液体吐出装置及びこれを備えた画像形成装置
【課題】簡易な構成でヘッドタンク内の負圧を適正範囲に維持できると共に、ヘッドタンクからの排気が容易な液体吐出装置の提供。
【解決手段】ノズルを有し、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッド1と、液体を収容し、下部が液体吐出ヘッド1に連通しているヘッドタンク101と、ヘッドタンク101に液体を給送する給送手段16とを備えた液体吐出装置であって、ヘッドタンク101中の空気を、貯留するシール液63を介して大気中に排出する空気排出容器60と、一端をヘッドタンク101上部の空気層と連通し、他端を空気排出容器60中のシール液63に連通する空気排出管112と、を備える液体吐出装置。
【解決手段】ノズルを有し、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッド1と、液体を収容し、下部が液体吐出ヘッド1に連通しているヘッドタンク101と、ヘッドタンク101に液体を給送する給送手段16とを備えた液体吐出装置であって、ヘッドタンク101中の空気を、貯留するシール液63を介して大気中に排出する空気排出容器60と、一端をヘッドタンク101上部の空気層と連通し、他端を空気排出容器60中のシール液63に連通する空気排出管112と、を備える液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを用いた液体吐出装置は、プリンタ、コピア、FAX等の画像形成装置に多く用いられている。また、インク以外の液体、例えばDNA試料やレジスト、パターン材料などを吐出する液体吐出装置、或いはこれらを備える画像形成装置なども知られている。
【0003】
オンデマンド型のインクジェット(IJ)記録装置用の液体吐出装置には、インクを充填した液室の壁の一部に振動板を設け、圧電アクチュエータ等により振動板を変位させ液室内の体積を変化させて圧力を高めインクを吐出する方式や、液室内に通電によって発熱する発熱体を設けて、発熱体の発熱により生じる空気によって液室内の圧力を高め、インクを吐出するものが広く知られている。近年ではIJプリンタの低価格化、高画質化、一般家庭へのパソコンの普及などによりIJプリンタが様々な用途で数多く使用されている。
【0004】
IJプリンタにおける大きな技術課題の一つとして高速化がある。通常、ノズル数、ヘッド数の増加などが行われると共に、大量の印字を安定して行なうためにヘッド上部にヘッドタンク(サブタンクとも言う)を設け、インクをスムーズにヘッドに供給する形態とすることが行なわれている。ヘッドタンクには、樹脂チューブを用いてインクカートリッジからインクが供給される構成にされることが多いが、ヘッドタンクの容積を常に100%インクで満たすことは困難でヘッドタンク内の上部に空気層が形成される。ヘッドタンク内の空気の量は、樹脂チューブやヘッドタンク壁面からの透気やインクカートリッジの脱着時に混入する空気によって経時的に増加する傾向がある。ヘッドタンク内の空気の量が少量であれば何の問題もないが、多くなり過ぎると温度変化に対する空気の体積変化量が大きくなり、ある範囲内の負圧に維持されるべきのヘッドタンク内圧が許容範囲外となりヘッドからインクが染み出してきたり、正常に吐出しなくなったりする。また、ヘッドタンク内の空気が多いと、ヘッド内にインクと一緒に空気が混入してインクが吐出しなくなったりする不具合も生じる。
【0005】
そこで、ヘッドタンク内の圧力を一定の負圧に保つと同時に、空気が所定量以上にならないようにする技術が検討されてきている。例えば、特許文献1には、ヘッドタンク(サブタンク)からヘッドに空気排出経路を設けてヘッドのノズル面に吸引キャップを密着させてインクと一緒に空気を排出する発明が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ヘッドタンク(サブタンク)内の上部に逆止弁を設け、適宜逆止弁部に排気装置を接続してヘッドタンク内の空気を排出する発明が開示されている。
【0007】
特許文献3には、サブタンク内の空気層に接続した排気チューブを、2室構成で一方が大気開放された液体タンクに連通させて負圧を安定する構成とし、排気チューブの途中を分岐させ、弁とポンプによりサブタンク内の空気を排出する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2000−301732号公報
【特許文献2】特開平11−320901号公報
【特許文献3】特開2002−240310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、プリンタを始めとする広範な分野で使用されている液体吐出装置は、構造が簡単で、故障し難く、安価に製造できることが求められている。この点、特許文献1に開示されている発明は、空気排出経路としての細管をヘッド内に設けノズル面から吸引する方式であるので、細管が詰まると吸引できないという問題がある。顔料インクを使用して画像形成する場合には、インクが増粘しやすいので空気排出不良となりやすく、安定した性能を得ることができない恐れがある。
【0009】
特許文献2に開示されている発明は、逆止弁でのリークが許容されないので、シール信頼性の高い逆止弁をサブタンクに設ける必要があり、構造が複雑で高価になりやすい。
【0010】
特許文献3に開示されている発明は、排気チューブに接続した弁とポンプからリークがあるとサブタンク内の負圧が破壊されてしまうので、やはり、高信頼性の弁やポンプ装置が必要となり、低価格のプリンタに搭載することができない。
【0011】
本発明の目的は、上記問題点を踏まえ、簡易な構成でヘッドタンク内の負圧を適正範囲に維持できると共に、ヘッドタンクからの排気が容易な液体吐出装置、及びこれを利用した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を収容し、下部が前記液体吐出ヘッドに連通しているヘッドタンクと、前記ヘッドタンクに前記液体を給送する給送手段とを備えた液体吐出装置であって、前記ヘッドタンク中の空気を、貯留するシール液を介して大気中に排出する空気排出容器と、一端が前記ヘッドタンク上部の空気層に開口し、他端が前記空気排出容器中のシール液中に開口する空気排出管と、を備えることを特徴とする液体吐出装置である。
【0013】
本発明により、簡易な構成でヘッドタンク内の負圧を適正範囲に維持できる共に空気排出が容易とし、安定した液体の供給を行える液体吐出装置を提供することができる。
【0014】
好ましい本発明は、前記空気排出容器の上部は、大気中に開放されていることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0015】
本発明により、ヘッドタンクに液体を給送する給送手段の制御のみでヘッドタンクからの空気排出を容易に行る液体吐出装置を提供することができる。
【0016】
好ましい本発明は、前記空気排出容器の上部は、多孔質体を介して大気中に開放されていることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0017】
本発明により、空気排出機能を損ねずにシール液の外部への漏洩や乾燥、蒸発、ゴミ混入を防止して品質を維持し、安定した液体の供給を行える液体吐出装置を提供することができる。
【0018】
好ましい本発明は、前記シール液は、前記液体よりも粘度又は密度が大きいことを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0019】
本発明により、空気排出容器中のシール液のヘッドタンクへの逆流を簡単に防ぎ、ヘッドタンク内の液体の品質を安定に保つ液体吐出装置を提供することができる。
【0020】
好ましい本発明は、前記シール液は、不揮発性又は低揮発性液体であることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0021】
本発明により、長期に安定してシール液の貯留を維持でき、安定したヘッドタンクの動作を維持できる液体吐出装置を提供することができる。
【0022】
好ましい本発明は、前記ヘッドタンクは、少なくとも一部の面が可とう性フィルムで形成され、前記ヘッドタンクの容積を増加させる方向に前記可とう性フィルムを付勢する弾性部材を備えていることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0023】
本発明により、可とう性フィルムと弾性部材でヘッドタンクに簡易に安定した負圧を形成させることができると共に、ヘッドタンクに液体を給送する給送手段の制御により、ヘッドタンクの負圧調整と空気排出を容易に行える液体吐出装置を提供することができる。
【0024】
好ましい本発明は、前記給送手段は、大気開放自在なバッファータンクに接続されていることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0025】
本発明により、バッファータンクを用いて水頭差により簡易に安定した負圧を形成、維持できると共に、ヘッドタンクに液体を給送する給送手段の制御とバッファータンクの大気開放制御により、ヘッドタンクの負圧調整と空気排出を容易に行える液体吐出装置を提供することができる。
【0026】
好ましい本発明は、前記空気排出管の他端は、前記空気排出容器の底部に開口してシール液に連通していることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0027】
本発明により、空気排出管の開口部は空気排出容器の底部に設けられるので、空気排出管はシール液中に開口し、ヘッドタンクはシール液により確実に大気と遮断される液体吐出装置を提供することができる。
【0028】
好ましい本発明は、前記空気排出管は、前記空気排出容器中のシール液が前記ヘッドタンク中に流入することを防ぐ逆流防止手段を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0029】
本発明により、空気排出容器中の液体シール液は逆流防止手段によりヘッドタンクへの逆流を起こさず、ヘッドタンク内の液体の品質低下を防ぐ液体吐出装置を提供することができる。
【0030】
好ましい本発明は、前記空気排出管は、前記シール液の液面よりも高い位置に拡張部を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0031】
本発明により、簡易な逆流防止手段を有する液体吐出装置を提供することができる。
【0032】
好ましい本発明は、前記空気排出管は、前記シール液との連通部近傍に収縮部を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0033】
本発明により、簡易な逆流防止手段を有する液体吐出装置を提供することができる。
【0034】
好ましい本発明は、前記空気排出管は、前記空気排出容器中のシール液が前記ヘッドタンク中に流入することを防ぐ逆止弁を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0035】
本発明により、確実で簡易な逆流防止手段を有する液体吐出装置を提供することができる。
【0036】
好ましい本発明は、前記ヘッドタンクは、前記液体の液位を検知する液位検知手段を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0037】
本発明により、ヘッドタンクの液面を適正な位置に維持することができ、ヘッドタンクの負圧制御及び空気排出が容易な液体吐出装置を提供することができる。
【0038】
本発明は、前記液体吐出装置を備えた画像形成装置である。
【0039】
本発明により、それぞれ上記特徴を有する液体吐出装置備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、簡易な構成でヘッドタンク内の負圧を適正範囲に維持できると共に、ヘッドタンクからの排気が容易な液体吐出装置、及びこれを利用した画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(実施形態1)
本発明の一実施形態を、図1〜3を参照しながら説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略構成図であり、本発明の液体吐出装置を搭載している。図1(a)は正面図、図1(b)は画像形成部の側面図、図1(c)は平面図である。この画像形成装置は、液体としてインクを用いるインクジェットプリンタの一例である。このインクジェットプリンタは、左右の側板123L、123Rに横架したガイド部材であるガイドロッド122とガイドレールとでキャリッジ120を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド122の長手方向(主走査方向)に走査することができる。このキャリッジ120には、例えば、イエロー(Y)、シアン(c)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド1を、複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0042】
