説明

液体吐出装置及び液体吐出方法

【課題】ノズルから吐出される液体の濃度を均一にして印刷画質を安定させる。
【解決手段】本発明に係る液体吐出装置は、液体を収容し、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口を有する液体収容部と、複数の前記流出口のそれぞれに対応して設けられ、当該流出口から流出した液体が流れる複数の流路と、複数の前記流路のそれぞれに対応して設けられた複数の流入口を有し、当該流入口のそれぞれから流入した液体が合流する液体合流部と、前記液体合流部により合流した液体を媒体に吐出するノズルを有するヘッドと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置の一例として、紙やフィルム等の各種媒体にインク等の液体を吐出して、画像の印刷を行うインクジェットプリンターが知られている。このインクジェットプリンターは、液体を収容する収容部と、液体を媒体に吐出するノズルを有するヘッドと、を備えている。そして、液体の吐出によりヘッド内の液体量が減少すると、収容部から液体が補給される(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−246908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このインクジェットプリンターでは、使用されない状態が長時間継続すると、収容部に収容される液体が沈降する場合がある。そして、液体が沈降すると、収容部内の上側と下側とで濃度差が生じてしまう。その結果、このような沈降後の液体を用いて印刷した画像は、その画質が安定しないものとなってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノズルから吐出される液体の濃度をなるべく均一にして、印刷画質の安定性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための主たる発明は、
液体を収容し、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口を有する液体収容部と、
複数の前記流出口のそれぞれに対応して設けられ、当該流出口から流出した液体が流れる複数の流路と、
複数の前記流路のそれぞれに対応して設けられた複数の流入口を有し、当該流入口のそれぞれから流入した液体が合流する液体合流部と、
前記液体合流部により合流した液体を媒体に吐出するノズルを有するヘッドと、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】液体吐出装置1の構成を示す概略図である。
【図2】液体吐出装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】インク補給ユニット35の構成を説明する図である。
【図4】インクの合流を説明するための図である。
【図5】インク補給ユニット35の他の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
即ち、液体を収容し、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口を有する液体収容部と、
複数の前記流出口のそれぞれに対応して設けられ、当該流出口から流出した液体が流れる複数の流路と、
複数の前記流路のそれぞれに対応して設けられた複数の流入口を有し、当該流入口のそれぞれから流入した液体が合流する液体合流部と、
前記液体合流部により合流した液体を媒体に吐出するノズルを有するヘッドと、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、液体収容部内の液体を液体合流部により合流させることで、ノズルから吐出される液体の濃度をなるべく均一にして、印刷画質の安定性を向上させることができる。
【0011】
また、かかる液体吐出装置であって、
前記液体合流部は、
前記複数の流入口のそれぞれから流入した液体を合流させるための第一合流部と、
前記第一合流部により合流した液体を分流させるための分流部と、
前記分流部により分流した液体を再び合流させるための第二合流部と、
を有することとしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、液体収容部から流出した液体をより積極的に混ぜ合わせることができる。
【0012】
また、液体を収容し、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口を有する液体収容部と、
複数の前記流出口のそれぞれに対応して設けられ、当該流出口から流出した液体が流れる複数の流路と、
複数の前記流路のそれぞれに対応して設けられた複数の流入口を有し、当該流入口のそれぞれから流入した液体が合流する液体合流部と、
前記液体合流部により合流した液体を媒体に吐出するノズルを有するヘッドと、
を備えた液体吐出装置を用いて前記媒体に液体を吐出することを特徴とする液体吐出方法である。
このような液体吐出方法によれば、液体収容部内の液体を液体合流部により合流させることで、ノズルから吐出される液体の濃度をなるべく均一にして、印刷画質の安定性を向上させることができる。
【0013】
===第一実施形態===
以下、本発明の第一実施形態に係る液体吐出装置1について説明する。
【0014】
<<<液体吐出装置1の構成例について>>>
液体吐出装置1の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、液体吐出装置1の概略断面図である。図2は、液体吐出装置1のブロック図である。
【0015】
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
