説明

液体吐出装置

【課題】廃液タンクの吸収体に均一に液体を吸収させる。
【解決手段】吸引パージ及びフラッシングにより排出されたインクは、チューブ16の排出口16aから廃液タンク9に排出される。廃液タンク9のタンク本体31内部には、回転軸33が挿通されたインク吸収体32が配置されており、吸引パージ及びフラッシングの直後に、回転軸33を回転させることによって、インク吸収体32を回転させる。このとき、インク吸収体32は、3色のカラーインクを排出させるカラーインクパージの直後に最も大きく回転させ、以下、ブラックのインクのみを排出させるブラックインクパージの直後、及び、フラッシングの直後の順に、インク吸収体32を大きく回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインクジェット記録装置(液体吐出装置)においては、記録ヘッド(液体吐出ヘッド)の正常なインク吐出状態を維持するために、回復用ポンプにより記録ヘッド内のインクを吸引している。そして、吸引されたインクはパイプによって廃インク収容部(廃液貯留手段)に送られ、廃インク収容部内に設けられた多孔質のインク吸収部材(吸収体)に吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−104014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のインクジェット記録装置では、記録ヘッドから排出されたインクが、インク吸収部材のうちパイプの先端部と対向している部分の近傍に集中的に吸収されることとなる。その結果、インク吸収部材に吸収されたインクの水分が蒸発しにくく、インクの水分が多量に廃インク収容部に残留することとなる。そのため、廃インク収容部からインクが溢れ出さないようにするために、廃インク収容部を大型のものにしなければならなくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、液体吐出ヘッドから排出された廃液を吸収体の各部分に均一に吸収させることが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから液体を排出させることによって、前記液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス手段と、前記メンテナンスにより前記液体吐出ヘッドから排出された液体を貯留する廃液貯留手段とを備え、前記メンテナンス手段は、前記液体吐出ヘッドからの液体の排出量が互いに異なる複数種類の液体排出動作のいずれかを選択的に実行し、前記廃液貯留手段は、液体を吸収する吸収体と、前記メンテナンス手段により前記液体吐出ヘッドから排出された液体を、前記吸収体に向けて移送するとともに、前記吸収体に排出する液体移送手段と、前記液体移送手段の前記吸収体に対する液体の排出位置を変更させる排出位置変更手段とを備え、前記排出位置変更手段は、前記液体排出動作の直前又は直後に前記排出位置を変更させ、且つ、当該液体排出動作における液体の排出量が多い場合ほど、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、液体排出動作の直前に排出位置を変更すれば、当該液体排出動作における液体の排出量が多い場合ほど、当該液体排出動作の直前に、排出位置が大きく変更されるため、当該液体排出動作で排出された液体は、吸収体の、前回の液体排出動作で排出された液体が吸収された部分から離れた部分に吸収される。そして、これにより、吸収体の各部分に均一に液体を吸収させることができる。
【0008】
一方、液体排出動作の直後に排出位置を変更する場合には、当該液体排出動作における液体の排出量が多い場合ほど、当該液体排出動作の直後に、排出位置が大きく変更されるため、次回の液体排出動作で排出された液体が、吸収体の、当該液体排出動作で排出された液体が吸収された部分から離れた部分に吸収される。そして、これにより、吸収体の各部分に均一に液体を吸収させることができる。
【0009】
第2の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記メンテナンス手段は、複数種類の前記液体排出動作として、前記液体吐出ヘッドを駆動させて前記液体吐出ヘッドから液滴を吐出させることによって液体を排出させるフラッシング、及び、前記液体吐出ヘッド内の液体に圧力を作用させるポンプを駆動させて前記液体吐出ヘッド内の液体を排出させるパージのいずれかを選択的に実行し、前記排出位置変更手段は、前記液体排出動作が前記パージである場合に、前記液体排出動作がフラッシングである場合よりも、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする。
【0010】
本発明によると、パージはフラッシングよりも液体の排出量が多いので、液体排出動作がパージである場合に、フラッシングである場合よりも、排出位置を大きく変更させることにより、吸収体の各部分に均一に液体を吸収させることができる。
【0011】
第3の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは、複数種類の液体を吐出し、複数種類の前記液体排出動作が、前記液体吐出ヘッドから、前記複数種類の液体の全種類を排出させる全種パージと、前記複数種類の液体のうち1種類のみをそれぞれ排出させる複数種類の単種パージとを含んでおり、前記排出位置変更手段は、前記液体排出動作が前記全種パージである場合に、前記液体排出動作が前記単種パージである場合よりも、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする。
【0012】