キャリッジ120の下方には、画像が形成される用紙8が主走査方向と垂直方向(副走査方向)に搬送される。図1(b)に示すように、用紙8は、搬送ローラ125と押えコロ126で挟持されて印字部に搬送され、用紙ガイド部128に送られる。主走査方向へのキャリッジ120の走査と、記録ヘッド1からのインク吐出を画像データに即して適切なタイミングで同調させ、用紙8に1バンド分の画像を形成する。1バンド分の画像形成が完了した後、副走査方向に用紙を所定量送り、前述と同様の記録動作を行う。これらの動作を繰り返し行い、1ページ分の画像形成を行なう。一方で、記録ヘッド1の上部には、吐出するインクを一時的に収容するためのインク室が形成された、ヘッドタンク101が記録ヘッド1と一体的に接続されている。ここで言う一体的とは、記録ヘッド1とヘッドタンク101がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジ120に搭載されレいるという意味である。
【0043】
インク室には、液体供給チューブ16が接続され、インクカートリッジ76と連通している。ヘッドタンク101の構成を図2に示す。図2(a)は、ヘッドタンク101の正面図(断面図)、図2(b)はヘッドタンク101の側面図(断面図)である。なお、どちらの図も理解を助けるために適宜部品の記載を省略したり、部分的に概念図としたりしている。ヘッドタンク101の内部には、記録ヘッド1との接続部の近傍にフィルタ109が設けられ、インクをろ過して異物などを除去したインクを記録ヘッド1に供給する形態となっている。
【0044】
ヘッドタンク101の一壁面には凸状に成型された可撓性のフィルム部材107が設けられ、ばね108によってヘッドタンク101の容積を拡大する方向に付勢されている。フィルム部材107にはフィラー106が接触して設けられ、フィラー106の位置をフォトセンサなどで検出することにより、フィルム部材107の変形状態や、ヘッドタンク101内のインクの量を検知できる構成としている。
【0045】
ヘッドタンク101の上部には、インク液面の検知によりヘッドタンク101内空気量を検知する空気量検知センサ103と、ヘッドタンク101内の圧力を検知する圧力センサ104が設けられている。図2に示したヘッドタンク101では、空気量検知センサ103は液面計であり、その測定部が異なる位置に設けられて、複数の液面状態を検知することができるようになっている。
【0046】
ヘッドタンク101には、インク供給ポート110と排気ポート111が設けられ、インク供給ポート110には液体供給チューブ16、排気ポート111には排気チューブ112が接続される。液体供給チューブ16の他端は、本体据え置きのカートリッジホルダ77に接続され、カートリッジホルダ77内の図示しない管路、ポンプを介して、インクカートリッジ76と連通している。排気チューブ112の他端は、本体据え置きの空気排出容器としての排気タンク60の内部に蓄えられた、高粘度のシール液63中に開口している。
【0047】
本プリンタのインク供給、及びヘッドタンク101内からの空気排出等について、図3も参照にして説明する。図3は、本発明の液体吐出装置におけるヘッドタンク101へのインク充填の工程を説明している。図3(a)はヘッドタンク101にインクが充填される前の図である。図3(b)は、ヘッドタンク101にインクが充填されている状態を表す図である。図3(c)ヘッドタンク101にインクが充填され終わった状態を表す図である。図3(a)のようにヘッドタンク101及び記録ヘッド1のいずれにもインクが入っていない状態でポンプ78を駆動すると、インクカートリッジ76内のインクはフィルタ75でろ過され、液体供給チューブ16、インク供給ポート110を経由してヘッドタンク101内部に流れる。この時、もともとヘッドタンク101内にあった空気は排気ポート111を経由して排気チューブ112から排出される。
【0048】
インク充填初期は記録ヘッド1のノズルからも空気が押し出されるが、インクでヘッドタンク101内のフィルタ109が濡れてしまうと、フィルタ109は目が細かくメニスカス保持力が大きいため空気が通過しにくくなり、ヘッドタンク101内の空気はほとんど排気チューブ112経由で排気されるようになる。排気チューブ112の他端は、排気タンク60の中に貯留された高粘度のシール液に浸漬されているので、ポンプ78の圧力によって押し出された空気は、シール液中に一旦放出され、排気タンク60上部の排気部62から外部に排出される。
【0049】
ヘッドタンク101内のインクの液面が上昇し、図3(b)に示す状態を経て、図3(c)に示すような状態になると、空気量検知センサ103がインクの液位を検知し、ポンプ78を停止する。本実施形態では空気量検知センサ103としては電極対からなる液面センサを採用している。これは、電極対の間の抵抗値を検出するものであり、空気とインクで体積低効率が異なることで、インク液位を検知する。本実施形態では図3に示すように2つの異なる深さに空気量検知センサ103aと103bが設けられている。したがって、まず図3(b)に示す位置までインク液面が上昇して、深い位置に設けられた空気量検知センサ103aの電極間抵抗が下がり液面を検知する。この時点でポンプ78を停止させれば比較的ヘッドタンク内に多く空気層を形成した状態とすることができるが、本実施形態では、空気量検知センサ103aの位置ではポンプを止めずに、更にインク液位が上がって、図3(c)に示すように、空気量検知センサ103bにインク液面が触れた時点でポンプ78を止める。この状態では、ヘッドタンク101内には、インク層と空気層が形成されるが、インク液面は排気ポート111よりも下の位置に形成されるようにしている。
【0050】
次に、図3(c)に示すように、キャップ83で記録ヘッド1のノズル面を密閉し、キャップに接続したポンプ84によってキャップ内の空気を吸引する。これにより、ヘッドタンク101内のインクが記録ヘッド1内に充填されると共に、ヘッドタンク101内のインクが吸引により外部に排出された分ヘッドタンク101の内容積が減少し、フィルム部材107がタンク内側に変形する。この時、フィルム部材107をばね108が押圧して、もとの状態に押し戻そうとするので、ヘッドタンク101内に負圧が形成される。本実施形態では、ヘッドタンク101内の圧力を圧力センサ104で検知できるので、所望の圧力(例えば、−20mmaq)となるようにキャップ吸引を制御することができる。圧力センサ104がない場合でも、予めインクの吸引量やポンプ駆動時間等の別の制御パラメータと負圧の関係が把握できていれば、負圧を直接検知する代わりに別の制御パラメータをもとに吸引を行い、負圧形成することもできる。
【0051】
ポンプ84によるインク吸引時には、排気チューブ112からヘッドタンク101に空気を逆流させる圧力がヘッドタンク内に形成されることになるが、排気チューブ112から空気を逆流させるには、排気タンク60内のシール液63を排気チューブ112で吸い上げることが条件となる。したがって、排気チューブ112を空気を排出する機能を損ねない程度に細くすれば、シール液63を吸い上げずにヘッドタンク101内のインクを排出することができる。記録ヘッド1のノズルからインクを吸引する際に、排気チューブ112からの逆流を防止するには、排気チューブ112を細くする以外の方法としては、高粘度液体の粘度や比重を大きくすることも有効である。また、排気チューブ112の一部を排気タンク60内のシール液63の液面より十分高くして、シール液63が逆流するための水頭差を大きくしてもよい。
【0052】
インクジェットプリンタでは、インクを供給する配管部材やタンク部材に樹脂材料が多く用いられる。特に、本実施形態のようにキャリッジ120にヘッドタンク101を搭載し、本体据え置きのインクカートリッジ76から液体供給チューブ16を用いてインク供給するような構成の場合、樹脂チューブや樹脂フィルムを薄い材料とすることが一般的である。その場合、薄い肉厚の樹脂チューブや樹脂フィルムを通して、インクと外気とで水分や空気の行き来が行なわれ、その結果、時間の経過と共に図3(c)に示すような、ヘッドタンク101内のインク液面が空気量検知センサ103bの位置から、図3(b)に示すような、空気量検知センサ103aの位置に変化することがある。ある程度のインク液面の変化はプリンタの機能を損ねないが、インク液面が下がりすぎて、空気層が多くなり過ぎると、温度変化に対するヘッドタンク101内の空気層容積の変化が大きくなり、適正負圧を維持できなくなったり、記録ヘッド1に空気が混入してインクの吐出不良となったりする。
【0053】
本実施形態では、ヘッドタンク101へのインク充填時に、液位が所定値に達したことを検知する空気量検知センサ103bの他に、それよりも低い位置の液位を検知する空気量検知センサ103aを設けているので、その位置をヘッドタンク101内に許容できる最大量の空気がある場合の水位に設定しておき、空気量検知センサ103aよりも水位が下がった時にヘッドタンク101内の空気を排出する制御を行なえばよい。具体的には空気量検知センサ103aの電極対間の抵抗が上がったらポンプ78を駆動し、インクカートリッジ76からインクを送ることで、ヘッドタンク101から空気を、排気チューブ112をとおして排気する。
【0054】
排気チューブ112は細いチューブとし、空気は抵抗少なく滑らかに流れ、排気タンク60内の高粘度のシール液中に排出する。排気中は、ヘッドタンク101内は正圧になるが、記録ヘッド1の中の流路は微細であるため、フィルタ109と流路の流体抵抗が高く、記録ヘッド1のノズルから染み出すインク量は少ない。また、排気中は、吸引キャップ83で記録ヘッド1のノズル面を密閉状態にしておけば、更にノズルからのインクの染み出し量を少なくすることができる。ヘッドタンク101内の空気が排出され、インク液位が空気量検知センサ103bの位置まで上昇したら、ポンプ78を停止する。その後、前述の初期充填時と同様にキャップ吸引により負圧を調整すれば、図3(c)に示すように、ヘッドタンク101内の正常な液位までインクを満たし、かつ適正な負圧状態とし、記録ヘッド1からインクを吐出して画像を形成することができる。
【0055】
本発明におけるシール液63としては、前述したようにインクよりも粘度や比重が大きい以外に不揮発性、又は低揮発性であることが好ましい。排気タンク60は、上部の排気部62は大気と常に連通しているので、揮発性の高い液体では不適である。なお、不揮発性、又は低揮発性とは、同じような意味であり、液体吐出装置の通常の使用状態において、シール液が蒸発して減量し、液体吐出装置の使用に支障を来さない程度の蒸気圧以下であることをいう。このような点からシール液63としては、油類やインクの湿潤剤として一般的に良く使用されるエチレングリコールやグリセリンなどの溶剤が適している。このような溶剤をインクに多く含有させ、通常のインクと組成比を変えた液体を用いることもできる。このように仮にインクに混入しても、インクジェットプリンタの印刷に支障を来しにくいシール液63を用いることも好ましい。
【0056】
シール液63の蒸発をより低減するには、図3に示すように、排気タンク60のシール液貯留部61の開口部を狭くするようなことも有効である。また、シール液63は、一種類の液体である必要はなく、相溶性のない複数種類の液体を用いて構成することもできる。例えば、お互い溶け合わない液体Aと液体Bがあり、液体Aには比重が重く粘度が大きい特性があり、液体Bには比重が軽く揮発性の小さい特性があれば、廃液タンク60内で下層に液体A、上層に液体Bが重なった2層状態で貯留されるので、液体Aには揮発性を許容でき、液体Bには低粘度であることを許容でき、使用できる液体の幅を広げることができる。
【0057】
(実施形態2)
図4、5を参照して、本発明の画像形成装置に適用可能な別の液体吐出装置の実施形態について説明する。図4に示す液体吐出装置のヘッドタンク80は、先の実施形態の図1〜3において示した液体吐出装置のヘッドタンク101から、圧力センサ104、ばね108、フィラー106を除去し、小型軽量化したものである。また、インクカートリッジ81は、上部に大気開放口79が設けられている。図2に示したヘッドタンク101においては、一部の壁面をフィルム部材107で形成して容積が可変な構造とし、ばね108で容積を拡充するように付勢して負圧を得たが、本実施形態では図4に示すように、大気開放されたインクカートリッジ81とヘッドタンク80とを液体供給チューブ16で連結し、インクカートリッジ81内の液面と記録ヘッド1のノズル面の水頭差hで負圧を得るようにしている。
【0058】
ヘッドタンク80上部の空気層は排気チューブ112を介して排気タンク60に連通しており、本実施形態の排気タンク60には、液体貯留部61の底面部と上面部に設けられるチューブ接続部66とをつなぐ管路67が設けられる。また管路67には、液体貯留部61との接続部近傍に管路断面が小さくなった収縮部64が設けられる。さらに、管路67のチューブ接続部66近傍には、液体貯留部61内のシール液63の液面よりも高い位置に管路断面が大きくなった拡張部65が設けられている。液体貯留部61には、上部に空気層82を残してグリセリンなどの高粘度のシール液63が入れられ保持されている。更に、液体貯留部61上部にはポンプ88が接続され、空気層82に連通して排気可能な構成としている。
【0059】