また、本実施の形態においては、液体吐出装置1が画像を記録する媒体として、ロール状に巻かれた用紙やフィルム(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
【0016】
さらに、本実施の形態においては、液体吐出装置1が媒体に画像を記録するために使用する液体の一例としてインク(例えば、顔料インク)を用いて説明する。顔料インクは、色素となる顔料粒子を溶媒内に分散させたものである。この顔料インクは、長時間放置することにより顔料粒子が沈降する場合がある。
【0017】
本実施の形態に係る液体吐出装置1は、図1及び図2に示すように、搬送部の一例としての搬送ユニット20と、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路に沿って、給送ユニット10と、媒体支持部の一例としてのプラテン29と、巻き取りユニット90と、を有し、さらに、搬送経路上の印刷領域Rにおいて印刷を行うためのヘッドユニット30と、インクを補給するためのインク補給ユニット35と、ヘッド移動部の一例としてのキャリッジユニット40と、熱供給部の一例としてのヒーターユニット70と、プラテン29上のロール紙2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し液体吐出装置1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
【0018】
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持される巻軸18と、巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
【0019】
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方(プラテン29から見て搬送方向上流側)に位置する第一搬送ローラー23と、第一搬送ローラー23から見て右方(プラテン29から見て搬送方向下流側)に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する反転ローラー25と、反転ローラー25から見て右方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て上方に位置する送り出しローラー27と、を有している。
【0020】
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
【0021】
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン29に対向する印刷領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、印刷領域R上のロール紙2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン29上に位置させるロール紙2の搬送量(ロール紙の部位の長さ)が調整される。
【0022】
搬送ユニット20は、上述したとおり、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間に巻き掛けたロール紙2の部位を下方に弛ませて搬送する機構を有している。このロール紙2の弛みは、コントローラー60により、不図示の弛み検出用センサーからの検出信号に基づき監視される。具体的には、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間において弛ませたロール紙2の部位を、弛み検出用センサーが検出した場合には、該部位に適切な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20はロール紙2を弛ませた状態で搬送することが可能となる。一方、弛み検出用センサーが弛ませたロール紙2の部位検出しない場合は、該部位に過剰な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送が一時的に停止され、張力が適切な大きさに調整される。
【0023】
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動される第二駆動ローラー24aと、該第二駆動ローラー24aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第二従動ローラー24bとを有している。この第二搬送ローラー24は、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール紙2の部位を、プラテン29の支持面に沿って水平右方向に搬送した後に鉛直下方に搬送するローラーである。これにより、ロール紙2の搬送方向が転換されることになる。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二駆動ローラー24aの回転駆動に伴って第二従動ローラー24bが回転することによって、プラテン29上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
【0024】
反転ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー26は、反転ローラー25から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて上方に向かって搬送するローラーである。
送り出しローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット90に送り出すようになっている。
【0025】