本発明によると、全種パージは単種パージよりも液体の排出量が多いので、液体排出動作が全種パージである場合に、液体排出動作が単種パージである場合よりも、排出位置を大きく変更させることにより、吸収体の各部分に均一に液体を吸収させることができる。
【0013】
第4の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは、複数種類の液体を吐出し、装置本体に着脱可能に構成されており、前記液体吐出ヘッドに供給するための、前記複数種類の液体の各々が貯留された複数種類の液体カートリッジをさらに備え、前記メンテナンス手段は、複数種類の前記液体カートリッジのいずれかが装着された直後に、装着された前記液体カートリッジの種類に応じて、複数種類の前記液体排出動作のいずれかを選択的に実行し、前記排出位置変更手段は、前記液体カートリッジが装着されたときに、対応する前記液体排出動作における液体の排出量が多い場合ほど前記排出位置の変更量が大きくなるように、装着された前記液体カートリッジの種類に応じた量だけ、前記排出位置を変更させることを特徴とする。
【0014】
本発明によると、液体カートリッジが装着されたときに、装着された液体カートリッジの種類に対応した液体排出動作が実行される場合には、液体排出動作における液体の排出量が多い場合ほど排出位置の移動量が大きくなるように、装着された液体カートリッジの種類に応じた量だけ排出位置を変更させることにより、吸収体の各部分に均一に液体を吸収させることができる。
【0015】
第5の発明に係る液体吐出装置は、第4の発明に係る液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドが、前記複数種類の液体として、ブラックインク及び複数種類のカラーインクを吐出し、複数の前記液体カートリッジが、前記ブラックインクが貯留されたブラックインクカートリッジと、前記複数種類のカラーインクの各々が貯留された複数種類のカラーインクカートリッジとからなり、前記メンテナンス手段は、複数種類の前記液体カートリッジのいずれかが装着された直後に、前記液体排出動作として、装着された前記液体カートリッジに貯留されているのと同じ色のインクのみを排出させる単色パージを実行し、前記排出位置変更手段は、前記ブラックインクカートリッジが装着されたときに、複数種類の前記カラーインクカートリッジのいずれかが装着されたときよりも、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする。
【0016】
本発明によると、後述するように、ブラックインクのみを排出させる単色パージは、カラーインクのいずれかのみを排出させる単色パージに比べてインクの排出量が多いので、ブラックインクカートリッジが装着されたときに、カラーインクカートリッジのいずれかが装着されたときよりも、排出位置を大きく変更させることにより、吸収体の各部分に均一にインクを吸収させることができる。
【0017】
第6の発明に係る液体吐出装置は、第4の発明に係る液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドが、前記複数種類の液体として、ブラックインク及び複数種類のカラーインクを吐出し、複数の前記液体カートリッジが、前記ブラックインクが貯留されたブラックインクカートリッジと、前記複数種類のカラーインクの各々が貯留された複数種類のカラーインクカートリッジとからなり、前記メンテナンス手段は、前記ブラックインクを吐出するノズルを覆うブラックノズルキャップを含んでおり、前記液体排出動作として、前記ブラックノズルキャップで覆ったノズルから前記液体吐出ヘッド内の前記ブラックインクを吸引することによって、前記液体吐出ヘッドから前記ブラックインクを排出させるブラックインクパージ手段と、前記複数種類のカラーインクを吐出するノズルをまとめて覆うカラーノズルキャップを含んでおり、前記液体排出動作として、前記カラーノズルキャップで覆ったノズルから前記液体吐出ヘッド内の前記複数種類のカラーインクをまとめて吸引することによって、前記液体吐出ヘッドから前記複数種類のカラーインクを排出させるカラーインクパージ手段とを備え、前記ブラックインクカートリッジが装着された直後には、前記ブラックインクパージ手段により前記液体吐出ヘッドから前記ブラックインクを排出させ、前記複数種類のカラーインクカートリッジのいずれかが装着された直後には、前記カラーインクパージ手段により前記液体吐出ヘッドから前記複数種類のカラーインクを排出させ、前記排出位置変更手段は、複数種類の前記カラーインクカートリッジのいずれかが装着されたときに、前記ブラックインクカートリッジが装着されたときよりも、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする。
【0018】
本発明によると、カラーインクパージ手段により排出される複数種類のカラーインクの排出量は、ブラックインクパージ手段により排出されるブラックインクの排出量よりも多いので、複数種類のカラーカートリッジのいずれかが装着された場合に、ブラックカートリッジが装着された場合よりも、排出位置を大きく変更させることにより、吸収体の各部分に均一にインクを吸収させることができる。
【0019】
第7の発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから液体を排出させることによって、前記液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス手段と、前記メンテナンスにより前記液体吐出ヘッドから排出された液体を貯留する廃液貯留手段とを備え、前記廃液貯留手段は、液体を吸収する吸収体と、前記メンテナンス手段により前記液体吐出ヘッドから排出された液体を、前記吸収体に向けて移送するとともに、前記吸収体に排出する液体移送手段と、前記液体移送手段の前記吸収体への液体の排出位置を変更させる排出位置変更手段と、前回の前記排出位置変更手段による前記排出位置の変更時からの前記メンテナンス手段による前記液体吐出ヘッドからの液体の排出量の合計である累積排出量を算出する累積排出量算出手段とを備え、前記排出位置変更手段は、所定のタイミングで前記排出位置を変更させ、且つ、前記累積排出量算出手段により算出された前記累積排出量が多い場合ほど、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする。