図5(a)は、図4に示す液体吐出装置へのインク供給動作を示す説明図であり、図4(a)はヘッドタンク80へのインク供給前、図4(b)はインク供給後の状態を表す。図4(a)の状態では、排気タンク60の管路67内にもシール液63が入っている。この状態からノズル面にキャップ83を密着させ、ノズル面とキャップ83の間を密閉状態にして、ポンプ88を駆動して、排気タンク60の空気層82が負圧になるように排気する。そうすると、、管路67内のシール液63は液体貯留部61側に吸引され液体貯留部61でのシール液63の液面を徐々に上昇する。シール液63の管路67内の液面が収縮部64を通過し、液体貯留部61の底面との接続部に達すると、シール液63に引かれてきた空気が気泡となり、シール液63中を浮上し空気層82、ポンプ88を経て外部に排気される。この状態では液体貯留部61内のシール液63の液面上昇は停止しており、ヘッドタンク80内の空気のみが排気される。ポンプ88を駆動し続けると、排気チューブ112を介してヘッドタンク80中の空気が、シール液63中に吸引され、ポンプ88から排気される。
【0060】
ヘッドタンク80中の空気が排気されと、インクカートリッジ81中のインクがヘッドタンク80中に吸引され、図5(b)に示すように、空気量検知センサ103bがヘッドタンク80内のインクの液面を検知したところで、ポンプ88を停止する。この時点では、ヘッドタンク80内のフィルタ109の下部にはインクは充填されていない。そこで、ポンプ84を駆動して記録ヘッド1のノズル側からインクを吸引する。その後、キャップ83を移動して、図示しないワイパーでノズル面を払拭してワイピングを行い、ノズルにメニスカスを形成して、記録ヘッド1は画像形成することが可能な状態となる。
【0061】
インク吐出時やノズル回復動作としてのキャップ吸引時には、ヘッドタンク80内が負圧になり、排気タンク60内のシール液63に対してヘッドタンク80側に逆流する力が作用するが、高粘度のシール液63が収縮部64を通過する抵抗よりもインクカートリッジ81からインクがヘッドタンク80に供給される流体抵抗が十分小さいので、シール液63は逆流せず図4(a)又は(b)に示すシール液63の状態を維持する。シール液63の粘度が小さい場合やキャップ83からの吸引量が多い場合には、拡張部65を設けることでキャップ吸引時等のシール液63のヘッドタンク80への逆流防止のバッファーとして機能させることができる。本実施形態では、シール液63を用いてヘッドタンク80の空気層を液体シールしているので、ポンプ88の非駆動時にシール性を必要としないので、ポンプ88を簡易で安価なものにすることができる。また、1つのポンプ88のみで、ヘッドタンク80とインクカートリッジ81の水頭差により記録ヘッド1に安定な負圧を形成できると共に、空気排出も行えるので、簡単な構成で長期にわたり安定したインク吐出を実現することができる。
【0062】
(実施形態3)
図6、7を参照にして、本プリンタに適用可能な別の液体吐出装置について説明する。図6に示す液体吐出装置のヘッドタンク80は、図4に示した実施形態の液体吐出装置と同様の構成であるが、ヘッドタンク80には、液体供給チューブ16を介してバッファータンク70が接続されている。バッファータンク70には大気開放弁51とインクの液位を管理するインク液位検知センサ74が設けられ、バッファータンク70の内部にフィルタ75によってろ過されたインクがインクカートリッジ76からポンプ78により供給される。
【0063】
大気開放弁51は、常開の弁であり、先の図4に示した実施形態の液体吐出装置と同じように、バッファータンク70内の液面と記録ヘッド1のノズル面との間の水頭差によって安定した負圧を形成している。ヘッドタンク70の上部には排気チューブ112が接続される。排気チューブ112の他端には、排気タンク60が接続されている。排気タンク60は、図4に示した構成とほぼ同じであるが、空気層82の空気を吸引するポンプ88を備えず、多孔質体62aなどからなる排気部62のみとし構成を簡略化している。排気チューブ112の途中には逆止弁85を設けている。本実施形態の逆止弁85は図7に示すように、内部にアンブレラ弁86を有し、図7(a)に示すの矢印Eの流れに対しては、アンブレラ弁86が連通孔87を塞いで流れを停止し、図7(b)に示す矢印Fの流れに対しては、アンブレラ弁86が変形して連通孔87を開放して流体を流す機能を有する。
【0064】
本実施形態では、例えば、ヘッドタンク80へのインク充填や、ヘッドタンク80からの空気排出時には排気チューブ112を空気が容易に流れて行くことができる。また、記録ヘッド1へのインク充填や、記録ヘッド1が吐出不良となった場合の回復動作で、記録ヘッド1のノズル面をキャップで密閉してインク吸引する場合には、アンブレラ弁86が排気チューブ112の逆流を閉鎖するので、効率よく記録ヘッド1にインクを供給することができる。なお、排気チューブ112の他端を排気タンク60のシール液63で液体シールしているので、逆止弁85は簡易なものとすることができる。本実施形態では、逆止弁85を設けているので、例えば、記録ヘッド1により多くのノズルが設けられ、ノズルからのインク吸引をより強力に行なわなければならない場合でも、排気チューブ112からの空気やシール液63の逆流を防止することができる。
【0065】
(実施形態4)
本発明の画像形成装置の実施形態を、図8〜18を参照しながら説明する。図8は、搬送される最大の紙幅に対応した長さを有する液体吐出ヘッドとしてのヘッドアレイユニット100(100K,100C,100M,100Y)が異なる4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクごとに4つ設けられたラインプリンタを示す。4つのヘッドアレイユニット100はヘッドフレーム36に固定されており、図示しないヘッド昇降機構により4ヘッド同時に上下に移動可能な構成となっている。
【0066】
ヘッドアレイユニット100は、図9に示すヘッドアレイユニットのように、複数の短尺形態の記録ヘッド1(図9では1a〜1fの6ヘッド)を千鳥配列し、ヘッドタンクとしてのヘッド固定部材20に位置決め固定して形成している。個々の記録ヘッド1は、先の実施形態と同様に図10に示すようなサーマル方式の液体吐出ヘッドである。
【0067】
記録ヘッド1は、図10に示すように発熱体4の駆動によるインクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室6内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)へのインクの流れ方向とノズル5の開口中心軸とを直角となしたサイドシューター方式の構成のものである。記録ヘッド1としては、圧電素子を用いて振動板を変形させたり、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に適用することができるが、サーマルヘッド方式はノズル密度を高密度化しやすいという利点がある一方で原理上ヘッド内に空気を発生しやすく空気排出の問題が他の方式に比べて大きいので、本発明の効果が大きい。サーマルヘッド方式の中には、他にも吐出方向が異なるエッジシューター方式があるが、このエッジシューター方式においては空気が消滅する際の衝撃により発熱体4を徐々に破壊する、いわゆるキャビテーション現象の問題がある。サイドシューター方式においては空気が成長し、その空気がノズル5に達すれば空気が大気に通じることになり温度低下による空気の収縮が起こらない。そのため、記録ヘッドの寿命が長いという長所を有する。また、発熱体4からのエネルギーをより効率良くインク滴の形成とその飛行の運動エネルギーへと変換でき、またインクの供給によるメニスカスの復帰も速いという構造上の利点を有する。したがって、本装置においてはサイドシューター方式を採用している。
【0068】
図9に示したヘッドアレイユニット100の仮想平面Aにおける断面図を図11に示す。図11は、図9の断面Aを排気ポート12側から見たもので、記録ヘッド1に液体供給口22を介して、液体としてのインクを供給する液体供給路21がヘッド固定部材20内部に形成されている。また、液体供給路21の上部には液体供給路21内の空気量を検知する空気量検知センサ103が設けられている。図11の空気量検知センサ103は電極対としており、その先端が異なる位置に設けられて、複数の液面状態を検知することができるようになっている。ヘッドアレイユニット100の図11のHH断面における断面図を図12(a)に、GG断面における断面図を図12(b)に示す。図12に示すように液体供給路21は、全ての記録ヘッド1に連通しており、一方の端部に液体供給ポート13、もう一方の端部に排気ポート12が設けられて、インクが外部から供給される形態となっている。液体供給ポート13は液体供給路21の底面近傍に設けられ、排気ポート12は液体供給路21の天面近傍に設けられた構成となっている。
【0069】
本実施形態ではサーマル方式のヘッドを搭載しているので、ヘッド固定部材20の材質としては、熱伝導性の良好な材質であることが好ましい。例えば、金属等の熱伝導率の大きな材質で形成すると、記録ヘッド1から発生する熱を効果的に奪って記録ヘッド1の蓄熱を防止することができる。熱伝導率が大きい材料として、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の熱伝導性フィラーが充填された樹脂も好適である。樹脂材料を用いると、各ポートや液体供給路等と一体的に形成することができ、生産性が向上する。また、SUS等の発泡金属(例えば、予備径600μm、気孔率95%程度のもの)も温度調節液体との接触面積が大きくなるので、温度調節流体流路に使う材料として適している。更にヘッド固定部材20の記録ヘッド1を固定する部分を構成する部分を金属等の高熱伝道材料で形成し、液体供給路21を安価な樹脂成型品で形成して両者を積層する方法も有効である。
【0070】
ヘッドアレイユニット100へのインク供給形態について、図13を用いて説明する。図13において、バッファータンク70はヘッドアレイユニット100にインクを供給すると共に、空気を受け入れて外部に排出する機能を有するもので、上部に大気開放弁51に接続した大気開放口73を有するインク室71が設けられている。また、インク室71の上部には液位検知センサ74が設けられている。液位検知センサ74は、前述の実施形態の空気量検知センサ103と同様の構造のもので、高さの異なる2つの液面を検知可能な構成となっている。液位検知センサ74は本実施形態の電極対方式に限らず、フロート部材を用いて液面検知する方法や光学的に液面検知する方法など、他の方式を用いることもできる。
【0071】
インク室71には、インクカートリッジ76が接続されており、フィルタ75によってろ過されたインクがポンプ78によってバッファータンク70のインク室71に補充可能な構成となっている。インク室71の底面にはインクポートが設けられ、ヘッドアレイユニット100のヘッド固定部材20の液体供給ポート13に接続されている。インク室71のインク量は、インク液面とヘッドアレイユニット100の水頭差hが一定の値(およそ10〜150mm)になるように液位検知センサ74によって管理される。一方、ヘッド固定部材20の排気ポート12には、排気チューブ112が接続され、その他端は空気排出容器としての排気タンク60のチューブ接続部66に接続される。排気タンク60の内部には、シール液63が貯留された液体貯留部61が設けられ、液体貯留部61の底部とチューブ接続部66は、排気タンク60に一体的に形成された管路67で連通した構造としている。管路67には液体貯留部61との接続部近傍に収縮部64が設けられる。さらに、管路67のチューブ接続部66近傍には、液体貯留部61内の高粘度液63の液面よりも高い位置に拡張部65が設けられる。
【0072】
液体貯留部61の上部は、例えば高発泡樹脂や多孔質樹脂フィルム、発泡金属、金属メッシュ、多孔質セラミクスのような多孔質体からなる排気部となっており、空気の出入りが自由に行なわれる。
【0073】
ここで、排気タンク60への高粘度液63の充填方法について、図14を参照しながら説明する。まず、図14(a)に示すように、チューブ接続部66を封止部材68によってシールする。シール方法としては、ゴムなどの弾性部材を密着させる方法や粘着テープを貼る方法など様々な方法を用いることができる。次に、液体貯留部61の上部の開口部62からシール液63を液体貯留部61に注ぎ込む(図14(b)参照)。この時、チューブ接続部66をシールしているので、高粘度液63はタンク底部に設けられた管路67の収縮部64には流れない。次に図14(c)に示すように、液体貯留部61の上部の開口部62を多孔質体62aで蓋をし、さらにその上に封止部材69を設けて多孔質体62aの上部をシールする。この封止部材69としては、粘着テープが好適である。最後に図14(d)に示すように封止部材68を除去する。封止部材69は、後に除去する必要があるが、プリンタを稼働させる直前に除去することが好ましい。
【0074】