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。なお、ロール紙2は、搬送ユニット20により、印刷領域Rと対応した領域単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送される。
【0026】
ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の印刷領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール紙2の部位に、インクを吐出するためのものである。このヘッドユニット30は、ヘッド31を有している。
ヘッド31は、その下面に、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯180からなるノズル列を有している。
【0027】
各ノズル列の各ノズル♯1〜♯180は、ロール紙2の搬送方向に交差する方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル列は、ヘッド31の移動方向(走査方向)に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル♯1〜♯180には、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯180から吐出される。
【0028】
インク補給ユニット35は、ヘッド31によるインクの吐出に起因してヘッドユニット30内のインクの量が減った際に、ヘッドユニット30にインクを補給するためのものであり、インクの色ごとに複数設けられている。インク補給ユニット35は、インク供給チューブを介してヘッドユニット30(ヘッド31)に接続されている。このため、ヘッド31は、インク補給ユニット35から供給されたインクをノズルからプラテン29上に搬送されて停止された状態のロール紙2の部位に向けて吐出することにより、画像印刷を行うことができる。なお、インク補給ユニット35の具体的構成については、追って詳述する。
【0029】
キャリッジユニット40は、ヘッド31を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、左右方向に延びるガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、ガイドレール41に沿って左右方向(移動方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
【0030】
キャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッド31と一体となって移動するよう構成されている。キャリッジ42(ヘッド31又は各ノズル列)のガイドレール41における位置(左右方向の位置)は、コントローラー60が不図示のモーターに設けられたエンコーダーから出力されるパルス信号における立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出してこのエッジをカウントすることにより、求めることができる。
【0031】
そして、キャリッジ42は、画像印刷後にヘッド31のクリーニングを行う際、ヘッド31と一体となってガイドレール41に沿って搬送方向の上流側(プラテン29から見て搬送方向上流側)へ移動し、クリーニングを行うホームポジションHPで停止する(図1参照)。
【0032】
ホームポジションHPには、不図示のクリーニングユニットが設けられている。このクリーニングユニットは、キャップと、吸引ポンプ等とを有している。キャリッジ42がホームポジションHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプ(不図示)が作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。
【0033】
プラテン29は、搬送経路上の印刷領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するとともに、該部位を加熱するものである。このプラテン29は、図1に示すように、搬送経路上の印刷領域Rに対応させて設けられ、かつ、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域に配置されている。そして、プラテン29は、ヒーターユニット70が発生させた熱の供給を受けることにより、ロール紙2の該部位を加熱することができる。
【0034】
ヒーターユニット70は、ロール紙2を加熱するためのものであり、不図示のヒーターを有している。このヒーターは、ニクロム線を有しており、当該ニクロム線をプラテン29内部に、プラテン29の支持面から一定距離となるように配置させて構成されている。このため、ヒーターは、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、プラテン29の支持面上に位置するロール紙2の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、プラテン29の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、プラテン29上のロール紙2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。本実施の形態において、プラテン上のロール紙2の部位の温度が45℃となるように、該ロール紙2の部位を均一に加熱する。これにより、該ロール紙2の部位に着弾されたインクを乾燥させることができる。
【0035】