【0020】
本発明によると、所定のタイミングで、前記排出位置を変更させる場合、排出位置を変更させるタイミング毎に累積排出量は異なるが、累積排出量が多い場合ほど、排出位置を大きく変更させることにより、吸収体に均一に液体を吸収させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、吸収体の各部分に均一に液体を吸収させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】(a)が廃液タンクを紙送り方向下流側から見た図、(b)廃液タンクを上方から見た図である。
【図3】制御装置の機能ブロック図である。
【図4】変形例1の図1相当の図である。
【図5】変形例3の図3相当の機能ブロック図である。
【図6】変形例4の図2相当の図である。
【図7】変形例5の図2(a)相当の図である。
【図8】変形例6の図2(a)相当の図である。
【図9】変形例7の図2(a)相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1(液体吐出装置)は、プリンタ本体1aにキャリッジ2、インクジェットヘッド3、用紙搬送ローラ4、インクカートリッジ5、ノズルキャップ6、切り替え装置7、吸引ポンプ8、廃液タンク9などが設けられた構成となっている。また、プリンタ1の動作は、制御装置50によって制御されている。
【0025】
キャリッジ2は、ガイドレール11に沿って、走査方向(図1の左右方向)に往復移動する。インクジェットヘッド3(液体吐出ヘッド)は、キャリッジ2に搭載されており、その下面に形成された複数のノズル20からインクを吐出する。複数のノズル20は、走査方向と直交する紙送り方向(図1の上下方向)に配列されることによりノズル列21を形成しており、インクジェットヘッド3においては、このようなノズル列21が走査方向に4列に配列されている。そして、これら4つのノズル列21を構成するノズル20からは、図1の右側に配列されているノズル列21を形成しているものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0026】
用紙搬送ローラ4は、図示しないモータなどによって駆動され、記録用紙Pを紙送り方向(図1の下方)に搬送する。
【0027】
そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ4により紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3から上記4色のインクを吐出することにより、記録用紙Pに印刷を行う。
【0028】
4つのインクカートリッジ5(液体カートリッジ)は、プリンタ本体1aの図1における右下端部に設けられたカートリッジ装着部12に装着されており、プリンタ本体1aに対して着脱可能となっている。また、これら4つのインクカートリッジ5は、図1の最も右側に配置された1つのブラックインクカートリッジ5aと、ブラックインクカートリッジ5aの左側に配置された3つのカラーインクカートリッジ5bとからなる。ブラックインクカートリッジ5aには、ブラックインクが貯留されており、3つのインクカートリッジ5には、図1において右側に配置されているものから順に、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタのインク(カラーインク)が貯留されている。
【0029】
インクジェットヘッド3と4つのインクカートリッジ5とは、4本のチューブ13によって接続されており、これにより、インクカートリッジ5に貯留されたインクが、インクジェットヘッド3に供給される。
【0030】
また、図1では図示を省略するが、カートリッジ装着部12には、インクカートリッジ5の有無を検出するためのカートリッジセンサ23(図3参照)が設けられている。
【0031】
ノズルキャップ6は、キャリッジ2を図1においてほぼ最大限右方に移動させた状態で、インクジェットヘッド3のノズル20と対向する位置に配置されており、キャップ昇降機構22(図3参照)により、図1の紙面垂直方向に昇降可能となっている。ノズルキャップ6は、図1の最も右側のノズル列21を構成する、ブラックインクを吐出するノズル20と対向するのキャップ部6a(ブラックノズルキャップ)と、図1の左側3列のノズル列21を構成する、カラーインク(イエロー、シアン、マゼンタのインク)を吐出するノズル20と対向するキャップ部6b(カラーノズルキャップ)とを備えている。そして、インクジェットヘッド3とノズルキャップ6とが対向している状態で、キャップ昇降機構22によりノズルキャップ6を上昇させると、ブラックインクを吐出するノズル20がキャップ部6aに覆われるとともに、カラーインクを吐出するノズル20がキャップ部6bに覆われる。
【0032】
また、キャップ部6a、6bは、それぞれ、チューブ14a、14bを介して切り替え装置7に接続されている。切り替え装置7は、チューブ14a、14bと反対側において、チューブ15を介して吸引ポンプ8に接続されており、チューブ14a、14bとチューブ15との接続状態を切り替えることにより、キャップ部6a、6bのいずれか一方を選択的に吸引ポンプ8に接続させる。
【0033】
また、吸引ポンプ8の、切り替え装置7と反対側には、チューブ16が接続されており、チューブ16は、廃液タンク9まで延びている。