次に、本実施形態のプリンタのインク供給及び空気排出等について、図15も参照して説明する。図15(a)は、バッファータンク70及びヘッドアレイユニット100のいずれにもインクが入っていない状態を示している。封止部材69を排気タンク60から除去し、バッファータンク70に接続された大気開放弁51を開いて、ポンプ78を駆動すると、インクカートリッジ76内のインクはフィルタ75でろ過されて、バッファータンク70に流入する。バッファータンク70内のインク液面が上昇し、液位検知センサ74bが、液面を検知する図15(b)の状態でポンプ78を停止する。次に、大気開放弁51を閉じ、排気弁52を開いて再びポンプ78を駆動すると、インクは液体供給チューブ16を通って、ヘッドアレイユニット100に供給される。この時、ヘッドアレイユニット100内の液体流路21内の空気は、排気チューブ112に押し出され、排気タンク60内の高粘度液63を通って排気部62から排出される。液体流路21内の空気量検知センサ103bが液面を検知した時点で排気弁52を閉じる。この状態では、ポンプ78の作用で液体流路21内は正圧となり、液体流路21内のインクは強制的に各記録ヘッド1に充填される。この充填状態を所定の時間行なった後、ポンプ78を停止させる。その後、大気開放弁51と排気弁52を開き、ノズル面をワイピングしてノズルにメニスカスを形成すれば、図13のhで示す水頭差が得られ、ヘッドアレイユニット100でインク吐出が可能となる。
【0075】
本実施例のプリンタの記録紙の搬送に関して図8を参照して説明する。ヘッドアレイユニット100のすぐ下方には、インクにより画像が記録される記録紙が搬送される。記録紙は、給紙トレイ38に積載保持されており、図示しない分離給紙機構により1枚ずつ送り出され、紙搬送ベルト30によって搬送され、記録完了後、排紙トレイ39に排紙される。紙搬送ベルト30はベルト搬送ローラ31とテンションローラ32によって張架されており、表層は樹脂材で構成された高抵抗層、裏層は樹脂材料にカーボンによる抵抗制御を行った中抵抗層の2層構造である。この紙搬送ベルト30には、金属ローラの外層に中抵抗層が形成され最外層に薄い高抵抗層が形成された帯電ローラ33が接触されており、帯電ローラ33に高電圧を印加することにより、紙搬送ベルト30と帯電ローラ33のニップ部近傍のエアーギャップで放電が生じ、紙搬送ベルト上に電荷が付着する。帯電ローラ33に印加する電圧を正負の交流電圧とすると、紙搬送ベルト上には正負の電荷が交互にストライプ状に付着する。このように帯電した紙搬送ベルト30に記録紙を供給すると、静電力によって記録紙が紙搬送ベルト30に吸着する。記録紙が強固に紙搬送ベルト30に保持された状態で印字を行うことができるため、高速に用紙を搬送しながら印字を行う場合でも、安定した印字品質を得ることができる。なお、本実施例では静電吸着ベルトを用いて用紙搬送を行っているが、エアー吸着によって記録紙をベルトに吸着させて搬送する方式でも高速でかつ良好な画像形成を行うことができる。
【0076】
印字により、消費されるインクはバッファータンク70から自然に供給されるので、印字が進むにつれてバッファータンク70内の液面が下降する。液位検知センサ74aの先端よりも液面が下がったことを検知した場合には、大気開放弁51を開いたままでポンプ78を駆動し、バッファータンク70にインクを補充する。このようにすることによって、常に水頭差hを所定の範囲に維持することができ、安定した画像形成ができる。なお、印字デューティーが大きく、記録ヘッド1からのインク吐出によるポンピング作用のみではインク供給が不足する場合には、大気開放弁51、排気弁52を閉じてポンプ78を微駆動し、インク供給をサポートするようなこともできる。
【0077】
画像形成時、記録ヘッド1の駆動に伴うポンピング作用により、液体供給チューブ16からインクを供給するように作用する圧力は、排気チューブ112側にも作用し、空気を逆流させる向きに働く。しかしながら、排気経路はその先端がシール液63によって液体シールされているため、空気が逆流するためにはシール液63が液体供給チューブ112の方に向かって流れることが必要となる。排気タンク60には収縮部64が形成されており、液体シールしているシール液63の粘度が高いため排気タンク60からシール液63が逆流する際の流体抵抗は液体供給チューブ16を通してインクが供給される際の流体抵抗より遥かに大きいので、高粘度液63が逆流することはない。
【0078】
ヘッド目詰まり等により、所望の画質が得られなくなった場合の回復方法について説明する。ヘッドの目詰まりやインクの吐出曲がり等が生じた場合は、ヘッドアレイユニット100の回復動作を行う。図8の状態からヘッドアレイユニット100が上方に移動し、維持ユニット35が水平方向に移動(図8の状態から図面の右方向に移動)してヘッドアレイユニット100の真下に配置される。そして、ヘッドアレイユニット100が少し下降して、図16、図17に示すように、維持ユニット35のキャップ40に密着した状態にする。この状態で、大気開放弁51と排気弁52を閉じてポンプ78を駆動してインクを一定量ヘッドアレイユニット100に送り込む。大気開放弁51と排気弁52が閉じているので、インクはヘッドアレイユニット100のノズル5から排出される。この排出されるインクと一緒にヘッドの目詰まりの原因となっていた空気や異物が除去される。ポンプ78を停止後、ヘッドアレイユニット100をキャップと非接触状態になるレベルに上昇し、維持ユニット35を水平方向に移動(図17に示す状態から図面の右方向に移動)して、図18に示すように、ヘッドアレイユニット100のノズル面をワイパブレード41でワイピングする。ワイピングにより、ノズル5にメニスカスが形成された後、大気開放弁51と排気弁52を開いて、ヘッドアレイユニット100を水頭差hに相当する負圧状態に保持する。キャップ40内には、ヘッドアレイユニット100から排出されたインクが溜まるので、それをポンプで吸引して廃液タンク44に廃出する。なお、キャップ内のインクを、フィルタを用いてろ過すれば、廃液タンク44ではなくバッファータンク70に戻すようにして、吸引したインクをも再利用することも可能である。その後、ヘッドアレイユニット100の昇降、及び維持ユニット35の水平移動により図8に示す状態で記録動作を行うか、図16に示す状態で記録指示があるまで待機する。この回復動作により、目詰まりが解消し、ヘッドアレイユニット100を良好な状態に維持することができる。
【0079】
ヘッドアレイユニット100の、液体供給路21からの空気排出について説明する。インクを吐出して画像形成を行なう装置においては、液体供給経路を構成する部材の透気、透湿やカートリッジの着脱時の経路内への空気混入などにより、経時的にインク供給経路内に空気が蓄積する。本実施形態の場合においては、ヘッドアレイユニット100の液体供給路21に空気が蓄積する。蓄積空気量が一定量を超えると、前述したように温度変化による不具合や、記録ヘッド1への空気混入によるインク吐出不良の原因となるので排気する必要がある。本実施形態の場合は、図13に示す液体供給路21内の空気量検知センサ103a先端よりも液面が下がったことを検知した場合に、空気排出動作を行うようにしている。具体的には、バッファータンク70の大気開放弁51を閉じてポンプ78を駆動する。これにより、インクカートリッジ76から供給されるインクに液体供給路21内の空気が排気チューブ112に押し出され、排気タンク60から空気が排出される。液体供給路21内の液面を空気量検知センサ103bが検知した時にポンプ78を停止し、大気開放弁51を開放する。これにより、液体供給路21内の空気量を適量に戻し、安定した画像形成が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の画像形成装置(インクジェットプリンタ)の概略構成図;(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図2】ヘッドタンクの構造図;(a)は横方向断面図、(b)は縦方向断面図である。
【図3】本発明の液体吐出装置の実施形態の概略図;(a)はインク供給前、(b)はインク供給中、(c)はインク供給完了状態を表す。
【図4】本発明の液体吐出装置の他の実施形態の概略図
【図5】図4に示す液体吐出装置へのインク供給動作説明図;(a)はインク供給前、(b)はインク供給中を表す。
【図6】本発明の液体吐出装置の他の実施形態の概略図
【図7】逆止弁の作動説明図
【図8】本発明の画像形成装置であるラインプリンタの構成図
【図9】ヘッドアレイユニットの斜視図
【図10】記録ヘッドの断面図
【図11】図9に示したヘッドアレイユニットのA面断面図
【図12】図9に示したヘッドアレイユニットの縦方向断面図;(a)は垂直断面図、(b)は水平断面図である。
【図13】図9に示したヘッドアレイユニットを含む本発明の液体吐出装置の概略図
【図14】排気タンクへの高粘度液の充填方法説明図
【図15】図13に示した液体吐出装置におけるインク供給の説明図;(a)はインク供給前、(b)はインク供給途中の状態を表す。
【図16】図9に示したヘッドアレイユニットの回復操作の説明図
【図17】記録ヘッドのキャッピングの説明図
【図18】記録ヘッドのワイピングの説明図
【符号の説明】
【0081】
1 :記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
4 :発熱体
5 :ノズル
6 :液室
8 :用紙
12 :排気ポート
13 :液体供給ポート
16 :液体供給チューブ
20 :ヘッド固定部材
21 :液体供給路
22 :液体供給口
30 :紙搬送ベルト
31 :ベルト搬送ローラ
32 :テンションローラ
33 :帯電ローラ
35 :維持ユニット
38 :給紙トレイ
39 :排紙トレイ
40 :キャップ
41 :ワイパブレード
44 :廃液タンク
51 :大気開放弁
52 :排気弁
60 :排気タンク(空気排出容器)
61 :シール液貯留部
62 :排気部
62a :多孔質体
63 :シール液
64 :収縮部
65 :拡張部
66 :チューブ接続部
67 :管路
68 :封止部材
69 :封止部材
70 :バッファータンク
71 :インク室
73 :大気開放口
74,74a,74b :液位検知センサ
75 :フィルタ
76 :インクカートリッジ
77 :カートリッジホルダ
78 :ポンプ
79 :大気開放口
80 :ヘッドタンク
81 :インクカートリッジ
82 :空気層
83 :キャップ
84 :ポンプ
85 :逆止弁
86 :アンブレラ弁
87 :連通孔
88 :ポンプ
100,100K,100C,100M,100Y :ヘッドアレイユニット
101 :ヘッドタンク
103,103a,103b :空気量検知センサ
104 :圧力センサ
106 :フィラー
107 :フィルム部材
108 :ばね
109 :フィルタ
110 :インク供給ポート
111 :排気ポート
112 :排気チューブ
120 :キャリッジ
122 :ガイドロッド
123 :側板
125 :搬送ローラ
126 :押さえコロ
128 :用紙ガイド部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを用いた液体吐出装置は、プリンタ、コピア、FAX等の画像形成装置に多く用いられている。また、インク以外の液体、例えばDNA試料やレジスト、パターン材料などを吐出する液体吐出装置、或いはこれらを備える画像形成装置なども知られている。
【0003】
オンデマンド型のインクジェット(IJ)記録装置用の液体吐出装置には、インクを充填した液室の壁の一部に振動板を設け、圧電アクチュエータ等により振動板を変位させ液室内の体積を変化させて圧力を高めインクを吐出する方式や、液室内に通電によって発熱する発熱体を設けて、発熱体の発熱により生じる空気によって液室内の圧力を高め、インクを吐出するものが広く知られている。近年ではIJプリンタの低価格化、高画質化、一般家庭へのパソコンの普及などによりIJプリンタが様々な用途で数多く使用されている。
【0004】
IJプリンタにおける大きな技術課題の一つとして高速化がある。通常、ノズル数、ヘッド数の増加などが行われると共に、大量の印字を安定して行なうためにヘッド上部にヘッドタンク(サブタンクとも言う)を設け、インクをスムーズにヘッドに供給する形態とすることが行なわれている。ヘッドタンクには、樹脂チューブを用いてインクカートリッジからインクが供給される構成にされることが多いが、ヘッドタンクの容積を常に100%インクで満たすことは困難でヘッドタンク内の上部に空気層が形成される。ヘッドタンク内の空気の量は、樹脂チューブやヘッドタンク壁面からの透気やインクカートリッジの脱着時に混入する空気によって経時的に増加する傾向がある。ヘッドタンク内の空気の量が少量であれば何の問題もないが、多くなり過ぎると温度変化に対する空気の体積変化量が大きくなり、ある範囲内の負圧に維持されるべきのヘッドタンク内圧が許容範囲外となりヘッドからインクが染み出してきたり、正常に吐出しなくなったりする。また、ヘッドタンク内の空気が多いと、ヘッド内にインクと一緒に空気が混入してインクが吐出しなくなったりする不具合も生じる。
【0005】
そこで、ヘッドタンク内の圧力を一定の負圧に保つと同時に、空気が所定量以上にならないようにする技術が検討されてきている。例えば、特許文献1には、ヘッドタンク(サブタンク)からヘッドに空気排出経路を設けてヘッドのノズル面に吸引キャップを密着させてインクと一緒に空気を排出する発明が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ヘッドタンク(サブタンク)内の上部に逆止弁を設け、適宜逆止弁部に排気装置を接続してヘッドタンク内の空気を排出する発明が開示されている。