送風ユニット80は、送風機の一例としてのファン81と、ファン81を回転させるモーター(不図示)とを備えている。ファン81は、回転することにより、プラテン29上のロール紙2に風を送り、ロール紙2に着弾されたインクを乾燥させるためのものである。このファン81は、図1に示すように、本体部に設けられた開閉可能なカバー(不図示)に複数設けられている。そして、この各々のファン81は、カバーが閉じた際に、プラテン29の上方に位置して、当該プラテン29の支持面(当該プラテン29上のロール紙2)と対向するようになっている。
【0036】
巻き取りユニット90は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像印刷済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット90は、送り出しローラー27から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー91と、回転可能に支持され中継ローラー91から送られたロール紙2を巻き取る巻き取り駆動軸92と、を有している。
【0037】
コントローラー60は、液体吐出装置1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110と液体吐出装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、液体吐出装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
【0038】
検出器群50は、液体吐出装置1内の状況を監視するものであり、例えば、搬送ローラーに取り付けられて媒体の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送される媒体の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の移動方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダーなどがある。
【0039】
<<<インク補給ユニット35の構成について>>>
ここでは、インク補給ユニット35の構成例について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、インク補給ユニット35の構成例を示す図である。図4は、インク供給チューブの断面を用いてインクの合流を説明する図である。
【0040】
インク補給ユニット35は、ヘッドユニット30にインクを供給するためのものであり、インクの色ごとに複数設けられている。すなわち、各インク補給ユニット35は、対応するヘッド31に異なる色のインクを補給するものである。なお、以下においては、各インク補給ユニット35は同様の構成からなるため、イエローインク(Y)を供給するインク補給ユニット35を例に挙げて説明する。
【0041】
インク補給ユニット35は、インクカートリッジICと、液体収容部の一例としてのサブインクタンクSTと、インクカートリッジICからサブインクタンクSTへインクが流れる流路の一例としての第一インク供給チューブ34と、液体合流部の一例としてのチューブユニットTYと、サブインクタンクSTからチューブユニットTYへインクが流れる流路の一例としての第二インク供給チューブ36と、を有している。
【0042】
<インクカートリッジIC>
インクカートリッジICは、ヘッドユニット30に供給するためのインクを収容するものである。このインクカートリッジICは、図3に示すように、第一インク供給チューブ34が接続され、鉛直方向下側の部位に設けられた流出口ICoを有している。そして、インクカートリッジICは、液体吐出装置本体に対して着脱可能に構成されている。
【0043】
<サブインクタンクST>
サブインクタンクSTは、インクカートリッジICからヘッドユニット30へ供給されるインクを一時的に収容するものである。このサブインクタンクSTは、図3に示すように、第一インク供給チューブ34が接続され鉛直方向上側の部位に設けられた流入口STiと、複数の第二インク供給チューブ36がそれぞれ接続され鉛直方向において異なる位置に設けられた複数の流出口SToと、を有している。
【0044】
そして、サブインクタンクSTは、液体吐出装置内部に固定されている。すなわち、サブインクタンクSTは、インクカートリッジICとは異なり、液体吐出装置本体に対して着脱することができない構成となっている。
【0045】
このように、サブインクタンクSTは、当該内部に固定されているため、ヘッド31がキャリッジ42と共に移動方向に移動したとしても、そのヘッド31の移動に応じて連動することはない。しかし、サブインクタンクSTからヘッド31へのインク補給は、サブインクタンクSTとヘッド31との間に、ヘッド31の移動量を考慮した長さのインク供給チューブを介在させることにより、確実に行われるようになっている。
【0046】
ここで、サブインクタンクSTに収容されるインクを長時間放置することによりインクの沈降が生じる場合がある。このような沈降により、図3に示すように、サブインクタンクST内において鉛直方向の上側と下側とで濃度差が生じてしまう。特に、インクが顔料インクの場合には、その沈降による濃度差が顕著に現れる。そして、このような沈降後のインクを用いて画像を印刷すると、時間の経過に伴って、濃い色の画像から薄い色の画像へと次第に変化することになるため、印刷画質の低下を招くことになってしまう。
【0047】
これに対し、本実施形態においては、サブインクタンクSTとヘッドユニット30との間に後述するチューブユニットTYを介在させて、濃度の異なる各インクを合流させることで、インク濃度の均一化を向上させている。この点については、追って詳細する。
【0048】