【0034】
そして、プリンタ1においては、上述したように、ノズルキャップ6(キャップ部6a、6b)により、ノズル20を覆った状態で、吸引ポンプ8を駆動すると、ノズル20からインクが吸引され、これにより、インクジェットヘッド3内のインクが排出される(吸引パージ)。そして、吸引されたインクは、チューブ14a、14b、切り替え装置7、チューブ15、吸引ポンプ8及びチューブ16を移送されて廃液タンク9に排出される。すなわち、本実施の形態では、ノズルキャップ6、切り替え装置7及び吸引ポンプ8と、これらに接続されたチューブ14a、14b、15、16とをあわせたものが、本発明に係るメンテナンス手段と液体移送手段とを兼ねたものとなっている。
【0035】
このとき、切り替え装置7により、キャップ部6aと吸引ポンプ8とが接続された状態で吸引ポンプ8を駆動すると、図1の最も右側のノズル列21を構成する、ブラックインクを吐出するノズル20からのみインクが排出される(ブラックインクパージ)。すなわち、本実施の形態では、キャップ部6a、切り替え装置7及び吸引ポンプ8とこれらを接続するチューブ14a、15とをあわせたものが、本発明に係るブラックインクパージ手段に相当する。
【0036】
一方、キャップ部6bと吸引ポンプ8とが接続された状態で吸引ポンプ8を駆動すると、図1の左側3列のノズル列21を構成する、カラーインクを吐出するノズル20からのみインクが排出される(カラーインクパージ)。すなわち、本実施の形態では、キャップ部6b、切り替え装置7及び吸引ポンプ8とこれらを接続するチューブ14b、15とをあわせたものが、本発明に係るカラーインクパージ手段に相当する。
【0037】
また、プリンタ1においては、上述したように、ノズルキャップ6(キャップ部6a、6b)によりノズル20を覆った状態で、インクジェットヘッド3を駆動することによって、ノズル20からインクジェットヘッド3内のインクを排出させるフラッシングを行うことができる。そして、この場合には、フラッシングが完了した後、ノズルキャップ6をインクジェットヘッド3から離し、この状態で、吸引ポンプ8を駆動することにより、ノズルキャップ6に排出されたインクを廃液タンク9に移送する。
【0038】
なお、本実施の形態では、上述のブラックインクパージ、カラーインクパージ及びフラッシングが、本発明に係る複数種類の液体排出動作に相当する。
【0039】
次に、インクジェットヘッド3から排出されたインクが貯留される廃液タンク9(廃液貯留手段)について説明する。廃液タンク9は、図2に示すように、略直方体形状のタンク本体31の内部に、スポンジなどからなるインク吸収体32が配置された構造となっている。インク吸収体32は、紙送り方向をその軸方向とする略円柱形状を有しており、インクジェットヘッド3から排出されたインクを廃液タンク9に移送する上述のチューブ16は、その先端部に形成されたインク排出口16aが、インク吸収体32の図2(a)における左上端部と対向するように配置されている。
【0040】
また、インク吸収体32には、その軸方向に延びた回転軸33が挿通されており、回転軸33に固定されている。回転軸33は、吸収体回転モータ34(図3参照)に接続されており、吸収体回転モータ34を駆動すると、回転軸33が回転し、回転軸33が挿通されたインク吸収体32が、回転軸33とともに回転する。そして、インク吸収体32が回転すると、排出口16a(液体移送手段)からインク吸収体32へのインクの排出位置(液体排出位置)が変更される。すなわち、本実施の形態では、インク吸収体32を回転させる回転軸33、及び、吸収体回転モータ34が、本発明に係る排出位置変更手段に相当する。
【0041】
次に、プリンタ1の動作を制御する制御装置50について説明する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなり、これらが図3に示すように、印刷制御部51、メンテナンス制御部52、吸収体回転制御部53などとして動作する。
【0042】
印刷制御部51は、印刷指令が入力されたときに、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、用紙搬送ローラ4などの動作を制御して、印刷を実行させる。
【0043】
メンテナンス制御部52は、例えば、印刷された画像の印刷品質が低下している場合などに、ユーザによりブラックインクパージ、カラーインクパージ及びフラッシングのいずれかを実行させることを指示するメンテナンス指令が入力されると、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、切り替え装置7、吸引ポンプ8、キャップ昇降機構22などの動作を制御して、入力された指令に対応する液体排出動作を実行させる。
【0044】
さらに、メンテナンス制御部52は、カートリッジ装着部12にブラックインクカートリッジ5aが装着されたときに、キャリッジ2、切り替え装置7、吸引ポンプ8、キャップ昇降機構22などの動作を制御して、上述のブラックインクパージを実行させる。一方、カートリッジ装着部12にカラーインクカートリッジ5bのいずれかが装着されたときに、キャリッジ2、キャップ昇降機構22、吸引ポンプ8などの動作を制御して、上述のカラーインクパージを実行させる。なお、本実施の形態では、カートリッジセンサ23によりインクカートリッジ5が検出されていない状態からインクカートリッジ5が検出された状態に切り替わったときに、カートリッジ装着部12にインクカートリッジ5が装着されたことが検出される。
【0045】