【0007】
特許文献3には、サブタンク内の空気層に接続した排気チューブを、2室構成で一方が大気開放された液体タンクに連通させて負圧を安定する構成とし、排気チューブの途中を分岐させ、弁とポンプによりサブタンク内の空気を排出する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2000−301732号公報
【特許文献2】特開平11−320901号公報
【特許文献3】特開2002−240310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、プリンタを始めとする広範な分野で使用されている液体吐出装置は、構造が簡単で、故障し難く、安価に製造できることが求められている。この点、特許文献1に開示されている発明は、空気排出経路としての細管をヘッド内に設けノズル面から吸引する方式であるので、細管が詰まると吸引できないという問題がある。顔料インクを使用して画像形成する場合には、インクが増粘しやすいので空気排出不良となりやすく、安定した性能を得ることができない恐れがある。
【0009】
特許文献2に開示されている発明は、逆止弁でのリークが許容されないので、シール信頼性の高い逆止弁をサブタンクに設ける必要があり、構造が複雑で高価になりやすい。
【0010】
特許文献3に開示されている発明は、排気チューブに接続した弁とポンプからリークがあるとサブタンク内の負圧が破壊されてしまうので、やはり、高信頼性の弁やポンプ装置が必要となり、低価格のプリンタに搭載することができない。
【0011】
本発明の目的は、上記問題点を踏まえ、簡易な構成でヘッドタンク内の負圧を適正範囲に維持できると共に、ヘッドタンクからの排気が容易な液体吐出装置、及びこれを利用した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を収容し、下部が前記液体吐出ヘッドに連通しているヘッドタンクと、前記ヘッドタンクに前記液体を給送する給送手段とを備えた液体吐出装置であって、前記ヘッドタンク中の空気を、貯留するシール液を介して大気中に排出する空気排出容器と、一端が前記ヘッドタンク上部の空気層に開口し、他端が前記空気排出容器中のシール液中に開口する空気排出管と、を備えることを特徴とする液体吐出装置である。
【0013】
本発明により、簡易な構成でヘッドタンク内の負圧を適正範囲に維持できる共に空気排出が容易とし、安定した液体の供給を行える液体吐出装置を提供することができる。
【0014】
好ましい本発明は、前記空気排出容器の上部は、大気中に開放されていることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0015】
本発明により、ヘッドタンクに液体を給送する給送手段の制御のみでヘッドタンクからの空気排出を容易に行る液体吐出装置を提供することができる。
【0016】
好ましい本発明は、前記空気排出容器の上部は、多孔質体を介して大気中に開放されていることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0017】
本発明により、空気排出機能を損ねずにシール液の外部への漏洩や乾燥、蒸発、ゴミ混入を防止して品質を維持し、安定した液体の供給を行える液体吐出装置を提供することができる。
【0018】
好ましい本発明は、前記シール液は、前記液体よりも粘度又は密度が大きいことを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0019】
本発明により、空気排出容器中のシール液のヘッドタンクへの逆流を簡単に防ぎ、ヘッドタンク内の液体の品質を安定に保つ液体吐出装置を提供することができる。
【0020】
好ましい本発明は、前記シール液は、不揮発性又は低揮発性液体であることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0021】
本発明により、長期に安定してシール液の貯留を維持でき、安定したヘッドタンクの動作を維持できる液体吐出装置を提供することができる。
【0022】
好ましい本発明は、前記ヘッドタンクは、少なくとも一部の面が可とう性フィルムで形成され、前記ヘッドタンクの容積を増加させる方向に前記可とう性フィルムを付勢する弾性部材を備えていることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0023】
本発明により、可とう性フィルムと弾性部材でヘッドタンクに簡易に安定した負圧を形成させることができると共に、ヘッドタンクに液体を給送する給送手段の制御により、ヘッドタンクの負圧調整と空気排出を容易に行える液体吐出装置を提供することができる。
【0024】
好ましい本発明は、前記給送手段は、大気開放自在なバッファータンクに接続されていることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0025】
本発明により、バッファータンクを用いて水頭差により簡易に安定した負圧を形成、維持できると共に、ヘッドタンクに液体を給送する給送手段の制御とバッファータンクの大気開放制御により、ヘッドタンクの負圧調整と空気排出を容易に行える液体吐出装置を提供することができる。
【0026】
好ましい本発明は、前記空気排出管の他端は、前記空気排出容器の底部に開口してシール液に連通していることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0027】
本発明により、空気排出管の開口部は空気排出容器の底部に設けられるので、空気排出管はシール液中に開口し、ヘッドタンクはシール液により確実に大気と遮断される液体吐出装置を提供することができる。
【0028】
好ましい本発明は、前記空気排出管は、前記空気排出容器中のシール液が前記ヘッドタンク中に流入することを防ぐ逆流防止手段を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0029】
本発明により、空気排出容器中の液体シール液は逆流防止手段によりヘッドタンクへの逆流を起こさず、ヘッドタンク内の液体の品質低下を防ぐ液体吐出装置を提供することができる。
【0030】
好ましい本発明は、前記空気排出管は、前記シール液の液面よりも高い位置に拡張部を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0031】
本発明により、簡易な逆流防止手段を有する液体吐出装置を提供することができる。
【0032】
好ましい本発明は、前記空気排出管は、前記シール液との連通部近傍に収縮部を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0033】
本発明により、簡易な逆流防止手段を有する液体吐出装置を提供することができる。
【0034】
好ましい本発明は、前記空気排出管は、前記空気排出容器中のシール液が前記ヘッドタンク中に流入することを防ぐ逆止弁を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0035】
本発明により、確実で簡易な逆流防止手段を有する液体吐出装置を提供することができる。
【0036】
好ましい本発明は、前記ヘッドタンクは、前記液体の液位を検知する液位検知手段を備えることを特徴とする前記液体吐出装置である。
【0037】
本発明により、ヘッドタンクの液面を適正な位置に維持することができ、ヘッドタンクの負圧制御及び空気排出が容易な液体吐出装置を提供することができる。
【0038】
本発明は、前記液体吐出装置を備えた画像形成装置である。
【0039】
本発明により、それぞれ上記特徴を有する液体吐出装置備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、簡易な構成でヘッドタンク内の負圧を適正範囲に維持できると共に、ヘッドタンクからの排気が容易な液体吐出装置、及びこれを利用した画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(実施形態1)
本発明の一実施形態を、図1〜3を参照しながら説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略構成図であり、本発明の液体吐出装置を搭載している。図1(a)は正面図、図1(b)は画像形成部の側面図、図1(c)は平面図である。この画像形成装置は、液体としてインクを用いるインクジェットプリンタの一例である。このインクジェットプリンタは、左右の側板123L、123Rに横架したガイド部材であるガイドロッド122とガイドレールとでキャリッジ120を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド122の長手方向(主走査方向)に走査することができる。このキャリッジ120には、例えば、イエロー(Y)、シアン(c)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド1を、複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0042】
キャリッジ120の下方には、画像が形成される用紙8が主走査方向と垂直方向(副走査方向)に搬送される。図1(b)に示すように、用紙8は、搬送ローラ125と押えコロ126で挟持されて印字部に搬送され、用紙ガイド部128に送られる。主走査方向へのキャリッジ120の走査と、記録ヘッド1からのインク吐出を画像データに即して適切なタイミングで同調させ、用紙8に1バンド分の画像を形成する。1バンド分の画像形成が完了した後、副走査方向に用紙を所定量送り、前述と同様の記録動作を行う。これらの動作を繰り返し行い、1ページ分の画像形成を行なう。一方で、記録ヘッド1の上部には、吐出するインクを一時的に収容するためのインク室が形成された、ヘッドタンク101が記録ヘッド1と一体的に接続されている。ここで言う一体的とは、記録ヘッド1とヘッドタンク101がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジ120に搭載されレいるという意味である。
【0043】
インク室には、液体供給チューブ16が接続され、インクカートリッジ76と連通している。ヘッドタンク101の構成を図2に示す。図2(a)は、ヘッドタンク101の正面図(断面図)、図2(b)はヘッドタンク101の側面図(断面図)である。なお、どちらの図も理解を助けるために適宜部品の記載を省略したり、部分的に概念図としたりしている。ヘッドタンク101の内部には、記録ヘッド1との接続部の近傍にフィルタ109が設けられ、インクをろ過して異物などを除去したインクを記録ヘッド1に供給する形態となっている。
【0044】
ヘッドタンク101の一壁面には凸状に成型された可撓性のフィルム部材107が設けられ、ばね108によってヘッドタンク101の容積を拡大する方向に付勢されている。フィルム部材107にはフィラー106が接触して設けられ、フィラー106の位置をフォトセンサなどで検出することにより、フィルム部材107の変形状態や、ヘッドタンク101内のインクの量を検知できる構成としている。
【0045】
ヘッドタンク101の上部には、インク液面の検知によりヘッドタンク101内空気量を検知する空気量検知センサ103と、ヘッドタンク101内の圧力を検知する圧力センサ104が設けられている。図2に示したヘッドタンク101では、空気量検知センサ103は液面計であり、その測定部が異なる位置に設けられて、複数の液面状態を検知することができるようになっている。
【0046】
ヘッドタンク101には、インク供給ポート110と排気ポート111が設けられ、インク供給ポート110には液体供給チューブ16、排気ポート111には排気チューブ112が接続される。液体供給チューブ16の他端は、本体据え置きのカートリッジホルダ77に接続され、カートリッジホルダ77内の図示しない管路、ポンプを介して、インクカートリッジ76と連通している。排気チューブ112の他端は、本体据え置きの空気排出容器としての排気タンク60の内部に蓄えられた、高粘度のシール液63中に開口している。
【0047】
本プリンタのインク供給、及びヘッドタンク101内からの空気排出等について、図3も参照にして説明する。図3は、本発明の液体吐出装置におけるヘッドタンク101へのインク充填の工程を説明している。図3(a)はヘッドタンク101にインクが充填される前の図である。図3(b)は、ヘッドタンク101にインクが充填されている状態を表す図である。図3(c)ヘッドタンク101にインクが充填され終わった状態を表す図である。図3(a)のようにヘッドタンク101及び記録ヘッド1のいずれにもインクが入っていない状態でポンプ78を駆動すると、インクカートリッジ76内のインクはフィルタ75でろ過され、液体供給チューブ16、インク供給ポート110を経由してヘッドタンク101内部に流れる。この時、もともとヘッドタンク101内にあった空気は排気ポート111を経由して排気チューブ112から排出される。
【0048】