なお、サブインクタンクSTに収容されるインクが沈降するならば、インクカートリッジICに収容されるインクも当然に沈降することになる。しかし、インクカートリッジICは液体吐出装置本体に対して着脱可能に構成されているため、ユーザーが、インクカートリッジICを本体から取り外し、上下に振ることによって、このインクの沈降を解消することができる。
【0049】
<第一インク供給チューブ34>
第一インク供給チューブ34は、図3に示すように、インクカートリッジICの流出口ICoとサブインクタンクSTの流入口STiとを繋ぎ、インクを流すためのものである。その流路上には、バルブ34aと供給ポンプ34bが設けられている。
【0050】
バルブ34aは、第一インク供給チューブ34の流路を開閉するためのものであり、インクカートリッジICの交換時等に、コントローラー60からの制御信号に応答して開閉動作を行う。なお、バルブ34aは逆止弁となっているため、サブインクタンクSTからインクカートリッジICへインクが逆流することはない。
供給ポンプ34bは、コントローラー60からの制御信号に応答してインクカートリッジIC内のインクを吸引してサブインクタンクST内へ送り込むものである。
【0051】
この他、インクカートリッジIC内からサブインクタンクST内へのインク供給は、供給ポンプ34bに代わり図示されない供給ポンプが、コントローラー60からの制御信号に応答して圧縮した空気をインクカートリッジIC内に導き、インクカートリッジ内のインクパックを圧縮することで行ってもよい。
【0052】
<第二インク供給チューブ36>
第二インク供給チューブ36は、図3に示すように、サブインクタンクSTの流出口SToに対応して複数設けられており、サブインクタンクSTとチューブユニットTYとの間を繋ぎ、インクを流すためのものである。その流路上には、バルブ36aと供給ポンプ36bとが設けられている。
【0053】
バルブ36aは、第二インク供給チューブ36の流路を開閉するためのものであり、ヘッドユニット30へのインク供給時に、コントローラー60からの制御信号に基づき開閉動作を行う。なお、バルブ36aは逆止弁となっているため、チューブユニットTYからサブインクタンクSTへインクが逆流することはない。
【0054】
供給ポンプ36bは、ヘッドユニット30内のインクの量に応じて、サブインクタンクST内のインクを吸引してチューブユニットTY内へ送り込むものである。この供給ポンプ36bによるインク供給動作は、コントローラー60からの制御信号に基づき行われる。コントローラー60は、各流出口SToから同量のインクをそれぞれ吸い出すように供給ポンプ36bの動作制御を行う。これにより、各第二インク供給チューブ36を通過した同量の各インクがチューブユニットTYにそれぞれ流入することになるため、当該各インクが同量分だけ混ざり合うことで、より均一に混合することが可能となる。
【0055】
この他、サブインクタンクST内からチューブユニットTY内へのインク供給は、供給ポンプ36bに代わり、図示されないチューブポンプを用いることもできる。チューブポンプは特開2001−301195号公報に記載されたものを用いることができる。同号公報の図2に示すように、中空のチューブ103が例えばα(アルファ)状に配置されている。そして、このチューブ103に沿って、且つこのチューブ103を押し潰すようにローラ4が移動することで、キャップ17内のインクが吸引される構成となっている。
【0056】
<チューブユニットTY>
チューブユニットTYは、サブインクタンクSTとヘッドユニット30との間に設けられており、複数の第二インク供給チューブ36を介してサブインクタンクSTから供給された各インクを合流させるものである。
【0057】
このチューブユニットTYは、図3に示すように、第一合流部の一例としての合流用チューブユニットTY1と、分流部の一例としての分流用チューブユニットTY2と、第二合流部の一例としての再合流用チューブユニットTY3と、を有している。また、チューブユニットTYは、鉛直方向上側の端部に設けられた複数の流入口と、鉛直方向下側の端部に設けられた流出口を有している。
【0058】
ここで、サブインクタンクSTに収容されるインクは、長時間経過後に沈降するため、図3に示すように、サブインクタンクST内において鉛直方向の上側と下側とで濃度差が生じてしまう。かかる場合、サブインクタンクSTは、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口SToを有しているため、各流出口SToから濃度の異なる各インクを流出させることができる。そして、このチューブユニットTYは、サブインクタンクSTから供給された濃度の異なる各インクを合流させることにより、濃度の異なる各インクが互いに混じり合うことで、インク濃度の均一化を向上させることができる。チューブユニットTYの具体的構成は、以下のとおりである。
【0059】
サブインクタンクSTの各流出口SToから流出した濃度の異なる各インクは、各第二インク供給チューブ36を流れて行き、チューブユニットTYの鉛直方向上側の端部からそれぞれ流入する。流入すると、合流用チューブユニットTY1に到達する。
【0060】
合流用チューブユニットTY1は、図3に示すように、第二インク供給チューブ36を流れて鉛直方向の上側から流入してきた濃度の異なる各インクをそれぞれ下側へ流すことにより、濃度の異なる各インクを2組ずつ順次混ぜ合わせ、最終的に1つに混じり合ったインクを流出させる。この合流の結果、図4Aに示すように、合流用チューブTY1において最終的に1つになって流出されるインク(合流後のインク)は、合流前の各インクが多少は混ざり合った状態で流れて行くものの、そのインク自体の粘性等によって、当該各インクが十分に混ざり合わない状態(インク供給チューブ内において隣り合うインク同士が境界を形成しインク毎にまとまっている状態)で流れて行く傾向がある。したがって、合流用チューブTY1を用いるだけでは、インク濃度の均一化を向上させることができない。