吸収体回転制御部53は、インク吸収体32を回転させる際の吸収体回転モータ34の動作を制御する。具体的には、上述のパージやフラッシングが完了すると、メンテナンス制御部52から吸収体回転制御部53に、メンテナンス動作が完了したこと及び液体動作の種類を示す信号が入力される。そして、吸収体回転制御部53は、この信号が入力されたとき、すなわち、液体排出動作が実行された直後に、吸収体回転モータ34を駆動して、実行された液体排出動作の種類に応じて、インク吸収体32を回転させる。
【0046】
ここで、液体排出動作の種類と、インク吸収体32の回転との関係について表1を用いて説明する。ここで、表1における「大」、「中」、「小」は、インク吸収体32の回転角度の大きさを示すものであり、「大」、「中」、「小」の順に、インク吸収体32の回転角度が大きなものとなる。
【0047】
【表1】

【0048】
本実施の形態においては、インクジェットヘッド3を駆動してインクジェットヘッド3内のインクを排出させるフラッシングよりも、吸引ポンプ8を駆動してインクジェットヘッド3内のインクを排出させるブラックインクパージ及びカラーインクパージのほうがインクの排出量が多い。さらに、ブラックインクのみを排出させるブラックインクパージよりも、3色のカラーインクをまとめて排出させるカラーインクパージのほうがインクの排出量が多い。
【0049】
そこで、本実施の形態では、上述したような液体排出動作におけるインクの排出量の違いに対応して、液体排出動作におけるインクの排出量が多いほど、その直後にインク吸収体32を大きく回転させる。すなわち、表1に示すように、カラーインクパージの直後に、インク吸収体32を最も大きく回転させ、以下、ブラックインクパージの直後、及び、フラッシングの直後の順に、インク吸収体32を大きく回転させる。
【0050】
そして、このように、液体排出動作の直後にインク吸収体32を回転させれば、次回の液体排出動作において排出されたインクが、インク吸収体32の今回の液体排出動作により排出されたインクが吸収される部分とは異なる部分に吸収されるため、インク吸収体32に均一にインクを吸収させることができる。
【0051】
さらに、液体排出動作におけるインクの排出量が多い場合ほど、インク吸収体32の広い範囲にインクが吸収されることとなるが、インク排出量の多い液体排出動作が実行された直後ほど、インク吸収体32を大きく回転させているため、次回の液体排出動作において排出されるインクが、確実に、インク吸収体32の今回の液体排出動作において排出されたインクが吸収される部分とは異なる部分に吸収される。したがって、インク吸収体32により均一にインクを吸収させることができる。
【0052】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては、適宜その説明を省略する。
【0053】
上述の実施の形態では、インクカートリッジ5が装着されたときに実行されるブラックインクパージやカラーインクパージが、ユーザの指示により実行されるブラックインクパージやカラーインクパージと同じ処理であり、その直後のインク吸収体32の回転角度も同じであったが、これには限られない。
【0054】
例えば、インクカートリッジ5の交換時には、カートリッジ装着部12からチューブ13やインクジェットヘッド3などに空気が入り込みやすいため、インクカートリッジ5が装着されたときに実行させるブラックインクパージやカラーインクパージを、ユーザの指示により実行されるブラックインクパージやカラーインクパージよりもインクの排出量の多いものとし、これに対応して、インクカートリッジ5が装着されたときに実行されるブラックインクパージやカラーインクパージの直後に、ユーザの指示により実行されるブラックインクパージやカラーインクパージの直後よりも、インク吸収体32を大きく回転させるなどしてもよい。
【0055】
また、上述の実施の形態では、ノズルキャップ6において、ブラックのインクを吐出するノズル20を構成する1つのノズル列21に対して1つキャップ部6aが設けられているとともに、カラーのインクを吐出するノズル20を構成する3つのノズル列21に対して1つのキャップ部6bが設けられており、ブラックインクのみを排出させるブラックインクパージ、及び、3色のカラーインクをまとめて排出させるカラーインクパージを実行可能となっていたが、これには限られない。
【0056】
一変形例(変形例1)では、図4に示すように、ノズルキャップ6に、4つのノズル列21に対応して、4つのキャップ部6cが個別に設けられているとともに、キャップ部6cが、それぞれ、個別にチューブ14cを介して切り替え装置7に接続されている。そして、これにより、各ノズル列21を構成するノズル20から個別にインクジェットヘッド3内のインクを吸引することが可能となっている。
【0057】
そして、変形例1では、4つのインクカートリッジ5のいずれかが装着されたときに、当該インクカートリッジ5に充填されているのと同じ色のインクを吐出するノズル20のみからインクを排出させ(単色パージ)、その直後にインク吸収体32を回転させる。このとき、表2に示すように、ブラックインクの単色パージの直後に、カラーインク(イエロー、シアン、マゼンタのインク)の単色パージの直後よりも、インク吸収体32を大きく回転させる。また、表2に示すように、フラッシング直後のインク吸収体32の回転角度は、カラーインクの単色パージの直後におけるインク吸収体32の回転角度よりもさらに小さくなっている。
【0058】
【表2】

【0059】
一般に、ブラックインクとカラーインクとを吐出するインクジェットヘッドを備えたプリンタにおいては、高速でモノクロ印刷を行うことができるように、ブラックインクを吐出するノズル20の径が大きくなっているとともに、高画質でカラー印刷することができるように、カラーインクを吐出するノズル20の径が小さくなっている。そのため、径の大きいノズル20からインクが吸引されるブラックインクの単色パージにおけるインクの排出量が、径の小さいノズル20からインクが吸引されるカラーインクの単色パージにおけるインクの排出量よりも多くなり、その分、インク吸収体32の排出されたインクが吸収される範囲も大きくなる。