インク充填初期は記録ヘッド1のノズルからも空気が押し出されるが、インクでヘッドタンク101内のフィルタ109が濡れてしまうと、フィルタ109は目が細かくメニスカス保持力が大きいため空気が通過しにくくなり、ヘッドタンク101内の空気はほとんど排気チューブ112経由で排気されるようになる。排気チューブ112の他端は、排気タンク60の中に貯留された高粘度のシール液に浸漬されているので、ポンプ78の圧力によって押し出された空気は、シール液中に一旦放出され、排気タンク60上部の排気部62から外部に排出される。
【0049】
ヘッドタンク101内のインクの液面が上昇し、図3(b)に示す状態を経て、図3(c)に示すような状態になると、空気量検知センサ103がインクの液位を検知し、ポンプ78を停止する。本実施形態では空気量検知センサ103としては電極対からなる液面センサを採用している。これは、電極対の間の抵抗値を検出するものであり、空気とインクで体積低効率が異なることで、インク液位を検知する。本実施形態では図3に示すように2つの異なる深さに空気量検知センサ103aと103bが設けられている。したがって、まず図3(b)に示す位置までインク液面が上昇して、深い位置に設けられた空気量検知センサ103aの電極間抵抗が下がり液面を検知する。この時点でポンプ78を停止させれば比較的ヘッドタンク内に多く空気層を形成した状態とすることができるが、本実施形態では、空気量検知センサ103aの位置ではポンプを止めずに、更にインク液位が上がって、図3(c)に示すように、空気量検知センサ103bにインク液面が触れた時点でポンプ78を止める。この状態では、ヘッドタンク101内には、インク層と空気層が形成されるが、インク液面は排気ポート111よりも下の位置に形成されるようにしている。
【0050】
次に、図3(c)に示すように、キャップ83で記録ヘッド1のノズル面を密閉し、キャップに接続したポンプ84によってキャップ内の空気を吸引する。これにより、ヘッドタンク101内のインクが記録ヘッド1内に充填されると共に、ヘッドタンク101内のインクが吸引により外部に排出された分ヘッドタンク101の内容積が減少し、フィルム部材107がタンク内側に変形する。この時、フィルム部材107をばね108が押圧して、もとの状態に押し戻そうとするので、ヘッドタンク101内に負圧が形成される。本実施形態では、ヘッドタンク101内の圧力を圧力センサ104で検知できるので、所望の圧力(例えば、−20mmaq)となるようにキャップ吸引を制御することができる。圧力センサ104がない場合でも、予めインクの吸引量やポンプ駆動時間等の別の制御パラメータと負圧の関係が把握できていれば、負圧を直接検知する代わりに別の制御パラメータをもとに吸引を行い、負圧形成することもできる。
【0051】
ポンプ84によるインク吸引時には、排気チューブ112からヘッドタンク101に空気を逆流させる圧力がヘッドタンク内に形成されることになるが、排気チューブ112から空気を逆流させるには、排気タンク60内のシール液63を排気チューブ112で吸い上げることが条件となる。したがって、排気チューブ112を空気を排出する機能を損ねない程度に細くすれば、シール液63を吸い上げずにヘッドタンク101内のインクを排出することができる。記録ヘッド1のノズルからインクを吸引する際に、排気チューブ112からの逆流を防止するには、排気チューブ112を細くする以外の方法としては、高粘度液体の粘度や比重を大きくすることも有効である。また、排気チューブ112の一部を排気タンク60内のシール液63の液面より十分高くして、シール液63が逆流するための水頭差を大きくしてもよい。
【0052】
インクジェットプリンタでは、インクを供給する配管部材やタンク部材に樹脂材料が多く用いられる。特に、本実施形態のようにキャリッジ120にヘッドタンク101を搭載し、本体据え置きのインクカートリッジ76から液体供給チューブ16を用いてインク供給するような構成の場合、樹脂チューブや樹脂フィルムを薄い材料とすることが一般的である。その場合、薄い肉厚の樹脂チューブや樹脂フィルムを通して、インクと外気とで水分や空気の行き来が行なわれ、その結果、時間の経過と共に図3(c)に示すような、ヘッドタンク101内のインク液面が空気量検知センサ103bの位置から、図3(b)に示すような、空気量検知センサ103aの位置に変化することがある。ある程度のインク液面の変化はプリンタの機能を損ねないが、インク液面が下がりすぎて、空気層が多くなり過ぎると、温度変化に対するヘッドタンク101内の空気層容積の変化が大きくなり、適正負圧を維持できなくなったり、記録ヘッド1に空気が混入してインクの吐出不良となったりする。
【0053】
本実施形態では、ヘッドタンク101へのインク充填時に、液位が所定値に達したことを検知する空気量検知センサ103bの他に、それよりも低い位置の液位を検知する空気量検知センサ103aを設けているので、その位置をヘッドタンク101内に許容できる最大量の空気がある場合の水位に設定しておき、空気量検知センサ103aよりも水位が下がった時にヘッドタンク101内の空気を排出する制御を行なえばよい。具体的には空気量検知センサ103aの電極対間の抵抗が上がったらポンプ78を駆動し、インクカートリッジ76からインクを送ることで、ヘッドタンク101から空気を、排気チューブ112をとおして排気する。
【0054】
排気チューブ112は細いチューブとし、空気は抵抗少なく滑らかに流れ、排気タンク60内の高粘度のシール液中に排出する。排気中は、ヘッドタンク101内は正圧になるが、記録ヘッド1の中の流路は微細であるため、フィルタ109と流路の流体抵抗が高く、記録ヘッド1のノズルから染み出すインク量は少ない。また、排気中は、吸引キャップ83で記録ヘッド1のノズル面を密閉状態にしておけば、更にノズルからのインクの染み出し量を少なくすることができる。ヘッドタンク101内の空気が排出され、インク液位が空気量検知センサ103bの位置まで上昇したら、ポンプ78を停止する。その後、前述の初期充填時と同様にキャップ吸引により負圧を調整すれば、図3(c)に示すように、ヘッドタンク101内の正常な液位までインクを満たし、かつ適正な負圧状態とし、記録ヘッド1からインクを吐出して画像を形成することができる。
【0055】
本発明におけるシール液63としては、前述したようにインクよりも粘度や比重が大きい以外に不揮発性、又は低揮発性であることが好ましい。排気タンク60は、上部の排気部62は大気と常に連通しているので、揮発性の高い液体では不適である。なお、不揮発性、又は低揮発性とは、同じような意味であり、液体吐出装置の通常の使用状態において、シール液が蒸発して減量し、液体吐出装置の使用に支障を来さない程度の蒸気圧以下であることをいう。このような点からシール液63としては、油類やインクの湿潤剤として一般的に良く使用されるエチレングリコールやグリセリンなどの溶剤が適している。このような溶剤をインクに多く含有させ、通常のインクと組成比を変えた液体を用いることもできる。このように仮にインクに混入しても、インクジェットプリンタの印刷に支障を来しにくいシール液63を用いることも好ましい。
【0056】
シール液63の蒸発をより低減するには、図3に示すように、排気タンク60のシール液貯留部61の開口部を狭くするようなことも有効である。また、シール液63は、一種類の液体である必要はなく、相溶性のない複数種類の液体を用いて構成することもできる。例えば、お互い溶け合わない液体Aと液体Bがあり、液体Aには比重が重く粘度が大きい特性があり、液体Bには比重が軽く揮発性の小さい特性があれば、廃液タンク60内で下層に液体A、上層に液体Bが重なった2層状態で貯留されるので、液体Aには揮発性を許容でき、液体Bには低粘度であることを許容でき、使用できる液体の幅を広げることができる。
【0057】
(実施形態2)
図4、5を参照して、本発明の画像形成装置に適用可能な別の液体吐出装置の実施形態について説明する。図4に示す液体吐出装置のヘッドタンク80は、先の実施形態の図1〜3において示した液体吐出装置のヘッドタンク101から、圧力センサ104、ばね108、フィラー106を除去し、小型軽量化したものである。また、インクカートリッジ81は、上部に大気開放口79が設けられている。図2に示したヘッドタンク101においては、一部の壁面をフィルム部材107で形成して容積が可変な構造とし、ばね108で容積を拡充するように付勢して負圧を得たが、本実施形態では図4に示すように、大気開放されたインクカートリッジ81とヘッドタンク80とを液体供給チューブ16で連結し、インクカートリッジ81内の液面と記録ヘッド1のノズル面の水頭差hで負圧を得るようにしている。
【0058】
ヘッドタンク80上部の空気層は排気チューブ112を介して排気タンク60に連通しており、本実施形態の排気タンク60には、液体貯留部61の底面部と上面部に設けられるチューブ接続部66とをつなぐ管路67が設けられる。また管路67には、液体貯留部61との接続部近傍に管路断面が小さくなった収縮部64が設けられる。さらに、管路67のチューブ接続部66近傍には、液体貯留部61内のシール液63の液面よりも高い位置に管路断面が大きくなった拡張部65が設けられている。液体貯留部61には、上部に空気層82を残してグリセリンなどの高粘度のシール液63が入れられ保持されている。更に、液体貯留部61上部にはポンプ88が接続され、空気層82に連通して排気可能な構成としている。
【0059】
図5(a)は、図4に示す液体吐出装置へのインク供給動作を示す説明図であり、図4(a)はヘッドタンク80へのインク供給前、図4(b)はインク供給後の状態を表す。図4(a)の状態では、排気タンク60の管路67内にもシール液63が入っている。この状態からノズル面にキャップ83を密着させ、ノズル面とキャップ83の間を密閉状態にして、ポンプ88を駆動して、排気タンク60の空気層82が負圧になるように排気する。そうすると、、管路67内のシール液63は液体貯留部61側に吸引され液体貯留部61でのシール液63の液面を徐々に上昇する。シール液63の管路67内の液面が収縮部64を通過し、液体貯留部61の底面との接続部に達すると、シール液63に引かれてきた空気が気泡となり、シール液63中を浮上し空気層82、ポンプ88を経て外部に排気される。この状態では液体貯留部61内のシール液63の液面上昇は停止しており、ヘッドタンク80内の空気のみが排気される。ポンプ88を駆動し続けると、排気チューブ112を介してヘッドタンク80中の空気が、シール液63中に吸引され、ポンプ88から排気される。
【0060】
ヘッドタンク80中の空気が排気されと、インクカートリッジ81中のインクがヘッドタンク80中に吸引され、図5(b)に示すように、空気量検知センサ103bがヘッドタンク80内のインクの液面を検知したところで、ポンプ88を停止する。この時点では、ヘッドタンク80内のフィルタ109の下部にはインクは充填されていない。そこで、ポンプ84を駆動して記録ヘッド1のノズル側からインクを吸引する。その後、キャップ83を移動して、図示しないワイパーでノズル面を払拭してワイピングを行い、ノズルにメニスカスを形成して、記録ヘッド1は画像形成することが可能な状態となる。
【0061】
インク吐出時やノズル回復動作としてのキャップ吸引時には、ヘッドタンク80内が負圧になり、排気タンク60内のシール液63に対してヘッドタンク80側に逆流する力が作用するが、高粘度のシール液63が収縮部64を通過する抵抗よりもインクカートリッジ81からインクがヘッドタンク80に供給される流体抵抗が十分小さいので、シール液63は逆流せず図4(a)又は(b)に示すシール液63の状態を維持する。シール液63の粘度が小さい場合やキャップ83からの吸引量が多い場合には、拡張部65を設けることでキャップ吸引時等のシール液63のヘッドタンク80への逆流防止のバッファーとして機能させることができる。本実施形態では、シール液63を用いてヘッドタンク80の空気層を液体シールしているので、ポンプ88の非駆動時にシール性を必要としないので、ポンプ88を簡易で安価なものにすることができる。また、1つのポンプ88のみで、ヘッドタンク80とインクカートリッジ81の水頭差により記録ヘッド1に安定な負圧を形成できると共に、空気排出も行えるので、簡単な構成で長期にわたり安定したインク吐出を実現することができる。
【0062】
(実施形態3)
図6、7を参照にして、本プリンタに適用可能な別の液体吐出装置について説明する。図6に示す液体吐出装置のヘッドタンク80は、図4に示した実施形態の液体吐出装置と同様の構成であるが、ヘッドタンク80には、液体供給チューブ16を介してバッファータンク70が接続されている。バッファータンク70には大気開放弁51とインクの液位を管理するインク液位検知センサ74が設けられ、バッファータンク70の内部にフィルタ75によってろ過されたインクがインクカートリッジ76からポンプ78により供給される。
【0063】
大気開放弁51は、常開の弁であり、先の図4に示した実施形態の液体吐出装置と同じように、バッファータンク70内の液面と記録ヘッド1のノズル面との間の水頭差によって安定した負圧を形成している。ヘッドタンク70の上部には排気チューブ112が接続される。排気チューブ112の他端には、排気タンク60が接続されている。排気タンク60は、図4に示した構成とほぼ同じであるが、空気層82の空気を吸引するポンプ88を備えず、多孔質体62aなどからなる排気部62のみとし構成を簡略化している。排気チューブ112の途中には逆止弁85を設けている。本実施形態の逆止弁85は図7に示すように、内部にアンブレラ弁86を有し、図7(a)に示すの矢印Eの流れに対しては、アンブレラ弁86が連通孔87を塞いで流れを停止し、図7(b)に示す矢印Fの流れに対しては、アンブレラ弁86が変形して連通孔87を開放して流体を流す機能を有する。