【0061】
次に、分流用チューブユニットTY2は、図3に示すように、合流用チューブユニットTY1から流出してきた合流後のインクを流入させることにより、当該合流後のインクを2つに順次分岐させ、最終的に4つ分けて流出させる。
【0062】
このように、分流用チューブユニットTY2において、合流後のインクをあえて分流させたのは、上述したように、合流用チューブユニットTY1を通過したインクは、濃度の異なる各インクが十分に混ざり合っていない状態のままで流れて行く傾向があるため、後に続く再合流用チューブユニットTY3において再び各インクを合流させることによって、濃度の異なる各インクをより積極的に混ぜ合わせるためである。これにより、かかる傾向が緩和され、更なるインク濃度の均一化を図ることが可能となる。
【0063】
次に、再合流用チューブユニットTY3は、図3に示すように、分流用チューブユニットTY2から4つ分かれて流出してきた各インクをそれぞれ流入させることにより、当該各インクを2組ずつ順次混ぜ合わせ、最終的に1つに混じり合ったインクを流出させる。この合流の結果、再合流用チューブユニットTY3において最終的に1つになって流出されるインクは、合流用チューブユニットTY1から流出される合流後のインクに比べて、濃度の異なる各インクがより混ざり合った状態で流れて行くことになる。このように、インクの合流と分流とを繰り返すことで、インク濃度の均一化をより向上させることが可能となる。
【0064】
そして、再合流用チューブユニットTY3を通過した後、濃度均一化後のインクはヘッドユニット30(ヘッド31)に供給されることになる。
【0065】
<<<本実施の形態に係る液体吐出装置1の有効性について>>>
上述したとおり、本実施形態に係る液体吐出装置1は、インクを収容し、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口SToを有するサブインクタンクSTと、複数の流出口SToのそれぞれに対応して設けられ、当該流出口SToから流出したインクが流れる複数の第二インク供給チューブ36と、複数の第二インク供給チューブ36のそれぞれに対応して設けられた複数の流入口を有し、当該流入口のそれぞれから流入したインクが合流するチューブユニットTYと、を備えている。そして、このことにより、サブインクタンクSTから供給された濃度の異なる各インクをチューブユニットTYにおいて合流させることにより、濃度の異なる各インクが互いに混じり合うことで、インク濃度の均一化を向上させることができる。このため、長時間放置することによりインクの沈降が生じた場合でも、濃度の均一化が向上された画像を印刷することができるため、印刷画質の安定性を向上させることが可能となる。
【0066】
また、インクの沈降が生じた場合、インクカートリッジICにあっては、液体吐出装置本体に対して着脱可能に構成されているため、ユーザーがインクカートリッジICを本体から取り外して上下に振ることによって、インクの沈降を解消することができる。一方で、サブインクタンクSTは、液体吐出装置本体から着脱することができない構成となっているため、かかるメンテナンス作業を行うことができない。したがって、サブインクタンクSTにおいてインクの沈降が生じた場合には、本実施形態に係る発明は有効なものとなる。
【0067】
===第二実施形態===
次いで、本発明の第二実施形態に係る液体吐出装置1について説明する。
【0068】
<<<液体吐出装置1の構成例について>>>
第二実施形態に係る液体吐出装置1は、上述した第一実施形態に係る液体吐出装置1と同様に、搬送ユニット20と、給送ユニット10と、プラテン29と、巻き取りユニット90と、ヘッドユニット30と、インク補給ユニット35と、キャリッジユニット40と、ヒーターユニット70と、送風ユニット80と、コントローラー60と、検出器群50と、を有している。
しかしながら、第二実施形態に係る液体吐出装置1においては、インク補給ユニット35の構成が、第一実施形態に係る液体吐出装置1のものと異なる。
従って、第一実施形態とは異なる構成のインク補給ユニット35について、具体的に説明する。
【0069】
<<<インク補給ユニット35について>>>
ここでは、第二実施形態におけるインク補給ユニット35の構成例について、図5を用いて説明する。図5は、第二実施形態におけるインク補給ユニット35の構成例を示す図である。
【0070】
インク補給ユニット35は、ヘッドユニット30にインクを供給するためのものであり、インクの色ごとに複数設けられている。すなわち、各インク補給ユニット35は、対応するヘッド31に異なる色のインクを補給するものである。なお、以下においては、各インク補給ユニット35は同様の構成からなるため、イエローインク(Y)を供給するインク補給ユニット35を例に挙げて説明する。
インク補給ユニット35は、液体収容部の一例としてのインクカートリッジICと、液体合流部の一例としてのサブインクタンクSTと、インクカートリッジIからサブインクタンクSTへインクが流れる流路の一例としての第一インク供給チューブ34と、サブインクタンクSTからヘッドユニット30へ向ってインクが流れる流路の一例としての第二インク供給チューブ36と、を有している。
【0071】
<インクカートリッジIC>
第一実施形態とは異なり、第二実施形態におけるインクカートリッジICは、液体収容部の一例である。
【0072】
インクカートリッジICは、ヘッドユニット30に供給するためのインクを収容するものである。このインクカートリッジICは、図5に示すように、第一インク供給チューブ34がそれぞれ接続され鉛直方向において異なる位置に設けられた複数の流出口ICoと、を有している。そして、インクカートリッジICは、液体吐出装置本体に対して着脱可能に構成されている。
