
図7(a)は、第七実施形態における記録ヘッド71の平面図である。また、図7(b)は、図7(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0067】
上記第三実施形態では、吐出口の列の延びている方向に複数に分割されたインク供給口4が三列形成されている構成に関して説明した。第七実施形態の記録ヘッド71はこれに加えて、複数の吐出口72は、吐出量の異なる大吐出量吐出口73と、大吐出量吐出口73よりも吐出される液体の吐出量が相対的に小さく形成されている小吐出量吐出口74とを有して形成されている。そして、それらの大吐出量吐出口73と小吐出量吐出口74とが列の延びている方向に交互に配列されているように形成されている。従って、本実施形態の記録ヘッド71によれば、吐出口を増加させずに記録の際に吐出される液滴の量を調節することが可能となり、記録ヘッドを大型化せずに低コストに高品位な画像の記録を行うことができる。また、記録の高速化を図ることもできる。
【0068】
(第八実施形態)
次に、図8(a)、(b)を用いて、第八実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第七実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0069】
図8(a)は、第八実施形態における記録ヘッド81の平面図である。また、図8(b)は、図8(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0070】
上記第三実施形態では、吐出口の列の延びている方向に複数に分割されたインク供給口4が三列形成されている構成に関して説明した。第八実施形態の記録ヘッド81は、これに加えて、オリフィスプレート3と基板2との間に、共通液室5から基板2の外周方向に向かって延在する液体通路としてのインク通路82が基板2の外周部に形成されている。そして、インク通路82の外側の端部に近接した位置でインク通路82に連通するようにオリフィスプレートに液体通路内吐出口としてのインク通路内吐出口83が形成されている。基板2には、インク通路内吐出口83に面するように、液体通路内吐出エネルギー発生素子としてのインク通路内ヒータ89が配置されている。
【0071】
本実施形態では、共通液室5の外側に突出して延びたインク流路82が形成され、インク流路82の最も外側の端部にインク通路内吐出口83が形成されている。また、インク通路内吐出口83に対応した位置にはインク通路内ヒータ89が配置されており、これによって、インク通路82の最も外側の端部に圧力室14が形成されている。基板2の外周部に形成された圧力室14は、インク流路82の最も外側の端部に形成されているので、インク流路82が圧力室14に接続されている接続部を除いて、三方がインク流路82を画成する壁面によって囲まれた構成となっている。そして、インク通路82の最も外側には、インク供給口24に挟まれている内側の吐出口7よりも径が小さい小吐出量吐出口としてのインク通路内吐出口83が形成されている。このように、インク通路82内に形成されたインク通路内吐出口83によるインクの吐出量が、インク供給口の間に形成されている内側の吐出口7よりも少なくなるように設定されている。
【0072】
本発明は、共通液室5におけるインク供給口に連通した部分の間にインク流路が形成され、そこで吐出口と連通することでヒータによって発生される気泡の成長を制限することなくインクを吐出するものである。ところが、本実施形態で外側に配置されているインク通路内吐出口83は、インク通路82の最も外側の端部に形成されており、インク通路82の外側端部の壁面によってヒータにより発生された気泡の成長が制限されることが考えられる。しかしながら、径が小さく形成され、吐出量が小さく設定されているインク通路内吐出口83は、比較的吐出量の多い内側の吐出口7よりも、気泡の成長が制限されることに対する液滴への影響が小さい。このように、吐出量の少ない吐出口では、気泡の成長が妨げられることによる影響が小さいので、インク通路の端部にヒータ及び吐出口が形成されても良い。吐出口から吐出されるインクの吐出量に応じて、吐出口が、インク供給口の間に形成されたり、インク流路の端部に形成されたりしても良い。
【0073】
本実施形態のように、最も外側に形成されている吐出口をインク通路82の端部に形成することで、最も外側の吐出口の外側にインク供給口が形成されなくても良いので、基板2の大型化を抑えることができ、記録ヘッドの製造コストを抑えることができる。
【0074】
(第九実施形態)
次に、図9(a)、(b)を用いて、第九実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第八実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0075】
図9(a)は、第九実施形態における記録ヘッド91の平面図である。また、図9(b)は、図9(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0076】
上記第八実施形態における記録ヘッドは、共通液室5の外側に同じ長さだけ突出したインク通路が形成され、そのインク通路の外側の端部に吐出口が形成されることとした。これに加えて本実施形態の記録ヘッド91では、インク通路内吐出口が、吐出される液体の吐出量の異なる複数種類のインク通路内吐出口を有することとした。具体的には、共通液室5の外側に突出した長さの異なる複数のインク通路92が千鳥状に形成され、このインク流路92の最も外側の端部には、吐出口が形成されている。そして、突出した長さの短い短インク通路93の最も外側の端部には、記録ヘッド91の中で最も径の小さい小吐出量吐出口94が形成されている。そして、突出した長さの長い長インク流路95の最も外側の端部には、小吐出量吐出口94よりも径が大きく、内側のインク供給口24に挟まれて形成されている吐出口である大吐出量吐出口96よりも径が小さく形成された中吐出量吐出口97が形成されている。このように、インク吐出量の異なる複数種類の吐出口が形成されることで、記録の際に吐出される液滴の量をより細かく調節することが可能となり、さらに高品位な画像の記録を行うことができる。また、さらなる記録の高速化を図ることもできる。
【0077】