【0064】
本実施形態では、例えば、ヘッドタンク80へのインク充填や、ヘッドタンク80からの空気排出時には排気チューブ112を空気が容易に流れて行くことができる。また、記録ヘッド1へのインク充填や、記録ヘッド1が吐出不良となった場合の回復動作で、記録ヘッド1のノズル面をキャップで密閉してインク吸引する場合には、アンブレラ弁86が排気チューブ112の逆流を閉鎖するので、効率よく記録ヘッド1にインクを供給することができる。なお、排気チューブ112の他端を排気タンク60のシール液63で液体シールしているので、逆止弁85は簡易なものとすることができる。本実施形態では、逆止弁85を設けているので、例えば、記録ヘッド1により多くのノズルが設けられ、ノズルからのインク吸引をより強力に行なわなければならない場合でも、排気チューブ112からの空気やシール液63の逆流を防止することができる。
【0065】
(実施形態4)
本発明の画像形成装置の実施形態を、図8〜18を参照しながら説明する。図8は、搬送される最大の紙幅に対応した長さを有する液体吐出ヘッドとしてのヘッドアレイユニット100(100K,100C,100M,100Y)が異なる4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクごとに4つ設けられたラインプリンタを示す。4つのヘッドアレイユニット100はヘッドフレーム36に固定されており、図示しないヘッド昇降機構により4ヘッド同時に上下に移動可能な構成となっている。
【0066】
ヘッドアレイユニット100は、図9に示すヘッドアレイユニットのように、複数の短尺形態の記録ヘッド1(図9では1a〜1fの6ヘッド)を千鳥配列し、ヘッドタンクとしてのヘッド固定部材20に位置決め固定して形成している。個々の記録ヘッド1は、先の実施形態と同様に図10に示すようなサーマル方式の液体吐出ヘッドである。
【0067】
記録ヘッド1は、図10に示すように発熱体4の駆動によるインクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室6内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)へのインクの流れ方向とノズル5の開口中心軸とを直角となしたサイドシューター方式の構成のものである。記録ヘッド1としては、圧電素子を用いて振動板を変形させたり、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に適用することができるが、サーマルヘッド方式はノズル密度を高密度化しやすいという利点がある一方で原理上ヘッド内に空気を発生しやすく空気排出の問題が他の方式に比べて大きいので、本発明の効果が大きい。サーマルヘッド方式の中には、他にも吐出方向が異なるエッジシューター方式があるが、このエッジシューター方式においては空気が消滅する際の衝撃により発熱体4を徐々に破壊する、いわゆるキャビテーション現象の問題がある。サイドシューター方式においては空気が成長し、その空気がノズル5に達すれば空気が大気に通じることになり温度低下による空気の収縮が起こらない。そのため、記録ヘッドの寿命が長いという長所を有する。また、発熱体4からのエネルギーをより効率良くインク滴の形成とその飛行の運動エネルギーへと変換でき、またインクの供給によるメニスカスの復帰も速いという構造上の利点を有する。したがって、本装置においてはサイドシューター方式を採用している。
【0068】
図9に示したヘッドアレイユニット100の仮想平面Aにおける断面図を図11に示す。図11は、図9の断面Aを排気ポート12側から見たもので、記録ヘッド1に液体供給口22を介して、液体としてのインクを供給する液体供給路21がヘッド固定部材20内部に形成されている。また、液体供給路21の上部には液体供給路21内の空気量を検知する空気量検知センサ103が設けられている。図11の空気量検知センサ103は電極対としており、その先端が異なる位置に設けられて、複数の液面状態を検知することができるようになっている。ヘッドアレイユニット100の図11のHH断面における断面図を図12(a)に、GG断面における断面図を図12(b)に示す。図12に示すように液体供給路21は、全ての記録ヘッド1に連通しており、一方の端部に液体供給ポート13、もう一方の端部に排気ポート12が設けられて、インクが外部から供給される形態となっている。液体供給ポート13は液体供給路21の底面近傍に設けられ、排気ポート12は液体供給路21の天面近傍に設けられた構成となっている。
【0069】
本実施形態ではサーマル方式のヘッドを搭載しているので、ヘッド固定部材20の材質としては、熱伝導性の良好な材質であることが好ましい。例えば、金属等の熱伝導率の大きな材質で形成すると、記録ヘッド1から発生する熱を効果的に奪って記録ヘッド1の蓄熱を防止することができる。熱伝導率が大きい材料として、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の熱伝導性フィラーが充填された樹脂も好適である。樹脂材料を用いると、各ポートや液体供給路等と一体的に形成することができ、生産性が向上する。また、SUS等の発泡金属(例えば、予備径600μm、気孔率95%程度のもの)も温度調節液体との接触面積が大きくなるので、温度調節流体流路に使う材料として適している。更にヘッド固定部材20の記録ヘッド1を固定する部分を構成する部分を金属等の高熱伝道材料で形成し、液体供給路21を安価な樹脂成型品で形成して両者を積層する方法も有効である。
【0070】
ヘッドアレイユニット100へのインク供給形態について、図13を用いて説明する。図13において、バッファータンク70はヘッドアレイユニット100にインクを供給すると共に、空気を受け入れて外部に排出する機能を有するもので、上部に大気開放弁51に接続した大気開放口73を有するインク室71が設けられている。また、インク室71の上部には液位検知センサ74が設けられている。液位検知センサ74は、前述の実施形態の空気量検知センサ103と同様の構造のもので、高さの異なる2つの液面を検知可能な構成となっている。液位検知センサ74は本実施形態の電極対方式に限らず、フロート部材を用いて液面検知する方法や光学的に液面検知する方法など、他の方式を用いることもできる。
【0071】
インク室71には、インクカートリッジ76が接続されており、フィルタ75によってろ過されたインクがポンプ78によってバッファータンク70のインク室71に補充可能な構成となっている。インク室71の底面にはインクポートが設けられ、ヘッドアレイユニット100のヘッド固定部材20の液体供給ポート13に接続されている。インク室71のインク量は、インク液面とヘッドアレイユニット100の水頭差hが一定の値(およそ10〜150mm)になるように液位検知センサ74によって管理される。一方、ヘッド固定部材20の排気ポート12には、排気チューブ112が接続され、その他端は空気排出容器としての排気タンク60のチューブ接続部66に接続される。排気タンク60の内部には、シール液63が貯留された液体貯留部61が設けられ、液体貯留部61の底部とチューブ接続部66は、排気タンク60に一体的に形成された管路67で連通した構造としている。管路67には液体貯留部61との接続部近傍に収縮部64が設けられる。さらに、管路67のチューブ接続部66近傍には、液体貯留部61内の高粘度液63の液面よりも高い位置に拡張部65が設けられる。
【0072】
液体貯留部61の上部は、例えば高発泡樹脂や多孔質樹脂フィルム、発泡金属、金属メッシュ、多孔質セラミクスのような多孔質体からなる排気部となっており、空気の出入りが自由に行なわれる。
【0073】
ここで、排気タンク60への高粘度液63の充填方法について、図14を参照しながら説明する。まず、図14(a)に示すように、チューブ接続部66を封止部材68によってシールする。シール方法としては、ゴムなどの弾性部材を密着させる方法や粘着テープを貼る方法など様々な方法を用いることができる。次に、液体貯留部61の上部の開口部62からシール液63を液体貯留部61に注ぎ込む(図14(b)参照)。この時、チューブ接続部66をシールしているので、高粘度液63はタンク底部に設けられた管路67の収縮部64には流れない。次に図14(c)に示すように、液体貯留部61の上部の開口部62を多孔質体62aで蓋をし、さらにその上に封止部材69を設けて多孔質体62aの上部をシールする。この封止部材69としては、粘着テープが好適である。最後に図14(d)に示すように封止部材68を除去する。封止部材69は、後に除去する必要があるが、プリンタを稼働させる直前に除去することが好ましい。
【0074】
次に、本実施形態のプリンタのインク供給及び空気排出等について、図15も参照して説明する。図15(a)は、バッファータンク70及びヘッドアレイユニット100のいずれにもインクが入っていない状態を示している。封止部材69を排気タンク60から除去し、バッファータンク70に接続された大気開放弁51を開いて、ポンプ78を駆動すると、インクカートリッジ76内のインクはフィルタ75でろ過されて、バッファータンク70に流入する。バッファータンク70内のインク液面が上昇し、液位検知センサ74bが、液面を検知する図15(b)の状態でポンプ78を停止する。次に、大気開放弁51を閉じ、排気弁52を開いて再びポンプ78を駆動すると、インクは液体供給チューブ16を通って、ヘッドアレイユニット100に供給される。この時、ヘッドアレイユニット100内の液体流路21内の空気は、排気チューブ112に押し出され、排気タンク60内の高粘度液63を通って排気部62から排出される。液体流路21内の空気量検知センサ103bが液面を検知した時点で排気弁52を閉じる。この状態では、ポンプ78の作用で液体流路21内は正圧となり、液体流路21内のインクは強制的に各記録ヘッド1に充填される。この充填状態を所定の時間行なった後、ポンプ78を停止させる。その後、大気開放弁51と排気弁52を開き、ノズル面をワイピングしてノズルにメニスカスを形成すれば、図13のhで示す水頭差が得られ、ヘッドアレイユニット100でインク吐出が可能となる。
【0075】
本実施例のプリンタの記録紙の搬送に関して図8を参照して説明する。ヘッドアレイユニット100のすぐ下方には、インクにより画像が記録される記録紙が搬送される。記録紙は、給紙トレイ38に積載保持されており、図示しない分離給紙機構により1枚ずつ送り出され、紙搬送ベルト30によって搬送され、記録完了後、排紙トレイ39に排紙される。紙搬送ベルト30はベルト搬送ローラ31とテンションローラ32によって張架されており、表層は樹脂材で構成された高抵抗層、裏層は樹脂材料にカーボンによる抵抗制御を行った中抵抗層の2層構造である。この紙搬送ベルト30には、金属ローラの外層に中抵抗層が形成され最外層に薄い高抵抗層が形成された帯電ローラ33が接触されており、帯電ローラ33に高電圧を印加することにより、紙搬送ベルト30と帯電ローラ33のニップ部近傍のエアーギャップで放電が生じ、紙搬送ベルト上に電荷が付着する。帯電ローラ33に印加する電圧を正負の交流電圧とすると、紙搬送ベルト上には正負の電荷が交互にストライプ状に付着する。このように帯電した紙搬送ベルト30に記録紙を供給すると、静電力によって記録紙が紙搬送ベルト30に吸着する。記録紙が強固に紙搬送ベルト30に保持された状態で印字を行うことができるため、高速に用紙を搬送しながら印字を行う場合でも、安定した印字品質を得ることができる。なお、本実施例では静電吸着ベルトを用いて用紙搬送を行っているが、エアー吸着によって記録紙をベルトに吸着させて搬送する方式でも高速でかつ良好な画像形成を行うことができる。
【0076】
印字により、消費されるインクはバッファータンク70から自然に供給されるので、印字が進むにつれてバッファータンク70内の液面が下降する。液位検知センサ74aの先端よりも液面が下がったことを検知した場合には、大気開放弁51を開いたままでポンプ78を駆動し、バッファータンク70にインクを補充する。このようにすることによって、常に水頭差hを所定の範囲に維持することができ、安定した画像形成ができる。なお、印字デューティーが大きく、記録ヘッド1からのインク吐出によるポンピング作用のみではインク供給が不足する場合には、大気開放弁51、排気弁52を閉じてポンプ78を微駆動し、インク供給をサポートするようなこともできる。
【0077】
画像形成時、記録ヘッド1の駆動に伴うポンピング作用により、液体供給チューブ16からインクを供給するように作用する圧力は、排気チューブ112側にも作用し、空気を逆流させる向きに働く。しかしながら、排気経路はその先端がシール液63によって液体シールされているため、空気が逆流するためにはシール液63が液体供給チューブ112の方に向かって流れることが必要となる。排気タンク60には収縮部64が形成されており、液体シールしているシール液63の粘度が高いため排気タンク60からシール液63が逆流する際の流体抵抗は液体供給チューブ16を通してインクが供給される際の流体抵抗より遥かに大きいので、高粘度液63が逆流することはない。