【0060】
そこで、変形例1では、上述したように、ブラックインクの単色パージの直後に、カラーインクの単色パージの直後よりも、インク吸収体32を大きく回転させており、これにより、インク吸収体32に均一にインクを吸収させることができる。
【0061】
また、インクカートリッジ5が装着されたときに、その種類に応じて液体排出動作が実行される場合において、液体排出量の多い液体排出動作が実行される場合ほど、その直後のインク吸収体32が大きく回転されるようになっていれば、カートリッジ装着部12に装着されたインクカートリッジ5の種類と、インク吸収体32の回転角度との関係は、上述の実施の形態や、変形例1で説明したものには限られない。
【0062】
また、別の一変形例(変形例2)では、変形例1において、プリンタ1の初回の使用時に、チューブ13やインクジェットヘッド3内の気泡などを排出するために、ノズルキャップ6で覆った全てのノズル20からインクを吸引することにより、インクジェットヘッド3から全色のインクを排出させるイニシャルパージ(全種パージ)を行う。そして、表3に示すように、イニシャルパージの直後には、変形例1で説明した、単色パージ(単種パージ)の直後よりも大きくインク吸収体32を回転させる。なお、表3の「特大」は、インク吸収体32の回転角度が表の「大」よりもさらに大きいことを示している。
【0063】
【表3】

【0064】
イニシャルパージでは、全色のインクが排出されるため、インクの排出量が多く、単色パージと場合に比べてインク吸収体32の広い範囲にインクが吸収されるが、イニシャルパージの直後に、単色パージの直後よりも大きくインク吸収体32を回転させるため、インク吸収体32にさらに均一にインクを吸収させることができる。
【0065】
なお、上述の実施の形態においても、イニシャルパージを行い、その直後にインク吸収体32を回転させてもよく、この場合には、イニシャルパージの直後に、少なくとも、ブラックインクパージ(単種パージ)の直後よりも大きくインク吸収体32を回転させるなどすればよい。
【0066】
また、プリンタ1において、パージやフラッシングなどインクの排出量の互いに異なる複数種類の液体排出動作が行われる場合に、インクの排出量が多い液体排出動作が実行されたときほど、その直後にインク吸収体32を大きく回転させるようになっていれば、液体排出動作の種類と、その直後におけるインク吸収体32の回転角度との関係は、以上に説明したものには限られない。
【0067】
また、上述の実施の形態では、フラッシングやパージなどの液体排出動作が実行された直後にインク吸収体32を回転させていたが、液体排出動作を実行する直前にインク吸収体32を回転させてもよい。
【0068】
この場合には、インク吸収体32を回転させた直後に実行される液体排出動作において排出されるインクが、インク吸収体32の、前回の液体排出動作によって排出されたインクが吸収された部分とは異なる部分に排出されることとなるため、インク吸収体32に均一にインクを排出させることができる。
【0069】
さらに、直後に実行される液体排出動作におけるインクの排出量が多い場合ほど、インク吸収体32の前回の液体排出動作において排出されたインクが吸収された部分から大きく離れた部分にインクが排出されるので、インク吸収体32により均一にインクを排出させることができる。
【0070】
さらには、インク吸収体32を回転させるのは、液体排出動作の直前及び直後には限られない。別の一変形例(変形例3)では、図5に示すように、制御装置50が、時間計測部56、累積排出量算出部57をさらに備えている。時間計測部56は、前回のインク吸収体32の回転時(排出位置の変更時)からの時間を計測している。累積排出量算出部57は、時間計測部56により計測された時間の間に実行されたフラッシングやパージにおけるインクの排出量の合計である累積排出量を算出する。具体的には、例えば、制御装置50のRAMなどにフラッシングやパージにおけるインクの排出量を予め記憶しておき、フラッシングやパージが実行される毎に、記憶された排出量を順次足し合わせることによって、累積排出量を算出する。
【0071】
そして、変形例3では、吸収体回転制御部53が、時間計測部56により計測された時間が予め設定された所定時間となる毎に(所定のタイミングで)、インク吸収体32を回転させる。また、このとき、累積排出量算出部57において算出された累積排出量が多い場合ほど、インク吸収体32を大きく回転させる。
【0072】
この場合には、上記所定時間が経過する毎に、排出口16aのインク吸収体32に対するインクの排出位置が変更されるため、インク吸収体32に均一にインクが吸収される。さらに、累積排出量が多い場合ほど、インク吸収体32を大きく回転させるため、インク吸収体32により均一にインクが吸収される。
【0073】
また、変形例3では、所定時間が経過する毎にインク吸収体32を回転させていたが、インク吸収体32を回転させるタイミングはこれには限られず、例えば、記録用紙Pが収容された図示しない用紙カセットが着脱される毎、パージが所定回数実行される毎、インクカートリッジが所定回数交換される毎など、別のタイミングでインク吸収体32を回転させてもよい。
【0074】
また、上述の実施の形態では、インク吸収体32を、水平方向に延びた回転軸33を中心に回転させることによって、排出口16aの、インク吸収体32に対するインクの排出位置を変更させていたが、これには限られない。
【0075】