また、吐出口を千鳥状に配列することで、吐出口の密度を高く保ったまま複数種類の吐出量の吐出口を形成しているので、画像の品質を高めるに際して基板2の大型化を抑えることができ、記録ヘッドの製造コストを抑えることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、吐出口から吐出されるインクの吐出量に応じて径の異なる三種類の吐出口が形成されることとしたが、吐出口の種類は三種類に限定されず、四種類以上であっても良い。また、それに応じてインク流路の長さを変化させても良い。
【0079】
(第十実施形態)
次に、図10(a)、(b)を用いて、第十実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第九実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
図10(a)は、第十実施形態における記録ヘッド101の平面図である。また、図10(b)は、図10(a)に示されるA−A’線に沿う断面図である。
【0081】
上記第七実施形態における記録ヘッドは、吐出口が、径の大きく形成された大吐出量吐出口と、径の小さく形成されて小吐出量吐出口とを有しており、それらが列の延びている方向に交互に配置されて形成されていることとした。これらの大吐出量吐出口及び小吐出量吐出口は、隔壁によってそれらの間を区画され、隔壁によって挟まれて区画された空間が圧力室として作用している。これに加えて本実施形態の記録ヘッド101では、複数の吐出口にそれぞれ対応した複数の流路17のうち、一部の流路が、流路の一方の側が塞がれて三方が囲まれるように画成された片側供給液体流路としての片側供給インク流路104であることとした。そして、片側供給インク流路104に連通するように、片側供給液体流路内吐出口としての片側供給インク流路内吐出口102が形成されている。本実施形態では、片側供給インク流路104内に形成された片側供給インク流路内吐出口102は、両側が開放されて両方向にインクの流通可能な流路17内に形成されている吐出口7とは、吐出されるインクの吐出量が異なる。本実施形態では、片側供給インク流路内吐出口102は、流路17内に形成されている吐出口7よりも径が小さく、吐出されるインクの吐出量が少なく設定されている。片側供給インク流路104では、片側供給インク流路内吐出口102を挟む隔壁103の一方の側の端部を連結すし、これによって片側供給インク流路内吐出口102の外側の三方が隔壁103によって囲まれている。
【0082】
上述したように、吐出量の小さい吐出口では、ヒータの駆動によって発生される気泡の成長が妨げられることへの影響が小さい。従って、本実施形態における片側供給インク流路内吐出口102の三方が隔壁103によって囲まれることとしても、インクが吐出されることで得られる画像の品質の低下は少なく、サテライトの発生は許容範囲内に収まることになる。また、隔壁103が片側供給インク流路内吐出口102の一方の側の端部で連結されることにより、基板2とオリフィスプレート3との間で隔壁103を介して接着される接着面積を増加させることができる。また、隔壁103が基板2とオリフィスプレート3との間でそれらを支持する支持面積を増加させることができる。これにより、オリフィスプレート3が基板2から離間することを抑えることができる。また、これらの間に比較的大きな空間である共通液室5が画成されていることにより、比較的強度の低い部分を隔壁103によって支持することで強度を向上させることができ、記録ヘッド101の信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0083】
1、21、31、41、51、61、71、81、91、101 記録ヘッド
2 基板
3 オリフィスプレート
4、24 インク供給口
5、45、67 共通液室
6 インク供給口連通部
7 吐出口
8 吐出口連通部
9 ヒータ
62 インク通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子が所定の方向に配列されるエネルギー発生素子列と、複数の前記エネルギー発生素子列に液体を供給する貫通孔からなる複数の供給口が前記エネルギー発生素子列に沿って配列される供給口列と、前記エネルギー発生素子列に電力を供給するための配線と、が形成される基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記供給口列に含まれる互いに隣接する前記供給口の間に前記配線が形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記エネルギー発生素子列に含まれる複数の前記エネルギー発生素子の数よりも、前記供給口列に含まれる複数の前記供給口の数が少ない、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記エネルギー発生素子列と前記複数の供給口列とが前記所定の方向と交差する方向に交互に配されている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
交互に配される前記エネルギー発生素子列と前記複数の供給口列とにおいて、前記交差する方向に関する両端部側には前記供給口列が配されている、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
交互に配される前記エネルギー発生素子列と前記複数の供給口列とにおいて、前記交差する方向に関する両端部側には前記エネルギー発生素子列が配されている、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記エネルギー発生素子列における互いに隣接する前記エネルギー発生素子の間には壁部材が形成されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記エネルギー発生素子列と前記供給口列との間に複数の柱状部材が形成されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子が所定の方向に配列されるエネルギー発生素子列と、複数の前記エネルギー発生素子列に液体を供給する貫通孔からなる複数の供給口が前記エネルギー発生素子列に沿って配列される供給口列と、前記エネルギー発生素子列に電力を供給するための配線と、が形成される基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記所定方向と交差する方向に関して、前記エネルギー発生素子列に対する一方の側に第1の供給口列が形成され、前記エネルギー発生素子列に対する前記一方の側と反対の他方に側に第2の供給口列が形成され、