【0078】
ヘッド目詰まり等により、所望の画質が得られなくなった場合の回復方法について説明する。ヘッドの目詰まりやインクの吐出曲がり等が生じた場合は、ヘッドアレイユニット100の回復動作を行う。図8の状態からヘッドアレイユニット100が上方に移動し、維持ユニット35が水平方向に移動(図8の状態から図面の右方向に移動)してヘッドアレイユニット100の真下に配置される。そして、ヘッドアレイユニット100が少し下降して、図16、図17に示すように、維持ユニット35のキャップ40に密着した状態にする。この状態で、大気開放弁51と排気弁52を閉じてポンプ78を駆動してインクを一定量ヘッドアレイユニット100に送り込む。大気開放弁51と排気弁52が閉じているので、インクはヘッドアレイユニット100のノズル5から排出される。この排出されるインクと一緒にヘッドの目詰まりの原因となっていた空気や異物が除去される。ポンプ78を停止後、ヘッドアレイユニット100をキャップと非接触状態になるレベルに上昇し、維持ユニット35を水平方向に移動(図17に示す状態から図面の右方向に移動)して、図18に示すように、ヘッドアレイユニット100のノズル面をワイパブレード41でワイピングする。ワイピングにより、ノズル5にメニスカスが形成された後、大気開放弁51と排気弁52を開いて、ヘッドアレイユニット100を水頭差hに相当する負圧状態に保持する。キャップ40内には、ヘッドアレイユニット100から排出されたインクが溜まるので、それをポンプで吸引して廃液タンク44に廃出する。なお、キャップ内のインクを、フィルタを用いてろ過すれば、廃液タンク44ではなくバッファータンク70に戻すようにして、吸引したインクをも再利用することも可能である。その後、ヘッドアレイユニット100の昇降、及び維持ユニット35の水平移動により図8に示す状態で記録動作を行うか、図16に示す状態で記録指示があるまで待機する。この回復動作により、目詰まりが解消し、ヘッドアレイユニット100を良好な状態に維持することができる。
【0079】
ヘッドアレイユニット100の、液体供給路21からの空気排出について説明する。インクを吐出して画像形成を行なう装置においては、液体供給経路を構成する部材の透気、透湿やカートリッジの着脱時の経路内への空気混入などにより、経時的にインク供給経路内に空気が蓄積する。本実施形態の場合においては、ヘッドアレイユニット100の液体供給路21に空気が蓄積する。蓄積空気量が一定量を超えると、前述したように温度変化による不具合や、記録ヘッド1への空気混入によるインク吐出不良の原因となるので排気する必要がある。本実施形態の場合は、図13に示す液体供給路21内の空気量検知センサ103a先端よりも液面が下がったことを検知した場合に、空気排出動作を行うようにしている。具体的には、バッファータンク70の大気開放弁51を閉じてポンプ78を駆動する。これにより、インクカートリッジ76から供給されるインクに液体供給路21内の空気が排気チューブ112に押し出され、排気タンク60から空気が排出される。液体供給路21内の液面を空気量検知センサ103bが検知した時にポンプ78を停止し、大気開放弁51を開放する。これにより、液体供給路21内の空気量を適量に戻し、安定した画像形成が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の画像形成装置(インクジェットプリンタ)の概略構成図;(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図2】ヘッドタンクの構造図;(a)は横方向断面図、(b)は縦方向断面図である。
【図3】本発明の液体吐出装置の実施形態の概略図;(a)はインク供給前、(b)はインク供給中、(c)はインク供給完了状態を表す。
【図4】本発明の液体吐出装置の他の実施形態の概略図
【図5】図4に示す液体吐出装置へのインク供給動作説明図;(a)はインク供給前、(b)はインク供給中を表す。
【図6】本発明の液体吐出装置の他の実施形態の概略図
【図7】逆止弁の作動説明図
【図8】本発明の画像形成装置であるラインプリンタの構成図
【図9】ヘッドアレイユニットの斜視図
【図10】記録ヘッドの断面図
【図11】図9に示したヘッドアレイユニットのA面断面図
【図12】図9に示したヘッドアレイユニットの縦方向断面図;(a)は垂直断面図、(b)は水平断面図である。
【図13】図9に示したヘッドアレイユニットを含む本発明の液体吐出装置の概略図
【図14】排気タンクへの高粘度液の充填方法説明図
【図15】図13に示した液体吐出装置におけるインク供給の説明図;(a)はインク供給前、(b)はインク供給途中の状態を表す。
【図16】図9に示したヘッドアレイユニットの回復操作の説明図
【図17】記録ヘッドのキャッピングの説明図
【図18】記録ヘッドのワイピングの説明図
【符号の説明】
【0081】
1 :記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
4 :発熱体
5 :ノズル
6 :液室
8 :用紙
12 :排気ポート
13 :液体供給ポート
16 :液体供給チューブ
20 :ヘッド固定部材
21 :液体供給路
22 :液体供給口
30 :紙搬送ベルト
31 :ベルト搬送ローラ
32 :テンションローラ
33 :帯電ローラ
35 :維持ユニット
38 :給紙トレイ
39 :排紙トレイ
40 :キャップ
41 :ワイパブレード
44 :廃液タンク
51 :大気開放弁
52 :排気弁
60 :排気タンク(空気排出容器)
61 :シール液貯留部
62 :排気部
62a :多孔質体
63 :シール液
64 :収縮部
65 :拡張部
66 :チューブ接続部
67 :管路
68 :封止部材
69 :封止部材
70 :バッファータンク
71 :インク室
73 :大気開放口
74,74a,74b :液位検知センサ
75 :フィルタ
76 :インクカートリッジ
77 :カートリッジホルダ
78 :ポンプ
79 :大気開放口
80 :ヘッドタンク
81 :インクカートリッジ
82 :空気層
83 :キャップ
84 :ポンプ
85 :逆止弁
86 :アンブレラ弁
87 :連通孔
88 :ポンプ
100,100K,100C,100M,100Y :ヘッドアレイユニット
101 :ヘッドタンク
103,103a,103b :空気量検知センサ
104 :圧力センサ
106 :フィラー
107 :フィルム部材
108 :ばね
109 :フィルタ
110 :インク供給ポート
111 :排気ポート
112 :排気チューブ
120 :キャリッジ
122 :ガイドロッド
123 :側板
125 :搬送ローラ
126 :押さえコロ
128 :用紙ガイド部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体を収容し、下部が前記液体吐出ヘッドに連通しているヘッドタンクと、
前記ヘッドタンクに前記液体を給送する給送手段とを備えた液体吐出装置であって、
前記ヘッドタンク中の空気を、貯留するシール液を介して大気中に排出する空気排出容器と、
一端が前記ヘッドタンク上部の空気層に開口し、他端が前記空気排出容器中のシール液中に開口する空気排出管と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記空気排出容器の上部は、大気中に開放されていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記空気排出容器の上部は、多孔質体を介して大気中に開放されていることを特徴とする請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記シール液は、前記液体よりも粘度又は密度が大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記シール液は、不揮発性又は低揮発性液体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記ヘッドタンクは、少なくとも一部の面が可とう性フィルムで形成され、前記ヘッドタンクの容積を増加させる方向に前記可とう性フィルムを付勢する弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記給送手段は、大気開放自在なバッファータンクに接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記空気排出管の他端は、前記空気排出容器の底部に開口してシール液に連通していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記空気排出管は、前記空気排出容器中のシール液が前記ヘッドタンク中に流入することを防ぐ逆流防止手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記空気排出管は、前記シール液の液面よりも高い位置に拡張部を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記空気排出管は、前記シール液との連通部近傍に収縮部を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記空気排出管は、前記空気排出容器中のシール液が前記ヘッドタンク中に流入することを防ぐ逆止弁を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記ヘッドタンクは、前記液体の液位を検知する液位検知手段を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の液体吐出装置を備えた画像形成装置。
【請求項1】
ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体を収容し、下部が前記液体吐出ヘッドに連通しているヘッドタンクと、
前記ヘッドタンクに前記液体を給送する給送手段とを備えた液体吐出装置であって、
前記ヘッドタンク中の空気を、貯留するシール液を介して大気中に排出する空気排出容器と、
一端が前記ヘッドタンク上部の空気層に開口し、他端が前記空気排出容器中のシール液中に開口する空気排出管と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記空気排出容器の上部は、大気中に開放されていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記空気排出容器の上部は、多孔質体を介して大気中に開放されていることを特徴とする請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記シール液は、前記液体よりも粘度又は密度が大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記シール液は、不揮発性又は低揮発性液体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記ヘッドタンクは、少なくとも一部の面が可とう性フィルムで形成され、前記ヘッドタンクの容積を増加させる方向に前記可とう性フィルムを付勢する弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記給送手段は、大気開放自在なバッファータンクに接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記空気排出管の他端は、前記空気排出容器の底部に開口してシール液に連通していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記空気排出管は、前記空気排出容器中のシール液が前記ヘッドタンク中に流入することを防ぐ逆流防止手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記空気排出管は、前記シール液の液面よりも高い位置に拡張部を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記空気排出管は、前記シール液との連通部近傍に収縮部を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記空気排出管は、前記空気排出容器中のシール液が前記ヘッドタンク中に流入することを防ぐ逆止弁を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記ヘッドタンクは、前記液体の液位を検知する液位検知手段を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の液体吐出装置を備えた画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−58294(P2010−58294A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223961(P2008−223961)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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