別の一変形例(変形例4)では、図6に示すように、廃液タンク60が、鉛直方向をその軸方向とする略円筒形状のタンク本体61の内部に、同じく鉛直方向を軸方向とする略円柱形状のインク吸収体62が配置された構造となっている。インク吸収体62には、その軸方向と平行に延びた回転軸63が挿通されており、回転軸63は、図示しないモータに接続されている。そして、モータにより回転軸63を回転させると、インク吸収体62が回転し、これにより、排出口16aのインク吸収体62へのインクの排出位置が変更される。そして、この場合には、液体排出動作におけるインクの排出量が多いときほど、インク吸収体62を大きく回転させる。なお、この場合には、回転軸63と、回転軸63を回転させるモータなどとをあわせたものが、本発明に係る排出位置変更手段に相当する。
【0076】
また、別の一変形例(変形例5)では、図7に示すように、廃液タンク70(タンク本体71)が、水平方向に延びたレール73に沿って図中左右方向に移動するスライダ74に取り付けられている。そして、レール73に沿ってスライダ74を移動させると、廃液タンク70(インク吸収体72)が図中左右方向に移動し、これにより、排出口16aのインク吸収体72へのインクの排出位置が変更される。そして、この場合には、液体排出動作におけるインクの排出量が多いときほど、廃液タンク70(インク吸収体72)を大きく移動させる。なお、この場合には、レール73とスライダ74とをあわせたものが、本発明に係る排出位置変更手段に相当する。
【0077】
また、以上の例では、インク吸収体の回転や移動によって、インク吸収体に対するインクの排出位置を変更したが、これには限られない。
【0078】
別の一変形例(変形例6)では、図8に示すように、変形例5と同様の廃液タンク70がプリンタ本体1aに固定されており、チューブ16の先端部が、水平方向に延びたレール81に沿って図中左右方向に移動するスライダ82に取り付けられている。そして、レール81に沿ってスライダ82を移動させると、チューブ16(排出口16a)が図中左右方向に移動し、これにより、排出口16aのインク吸収体72へのインクの排出位置が変更される。そして、この場合には、液体排出動作におけるインクの排出量が多いときほど、チューブ16を大きく移動させる。なお、この場合には、レール81とスライダ82ととをあわせたものが、本発明に係る排出位置変更手段に相当する。
【0079】
また、別の一変形例(変形例7)では、図9に示すように、チューブ16の先端部に切り替え装置91が設けられており、切り替え装置91からインク吸収体72の互いに異なる部分に向けて複数(図では3つ)のチューブ92が延びており、切り替え装置91により、チューブ16を、チューブ92のいずれかとを選択的に接続することができるようになっている。そして、チューブ16を、チューブ92のいずれに接続するかを切り替えることによって、チューブ16のインク吸収体72へのインクの排出位置を変更する。そして、この場合には、液体排出動作におけるインクの排出量が多いときほど、チューブ16の接続先を、現在接続されているチューブ92から大きく離れたチューブ92に切り替える。なお、この場合には、切り替え装置91及び3つのチューブ92をあわせたものが、本発明に係る排出位置変更手段に相当する。
【0080】
また、上述の実施の形態では、ノズル20からインクを吸引する、いわゆる吸引パージによってインクジェットヘッド3内のインクを排出させたが、インクジェットヘッド3の上流側に加圧ポンプを設け、この加圧ポンプによりインクジェットヘッド3内のインクに圧力を付与するいわゆる押しパージによってインクジェットヘッド3内のインクを排出させてもよい。また、ポンプを設けることなく、インクジェットヘッド3を駆動させてノズル20からインクをインク吸収体32に直接噴射させてもよい。また、廃液タンク9にインクを移送する手段は、チューブ16に限られず、樋のように液体を移送できるものであればいかなるものであってもよい。
【0081】
また、以上では、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、ノズルからインク以外の液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えたプリンタ以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 プリンタ
3 インクジェットヘッド
5 インクカートリッジ
6 ノズルキャップ
6a〜6c キャップ部
8 吸引ポンプ
9 廃液タンク
14a〜14c チューブ
15 チューブ
16 チューブ
32 インク吸収体
33 回転軸
34 吸収体回転モータ
52 メンテナンス制御部
53 吸収体回転制御部
57 累積排出量算出部
60 廃液タンク
62 インク吸収体
70 廃液タンク
72 インク吸収体
73 レール
74 スライダ
81 レール
82 スライダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドから液体を排出させることによって、前記液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス手段と、
前記メンテナンスにより前記液体吐出ヘッドから排出された液体を貯留する廃液貯留手段とを備え、
前記メンテナンス手段は、前記液体吐出ヘッドからの液体の排出量が互いに異なる複数種類の液体排出動作のいずれかを選択的に実行し、
前記廃液貯留手段は、
液体を吸収する吸収体と、
前記メンテナンス手段により前記液体吐出ヘッドから排出された液体を、前記吸収体に向けて移送するとともに、前記吸収体に排出する液体移送手段と、
前記液体移送手段の前記吸収体に対する液体の排出位置を変更させる排出位置変更手段とを備え、
前記排出位置変更手段は、前記液体排出動作の直前又は直後に前記排出位置を変更させ、且つ、当該液体排出動作における液体の排出量が多い場合ほど、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記メンテナンス手段は、複数種類の前記液体排出動作として、前記液体吐出ヘッドを駆動させて前記液体吐出ヘッドから液滴を吐出させることによって液体を排出させるフラッシング、及び、前記液体吐出ヘッド内の液体に圧力を作用させるポンプを駆動させて前記液体吐出ヘッド内の液体を排出させるパージのいずれかを選択的に実行し、