前記配線は、前記第1の供給口列に含まれる互いに隣接する前記供給口の間に形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記エネルギー発生素子列に含まれる複数の前記エネルギー発生素子の数よりも、前記第1の供給口列に含まれる複数の前記供給口の数が少ない、請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記エネルギー発生素子列に含まれる複数の前記エネルギー発生素子の数よりも、前記第2の供給口列に含まれる複数の前記供給口の数が少ない、請求項8または9に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記エネルギー発生素子列に含まれる複数の前記エネルギー発生素子と前記第1の供給口列に含まれる前記供給口とを連通する第1の流路と、複数の前記エネルギー発生素子と前記第2の供給口列に含まれる前記供給口とを連通する第2の流路とを有する、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記エネルギー発生素子列における互いに隣接する前記エネルギー発生素子の間には壁部材が形成されている、請求項8ないし11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項1】
液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子が所定の方向に配列されるエネルギー発生素子列と、複数の前記エネルギー発生素子列に液体を供給する貫通孔からなる複数の供給口が前記エネルギー発生素子列に沿って配列される供給口列と、前記エネルギー発生素子列に電力を供給するための配線と、が形成される基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記供給口列に含まれる互いに隣接する前記供給口の間に前記配線が形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記エネルギー発生素子列に含まれる複数の前記エネルギー発生素子の数よりも、前記供給口列に含まれる複数の前記供給口の数が少ない、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記エネルギー発生素子列と前記複数の供給口列とが前記所定の方向と交差する方向に交互に配されている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
交互に配される前記エネルギー発生素子列と前記複数の供給口列とにおいて、前記交差する方向に関する両端部側には前記供給口列が配されている、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
交互に配される前記エネルギー発生素子列と前記複数の供給口列とにおいて、前記交差する方向に関する両端部側には前記エネルギー発生素子列が配されている、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記エネルギー発生素子列における互いに隣接する前記エネルギー発生素子の間には壁部材が形成されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記エネルギー発生素子列と前記供給口列との間に複数の柱状部材が形成されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子が所定の方向に配列されるエネルギー発生素子列と、複数の前記エネルギー発生素子列に液体を供給する貫通孔からなる複数の供給口が前記エネルギー発生素子列に沿って配列される供給口列と、前記エネルギー発生素子列に電力を供給するための配線と、が形成される基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記所定方向と交差する方向に関して、前記エネルギー発生素子列に対する一方の側に第1の供給口列が形成され、前記エネルギー発生素子列に対する前記一方の側と反対の他方に側に第2の供給口列が形成され、
前記配線は、前記第1の供給口列に含まれる互いに隣接する前記供給口の間に形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記エネルギー発生素子列に含まれる複数の前記エネルギー発生素子の数よりも、前記第1の供給口列に含まれる複数の前記供給口の数が少ない、請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記エネルギー発生素子列に含まれる複数の前記エネルギー発生素子の数よりも、前記第2の供給口列に含まれる複数の前記供給口の数が少ない、請求項8または9に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記エネルギー発生素子列に含まれる複数の前記エネルギー発生素子と前記第1の供給口列に含まれる前記供給口とを連通する第1の流路と、複数の前記エネルギー発生素子と前記第2の供給口列に含まれる前記供給口とを連通する第2の流路とを有する、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記エネルギー発生素子列における互いに隣接する前記エネルギー発生素子の間には壁部材が形成されている、請求項8ないし11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−206524(P2012−206524A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173133(P2012−173133)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2007−205909(P2007−205909)の分割
【原出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2007−205909(P2007−205909)の分割
【原出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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