ここで、インクカートリッジICに収容されるインクを長時間放置することによりインクの沈降が生じる場合がある。このような沈降により、図5に示すように、インクカートリッジIC内において鉛直方向の上側と下側とで濃度差が生じてしまう。特に、インクが顔料インクの場合には、その沈降による濃度差が顕著に現れる。そして、このような沈降後のインクを用いて画像を印刷すると、時間の経過に伴って、濃い色の画像から薄い色の画像へと次第に変化することになるため、印刷画質の低下を招くことになってしまう。
【0073】
これに対し、本実施形態においては、サブインクタンクSTにおいて濃度の異なる各インクを合流させることで、インク濃度の均一化を向上させている。この点については、追って詳細する。
このため、インクの沈降を解消するために、ユーザーがインクカートリッジICを液体吐出装置本体から取り外して上下に振る、といった従来必要であったメンテナンス作業が一切不要となる。
【0074】
<サブインクタンクST>
第一実施形態とは異なり、第二実施形態におけるサブインクタンクSTは、液体合流部の一例である。
【0075】
サブインクタンクSTは、インクカートリッジICからヘッドユニット30へ補給されるインクを一時的に収容するものである。このサブインクタンクSTは、図5に示すように、複数の第一インク供給チューブ34がそれぞれ対応して接続され鉛直方向上側の端部に設けられた複数の流入口STiと、第二インク供給チューブ36が接続され鉛直方向下側の端部に設けられた流出口SToと、を有している。
そして、サブインクタンクSTは、液体吐出装置内部に固定されている。すなわち、サブインクタンクSTは、インクカートリッジICとは異なり、液体吐出装置本体に対して着脱することができない構成となっている。
【0076】
このように、サブインクタンクSTは、当該内部に固定されているため、ヘッド31がキャリッジ42と共に移動方向に移動したとしても、そのヘッド31の移動に応じて連動することはない。しかし、サブインクタンクSTからヘッド31へのインク補給は、サブインクタンクSTとヘッド31との間に、ヘッド31の移動量を考慮した長さのインク供給チューブを介在させることにより、確実に行われるようになっている。
【0077】
ここで、インクカートリッジICに収容されるインクは、長時間経過後に沈降するため、図5に示すように、インクカートリッジIC内において鉛直方向の上側と下側とで濃度差が生じてしまう。かかる場合、インクカートリッジICは、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口ICoを有しているため、各流出口ICoから濃度の異なる各インクを流出させることができる。そして、サブインクタンクSTは、インクカートリッジICから供給された濃度の異なる各インクを、鉛直方向上側の端部に設けられた各流入口STiからそれぞれ流入させることにより(合流させることにより)、濃度の異なる各インクが互いに混じり合うことで、ヘッドユニット30へ供給するインク濃度の均一化を向上させることができる。
【0078】
<第一インク供給チューブ34>
第一インク供給チューブ34は、図5に示すように、インクカートリッジICの流出口ICoに対応して複数設けられており、インクカートリッジICの流出口ICoとサブインクタンクSTの流入口STiとを繋ぎ、インクを流すためのものである。その流路上には、バルブ34aと供給ポンプ34bが設けられている。
【0079】
バルブ34aは、第一インク供給チューブ34の流路を開閉するためのものであり、インクカートリッジICの交換時やサブインクタンクSTへのインク供給時等に、コントローラー60からの制御信号に応答して開閉動作を行う。なお、バルブ34aは逆止弁となっているため、サブインクタンクSTからインクカートリッジICへインクが逆流することはない。
【0080】
供給ポンプ34bは、コントローラー60からの制御信号に応答して、インクカートリッジIC内のインクを吸引してサブインクタンクST内へ送り込むものである。この供給ポンプ34bによるインク供給動作は、コントローラー60からの制御信号に基づき行われる。コントローラー60は、各流出口ICoから同量のインクをそれぞれ吸い出すように供給ポンプ34bの動作制御を行う。これにより、各第一インク供給チューブ34を通過した同量の各インクがサブインクタンクSTにそれぞれ流入することになるため、当該各インクが同量分だけ混ざり合うことで、より均一に混合することが可能となる。
【0081】
この他、インクカートリッジIC内からサブインクタンクST内へのインク供給は、供給ポンプ34bに代わり図示されない供給ポンプが、コントローラー60からの制御信号に応答して圧縮した空気をインクカートリッジIC内に導き、インクカートリッジ内のインクパックを圧縮することで行ってもよい。
【0082】
<第二インク供給チューブ36>
第二インク供給チューブ36は、図5に示すように、サブインクタンクSTとヘッドユニット30とを繋ぎ、インクを流すためのものである。サブインクタンクST内で合流することによって濃度均一化されたインクは、この第二インク供給チューブ36を流れて行き、ヘッド31に供給されることになる。
【0083】
<<<本実施の形態に係る液体吐出装置1の有効性について>>>
上述したとおり、本実施形態に係る液体吐出装置1は、インクを収容し、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口ICoを有するインクカートリッジICと、複数の流出口ICoのそれぞれに対応して設けられ、当該流出口ICoから流出したインクが流れる複数の第一インク供給チューブ34と、複数の第一インク供給チューブ34のそれぞれに対応して設けられた複数の流入口STiを有し、当該流入口STiのそれぞれから流入したインクが合流するサブインクタンクSTと、を備えている。そして、このことにより、インクカートリッジICから供給された濃度の異なる各インクをサブインクタンクSTに合流させることにより、濃度の異なる各インクが互いに混じり合うことで、インク濃度の均一化を向上させることができる。このため、長時間放置することによりインクの沈降が生じた場合でも、濃度の均一化が向上した画像を印刷することができるため、印刷画質の安定性を向上させることが可能となる。