前記排出位置変更手段は、前記液体排出動作が前記パージである場合に、前記液体排出動作がフラッシングである場合よりも、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体吐出ヘッドは、複数種類の液体を吐出し、
複数種類の前記液体排出動作が、前記液体吐出ヘッドから、前記複数種類の液体の全種類を排出させる全種パージと、前記複数種類の液体のうち1種類のみをそれぞれ排出させる複数種類の単種パージとを含んでおり、
前記排出位置変更手段は、前記液体排出動作が前記全種パージである場合に、前記液体排出動作が前記単種パージである場合よりも、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体吐出ヘッドは、複数種類の液体を吐出し、
装置本体に着脱可能に構成されており、前記液体吐出ヘッドに供給するための、前記複数種類の液体の各々が貯留された複数種類の液体カートリッジをさらに備え、
前記メンテナンス手段は、複数種類の前記液体カートリッジのいずれかが装着された直後に、装着された前記液体カートリッジの種類に応じて、複数種類の前記液体排出動作のいずれかを選択的に実行し、
前記排出位置変更手段は、前記液体カートリッジが装着されたときに、対応する前記液体排出動作における液体の排出量が多い場合ほど前記排出位置の変更量が大きくなるように、装着された前記液体カートリッジの種類に応じた量だけ、前記排出位置を変更させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドが、前記複数種類の液体として、ブラックインク及び複数種類のカラーインクを吐出し、
複数の前記液体カートリッジが、前記ブラックインクが貯留されたブラックインクカートリッジと、前記複数種類のカラーインクの各々が貯留された複数種類のカラーインクカートリッジとからなり、
前記メンテナンス手段は、複数種類の前記液体カートリッジのいずれかが装着された直後に、前記液体排出動作として、装着された前記液体カートリッジに貯留されているのと同じ色のインクのみを排出させる単色パージを実行し、
前記排出位置変更手段は、前記ブラックインクカートリッジが装着されたときに、複数種類の前記カラーインクカートリッジのいずれかが装着されたときよりも、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドが、前記複数種類の液体として、ブラックインク及び複数種類のカラーインクを吐出し、
複数の前記液体カートリッジが、前記ブラックインクが貯留されたブラックインクカートリッジと、前記複数種類のカラーインクの各々が貯留された複数種類のカラーインクカートリッジとからなり、
前記メンテナンス手段は、
前記ブラックインクを吐出するノズルを覆うブラックノズルキャップを含んでおり、前記液体排出動作として、前記ブラックノズルキャップで覆ったノズルから前記液体吐出ヘッド内の前記ブラックインクを吸引することによって、前記液体吐出ヘッドから前記ブラックインクを排出させるブラックインクパージ手段と、
前記複数種類のカラーインクを吐出するノズルをまとめて覆うカラーノズルキャップを含んでおり、前記液体排出動作として、前記カラーノズルキャップで覆ったノズルから前記液体吐出ヘッド内の前記複数種類のカラーインクをまとめて吸引することによって、前記液体吐出ヘッドから前記複数種類のカラーインクを排出させるカラーインクパージ手段とを備え、
前記ブラックインクカートリッジが装着された直後には、前記ブラックインクパージ手段により前記液体吐出ヘッドから前記ブラックインクを排出させ、
前記複数種類のカラーインクカートリッジのいずれかが装着された直後には、前記カラーインクパージ手段により前記液体吐出ヘッドから前記複数種類のカラーインクを排出させ、
前記排出位置変更手段は、複数種類の前記カラーインクカートリッジのいずれかが装着されたときに、前記ブラックインクカートリッジが装着されたときよりも、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドから液体を排出させることによって、前記液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス手段と、
前記メンテナンスにより前記液体吐出ヘッドから排出された液体を貯留する廃液貯留手段とを備え、
前記廃液貯留手段は、
液体を吸収する吸収体と、
前記メンテナンス手段により前記液体吐出ヘッドから排出された液体を、前記吸収体に向けて移送するとともに、前記吸収体に排出する液体移送手段と、
前記液体移送手段の前記吸収体への液体の排出位置を変更させる排出位置変更手段と、
前回の前記排出位置変更手段による前記排出位置の変更時からの前記メンテナンス手段による前記液体吐出ヘッドからの液体の排出量の合計である累積排出量を算出する累積排出量算出手段とを備え、
前記排出位置変更手段は、所定のタイミングで前記排出位置を変更させ、且つ、前記累積排出量算出手段により算出された前記累積排出量が多い場合ほど、前記排出位置を大きく変更させることを特徴とする液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−158028(P2012−158028A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18114(P2011−18114)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】