【0084】
また、従来のように、インクの沈降状態を解消させるべく、ユーザーがインクカートリッジICを本体から取り外して上下に振る、といったメンテナンス作業が不要になるため、インクカートリッジICにおいてインクの沈降が生じた場合には、本実施形態に係る発明は有効なものとなる。
【0085】
===その他の実施の形態===
本実施形態は、主として液体吐出装置について記載されているが、液体吐出方法等の開示も含まれる。また、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0086】
<液体吐出装置>
上記の実施形態においては、液体吐出装置としてインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、インク以外の他の液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体吐出装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体吐出装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体吐出装置が吐出させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する液体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体吐出装置に本発明を適用することができる。
【0087】
<チューブユニット>
上記の実施形態においては、合流用チューブユニットTY1と、分流用チューブユニットTY2と、再合流用チューブユニットTY3と、を有するチューブユニットTYを例に挙げて説明したが、この構成に限定されるものではない。たとえば、これらに加えて、再分流用チューブユニットや再々合流用チューブユニットを有するチューブユニットTYとしても良い。すなわち、合流と分流を繰り返す回数は適宜変更しても良い。合流と分流を繰り返すほど、さらにインク濃度の均一化を向上させることが可能となる。
また、上記の実施形態においては、合流用チューブユニットTY1、再合流用チューブユニットTY3において、各インクを2組ずつ混ぜ合わせていたが、これに限定されるものではない。また、分流用チューブユニットTY2においても、チューブの分岐流路を適宜変更しても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 液体吐出装置、2 ロール紙、 10 給送ユニット、
18 巻軸、19 中継ローラー、20 搬送ユニット、
21 中継ローラー、22 中継ローラー、
23 第一搬送ローラー、24 第二搬送ローラー、
25 反転ローラー、26 中継ローラー、27 送り出しローラー、
29 プラテン、30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
35 インク補給ユニット、40 キャリッジユニット、
41 ガイドレール、42 キャリッジ、50 検出器群、
60 コントローラー、70 ヒーターユニット、
80 送風ユニット、81 ファン、90 巻き取りユニット、
91 中継ローラー、92 巻き取り駆動軸、
110 ホストコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容し、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口を有する液体収容部と、
複数の前記流出口のそれぞれに対応して設けられ、当該流出口から流出した液体が流れる複数の流路と、
複数の前記流路のそれぞれに対応して設けられた複数の流入口を有し、当該流入口のそれぞれから流入した液体が合流する液体合流部と、
前記液体合流部により合流した液体を媒体に吐出するノズルを有するヘッドと、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像記録装置であって、
前記液体合流部は、
前記複数の流入口のそれぞれから流入した液体を合流させるための第一合流部と、
前記第一合流部により合流した液体を分流させるための分流部と、
前記分流部により分流した液体を再び合流させるための第二合流部と、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
液体を収容し、鉛直方向において異なる位置に複数の流出口を有する液体収容部と、
複数の前記流出口のそれぞれに対応して設けられ、当該流出口から流出した液体が流れる複数の流路と、
複数の前記流路のそれぞれに対応して設けられた複数の流入口を有し、当該流入口のそれぞれから流入した液体が合流する液体合流部と、
前記液体合流部により合流した液体を媒体に吐出するノズルを有するヘッドと、
を備えた液体吐出装置を用いて前記媒体に液体を吐出することを特徴とする液体吐出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−111079(P2012−111079A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260348(P2010−260348)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】